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特許7512698復号装置、復号方法、及び復号プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】復号装置、復号方法、及び復号プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/00 20060101AFI20240702BHJP
   H04L 25/49 20060101ALI20240702BHJP
   H03M 5/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H04L1/00 B
H04L25/49 H
H03M5/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020104717
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021197689
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴美子
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-029064(JP,A)
【文献】特開昭56-069956(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0089431(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H04L 25/49
H03M 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を前記符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって符号化された前記符号の第1符号列が表す第1文字列を出力する変換手段と、
前記第1符号列が前記符号化規則に違反した場合に、第1事例データベースに前記第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば前記第2文字列を出力する符号列訂正手段と
を備えた復号装置。
【請求項2】
前記区切り符号の種類は、前記区切り符号を除く前記符号の間に配置される符間隔、及び前記文字を表す前記符号の列間に配置される字間隔を含む
請求項1に記載の復号装置。
【請求項3】
前記区切り符号の種類は、語を表す前記文字の列を表す前記符号の列間に配置される語間隔を更に含む
請求項2に記載の復号装置。
【請求項4】
前記第1事例データベースに登録された、前記第1符号列と前記第2文字列を表す第2符号列とは、前記区切り符号の種類を除いて一致する
請求項1乃至3の何れか1項に記載の復号装置。
【請求項5】
前記符号列訂正手段は、前記第1符号列が前記符号化規則に違反し、且つ前記第1事例データベースに前記第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、ユーザによる前記第1符号列に対応する第3文字列の入力を受け付け、前記第1符号列に対応付けられた前記第3文字列を前記第1事例データベースに登録すると共に、前記第3文字列を出力する
請求項1乃至4の何れか1項に記載の復号装置。
【請求項6】
前記第1符号列が前記符号化規則に違反し、且つ前記第1事例データベースに前記第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、第2事例データベースに前記第1符号列に対応付けられた第4文字列が登録されていれば前記第4文字列を出力する文字列訂正手段
を更に備えた請求項1乃至4の何れか1項に記載の復号装置。
【請求項7】
前記文字列訂正手段は、前記第1符号列が前記符号化規則に違反し、且つ前記第1事例データベースに前記第1符号列に対応付けられた文字列が登録されておらず、且つ前記第2事例データベースに前記第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、ユーザによる前記第1符号列に対応する第5文字列の入力を受け付け、前記第1符号列に対応付けられた前記第5文字列を前記第2事例データベースに登録すると共に、前記第5文字列を出力する
請求項6に記載の復号装置。
【請求項8】
前記符号の種類は、短点、及び前記短点と持続時間が異なる長点を含む
請求項1乃至7の何れか1項に記載の復号装置。
【請求項9】
符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を前記符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって入力された前記符号の第1符号列が表す第1文字列を出力し、
前記第1符号列が前記符号化規則に違反した場合に、第1事例データベースに前記第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば前記第2文字列を出力する
復号方法。
【請求項10】
復号装置が備えるコンピュータに、
符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を前記符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって入力された前記符号の第1符号列が表す第1文字列を出力する変換処理と、
前記第1符号列が前記符号化規則に違反した場合に、第1事例データベースに前記第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば前記第2文字列を出力する符号列訂正処理と
を実行させる復号プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字を符号の列で表す所定の符号化規則に従って人手によって符号化された符号列を復号する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
モールス信号は、電波によって送受信されることが多い。
【0003】
受信電波中のモールス信号の存在を判定する技術の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1のモールス信号判定装置は、パルス判定手段と、信号出力手段とを含む。パルス判定手段は、符号化データからなるデジタル信号を導入し、所定時間内に含む2個以上のパルス信号が、予め設定されたパルス幅の範囲内にあるか否かを判定する。信号出力手段は、このパルス判定手段において、パルス信号が予め設定されたパルス幅の範囲内にあると判定されたとき、モールス信号の存在を表す信号を出力する。上記構成の結果、特許文献1のモールス信号判定装置は、受信電波中のモールス信号の存在を判定する。
【0004】
又、電波の受信強度が変化した場合にもモールス信号を安定的に受信する技術の一例が特許文献2に開示されている。特許文献2のモールス信号受信装置は、受信検波手段と、復調手段と、復号手段と、出力手段とを含む。受信検波手段は、無線モールス信号を受信して検波出力を出力する。復調手段は、検波出力を復調出力として復調する。復号手段は、復調出力をモールス信号に復号する。出力手段は、復号信号を出力する。復調手段は、比較手段と、閾値変更手段とを含む。比較手段は、検波出力と閾値との比較結果を復調出力として出力する。閾値変更手段は、検波出力および復調出力に基づいて閾値を変更する。上記構成の結果、特許文献2のモールス信号受信装置は、電波の受信強度が変化した場合にもモールス信号を安定的に受信する。
【0005】
モールス信号は、手打ち(人手による入力)によって生成されることがある。図13は、モールス符号におけるタイミングの一例を示す図である。図13では、文字列“AB”に続く文字“C”について、間隔(符間隔、字間隔、語間隔等の区切り符号の持続時間)がそれぞれ標準(上部)、長め(中部)、短め(下部)である例を示す。図13に示すように、人手による入力では、モールス信号の速度(短点、長点、及び区切り符号の持続時間)に揺らぎが発生する。モールス信号の速度に揺らぎが発生すると、モールス信号の符号(短点、長点、及び区切り符号)の判定が正しく行われないという問題があった。
【0006】
モールス信号の符号判定の精度を向上する技術の一例が特許文献3に開示されている。特許文献3のモールス信号受信装置は、符号判定部と、代表値更新部と、閾値更新部とを含む。符号判定部は、新たな入力符号がモールス信号を構成する何れの種類の符号であるかの符号判定を行うための符号判定閾値に基づいて符号判定を行う。代表値更新部は、所定の種類の符号の長さの代表値である所定種類符号長代表値を更新する。閾値更新部は、代表値更新部によって更新された所定種類符号長代表値に基づいて符号判定閾値を更新する。代表値更新部は、符号判定部によって判定された種類の符号の所定種類符号長代表値を新たな入力符号の長さに基づいて更新する。上記構成の結果、特許文献3のモールス信号受信装置は、モールス信号の符号判定の精度を向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-273755号公報
【文献】特開2006-101335号公報
【文献】特開2006-101434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3のモールス信号受信装置は、所定種類の符号長の判定閾値を更新することによって、モールス信号の符号判定の精度を向上する。しかしながら、特許文献3のモールス信号受信装置では、符号長の判定閾値を更新しても発生したモールス信号の符号判定の誤りに対処することが困難であった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって符号化された符号列を復号する際に、復号の誤りに対する対処を容易にすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様において、復号装置は、符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって符号化された符号の第1符号列が表す第1文字列を出力する変換手段と、第1符号列が符号化規則に違反した場合に、第1事例データベースに第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば第2文字列を出力する符号列訂正手段とを含む。
【0011】
本発明の一態様において、復号方法は、符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって符号化された符号の第1符号列が表す第1文字列を出力し、第1符号列が符号化規則に違反した場合に、第1事例データベースに第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば第2文字列を出力する。
【0012】
本発明の一態様において、復号プログラムは、復号装置が備えるコンピュータに、符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって符号化された符号の第1符号列が表す第1文字列を出力する変換処理と、第1符号列が符号化規則に違反した場合に、第1事例データベースに第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば第2文字列を出力する符号列訂正処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって符号化された符号列を復号する際に、復号の誤りに対する対処が容易であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態における復号装置の構成の一例を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態における復号装置の動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の第1実施形態における符号化規則の一例を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態における復号装置の構成の一例を示す模式図である。
図5】本発明の第2実施形態における復号装置の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の第3実施形態における復号装置の構成の一例を示す模式図である。
図7】本発明の第4実施形態における復号装置の構成の一例を示す模式図である。
図8】本発明の第4実施形態における復号装置の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の第5実施形態における復号装置の構成の一例を示す模式図である。
図10】本発明の第5実施形態における受信装置の動作を示すフローチャートである。
図11】本発明の第5実施形態における復号装置の動作を示すフローチャートである。
図12】本発明の各実施形態における復号装置を実現可能なハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図13】モールス符号におけるタイミングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、すべての図面において、同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の各実施形態の基本である、本発明の第1実施形態について説明する。
【0016】
本実施形態における構成について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態における復号装置100の構成の一例を示す模式図である。
【0018】
復号装置100は、第1符号列を入力して第1符号列が表す第1文字列を出力する。但し、復号装置100は、第1符号列が符号化規則に違反する場合に、訂正後の第1符号列が表す第1文字列を出力する。復号装置100は、変換部120と、符号列訂正部140とを含む。
【0019】
変換部120は、符号化規則110に従って、人手によって入力された符号の第1符号列が表す第1文字列を出力する。
【0020】
符号化規則110は、文字を符号の列で表すための規則である。符号化規則110は、1つの文字を表す1つの符号列を指定する1つ以上の個別の規則を含む。符号化規則110の実装において、各個別の規則は、以下では互いに独立に表現されていることとするが、互いに独立に表現されていなくてもよい。符号化規則110における符号の種類は、互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含む。区切り符号は、例えば、符間隔、字間隔、及び語間隔を含む。区切り符号を除く符号を「エレメント」と称することとする。符間隔は、エレメント間に配置される符号である。字間隔は、文字を表すエレメントの列間に配置される符号である。語間隔は、語を表す文字の列を表すエレメントの列間に配置される符号である。符号化規則110の実装において、区切り符号の配置は、以下では個別の規則の符号列における明示的な配置として表現されていることとするが、上述した例のような一般的な規則であってもよい。
【0021】
符号化規則110によって、ある符号列が何れかの文字を表すとき、即ち、ある符号列が個別の規則における何れかの符号列と一致するとき、その符号列は符号化規則110に従うと称することとする。又、符号化規則110によって、ある符号列が何れの文字をも表さないとき、即ち、ある符号列が個別の規則における何れの符号列とも一致しないとき、その符号列は符号化規則110に違反すると称することとする。
【0022】
以下、説明の便宜上、区切り符号の例として、符間隔を“〇”で、字間隔を“△”で、語間隔を“□”で表すこととする。又、エレメントの例を、“・”及び“-”で表すこととする。
【0023】
符号化規則110が含意する個別の規則は、例えば、文字“E”を表す符号列“・△”を指定する。又、個別の規則は、例えば、文字“A”を表す符号列“・〇-△”を指定する。又、個別の規則は、例えば、文字列“AB”を表す符号列“・〇-△-〇・〇・〇・□”を指定する。以下、区切り符号を特に明示する必要がない場合には、区切り符号を省略することがある。例えば、文字列“AB”を表す符号列の省略表現は“・--・・・”である。
【0024】
符号化規則110は、例えば、モールス符号に関する規則である。この場合、符号は、エレメント及び区切り符号を含む。エレメントは、短点及び長点を含む。短点と長点は、互いに信号の持続時間が異なる。又、区切り符号は、エレメントと信号のレベルが異なる。又、各区切り符号は、互いに信号の持続時間が異なる。
【0025】
符号列訂正部140は、第1符号列が符号化規則110に違反した場合に、共通事例データベース130(第1事例データベースの一例)に第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば第2文字列を出力する。即ち、第2文字列は、共通事例データベース130の検索以前に登録されている文字列である。
【0026】
共通事例データベース130は、第1符号列と、第2文字列を表す第2符号列とが、区切り符号の種類を除いて一致する組(以下、「区切り符号変換事例」と称す)を含んでもよい。又、共通事例データベース130は、第1符号列と、第2文字列を表す符号列とが、区切り符号の種類以外において相違する組(以下、「エレメント変換事例」と称す)を含んでもよい。
【0027】
本実施形態における動作について説明する。
【0028】
図2は、本発明の第1実施形態における復号装置100の動作を示すフローチャートである。
【0029】
先ず、変換部120は、人手によって符号化された符号の第1符号列が符号化規則110に従うか否かを検証する(ステップS100)。
【0030】
第1符号列が符号化規則110に従う場合(ステップS100のYes)、変換部120は、人手によって符号化された符号の第1符号列が表す第1文字列を出力し(ステップS110)、処理を終了する。
【0031】
第1符号列が符号化規則110に従わない場合(ステップS100のNo)、符号列訂正部140は、変換部120から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、符号列訂正部140は、共通事例データベース130に第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されているか否かを検証する(ステップS120)。
【0032】
共通事例データベース130に第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていなければ(ステップS120:No)、符号列訂正部140は、処理を終了する。
【0033】
共通事例データベース130に第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば(ステップS120:Yes)、符号列訂正部140は、第2文字列を出力し(ステップS130)、処理を終了する。
【0034】
本実施形態における動作例について説明する。
【0035】
図3は、本発明の第1実施形態における符号化規則の一例を示す図である。符号化規則110は、例えば、文字テーブルツリーで表現できる。文字テーブルツリーでは、短点「・」の次に出現する可能性があるエレメントは、短点「・」又は長点「-」であり、出現可能性があるエレメント間が矢印で繋がれる(図3の左側)。同様に、長点「-」の次に出現する可能性があるエレメントは、短点「・」又は長点「-」であり、出現可能性があるエレメント間が矢印で繋がれる(図3の右側)。各エレメント列に対応する文字を、各エレメント列の最後尾のエレメントにリンクを付した網掛け文字で示す。文字テーブルツリーでは、符間隔、文字間隔、及び語間隔を省略して表示されていることとする。文字テーブルツリーにおいて、符号列中の短点及び長点を順に辿った際に、文字テーブルツリーを逸脱すると、その符号列は文字テーブルツリーが表す符号化規則に違反することとする。本動作例では、復号装置100は、このような文字テーブルツリーを用いて、復号を行う。
【0036】
復号装置100の変換部120は、第1符号列に含まれる、各区切り符号(例えば、符間隔、字間隔、及び語間隔)及び各エレメント(例えば、短点及び長点)を識別する。ここで、例えば、短点と長点は、互いに信号の持続時間が異なる。又、区切り符号は、エレメントと信号のレベルが異なる。又、各区切り符号は、互いに信号の持続時間が異なる。変換部120は、例えば、第1符号列:「・〇-〇-〇-△」(符間隔“〇”を省略すると、「・---△」)という符号列が入力された場合、文字テーブルツリーを参照して、対応する第1文字列:「J」を出力する。
【0037】
字間隔が短いために、字間隔を符間隔と誤判定することによって、本来複数文字分のエレメント列が、まとめて1文字分のエレメント列と誤判定されることがある。その結果、長いエレメント列は、対応する文字を有さず、復号ができないことがある。
【0038】
例えば、第1符号列:「・〇-〇-〇-〇・〇-〇-〇-△」(符間隔“〇”を省略すると、「・---・---△」)という符号列があった場合、文字テーブルツリーを参照すると、該当する文字がない。本例は、字間隔が短いために、字間隔“△”を符間隔“〇”と誤判定し、複数文字(「JJ」)分のエレメント(「・---△・---△」)が1つに連結されている。このように誤って連結されたエレメントは、何れかの区切りで、複数の文字に分割することによって、復号することができる。そこで、そのような事例(例えば、「・---・---△→JJ」;第1符号列:「・---・---△」、第2文字列:「JJ」)を共通事例データベース130に予め登録しておく。そして、復号装置100の符号列訂正部140は、符号列(例えば、第1符号列:「・---・---△」)を過去の事例にある文字列(例えば、第2文字列:「JJ」)に訂正する。この事例は、区切り符号変換事例である。区切り符号変換事例とは、第1符号列と、第2文字列を表す第2符号列とが、区切り符号の種類を除いて一致する組である。あるいは、共通事例データベース130に登録されている事例は、例えば、「・---・---△→KK」;第1符号列:「・---・---△」、第2文字列:「KK」)であってもよい。この事例は、エレメント変換事例である。エレメント変換事例とは、第1符号列と、第2文字列を表す符号列とが、区切り符号の種類以外において相違する組である。即ち、エレメント変換事例は、区切り符号変換事例を除く、第1符号列と第2文字列の任意の組であってよい(「KK」は任意の第2文字列の一例)。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の復号装置100は、第1符号列が符号化規則110に従わない場合、共通事例データベース130に第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば第2文字列を出力する。即ち、第1符号列が符号化規則110に従わない各場合における出力を、共通事例データベース130に予め登録することができる。従って、本実施形態の復号装置100には、符号の種類として互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含み、且つ文字を符号の列で表す、所定の符号化規則に従って、人手によって符号化された符号列を復号する際に、復号の誤りに対する対処が容易であるという効果がある。
(第2実施形態)
次に、本発明の第1実施形態を基本とする、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態における復号装置は、特に明示しない限り、本発明の第1実施形態における、構成、動作、及び効果を継承することとする。本実施形態における復号装置は、人手によって訂正文字列が入力された際に、訂正文字列をデータベースに登録する。
【0040】
本実施形態における構成について説明する。
【0041】
図4は、本発明の第2実施形態における復号装置101の構成の一例を示す模式図である。
【0042】
復号装置101は、変換部120と、符号列訂正部141とを含む。
【0043】
符号列訂正部141は、第1符号列が符号化規則110に違反している場合、変換部120から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、符号列訂正部141は、共通事例データベース130に第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、第1符号列をユーザに対して表示する。そして、符号列訂正部141は、ユーザによる第1符号列に対応する正解である第3文字列の入力を受け付ける。符号列訂正部141は、ユーザによって入力された第3文字列を第1符号列に対応付けて共通事例データベース130に登録すると共に、第3文字列を出力する。即ち、第3文字列は、ユーザによって入力された、第1符号列に対応する正解である文字列である。
【0044】
本実施形態における動作について説明する。
【0045】
図5は、本発明の第2実施形態における復号装置101の動作を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS100乃至S130における処理は、第1実施形態と同じである。
【0047】
共通事例データベース130に第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていなければ(ステップS120:No)、符号列訂正部141は、ユーザによる第1符号列に対応付けられた第3文字列の(例えば、所定の時間内における)入力を受け付ける(ステップS140)。
【0048】
第3文字列がユーザによって入力されれば(ステップS140:Yes)、符号列訂正部141は、第3文字列を第1符号列に対応付けて共通事例データベース130に登録すると共に、第3文字列を出力し(ステップS150)、処理を終了する。
【0049】
第3文字列がユーザによって入力されなければ(ステップS140:No)、符号列訂正部141は、処理を終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の復号装置101は、共通事例データベース130に適切な訂正事例がなかった際(ステップS120:No)、訂正事例の入力を待ち、入力された訂正事例を共通事例データベース130に登録する(ステップS140及びS150)。従って、本実施形態の復号装置101には、復号の誤りに対する対処が更に容易であるという効果がある。
(第3実施形態)
次に、本発明の第1実施形態を基本とする、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態における復号装置は、特に明示しない限り、本発明の第1実施形態における、構成、動作、及び効果を継承することとする。本実施形態における復号装置は、人手によって訂正文字列が入力された際に、訂正文字列をデータベースに登録する。更に、本実施形態におけるデータベースは、区切り符号変換事例のみを含む。
【0051】
本実施形態における構成について説明する。
【0052】
図6は、本発明の第3実施形態における復号装置102の構成の一例を示す模式図である。
【0053】
復号装置102は、変換部120と、符号列訂正部142とを含む。
【0054】
符号列訂正部142は、第1符号列が符号化規則110に違反している場合、変換部120から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、符号列訂正部142は、区切り符号変換事例データベース132(第1事例データベースの一例)に第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、第1符号列をユーザに対して表示する。ここで、符号列訂正部142は、第1符号列に対応する正解である文字列の候補をユーザに対して表示する。ここで、第1符号列における区切り符号の種類を置き換えた符号列が表す文字列のパターンに基づいて、もっともらしい候補が提示される。そして、符号列訂正部142は、ユーザによる第1符号列に対応する正解である第3文字列の入力を受け付ける。符号列訂正部142は、ユーザによって入力された第3文字列を区切り符号変換事例データベース132に登録すると共に、第3文字列を出力する。即ち、第3文字列は、ユーザによって入力された、第1符号列に対応する正解である文字列である。
【0055】
本実施形態における動作は、本発明の第2実施形態における動作と同様である。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の復号装置102は、区切り符号変換事例データベース132に適切な訂正事例がなかった際(ステップS120:No)、訂正事例の入力を待ち、入力された訂正事例を区切り符号変換事例データベース132に登録する(ステップS140及びS150)。
【0057】
ここで、本発明の第2実施形態におけるデータベースには、第1符号列と、それに対応する任意の第2文字列との組を登録可能であった。そのため、本発明の第2実施形態では、ユーザは、復号装置による候補の提示なしに、第1符号列に含まれる区切り符号のパターン毎に任意の第2文字列を登録するので、ユーザがデータベースに事例を登録するための手間が大きいという問題があった。
【0058】
一方、本実施形態における区切り符号変換事例データベース132は、区切り符号変換事例のみを含む。そのため、符号列訂正部142は、第1符号列に対応する正解である文字列の候補をユーザに対して表示することができる。即ち、第1符号列における区切り符号の種類を置き換えた符号列が表す文字列のパターンに基づいて、もっともらしい候補が提示される。従って、本実施形態の復号装置102には、復号の誤りに対する対処が、本発明の第2実施形態に比べて、更に容易であるという効果がある。
(第4実施形態)
次に、本発明の第2実施形態及び第3実施形態を基本とする、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態における復号装置は、特に明示しない限り、本発明の第2実施形態及び第3実施形態における、構成、動作、及び効果を継承することとする。本実施形態における復号装置は、本発明の第2実施形態及び第3実施形態を組み合わせたもので、区切り符号変換事例と、エレメント変換事例とを、それぞれ独立したデータベースに登録する。
【0059】
本実施形態における構成について説明する。
【0060】
図7は、本発明の第1実施形態における復号装置103の構成の一例を示す模式図である。
【0061】
復号装置103は、変換部120と、符号列訂正部142と、文字列訂正部160とを含む。
【0062】
符号列訂正部142は、第1符号列が符号化規則110に違反している場合、変換部120から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、符号列訂正部142は、区切り符号変換事例データベース132に第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、第1符号列をユーザに対して表示する。ここで、符号列訂正部142は、第1符号列に対応する正解である文字列の候補をユーザに対して表示する。ここで、第1符号列における区切り符号の種類を置き換えた符号列が表す文字列のパターンに基づいて、もっともらしい候補が提示される。そして、符号列訂正部142は、ユーザによる第1符号列に対応する正解である第3文字列の入力を受け付ける。符号列訂正部142は、ユーザによって入力された第3文字列を区切り符号変換事例データベース132に登録すると共に、第3文字列を出力する。即ち、第3文字列は、ユーザによって入力された、第1符号列に対応する正解である文字列である。
【0063】
文字列訂正部160は、第1符号列が符号化規則110に違反し、且つ区切り符号変換事例データベース132に第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合、符号列訂正部142から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、文字列訂正部160は、エレメント変換事例データベース153(第2事例データベースの一例)に第1符号列に対応付けられた第4文字列が登録されている場合に、第4文字列を出力する。即ち、第4文字列は、エレメント変換事例データベース153の検索以前に登録されている文字列である。
【0064】
文字列訂正部160は、第1符号列が符号化規則110に違反し、且つ区切り符号変換事例データベース132及びエレメント変換事例データベース153に第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、符号列訂正部142から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、文字列訂正部160は、第1符号列をユーザに対して表示する。ここで、文字列訂正部160は、第1符号列に対応する正解である文字列の候補をユーザに対して表示してもよい。ここで、第1符号列が表す文字列が従うべき文法規則に基づいて、もっともらしい候補が提示されてもよい。ここで、文法規則は、例えば、QSO定型文、Q符号、CW略語等に関する規則であり、提示される候補はこれらの規則における単語等である。そして、文字列訂正部160は、ユーザによる第1符号列に対応する正解である第5文字列の入力を受け付ける。文字列訂正部160は、ユーザによって入力された第5文字列をエレメント変換事例データベース153に登録すると共に、第5文字列を出力する。即ち、第5文字列は、ユーザによって入力された、第1符号列に対応する正解である文字列である。
【0065】
区切り符号変換事例データベース132は、区切り符号変換事例のみを含むこととする。又、エレメント変換事例データベース153は、エレメント変換事例のみを含むこととする。
【0066】
本実施形態における動作について説明する。
【0067】
図8は、本発明の第4実施形態における復号装置103の動作を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS100乃至S130における処理は、第1実施形態と同じである。
【0069】
区切り符号変換事例データベース132に第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていなければ(ステップS120:No)、符号列訂正部142は、ユーザによる第1符号列に対応付けられた第3文字列の(例えば、所定の時間内における)入力を受け付ける(ステップS140)。
【0070】
第3文字列がユーザによって入力されれば(ステップS140:Yes)、符号列訂正部142は、第3文字列を区切り符号変換事例データベース132に登録すると共に、第3文字列を出力し(ステップS150)、処理を終了する。
【0071】
第3文字列がユーザによって入力されなければ(ステップS140:No)、文字列訂正部160は、エレメント変換事例データベース153に第1符号列に対応付けられた第4文字列が登録されているか否かを検証する(ステップS160)。
【0072】
エレメント変換事例データベース153に第1符号列に対応付けられた第4文字列が登録されていれば(ステップS160:Yes)、文字列訂正部160は、第4文字列を出力し(ステップS170)、処理を終了する。
【0073】
エレメント変換事例データベース153に第4文字列が登録されていなければ(ステップS160:No)、文字列訂正部160は、ユーザによる第1符号列に対応付けられた第5文字列の(例えば、所定の時間内における)入力を受け付ける(ステップS180)。
【0074】
第5文字列がユーザによって入力されれば(ステップS180:Yes)、文字列訂正部160は、第5文字列をエレメント変換事例データベース153に登録すると共に、第5文字列を出力し(ステップS190)、処理を終了する。
【0075】
第5文字列がユーザによって入力されなければ(ステップS180:No)、文字列訂正部160は、処理を終了する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態の復号装置103は、符号列訂正が失敗した際(ステップS120:No及びS140:No)、文字列訂正を行う(ステップS160乃至S170)。従って、本実施形態の復号装置103には、復号の誤りに対する対処が更に容易であるという効果がある。
【0077】
又、本実施形態の復号装置103は、区切り符号変換事例データベース132又はエレメント変換事例データベース153に適切な訂正事例がなかった際(ステップS120:No及びS160:No)、訂正事例の入力を待ち、入力された訂正事例を区切り符号変換事例データベース132又はエレメント変換事例データベース153に登録する(ステップS140及びS150、並びに、S180及びS190)。
【0078】
ここで、本実施形態では、区切り符号変換事例データベース132は、区切り符号変換事例のみを含む。又、エレメント変換事例データベース153は、エレメント変換事例のみを含む。即ち、復号装置103は、区切り記号に関する誤りに特化した事例とそれ以外の事例とを別々のデータベースに分散して登録できる。従って、本実施形態の復号装置103は、データベースの負荷を分散できるという効果を有する。
(第5実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を基本とする、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態における復号装置は、特に明示しない限り、本発明の第4実施形態における、構成、動作、及び効果を継承することとする。本実施形態における復号化規則は、英文モールス符号である。又、本実施形態では、復号装置の構成及び動作の詳細を説明する。
【0079】
本実施形態における構成について説明する。
【0080】
図9は、本発明の第5実施形態における復号装置105の構成の一例を示す模式図である。
【0081】
受信装置300は、復号装置105と、復調装置200とを含む。
【0082】
復号装置105は、第1符号列を入力して第1符号列が表す第1文字列を出力するが、第1符号列が符号化規則に違反する場合に、訂正後の第1符号列が表す第1文字列を出力する。復号装置105は、変換部125と、符号列訂正部145とを含む。
【0083】
変換部125は、符号化規則115に従って、人手によって入力された符号の第1符号列が表す第1文字列を出力する。
【0084】
符号化規則115は、文字を符号の列で表すための規則である。符号化規則115は、1つの文字を表す1つの符号列を指定する1つ以上の個別の規則を含意する。符号化規則115における符号の種類は、互いに持続時間が異なる複数の区切り符号を含む。区切り符号は、符間隔、字間隔、及び語間隔を含む。区切り符号を除く符号を「エレメント」と称することとする。符間隔は、エレメント間に配置される符号である。字間隔は、文字を表すエレメントの列間に配置される符号である。語間隔は、語を表す文字の列を表すエレメントの列間に配置される符号である。
【0085】
符号化規則115は、モールス符号に関する規則である。符号は、エレメント及び区切り符号を含む。エレメントは、短点及び長点を含む。短点と長点は、互いに信号の持続時間が異なる、又、区切り符号は、エレメントと信号のレベルが異なる。又、各区切り符号は、互いに信号の持続時間が異なる。
【0086】
符号列訂正部145は、第1符号列が符号化規則115に違反した場合に、変換部125から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、符号列訂正部145は、区切り符号変換事例データベース135(第1事例データベースの一例)に第1符号列に対応付けられた第2文字列が登録されていれば第2文字列を出力する。
【0087】
区切り符号変換事例データベース135は、区切り符号変換事例を含むこととする。
【0088】
符号列訂正部145は、第1符号列が符号化規則115に違反し、且つ区切り符号変換事例データベース135に第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、第1符号列をユーザに対して表示する。ここで、符号列訂正部145は、第1符号列に対応する正解である文字列の候補をユーザに対して表示してもよい。ここで、第1符号列における区切り符号の種類を置き換えた符号列が表す文字列のパターンに基づいて、もっともらしい候補が提示されてもよい。そして、符号列訂正部145は、ユーザによる第1符号列に対応する正解である第3文字列の入力を受け付ける。符号列訂正部145は、ユーザによって入力された第3文字列を区切り符号変換事例データベース135に登録すると共に、第3文字列を出力する。
【0089】
文字列訂正部165は、第1符号列が符号化規則115に違反し、且つ区切り符号変換事例データベース135に第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合、符号列訂正部145から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、文字列訂正部165は、エレメント変換事例データベース155(第2事例データベースの一例)に第1符号列に対応付けられた第4文字列が登録されている場合に、第4文字列を出力する。
【0090】
文字列訂正部165は、第1符号列が符号化規則115に違反し、且つ区切り符号変換事例データベース135及びエレメント変換事例データベース155に第1符号列に対応付けられた文字列が登録されていない場合に、符号列訂正部145から第1符号列を渡されて処理を引き継ぐ。そして、文字列訂正部165は、第1符号列をユーザに対して表示する。ここで、文字列訂正部165は、第1符号列に対応する正解である文字列の候補をユーザに対して表示してもよい。ここで、第1符号列が表す文字列が従うべき文法規則(例えば、QSO定型文、Q符号、CW略語等に関する規則)に基づいて、もっともらしい候補が提示されてもよい。そして、文字列訂正部165は、ユーザによる第1符号列に対応する正解である第5文字列の入力を受け付ける。文字列訂正部165は、ユーザによって入力された第5文字列をエレメント変換事例データベース155に登録すると共に、第5文字列を出力する。
【0091】
エレメント変換事例データベース155は、エレメント変換事例を含むこととする。
【0092】
本実施形態における動作について説明する。
【0093】
図10は、本発明の第5実施形態における受信装置300の動作を示すフローチャートである。
【0094】
ステップS201:受信装置300は、変調信号を入力する。
【0095】
ステップS202:復調装置200は、変調信号を復調する(信号レベル及び継続時間に基づいて、エレメント(短点又は長点)及び区切り符号(符間隔、字間隔、又は語間隔)を抽出する)。
【0096】
ステップS203:復調装置200は、符号(エレメント及び区切り符号)を判定する。
ステップS204:復号装置105は、文字テーブルツリーを用いて、符号列を文字列に復号する。
【0097】
図11は、本発明の第5実施形態における復号装置105の動作を示すフローチャートである。即ち、図11は、図10におけるステップS204の詳細を示す。
【0098】
ステップS301:符号列(エレメント及び区切り符号の列)に該当する文字が文字テーブルツリーにあるか判定する。
【0099】
ステップS302:該当する文字がある場合、その文字へ変換して、処理を終了する。
【0100】
ステップS502:該当する文字がない場合、区切り符号変換事例データベース135において過去事例の有無を検索する。
【0101】
ステップS503:過去事例がない場合、ユーザに符号列を提示して分析させ、ユーザによる、訂正後の符号列に応じた文字列の入力を受け付け、
ステップS505:訂正後の符号列に応じた文字列を、区切り符号変換事例データベース135に登録すると共に、出力して、処理を終了する。
【0102】
ステップS504:過去事例がある場合、過去事例に登録された訂正後の符号列に応じた文字列を出力し、処理を終了する。
【0103】
ステップS602:ステップS503において、ユーザによる訂正後の符号列に応じた文字列の入力がなかった場合、エレメント変換事例データベース155において過去事例の有無を検索する。
【0104】
ステップS603:過去事例がない場合、ユーザに符号列を提示して分析させ、ユーザによる、訂正後の符号列に応じた文字列の入力を受け付け、
ステップS605:訂正後の符号列に応じた文字列を、エレメント変換事例データベース155に登録すると共に、出力して、処理を終了する。
【0105】
ステップS604:過去事例がある場合、過去事例に登録された訂正後の符号列に応じた文字列を出力し、処理を終了する。
【0106】
本実施形態における動作例について説明する。
(ケース1)
字間隔が短いために、字間隔を符間隔と誤判定することによって、本来複数文字分のエレメント列が、まとめて1文字分のエレメント列と誤判定されることがある。その結果、長いエレメント列は、対応する文字を有さず、復号ができないことがある。
【0107】
例えば、「・---・---△」という符号列があった場合、文字テーブルツリーを参照すると、該当する文字がない。ここで、本動作例における符号列や事例に表記方法は、第1実施形態の動作例における表記方法と同じである。本例は、字間隔が短いために、字間隔を符間隔と誤判定し、複数文字分のエレメントが1つに連結されている。ここで、短点又は長点間には符間隔が存在するが、表示が省略されていることとする。このように誤って連結されたエレメントは、何れかの区切りで、複数の文字に分割することによって、復号することができる。そこで、そのような事例(例えば、「・---・---△→JJ」)を区切り符号変換事例データベース135に登録しておく(“→”は第1符号列が第2文字列に変換される事例を示す)。そして、復号装置105は、符号列を過去の事例にある文字列(例えば、「JJ」)に訂正する。復号装置105は、同一の事例を複数回登録可能であって、過去の事例(例えば、「・---・---△→JJ」×5件(登録回数が5回)、「・---・---△→AMJ」×1件(登録回数が1回))と比較して、登録回数が多い文字列(例えば、「JJ」)に訂正してもよい。ここで、「・---・---△→AMJ」は、第2文字列「AMJ」を表す第2符号列が「・-△--△・---△」であり、第1符号列「・---・---△」の符間隔の一部が字間隔に置き換わったもの(区切り符号変換事例)である。この場合、事例が複数回入力された場合には、事例は区切り符号変換事例データベース135に複数回登録される。
(ケース2)
字間隔と語間隔は、ほぼ同じ程度の長さとなる傾向があり、誤識別されることが多い。その結果、復号結果において区切り符号(字間隔又は語間隔)が正しい位置に入らないことがある。
【0108】
例えば、字間隔が長く、語間隔と誤判定される傾向がある場合、「CQ CQ CQ」という文字列を表す符号列が、「CQ C Q C Q」に復号されることがある。以下では、語間隔が復号された結果を、復号後の文字列にける空白で表示することとする。そこで、「CQ C Q C Q」を「CQ CQ CQ」に補正する事例(例えば、「-・-・△--・△-・-・□--・□-・-・□--・□→CQ CQ CQ」)を区切り符号変換事例データベース135に登録しておく。そして、復号装置105は、符号列を過去の事例にある文字列(例えば、「CQ CQ CQ」)に訂正する。復号装置105は、過去の事例と比較して、事例数が多い文字列に訂正してもよい。この場合、新規事例が入力された場合には、新規事例は区切り符号変換事例データベース135に追加登録される。
(ケース3)
モールス通信には文法規則(QSO定型文、Q符号、CW略語等に関する規則)があるが、間隔の誤識別、又は受信状態が良好でない等の理由によって、正しく復号されないことがある。
【0109】
例えば、文字列「CQ CQ CQ DE コールサイン」に続いて、文字列「PSE K」が打電されることがある。この際、「PSE K」という定型文が「PI K」と誤って復号された場合、正しい文法規則に従った文字列「PSE K」に訂正する。そこで、「PI K」を「PSE K」に補正する事例(例えば、「・--・△・・□-・-□→PSE K」)をエレメント変換事例データベース155に登録しておく。そして、復号装置105は、符号列を過去の事例にある文字列(例えば、「PSE K」)に訂正する。復号装置105は、過去の事例と比較して、事例数が多い文字列に訂正してもよい。この場合、新規事例が入力された場合には、新規事例はエレメント変換事例データベース155に追加登録される。
【0110】
以上説明したように、本実施形態では、区切り符号変換事例データベース135は、区切り符号変換事例のみを含む。又、エレメント変換事例データベース155は、エレメント変換事例のみを含む。従って、本実施形態における復号装置105は、第1符号列が符号化規則に違反する場合に、区切り記号に関する誤りに特化した事例とそれ以外の事例とを別々のデータベースに分別して登録できるという効果を有する。
【0111】
図12は、本発明の各実施形態における復号装置を実現可能なハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0112】
復号装置901は、記憶装置902と、CPU(Central Processing Unit)903と、キーボード904と、モニタ905と、I/O(Input/Output)装置908とを備え、これらが内部バス906によって接続されている。記憶装置902は、変換部120、符号列訂正部140、141、142、又は文字列訂正部160(以下、「変換部等」と称す)のCPU903の動作プログラムを格納する。CPU903は、復号装置901の全体を制御し、記憶装置902に格納された動作プログラムを実行し、I/O装置908によって変換部等のプログラムの実行やデータの送受信を行なう。尚、上記の復号装置901の内部構成は一例である。復号装置901は、必要に応じて、キーボード904、モニタ905を接続する装置構成であってもよい。
【0113】
上述した本発明の各実施形態における復号装置901は、専用の装置によって実現してもよいが、I/O装置908が外部との通信を実行するハードウェアの動作以外は、コンピュータ(情報処理装置)によっても実現可能である。この場合、係るコンピュータは、記憶装置902に格納されたソフトウェア・プログラムをCPU903に読み出し、読み出したソフトウェア・プログラムをCPU903において実行する。上述した各実施形態の場合、係るソフトウェア・プログラムには、上述したところの、図1、3、及び5に示した、変換部等の各部の機能を実現可能な記述がなされていればよい。但し、これらの各部には、適宜ハードウェアを含むことも想定される。そして、このような場合、係るソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム)は、本発明を構成すると捉えることができる。更に、係るソフトウェア・プログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体も、本発明を構成すると捉えることができる。
【0114】
以上、本発明を、上述した各実施形態およびその変形例によって例示的に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態およびその変形例に記載した範囲に限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更又は改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更又は改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、人手によって符号化され、電気通信回線、光通信回線、電波、回光通信機、又は手旗信号等を介して伝送された、各国向けのモールス符号又は類似の符号を受信等する用途において利用できる。
【符号の説明】
【0116】
100、101、102、103、105 復号装置
110、115 符号化規則
120、125 変換部
130 共通事例データベース
132、135 区切り符号変換事例データベース
140、141、142、145 符号列訂正部
153、155 エレメント変換事例データベース
160、165 文字列訂正部
200 復調装置
300 受信装置
901 復号装置
902 記憶装置
903 CPU
904 キーボード
905 モニタ
906 内部バス
908 I/O装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13