(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】印刷システム及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20240702BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240702BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G06T7/60 200K
G06T1/00 310Z
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2020105535
(22)【出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100187539
【氏名又は名称】藍原 由和
(72)【発明者】
【氏名】鹿川 祐一
【審査官】真木 健彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-198413(JP,A)
【文献】特開2009-233967(JP,A)
【文献】特開2017-064979(JP,A)
【文献】藤原 久永,Wavelet Shrinkageを用いたテクスチャ情報の選択的除去と繊維表面欠陥検査への応用,電気学会論文誌C,日本,(社)電気学会,2001年05月01日,Vol.121-C No.5,P.862-869
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/60
G06T 1/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整パターンが形成された印刷媒体を撮影する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された撮像画像に対する画像処理を行う処理部と、
を含み、
前記処理部は、
前記撮像画像から、前記印刷媒体のテクスチャーを除去又は低減する処理を行い、除去又は低減後の前記撮像画像に基づいて、前記調整パターンを検出する処理を行
い、
前記調整パターンに基づいて、印刷制御に用いられる補正パラメーターを求め、
前記調整パターンに基づく前記補正パラメーターの演算が失敗したと判定した場合に、前記調整パターンを変更する処理を行うことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記処理部は、
除去又は低減後の前記撮像画像の所定方向について、前記撮像画像の画像データを構成する画素位置に応じた輝度を表す情報を取得することを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項
1において、
前記補正パラメーターは、
キャリッジの往路と復路におけるインク着弾位置を調整するパラメーター、紙送り量を調整するパラメーター又は複数のインク色ごとの前記インク着弾位置を調整するパラメーターであることを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか一項において、
前記テクスチャーは、
前記印刷媒体の材質の表面が有する周期的なパターンであることを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項1乃至
3のいずれか一項において、
前記調整パターンは、
罫線パターンを含むことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項1乃至
4のいずれか一項において、
前記処理部は、
前記撮像画像に対するフーリエ変換を行うことによって、前記撮像画像に含まれる空間周波数成分を求め、前記空間周波数成分のうち、前記テクスチャーに対応する前記空間周波数成分をカットすることによって、前記撮像画像から前記テクスチャーを除去又は低減することを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項
6において、
前記処理部は、
前記テクスチャーに対応する前記空間周波数成分をカットした情報に対して、逆フーリエ変換を行うことによって、前記調整パターンの、画素位置に応じた輝度を表す情報を取得することを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項
6又は7において、
前記テクスチャー及び前記調整パターンは、周期的なパターンであり、
前記調整パターン
の空間周波数である第1空間周波数f1は、前記テクスチャーの空間周波数を第2空間周波数f2とした場合に、f1<f2となるように設定されることを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項
8において、
前記処理部は、
前記第1空間周波数f1が通過周波数帯域に含まれ、前記第2空間周波数f2が遮断周波数帯域に含まれるフィルター処理を行うことを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれか一項において、
複数のノズルをから構成されるノズル列を複数有する印刷ヘッドと、
前記撮像装置及び前記印刷ヘッドを搭載するキャリッジと、
をさらに含むことを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
調整パターンが形成された印刷媒体を撮影する撮像装置からの撮像画像を取得し、
前記撮像画像から、前記印刷媒体のテクスチャーを除去又は低減する処理を行い、
除去又は低減後の前記撮像画像に基づいて、前記調整パターンを検出する処理を行
い、
前記調整パターンに基づいて、印刷制御に用いられる補正パラメーターを求め、
前記調整パターンに基づく前記補正パラメーターの演算が失敗したと判定した場合に、前記調整パターンを変更する処理を行う、
ことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び画像処理方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置において、ノズルの吐出特性のばらつき等の要因によりインクの着弾位置がずれる異常が生じることがある。インクの着弾位置がずれたままの状態で印刷を行うと、印刷品質が低下するおそれがある。特許文献1には、罫線パターン等を含む調整パターンを読み取り、読み取った情報をもとに印刷位置ずれを補正する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インクの着弾の対象である印刷媒体は、テクスチャーを含む場合が有る。テクスチャーを含む印刷媒体に調整パターンを印刷した場合、当該テクスチャーの影響により、印刷した調整パターンが正確に読み取れない問題が生じる。特許文献1には、このような問題を考慮して調整パターンを読み取る手法までは開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、調整パターンが形成された印刷媒体を撮影する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された撮像画像に対する画像処理を行う処理部と、を含み、前記処理部は、前記撮像画像から、前記印刷媒体のテクスチャーを除去又は低減する処理を行い、除去又は低減後の前記撮像画像に基づいて、前記調整パターンを検出する処理を行うことを特徴とする印刷システムに関係する。
【0006】
また、本開示の一態様は、調整パターンが形成された印刷媒体を撮影する撮像装置からの撮像画像を取得し、前記撮像画像から、前記印刷媒体のテクスチャーを除去又は低減する処理を行い、除去又は低減後の前記撮像画像に基づいて、前記調整パターンを検出する処理を行う、ことを特徴とする画像処理方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】撮像装置の構成例を説明する、模式的な断面図。
【
図3】印刷媒体に印刷した調整パターンと撮像領域について説明する図。
【
図4】撮像領域の位置-輝度グラフについて説明する図。
【
図5】印刷媒体のテクスチャーについて説明する図。
【
図6】印刷媒体に印刷した調整パターンと撮像領域について説明する図。
【
図7】撮像領域の位置-輝度グラフについて説明する図。
【
図8】位置-輝度グラフの図形とその重心に関する例について説明する図。
【
図9】位置-輝度グラフの図形とその重心に関する別の例について説明する図。
【
図10】印刷調整処理の処理例について説明するフローチャート。
【
図11】フーリエ変換後の位置-輝度グラフについて説明する図。
【
図12】フーリエ変換後の位置-輝度グラフにフィルター処理を実行していることを説明する図。
【
図13】補正パラメーター演算処理の処理例について説明するフローチャート。
【
図14】印刷媒体に印刷した調整パターンについて説明する図。
【
図15】調整パターンから補正パラメーターを求める方法の例を説明する図。
【
図16】調整パターンの別の例について説明する図。
【
図17】調整パターンの別の例について説明する図。
【
図18】印刷調整処理の別の処理例について説明するフローチャート。
【
図19】印刷システムの別の構成例を示すブロック図。
【
図20】印刷調整処理の別の処理例について説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.本実施形態の手法
図1は、本実施形態における印刷システム1の構成例を示すブロック図である。本実施形態の印刷システム1は、撮像装置100と処理部200を含む。なお、印刷システム1は、
図1に示すように、印刷装置300をさらに含んでもよい。また、
図1に示す印刷装置300はキャリッジ320と搬送部360と記憶部380を含み、キャリッジ320は印刷ヘッド340を含む。印刷装置300は、
図2等に示す印刷媒体Wを搬送部360によって所定の搬送方向に搬送させながら、キャリッジ320を当該搬送方向と直交する方向に走査させるように動作する。そして、キャリッジ320に含まれる印刷ヘッド340からインクを吐出し、印刷媒体Wにインクを着弾させることにより、印刷媒体Wに画像が印刷される。印刷される画像データは、記憶部380に予め記憶されている。なお、以下の説明において、キャリッジ320が走査する方向をX方向とし、+X方向を往路と呼ぶことができ、-X方向を復路と呼ぶことができる。また、印刷媒体Wが動く方向をY方向とし、印刷媒体Wは+Yの方向に搬送されるものとする。なお、印刷ヘッド340はインクの色等に応じて複数有ってもよい。
【0010】
印刷装置300は、例えば、印刷カテゴリーに応じて変形実施が可能である。印刷カテゴリーとは例えば、捺染、サイン、ラベル等である。例えば、印刷カテゴリーが捺染の場合、印刷装置300は、さらに印刷後のインクを乾燥させる乾燥部を含んでもよい。また、搬送部360の構成は、例えば、印刷カテゴリーが捺染の場合、図示は省略するが、繰り出し部、搬送ローラー、テンションローラー、巻き取り部等をさらに含んでもよい。
【0011】
本実施形態の撮像装置100は、調整パターンPTが形成された印刷媒体Wを撮影する。撮像装置100は、例えば、カメラにより実現できるが、スキャナー等により実現してもよく、これらを組み合わせて実現してもよい。調整パターンPTとは、印刷精度を向上させるために、印刷物の製造前に予め印刷するパターン画像であり、詳細は後述する。印刷精度とは、例えば、印刷ヘッド340から吐出されるインク滴の着弾位置が、設計上の着弾位置に対して正確であるかどうかを示す度合い等であるが、他の度合いを含んでもよい。なお、以降の説明において、印刷媒体Wの符号をW1、W2と区別して記載する場合と、単に符号をWとして記載する場合がある。また、調整パターンの符号を、PT1、PT2、PT3、PT4、PT5と区別して記載する場合と、単に符号をPTとして記載する場合がある。
【0012】
図2は、撮像装置100の構成例を説明する、模式的な断面図である。撮像装置100は、筐体102と、光源106である光源106A,106Bと、撮像レンズ108と、撮像素子110を含む。筐体102は、開口部104によって開口されている。撮像素子110は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等を用いたエリアセンサーにより実現できる。このような撮像装置100は、光源106A,106Bによる照明光を印刷媒体Wに照射し、印刷媒体Wで反射された光を、撮像レンズ108を介して撮像素子110に入射させる。撮像素子110は、入射した当該光を画像データ信号に変換し、当該画像データ信号は、処理部200に出力される。
【0013】
また、撮像装置100は、
図1のように印刷装置300に含まれないように実現してもよいし、印刷装置300に含まれるように実現してもよく、様々な変形実施が可能である。例えば、図示は省略するが、同一の搬送経路上に印刷装置300と撮像装置100を隣接して配置して実現してもよいし、印刷装置300の上部に、広角カメラを設置することで撮像装置100を実現してもよい。また、1つの撮像装置100をX方向に走査してもよいし、複数の撮像装置100をX方向に配置してもよい。なお、印刷装置300が撮像装置100を含む構成例については後述する。
【0014】
処理部200は、撮像装置100の制御を行う。また、さらに印刷装置300の制御を行ってもよい。また、処理部200は、撮像装置100によって撮像された調整パターンPTの撮像画像に対する画像処理を行い、当該画像処理をもとに、印刷装置300の印刷精度を調整する処理を行う。具体的には、処理部200は、当該調整パターンPTの撮像画像をもとに、調整パターンPTを構成する図形の形状等を読み取ることによって、印刷装置300の印刷精度を調べる処理を行う。調整パターンPTを構成する図形は、例えば罫線パターンであるが、多角形や円等の図形によるパターン又は文字等によるパターン等であってもよい。
【0015】
処理部200が調整パターンPTを読み取る方法例について、
図3、
図4を用いて説明する。
図3は、印刷媒体W1に印刷した調整パターンPT1と撮像領域A1について説明する図である。印刷装置300によって、印刷媒体W1に対して調整パターンPT1が印刷され、撮像装置100は調整パターンPT1の所定の撮像領域A1を撮像する。そして、処理部200は、撮像領域A1の撮像画像データに基づいて画像処理を行い、印刷装置300の印刷制御に用いられる補正パラメーターを求める処理を行う。なお、ここでの説明においてW1は、後述するテクスチャーTEXを有さない印刷媒体とし、テクスチャーTEXについては後述する。また、
図3の調整パターンPT1は印刷媒体W1と比べて十分黒く、撮像領域A1の撮像画像における、調整パターンPT1に対応する部分の画素の輝度値は、印刷媒体W1の部分に対応する画素の輝度値よりも十分低いものとする。輝度値については後述する。
【0016】
調整パターンPT1は、X方向に対して間隔PPT1の距離で配置された罫線パターンを含む。なお、
図3の調整パターンPT1を構成する罫線パターンの各罫線の間隔は、間隔PPT1で等しいものとする、言い換えれば、当該罫線パターンの各罫線の間隔には周期性が有るものとする。また、当該罫線パターンの罫線はY方向に平行であるものとする。また、
図3において、罫線パターンの間隔PPT1は1つだけ代表的に示し、他は省略している。後述する
図4の間隔PGR1や、後述する
図6の間隔PPT2及び間隔PTEXも同様である。
【0017】
調整パターンPT1は、符号は省略するが、位置決め用パターンを含んでもよい。後述する調整パターンPT2~PT5等についても同様である。位置決め用パターンは、例えば、罫線パターンの外側に配置される罫線や図形等のパターンで実現できる。これにより、例えば、罫線パターンのX方向の両側に有る位置決め用パターンのY座標を比較することで、回転補正処理を行うことができる。なお、ここでの回転補正処理とは、例えば、撮像領域A1の撮像画像の罫線パターンの方向を、Y方向と平行に揃える処理等である。また、当該位置決め用パターンを歪み補正に使用してもよい。なお、ここでの歪み補正とは、台形状に表示される撮像画像を長方形状又は正方形状に補正することである。また、撮像画像が台形状に表示される要因は、例えば、撮像装置100が印刷媒体Wに対して傾いていること等である。また、罫線パターンの両側の位置決め用パターンの座標を予め記憶部380に記憶し、当該座標から撮像領域A1の撮像位置座標を予め演算したプログラムを作成してもよい。そのようにすることで、撮像領域A1の撮像処理を自動化することができる。
【0018】
撮像領域A1は、X方向にm1個、Y方向にn1個の画素を含む。言い換えれば、所定方向であるX方向に、n1個の画素列がm1列分並んでいる。後述する撮像領域A2等についても同様である。処理部200は、所定方向であるX方向について、当該撮像領域A1の撮像画像の画像データを構成する画素位置に応じた輝度を表す情報を取得する。具体的には、処理部200は、撮像領域A1の各列の画素の輝度値の平均値を演算することで、各列の輝度を表す情報の取得を実現できる。そして、処理部200は、X方向を横軸とし、平均輝度値を縦軸にプロットすることにより、位置-輝度グラフGR1を作成することで、実現できる。
【0019】
図4において横軸は位置であり、縦軸は輝度である。ここで位置とは、撮像領域A1に対するX方向の画素位置のことであり、横軸の単位はpixelである。後述する
図7においても同様である。また、ここでの縦軸の輝度は階調で表しているため、次元は無いものとする。また、前述のように、調整パターンPT1の輝度が低いため、
図4に示すように、下向きのピークを持つ位置-輝度グラフGR1が得られる。また、
図4の位置-輝度グラフGR1は説明のための模式的なグラフであり、縦軸の長さが具体的な輝度の大きさを示すものではなく、横軸が具体的な画素位置を示すものではない。後述する
図7についても同様である。
【0020】
なお、
図4の位置-輝度グラフGR1は、ノイズの影響は考慮しないでプロットしているものとする。また、以降の説明において、位置-輝度グラフの符号を、GR1、GR2、GR2A、GR3、GR4、GR5と区別して表記する場合と、単に位置-輝度グラフGRで表記する場合がある。
【0021】
そして、処理部200は、上記処理で得られた位置-輝度グラフGR1の各ピークの極小点P1をそれぞれ求め、当該極小点P1の間隔である間隔PGR1を求める。具体的には、
図4の間隔PGR1は画素数で表しているため、処理部200は、撮像領域A1の解像度等の情報を用いて、間隔PGR1の画素数を距離に変換する処理を行う。当該処理後の間隔PGR1が、
図3の調整パターンPT1の間隔PPT1に相当する。なお、以降の説明において、極小点の符号をP1、P2、P3と区別して表記する場合と、単に極小点Pと表記する場合がある。また、極小点Pの求め方は後述する。
【0022】
なお、
図4の符号TO1は所定階調値を示し、符号SH1は当該所定階調値TO1以下のピークからなる図形を意味するが、詳細は
図8の説明とともに後述する。また、
図4、
図8において図形SH1は代表として1つだけ示し、他は省略している。後述する
図7、
図9の図形SH2においても同様である。
【0023】
このような処理により、処理部200は、印刷された調整パターンPT1に含まれる各罫線パターンの位置や間隔に関するデータを取得し、当該データをもとに、印刷装置300の印刷制御に用いられる補正パラメーターを求めることができる。当該補正パラメーターの具体的な求め方は、種々の手法で実現できるが、詳細は後述する。
【0024】
また、本実施形態の処理部200は、下記のハードウェアによって構成できる。ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。ハードウェアは、例えば、回路基板に実装された1又は複数の回路装置或いは1又は複数の回路素子によって構成できる。なお、回路装置は、例えば、集積回路装置である。また、回路素子は、例えば、抵抗或いはキャパシター等である。
【0025】
また、処理部200は、下記のプロセッサーにより実現できる。本実施形態の処理部200は、情報を記憶するメモリーと、メモリーに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサーと、を含む。メモリーは、例えば、印刷装置300の記憶部380であってもよく、処理部200の内部に存在する記憶部であってもよい。なお、情報は、例えば、プログラムと各種のデータ等である。プロセッサーは、ハードウェアを含む。また、プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。また、メモリーは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。また、メモリーは、例えば、コンピューターによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令をプロセッサーが実行することによって、処理部200の機能が処理として実現される。なお、命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサーのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
【0026】
このように、本実施形態の印刷システム1は、調整パターンPTが形成された印刷媒体Wを撮影する撮像装置100と、撮像装置100によって撮像された撮像画像に対する画像処理を行う処理部200と、を含む。これにより、処理部200の画像処理によって、調整パターンPTの位置や間隔等のデータを取得することができる。また、当該データをもとに印刷装置300の制御に用いられる補正パラメーターを求めることができるので、印刷装置300の印刷精度を向上させることができる。
【0027】
しかし、印刷物によっては、
図5に拡大して示すように、テクスチャーTEXが含まれる印刷媒体W2を使用する場合がある。テクスチャーTEXとは、印刷媒体W2の材質の表面が有するパターンをいう。なお、テクスチャーTEXを含む印刷媒体W2とは、例えば、布地や塩化ビニール等である。また、テクスチャーTEXは
図5のようなパターンに限られず、様々なパターンが考えられるが、ここでは、一定の周期性を有するパターンであるものとする。
【0028】
このような印刷媒体W2に対しては、
図6に拡大して示すように、調整パターンPT2が印刷されることになる。なお、テクスチャーTEXのX方向の周期は、調整パターンPT2のX方向の周期よりも短いものとする。言い換えれば、テクスチャーTEXのX方向の1周期分の間隔PTEXは、調整パターンPT2のX方向の1周期分の間隔PPT2より短いものとする。
【0029】
そして、前述の
図3、
図4と同様に、撮像装置100が、例えば
図6の撮像領域A2を撮像し、処理部200が、当該撮像データに基づいてX方向の画素位置に対する輝度変化をプロットすると、
図7に示すような位置-輝度グラフGR2が得られる。
図7の位置-輝度グラフGR2が、
図4の位置-輝度グラフGR1と比べてピークの形状が異なるのは、調整パターンPT2の輝度変化にテクスチャーTEXの輝度変化が重畳されるためである。
【0030】
ここで、位置-輝度グラフGRから、ピークの極小点Pを求める具体的な手法について説明する。
図8は、
図4に示した図形SH1について説明する模式的な図である。処理部200は、例えば、
図4の位置-輝度グラフGR1において、所定階調値TO1より下側のピークからなる形状を図形SH1として、
図8に示すように、当該図形SH1の重心G1を求める。ここで、所定階調値TO1は、重心G1を求めるにあたり任意に設定可能な階調値である。後述する
図9の特定階調値TO2も同様である。そして、処理部200は、当該重心G1のX座標を位置-輝度グラフGR1のピークの極小点P1のX座標とする処理を行う。
【0031】
さらに、処理部200は、当該処理を位置-輝度グラフGR1の各ピークについて実行し、各ピークの極小点Pの間隔を調整パターンPT1の間隔として演算する等の処理を実行する。
【0032】
ところで、
図4の位置-輝度グラフGR1のピークにおいては、
図8に示すように、図形SH1の重心G1のX座標は、位置-輝度グラフGR1のピークの極小点P1のX座標と一致している。これにより、間隔PGR1を正確に求めることができるため、問題は無い。しかし、
図7の位置-輝度グラフGR2において、
図8と同様の処理を適用することは問題が有る。その理由について、
図9を用いて説明する。
【0033】
図9は、
図5に示した図形SH2について説明する模式的な図である。
図7の位置-輝度グラフGR2のピークは形状が崩れていることから、
図9に示すように、特定階調値TO2以下の図形SH2においても形状が崩れている。形状が崩れているとは、例えば、図形の対称性が失われていることである。そのため、図形SH2の重心G2のX座標は、
図7の位置-輝度グラフGR2のピークの極小点P2のX座標と一致しなくなる。従って、
図8と同様の手法で極小点P2を求めると、調整パターンPT2の罫線パターンの間隔PPT2の精度等が悪化することになる。
【0034】
そこで、本実施形態の印刷システム1の処理部200は、撮像画像から、印刷媒体W2のテクスチャーTEXを除去又は低減する処理を行い、除去又は低減後の撮像画像に基づいて、調整パターンPT2を検出する処理を行う。この処理は、前述の
図7の位置-輝度グラフGR2に対して、テクスチャーTEXに関係する成分を除去又は低減することで実現してもよく、
図20で後述するように、
図6の撮像領域A2の撮像画像に対して、テクスチャーTEXに関係する成分を除去又は低減する処理で実現してもよい。この処理は、後述するように、ローパスフィルター又はバンドパスフィルターによって実現することができるが、例えば移動平均フィルターによって実現してもよい。
【0035】
このようにすることで、印刷システム1は、テクスチャーTEXを含む印刷媒体W2に調整パターンPT2を印刷した場合であっても、調整パターンPT2を、テクスチャーTEXが無い印刷媒体W1に印刷した調整パターンPT1と同等に扱うことができる。
【0036】
そして、処理部200は、除去又は低減後の撮像画像の所定方向であるX方向について、撮像画像の画像データを構成する画素位置に応じた輝度を表す情報を取得する。具体的には、前述した
図7の位置-輝度グラフGR2に対して、テクスチャーTEXに関係する成分を除去又は低減する位置-輝度グラフGR2Aを得ることで実現できる。位置-輝度グラフGR2Aについては後述する。また、
図20で後述する、
図6の撮像領域A2の撮像画像に対して、テクスチャーTEXに関係する成分を除去又は低減する処理を行った後に、所定方向であるX方向について位置-輝度グラフGR5を得ることで実現してもよい。
【0037】
このようにすることで、印刷システム1は、テクスチャーTEXを含む印刷媒体W2に調整パターンPT2を印刷した場合であっても、前述の
図4の位置-輝度グラフGR1に類似する位置-輝度グラフGR2Aまたは位置-輝度グラフGR5を得ることができる。これにより、テクスチャーTEXが無い印刷媒体W1に印刷した調整パターンPT1を読み取った場合と同等の読み取り結果を得ることができる。
【0038】
そして、処理部200は、前述と同様に、調整パターンPT2の罫線パターンの間隔PPT2等の情報に基づいて、印刷装置300の印刷制御に用いられる補正パラメーターを求める。言い換えれば、処理部200は、調整パターンPT2に基づいて、印刷制御に用いられる補正パラメーターを求める。補正パラメーターを求める具体的な方法は後述する。
【0039】
このようにすることで、テクスチャーTEXを含む印刷媒体W2に調整パターンPT2を印刷した場合であっても、印刷装置300の印刷媒体W2に対する印刷精度を向上させることができる。
【0040】
なお、ここでの補正パラメーターとは、キャリッジ320の往路と復路におけるインク着弾位置を調整するパラメーター、紙送り量を調整するパラメーター、又は複数のインク色ごとのインク着弾位置を調整するパラメーターであるが、他のパラメーターであってもよい。このようにすることで、往路と復路による印刷位置ずれを緩和することができる。また、印刷装置300の搬送部360による紙送り量を適正化することができることから、行間の重なりや隙間が生じる不具合を解消することができる。また、インク色ごとのインク着弾位置を適正化することができる。これにより印刷画像の画質を向上させることができる。
【0041】
また、前述のように、ここでの印刷媒体W2のテクスチャーTEXは、印刷媒体W2の材質の表面が有する周期的なパターンである。これにより、後述するフィルター処理等を適用することができるので、調整パターンPT2の撮像画像からテクスチャーTEXの影響を除去又は低減することができる。具体的には、テクスチャーTEXが周期性を有することにより、後述するフーリエ変換処理やフィルター処理等が適用できるため、撮像画像からテクスチャーTEXの成分を除去又は低減することができる。
【0042】
また、前述のように、調整パターンPT2は、罫線パターンを含んでもよい。このようにすることで、文字等によるパターンよりも印刷処理を単純化することができる。具体的には、文字等のパターンを印刷するには、当該文字を含む領域全部を描画の対象としなければならないが、罫線パターンを印刷する場合は、罫線を構成するドットの領域だけが描画の対象となるため、処理が単純になる。また、このようにすることで、周期性のあるパターンを容易に作成することができるので、後述するフーリエ変換処理やフィルター処理を適用して撮像画像からテクスチャーTEXの成分を除去又は低減することができる。また、このようにすることで、多数の罫線パターンを描画可能になるので、補正パラメーターをより細かく設定することができる。
【0043】
なお、本実施形態において、位置-輝度グラフGRの外形に基づいて、極小点Pを単純に検出する手法は、不都合が有るため、行わないようにしている。ここでの不都合とは、位置-輝度グラフGRには、実際にはノイズによるピークが存在し、当該ノイズによるピークに対して極小点Pが検出されること等である。なお、ノイズによるピークが発生する要因は、例えば、印刷媒体Wのばたつきや撮像素子110の特性等である。
【0044】
2.印刷調整処理の処理例
図10は、本実施形態の印刷システム1が実行する印刷調整処理の処理例を示すフローチャートである。印刷システム1は、調整パターン印刷処理(ステップS10)を実行する。例えば、印刷物の生産開始前に、ユーザー等からの入力指示により、印刷媒体W2に調整パターンPT2を印刷する。調整パターンPT2は、記憶部380に予め記憶されている画像データに基づいて印刷される。調整パターンPT2は、搬送部が印刷媒体W2をY方向に搬送させるとともに、キャリッジ320が+X方向及び-X方向に走査しながら、印刷ヘッド340がインクを印刷媒体W2に着弾させることで実現できる。なお、ここでの説明においても、印刷媒体W2と調整パターンPT2は、前述の
図6と同様である。すなわち、印刷媒体W2はテクスチャーTEXを含み、テクスチャーTEXは、印刷媒体W2の材質の表面が有する周期的なパターンである。また、前述の
図6と同様に、テクスチャーTEXの周期は、調整パターンPT2の周期よりも短いものとする。また、調整パターンPT2は罫線パターンを含むものとする。
【0045】
次に、印刷システム1は、調整パターン撮像処理(ステップS20)を実行する。具体的には、前述のように、撮像装置100によって調整パターンPT2を撮像し、撮像データを処理部200に送信する。
【0046】
次に、印刷システム1は、位置-輝度グラフ作成処理(ステップS30)を実行する。具体的には、前述のように、処理部200は、撮像装置100から送信された画像データに基づいて、
図4又は
図7のような位置-輝度グラフGRを作成する。
【0047】
次に、印刷システム1は、当該グラフに対してフーリエ変換処理(ステップS40)を実行する。具体的には、処理部200は、横軸を画素位置とするデータ群を、空間周波数fを横軸とするデータ群に変換する処理を実行する。これにより、
図7に示した位置-輝度グラフGR2は、
図11に示したグラフに変換される。なお、以降の説明において、空間周波数の符号を、f1、f2、f3と区別して表記する場合と、単に空間周波数fと表記する場合がある。
【0048】
ここでの空間周波数fは、撮像画像のX方向の画素数を、位置-輝度グラフGR2のピーク間隔の画素数で割ることにより、演算することができる。例えば、第1空間周波数である、調整パターンPT2の空間周波数f1は、
図6の撮像領域A2のX方向の画素数m2を、
図7の位置-輝度グラフGR2の間隔PGR2の画素数で割ることで得ることができる。同様に、第2空間周波数である、テクスチャーの空間周波数f2は、
図6の撮像領域A2のX方向の画素数m2を、
図7のテクスチャーTEXに基づくピーク間隔の画素数つまり
図6の間隔PTEXに相当する画素数で割ることにより、得ることができる。なお、前述のように、テクスチャーTEXのX方向の1周期分の間隔PTEXは、調整パターンPT2のX方向の1周期分の間隔PPT2より短いので、第1空間周波数f1におけるB1付近のピークが調整パターンPT2に基づくピークに相当し、f1よりも高い第2空間周波数f2におけるB2付近のピークがテクスチャーTEXに基づくピークに相当することが分かる。また、
図11の横軸の空間周波数fの単位は、前述のように画素数を画素数で割ることにより得られるものであるから、次元を有さず、表わされていない。後述の
図12についても同様である。
【0049】
なお、本実施形態における、フーリエ変換後の
図11の縦軸は振幅で表される。縦軸の次元は、フーリエ変換前の縦軸の次元とフーリエ変換後の横軸の次元から決まる。本実施形態においては、フーリエ変換前の
図7の縦軸は、次元を有さない階調で表され、フーリエ変換後の横軸は、前述のように次元を有さない空間周波数fで表されていることから、
図11のフーリエ変換後のグラフの縦軸の振幅は次元を有さず、単位は表されていない。後述の
図12についても同様である。
【0050】
次に、印刷システム1は、フィルター処理(ステップS50)を実行する。具体的には、処理部200は、
図11のグラフのデータ群に対し、第1空間周波数f1と第2空間周波数f2の中間の第3空間周波数f3より高い周波数側に対してフィルター処理を実行する。言い換えれば、処理部200は、
図12に示すように、f3より高い周波数側のデータ群のY座標を0とする処理を実行する。言い換えれば、処理部200は、撮像画像に対するフーリエ変換を行うことによって、撮像画像に含まれる空間周波数成分を求め、空間周波数成分のうち、テクスチャーTEXに対応する空間周波数成分をカットすることによって、撮像画像からテクスチャーTEXを除去又は低減する。
【0051】
このようにすることで、テクスチャーTEXを含む印刷媒体W2に調整パターンPT2を印刷した場合であっても、調整パターンPT2からテクスチャーTEXによる影響を除去することができる。
【0052】
その後、印刷システム1は、逆フーリエ変換処理(ステップS60)を実行する。前述のフィルター処理(ステップS50)によって、テクスチャーTEXの位置-輝度変化の影響が減少していることから、
図12に示した空間周波数-輝度グラフから、
図7の位置-輝度グラフGR2には戻らず、
図4の位置-輝度グラフGR1に類似した位置-輝度グラフGR2Aに変換される。なお、位置-輝度グラフGR2Aの図示は省略する。
【0053】
次に、印刷システム1は、補正パラメーター演算処理(ステップS70)を実行する。なお、ここでの補正パラメーターとは、印刷装置300の印刷制御に用いられる補正パラメーターであり、詳細は後述する。処理部200は、フィルター処理(ステップS60)を実行した後の位置-輝度グラフGR2Aに基づいて、ピークの極小点P3を求める。言い換えれば、処理部200は、テクスチャーTEXに対応する空間周波数成分をカットした情報に対して、逆フーリエ変換を行うことによって、調整パターンPT2の、画素位置に応じた輝度を表す情報を取得する。
【0054】
これにより、処理部200は、位置-輝度グラフGR2Aに基づいて、調整パターンPT2の罫線パターンの間隔PPT2等を演算することができ、補正パラメーターの演算が可能になる。言い換えれば、処理部200は、調整パターンPT2に基づいて、印刷制御に用いられる補正パターンを求めることができる。このようにすることで、テクスチャーTEXを含む印刷媒体W2に調整パターンPT2を印刷した場合であっても、印刷装置300の印刷媒体W2に対する印刷精度を向上させることができる。
【0055】
そして、印刷システム1は、補正パラメーター適用処理(ステップS80)を実行することで、フローは終了する。具体的には、例えば、処理部200は、印刷装置300の記憶部380に、補正パラメーター演算処理(ステップS70)によって得られた補正パラメーターを記憶する処理を実行する。これにより、ユーザーは印刷精度を上げて、印刷物を生産することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、前述の通りテクスチャーTEXの周期は調整パターンPT2の周期よりも短いことと、前述の空間周波数fの演算方法から、
図11のB1付近のピークが調整パターンPT2に基づくピークに相当し、f1よりも高い第2空間周波数f2におけるB2付近のピークがテクスチャーTEXに基づくピークに相当する。言い換えれば、テクスチャーTEX及び調整パターンPT2は、周期的なパターンであり、調整パターンPT2の空間周波数である第1空間周波数f1は、テクスチャーTEXの空間周波数を第2空間周波数f2とした場合に、f1<f2となるように設定される。
【0057】
このようにすることで、
図11、
図12に示すように、フーリエ変化後のデータ群のうち、カットしたいピークを有する空間周波数f2が高い側に有ることから、高周波数側を除去又は低減するフィルター処理を実行することで、調整パターンPT2の撮像画像からテクスチャーTEXを除去又は低減することができる。なお、このように低い空間周波数側を残すフィルター処理をローパスフィルターとも呼ぶことができる。
【0058】
3.補正パラメーター演算処理の処理例
次に、
図13~
図15を用いて、補正パラメーターの演算例を説明する。補正パラメーターの例として、ここでは、調整パターンPT3を用いて、キャリッジ320の往路と復路におけるインク着弾位置を調整する補正パラメーターの演算例を説明する。
図13は、前述の補正パラメーター演算処理(ステップS70)の具体的な処理例であり、
図14は、調整パターンPT3の具体例である。
【0059】
図14の調整パターンPT3は、キャリッジ320が+X方向に走査しながら形成した13本の罫線パターンLA1~LA13と、キャリッジ320が-X方向に走査しながら形成した13本の罫線パターンLB1~LB13を含む。また、罫線パターンLA1~LA13の罫線間隔は、罫線パターンLB1~LB13の罫線間隔よりも大きく設定されている。なお、調整パターンPT3の罫線パターンは13本に限られない。後述する
図16の調整パターンPT4や、
図17の調整パターンPT5についても同様である。
【0060】
ここで、罫線ずれ間隔がゼロであれば罫線パターンLA7と罫線パターンLB7のX座標が一致するものとする。また、罫線パターンLA7と罫線パターンLB7の罫線配置位置を「0」とし、罫線パターンLA7から+X方向側の罫線パターンLA8~LA13に対して、罫線配置位置を1ずつ増加させて対応付けているものとする。罫線パターンLB8~LB13も同様である。同様に、罫線パターンLA7から-X方向側の罫線パターンLA1~LA6に対して、罫線配置位置を1ずつ減少させて対応付けているものとする。罫線パターンLB8~LB13も同様である。また、この説明における罫線配置位置を、データずらし量とも呼ぶことができる。
【0061】
なお、調整パターンPT3は、符号は省略するが、位置決め用パターンを含む。ここでの位置決め用パターンとは、具体的には、X方向の罫線パターン及びL字型のパターン等である。また、当該位置決め用パターンを用いて前述の回転補正処理等が実行され、
図14の調整パターンPT3の撮像領域A3と撮像領域A4について撮像され、前述のステップS60までが実行されることで、印刷媒体W2のテクスチャーTEXの影響が除去又は低減された撮像領域A3及び撮像領域A4に基づいて、位置-輝度グラフGR3及び位置-輝度グラフGR4が得られているものとする。
【0062】
図13のフローチャートについて説明する。印刷システム1は、罫線位置検出処理(ステップS71)を実行する。具体的には、図示は省略するが、撮像領域A3の位置-輝度グラフGR3、撮像領域A4の位置-輝度グラフGR4をもとに、罫線パターンLA1~LA13と罫線パターンLB1~LB13に対応する極小点Pを求める。
【0063】
次に、印刷システム1は、罫線間隔演算処理(ステップS72)を実行する。具体的には、各データずらし量に対応する罫線ずれ量を求める。罫線ずれ量とは、例えば、データずらし量「-6」に対応する罫線パターンLA1のX座標と罫線パターンLB1のX座標との差であり、罫線パターンLA2~LA13と罫線パターンLB2~LB13についても同様に演算する。
【0064】
次に、印刷システム1は、罫線ずれ量プロット処理(ステップS73)を実行する。具体的には、データずらし量を横軸とし、ステップS72で求めた罫線ずれ量を縦軸とし、
図15に示すようなプロットを行う。なお、
図15の横軸の単位は、撮像素子110の解像度に依存する量となるため、具体的な表記は省略している。また、
図15は説明のための模式図であるため、縦軸の長さが具体的な罫線ずれ量を表すものではなく、縦軸の単位の具体的な表記は省略している。
【0065】
次に、印刷システム1は、罫線ずれ補正量演算処理(ステップS74)を実行する。具体的には、
図15のプロットに対して、最小二乗法を用いて近似直線の式を算出し、当該近似直線と、横軸との交点を求める。そして、当該交点が罫線ずれ補正量となる。より詳細には、当該交点の数値に基づいて、撮像素子110の解像度の情報等から具体的な距離に変換して、罫線ずれ補正量を求める。このような処理を行うことで、印刷装置300のキャリッジ320移動の往路と復路の着弾位置が一致するようになる。
【0066】
なお、キャリッジ320の往路と復路におけるインク着弾位置を調整する補正のことをBi-D補正と呼ぶこともできる。また、Bi-D補正の方法は、
図13~
図15に示す方法に限られず、様々な公知の手法によって、実現できる。
【0067】
また、罫線パターンからなる調整パターンPTを用いて求められる補正パラメーターは、前述したBi-D補正の補正パラメーターに限られない。例えば、紙送り量を調整する補正パラメーターを求める場合にも、本実施形態の手法が適用できる。
【0068】
図16は、紙送り量を調整するための調整パターンPT4について説明する図である。調整パターンPT4は、例えば、
図14の調整パターンPT3を90度回転させたパターンを印刷することにより実現できる。そして、処理部200は、撮像領域A5,A6について前述と同様の手法により、Y方向について、印刷媒体W2のテクスチャーTEXの影響を除去する処理を行う。そして、処理部200は、Y方向について、罫線パターンLC1~LC13と罫線LD1~LD13の罫線ずれ量を求める処理等を行うことで、紙送り量を調整する補正パラメーターを求めることができる。なお、印刷媒体W2のテクスチャーTEXの影響を除去する具体的な方法や、補正パラメーター量の具体的な演算方法は、前述の通りであるため、説明は省略する。
【0069】
また、印刷ヘッド340は、それぞれの色のインクを吐出するノズルを含み、それぞれの色のインク着弾位置の調整が求められる場合にも、本実施形態の手法が適用できる。
図17は、複数のインク色ごとのインク着弾位置を調整する補正パラメーターを求めるための調整パターンPT5について説明する図である。調整パターンPT5は、調整が必要な色からなる罫線パターンを含む。例えば、
図17の調整パターンPT5は、ブラックのみからなる罫線パターンからなる調整パターンPT5Aと、シアンのみからなる罫線パターンからなる調整パターンPT5Bを含むが、他にイエローのみからなる調整パターン等を含んでもよい。
【0070】
そして、処理部200は、調整パターンPT5Aの罫線パターンLE1~LE13と、調整パターンPT5Bの罫線パターンLF1~LF13の罫線ずれ量を求める処理等を行うことで、それぞれの色のインクの着弾位置の補正パラメーターを求めることができる。なお、印刷媒体W2のテクスチャーTEXの影響を除去する方法は前述の通りであり、具体的な補正パラメーター量の演算方法は、公知の手法であるため、説明は省略する。
【0071】
4.その他の変形例
本実施形態の印刷システム1の構成や処理は、前述の内容に限らず、様々な変形実施が可能である。例えば、前述の
図11と
図12に示したフィルター処理は、前述したように、いわゆるローパスフィルター処理に相当するが、バンドパスフィルター処理を実行するようにしてもよい。すなわち、処理部200は、第1空間周波数f1が通過周波数帯域に含まれ、第2空間周波数f2が遮断周波数帯域に含まれるフィルター処理を行うようにしてもよい。具体的には、図示等は省略するが、調整パターンPT2に基づく第1空間周波数f1と印刷媒体W2のテクスチャーTEXに基づく第2空間周波数f2は予め求めておき、位置-輝度グラフGR2をフーリエ変換したデータ群に対して、第2空間周波数帯域のデータ群を除去する処理を実行することで実現できる。
【0072】
このようにすることで、第1空間周波数f1と第2空間周波数f2の大小関係を考慮することなく、フィルター処理を実行することができる。また、第3空間周波数f3を求めることなく、フィルター処理を実行することができる。また、同一の印刷媒体W2と同一の調整パターンPT2を用いて印刷物を量産する場合、最初に第1空間周波数f1と第2空間周波数f2を予め記憶部380等に記憶しておくことで、印刷装置300の調整を自動化することができる。
【0073】
また、印刷システム1は、補正パラメーターの演算にあたりエラーが発生した時は、調整パターンを変更する処理を行ってもよい。言い換えれば、処理部200は、調整パターンPTに基づく補正パラメーターの演算が失敗したと判定した場合に、調整パターンPTを変更する処理を行ってもよい。
図18は、印刷調整処理の変形例を示すフローチャートである。
【0074】
図18のステップS110~ステップS170は、前述した
図10のステップS10~ステップS70と同様である。つまり、印刷システム1は、調整パターン印刷処理(ステップS110)、調整パターン撮像処理(ステップS120)、位置-輝度グラフ作成処理(ステップS130)、フーリエ変換処理(ステップS140)、フィルター処理(ステップS150)、逆フーリエ変換処理(ステップS160)、補正パラメーター演算処理(ステップS170)の順に処理を実行する。
【0075】
その後、印刷システム1は、補正パラメーターの演算が成功したか否かを判断し、成功したと判断した場合(ステップS172でYES)は、前述した
図10のステップS80と同様に補正パラメーター適用処理(ステップS180)を実行し、フローを終了する。一方、補正パラメーターの演算が失敗したと判断した場合(ステップS172でNO)は、調整パターンの変更処理(ステップS174)を実行し、再度調整パターン印刷処理(ステップS110)に戻る。なお、補正パラメーターの演算が失敗する場合とは、例えば、
図15に示した近似直線の精度が悪く、決定係数が許容値以下となる場合等である。また、調整パターンの変更処理(ステップS174)とは、具体的には、印刷装置300の記憶部380には複数の調整パターンPTが予め記憶されており、ステップS174によって、別の調整パターンPTが選択されること等をいう。また、別の調整パターンPTとは、パターン形状が異なる調整パターンPTや、パターン形状は同一だがパターンを構成する罫線等の太さが異なる調整パターンPT等をいう。
【0076】
このようにすることで、調整パターンPTの読み取りが失敗した場合であっても、別の調整パターンで再度処理が実行されることにより、印刷装置300の調整を自動で行うことができる。なお、図示等は省略するが、所定回数失敗が続いた場合は、エラー報知を出力する処理を実行してもよい。
【0077】
また、
図1で前述したように、本実施形態の印刷システム1は撮像装置100とキャリッジ320が独立しているが、撮像装置100はキャリッジ320に含まれるように構成してもよい。言い換えれば、印刷システム1は、複数のノズルをから構成されるノズル列を複数有する印刷ヘッド340と、撮像装置100及び印刷ヘッド340を搭載するキャリッジ320とをさらに備えるようにしてもよい。具体的には、
図19に示すように、キャリッジ320は所定のガイド390に沿ってX方向を往復走査しつつ、図示しない搬送部360の搬送機構によって印刷媒体Wは+Y方向に搬送される。そして、キャリッジ320の走査中に、印刷ヘッド340が所定のタイミングでインクを吐出することで、印刷媒体Wに調整パターンPTが形成されるとともに、撮像装置100によって調整パターンPTが撮像される。
【0078】
このようにすることで、調整パターンPTの撮像がリアルタイムに行われることから、印刷装置300の調整を自動化し、かつ、調整時間を短縮化することができる。
【0079】
また、以上では位置-輝度グラフGRにフーリエ変換を行う処理例、つまり、位置-輝度グラフGR2に一次元フーリエ変換処理を行う処理例について説明したが、フィルター処理を実行した撮像画像に基づいて位置-輝度グラフGR5を作成する処理例としてもよい。言い換えれば、撮像画像に2次元フーリエ変換等を行った後に位置-輝度グラフGR5を作成する処理例としてもよい。位置-輝度グラフGR5については後述する。
【0080】
図20は、印刷調整処理の別の処理例を説明するフローチャートである。なお、
図10等と同様の処理については説明を一部省略する。
図20のステップS210、ステップS220は、前述した
図10のステップS10、ステップS20と同様である。つまり、印刷システム1は、調整パターン印刷処理(ステップS210)と調整パターン撮像処理(ステップS220)を実行する。なお、このとき、図示は省略するが、前述の
図6と同様に、テクスチャーTEXを含む印刷媒体W2に、調整パターンPT2の画像が撮像されているものとする。
【0081】
そして、印刷システム1は、ステップS220によって撮像された2次元の画像データに対して2次元フーリエ変換処理(ステップS222)を実行する。2次元フーリエ変換とは、図示等は省略するが、1次元フーリエ変換を2次元に拡張したものであり、言い換えれば、2次元フーリエ変換は、1次元フーリエ変換をX方向とY方向に行うことで実現できる。
【0082】
その後、印刷システム1は、フィルター処理(ステップS224)を実行する。具体的には、図示等は省略するが、
図12で示した1次元的なフィルター処理を2次元に拡張したフィルター処理を実行する。つまり、X方向とY方向について、調整パターンPT2に基づく空間周波数帯域からなるデータ群を残し、テクスチャーTEXに基づく空間周波数帯域からなるデータ群をカットする処理を実行する。
【0083】
さらに、印刷システム1は、逆2次元フーリエ変換処理(ステップS226)を実行する。具体的には、図示等は省略するが、前述の2次元フーリエ変換処理(ステップS222)と同様に、逆1次元フーリエ変換をX方向とY方向に行うことで実現できる。これにより、テクスチャーTEXに基づく影響が除去又は低減された撮像画像を得ることができる。
【0084】
その後、印刷システム1は、前述した
図10のステップS30と同様に、位置-輝度グラフ作成処理(ステップS230)を実行する。この場合、フィルター処理(S224)が既に実行されているので、ステップS230を実行すると、直ちに
図4の位置-輝度グラフGR1に類似する位置-輝度グラフGR5を得ることができる。なお、位置-輝度グラフGR5の図示は省略する。
【0085】
以降の処理であるステップS270、ステップS280は、前述した
図10のステップS70、ステップS80と同様である。つまり、印刷システム1は、補正パラメーター演算処理(ステップS270)と補正パラメーター適用処理(ステップS280)を実行し、フローを終了する。
【0086】
このようにすることで、2次元的なフィルター処理を実行することから、X方向だけでなくY方向についてもテクスチャーTEXによる影響が除去又は低減されるため、調整パターンPTの位置決めや回転補正等に用いるパターンについても正確に読み取ることができる。これにより、撮像画像の読み取りに関する不具合を防止することができる。
【0087】
なお、
図10と
図20で、フローの順番が異なるので、本実施形態における印刷システム1をどのように適用するかは、ユーザーの事情を考慮して決定してもよい。ユーザーの事情とは、例えば、
図10のフローチャート又は
図20のフローチャートにおける既存の印刷調整プログラムに対する適用可能性に関する事情等である。
【0088】
以上のように、本実施形態の印刷システムは、調整パターンが形成された印刷媒体を撮影する撮像装置と、撮像装置によって撮像された撮像画像に対する画像処理を行う処理部と、を含む。処理部は、撮像画像から、印刷媒体のテクスチャーを除去又は低減する処理を行い、除去又は低減後の撮像画像に基づいて、調整パターンを検出する処理を行う。
【0089】
このようにすれば、テクスチャーを含む印刷媒に調整パターンを印刷した場合であっても、当該調整パターンを、テクスチャーが無い印刷媒体に印刷した調整パターンと同等に扱うことができる。
【0090】
また、処理部は、除去又は低減後の撮像画像の所定方向について、撮像画像の画像データを構成する画素位置に応じた輝度を表す情報を検出してもよい。
【0091】
このようにすれば、テクスチャーを含む印刷媒体に調整パターンを印刷した場合であっても、調整パターンを正確に読み取ることができる。
【0092】
また、処理部は、調整パターンに基づいて、印刷制御に用いられる補正パラメーターを求めてもよい。
【0093】
このようにすれば、テクスチャーを含む印刷媒体であっても、印刷装置の印刷媒体に対する印刷精度を向上させることができる。ができる。
【0094】
また、補正パラメーターは、キャリッジの往路と復路におけるインク着弾位置を調整するパラメーター、紙送り量を調整するパラメーター又は複数のインク色ごとのインク着弾位置を調整するパラメーターであってもよい。
【0095】
このようにすれば、往路と復路による印刷位置ずれを緩和することができる。また、印刷装置の搬送部による紙送り量を適正化することができることから、行間の重なりや隙間が生じる不具合を解消することができる。また、インク色ごとのインク着弾位置を適正化することができる。これにより印刷画像の画質を向上させることができる。
【0096】
また、処理部は、調整パターンに基づく補正パラメーターの演算が失敗したと判定した場合に、調整パターンを変更する処理を行ってもよい。このようにすれば、調整パターンの読み取りが失敗した場合であっても、別の調整パターンで再度処理が実行されることにより、印刷装置の調整を自動で行うことができる。
【0097】
また、テクスチャーは、印刷媒体の材質の表面が有する周期的なパターンであってもよい。このようにすれば、周期性を利用してフーリエ変換処理やフィルター処理が適用できるため、撮像画像からテクスチャーの成分を除去又は低減することができる。
【0098】
また、調整パターンは、罫線パターンを含んでもよい。このようにすれば、調整パターンの印刷処理が単純になる。また、多数の罫線パターンを印刷可能になるので、補正パラメーターをより細かく設定することができる。
【0099】
また、処理部は、撮像画像に対するフーリエ変換を行うことによって、撮像画像に含まれる空間周波数成分を求め、空間周波数成分のうち、テクスチャーに対応する空間周波数成分をカットすることによって、撮像画像からテクスチャーを除去又は低減してもよい。
【0100】
このようにすれば、テクスチャーを含む印刷媒体に調整パターンを印刷した場合であっても、調整パターンからテクスチャーによる影響を除去することができる。
【0101】
また、処理部は、テクスチャーに対応する空間周波数成分をカットした情報に対して、逆フーリエ変換を行うことによって、調整パターンの、画素位置に応じた輝度を表す情報を取得してもよい。
【0102】
このようにすれば、テクスチャーを含む印刷媒体に調整パターンを印刷した場合であっても、調整パターンに基づいて、印刷制御に用いられる補正パターンを求めることができるので、印刷装置の印刷精度を向上させることができる。
【0103】
また、テクスチャー及び調整パターンは、周期的なパターンであり、調整パターンの空間周波数である第1空間周波数f1は、テクスチャーの空間周波数を第2空間周波数f2とした場合に、f1<f2となるように設定してもよい。
【0104】
このようにすれば、フーリエ変化後のデータ群のうち、カットしたいピークを有する空間周波数f2が高い側に有ることから、高周波数側を除去又は低減するフィルター処理を実行することで、調整パターンの撮像画像からテクスチャーを除去又は低減することができる。
【0105】
また、処理部は、第1空間周波数が遮断周波数帯域に含まれ、第2空間周波数が通過周波数帯域に含まれるフィルター処理を行ってもよい。
【0106】
このようにすれば、第1空間周波数と第2空間周波数の大小関係を考慮することなく、フィルター処理を実行することができる。
【0107】
また、印刷システムは、複数のノズルをから構成されるノズル列を複数有する印刷ヘッドと、撮像装置及び印刷ヘッドを搭載するキャリッジと、をさらに含んでもよい。
【0108】
このようにすれば、調整パターンの撮像がリアルタイムに行われることから、印刷装置の調整を自動化し、かつ、調整時間を短縮化することができる。
【0109】
また、本実施形態の画像処理方法は、調整パターンが形成された印刷媒体を撮影する撮像装置からの撮像画像を取得し、撮像画像から、印刷媒体のテクスチャーを除去又は低減する処理を行い、除去又は低減後の撮像画像に基づいて、調整パターンを検出する処理を行う画像処理方法に関係する。
【0110】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また印刷システムや画像処理方法等の構成・動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1…印刷システム、100…撮像装置、102…筐体、104…開口部、106A,106B…光源、108…撮像レンズ、110…撮像素子、200…処理部、300…印刷装置、320…キャリッジ、340…印刷ヘッド、360…搬送部、380…記憶部、390…ガイド、W1,W2…印刷媒体、PT1,PT2,PT3,PT4,PT5…調整パターン、A1,A2,A3,A4,A5,A6…撮像領域、GR1,GR2,GR2A,GR3,GR4,GR5…位置-輝度グラフ、TEX…テクスチャー、SH1,SH2…位置-輝度グラフにおける図形、G1,G2…位置-輝度グラフにおける図形の重心