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特許7512690配達支援システムおよび配達支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】配達支援システムおよび配達支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240702BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240702BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0969
G08G1/14 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020098131
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021189151
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中山 高聡
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/054490(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/0969
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達車両の現在地を取得する現在地取得部と、
前記配達車両の目的地である物流拠点の位置を取得する物流拠点位置取得部と、
前記物流拠点の内部に関する案内情報を取得する案内情報取得部と、
前記現在地から前記物流拠点までの所要距離または所要期間が既定の基準以下になった場合に、案内部に前記案内情報を案内させる案内制御部と、
を備え
前記案内情報は、前記物流拠点の内部に関する複数の種類の情報を含み、
前記既定の基準は、前記案内情報の種類ごとに異なり、
前記所要距離または前記所要期間が前記既定の基準以下になった前記案内情報が案内される、
配達支援システム。
【請求項2】
前記案内情報には、前記配達車両が前記物流拠点に向けて走行している走行期間に変化し得る動的情報と、前記走行期間に変化しない静的情報とが含まれ、
前記動的情報における前記既定の基準は、前記静的情報における前記既定の基準より長い前記所要距離または所要期間である、
請求項1に記載の配達支援システム。
【請求項3】
前記案内情報取得部は、
前記動的情報が変化した場合に、変化後の前記動的情報を再取得し、
前記案内制御部は、
前記案内部に変化後の前記動的情報を案内させる、
請求項2に記載の配達支援システム。
【請求項4】
コンピュータを、
配達車両の現在地を取得する現在地取得部、
前記配達車両の目的地である物流拠点の位置を取得する物流拠点位置取得部、
前記物流拠点の内部に関する案内情報を取得する案内情報取得部、
前記現在地から前記物流拠点までの所要距離または所要期間が既定の基準以下になった場合に、案内部に前記案内情報を案内させる案内制御部、
として機能させ
前記案内情報は、前記物流拠点の内部に関する複数の種類の情報を含み、
前記既定の基準は、前記案内情報の種類ごとに異なり、
前記所要距離または前記所要期間が前記既定の基準以下になった前記案内情報が案内されるようにコンピュータを機能させる、
配達支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配達支援システムおよび配達支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流拠点において複数の配達車両による作業を効率的に行うための技術が知られている。例えば、特許文献1においては、物流拠点の入場ゲートを配達車両が通過すると、荷捌き駐車エリアもしくは順番待ちエリアに配達車両を誘導する誘導情報が受信可能となる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-152728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、物流拠点内の内部に関する案内情報は、物流拠点に進入してから案内されていた。このような場合、ユーザーは、物流拠点に進入してから案内情報により案内された内容に対応しなければならないことから、当該内容によっては、物流拠点内の作業を効率的に行えない場合がある。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、物流拠点内の作業を効率的に行える可能性を高めることが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、配達支援システムは、配達車両の現在地を取得する現在地取得部と、前記配達車両の目的地である物流拠点の位置を取得する物流拠点位置取得部と、前記物流拠点の内部に関する案内情報を取得する案内情報取得部と、前記現在地から前記物流拠点までの所要距離または所要期間が既定の基準以下になった場合に、案内部に前記案内情報を案内させる案内制御部と、を備える。
【0006】
上記の目的を達成するため、配達支援プログラムは、コンピュータを、配達車両の現在地を取得する現在地取得部、前記配達車両の目的地である物流拠点の位置を取得する物流拠点位置取得部、前記物流拠点の内部に関する案内情報を取得する案内情報取得部、前記現在地から前記物流拠点までの所要距離または所要期間が既定の基準以下になった場合に、案内部に前記案内情報を案内させる案内制御部、として機能させる。
【0007】
すなわち、配達支援システムおよび配達支援プログラムは、現在地から物流拠点までの所要距離または所要期間が既定の基準以下になった場合に、物流拠点内の内部に関する案内情報が案内される。したがって、ユーザーは物流拠点に進入する前に当該案内情報の内容を知ることができるため、物流拠点内の作業をユーザーが効率的に行える可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】配達支援システムのブロック図である。
図2図2A~2Dは経路案内中に表示部に表示される画面の例の説明図である。
図3】案内処理を示すフローチャートである。
図4】物流拠点内に進入してから表示部に表示される画面の例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)システム構成:
(1-1)物流拠点システムの構成:
(1-2)サーバの構成:
(1-3)配達支援システムの構成:
(2)案内処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)システム構成:
図1は、本発明にかかる配達支援システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態において、配達支援システム10は、通信を介して、サーバ100と協働する。配達支援システム10は、配達車両に搭載されて使用される端末である。サーバ100は、物流拠点システム101と通信することも可能である。物流拠点システム101は、配達車両に積載された荷物の荷卸、または配達車両への荷積みが行われる物流拠点で運用されるコンピュータである。
【0011】
物流拠点は複数箇所存在し得るが、本実施形態においては、各々の物流拠点で物流拠点システム101が運用される。各配達車両は、各物流拠点に行き、各配達車両に割り当てられた荷物の荷卸や荷積みを行う。本実施形態において、物流拠点は、複数の荷物を扱う拠点であり、複数の荷物を配達先毎の配達車両に分配するなどのために、荷卸や荷積みが行われる。なお、本実施形態において、物流拠点は工場としても機能しており、配達車両で運搬された部品を使って製品が製造され、製造された製品が梱包された荷物が配達車両で配達先に運搬される。
【0012】
(1-1)物流拠点システムの構成:
物流拠点システム101は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部201と、記録媒体301と、他の装置と通信を行うための通信部401を備えている。記録媒体301には、物流拠点情報300aおよび案内情報300bが記録されている。
【0013】
物流拠点情報300aは、物流拠点システム101が運用されている物流拠点について案内する案内情報300bの種類を示す情報である。すなわち、物流拠点情報300aを参照することにより、当該物流拠点についての案内が実行される際に、どのようなカテゴリーの案内情報300bが案内されるのかが列挙されている。本実施形態では、案内情報300bは、物流拠点の内部に関する複数の種類の情報を含む。案内情報300bの種類としては、物流拠点の概要、物流拠点内の地図、物流拠点内のルール、物流拠点の入口、トラックドックの満空情報、稼働状況が挙げられる。各々の物流拠点ごとに物流拠点情報300aは存在することから、物流拠点情報300aが示す案内情報300bの種類は、各々の物流拠点ごとに異なる。
【0014】
案内情報300bは、物流拠点システム101が運用されている物流拠点の内部に関する情報である。上述したように、案内情報300bの種類には、物流拠点の概要、物流拠点内の地図、物流拠点内のルール、物流拠点の入口、トラックドックの満空状況、稼働状況が挙げられる。物流拠点の概要とは、物流拠点の名称および住所、敷地面積、従業員数などのことである。物流拠点内の地図とは、物流拠点内に存在する道路、集荷倉庫(荷物の在庫保管、仕分け、配送、流通加工などが行われる)、トラックドックおよび待機場の位置などが示された地図のことである。当該地図には、ノードデータ,形状補間点データ,リンクデータ,物流拠点内に存在する地物(集荷倉庫、トラックドックおよび待機場など)の位置等を示すデータ等が含まれている。待機場とは、トラックドックが空くまで待機するための駐車場のことである。すなわち、物流拠点の中には、待機のための待機場が物流拠点の内部に設けられている場合がある。物流拠点内のルールとは、配達車両が物流拠点内を走行するにあたり守るべきルールのことである。当該ルールとしては、例えば、物流拠点内を走行する際には、走行が許可されたことを示す許可証を配達車両のフロントガラス付近に配置すること、制限速度が20km/h以下であること、一旦停止を指示する標識がなくても停止が必要な場所があること、一方通行の道路があること、構内を周回する道路は左回りもしくは右回りであること、等が挙げられる。
【0015】
物流拠点の入口とは、当該物流拠点の入口が1つしか存在しない場合にはその入口の位置のことであり、当該物流拠点の入口が複数存在するとともに通行可能な入口が変化する場合には、その通行可能な入口の位置のことである。後者の場合、通行可能な入口の位置に関するスケジュールは、予め制御部201の図示しないROMに記録されており、制御部201は、当該スケジュールを参照し、当該入口の位置が変化するたび当該入口の位置を取得する。本実施形態では、物流拠点の入口は、一定ではなく変化するものとして説明する。トラックドックの満空情報とは、配達車両が荷物の荷卸や荷積みを行うエリアであるトラックドックのうち空いているトラックドックの数を示す情報のことである。各々のトラックドックには、トラックドックが使用中であるか否かを監視するセンサが備わっており、当該センサが検出した情報が変化するたびに制御部201に入力されることによって、制御部201は、当該情報を取得する。当該センサは、重量センサであってもよいし、トラックドックを撮影した画像から配達車両を抽出することによりトラックドックが使用中であるか否かを検出するセンサであってもよい。稼働状況とは、工場として機能する物流拠点において、当該工場が稼働しているか否かを示す情報である。物流拠点において稼働状況は監視され、稼働しているか否かを示す情報は、制御部201に出力される。なお、稼働状況は、トラックドック毎に示されていてもよいし、物流拠点全体について示されていてもよい。前者は、例えば、工場に異なる製造ラインが存在し、ライン毎に稼働状況が異なる状況が発生する場合に好ましい。この場合、各々のラインに対応するトラックドックのうち荷物の搬入や搬出が可能なトラックドックが存在すれば稼働中、不可能であれば停止中とされる。本実施形態では、稼働状況は、物流拠点全体について示されているものとして説明する。このような稼働状況の情報は、変化するたびに制御部201に入力されることによって、制御部201は、当該情報を取得する。
【0016】
案内情報300bには、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間に変化し得る動的情報と、走行期間に変化しない静的情報とが含まれる。上述した案内情報300bのうち、物流拠点の入口、トラックドックの満空情報および稼働状況は、動的情報にあたり、物流拠点の概要、物流拠点内の地図および物流拠点内のルールは静的情報にあたる。
【0017】
物流拠点情報300aに示された案内情報300bの種類のうち、配達車両が物流拠点に進入する前に案内すべき案内情報300bの種類は、予め設定されている。本実施形態では、物流拠点情報300aに示された案内情報300bの種類のうち、物流拠点の概要、物流拠点内の地図、物流拠点内のルール、物流拠点の入口、トラックドックの満空状況、稼働状況は、配達車両が物流拠点に進入する前に案内すべき案内情報300bとして予め設定されている。他の実施形態では、物流拠点の概要、物流拠点内の地図および物流拠点内のルールのうち少なくとも1種類の案内情報300bは、配達車両が物流拠点に進入する前に案内すべき案内情報300bとして設定されていなくてもよい。
【0018】
制御部201は、記録媒体301やROM等に記録された図示しないプログラムを実行可能である。当該プログラムには、上述した物流拠点情報300aおよび案内情報300bを生成するためのプログラムが含まれる。制御部201が当該プログラムを実行する際、物流拠点システム101の管理者から図示しないキーボードやマウス等の入力装置を介して入力された情報を用いて、物流拠点情報300aが生成される。また、案内情報300bのうち、静的情報である物流拠点の概要、物流拠点内の地図および物流拠点内のルールは管理者から入力された情報を用いて生成され、動的情報である物流拠点の入口、トラックドックの満空情報および稼働状況は、自動的に制御部201が取得した情報を用いて生成される。動的情報は、変化するたびに再生成される。
【0019】
物流拠点情報300aおよび案内情報300bが生成されると、物流拠点システム101は、通信部401を介してサーバ100と通信を行い、物流拠点情報300aおよび案内情報300bをサーバ100に対して送信する。サーバ100は、物流拠点情報300aおよび案内情報300bを記録媒体300に記録する。
【0020】
(1-2)サーバの構成:
サーバ100は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部200、記録媒体300、通信部400を備えている。通信部400は、配達支援システム10および物流拠点システム101と情報の授受を行う回路を備えている。制御部200は、通信部400を介して配達支援システム10および物流拠点システム101と通信を行うことができる。
【0021】
また、記録媒体300には、物流拠点情報300aと案内情報300bと地図情報300cとが記録される。すなわち、物流拠点システム101から物流拠点情報300aおよび案内情報300bが送信されると、制御部200は、通信部400を介して物流拠点情報300aおよび案内情報300bを取得し、記録媒体300に記録する。
【0022】
地図情報300cは、ノードデータ,形状補間点データ,リンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置等を示すデータ等を含んでいる。地物を示すデータには、地物の属性(施設の種類等)が含まれている。リンクデータにはリンクデータが示す道路区間毎のコストが対応付けられている。
【0023】
制御部200は、記録媒体300やROMに記憶されたプログラムを制御部200で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして配達支援プログラム210を実行可能である。配達支援プログラム210は、経路探索部210aを備えている。
【0024】
経路探索部210aは、走行予定経路を探索する機能を制御部200に実行させるプログラムモジュールである。具体的には、配達支援システム10を搭載した配達車両から走行予定経路の送信要求をサーバ100が受信した場合に、制御部200は、経路探索部210aとして機能することにより、記録媒体300に記録された地図情報300cを参照し、出発地から目的地まで走行するための経路を探索し、走行予定経路として取得する。配達支援システム10から走行予定経路の送信要求をサーバ100が受信する際には、目的地となる物流拠点と配達車両の現在地とを示す情報を併せて受信する。そして、経路探索部210aとして機能する制御部200は、配達車両の現在地から目的地となる物流拠点までの走行予定経路を取得する。
【0025】
以上のような経路探索は、配達支援システム10が搭載された各々の配達車両について実施される。制御部200は、各々の配達車両に搭載された配達支援システム10に対して、通信部400を介して走行予定経路を送信する(後述する経路情報30d)。また、この際、制御部200は、通信部400を介して、走行予定経路の目的地となった物流拠点に対応する物流拠点情報300aを配達支援システム10に送信する。
【0026】
(1-3)配達支援システムの構成:
本実施形態にかかる配達支援システム10は、走行予定経路に沿って配達車両を誘導するナビゲーション機能と、物流拠点の内部に関する案内を行う機能を含む各種の機能を実行可能な端末である。配達支援システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、通信部15、GNSS受信部16、ジャイロセンサ17、車速センサ18、ユーザI/F部19、記録媒体30、を備えている。
【0027】
通信部15は、他の装置と通信を行う回路を備えている。制御部20は、通信部15を介してサーバ100と通信を行うことが可能である。制御部20は、通信部15を介してサーバ100から物流拠点情報300a、案内情報300b、経路情報30dを取得し、記録媒体30に記録する。また、記録媒体30に、地図情報30cが記録されている。地図情報30cは、上述の地図情報300cと同一の内容の情報であり、経路案内や地図の表示等に利用される。記録媒体30に記録された他の情報(物流拠点情報300a、案内情報300b、経路情報30d)については後述する。
【0028】
ユーザI/F部19は、利用者(配達車両の運転者)の指示を入力し、また利用者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。ユーザI/F部19は制御信号を制御部20から受信し、経路案内などの各種案内を行うための画像をタッチパネルディスプレイに表示する。
【0029】
GNSS受信部16は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置であり、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して配達車両の現在地を算出するための信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して配達車両の現在地を取得する。ジャイロセンサ17は、配達車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、配達車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して配達車両の進行方向を取得する。車速センサ18は、配達車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ17および車速センサ18等は、配達車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、配達車両の出発位置と走行軌跡とに基づいて現在地が特定され、当該出発位置と走行軌跡とに基づいて特定された配達車両の現在地がGNSS受信部16の出力信号に基づいて補正される。
【0030】
制御部20は、走行予定経路に沿って配達車両を誘導するナビゲーション機能と、案内情報300bを案内する機能を実行するため、配達支援プログラム21を実行する。配達支援プログラム21は、現在地取得部21aと、物流拠点位置取得部21bと、案内情報取得部21cと、案内制御部21dと、を備えている。
【0031】
現在地取得部21aは、配達車両の現在地を取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。具体的には、制御部20は、現在地取得部21aの機能により、GNSS受信部16、ジャイロセンサ17および車速センサ18の出力信号と、地図情報30cに基づいて車両の現在地を取得する。
【0032】
物流拠点位置取得部21bは、配達車両の目的地である物流拠点の位置を取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。具体的には、制御部20は、物流拠点位置取得部21bの機能により、ユーザI/F部19の入力部を介して、ユーザーから目的地となる物流拠点の入力を受け付ける。そして、制御部20は、地図情報30cを参照して、入力された目的地となる物流拠点の位置を取得する。また、ユーザーから目的地となる物流拠点の入力が受け付けられた際、制御部20は、通信部15を介して、走行予定経路の送信要求と、配達車両の現在地および目的地を示す情報と、をサーバ100に対して送信する。そして、制御部20は、送信要求を受信したサーバ100から送信される走行予定経路を示す経路情報30dを取得し、記録媒体30に記録する。経路案内を実行する際、制御部20は、経路情報30dを参照して、ユーザI/F部19の表示部に表示した地図上に走行予定経路を強調表示させながらユーザーに経路案内を行う。
【0033】
サーバ100から経路情報30dが送信される際に、走行予定経路の目的地である物流拠点についての物流拠点情報300aも併せて、配達支援システム10に送信される。物流拠点情報300aは、サーバ100から送信され、記録媒体30に記録される情報であり、配達支援システム10が搭載された配達車両が向かう目的地の物流拠点についての物流拠点情報である。
【0034】
案内情報取得部21cは、物流拠点の内部に関する案内情報300bを取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。具体的には、制御部20は、案内情報取得部21cの機能により、経路情報30dと併せてサーバ100から送信された物流拠点情報300aを参照し、物流拠点情報300aに示された案内情報300bの種類のうち、配達車両が物流拠点に進入する前に案内すべき案内情報300bの種類を特定する。1つ以上の案内すべき案内情報300bの種類が存在する場合、制御部20は、通信部15を介して、案内すべき種類の案内情報300bの送信要求をサーバ100に対して送信する。そして、制御部20は、送信要求を受信したサーバ100から送信される案内すべき種類の案内情報300bを取得し、記録媒体30に記録する。なお、案内情報300bを取得したのち、制御部20は、案内情報300bに対応付けられた既定の基準の送信要求をサーバ100に対して送信し、サーバ100から送信される当該既定の基準を取得して記録媒体30に記録する。ここでいう既定の基準とは、現在地から物流拠点までの所要距離について設定される閾値のことである。所要距離とは、現在地から物流拠点までの距離のことである。案内情報300bは、記録媒体30に記録される情報であり、配達支援システム10が搭載された配達車両が向かう目的地の物流拠点の内部に関する案内情報である。
【0035】
案内制御部21dは、配達車両の現在地から物流拠点までの所要距離が既定の基準以下になった場合に、案内部に案内情報を案内させる機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。具体的には、制御部20は、案内制御部21dの機能により、地図情報30cおよび経路情報30dを参照して、走行予定経路上の現在地から目的地となる物流拠点までの所要距離を算出するとともに、取得した案内すべき案内情報300bに対応付けられた既定の基準を参照する。そして、制御部20は、取得した案内すべき案内情報300bのうち、所要距離が既定の基準以下になった案内情報300bが発生したか否か判定する。
【0036】
図2Aは、経路案内中に表示部に表示される画面の例を示す説明図である。図2Aには、配達車両DVと、物流拠点LBと、道路RDと、が示されている。配達車両DVは、配達支援システム10を搭載している。道路RDは、図面上を縦横方向に延びた複数の細線が接続した形状で示されている。道路RDに重ねて図示された矢印は、走行予定経路を示している。走行予定経路上の現在地から目的地となる物流拠点LBまでの所要距離の値は、配達車両DVが物流拠点LBに近付くにつれて小さくなっていく。
【0037】
上述したように、本実施形態では、案内情報300bは、物流拠点の内部に関する複数の種類の情報を含む。そして、案内制御部21dの判定に用いられる既定の基準は、案内情報300bの種類ごとに異なる。このような既定の基準は、案内情報300bごとに対応づけられている。制御部20は、案内情報300bのうち所要距離が既定の基準以下になった案内情報300bが発生したと判定した場合、当該情報を案内部に案内させる。すなわち、図2Aで説明したように、配達車両DVが物流拠点LBに近付くにつれて走行予定経路上の現在地から目的地となる物流拠点までの所要距離の値は小さくなっていくことから、所要距離が既定の基準以下になった案内情報300bが順次発生する。本実施形態では、案内部は、ユーザI/F部19であり、ユーザI/F部19の表示部に表示されることで当該情報は案内される。当該情報が案内される際、表示部に当該情報の概要がポップアップ表示されるとともに音声出力部により当該情報の表示が音声によって報知される。図2Bには、図2Aの状態から案内情報300b(トラックドックの満空情報)がポップアップ表示された状態が示されている。ポップアップ表示中の「空8」とは、空いているトラックドックの数が8であることを示している。ポップアップ表示された案内情報300bは、一定期間経過後、表示部の下端側に当該案内情報300bの名称が付された情報ボタンとして表示され、当該情報ボタンへのタッチ操作に応じて、当該情報が再び表示部の中央に表示される。図2Cには、図2Bの状態から案内情報300b(トラックドックの満空情報)が情報ボタンB1として、情報ボタン表示エリアBAに表示された状態が示されている。図2Dには、図2Cの状態から新たに既定の基準以下になった案内情報300b(稼働状況)が情報ボタンB2として、情報ボタン表示エリアBAに追加された状態が示されている。このように、既定の基準以下になった案内情報300bは、情報ボタンとして情報ボタン表示エリアBAに順次追加されていく。情報ボタン表示エリアBAは、図面左右方向にスクロールすることができ、既定の基準以下になった案内情報300bを示す情報ボタンが並べて示される。なお、案内情報300bのうち稼働状況が情報ボタンとして表示された場合には、稼動情報の文字とともに稼働中もしくは停止中の文字が併記して当該情報ボタンに付される(図4を参照)。案内情報300bのうち物流拠点の入口が情報ボタンとして表示された場合には、物流拠点の入口の文字とともに物流拠点の入口を特定する文字(入口に付された名称等)が併記して当該情報ボタンに付される(図4を参照)。案内情報300bのうち物流拠点の概要、物流拠点内の地図および物流拠点内のルールが情報ボタンとして表示された場合には、物流拠点の概要、物流拠点内の地図および物流拠点内のルールの文字が当該情報ボタンに付される。
【0038】
上述したように、本実施形態では、案内情報300bには、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間に変化し得る動的情報と、走行期間に変化しない静的情報とが含まれる。動的情報は、物流拠点の入口、トラックドックの満空情報および稼働状況である。静的情報は、物流拠点の概要、物流拠点内の地図および物流拠点内のルールである。そして、本実施形態では、動的情報における既定の基準は、静的情報における既定の基準より長い所要距離である。すなわち、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間において、動的情報が案内されるタイミングは、静的情報が案内されるタイミングと比べて早いということである。このため、走行期間の早いタイミングで動的情報が案内されることによって、ユーザーは、物流拠点の内部においてリアルタイムに変化する状況に対して、どのように対応するか選択することができる。例えば、物流拠点に進入する直前にトラックドックの満空情報がユーザーに案内されて、空いているトラックドックの数が0であることを知らされた場合、ユーザーは、物流拠点内の待機場に待機することしか選択できない。一方、走行期間の早いタイミングでトラックドックの満空情報がユーザーに案内されて、空いているトラックドックの数が0であることを物流拠点の進入前にユーザーが知ることができた場合、ユーザーは、そのまま走行を継続して物流拠点に進入して待機場にて待機するか、空いているトラックドックの数が増えるまで物流拠点の外側にあるコンビニエンスストアやサービスエリア等で待機するかを選択することができる。
【0039】
また、本実施形態では、案内情報取得部21cは、動的情報が変化した場合に、変化後の動的情報を再取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールでもある。具体的には、制御部20は、経路情報30dとともに案内情報300bを取得してから、サーバ100に記録された案内情報300bに含まれる動的情報が変化したか否かを示す更新情報の送信要求をサーバ100に定期的に送信する。サーバ100から受信した更新情報に動的情報の変化が示されていた場合、変化した動的情報の送信要求をサーバ100に送信したのち、サーバ100から送信される変化後の動的情報を再取得する。他の実施形態では、制御部20は、更新情報の送信要求を送信するのではなく、動的情報の変化を監視するサーバ100から変化後の動的情報を再取得してもよい。本実施形態では、案内制御部21dは、案内部に変化後の動的情報を案内させる機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールでもある。すなわち、制御部20は、変化後の動的情報を再取得した場合、当該動的情報を再び案内部であるユーザI/F部19に案内させる。再び案内される際の当該動的情報の表示態様は、ポップアップ表示であってもよいし、動的情報の変化前から表示部の端側に情報ボタンとして表示されていた場合には、当該情報ボタンを点滅表示させてもよい。点滅表示している当該情報ボタンへのタッチ操作に応じて、変化後の当該動的情報の詳細が表示部の中央に表示される。そして、一定期間経過後、変化後の当該動的情報は、再び情報ボタンとして情報ボタン表示エリアBAに表示される。
【0040】
以上説明した本実施形態の構成によれば、現在地から物流拠点までの所要距離が既定の基準以下になった場合に、物流拠点内の内部に関する案内情報300bが案内される。したがって、ユーザーは物流拠点に進入する前に当該案内情報の内容を知ることができるため、物流拠点内の作業をユーザーが効率的に行える可能性を高めることができる。
【0041】
また、本実施形態の構成によれば案内情報300bは、物流拠点の内部に関する複数の種類の情報を含むとともに、案内制御部21dの判定に用いられる既定の基準は、案内情報300bの種類ごとに異なる。このため、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間において、案内情報300bごとに案内されるタイミングを任意に設定することができる。例えば、ユーザーの判断を要する情報については、既定の基準となる所要距離の値を大きく設定することによって、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間の早いタイミングで当該情報をユーザーに案内させることができる。それに対して、ユーザーの判断を要さない情報については、既定の基準となる所要距離の値を小さく設定することによって、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間の遅いタイミングで当該情報をユーザーに案内させることができる。
【0042】
また、本実施形態の構成によれば、案内情報取得部21cは動的情報が変化した場合に、変化後の動的情報を再取得するとともに、案内制御部21dは案内部に変化後の動的情報を案内させる。このため、変化により更新された動的情報をユーザーに案内することができる。当該動的情報は、物流拠点の内部に関する最新の情報であることから、ユーザーは、物流拠点の内部に関する最新の情報を知ることができる。
【0043】
(2)案内処理:
次に、図3に示すフローチャートに基づいて、配達支援システム10が実行する案内処理を説明する。案内処理は、ユーザI/F部19の入力部を介してユーザーから目的地となる物流拠点の入力が受け付けられて、サーバ100から経路情報30dを取得したのち、制御部20による経路案内が開始される際に実行される。サーバ100から経路情報30dを取得するために、制御部20は、現在地取得部21aおよび物流拠点位置取得部21bとして機能することによって取得した配達車両の現在地および目的地となる物流拠点の位置を示す情報を、通信部15を介してサーバ100に予め送信している。案内処理は、配達支援システム10を搭載した配達車両が物流拠点に向けて走行を開始してから、当該配達車両が物流拠点内の既定位置(トラックドック)に駐車するまでの間、物流拠点の内部に関する情報をユーザーに案内するための処理である。
【0044】
案内処理が実行されると、制御部20は、物流拠点情報300aを取得する(ステップS110)。具体的には、制御部20は、サーバ100から経路情報30dを取得する際に、併せてサーバ100から送信される物流拠点情報300aを取得する。
【0045】
次に、制御部20は、配達車両が物流拠点に進入する前に案内すべき案内情報300bが存在するか否か判定する(ステップS120)。具体的には、制御部20は、取得した物流拠点情報300aを参照し、物流拠点情報300aに示された案内情報300bの種類のうち、配達車両が物流拠点に進入する前に案内すべき案内情報300bの種類を特定する。そして、1つ以上の案内すべき案内情報300bの種類が存在する場合には、制御部20は、案内すべき案内情報300bが存在すると判定する。案内すべき案内情報300bが存在しないと判定した場合(ステップS120:NO)、制御部20は、案内処理を終了する。
【0046】
案内すべき案内情報300bが存在すると判定した場合(ステップS120:YES)、制御部20は、案内情報取得部21cとして機能することによって、案内すべき案内情報300bを取得する(ステップS130)。具体的には、制御部20は、通信部15を介して、案内すべき種類の案内情報300bの送信要求をサーバ100に対して送信する。そして、制御部20は、送信要求を受信したサーバ100から送信される案内すべき種類の案内情報300bを取得し、記録媒体30に記録する。
【0047】
次に、制御部20は、案内情報取得部21cとして機能することによって、取得した案内情報300bごとに対応付けられた既定の基準を取得する(ステップS140)。具体的には、制御部20は、通信部15を介して、案内すべき種類の案内情報300bに対応付けられた既定の基準の送信要求をサーバ100に対して送信する。そして、制御部20は、送信要求を受信したサーバ100から送信される当該既定の基準を取得し、記録媒体30に記録する。
【0048】
次に、制御部20は、案内制御部21dとして機能することによって、配達車両の現在地から目的地の物流拠点までの所要距離について、既定の基準以下になった案内情報300bが新規に発生したか否か判定する(ステップS150)。具体的には、制御部20は、地図情報30cおよび経路情報30dを参照して、走行予定経路上の現在地から目的地となる物流拠点までの所要距離を算出し、複数の種類の案内情報300bのうち、所要距離が既定の基準以下になった案内情報300bが新規に発生したか否か判定する。ここでいう当該案内情報300bが新規に発生するとは、ステップS130で取得された案内すべき案内情報300bのうち未だ案内部に案内されていない案内情報300bの中から既定の基準以下になった案内情報300bが新たに発生することを意味する。
【0049】
既定の基準以下になった案内情報300bが新規に発生したと判定した場合(ステップS150:YES)、制御部20は、既定の基準以下になった案内情報300bを案内部に案内させる(ステップS160)。具体的には、制御部20は、記録媒体30に記録された案内情報300bを参照し、既定の基準以下になった案内情報300bを案内部であるユーザI/F部19に案内させる。既定の基準以下になった案内情報300bを案内部に案内させたのち(ステップS160)、制御部20は、再びステップS150の処理を実行する。
【0050】
既定の基準以下になった案内情報300bが新規に発生していないと判定した場合(ステップS150:NO)、制御部20は、配達支援システム10を搭載した配達車両が既定位置に駐車したか否か判定する(ステップS170)。本実施形態では、既定位置とは、物流拠点内のトラックドックのことである。地図情報30cにおいて物流拠点内のトラックドックの位置が特定されている場合、制御部20は、GNSS受信部16、ジャイロセンサ17および車速センサ18の出力信号と、地図情報30cと、を参照して、配達車両がトラックドックに駐車したか否かを特定してもよい。地図情報30cにおいて物流拠点内のトラックドックの位置が特定されていない場合、制御部20は、配達車両がトラックドックに駐車されたことを示す信号を物流拠点システム101から通信部15を介して受信することにより、配達車両がトラックドックに駐車したことを特定してもよい。当該信号は、トラックドックを撮影した画像から配達車両を抽出することにより配達車両の駐車を検出するセンサから出力されてもよいし、トラックドック近辺に備えられた近距離間でのみ通信できる通信部から出力されてもよい。また、制御部20は、配達車両が目的地の物流拠点に到着してからギヤがパーキングに入ったことを、配達車両がトラックドックに駐車したこととみなして特定してもよい。
【0051】
配達車両が既定位置に駐車されていないと判定した場合(ステップS170:NO)、制御部20は、再びステップS150の処理を実行する。配達車両が既定位置に駐車されたと判定した場合(ステップS170:YES)、制御部20は、案内処理を終了する。
【0052】
図3にて説明した案内処理のうち、配達車両の現在地から目的地の物流拠点までの所要距離について、既定の基準以下になった案内情報300bが新規に発生する(ステップS150:YES)のは、配達車両が目的地の物流拠点に到着するまでの間である。その間、既定の基準以下になった案内情報300b(動的情報および静的情報のいずれも含む)は、情報ボタンとして情報ボタン表示エリアBAに追加されていく(図2D)。そして、本実施形態では、案内処理を実行中の配達支援システム10を搭載した配達車両が物流拠点内に進入した場合、配達車両が物流拠点に進入する前に案内すべき案内情報300bとして設定された物流拠点内の地図および物流拠点内のルールが表示部の中央に自動的に表示される。これらの情報は、配達車両が物流拠点に進入する前にポップアップ表示されてから、情報ボタンとして情報ボタン表示エリアBAに既に追加されている状態であったが、配達車両が物流拠点内に進入したのちに必要となる情報であることから表示部の中央に自動的に表示されるよう設定されている。
【0053】
図4は、配達車両が物流拠点内に進入してから表示部に表示される画面の例を示す説明図である。表示部の中央から上側の領域にわたって物流拠点内の地図MPが表示され、表示部の中央から下側寄りの位置には物流拠点内のルールRLが表示されている。また、表示部の下端側には、図2Cおよび図2Dと同様に、情報ボタン表示エリアBAが表示されている。情報ボタン表示エリアBAには、既定の基準以下になった案内情報300bを示す情報ボタンB1~B3が並べて示されている。物流拠点内の地図MPには、配達車両DVと、ゲートG1~G4と、道路Rdと、停止位置Sと、集荷倉庫CWと、トラックドックTと、待機場Pと、が示されている。ゲートG1~G4は、物流拠点の出入口であり、通行可能な入口は日によって変動する。図4においては、情報ボタンB3に表示されているように、通行可能な入口の位置は、ゲートG1である。道路Rdは、物流拠点内を周回するための道路であり、破線によって示されている。停止位置Sは、道路Rd上に表示され、一旦停止を指示する標識がなくても車両が停止すべき位置を示している。集荷倉庫CWは、荷物の在庫保管、仕分け、流通加工などが行われる倉庫である。トラックドックTは、配達車両DVが荷物の荷卸や荷積みを行うエリアである。図4においては、情報ボタンB1に表示されているように、空いているトラックドックの数は10である。待機場Pは、空いているトラックドックTがない場合、トラックドックTが空くまで待機するための駐車場である。物流拠点内のルールRLには、配達車両が物流拠点内を走行するにあたり守るべきルールが表示されている。物流拠点内のルールRLには、物流拠点内の走行が許可されたことを示す許可証を配達車両のフロントガラス付近に配置すること、制限速度が20km/h以下であること、構内を周回する道路Rdは右回りであること、停止位置Sでは一旦停止すること、が示されている。ユーザーは、図4に図示した表示を見ながら空いているトラックドックTに向けて配達車両DVを走行させる。そして、配達車両DVが既定位置であるトラックドックTに駐車すると当該表示は終了される。
【0054】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、配達支援システムは、複数の装置(例えば、クライアントとサーバや、ナビゲーション装置内の制御部とユーザーI/F部内の制御部等)によって実現されるシステムであってもよい。配達支援システムは、他のシステム(例えば、ナビゲーションシステム)の一部であってもよい。配達支援システムを構成する現在地取得部21a、物流拠点位置取得部21b、案内情報取得部21c、案内制御部21dの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在してもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。配達支援システムの少なくとも一部が代替可能装置で代替されていてもよい。
【0055】
また、図2および図4に示す案内は一例であり、情報の案内態様が異なっていてもよい。また、既定の基準以下になった案内情報が新規に発生したか否かを判定する際に、上述の実施形態においては、走行予定経路上の現在地から目的地となる物流拠点までの所要距離を比較対象として用いていたが、現在地から目的地までの所要距離は直線距離であってもよい。
【0056】
現在地取得部は、車両の現在地を取得することができればよい。従って、上述のように、自律航法、GNSSを組み合わせて特定される構成以外にも種々の構成が採用可能である。例えば、自律航法、GNSSの組み合わせやこれらのいずれかによって現在地が取得される構成であってもよい。
【0057】
物流拠点位置取得部は、配達車両の目的地である物流拠点の位置を取得することができればよい。例えば、物流拠点位置取得部は、ユーザーから目的地となる物流拠点の入力が受け付けられた際、物流拠点位置の送信要求をサーバに対して送信し、サーバにおいて取得された物流拠点位置を受信することによって、物流拠点位置を取得する構成であってもよい。
【0058】
案内情報取得部は、物流拠点の内部に関する案内情報を取得することができればよい。上述の実施形態では、案内情報が取得されてから当該案内情報に対応付けられた既定の基準が取得されていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、案内情報に対応付けられた既定の基準が取得されてから、案内情報が取得されてもよい。図3を用いて説明すると、案内すべき案内情報300bが存在すると判定したのち(ステップS120:YESに相当)、制御部20は、案内すべき案内情報300bを取得する(ステップS130に相当)ことなく、案内すべき案内情報300bに対応付けられた既定の基準をサーバ100から取得したのち(ステップS140に相当)、配達車両の現在地から目的地の物流拠点までの所要距離について、既定の基準以下になった案内情報300bが新規に発生したか否か判定する(ステップS150)。そして、既定の基準以下になった案内情報300bが新規に発生したと判定した場合(ステップS150:YES)、制御部20は、既定の基準以下になった案内情報300bをサーバ100から取得して(ステップS130に相当)、既定の基準以下になった案内情報300bを案内部に案内させる(ステップS160に相当)ということである。
【0059】
案内制御部は、現在地から物流拠点までの所要距離または所要期間が既定の基準以下になった場合に、案内部に案内情報を案内させることができればよい。上述の実施形態では、物流拠点に進入するまで既定の基準以下になった案内情報が順次発生するごとに当該案内情報を案内していたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、配達車両が物流拠点内に進入してからも、進入前には案内していなかった案内情報が新たに案内されてもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、現在地から物流拠点までの所要距離が既定の基準以下になった場合に、案内部に案内情報を案内させていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、現在地から物流拠点までの所要期間が既定の基準以下になった場合に、案内部に案内情報を案内させてもよい。所要期間とは、現在地から物流拠点まで到達するためにかかる期間のことである。このような形態の場合、当該所要期間は、走行予定経路を構成する各道路区間を移動する際に要する期間を経路全体にわたって累積することで算出される。各道路区間を移動する際に要する期間は、ノード間の距離から求められる道路区間の距離を、当該道路区間を移動する配達車両の平均移動速度で除することによって求められる。また、現在地から物流拠点までの所要距離または所要期間が既定の基準以下になった場合に、案内部に案内情報を案内させてもよい。このような形態の場合、所要距離と所要期間とのうちいずれ一方についての既定の基準が案内情報に対応付けられる。
【0061】
動的情報とは、上述の実施形態で説明したように、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間に変化し得る情報のことである。すなわち、動的情報とは、配達車両が物流拠点に向けて走行を開始してから物流拠点に到着するまでの間に変化する可能性がある情報のことである。例えば、動的情報として、トラックドックの満空情報は、配達車両が物流拠点に向けて走行を開始してから物流拠点に到着するまでの間に、トラックドックに対して他の配達車両の出入りが発生して、空いているトラックドックの数は変化し得る。したがって、このような情報は、動的情報にあたる。一方、静的情報とは、上述の実施形態で説明したように、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間に変化しない情報のことである。すなわち、静的情報とは、配達車両が物流拠点に向けて走行を開始してから物流拠点に到着するまでの間に変化しない情報のことである。例えば、静的情報として、物流拠点内の地図は、拠点内の工事により、道路、集荷倉庫、トラックドックおよび待機場の位置が変化する可能性はあるが、少なくとも配達車両が物流拠点に向けて走行を開始してから物流拠点に到着するまでの間には変化しない。したがって、このような情報は、静的情報にあたる。
【0062】
上述した実施形態では、動的情報における既定の基準は、静的情報における既定の基準より長い所要距離であったが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、動的情報における既定の基準は、静的情報における既定の基準より短い所要距離であってもよい。このような形態の構成においては、配達車両が物流拠点に向けて走行している走行期間において、動的情報が案内されるタイミングは、静的情報が案内されるタイミングと比べて遅いということである。動的情報は、リアルタイムで変化する情報であることから、走行期間の早いタイミングで動的情報が案内されるよりも、走行期間の遅いタイミングで動的情報が案内される方がよいという要望を持つユーザーに対しては、このような形態の構成の方が好ましい。
【0063】
上述した実施形態では、経路探索は、サーバが備える経路探索部により実行されていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、経路探索は、配達支援システムが経路探索部を備えることにより、配達支援システムにおいて実行されてもよい。
【0064】
上述した実施形態では、図3で説明した案内処理は、経路案内が開始される際に実行されていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、図3で説明した案内処理は、経路案内が開始されなくても実行されてよい。すなわち、ユーザI/F部の入力部を介して、ユーザーから目的地となる物流拠点の入力を受け付けたことのみを条件とし、経路案内が開始されていない状態で案内処理が実行されてもよい。このような場合、既定の基準として用いられ得る、現在地から目的地の物流拠点までの所要距離は、現在地から目的地までの直線距離である。また、既定の基準として用いられ得る、現在地から目的地の物流拠点までの所要期間は、当該直線距離が長いほど長い期間となるよう設定される。
【0065】
上述した実施形態では、ユーザI/F部の入力部を介して、ユーザーから目的地となる物流拠点の入力を受け付けられていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、物流拠点の入力は、物流拠点システムの管理者から図示しないキーボードやマウス等の入力装置を介して入力されてもよい。物流拠点の入力は、配達支援システムを搭載した配達車両ごとに指定して行われる。すなわち、配達車両ごとにそれぞれの目的地となる物流拠点が指定されるということである。入力された配達車両ごとの物流拠点は、サーバの記録媒体に記録される。そして、配達支援システムを搭載した配達車両から走行予定経路の送信要求をサーバが受信した場合に、サーバの制御部は、経路探索部として機能することにより、記録媒体に記録された地図情報を参照し、出発地から目的地まで走行するための経路を探索し、走行予定経路として取得する。配達支援システムから走行予定経路の送信要求をサーバが受信する際には、配達車両の現在地を示す情報を併せて受信する。そして、経路探索部として機能するサーバの制御部は、サーバの記録媒体に記録された目的地(配達車両ごとに指定された物流拠点)を用いて、配達車両の現在地から目的地となる物流拠点までの走行予定経路を取得する。走行予定経路を経路情報として受信する配達支援システムは、経路情報30dを参照して、目的地である物流拠点の位置を取得する。
【0066】
さらに、本発明は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシステムで実現される方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0067】
10…配達支援システム、15…通信部、16…GNSS受信部、17…ジャイロセンサ、18…車速センサ、19…ユーザI/F部、20…制御部、21…配達支援プログラム、21a…現在地取得部、21b…物流拠点位置取得部、21c…案内情報取得部、21d…案内制御部、30…記録媒体、30c…地図情報、30d…経路情報、300a…物流拠点情報、300b…案内情報
図1
図2
図3
図4