(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ラチス構造物及び作業機械
(51)【国際特許分類】
B66C 23/64 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B66C23/64
(21)【出願番号】P 2020115442
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2019125103
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】百濟 和文
(72)【発明者】
【氏名】前藤 鉄兵
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓則
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-138559(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0264384(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0275143(US,A1)
【文献】特開2000-169084(JP,A)
【文献】特公昭62-020342(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の一部を構成するラチス構造物であり当該ラチス構造物に隣接する他のラチス構造物と着脱可能に結合されるラチス構造物であって、
前記ラチス構造物の長手方向に沿ってそれぞれ延びる複数の主材であって、前記長手方向と直交する方向に間隔をおいて並ぶ複数の主材と、
前記長手方向に対して傾斜するようにそれぞれ延びる複数の斜材であって、当該複数の斜材のそれぞれが前記複数の主材のうちの何れか2本の主材を相互に連結する複数の斜材と、
前記複数の主材の長手方向の端部にそれぞれ接続される複数のコネクタと、
少なくとも一つの補強部と、を備え、
前記複数の主材は、第1の主材と、第2の主材と、を含み、
前記複数のコネクタは、前記第1の主材の端部に接続される第1のコネクタと、前記第2の主材の端部に接続される第2のコネクタと、を含み、
前記複数の斜材は、前記第1の主材と前記第2の主材を連結する複数の第1の斜材を含み、当該複数の第1の斜材は、前記第1のコネクタに最も近い位置に配置される第1の最近接斜材を含み、
前記少なくとも一つの補強部は、第1の補強部を含み、当該第1の補強部は、前記第1の最近接斜材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで第1の特定方向に延びて前記第1の最近接斜材と前記第2の主材又は前記第2のコネクタを相互に連結
し、
前記第1の特定方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向であり、
前記ラチス構造物は、前記第1の主材と前記第1の最近接斜材を相互に連結する副補強部をさらに備え、
前記副補強部は、当該副補強部を前記第1の特定方向から見たときに前記副補強部が前記第1の補強部に重なるような位置に配置され、
前記副補強部は、前記第1の主材から前記第1の最近接斜材まで前記第1の特定方向に平行な方向に延びる、ラチス構造物。
【請求項2】
請求項1に記載のラチス構造物であって、
前記第1の最近接斜材の一端部が前記第1のコネクタに接続され、前記第1の最近接斜材の他端部が前記第2の主材に接続されることにより、当該第1の最近接斜材が前記第1の主材と前記第2の主材を相互に連結する、ラチス構造物。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のラチス構造物であって、
前記複数の主材は、第3の主材と、第4の主材と、をさらに含み、前記第1の主材及び前記第2の主材は、前記ラチス構造物の前記長手方向から見て四角形の4つの頂点のうち隣り合う2つの頂点に対応する位置に配置され、前記第3の主材及び前記第4の主材は、前記4つの頂点のうち残りの2つの頂点に対応する位置に配置され、
前記複数のコネクタは、前記第3の主材の端部に接続される第3のコネクタと、前記第4の主材の端部に接続される第4のコネクタと、をさらに含み、
前記複数の斜材は、前記第3の主材と前記第4の主材を連結する複数の第2の斜材を含み、当該複数の第2の斜材は、前記第3のコネクタに最も近い位置に配置される第2の最近接斜材を含み、
前記少なくとも一つの補強部は、第2の補強部をさらに含み、当該第2の補強部は、前記第2の最近接斜材から前記第4の主材又は前記第4のコネクタまで第2の特定方向に延びて前記第2の最近接斜材と前記第4の主材又は前記第4のコネクタを相互に連結する、ラチス構造物。
【請求項4】
請求項
3に記載のラチス構造物であって、
前記第2の最近接斜材の一端部が前記第3のコネクタに接続され、前記第2の最近接斜材の他端部が前記第4の主材に接続されることにより、当該第2の最近接斜材が前記第3の主材と前記第4の主材を相互に連結する、ラチス構造物。
【請求項5】
請求項
3又は
4に記載のラチス構造物であって、
前記第2の特定方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向である、ラチス構造物。
【請求項6】
請求項
1~
5の何れか1項に記載のラチス構造物であって、
前記第1の最近接斜材は、前記第1の主材又は前記第1のコネクタから前記第2の主材まで連続して延びる連続部材であり、
前記第1の補強部は、前記第1の特定方向の一端部と他端部とを有し、前記一端部が前記第1の最近接斜材に接続され、前記他端部が前記第2の主材又は前記第2のコネクタに接続され、
前記副補強部は、一端部と他端部とを有し、前記副補強部の一端部が前記第1の主材に接続され、前記副補強部の他端部が前記第1の最近接斜材に接続される、ラチス構造物。
【請求項7】
請求項
6に記載のラチス構造物であって、
前記副補強部は、少なくとも一つの板状の部材、型鋼、又は箱型の形状を有する部材により構成されている、ラチス構造物。
【請求項8】
請求項
1~
5の何れか1項に記載のラチス構造物であって、
前記第1の補強部は、前記第1の主材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで前記第1の特定方向に連続して延びる連続部材の一部分であり、この一部分は、前記連続部材のうち前記第2の主材又は前記第2のコネクタに接続される端部を含む部分であり、
前記副補強部は、前記連続部材の他の一部分であり、この他の一部分は、前記連続部材のうち前記第1の主材に接続される端部を含む部分であり、
前記第1の最近接斜材は、前記連続部材のうち前記第1の補強部と前記副補強部との間の部分である中間部分と、当該中間部分に接続され、当該中間部分から前記第1の主材又は前記第1のコネクタまで延びる第1部材と、前記中間部分に接続され、前記中間部分から前記第2の主材まで延びる第2部材と、を含む、ラチス構造物。
【請求項9】
請求項
8に記載のラチス構造物であって、
前記第1部材は、当該第1部材を前記第2部材の長手方向から見たときに前記第1部材が前記第2部材に重なるような位置に配置されている、ラチス構造物。
【請求項10】
請求項
9に記載のラチス構造物であって、
前記第1部材の長手方向は、前記第2部材の前記長手方向に平行である、ラチス構造物。
【請求項11】
請求項
8~
10の何れか1項に記載のラチス構造物であって、
前記第1部材は、少なくとも一つの板状の部材、型鋼、又は箱型の形状を有する部材により構成されている、ラチス構造物。
【請求項12】
作業機械の一部を構成するラチス構造物であり当該ラチス構造物に隣接する他のラチス構造物と着脱可能に結合されるラチス構造物であって、
前記ラチス構造物の長手方向に沿ってそれぞれ延びる複数の主材であって、前記長手方向と直交する方向に間隔をおいて並ぶ複数の主材と、
前記長手方向に対して傾斜するようにそれぞれ延びる複数の斜材であって、当該複数の斜材のそれぞれが前記複数の主材のうちの何れか2本の主材を相互に連結する複数の斜材と、
前記複数の主材の長手方向の端部にそれぞれ接続される複数のコネクタと、
少なくとも一つの補強部と、を備え、
前記複数の主材は、第1の主材と、第2の主材と、を含み、
前記複数のコネクタは、前記第1の主材の端部に接続される第1のコネクタと、前記第2の主材の端部に接続される第2のコネクタと、を含み、
前記複数の斜材は、前記第1の主材と前記第2の主材を連結する複数の第1の斜材を含み、当該複数の第1の斜材は、前記第1のコネクタに最も近い位置に配置される第1の最近接斜材を含み、
前記少なくとも一つの補強部は、第1の補強部を含み、当該第1の補強部は、前記第1の最近接斜材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで第1の特定方向に延びて前記第1の最近接斜材と前記第2の主材又は前記第2のコネクタを相互に連結し、
前記ラチス構造物は、前記第1の主材と前記第1の最近接斜材を相互に連結する副補強部をさらに備え、
前記第1の最近接斜材は、前記第1の主材又は前記第1のコネクタから前記第2の主材まで連続して延びる連続部材であり、
前記第1の補強部は、前記第1の主材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで前記第1の特定方向に連続して延びる補強連続部材の一部分であり、この一部分は、前記補強連続部材のうち前記第1の最近接斜材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで延びる部分であり、
前記副補強部は、前記補強連続部材の他の一部分であり、この他の一部分は、前記補強連続部材のうち前記第1の主材から前記第1の最近接斜材まで延びる部分であり、
前記補強連続部材及び前記第1の最近接斜材のうちの一方の部材は、当該一方の部材の長手方向に対して交差する方向に当該一方の部材を貫通する貫通孔を有し、
前記補強連続部材及び前記第1の最近接斜材のうちの他方の部材は、前記貫通孔に挿入されて前記一方の部材と交差するように配置される、ラチス構造物。
【請求項13】
作業機械の一部を構成するラチス構造物であり当該ラチス構造物に隣接する他のラチス構造物と着脱可能に結合されるラチス構造物であって、
前記ラチス構造物の長手方向に沿ってそれぞれ延びる複数の主材であって、前記長手方向と直交する方向に間隔をおいて並ぶ複数の主材と、
前記長手方向に対して傾斜するようにそれぞれ延びる複数の斜材であって、当該複数の斜材のそれぞれが前記複数の主材のうちの何れか2本の主材を相互に連結する複数の斜材と、
前記複数の主材の長手方向の端部にそれぞれ接続される複数のコネクタと、
少なくとも一つの補強部と、を備え、
前記複数の主材は、第1の主材と、第2の主材と、を含み、
前記複数のコネクタは、前記第1の主材の端部に接続される第1のコネクタと、前記第2の主材の端部に接続される第2のコネクタと、を含み、
前記複数の斜材は、前記第1の主材と前記第2の主材を連結する複数の第1の斜材を含み、当該複数の第1の斜材は、前記第1のコネクタに最も近い位置に配置される第1の最近接斜材を含み、
前記少なくとも一つの補強部は、第1の補強部を含み、当該第1の補強部は、前記第1の最近接斜材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで第1の特定方向に延びて前記第1の最近接斜材と前記第2の主材又は前記第2のコネクタを相互に連結し、
前記第1の最近接斜材は、
前記第2の主材から前記第1の主材及び前記第1のコネクタに向かって延びる斜材本体と、
当該斜材本体と前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方との間に介在する介在部材であって、前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方に接続される部分を含む介在部材と、を有し、
前記介在部材は、前記斜材本体の一端部が接続される斜材本体接続部と、前記第1の補強部の一端部が接続される補強接続部と、を含み、
前記介在部材は、
前記斜材本体接続部から前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方まで前記斜材本体の長手方向に平行な方向に連続する斜材連続部であって、当該斜材連続部の先端部が前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方に接続されるように構成される斜材連続部と、
前記補強接続部から前記第1の主材まで前記第1の補強部の長手方向に平行な方向に連続する補強連続部であって、当該補強連続部の先端部が前記斜材連続部の前記先端部よりも前記第1のコネクタから前記第1の主材の前記長手方向に離れた位置において前記第1の主材に接続されるように構成される補強連続部と、
前記斜材連続部の前記先端部と前記補強連続部の前記先端部との間に架け渡されるように前記第1の主材に沿って延びる架橋部と、を有する、ラチス構造物。
【請求項14】
作業機械の一部を構成するラチス構造物であり当該ラチス構造物に隣接する他のラチス構造物と着脱可能に結合されるラチス構造物であって、
前記ラチス構造物の長手方向に沿ってそれぞれ延びる複数の主材であって、前記長手方向と直交する方向に間隔をおいて並ぶ複数の主材と、
前記長手方向に対して傾斜するようにそれぞれ延びる複数の斜材であって、当該複数の斜材のそれぞれが前記複数の主材のうちの何れか2本の主材を相互に連結する複数の斜材と、
前記複数の主材の長手方向の端部にそれぞれ接続される複数のコネクタと、
少なくとも一つの補強部と、を備え、
前記複数の主材は、第1の主材と、第2の主材と、を含み、
前記複数のコネクタは、前記第1の主材の端部に接続される第1のコネクタと、前記第2の主材の端部に接続される第2のコネクタと、を含み、
前記複数の斜材は、前記第1の主材と前記第2の主材を連結する複数の第1の斜材を含み、当該複数の第1の斜材は、前記第1のコネクタに最も近い位置に配置される第1の最近接斜材を含み、
前記少なくとも一つの補強部は、第1の補強部を含み、当該第1の補強部は、前記第1の最近接斜材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで第1の特定方向に延びて前記第1の最近接斜材と前記第2の主材又は前記第2のコネクタを相互に連結し、
前記第1の最近接斜材は、
前記第2の主材から前記第1の主材及び前記第1のコネクタに向かって延びる斜材本体と、
当該斜材本体と前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方との間に介在する介在部材であって、前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方に接続される部分を含む介在部材と、を有し、
前記介在部材は、前記斜材本体の一端部が接続される斜材本体接続部と、前記第1の補強部の一端部が接続される補強接続部と、を含み、
前記介在部材は、
前記斜材本体接続部から前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方まで前記斜材本体の長手方向に平行な方向に連続する斜材連続部であって、当該斜材連続部の先端部が前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方に接続されるように構成される斜材連続部と、
前記補強接続部から前記斜材連続部まで前記第1の補強部の長手方向に平行な方向に連続する補強連続部であって、当該補強連続部の先端部が前記斜材連続部に接続されるように構成される補強連続部と、
前記補強連続部の前記先端部が前記斜材連続部に接続される部分よりも前記第2の主材に近い位置において前記斜材連続部と前記補強連続部との間に架け渡される架橋部と、を有する、ラチス構造物。
【請求項15】
請求項
13又は14に記載のラチス構造物であって、
前記介在部材は、前記斜材本体接続部から前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方まで前記斜材本体の長手方向に平行な方向に連続する斜材連続部を有する、ラチス構造
物。
【請求項16】
請求項
13~15の何れか1項に記載のラチス構造物であって、
前記介在部材は、前記補強接続部から前記第1の主材まで前記第1の補強部の長手方向に平行な方向に連続する補強連続部を有する、ラチス構造物。
【請求項17】
請求項
14に記載のラチス構造物であって、
前記介在部材は、前記補強連続部の前記先端部よりも前記第1のコネクタから前記第1の主材の前記長手方向に離れた位置において前記斜材連続部と前記第1の主材との間に架け渡される第2の架橋部をさらに有する、ラチス構造物。
【請求項18】
請求項
17に記載のラチス構造物であって、
前記介在部材は、前記斜材連続部の前記先端部と、前記第2の架橋部の先端部であって当該第2の架橋部が前記第1の主材に接続される部分である先端部と、の間に架け渡されるように前記第1の主材に沿って延びる第3の架橋部をさらに有する、ラチス構造物。
【請求項19】
請求項
13又は14に記載のラチス構造物であって、
前記斜材本体接続部は、前記斜材本体の一端部を溶接するための平面である溶接面を有し、
前記補強接続部は、前記第1の補強部の一端部を溶接するための平面である溶接面を有する、ラチス構造物。
【請求項20】
請求項
19に記載のラチス構造物であって、
前記斜材本体接続部及び前記補強接続部は、連続する一体の部材により構成されている、ラチス構造物。
【請求項21】
請求項
13又は14に記載のラチス構造物であって、
前記第1の主材は、前記介在部材の一部が差し込まれる溝及び穴の少なくとも一方を含む差込部を有し、
前記介在部材は、当該介在部材の前記一部が前記差込部に差し込まれた状態で前記第1の主材に固定されている、ラチス構造物。
【請求項22】
作業機械であって、
基体と、
前記基体の上に旋回可能となるように搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に回動可能に取り付けられるブームであって、請求項1~
21の何れか1項に記載のラチス構造物と当該ラチス構造物に隣接する前記他のラチス構造物とを有するブームと、を備え、
前記ラチス構造物の前記複数のコネクタのそれぞれは、ピンによって前記他のラチス構造物の相手方コネクタと連結され、前記第1の補強部の延びる方向である前記第1の特定方向は、前記ピンの軸方向に直交する方向である、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の一部を構成するラチス構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば大型クレーンなどの大型の作業機械に装備される作業用の起伏部材には、軽量で高い強度をもつラチス構造が採用される。また、長尺の起伏部材は、その輸送のため、互いに着脱可能に連結される複数のラチス構造物により構成される。
【0003】
例えば特許文献1は、クレーンに用いられる連結可能な組み立て式ブーム部材を開示している。当該ブーム部材は、互いに連結される複数のラチス構造物(特許文献1では、「ブームバット」、「ブームインサートセクション」、「ブームトップ」)を備える。各ラチス構造物は、複数の主材(特許文献1では「弦材」)と、当該ラチス構造物の長手方向に対して傾斜するようにそれぞれ延びて複数の主材のうちの何れか2本の主材をそれぞれ連結する複数の斜材(特許文献1では「ラチス部材」)と、複数の主材の端部にそれぞれ接合された複数のコネクタと、を備える。このようなラチス構造物では、複数の主材と複数の斜材とにより複数の三角形状の構造(ラチス構造)が連続して形成され、これにより、軽量で高い強度が実現されている。そして、特許文献1の
図2に示されるように、当該ラチス構造物の前記複数のコネクタ(特許文献1では「雌形コネクタ」)が、隣接する他のラチス構造物の複数の相手方コネクタ(特許文献1では「雄形コネクタ」)にそれぞれ連結されることにより、2つのラチス構造物が互いに連結される。
【0004】
ところで、特許文献1の
図2に示されるように、前記2つのラチス構造物が連結される連結部を構成する一対のコネクタ(前記雌形コネクタと前記雄形コネクタ)は、前記ラチス構造物の前記長手方向に沿って並んで配置される。そして、当該連結部を挟んで配置される2つの斜材の端部は少なくとも前記一対のコネクタの長さを超える間隔をおいて配置されるので、前記2つの斜材の端部同士の間隔が大きくなる。したがって、前記連結部及びその近傍では、上述した三角形状の構造(ラチス構造)が連続せずに途切れることになる。その結果、前記連結部及びその近傍の強度は、前記ラチス構造が連続する部分の強度に比べて低くなる。このため、前記連結部及びその近傍において、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向への座屈変形が生じやすくなる。
【0005】
上記のような前記連結部及びその近傍における座屈強度の低下を抑制するための手段として、例えば特許文献1の
図2に示されるように、前記連結部に隣接する部位において、前記主材の軸方向に対して直交する方向に延びる補強パイプがさらに設けられ、当該補強パイプが2本の主材を連結する構造が採用される。特許文献2~5に開示されるラチス構造物においても、同様の構造が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-208795号公報
【文献】特開2015-155352号公報
【文献】特開平6-255987号公報
【文献】特開平6-239590号公報
【文献】特開2019-34826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の
図2に示される構造では、前記補強パイプの端部は前記コネクタと斜材の端部との間に介在した状態で主材に連結される。従って、前記補強パイプが設けられていない場合に比べて、前記2つの斜材の端部同士の間隔、すなわち、一方のラチス構造物の斜材の端部と他方のラチス構造物の斜材の端部との間の間隔をむしろ拡げなくてはならない。特許文献2~5に開示される構造においても同様の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2つのラチス構造物を互いに連結する連結部及びその近傍において座屈強度が低下することを抑制するための補強パイプなどの補強部を設けつつ、前記連結部に最も近い位置に配置される2つの斜材の端部同士の間隔、すなわち、一方のラチス構造物の斜材の端部と他方のラチス構造物の斜材の端部との間の間隔が大きくなるのを抑制することができるラチス構造物及びこれを備えた作業機械を提供することを目的とする。
【0009】
提供されるのは、作業機械の一部を構成するラチス構造物であり当該ラチス構造物に隣接する他のラチス構造物と着脱可能に結合されるラチス構造物であって、前記ラチス構造物の長手方向に沿ってそれぞれ延びる複数の主材であって、前記長手方向と直交する方向に間隔をおいて並ぶ複数の主材と、前記長手方向に対して傾斜するようにそれぞれ延びる複数の斜材であって、当該複数の斜材のそれぞれが前記複数の主材のうちの何れか2本の主材を相互に連結する複数の斜材と、前記複数の主材の長手方向の端部にそれぞれ接続される複数のコネクタと、少なくとも一つの補強部と、を備え、前記複数の主材は、第1の主材と、第2の主材と、を含み、前記複数のコネクタは、前記第1の主材の端部に接続される第1のコネクタと、前記第2の主材の端部に接続される第2のコネクタと、を含み、前記複数の斜材は、前記第1の主材と前記第2の主材を連結する複数の第1の斜材を含み、当該複数の第1の斜材は、前記第1のコネクタに最も近い位置に配置される第1の最近接斜材を含み、前記少なくとも一つの補強部は、第1の補強部を含み、当該第1の補強部は、前記第1の最近接斜材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで第1の特定方向に延びて前記第1の最近接斜材と前記第2の主材又は前記第2のコネクタを相互に連結する。
【0010】
このラチス構造物では、前記第1の補強部が前記第1の最近接斜材に接続されるので、当該第1の補強部の端部を前記第1の最近接斜材の端部と前記第1のコネクタとの間に介在させる必要がない。従って、前記第1の最近接斜材の端部を前記第1のコネクタに近づけることが可能になる。このことは、前記第1の補強部を設けつつ、前記2つの斜材の端部同士の間隔、すなわち、このラチス構造物の最近接斜材の端部と前記他のラチス構造物の最近接斜材の端部との間の間隔が大きくなるのを抑制することができる。その結果、前記連結部及びその近傍において前記第1の補強部による座屈強度の向上効果を得るとともに、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0011】
前記ラチス構造物において、前記第1の最近接斜材の一端部が前記第1のコネクタに接続され、前記第1の最近接斜材の他端部が前記第2の主材に接続されることにより、当該第1の最近接斜材が前記第1の主材と前記第2の主材を相互に連結することが好ましい。
【0012】
この態様では、前記第1の最近接斜材の一端部が前記第1のコネクタに接続されるので、当該第1の最近接斜材は、前記ラチス構造物と他のラチス構造物との前記連結部(具体的には、当該連結部における前記第1のコネクタに対応する部分)において理想的なラチス構造を形成することができる。これにより、前記連結部及びその近傍において、ラチス構造物の剛性の低下を効果的に抑制することができる。
【0013】
前記ラチス構造物において、前記第1の特定方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向であることが好ましい。
【0014】
この態様では、前記第1の補強部の長手方向(第1の特定方向)が、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向であり、前記ラチス構造物の座屈変形の方向に近くなるので、より効果的に座屈強度が向上する。
【0015】
前記ラチス構造物において、前記複数の主材は、第3の主材と、第4の主材と、をさらに含み、前記第1の主材及び第2の主材は、前記ラチス構造物の前記長手方向から見て四角形の4つの頂点のうち隣り合う2つの頂点に対応する位置に配置され、前記第3の主材及び第4の主材は、前記4つの頂点のうち残りの2つの頂点に対応する位置に配置され、前記複数のコネクタは、前記第3の主材の端部に接続される第3のコネクタと、前記第4の主材の端部に接続される第4のコネクタと、をさらに含み、前記複数の斜材は、前記第3の主材と前記第4の主材を連結する複数の第2の斜材を含み、当該複数の第2の斜材は、前記第3のコネクタに最も近い位置に配置される第2の最近接斜材を含み、前記少なくとも一つの補強部は、第2の補強部をさらに含み、当該第2の補強部は、前記第2の最近接斜材から前記第4の主材又は前記第4のコネクタまで第2の特定方向に延びて前記第2の最近接斜材と前記第4の主材又は前記第4のコネクタを相互に連結することが好ましい。
【0016】
この態様では、前記四角形の4つの頂点のうち隣り合う2つの頂点に対応する位置に配置される前記第1の主材及び第2の主材が前記第1の最近接斜材及び前記第1の補強部により補強され、前記4つの頂点のうち残りの2つの頂点に対応する位置に配置される前記第3の主材及び第4の主材が前記第2の最近接斜材及び前記第2の補強部により補強される。これにより、前記ラチス構造物における四角形の両サイドに対応する部位がバランスよく補強される。
【0017】
前記ラチス構造物において、前記第2の最近接斜材の一端部が前記第3のコネクタに接続され、前記第2の最近接斜材の他端部が前記第4の主材に接続されることにより、当該第2の最近接斜材が前記第3の主材と前記第4の主材を相互に連結することが好ましい。
【0018】
この態様では、前記第2の最近接斜材の一端部が前記第3のコネクタに接続されるので、当該第2の最近接斜材は、前記ラチス構造物と他のラチス構造物との前記連結部(具体的には、当該連結部における前記第3のコネクタに対応する部分)において理想的なラチス構造を形成することができる。これにより、前記連結部及びその近傍において、ラチス構造物の剛性の低下をさらに抑制することができる。
【0019】
前記ラチス構造物において、前記第2の特定方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向であることが好ましい。
【0020】
この態様では、前記第2の補強部の長手方向(第2の特定方向)が、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向であり、前記ラチス構造物の座屈変形の方向に近くなるので、より効果的に座屈強度が向上する。
【0021】
前記ラチス構造物において、前記第1の主材と前記第1の最近接斜材を相互に連結する副補強部をさらに備えることが好ましい。
【0022】
この態様に係るラチス構造物は、第1の最近接斜材と第2の主材又は第2のコネクタとを相互に連結する第1の補強部だけでなく、第1の主材と第1の最近接斜材とを相互に連結する副補強部を含む。すなわち、第1の補強部及び副補強部が第1の最近接斜材の両サイドに配置されて第1の最近接斜材を支持する。従って、この態様では、副補強部を備えていないラチス構造物に比べて、第1の最近接斜材の変形が効果的に抑制され、ラチス構造物の剛性がより向上する。
【0023】
前記ラチス構造物において、前記副補強部は、当該副補強部を前記第1の特定方向から見たときに前記副補強部が前記第1の補強部に重なるような位置に配置されていることが好ましい。
【0024】
この態様では、作業機械による作業が行われるときに第1の補強部から副補強部へ効率的に荷重が伝達され、副補強部から第1の補強部へ効率的に荷重が伝達される。
【0025】
前記ラチス構造物において、前記副補強部は、前記第1の主材から前記第1の最近接斜材まで前記第1の特定方向に平行な方向に延びることがより好ましい。
【0026】
この態様では、副補強部の長手方向が、第1の補強部の長手方向(第1の特定方向)に平行であるので、作業機械による作業が行われるときに第1の補強部から副補強部へさらに効率的に荷重が伝達され、副補強部から第1の補強部へさらに効率的に荷重が伝達される。特に、副補強部の長手方向は、ラチス構造物の長手方向に直交する方向であることがより好ましく、この場合、副補強部の長手方向が前記ラチス構造物の座屈変形の方向に近くなるので、より効果的に座屈強度が向上する。
【0027】
前記ラチス構造物において、前記第1の最近接斜材は、前記第1の主材又は前記第1のコネクタから前記第2の主材まで連続して延びる連続部材であり、前記第1の補強部は、前記第1の特定方向の一端部と他端部とを有し、前記一端部が前記第1の最近接斜材に接続され、前記他端部が前記第2の主材又は前記第2のコネクタに接続され、前記副補強部は、一端部と他端部とを有し、前記副補強部の一端部が前記第1の主材に接続され、前記副補強部の他端部が前記第1の最近接斜材に接続されてもよい。
【0028】
この態様では、前記連続部材である第1の最近接斜材に第1の補強部及び副補強部をそれぞれ接続することにより、第1の最近接斜材の端部を副補強部よりも第1のコネクタに近い位置に配置することができる。これにより、第1の最近接斜材の端部と第1のコネクタ(具体的には、第1のコネクタのピン挿通孔)との間のギャップを小さくすることができる。従って、この態様では、前記連結部及びその近傍において第1の補強部及び副補強部による座屈強度の向上効果を得ることができ、しかも、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0029】
また、この態様では、第1の最近接斜材が上記のような連続部材であるので、当該第1の最近接斜材を単一の部材により構成することも可能になる。第1の最近接斜材が単一の部材により構成される場合には、第1の最近接斜材が互いに連結された複数の部材により構成される場合に比べて、第1の最近接斜材における荷重の伝達がよりスムーズになる。このことは、ラチス構造物の剛性をより効率的に向上させることを可能にする。
【0030】
また、作業機械による作業が行われるときに、第1の補強部及び副補強部に作用する荷重は、第1の最近接斜材に作用する荷重よりも小さいことが多い。従って、第1の補強部及び副補強部の外径を、第1の最近接斜材の外径よりも小さくすることも可能になる。この場合、ラチス構造物を軽量化することができる。また、この場合、相対的に外径の小さい第1の補強部及び副補強部のそれぞれを、相対的に外径の大きい第1の最近接斜材に容易に接続することができる。
【0031】
前記ラチス構造物において、前記副補強部は、例えばパイプにより構成されていてもよいが、少なくとも一つの板状の部材、型鋼、又は箱型の形状を有する部材により構成されていてもよい。
【0032】
副補強部が少なくとも一つの板状の部材により構成される場合には、副補強部がパイプにより構成される場合に比べて、製作が容易であり、コストを低減することも可能になる。副補強部が例えばH型鋼、溝型鋼などの型鋼により構成される場合には、副補強部が板状の部材により構成される場合に比べて、強度を向上させることができる。副補強部が箱型の形状を有する部材により構成される場合には、副補強部が板状の部材により構成される場合に比べて、強度を向上させることができるとともに軽量化も可能になる。
【0033】
前記ラチス構造物において、前記第1の補強部は、前記第1の主材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで前記第1の特定方向に連続して延びる連続部材の一部分であり、この一部分は、前記連続部材のうち前記第2の主材又は前記第2のコネクタに接続される端部を含む部分であり、前記副補強部は、前記連続部材の他の一部分であり、この他の一部分は、前記連続部材のうち前記第1の主材に接続される端部を含む部分であり、前記第1の最近接斜材は、前記連続部材のうち前記第1の補強部と前記副補強部との間の部分である中間部分と、当該中間部分に接続され、当該中間部分から前記第1の主材又は前記第1のコネクタまで延びる第1部材と、前記中間部分に接続され、前記中間部分から前記第2の主材まで延びる第2部材と、を含んでいてもよい。
【0034】
この態様では、前記連続部材の一部分により第1の補強部が構成され、前記連続部材の他の一部分により副補強部が構成され、第1の最近接斜材は、前記連続部材の中間部分と、これに接続された第1部材及び第2部材とにより形成されている。従って、第1の最近接斜材の端部を副補強部よりも第1のコネクタに近い位置に配置することができる。これにより、第1の最近接斜材の端部と第1のコネクタ(具体的には、第1のコネクタのピン挿通孔)との間のギャップを小さくすることができる。従って、この態様では、前記連結部及びその近傍において第1の補強部及び副補強部による座屈強度の向上効果を得ることができ、しかも、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0035】
また、この態様では、第1部材及び第2部材を前記連続部材の中間部分に接続するという構造が採用されることにより、第1の補強部及び副補強部を含む前記連続部材を単一の部材により構成することも可能になる。前記連続部材が単一の部材により構成される場合には、前記連続部材が互いに連結された複数の部材により構成される場合に比べて、前記連続部材の長手方向の寸法精度が低下することを抑制できる。これにより、第1のコネクタと第2のコネクタとの間の距離、具体的には、第1のコネクタのピン挿通孔と第2のコネクタのピン挿通孔との間の距離の精度を容易に確保することができる。
【0036】
さらに、この態様では、第1の最近接斜材は、前記中間部分に前記第1部材と前記第2部材とが接続されることによって形成されている。従って、これら3つの部分のそれぞれの長さを、第1の最近接斜材の全長に対して短くすることができる。これにより、第1の最近接斜材が単一の部材によって構成される場合に比べて、座屈強度の点で有利になるので、第1の最近接斜材の断面積を小さくして軽量化を図ることも可能になる。
【0037】
前記ラチス構造物において、前記第1部材は、当該第1部材を前記第2部材の長手方向から見たときに前記第1部材が前記第2部材に重なるような位置に配置されていることがより好ましい。
【0038】
この態様では、作業機械による作業が行われるときに第1部材から第2部材へ効率的に荷重が伝達され、第2部材から第1部材へ効率的に荷重が伝達される。
【0039】
前記ラチス構造物において、前記第1部材の長手方向は、前記第2部材の前記長手方向に平行であることが好ましい。
【0040】
この態様では、作業機械による作業が行われるときに第1部材から第2部材へさらに効率的に荷重が伝達され、第2部材から第1部材へさらに効率的に荷重が伝達される。
【0041】
前記ラチス構造物において、前記第1部材は、例えばパイプにより構成されていてもよいが、少なくとも一つの板状の部材、型鋼、又は箱型の形状を有する部材により構成されていてもよい。
【0042】
第1部材が少なくとも一つの板状の部材により構成される場合には、第1部材がパイプにより構成される場合に比べて、製作が容易であり、コストを低減することも可能になる。第1部材が例えばH型鋼、溝型鋼などの型鋼により構成される場合には、第1部材が板状の部材により構成される場合に比べて、強度を向上させることができる。第1部材が箱型の形状を有する部材により構成される場合には、第1部材が板状の部材により構成される場合に比べて、強度を向上させることができるとともに軽量化も可能になる。
【0043】
前記ラチス構造物において、前記第1の最近接斜材は、前記第1の主材又は前記第1のコネクタから前記第2の主材まで連続して延びる連続部材であり、前記第1の補強部は、前記第1の主材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで前記第1の特定方向に連続して延びる補強連続部材の一部分であり、この一部分は、前記補強連続部材のうち前記第1の最近接斜材から前記第2の主材又は前記第2のコネクタまで延びる部分であり、前記副補強部は、前記補強連続部材の他の一部分であり、この他の一部分は、前記補強連続部材のうち前記第1の主材から前記第1の最近接斜材まで延びる部分であり、前記補強連続部材及び前記第1の最近接斜材のうちの一方の部材は、当該一方の部材の長手方向に対して交差する方向に当該一方の部材を貫通する貫通孔を有し、前記補強連続部材及び前記第1の最近接斜材のうちの他方の部材は、前記貫通孔に挿入されて前記一方の部材と交差するように配置されることが好ましい。
【0044】
この態様では、前記他方の部材が貫通孔に挿入されて前記一方の部材と交差するように配置されるので、第1の最近接斜材の端部を副補強部よりも第1のコネクタに近い位置に配置することができる。これにより、第1の最近接斜材の端部と第1のコネクタ(具体的には、第1のコネクタのピン挿通孔)との間のギャップを小さくすることができる。従って、この態様では、前記連結部及びその近傍において第1の補強部及び副補強部による座屈強度の向上効果を得ることができ、しかも、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0045】
また、この態様では、第1の最近接斜材及び補強連続部材の双方は、一端部から他端部まで途切れることなく連続する断面を有する。このことは、第1の最近接斜材及び補強連続部材のそれぞれにおいて一端部から他端部まで又は他端部から一端部まで効率的に荷重が伝達することを可能にし、また、剛性の確保が容易になる。
【0046】
また、前記一方の部材に形成された貫通孔に前記他方の部材が挿入されるという構造は、部品点数の増加を抑制することができ、しかも、第1の最近接斜材と補強連続部材の相対的な位置のずれが生じることを抑制することを可能にする。具体的に、例えば、補強連続部材が前記貫通孔を有し、当該貫通孔に第1の最近接斜材が挿入される形態が採用される場合には、第1の最近接斜材がその一端部から他端部までほぼ一様な断面を有することが可能になる。このことは、作業機械による作業が行われるときに第1の最近接斜材に作用する荷重を第1の主材又は第1のコネクタにより効率よく伝達することを可能にする。一方、第1の最近接斜材が前記貫通孔を有し、当該貫通孔に補強連続部材が挿入される形態が採用される場合には、補強連続部材がその一端部から他端部までほぼ一様な断面を有することが可能になる。このことは、ラチス構造物の製造時に、補強連続部材においてひずみ(例えば溶接ひずみ)が生じることを抑制することができる。
【0047】
前記ラチス構造物において、前記第1の最近接斜材は、前記第2の主材から前記第1の主材及び前記第1のコネクタに向かって延びる斜材本体と、当該斜材本体と前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方との間に介在する介在部材であって、前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方に接続される部分を含む介在部材と、を有し、前記介在部材は、前記斜材本体の一端部が接続される斜材本体接続部と、前記第1の補強部の一端部が接続される補強接続部と、を含むことが好ましい。
【0048】
この構成では、3つの接続部を含む介在部材、すなわち、第1の主材及び第1のコネクタの少なくとも一方に接続される部分である接続部、前記斜材本体接続部及び前記補強接続部を含む介在部材が設けられているので、第1の最近接斜材の端部(すなわち介在部材の端部)と第1のコネクタ(具体的には、第1のコネクタのピン挿通孔)との間のギャップを小さくすることができる。従って、この態様では、前記連結部及びその近傍において第1の補強部及び副補強部による座屈強度の向上効果を得ることができ、しかも、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0049】
前記ラチス構造物において、前記介在部材は、前記斜材本体接続部から前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方まで前記斜材本体の長手方向に平行な方向に連続する斜材連続部を有することが好ましい。
【0050】
この態様では、作業機械による作業が行われるときに第1の最近接斜材の斜材本体に作用する荷重を、介在部材の斜材連続部を介して、第1の主材又は第1のコネクタに連続的に効率よく伝達することが可能になる。
【0051】
前記ラチス構造物において、前記介在部材は、前記補強接続部から前記第1の主材まで前記第1の補強部の長手方向に平行な方向に連続する補強連続部を有することがより好ましい。
【0052】
この態様では、作業機械による作業が行われるときに第1の補強部に作用する荷重を、介在部材の前記補強連続部を介して、第1の主材に連続的に効率よく伝達することが可能になる。
【0053】
前記ラチス構造物において、前記介在部材は、前記斜材本体接続部から前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方まで前記斜材本体の長手方向に平行な方向に連続する斜材連続部であって、当該斜材連続部の先端部が前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方に接続されるように構成される斜材連続部と、前記補強接続部から前記第1の主材まで前記第1の補強部の長手方向に平行な方向に連続する補強連続部であって、当該補強連続部の先端部が前記斜材連続部の前記先端部よりも前記第1のコネクタから前記第1の主材の前記長手方向に離れた位置において前記第1の主材に接続されるように構成される補強連続部と、前記斜材連続部の前記先端部と前記補強連続部の前記先端部との間に架け渡されるように前記第1の主材に沿って延びる架橋部と、を有することが好ましい。
【0054】
この態様では、作業機械による作業が行われるときに第1の最近接斜材の斜材本体に作用する荷重を、介在部材の斜材連続部を介して、第1の主材又は第1のコネクタに連続的に効率よく伝達することができ、また、第1の補強部に作用する荷重を、介在部材の前記補強連続部を介して、第1の主材に連続的に効率よく伝達することができる。しかも、前記架橋部が斜材連続部の先端部と補強連続部の先端部との間に架け渡されているので、介在部材の剛性を向上させることができる。
【0055】
前記ラチス構造物において、前記介在部材は、前記斜材本体接続部から前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方まで前記斜材本体の長手方向に平行な方向に連続する斜材連続部であって、当該斜材連続部の先端部が前記第1の主材及び前記第1のコネクタの少なくとも一方に接続されるように構成される斜材連続部と、前記補強接続部から前記斜材連続部まで前記第1の補強部の長手方向に平行な方向に連続する補強連続部であって、当該補強連続部の先端部が前記斜材連続部に接続されるように構成される補強連続部と、前記補強連続部の前記先端部が前記斜材連続部に接続される部分よりも前記第2の主材に近い位置において前記斜材連続部と前記補強連続部との間に架け渡される架橋部と、を有することが好ましい。
【0056】
この態様では、作業機械による作業が行われるときに第1の最近接斜材の斜材本体に作用する荷重を、介在部材の斜材連続部を介して、第1の主材又は第1のコネクタに連続的に効率よく伝達することができ、また、第1の補強部に作用する荷重を、介在部材の前記補強連続部を介して、第1の主材に連続的に効率よく伝達することができる。しかも、前記架橋部が斜材連続部と補強連続部との間に架け渡されているので、介在部材の剛性を向上させることができる。
【0057】
前記ラチス構造物において、前記介在部材は、前記補強連続部の前記先端部よりも前記第1のコネクタから前記第1の主材の前記長手方向に離れた位置において前記斜材連続部と前記第1の主材との間に架け渡される第2の架橋部をさらに有することがより好ましい。
【0058】
この態様では、第2の架橋部によって介在部材の剛性がより高められている。
【0059】
前記ラチス構造物において、前記介在部材は、前記斜材連続部の前記先端部と、前記第1の主材に接続される部分である前記第2の架橋部の先端部との間に架け渡されるように前記第1の主材に沿って延びる第3の架橋部をさらに有することがさらに好ましい。
【0060】
この態様では、第3の架橋部によって介在部材の剛性がさらに高められている。
【0061】
前記ラチス構造物において、前記斜材本体接続部は、前記斜材本体の一端部を溶接するための平面である溶接面を有し、前記補強接続部は、前記第1の補強部の一端部を溶接するための平面である溶接面を有することが好ましい。
【0062】
この態様では、斜材本体の一端部及び第1の補強部の一端部が斜材本体接続部及び補強接続部に溶接によってそれぞれ接続される場合には、次のようなメリットがある。すなわち、この態様では、溶接面が例えばパイプの側面のような湾曲面である場合に比べて、溶接作業の作業性を向上させること、及び溶接の品質を向上させることが可能になる。
【0063】
前記ラチス構造物において、前記斜材本体接続部及び前記補強接続部は、連続する一体の部材により構成されていることがより好ましい。
【0064】
この態様では、斜材本体接続部及び補強接続部が連続する一体の部材により構成されているので、これらの溶接作業を連続的に行うことが可能になり、溶接作業の作業性を向上させることができる。また、連続的に溶接が行われることにより、溶接されない未溶着部分が形成されることが抑制されるので、溶接の品質を向上させることが可能になる。
【0065】
前記ラチス構造物において、前記第1の主材は、前記介在部材の一部が差し込まれる溝及び穴の少なくとも一方を含む差込部を有し、前記介在部材は、当該介在部材の前記一部が前記差込部に差し込まれた状態で前記第1の主材に固定されていてもよい。
【0066】
この態様では、介在部材の一部が差込部に差し込まれた状態で介在部材を第1の主材に固定することができるので、固定作業が行われるときに第1の主材と介在部材との相対位置を決めるための位置決め作業が容易になり、また、これらの相対位置の精度が向上し、さらに、固定作業の作業性が向上する。
【0067】
提供される作業機械は、基体と、前記基体の上に旋回可能となるように搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に回動可能に取り付けられるブームであって、上記のラチス構造物と当該ラチス構造物に隣接する前記他のラチス構造物とを有するブームと、を備え、前記ラチス構造物の前記複数のコネクタのそれぞれは、ピンによって前記他のラチス構造物の相手方コネクタと連結され、前記第1の補強部の延びる方向である前記第1の特定方向は、前記ピンの軸方向に直交する方向である。
【0068】
この作業機械では、前記補強部の延びる方向である前記第1の特定方向が前記ピンの軸方向に直交する方向であるので、前記補強部は前記座屈強度を効果的に向上させることができる。具体的に、前記ラチス構造物の前記連結部及びその近傍において前記座屈変形が生じやすくなるメカニズムは次の通りである。前記ブームがその長手方向に圧縮荷重を受けた場合、前記ラチス構造物と前記他のラチス構造物とを連結する連結部では、前記ラチス構造物の主材が前記他のラチス構造物の主材に対して前記ピン回りに相対回転し、これにより、前記座屈変形が生じる。本態様では、前記補強部は、前記第1の特定方向が前記ピンの軸方向に直交する方向となる姿勢で前記最近接斜材と前記主材又はコネクタとを連結する。このように配置された前記補強部は、前記ブームが圧縮荷重を受けた場合、前記ラチス構造物の主材が前記他のラチス構造物の主材に対して前記ピン回りに相対回転するように変形するのを効果的に抑制し、これにより、前記座屈変形が効果的に抑制される。
【発明の効果】
【0069】
以上のように、前記ラチス構造物及びこれを備える作業機械は、2つのラチス構造物を互いに連結する連結部及びその近傍において座屈強度が低下することを抑制するための補強部を設けつつ、前記連結部に最も近い位置に配置される2つの斜材の端部同士の間隔が大きくなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の実施形態に係る作業機械を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るラチス構造物及び当該ラチス構造物に結合された他のラチス構造物を示す斜視図である。
【
図3】
図2における前記ラチス構造物を示す斜視図である。
【
図4】
図2において枠IVで囲まれた部分の拡大図である。
【
図5】
図2において枠Vで囲まれた部分の拡大図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るラチス構造物及び当該ラチス構造物に結合された他のラチス構造物を示す斜視図である。
【
図7】
図6における前記ラチス構造物を示す斜視図である。
【
図8】
図6において枠VIIIで囲まれた部分の拡大図である。
【
図9】
図6において枠IXで囲まれた部分の拡大図である。
【
図10】
図9に示す部分を反対側から見た図である。
【
図11】第1及び第2の実施形態の変形例1に係るラチス構造物を示す概略の側面図である。
【
図12】第1及び第2の実施形態の変形例2に係るラチス構造物を示す概略の側面図である。
【
図13】第1及び第2の実施形態の変形例3に係るラチス構造物を示す概略の側面図である。
【
図14】第3の実施形態に係るラチス構造物を示す斜視図である。
【
図15】第3の実施形態に係るラチス構造物を示す側面図である。
【
図16】
図14において枠XVIで囲まれた部分を拡大した斜視図である。
【
図17】
図14において枠XVIで囲まれた部分を拡大した側面図である。
【
図18】第3の実施形態の変形例に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
【
図19】第4の実施形態に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
【
図20】第4の実施形態に係るラチス構造物の製造に用いられる部品を示す斜視図である。
【
図21】第4の実施形態の変形例1に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
【
図22】第4の実施形態の変形例2に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
【
図23】第5の実施形態に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
【
図24】第5の実施形態に係るラチス構造物の製造に用いられる部品を示す側面図である。
【
図25】第5の実施形態の変形例に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
【
図26】第5の実施形態の変形例に係るラチス構造物の製造に用いられる部品を示す側面図である。
【
図27】第6の実施形態に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
【
図28】第6の実施形態に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
【
図29】第6の実施形態の変形例1に係るラチス構造物の部品を示す側面図である。
【
図30】第6の実施形態の変形例2に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
【
図31】第6の実施形態の変形例3に係るラチス構造物の部品を示す側面図である。
【
図32】第6の実施形態の変形例4に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
【
図33】第6の実施形態の変形例4に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
【
図34】第7の実施形態に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
【
図35】第7の実施形態に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
【
図36】第7の実施形態の変形例1に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
【
図37】第7の実施形態の変形例1に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
【
図38】第7の実施形態の変形例2に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0072】
[作業機械]
図1は、本発明の実施形態に係る作業機械としてのクレーン100の側面図である。
図1に示すように、クレーン100は、基体としての下部走行体1と、下部走行体1の上に旋回可能に支持される上部旋回体2と、ラチスブーム3と、ジブ4と、マスト5と、リアストラット6と、フロントストラット7と、を備える。上部旋回体2の後部には、クレーン100のバランスを調整するためのカウンタウエイト2Aが積載され、上部旋回体2の前端部には運転席であるキャブ2Bが搭載されている。
【0073】
前記ラチスブーム3は、ブームフット8を構成する下端部を有し、これを支点として起伏方向に回動可能となるように前記上部旋回体2の旋回フレームに支持される。当該ラチスブーム3は、相互に連結される複数のラチス構造物を備える。前記複数のラチス構造物は、基端側から順に並ぶ第1ブーム部材31、第2ブーム部材32、第3ブーム部材33及び第4ブーム部材34を含む。
【0074】
前記第1ブーム部材31は、基端側ブーム部材であって、ブームフット8を含む基端部と、その反対側の先端部と、を有する。前記ブームフット8は、上部旋回体2の前部に前
記起伏方向に回動可能となるように連結される。
【0075】
前記第2~第4ブーム部材32,33,34は、第1ブーム部材31に近い側からその順に並び、その並び方向(すなわちラチスブーム3の長手方向)に隣接するブーム部材同士が着脱可能に相互に連結される。前記第2及び第3ブーム部材32,33のそれぞれは、中間ブーム部材であって、それぞれの基端側に隣接するブーム部材に着脱可能に連結される基端部と、それぞれの先端側に隣接するブーム部材に着脱可能に連結される先端部と、を有する。前記第4ブーム部材34は、先端側ブーム部材であって、第3ブーム部材33の先端部に着脱可能に連結される基端部と、その反対側の端部であってラチスブーム3の先端を構成する先端部と、を有する。
【0076】
前記ジブ4は、ラチスブーム3の先端部、すなわち第4ブーム部材34の先端部、に回動可能に連結される。前記マスト5、前記リアストラット6及び前記フロントストラット7は前記ジブ4を回動させるための部材である。
【0077】
前記マスト5は、前記ブーム3の起伏方向と同方向に回動可能となるように前記上部旋回体2に支持される基端部と、その反対側の先端部と、を有する。当該先端部は、左右一対のブーム用ガイライン9を介してブーム3の先端に連結される。
【0078】
前記リアストラット6及び前記フロントストラット7は前記ラチスブーム3の先端に回動可能に軸支される。前記リアストラット6は、左右一対のバックストップ10及び該リンク11により、前記ラチスブーム3の先端からブーム起立側(
図1では左側)に張り出す姿勢で保持される。前記フロントストラット7は、前記ジブ4と連動して(一体的に)回動するように、左右一対のジブ用ガイライン12を介して前記ジブ4に連結される。
【0079】
前記上部旋回体2には、複数のウィンチが搭載される。当該複数のウィンチは、ブーム起伏用ウィンチ13と、ジブ起伏用ウィンチ14と、主巻用ウィンチ15と、補巻用ウィンチ16と、を含む。
【0080】
前記ブーム起伏用ウィンチ13は、ブーム起伏用ロープ17の巻き取り及び繰り出しを行うことにより前記マスト5を回動させ、これにより前記ラチスブーム3を起伏させる。前記ブーム起伏用ロープ17は、前記マスト5の回動端部及び前記上部旋回体2の後端部にそれぞれ設けられたシーブブロック18,19に掛け渡されている。
【0081】
前記ジブ起伏用ウィンチ14は、前記リアストラット6と前記フロントストラット7との間に巻き回されたジブ起伏用ロープ22の巻き取り及び繰り出しを行うことにより前記フロントストラット7を回動させ、これにより前記ジブ4を起伏させる。前記ジブ起伏用ロープ22は、前記リアストラット6の長手方向中間部に設けられたガイドシーブ23に掛けられ、かつ、前記リアストラット6の回動端部及び前記フロントストラット7の回動端部にそれぞれ設けられたシーブブロック24,25間に掛け渡されている。
【0082】
前記主巻用ウィンチ15は、前記ジブ4の先端から主巻ロープ20を介して吊り下げられる吊り荷の巻上げ及び巻下げを行い、前記補巻用ウィンチ16は、前記ジブ4の先端から補巻ロープ21を介して吊り下げられる吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。
【0083】
以上説明したクレーン100において、前記ラチスブーム3を構成する第1~第4ブーム部材31~34のそれぞれは、基本的に共通の構造を有するラチス構造物である。そこで、第1~第4ブーム部材31~34のうち代表的に、第2ブーム部材32及びこれに隣接する第3ブーム部材33の基本構造と、当該第2ブーム部材32と当該第3ブーム部材33とを相互に着脱可能に連結するための構造とを、図面を参照しながら説明する。
【0084】
[第1の実施形態に係るラチス構造物]
図2は、本発明の第1の実施形態に係るラチス構造物33(第3ブーム部材33)及び当該ラチス構造物33に結合された第1の実施形態に係る他のラチス構造物32(第2ブーム部材32)を示す斜視図である。これらのラチス構造物32,33は、ラチス構造物連結体を構成する。
図3は、
図2における前記ラチス構造物32,33のうちの一方を示す斜視図である。
【0085】
図2及び
図3に示すように、ラチス構造物32,33のそれぞれは、4つの主材50と、複数のコネクタと、複数の斜材60と、複数の補強部40と、を備える。前記ラチス構造物32と前記ラチス構造物33は同様の構造を有する。
【0086】
[主材]
前記4つの主材50のそれぞれは、直線状に延びるパイプ(メインパイプ)であり、その長手方向D(軸方向D)の一端部と前記長手方向Dの反対側の他端部とを有する。4つの主材50は、前記ラチス構造物の長手方向と直交する方向(主材50の径方向)に間隔をおいて並んでいる。複数の主材50のそれぞれは、ラチスブーム3の長手方向、すなわち、ラチス構造物32,33の長手方向に沿って延びるように配置されている。具体的には、複数の主材50のそれぞれは、ラチス構造物32,33の長手方向に平行な姿勢で配置されている。
【0087】
前記4つの主材50は、第1の主材51と、第2の主材52と、第3の主材53と、第4の主材54とを含む。第1~第4の主材50は、当該ラチス構造物を前記長手方向から見て長方形(具体的には、例えば正方形)の4つの頂点に対応する位置にこの順に配置される。前記ラチス構造物32,33のそれぞれでは、前記4つの主材50は互いに平行な姿勢で配置されているが、これに限られない。
【0088】
[コネクタ]
図4は、
図2において枠IVで囲まれた部分の拡大図であり、
図5は、
図2において枠Vで囲まれた部分の拡大図である。
図2~
図5に示すように、前記複数のコネクタは、前記4つの主材50の前記一端部及び前記他端部にそれぞれ接合される。具体的に、前記4つの主材50のそれぞれの前記一端部(
図2,3では左端部)には、雌形のコネクタ及び雄形のコネクタの一方のコネクタが接合され、前記4つの主材50のそれぞれの前記他端部(
図2,3では右端部)には、雌形のコネクタ及び雄形のコネクタの他方のコネクタが接合される。
【0089】
図4及び
図5に示す具体例では、前記第1の主材51の一端部には雌形の第1のコネクタ71Aが接合され、前記第1の主材51の他端部には雄形の第1のコネクタ71Bが接合される。前記第2の主材52の一端部には雌形の第2のコネクタ72Aが接合され、前記第2の主材52の他端部には雄形の第2のコネクタ72Bが接合される。前記第3の主材53の一端部には、前記第1のコネクタ71Aと同じ形状の雌形の第3のコネクタ71Aが接合され、前記第3の主材53の他端部には、前記第1のコネクタ71Bと同じ形状の雄形の第3のコネクタ71Bが接合される。前記第4の主材54の一端部には、前記第2のコネクタ72Aと同じ形状の雌形の第4のコネクタ72Aが接合され、前記第4の主材54の他端部には、前記第2のコネクタ72Bと同じ形状の雄形の第4のコネクタ72Bが接合される。
【0090】
図3に示すように、第1のコネクタ71A,71B、第2のコネクタ72A,72B、第3のコネクタ71A,71B及び第4のコネクタ72A,72Bのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)は、互いに平行である。
【0091】
図5に示すように、雌形のコネクタ71Aと雄形のコネクタ71Bは、ピン90によって互いに回動可能に連結される。これらのコネクタ71A,71Bは、隣り合うラチス構造物32,33の連結部71を構成する。前記コネクタ71A,71Bのそれぞれは、ピン90を挿通するための挿通孔90hを有する。前記コネクタ71Aは、主材50が接合される主材接合部73と、斜材60が接合される斜材接合部74と、を有する。同様に、前記コネクタ71Bは、主材50が接合される主材接合部73と、斜材60が接合される斜材接合部74と、を有する。
【0092】
本実施形態では、
図5に示すように、前記コネクタ71Aに接続される主材50の長手方向及び前記コネクタ71Aに接続される斜材60の長手方向に平行な平面と、前記コネクタ71Bに接続される主材50の長手方向及び前記コネクタ71Bに接続される斜材60の長手方向に平行な平面とは、互いに平行であり、かつ、前記ピン90の軸方向L(前記挿通孔90hの中心線L)に直交している。
【0093】
図4に示すように、雌形のコネクタ72Aと雄形のコネクタ72Bは、ピン90によって互いに回動可能に連結される。これらのコネクタ72A,72Bは、隣り合うラチス構造物32,33の連結部72を構成する。前記コネクタ72A,72Bのそれぞれは、ピン90を挿通するための挿通孔90hを有する。前記コネクタ72Aは、主材50が接合される主材接合部73と、斜材60が接合される斜材接合部74と、を有する。同様に、前記コネクタ72Bは、主材50が接合される主材接合部73と、斜材60が接合される斜材接合部74と、を有する。
【0094】
本実施形態では、
図4に示すように、前記コネクタ72Aに接続される主材50の長手方向及び前記コネクタ72Aに接続される斜材60の長手方向に平行な平面と、前記コネクタ72Bに接続される主材50の長手方向及び前記コネクタ72Bに接続される斜材60の長手方向に平行な平面とは、互いに平行であり、かつ、前記ピン90の軸方向L(前記挿通孔90hの中心線L)に平行である。
【0095】
本実施形態では、各コネクタは、一つの主材接合部73と一つの斜材接合部74のみを有する。
【0096】
[斜材]
前記複数の斜材60のそれぞれは、ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜するように直線状に延びるパイプ(傾斜パイプ)であり、その長手方向(軸方向)の一端部と前記長手方向の反対側の他端部とを有する。各斜材60は、前記4つの主材50のうち、隣り合う2本の主材50を相互に連結する。
【0097】
具体的に、例えば、前記複数の斜材60は、前記第1の主材51と前記第2の主材52とを連結する複数の第1の斜材60を含む。当該複数の第1の斜材60は、前記第1の主材51と前記第2の主材52をジグザグ状に連結している。また、前記複数の斜材60は、前記第3の主材53と前記第4の主材54とを連結する複数の第2の斜材60を含む。当該複数の第2の斜材60は、前記第3の主材53と前記第4の主材54をジグザグ状に連結している。同様に、前記第2及び第3の主材52,53は、前記複数の斜材60の一部の斜材60によって相互に連結され、前記第4及び第1の主材54,51は、前記複数の斜材60の他の一部の斜材60によって相互に連結される。
【0098】
[最近接斜材]
本実施形態に係るラチス構造体では、前記複数の斜材60は、前記ラチス構造物の前記長手方向の一端部(
図3では左端部)の近傍に配置される4つの最近接斜材601~604を含む。
【0099】
最近接斜材601(第1の最近接斜材の一例)は、前記第1の主材51と前記第2の主材52を連結する前記複数の第1の斜材60のうち、前記第1のコネクタ71Aに最も近い位置に配置される斜材60である。前記最近接斜材601の一端部は、前記第1のコネクタ71Aに接合され、前記最近接斜材601の他端部は、前記第2の主材52に接合される。これにより、当該最近接斜材601は、前記第1の主材51と前記第2の主材52を相互に連結する。前記最近接斜材601は、当該最近接斜材601の一端部と前記第1のコネクタ71Aとの距離が前記最近接斜材601の他端部と前記第2のコネクタ72Aとの距離よりも小さくなるように、前記ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜する方向D1に向けて配置されている。
【0100】
最近接斜材602は、前記第2の主材52と前記第3の主材53を連結する複数の斜材60のうち、前記第2のコネクタ72Aに最も近い位置に配置される斜材60である。前記最近接斜材602の一端部は、前記第2のコネクタ72Aに接合され、前記最近接斜材602の他端部は、前記第3の主材53に接合される。これにより、当該最近接斜材602は、前記第2の主材52と前記第3の主材53を相互に連結する。前記最近接斜材602は、当該最近接斜材602の一端部と前記第2のコネクタ72Aとの距離が前記最近接斜材602の他端部と前記第3のコネクタ71Aとの距離よりも小さくなるように、前記ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜する方向D2に向けて配置されている。
【0101】
最近接斜材603(第2の最近接斜材の一例)は、前記第3の主材53と前記第4の主材54を連結する前記複数の第2の斜材60のうち、前記第3のコネクタ71Aに最も近い位置に配置される斜材60である。前記最近接斜材603の一端部は、前記第3のコネクタ71Aに接合され、前記最近接斜材603の他端部は、前記第4の主材54に接合される。これにより、当該最近接斜材603は、前記第3の主材53と前記第4の主材54を相互に連結する。前記最近接斜材603は、当該最近接斜材603の一端部と前記第3のコネクタ71Aとの距離が前記最近接斜材603の他端部と前記第4のコネクタ72Aとの距離よりも小さくなるように、前記ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜する方向D3に向けて配置されている。
【0102】
最近接斜材604は、前記第4の主材54と前記第1の主材51を連結する複数の斜材60のうち、前記第4のコネクタ72Aに最も近い位置に配置される斜材60である。前記最近接斜材604の一端部は、前記第4のコネクタ72Aに接合され、前記最近接斜材604の他端部は、前記第1の主材51に接合される。これにより、当該最近接斜材604は、前記第4の主材54と前記第1の主材51を相互に連結する。前記最近接斜材604は、当該最近接斜材604の一端部と前記第4のコネクタ72Aとの距離が前記最近接斜材604の他端部と前記第1のコネクタ71Aとの距離よりも小さくなるように、前記ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜する方向D4に向けて配置されている。
【0103】
なお、前記ラチス構造物の前記長手方向の他端部の近傍にも、前記4つの最近接斜材601~604と同様に、4つの最近接斜材が配置されている。
【0104】
[補強部]
本実施形態では、前記複数の補強部40のそれぞれは、直線状に延びるパイプ(補強パイプ)である。前記複数の補強部40は、2つの補強部40(第1の補強部40と第2の補強部40)を含む。
【0105】
前記第1の補強部40は、その長手方向(軸方向)の一端部42と他端部41とを有する。前記第1の補強部40の前記一端部42が前記最近接斜材601に接合されるとともに前記第1の補強部40の前記他端部41が前記第2の主材52に接合される。第1の補強部40は、最近接斜材601から第2の主材52まで前記長手方向に延びて最近接斜材601と第2の斜材52を相互に連結する。具体的に、前記第1の補強部40の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向(第1の特定方向の一例)である。前記第1の補強部40は、前記第2のコネクタ72Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向で、かつ、前記第2の主材52の長手方向に交わる方向に延びる姿勢で配置されている。より具体的に、前記第1の補強部40は、前記第2のコネクタ72Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向で、かつ、前記第2の主材52の長手方向に直交する方向に延びる姿勢で配置されている。前記第1の補強部40の前記他端部41が前記第2の主材52に接合される位置は、前記第2の主材52のうち、前記第2のコネクタ72Aに隣接する部位である。
【0106】
前記第2の補強部40は、その長手方向(軸方向)の一端部42と他端部41とを有する。前記第2の補強部40の前記一端部42が前記最近接斜材603に接合されるとともに前記第2の補強部40の前記他端部41が前記第4の主材54に接合される。第2の補強部40は、最近接斜材603から第4の主材54まで前記長手方向に延びて最近接斜材603と第4の主材54を相互に連結する。具体的に、前記第2の補強部40の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向(第2の特定方向の一例)である。前記第2の補強部40は、前記第4のコネクタ72Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向で、かつ、前記第4の主材54の長手方向に交わる方向に延びる姿勢で配置されている。より具体的に、前記第2の補強部40は、前記第4のコネクタ72Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向で、かつ、前記第4の主材54の長手方向に直交する方向に延びる姿勢で配置されている。前記第2の補強部40の前記他端部41が前記第4の主材54に接合される位置は、前記第4の主材54のうち、前記第4のコネクタ72Aに隣接する部位である。
【0107】
以上説明したように、本実施形態に係るラチス構造物では、前記第1の補強部40の一端部42が前記最近接斜材601に接合されるので、当該第1の補強部40の端部を前記最近接斜材601の端部と前記第1のコネクタ71Aとの間に介在させる必要がない。従って、前記最近接斜材601の端部を前記第1のコネクタ71Aに近づけることが可能になる。このことは、前記第1の補強部40を設けつつ、前記2つの斜材60の端部同士の間隔、すなわち、
図5に示すようにラチス構造物32の最近接斜材601の端部とラチス構造物33の最近接斜材601の端部との間の間隔が大きくなるのを抑制することができる。
【0108】
また、前記実施形態では、前記最近接斜材601の一端部が前記第1のコネクタ71Aに接合され、前記最近接斜材601の他端部が前記第2の主材52に接合されることにより、当該最近接斜材601が前記第1の主材51と前記第2の主材52を相互に連結する。また、前記最近接斜材603の一端部が前記第3のコネクタ71Aに接合され、前記最近接斜材603の他端部が前記第4の主材54に接合されることにより、当該最近接斜材603が前記第3の主材53と前記第4の主材54を相互に連結する。
【0109】
この態様では、前記ラチス構造物の前記連結部71において理想的なラチス構造を形成することができる。これにより、前記連結部71及びその近傍において、ラチス構造物の剛性の低下を抑制することができる。
【0110】
前記実施形態では、前記第1の補強部40の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向であり、前記第2の補強部40の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向である。
【0111】
この態様は、前記第1の補強部40の長手方向及び前記第2の補強部40の長手方向のそれぞれが、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向であり、前記ラチス構造物の座屈変形の方向に近くなるので、より効果的に座屈強度が向上する。
【0112】
また、本実施形態では、前記四角形の4つの頂点のうち隣り合う2つの頂点に対応する位置に配置される前記第1及び第2の主材51,52が前記最近接斜材601及び前記第1の補強部40により補強され、前記4つの頂点のうち残りの2つの頂点に対応する位置に配置される前記第3及び第4の主材53,54が前記最近接斜材603及び前記第2の補強部40により補強される。これにより、前記ラチス構造物における四角形の両サイドに対応する部位がバランスよく補強される。
【0113】
また、本実施形態では、前記補強部40の長手方向が前記ピン90の軸方向L(コネクタのピン挿通孔の中心線L)に直交する方向であるので、前記補強部40は前記座屈強度を効果的に向上させることができる。具体的に、前記ブーム3がその長手方向に圧縮荷重を受けた場合、前記ラチス構造物と前記他のラチス構造物とを連結する連結部では、前記ラチス構造物の主材50が前記他のラチス構造物の主材50に対して前記ピン90回りに相対回転する。このため、前記連結部71及びその近傍では前記座屈変形が生じやすい。本実施形態では、前記補強部40は、その長手方向が前記ピン90の軸方向に直交する方向となるように前記最近接斜材601(603)と前記主材52(54)とを連結する。このように配置された前記補強部40は、前記ブーム3が圧縮荷重を受けた場合、前記ラチス構造物の主材50が前記他のラチス構造物の主材50に対して前記ピン90回りに相対回転するように変形するのを効果的に抑制し、これにより、前記座屈変形が効果的に抑制される。
【0114】
[第2の実施形態に係るラチス構造物]
図6は、本発明の第2の実施形態に係るラチス構造物33及び当該ラチス構造物33に結合された他のラチス構造物32を示す斜視図である。
図7は、
図6における前記ラチス構造物32,33のうちの一方を示す斜視図である。
【0115】
図6及び
図7に示す第2の実施形態では、ラチス構造物32,33のそれぞれは、4つの主材50と、複数のコネクタと、複数の斜材60と、複数の補強部40と、を備え、前記ラチス構造物32と前記ラチス構造物33は同様の構造を有する。すなわち、この第2の実施形態に係るラチス構造物の基本的な構成は、前記第1の実施形態と同様である。
【0116】
図8は、
図6において枠VIIIで囲まれた部分の拡大図であり、
図9は、
図6において枠IXで囲まれた部分の拡大図である。
図10は、
図9に示す部分を反対側から見た図である。
【0117】
第2の実施形態においても、前記4つの主材50のそれぞれは、直線状に延びるパイプ(メインパイプ)である。
図6~
図10に示すように、前記複数のコネクタは、前記4つの主材50の前記一端部及び前記他端部にそれぞれ接合される。具体的に、前記4つの主材50のそれぞれの前記一端部(
図6,7では左端部)には、雌形のコネクタ及び雄形のコネクタの一方のコネクタが接合され、前記4つの主材50のそれぞれの前記他端部(
図6,7では右端部)には、雌形のコネクタ及び雄形のコネクタの他方のコネクタが接合される。
【0118】
図8~
図10に示す具体例では、前記第1の主材51の一端部には雌形の第1のコネクタ81Aが接合され、前記第1の主材51の他端部には雄形の第1のコネクタ81Bが接合される。前記第2の主材52の一端部には雌形の第2のコネクタ82Aが接合され、前記第2の主材52の他端部には雄形の第2のコネクタ82Bが接合される。前記第3の主材53の一端部には、前記第1のコネクタ81Aと同じ形状の雌形の第3のコネクタ81Aが接合され、前記第3の主材53の他端部には、前記第1のコネクタ81Bと同じ形状の雄形の第3のコネクタ81Bが接合される。前記第4の主材54の一端部には、前記第2のコネクタ82Aと同じ形状の雌形の第4のコネクタ82Aが接合され、前記第4の主材54の他端部には、前記第2のコネクタ82Bと同じ形状の雄形の第4のコネクタ82Bが接合される。
【0119】
図7に示すように、第1のコネクタ81A,81B、第2のコネクタ82A,82B、第3のコネクタ81A,81B及び第4のコネクタ82A,82Bのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)は、互いに平行である。
【0120】
図9及び
図10に示すように、雌形のコネクタ81Aと雄形のコネクタ81Bは、ピン90によって互いに回動可能に連結される。これらのコネクタ81A,81Bは、隣り合うラチス構造物32,33の連結部81を構成する。前記コネクタ81A,81Bのそれぞれは、ピン90を挿通するための挿通孔90hを有する。前記コネクタ81Aは、主材50が接合される主材接合部83と、2つの斜材60が接合される2つの斜材接合部84と、を有する。同様に、前記コネクタ81Bは、主材50が接合される主材接合部83と、2つの斜材60が接合される2つの斜材接合部84と、を有する。
【0121】
本実施形態では、
図9及び
図10に示すように、前記コネクタ81Aに接続される主材50の長手方向D及び前記コネクタ81Aに接続される一方の斜材60の長手方向D21に平行な平面と、前記コネクタ81Bに接続される主材50の長手方向D及び前記コネクタ81Bに接続される一方の斜材60の長手方向D31に平行な平面とは、互いに平行であり、かつ、前記ピン90の軸方向L(前記挿通孔90hの中心線L)に直交している。
【0122】
また、前記コネクタ81Aに接続される主材50の長手方向D及び前記コネクタ81Aに接続される他方の斜材60の長手方向D22に平行な平面と、前記コネクタ81Bに接続される主材50の長手方向D及び前記コネクタ81Bに接続される他方の斜材60の長手方向D32に平行な平面とは、互いに平行であり、かつ、前記ピン90の軸方向L(前記挿通孔90hの中心線L)に平行である。
【0123】
図8に示すように、雌形のコネクタ82Aと雄形のコネクタ82Bは、ピン90によって互いに回動可能に連結される。これらのコネクタ82A,82Bは、隣り合うラチス構造物32,33の連結部82を構成する。前記コネクタ82A,82Bのそれぞれは、ピン90を挿通するための挿通孔90hを有する。前記コネクタ82Aは、主材50が接合される主材接合部83を有し、斜材60が接合される斜材接合部を有していない。同様に、前記コネクタ82Bは、主材50が接合される主材接合部83を有し、斜材60が接合される斜材接合部を有していない。すなわち、雌形のコネクタ82A及び雄形のコネクタ82Bのそれぞれには、主材50のみが接続される。
【0124】
[斜材]
第2の実施形態においても、複数の斜材60のそれぞれは、ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜するように直線状に延びるパイプ(傾斜パイプ)であり、各斜材60は、前記4つの主材50のうち、隣り合う2本の主材50を相互に連結する。具体的に、例えば、前記第1の主材51と前記第2の主材52は、複数の第1の斜材60のそれぞれによって連結される。前記複数の第1の斜材60は、前記第1の主材51と前記第2の主材52をジグザグ状に連結している。同様に、前記第3の主材53と前記第4の主材54は、複数の第2の斜材60のそれぞれによって連結される。前記複数の第2の斜材60は、前記第3の主材53と前記第4の主材54をジグザグ状に連結している。
【0125】
[最近接斜材]
また、第2の実施形態においても、前記複数の斜材60は、前記ラチス構造物の前記長手方向の一端部(
図3では左端部)の近傍に配置される4つの最近接斜材601~604を含む。
【0126】
図6及び
図7に示すように、最近接斜材601(第1の最近接斜材の一例)は、前記第1の主材51と前記第2の主材52を連結する前記複数の第1の斜材60のうち、前記第1のコネクタ81Aに最も近い位置に配置される斜材60である。前記最近接斜材601の一端部は、前記第1のコネクタ81Aに接合され、前記最近接斜材601の他端部は、前記第2の主材52に接合される。これにより、当該最近接斜材601は、前記第1の主材51と前記第2の主材52を相互に連結する。
図7に示すように、前記最近接斜材601は、当該最近接斜材601の一端部と前記第1のコネクタ81Aとの距離が前記最近接斜材601の他端部と前記第2のコネクタ82Aとの距離よりも小さくなるように、前記ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜する方向D21に向けて配置されている。
【0127】
最近接斜材602は、前記第2の主材52と前記第3の主材53を連結する複数の斜材60のうち、前記第2のコネクタ82Aに最も近い位置に配置される斜材60である。前記最近接斜材602の一端部は、前記第3のコネクタ81Aに接合され、前記最近接斜材602の他端部は、前記第2の主材52に接合される。これにより、当該最近接斜材602は、前記第2の主材52と前記第3の主材53を相互に連結する。前記最近接斜材602は、当該最近接斜材602の一端部と前記第2のコネクタ82Aとの距離が前記最近接斜材602の他端部と前記第3のコネクタ81Aとの距離よりも大きくなるように、前記ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜する方向D22に向けて配置されている。
【0128】
最近接斜材603(第2の最近接斜材の一例)は、前記第3の主材53と前記第4の主材54を連結する前記複数の第2の斜材60のうち、前記第3のコネクタ81Aに最も近い位置に配置される斜材60である。前記最近接斜材603の一端部は、前記第3のコネクタ81Aに接合され、前記最近接斜材603の他端部は、前記第4の主材54に接合される。これにより、当該最近接斜材603は、前記第3の主材53と前記第4の主材54を相互に連結する。前記最近接斜材603は、当該最近接斜材603の一端部と前記第3のコネクタ81Aとの距離が前記最近接斜材603の他端部と前記第4のコネクタ82Aとの距離よりも小さくなるように、前記ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜する方向D23に向けて配置されている。
【0129】
最近接斜材604は、前記第4の主材54と前記第1の主材51を連結する複数の斜材60のうち、前記第4のコネクタ82Aに最も近い位置に配置される斜材60である。前記最近接斜材604の一端部は、前記第1のコネクタ81Aに接合され、前記最近接斜材604の他端部は、前記第4の主材54に接合される。これにより、当該最近接斜材604は、前記第4の主材54と前記第1の主材51を相互に連結する。前記最近接斜材604は、当該最近接斜材604の一端部と前記第4のコネクタ82Aとの距離が前記最近接斜材604の他端部と前記第1のコネクタ81Aとの距離よりも大きくなるように、前記ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜する方向D24に向けて配置されている。
【0130】
なお、前記ラチス構造物の前記長手方向の他端部の近傍にも、前記4つの最近接斜材601~604と同様に、4つの最近接斜材が配置されている。
【0131】
[補強部]
第2の実施形態においても、前記複数の補強部40のそれぞれは、直線状に延びるパイプ(補強パイプ)であり、前記複数の補強部40は、2つの補強部40(第1の補強部40と第2の補強部40)を含む。
【0132】
前記第1の補強部40は、その長手方向(軸方向)の一端部42と他端部41とを有する。前記第1の補強部40の前記一端部42が前記最近接斜材601に接合されるとともに前記第1の補強部40の前記他端部41が前記第2の主材52に接合される。第1の補強部40は、最近接斜材601から第2の主材52まで前記長手方向(第1の特定方向の一例)に延びて最近接斜材601と第2の斜材52を相互に連結する。具体的に、前記第1の補強部40の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向である。前記第1の補強部40は、前記第2のコネクタ82Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向で、かつ、前記第2の主材52の長手方向に交わる方向に延びる姿勢で配置されている。より具体的に、前記第1の補強部40は、前記第2のコネクタ82Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向で、かつ、前記第2の主材52の長手方向に直交する方向に延びる姿勢で配置されている。前記第1の補強部40の前記他端部41が前記第2の主材52に接合される位置は、前記第2の主材52のうち、前記第2のコネクタ82Aに隣接する部位である。
【0133】
前記第2の補強部40は、その長手方向(軸方向)の一端部42と他端部41とを有する。前記第2の補強部40の前記一端部42が前記最近接斜材603に接合されるとともに前記第2の補強部40の前記他端部41が前記第4の主材54に接合される。第2の補強部40は、最近接斜材603から第4の主材54まで前記長手方向(第2の特定方向の一例)に延びて最近接斜材603と第4の主材54を相互に連結する。具体的に、前記第2の補強部40は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向に延びる姿勢で配置されている。前記第2の補強部40は、前記第4のコネクタ82Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向で、かつ、前記第4の主材54の長手方向に交わる方向に延びる姿勢で配置されている。より具体的に、前記第2の補強部40は、前記第4のコネクタ82Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向で、かつ、前記第4の主材54の長手方向に直交する方向に延びる姿勢で配置されている。前記第2の補強部40の前記他端部41が前記第4の主材54に接合される位置は、前記第4の主材54のうち、前記第4のコネクタ82Aに隣接する部位である。
【0134】
第1及び第2の実施形態では、前記2つの補強部40は、前記ラチス構造物の前記長手方向の一端部(
図3,7では左端部)にのみ配置され、前記ラチス構造物の前記長手方向の他端部(
図3,7では右端部)に前記補強部40は配置されていない。ただし、本発明はこのような構成に限られない。本発明では、前記ラチス構造物の前記長手方向の他端部にも上述したものと同様の前記補強部40が配置されていてもよい。
【0135】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は、例えば次のような態様を包含する。
【0136】
[変形例1]
図11は、第1及び第2実施形態の変形例1に係るラチス構造物32(33)を示す概略の側面図である。この変形例1では、前記最近接斜材601の一端部は、前記第1のコネクタ71Aではなく、第1の主材51に接合されている。この変形例1に係るラチス構造物32(33)の他の構成は、前記第1の実施形態又は前記第2の実施形態と同様である。
【0137】
[変形例2]
図12は、第1及び第2実施形態の変形例2に係るラチス構造物32(33)を示す概略の側面図である。この変形例2では、前記補強部40の他端部41は、前記第2の主材52ではなく、第2のコネクタ72Aに連結されている。また、この変形例2では、前記補強部40は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向(直交方向)又は前記直交方向に対して傾斜する方向に延びる姿勢で配置されている。この変形例2に係るラチス構造物32(33)の他の構成は、前記第1の実施形態又は前記第2の実施形態と同様である。
【0138】
[変形例3]
図13は、第1及び第2実施形態の変形例3に係るラチス構造物を示す概略の側面図である。この変形例3では、前記最近接斜材601の一端部は、前記第1のコネクタ71Aではなく、第1の主材51に接合されている。また、この変形例3では、前記補強部40の他端部41は、前記第2の主材52ではなく、第2のコネクタ72Aに接合されている。これにより、補強部40は、最近接斜材601と第2のコネクタ72Aを相互に連結する。言い換えると、補強部40は、第2のコネクタ72Aを介して最近接斜材601と第2の主材52を相互に連結する。この変形例3では、補強部40の長手方向である第1の特定方向は、ラチス構造物の長手方向に直交する方向(直交方向)ではなく、当該直交方向に対して傾斜する方向である。この変形例3に係るラチス構造物32(33)の他の構成は、前記第1の実施形態又は前記第2の実施形態と同様である。
【0139】
[第3の実施形態に係るラチス構造物]
図14は、第3の実施形態に係るラチス構造物32を示す斜視図であり、
図15は、その側面図である。
図16は、
図14において枠XVIで囲まれた部分を拡大した斜視図であり、
図17は、その側面図である。第3の実施形態に係るラチス構造物32の基本的な構成は、前記第1の実施形態に係るラチス構造物32と同様である。
【0140】
図14に示す第3の実施形態に係るラチス構造物32は、例えば
図1に示すブーム部材32であり、このラチス構造物32にはラチス構造物33(ブーム部材33)が連結される。第3の実施形態においても、ラチス構造物32とラチス構造物33は同様の構造を有する。
図14及び
図15に示すように、第3の実施形態に係るラチス構造物32,33のそれぞれは、4つの主材50と、複数のコネクタ75A,75Bと、複数の斜材60と、複数の補強部40と、複数の副補強部45を備える。
【0141】
[主材]
第3の実施形態においても、前記4つの主材50のそれぞれは、直線状に延びるパイプ(メインパイプ)である。前記4つの主材50は、第1の実施形態と同様に、第1の主材51と、第2の主材52と、第3の主材53と、第4の主材54とを含む。
【0142】
[コネクタ]
前記複数のコネクタのそれぞれは、4つの主材50の一端部及び他端部のうちの対応する部位に接合される。
図14及び
図15に示す例では、第1~第4の主材51~54の一端部(
図14及び
図15は左端部)には、例えば雌形のコネクタ75Aが接合され、第1~第4の主材51~54の他端部(
図15では右端部)には、例えば雄形のコネクタ75Bが接合される。ただし、雌形のコネクタ75Aと雄形のコネクタ75Bの配置は、
図14及び
図15に示す配置とは反対の配置であってもよい。
【0143】
図14~
図17に示すように、第1~第4の主材51~54の一端部に接合される4つのコネクタ75Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)は、互いに平行である。図示は省略するが、第1~第4の主材51~54の他端部に接合される4つのコネクタ75Bのピン挿通孔の中心線(ピンの軸方向)は、互いに平行であり、かつ、4つのコネクタ75Aのピン挿通孔の中心線Lと平行である。雌形のコネクタ75Aと雄形のコネクタ75Bは、ピンによって互いに回動可能に連結される。これらのコネクタ75A,75Bは、隣り合うラチス構造物32,33の連結部を構成する。
【0144】
コネクタ75Aは、主材50が接合される主材接合部を有するが、
図4及び
図5に示すような斜材接合部を有していない。同様に、コネクタ75Bは、主材50が接合される主材接合部を有するが、斜材接合部を有していない。すなわち、コネクタ75A及び75Bのそれぞれには、主材50が接合される一方で斜材60は接合されない。
【0145】
[斜材]
第3の実施形態においても、複数の斜材60のそれぞれは、ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜するように直線状に延びるパイプ(傾斜パイプ)である。前記複数の斜材60のそれぞれは、その長手方向(軸方向)の一端部と前記長手方向の反対側の他端部とを有する。各斜材60は、4つの主材のうち、隣り合う2本の主材を相互に連結する。前記複数の斜材60は、第1の実施形態と同様に、複数の最近接斜材601~604を含む。
【0146】
[最近接斜材]
図14に示すように、4つの最近接斜材601~604は、ラチス構造物32の長手方向の一端部(
図14及び
図15では左端部)の近傍にそれぞれ配置されるとともに、ラチス構造物32の長手方向の他端部(
図15では右端部)の近傍にそれぞれ配置される。
【0147】
第3の実施形態では、複数の最近接斜材601~604のそれぞれは、
図14及び
図16に示すように角柱状の部材である。ただし、最近接斜材601~604のそれぞれは、第1の実施形態と同様に円柱状の部材(円柱状のパイプ)であってもよく、H型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよい。また、複数の最近接斜材のそれぞれは、パイプのような中空の部材であってもよく、中実の部材であってもよい。
【0148】
H型鋼は、互いに平行な一対のフランジと、これらのフランジに直交してこれらのフランジを接続するウェブと、を有する。一対のフランジ及びウェブのそれぞれは、最近接斜材において当該最近接斜材の長手方向に延びる部分である。ウェブは、一方のフランジの幅方向の中央部と他方のフランジの幅方向の中央部とを接続するように配置される。なお、当該ウェブは、一方のフランジの幅方向の中央部から当該幅方向の一方にずれた部位と他方のフランジの幅方向の中央部から当該幅方向の一方にずれた部位とを接続するように配置されていてもよい。
【0149】
溝型鋼は、リップ溝型鋼(C型鋼)であってもよく、軽溝型鋼であってもよい。溝型鋼は、互いに平行な一対のフランジと、これらのフランジに直交してこれらのフランジを接続するウェブと、を有する。一対のフランジ及びウェブのそれぞれは、最近接斜材において当該最近接斜材の長手方向に延びる部分である。ウェブは、一対のフランジのそれぞれの幅方向の端部同士を接続するように配置される。
【0150】
上記のようなH型鋼及び溝型鋼のそれぞれは、一対のフランジとウェブとにより形成される溝状の開口部(図示省略)を有する。例えば
図16において、最近接斜材601は、第1の主材51と補強部401との間の部分において開口部が副補強部451に向くような姿勢で配置されることが好ましい。第1の主材51に溶接される最近接斜材601の一端部と副補強部451との間の領域が狭いため、最近接斜材601の一端部のうち副補強部451に近い部分、すなわち、最近接斜材601の一端部のうちコネクタ75Aとは反対側の部分は、第1の主材51に接続するための溶接作業を行うことが難しいことがある。この場合、最近接斜材601として上記のような開口部を有する型鋼を用いることができ、当該型鋼は、開口部が副補強部451に向くような姿勢で配置される。これにより、最近接斜材601として閉断面を有する柱状の部材が用いられる場合に比べて、溶接作業の工数削減を図ることができ、また、軽量化を図ることができる。最近接斜材601において、開口部は、最近接斜材601の一端部から他端部まで連続して設けられる。ただし、開口部は、例えば、最近接斜材601のうち第1の主材51と補強部401との間の部分にのみ設けられてもよい。
【0151】
最近接斜材601は、第1の主材51と第2の主材52を相互に連結する複数の斜材60のうち、第1の主材51の一端部に接合されたコネクタ75Aに最も近い位置に配置される斜材60である。最近接斜材601の一端部は、
図16に示すように、第1の主材51のうちコネクタ75Aに隣接する部位に接合され、最近接斜材601の他端部は、第2の主材52に接合される。これにより、最近接斜材601は、第1の主材51と第2の主材52を相互に連結する。最近接斜材601は、第1の主材51から第2の主材52まで直線状に連続して延びる連続部材である。より具体的には、最近接斜材601は、第1の主材51から第2の主材52まで単一の部材によって構成されている。
【0152】
最近接斜材602は、第2の主材52と第3の主材53を相互に連結する複数の斜材60のうち、第2の主材52の一端部に接合されたコネクタ75Aに最も近い位置に配置される斜材60である。最近接斜材602の一端部は、第2の主材52のうちコネクタ75Aに隣接する部位に接合され、最近接斜材602の他端部は、第3の主材53に接合される。これにより、最近接斜材602は、第2の主材52と第3の主材53を相互に連結する。最近接斜材602は、第2の主材52から第3の主材53まで直線状に連続して延びる連続部材である。より具体的には、最近接斜材602は、第2の主材52から第3の主材53まで単一の部材によって構成されている。
【0153】
最近接斜材603は、第3の主材53と第4の主材54を相互に連結する複数の斜材60のうち、第3の主材53の一端部に接合されたコネクタ75Aに最も近い位置に配置される斜材60である。最近接斜材603の一端部は、第3の主材53のうちコネクタ75Aに隣接する部位に接合され、最近接斜材603の他端部は、第4の主材54に接合される。これにより、最近接斜材603は、第3の主材53と第4の主材54を相互に連結する。最近接斜材603は、第3の主材53から第4の主材54まで直線状に連続して延びる連続部材である。より具体的には、最近接斜材603は、第3の主材53から第4の主材54まで単一の部材によって構成されている。
【0154】
最近接斜材604は、第4の主材54と第1の主材51を相互に連結する複数の斜材60のうち、第4の主材54の一端部に接合されたコネクタ75Aに最も近い位置に配置される斜材60である。最近接斜材604の一端部は、第4の主材54のうちコネクタ75Aに隣接する部位に接合され、最近接斜材604の他端部は、第1の主材51に接合される。これにより、最近接斜材604は、第4の主材54と第1の主材51を相互に連結する。最近接斜材604は、第4の主材54から第1の主材51まで直線状に連続して延びる連続部材である。より具体的には、最近接斜材604は、第4の主材54から第1の主材51まで単一の部材によって構成されている。
【0155】
[補強部]
第3の実施形態においても、前記複数の補強部40のそれぞれは、直線状に延びるパイプ(補強パイプ)である。ただし、複数の補強部40のそれぞれは、例えば角柱状の部材であってもよく、H型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよい。また、複数の補強部40のそれぞれは、中実の部材であってもよい。
【0156】
第3の実施形態では、複数の補強部40は、補強部401と、補強部402と、補強部403と、補強部404と、を含む。4つの補強部401~404は、ラチス構造物32の長手方向の一端部(
図14及び
図15では左端部)にそれぞれ配置されるとともに、ラチス構造物32の長手方向の他端部(
図15では右端部)にそれぞれ配置される。
【0157】
具体的には、
図14~
図17に示すように、補強部401は、その長手方向の一端部42と他端部41とを有し、一端部42が最近接斜材601に接続され、他端部41が第2の主材52に接続されている。補強部401は、最近接斜材601から第2の主材52までその長手方向に延びて最近接斜材601と第2の主材52とを相互に連結する。補強部401の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向である。より具体的には、補強部401の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交し、かつ、コネクタ75Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向である(第1の特定方向の一例)。
【0158】
図14に示すように、補強部402は、その長手方向の一端部と他端部とを有し、前記一端部が最近接斜材602に接続され、前記他端部が第3の主材53に接続されている。補強部402は、最近接斜材602から第3の主材53までその長手方向に延びて最近接斜材602と第3の主材53とを相互に連結する。補強部402の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向である。より具体的には、補強部402の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交し、かつ、コネクタ75Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に平行な方向である。
【0159】
補強部403は、その長手方向の一端部と他端部とを有し、前記一端部が最近接斜材603に接続され、前記他端部が第4の主材54に接続されている。補強部403は、最近接斜材603から第4の主材54までその長手方向に延びて最近接斜材603と第4の主材54とを相互に連結する。補強部403の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向である。より具体的には、補強部403の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交し、かつ、コネクタ75Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に直交する方向である(第2の特定方向の一例)。
【0160】
補強部404は、その長手方向の一端部と他端部とを有し、前記一端部が最近接斜材604に接続され、前記他端部が第1の主材51に接続されている。補強部404は、最近接斜材604から第1の主材51までその長手方向に延びて最近接斜材604と第1の主材51とを相互に連結する。補強部404の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向である。より具体的には、補強部404の前記長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交し、かつ、コネクタ75Aのピン挿通孔の中心線L(ピンの軸方向L)に平行な方向である。
【0161】
[副補強部]
前記複数の副補強部45のそれぞれは、直線状に延びるパイプ(副補強パイプ)である。ただし、複数の副補強部45のそれぞれは、例えば角柱状の部材であってもよい。また、複数の副補強部45のそれぞれは、少なくとも一つの板状の部材、H型鋼、溝型鋼などの型鋼、又は箱型の形状を有する部材により構成されていてもよい。
【0162】
複数の副補強部45は、副補強部451と、副補強部452と、副補強部453と、副補強部454と、を含む。4つの副補強部451~454は、ラチス構造物32の長手方向の一端部(
図14及び
図15では左端部)にそれぞれ配置されるとともに、ラチス構造物32の長手方向の他端部(
図15では右端部)にそれぞれ配置される。具体的には以下の通りである。
【0163】
図14~
図17に示すように、副補強部451は、一端部44と他端部43とを有し、一端部44が第1の主材51に接続され、他端部43が最近接斜材601に接続される。副補強部451は、第1の主材51から最近接斜材601までその長手方向に延びて第1の主材51と最近接斜材601を相互に連結する。副補強部451は、当該副補強部451を補強部401の長手方向(第1の特定方向)から見たときに副補強部451が補強部401に重なるような位置に配置されている。具体的には、副補強部451は、第1の主材51から最近接斜材601まで、補強部401の長手方向(第1の特定方向)に平行な方向に延びる。より具体的には、第3の実施形態では、
図17に示すように、補強部401の中心軸と副補強部451の中心軸とが実質的に同じ直線L1上に位置している。
【0164】
図14に示すように、副補強部452は、一端部と他端部とを有し、前記一端部が第2の主材52に接続され、前記他端部が最近接斜材602に接続される。副補強部452は、第2の主材52から最近接斜材602までその長手方向に延びて第2の主材52と最近接斜材602を相互に連結する。副補強部452は、当該副補強部452を補強部402の長手方向から見たときに副補強部452が補強部402に重なるような位置に配置されている。具体的には、副補強部452は、第2の主材52から最近接斜材602まで、補強部402の長手方向に平行な方向に延びる。より具体的には、第3の実施形態では、補強部402の中心軸と副補強部452の中心軸とが実質的に同じ直線上に位置している。
【0165】
副補強部453は、一端部と他端部とを有し、前記一端部が第3の主材53に接続され、前記他端部が最近接斜材603に接続される。副補強部453は、第3の主材53から最近接斜材603までその長手方向に延びて第3の主材53と最近接斜材603を相互に連結する。副補強部453は、当該副補強部453を補強部403の長手方向(第2の特定方向)から見たときに副補強部453が補強部403に重なるような位置に配置されている。具体的には、副補強部453は、第3の主材53から最近接斜材603まで、補強部403の長手方向(第2の特定方向)に平行な方向に延びる。より具体的には、第3の実施形態では、補強部403の中心軸と副補強部453の中心軸とが実質的に同じ直線上に位置している。
【0166】
副補強部454は、一端部と他端部とを有し、前記一端部が第4の主材54に接続され、前記他端部が最近接斜材604に接続される。副補強部454は、第4の主材54から最近接斜材604までその長手方向に延びて第4の主材54と最近接斜材604を相互に連結する。副補強部454は、当該副補強部454を補強部404の長手方向から見たときに副補強部454が補強部404に重なるような位置に配置されている。具体的には、副補強部454は、第4の主材54から最近接斜材604まで、補強部404の長手方向に平行な方向に延びる。より具体的には、第3の実施形態では、補強部404の中心軸と副補強部454の中心軸とが実質的に同じ直線上に位置している。
【0167】
各補強部40の一端部及び他端部を最近接斜材及び主材にそれぞれ接合する方法、及び各副補強部45の一端部及び他端部を主材及び最近接斜材にそれぞれ接合する方法は、特に限定されないが、例えば溶接などの接合方法であってもよい。
【0168】
この第3の実施形態に係るラチス構造物は、複数の補強部40だけでなく、複数の副補強部45を備える。すなわち、補強部40及び副補強部45が最近接斜材601~604のそれぞれの両サイドに配置されて当該最近接斜材を支持する。従って、この第3の実施形態では、副補強部45を備えていない第1及び第2の実施形態に係るラチス構造物に比べて、最近接斜材601~604のそれぞれの変形が効果的に抑制され、ラチス構造物の剛性がより向上する。
【0169】
第3の実施形態では、副補強部45は、当該副補強部45を補強部40の長手方向から見たときに副補強部45が補強部40に重なるような位置に配置されている。これにより、作業機械による作業が行われるときに補強部40から副補強部45へ効率的に荷重が伝達され、副補強部45から補強部40へ効率的に荷重が伝達される。
【0170】
第3の実施形態では、副補強部451は、第1の主材51から最近接斜材601まで補強部401の長手方向に平行な方向に延び、副補強部453は、第3の主材53から最近接斜材603まで補強部403の長手方向に平行な方向に延びる。これにより、副補強部451,453の長手方向が、前記ラチス構造物の座屈変形の方向に近くなるので、より効果的に座屈強度が向上する。
【0171】
第3の実施形態では、前記連続部材である最近接斜材601~604のそれぞれに補強部40及び副補強部45をそれぞれ接続することにより、各最近接斜材の端部を副補強部45よりもコネクタ75Aに近い位置に配置することができる。これにより、各最近接斜材の端部とコネクタ75A(具体的には、コネクタ75Aのピン挿通孔)との間のギャップを小さくすることができる。より具体的には、
図17に示す側面視において、例えば、第1の主材51の中心軸と第1の最近接斜材601の中心軸との交点と、コネクタ75Aのピン挿通孔の中心との距離Gを小さくすることができる。従って、この第3の実施形態では、一対のコネクタ75A,75Bにより構成される連結部及びその近傍において第1の補強部401及び副補強部451による座屈強度の向上効果を得ることができ、しかも、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0172】
また、第3の実施形態では、最近接斜材601~604のそれぞれが上記のような連続部材であるので、各最近接斜材を単一の部材により構成することも可能になる。各最近接斜材が単一の部材により構成される場合には、各最近接斜材が互いに連結された複数の部材により構成される場合に比べて、各最近接斜材における荷重の伝達がよりスムーズになる。このことは、ラチス構造物の剛性をより効率的に向上させることを可能にする。
【0173】
また、作業機械による作業が行われるときに、補強部40及び副補強部45に作用する荷重は、これらが接続される最近接斜材に作用する荷重よりも小さいことが多い。従って、補強部40及び副補強部45の外径を、当該最近接斜材の外径よりも小さくすることも可能になる。この場合、ラチス構造物を軽量化することができる。また、この場合、相対的に外径の小さい補強部40及び副補強部45のそれぞれを、相対的に外径の大きい最近接斜材に、例えば溶接などの接合方法を用いて容易に接続することができる。
【0174】
[変形例]
図18は、第3の実施形態の変形例に係るラチス構造物32,33の一部を示す斜視図である。
図18に示す第3の実施形態の変形例では、ラチス構造物32の最近接斜材601の一端部が、第1の主材51ではなく、当該第1の主材51の端部に接合されたコネクタ76Bの斜材接合部74に接続されている。同様に、ラチス構造物33の最近接斜材601の一端部が、第1の主材51ではなく、当該第1の主材51の端部に接合されたコネクタ76Aの斜材接合部74に接続されている。
図18に示す変形例は、上記の点で
図14~
図17に示すラチス構造物32(33)と異なり、その他の構成は
図14~
図17に示すラチス構造物32(33)と同様である。
【0175】
この変形例では、2つの最近接斜材601,601の一端部がコネクタ76A及びコネクタ76Bにそれぞれ接続されるので、これらの最近接斜材601,601は、ラチス構造物32,33同士の前記連結部において理想的なラチス構造を形成することができる。これにより、前記連結部及びその近傍において、ラチス構造物32,33の剛性の低下をより効果的に抑制することができる。
【0176】
[第4の実施形態に係るラチス構造物]
図19は、第4の実施形態に係るラチス構造物の要部を示す斜視図である。
図20は、第4の実施形態に係るラチス構造物の製造に用いられる部品を示す斜視図である。第4の実施形態に係るラチス構造物において
図19に示す要部が占める領域は、
図14における枠XVIで囲まれた部分に対応する領域である。
【0177】
第4の実施形態に係るラチス構造物は、4つの主材51~54と、複数のコネクタ75A,75Bと、複数の斜材60と、複数の補強部40と、複数の副補強部45と、を備える。なお、
図19に示すように、第1の主材51の一端部には、雄形のコネクタ75Bが接合されているので、第1の主材51の他端部には、雌形のコネクタ75A(図示省略)が接合される。
【0178】
図19に示す第4の実施形態に係るラチス構造物の基本的な構成は、
図14~
図17に示す第3の実施形態に係るラチス構造物32(33)と同様である。以下では、第4の実施形態と第3の実施形態との相違点について主に説明する。
【0179】
[補強部及び副補強部]
第4の実施形態では、複数の補強部40は、補強部401と、補強部402と、補強部403と、補強部404と、を含み、複数の副補強部45は、副補強部451と、副補強部452と、副補強部453と、副補強部454と、を含む。第4の実施形態に係るラチス構造物においてこれらの補強部401~404及び副補強部451~454が設けられる部位は、
図14に示す第3の実施形態に係るラチス構造物において補強部401~404及び副補強部451~454が設けられる部位と実質的に同じである。
【0180】
第4の実施形態では、各補強部40は、以下のような連続部材46の一部分であり、各副補強部45は、当該連続部材46の他の一部分である。具体的には以下の通りである。
【0181】
図19に示す第4の実施形態に係るラチス構造物32(33)は、複数の連続部材46を備える。複数の連続部材46は、第1の連続部材461と、第2の連続部材462と、第3の連続部材463と、第4の連続部材464と、を含む。これらの連続部材461~464は、前記ラチス構造物の前記長手方向の一端部の近傍に設けられるとともに、前記ラチス構造物の前記長手方向の他端部の近傍に設けられる。
【0182】
第4の実施形態では、各連続部材46は、
図20に示すように、直線状に延びる1本のパイプであるが、直線状に延びる中実の部材であってもよい。また、各連続部材46は、直線状に延びる板状の部材であってもよく、直線状に延びるH型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよい。
【0183】
第1の連続部材461は、
図14~
図17に示す第3の実施形態における補強部401及び副補強部451が配置されている部位に対応する部位に配置されている。第2の連続部材462(図示省略)は、第3の実施形態における補強部402及び副補強部452が配置されている部位に対応する部位に配置されている。第3の連続部材463(図示省略)は、第3の実施形態における補強部403及び副補強部453が配置されている部位に対応する部位に配置されている。第4の連続部材464(図示省略)は、第3の実施形態における補強部404及び副補強部454が配置されている部位に対応する部位に配置されている。具体的には以下の通りである。
【0184】
図19及び
図20に示すように、第1の連続部材461は、第1の主材51から第2の主材52までその長手方向(前記第1の特定方向)に直線状に連続して延びる部材であり、単一の部材によって構成されている。第2の連続部材462は、第2の主材52から第3の主材53までその長手方向に直線状に連続して延びる部材であり、単一の部材によって構成されている。第3の連続部材463は、第3の主材53から第4の主材54までその長手方向(前記第2の特定方向)に直線状に連続して延びる部材であり、単一の部材によって構成されている。第4の連続部材464は、第4の主材54から第1の主材51までその長手方向に直線状に連続して延びる部材であり、単一の部材によって構成されている。
【0185】
図19に示すように、連続部材461は、補強部401と、副補強部451と、これらの間の部分である中間部分60Cと、を含む。連続部材461において、補強部401、中間部分60C及び副補強部451は、連続部材461の長手方向に沿ってこの順に並んでいる。
【0186】
補強部401は、連続部材461の一部分であり、この一部分は、連続部材461のうち第2の主材52に接続される端部を含む部分である。具体的には、補強部401は、連続部材461のうち、中間部分60Cから第2の主材52までの部分である。
【0187】
副補強部451は、連続部材461の他の一部分であり、この他の一部分は、連続部材461のうち第1の主材51に接続される端部を含む部分である。具体的には、副補強部451は、連続部材461のうち、第1の主材51から中間部分60Cまでの部分である。
【0188】
図示は省略するが、連続部材462~464は、連続部材461と同様の構造を有する。すなわち、補強部402は、連続部材462の一部分であり、この一部分は、連続部材462のうち第3の主材53に接続される端部を含む部分である。具体的には、補強部402は、連続部材462のうち、中間部分60Cから第3の主材53までの部分である。副補強部452は、連続部材462の他の一部分であり、この他の一部分は、連続部材462のうち第2の主材52に接続される端部を含む部分である。具体的には、副補強部452は、連続部材462のうち、第2の主材52から中間部分60Cまでの部分である。
【0189】
また、補強部403は、連続部材463の一部分であり、この一部分は、連続部材463のうち第4の主材54に接続される端部を含む部分である。具体的には、補強部403は、連続部材463のうち、中間部分60Cから第4の主材54までの部分である。副補強部453は、連続部材463の他の一部分であり、この他の一部分は、連続部材463のうち第3の主材53に接続される端部を含む部分である。具体的には、副補強部453は、連続部材463のうち、第3の主材53から中間部分60Cまでの部分である。
【0190】
補強部404は、連続部材464の一部分であり、この一部分は、連続部材464のうち第1の主材51に接続される端部を含む部分である。具体的には、補強部404は、連続部材464のうち、中間部分60Cから第1の主材51までの部分である。副補強部454は、連続部材464の他の一部分であり、この他の一部分は、連続部材464のうち第4の主材54に接続される端部を含む部分である。具体的には、副補強部454は、連続部材464のうち、第4の主材54から中間部分60Cまでの部分である。
【0191】
[最近接斜材]
第4の実施形態に係るラチス構造物では、複数の斜材60は、第3の実施形態と同様の部位に設けられた複数の最近接斜材601~604を含む。
【0192】
第4の実施形態では、最近接斜材601~604のそれぞれは、連続部材46の中間部分60Cと、当該中間部分60Cに接続され、中間部分60Cから主材50まで延びる第1部材60Aと、中間部分60Cに接続され、中間部分60Cから前記主材50に隣り合う主材50まで延びる第2部材60Bと、を含む。具体的には次の通りである。
【0193】
最近接斜材601は、この最近接斜材601の一端部が第1の主材51に接続され、最近接斜材601の他端部が第2の主材52に接続されるように配置される。これにより、最近接斜材601は、第1の主材51と第2の主材52を相互に連結する。
図19に示すように、最近接斜材601は、連続部材461の中間部分60C(補強部401と副補強部451との間の部分)と、当該中間部分60Cに接続され、当該中間部分60Cから第1の主材51まで延びる第1部材60Aと、中間部分60Cに接続され、中間部分60Cから第2の主材52まで延びる第2部材60Bと、を含む。
【0194】
図示は省略するが、最近接斜材602~604も上記の最近接斜材601と同様の構造を有する。
【0195】
すなわち、最近接斜材602は、この最近接斜材602の一端部が第2の主材52に接続され、最近接斜材602の他端部が第3の主材53に接続されるように配置される。これにより、最近接斜材602は、第2の主材52と第3の主材53を相互に連結する。最近接斜材602は、連続部材462の中間部分60C(補強部402と副補強部452との間の部分)と、当該中間部分60Cに接続され、当該中間部分60Cから第2の主材52まで延びる第1部材60Aと、中間部分60Cに接続され、中間部分60Cから第3の主材53まで延びる第2部材60Bと、を含む。
【0196】
最近接斜材603は、この最近接斜材603の一端部が第3の主材53に接続され、最近接斜材603の他端部が第4の主材54に接続されるように配置される。これにより、最近接斜材603は、第3の主材53と第4の主材54を相互に連結する。最近接斜材603は、連続部材463の中間部分60C(補強部403と副補強部453との間の部分)と、当該中間部分60Cに接続され、当該中間部分60Cから第3の主材53まで延びる第1部材60Aと、中間部分60Cに接続され、中間部分60Cから第4の主材54まで延びる第2部材60Bと、を含む。
【0197】
最近接斜材604は、この最近接斜材604の一端部が第4の主材54に接続され、最近接斜材604の他端部が第1の主材51に接続されるように配置される。これにより、最近接斜材604は、第4の主材54と第1の主材51を相互に連結する。最近接斜材604は、連続部材464の中間部分60C(補強部404と副補強部454との間の部分)と、当該中間部分60Cに接続され、当該中間部分60Cから第4の主材54まで延びる第1部材60Aと、中間部分60Cに接続され、中間部分60Cから第1の主材51まで延びる第2部材60Bと、を含む。
【0198】
最近接斜材601~604のそれぞれの一端部(第1部材60Aの一端部)が主材50に接合される位置は、例えば
図19に示すように、主材50のうち、コネクタ75Bに隣接する部位である。ただし、最近接斜材601~604のそれぞれの一端部(第1部材60Aの一端部)が接合される位置は、主材50ではなく、コネクタ75Bであってもよい。
【0199】
図19及び
図20に示す第4の実施形態では、第1部材60A及び第2部材60Bのそれぞれは、円柱状の部材(円柱状のパイプ)である。第1部材60A及び第2部材60Bの少なくとも一方は、例えば板状の部材であってもよく、角柱状の部材であってもよく、H型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよい。また、第1部材60A及び第2部材60Bの少なくとも一方は、パイプではなく中実の部材であってもよい。
【0200】
例えば第1部材60AがH型鋼又は溝型鋼である場合、
図19において、第1部材60Aは、H型鋼又は溝型鋼の溝状の開口部(図示省略)が副補強部451に向くような姿勢で配置されることが好ましい。第1の主材51に溶接される第1部材60Aの一端部と副補強部451との間の領域が狭いため、第1部材60Aの一端部のうち副補強部451に近い部分、すなわち、第1部材60Aの一端部のうちコネクタ75Bとは反対側の部分は、第1の主材51に接続するための溶接作業を行うことが難しいことがある。この場合、第1部材60Aとして上記のような開口部を有する型鋼を用いることができ、当該型鋼は、開口部が副補強部451を向くような姿勢で配置される。これにより、第1部材60Aとして閉断面を有する柱状の部材が用いられる場合に比べて、溶接作業の工数削減を図ることができ、また、軽量化を図ることができる。
【0201】
上記のように、第4の実施形態では、連続部材46の一部分により補強部40が構成され、連続部材46の他の一部分により副補強部45が構成され、最近接斜材601~604のそれぞれは、連続部材46の中間部分60Cと、これに接続された第1部材60A及び第2部材60Bとにより形成されている。従って、例えば
図19に示すように、第1の最近接斜材601の端部を副補強部451よりもコネクタ75Bに近い位置に配置することができる。これにより、最近接斜材601の端部とコネクタ75B(具体的には、コネクタ75Bのピン挿通孔)との間のギャップを小さくすることができる。従って、この第4の実施形態では、前記連結部及びその近傍において補強部40及び副補強部45による座屈強度の向上効果を得ることができ、しかも、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0202】
また、第4の実施形態では、第1部材60A及び第2部材60Bを連続部材46の中間部分60Cに接続するという構造が採用されることにより、補強部40及び副補強部45を含む連続部材46を単一の部材により構成することも可能になる。連続部材46が単一の部材により構成される場合には、連続部材46が互いに連結された複数の部材により構成される場合に比べて、連続部材46の長手方向の寸法精度が低下することを抑制できる。これにより、例えば、第1の主材51に接合されるコネクタ75Bと第2の主材52に接合されるコネクタ75Bとの間の距離、具体的には、これらのコネクタ75B,75Bのピン挿通孔同士の間の距離の精度を容易に確保することができる。
【0203】
第4の実施形態において、第1部材60Aは、当該第1部材60Aを第2部材60Bの長手方向から見たときに第1部材60Aが第2部材60Bに重なるような位置に配置されている。これにより、作業機械による作業が行われるときに第1部材60Aから第2部材60Bへ効率的に荷重が伝達され、第2部材60Bから第1部材60Aへ効率的に荷重が伝達される。
【0204】
具体的には、第1部材60Aの長手方向は、第2部材60Bの長手方向に平行である。これにより、作業機械による作業が行われるときに第1部材60Aから第2部材60Bへさらに効率的に荷重が伝達され、第2部材60Bから第1部材60Aへさらに効率的に荷重が伝達される。より具体的には、第4の実施形態では、
図19に示すように、第1部材60Aの中心軸と第2部材60Bの中心軸とが実質的に同じ直線L2上に位置している。
【0205】
[変形例1]
図21は、第4の実施形態の変形例1に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
図21に示すように、この変形例1では、最近接斜材601の第1部材60Aは、角柱状の部材であり、最近接斜材601の第2部材60Bは、円柱状のパイプである。変形例1におけるその他の構成は、
図19及び
図20に示した第4実施形態と同様である。
【0206】
[変形例2]
図22は、第4の実施形態の変形例2に係るラチス構造物の一部を示す斜視図である。
図22に示す変形例2では、ラチス構造物32の最近接斜材601の一端部が、第1の主材51ではなく、当該第1の主材51の端部に接合されたコネクタ76Bの斜材接合部74に接続されている。同様に、ラチス構造物33の最近接斜材601の一端部が、第1の主材51ではなく、当該第1の主材51の端部に接合されたコネクタ76Aの斜材接合部74に接続されている。2つの最近接斜材601,601の一端部がコネクタ76A及びコネクタ76Bにそれぞれ接続されるので、これらの最近接斜材601,601は、ラチス構造物32,33同士の前記連結部において理想的なラチス構造を形成することができる。これにより、前記連結部及びその近傍において、ラチス構造物32,33の剛性の低下を効果的に抑制することができる。
【0207】
また、この変形例2では、最近接斜材601の第1部材60Aは、板状の部材であり、最近接斜材601の第2部材60Bは、円柱状のパイプである。変形例2におけるその他の構成は、
図19及び
図20に示した第4実施形態と同様である。
【0208】
[第5の実施形態に係るラチス構造物]
図23は、第5の実施形態に係るラチス構造物の要部を示す側面図である。
図24は、第5の実施形態に係るラチス構造物の製造に用いられる部品を示す側面図である。第5の実施形態に係るラチス構造物において
図23に示す要部が占める領域は、
図14における枠XVIで囲まれた部分に対応する領域である。
【0209】
第5の実施形態に係るラチス構造物は、4つの主材51~54と、複数のコネクタ75A,75Bと、複数の斜材60と、複数の補強部40と、複数の副補強部45と、を備える。なお、
図23に示すように、第1の主材51の一端部には、雌形のコネクタ75Aが接合されているので、第1の主材51の他端部には、雄形のコネクタ75B(図示省略)が接合される。
【0210】
図23に示す第5の実施形態に係るラチス構造物の基本的な構成は、
図14~
図17に示す第3の実施形態に係るラチス構造物32(33)と同様である。以下では、第5の実施形態と第3の実施形態との相違点について主に説明する。
【0211】
[最近接斜材]
第5の実施形態に係るラチス構造物では、複数の斜材60は、第3の実施形態と同様の部位に設けられた複数の最近接斜材601~604を含む。
【0212】
第5の実施形態では、最近接斜材601~604のそれぞれは、隣り合う2つの主材の一方から他方まで直線状に連続して延びる連続部材である。より具体的には、最近接斜材601~604のそれぞれは、隣り合う2つの主材の一方から他方まで単一の部材によって構成されている。最近接斜材601~604のそれぞれは、直線状に延びる1本のパイプであるが、直線状に延びる中実の部材であってもよい。また、各連続部材46は、直線状に延びる板状の部材であってもよく、直線状に延びるH型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよい。具体的には次の通りである。
【0213】
最近接斜材601は、この最近接斜材601の一端部が第1の主材51に接続され、最近接斜材601の他端部が第2の主材52に接続される。これにより、最近接斜材601は、第1の主材51と第2の主材52を相互に連結する。最近接斜材601は、第1の主材51から第2の主材52まで直線状に連続して延びる単一の部材によって構成される連続部材である。
【0214】
図示は省略するが、最近接斜材602~604も上記の最近接斜材601と同様の構造を有する。
【0215】
すなわち、最近接斜材602は、この最近接斜材602の一端部が第2の主材52に接続され、最近接斜材602の他端部が第3の主材53に接続される。これにより、最近接斜材602は、第2の主材52と第3の主材53を相互に連結する。最近接斜材602は、第2の主材52から第3の主材53まで直線状に連続して延びる単一の部材によって構成される連続部材である。
【0216】
最近接斜材603は、この最近接斜材603の一端部が第3の主材53に接続され、最近接斜材603の他端部が第4の主材54に接続される。これにより、最近接斜材603は、第3の主材53と第4の主材54を相互に連結する。最近接斜材603は、第3の主材53から第4の主材54まで直線状に連続して延びる単一の部材によって構成される連続部材である。
【0217】
最近接斜材604は、この最近接斜材604の一端部が第4の主材54に接続され、最近接斜材604の他端部が第1の主材51に接続される。これにより、最近接斜材604は、第4の主材54と第1の主材51を相互に連結する。最近接斜材604は、第4の主材54から第1の主材51まで直線状に連続して延びる単一の部材によって構成される連続部材である。
【0218】
[補強部及び副補強部]
第5の実施形態では、複数の補強部40は、補強部401と、補強部402と、補強部403と、補強部404と、を含み、複数の副補強部45は、副補強部451と、副補強部452と、副補強部453と、副補強部454と、を含む。第5の実施形態に係るラチス構造物においてこれらの補強部401~404及び副補強部451~454が設けられる部位は、
図14に示す第3の実施形態に係るラチス構造物において補強部401~404及び副補強部451~454が設けられる部位と実質的に同じである。
【0219】
第5の実施形態では、各補強部40は、以下のような補強連続部材47の一部分であり、各副補強部45は、当該補強連続部材47の他の一部分である。具体的には以下の通りである。
【0220】
図23に示す第5の実施形態に係るラチス構造物32(33)は、複数の補強連続部材47を備える。複数の補強連続部材47は、補強連続部材471と、補強連続部材472と、補強連続部材473と、補強連続部材474と、を含む。これらの補強連続部材471~474は、前記ラチス構造物の前記長手方向の一端部の近傍に設けられるとともに、前記ラチス構造物の前記長手方向の他端部の近傍に設けられる。
【0221】
第5の実施形態では、各補強連続部材47は、
図24に示すように、直線状に延びる1本のパイプであるが、直線状に延びる中実の部材であってもよい。また、各補強連続部材47は、直線状に延びる板状の部材であってもよく、直線状に延びるH型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよい。
【0222】
図23及び
図24に示すように、補強連続部材471は、第1の主材51から第2の主材52までその長手方向(前記第1の特定方向)に直線状に連続して延びる部材であり、単一の部材によって構成されている。補強連続部材472は、第2の主材52から第3の主材53までその長手方向に直線状に連続して延びる部材であり、単一の部材によって構成されている。補強連続部材473は、第3の主材53から第4の主材54までその長手方向(前記第2の特定方向)に直線状に連続して延びる部材であり、単一の部材によって構成されている。補強連続部材474は、第4の主材54から第1の主材51までその長手方向に直線状に連続して延びる部材であり、単一の部材によって構成されている。各補強連続部材47の長手方向は、前記ラチス構造物の前記長手方向に直交する方向である。
【0223】
図23に示すように、補強連続部材471は、補強部401と、副補強部451と、これらの間の部分である中間部分48と、を含む。補強連続部材471において、補強部401、中間部分48及び副補強部451は、補強連続部材471の長手方向に沿ってこの順に並んでいる。補強連続部材471は、当該補強連続部材471の長手方向に対して交差する方向に当該補強連続部材471を貫通する貫通孔91を有する。前記交差する方向は、最近接斜材601の長手方向である。貫通孔91は、中間部分48に設けられている。補強部401は、補強連続部材471の一部分であり、この一部分は、補強連続部材471のうち最近接斜材601から第2の主材52まで延びる部分である。副補強部451は、補強連続部材471の他の一部分であり、この他の一部分は、補強連続部材471のうち第1の主材51から最近接斜材601まで延びる部分である。補強連続部材472~474も補強連続部材471と同様の構造を有する。
【0224】
補強連続部材472は、補強部402と、副補強部452と、これらの間の部分である中間部分48と、を含む。補強連続部材472において、補強部402、中間部分48及び副補強部452は、補強連続部材472の長手方向に沿ってこの順に並んでいる。補強連続部材472は、当該補強連続部材472の長手方向に対して交差する方向に当該補強連続部材472を貫通する貫通孔91を有する。前記交差する方向は、最近接斜材602の長手方向である。貫通孔91は、中間部分48に設けられている。補強部402は、補強連続部材472の一部分であり、この一部分は、補強連続部材472のうち最近接斜材602から第3の主材53まで延びる部分である。副補強部452は、補強連続部材472の他の一部分であり、この他の一部分は、補強連続部材472のうち第2の主材52から最近接斜材602まで延びる部分である。
【0225】
補強連続部材473は、補強部403と、副補強部453と、これらの間の部分である中間部分48と、を含む。補強連続部材473において、補強部403、中間部分48及び副補強部453は、補強連続部材473の長手方向に沿ってこの順に並んでいる。補強連続部材473は、当該補強連続部材473の長手方向に対して交差する方向に当該補強連続部材473を貫通する貫通孔91を有する。前記交差する方向は、最近接斜材603の長手方向である。貫通孔91は、中間部分48に設けられている。補強部403は、補強連続部材473の一部分であり、この一部分は、補強連続部材473のうち最近接斜材603から第4の主材54まで延びる部分である。副補強部453は、補強連続部材473の他の一部分であり、この他の一部分は、補強連続部材473のうち第3の主材53から最近接斜材603まで延びる部分である。
【0226】
補強連続部材474は、補強部404と、副補強部454と、これらの間の部分である中間部分48と、を含む。補強連続部材474において、補強部404、中間部分48及び副補強部454は、補強連続部材474の長手方向に沿ってこの順に並んでいる。補強連続部材474は、当該補強連続部材474の長手方向に対して交差する方向に当該補強連続部材474を貫通する貫通孔91を有する。前記交差する方向は、最近接斜材604の長手方向である。貫通孔91は、中間部分48に設けられている。補強部404は、補強連続部材474の一部分であり、この一部分は、補強連続部材474のうち最近接斜材604から第1の主材51まで延びる部分である。副補強部454は、補強連続部材474の他の一部分であり、この他の一部分は、補強連続部材474のうち第4の主材54から最近接斜材604まで延びる部分である。
【0227】
図23及び
図24に示すように、最近接斜材601は、補強連続部材471の貫通孔91に挿入されて補強連続部材471と交差するように配置される。図示は省略するが、最近接斜材602は、補強連続部材472の貫通孔91に挿入されて補強連続部材472と交差するように配置される。最近接斜材603は、補強連続部材473の貫通孔91に挿入されて補強連続部材473と交差するように配置される。最近接斜材604は、補強連続部材474の貫通孔91に挿入されて補強連続部材474と交差するように配置される。
【0228】
[変形例]
図25は、第5の実施形態の変形例に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
図26は、第5の実施形態の変形例に係るラチス構造物の製造に用いられる部品を示す側面図である。
【0229】
図25に示す第5の実施形態の変形例に係るラチス構造物は、貫通孔92が最近接斜材601~604のそれぞれに設けられ、この貫通孔92に補強連続部材47が挿入される点で、
図23に示すラチス構造物と異なる。
図25に示す変形例に係るラチス構造物における上記の点以外の構成は、
図23に示すラチス構造物と同様である。
【0230】
この変形例では、最近接斜材601~604のそれぞれは、その長手方向の中間部分610に貫通孔92を有する。この貫通孔92は、最近接斜材601~604のそれぞれの長手方向に交差する方向に当該最近接斜材を貫通する。この交差する方向は、補強連続部材47の長手方向である。一方、この変形例では、補強連続部材47は
図23に示すような貫通孔91を有していない。
【0231】
図25及び
図26に示すように、各補強連続部材47は、補強部40と、副補強部45と、これらの間の部分である中間部分48と、を含む。各補強連続部材47において、補強部40、中間部分48及び副補強部45は、補強連続部材47の長手方向に沿ってこの順に並んでいる。各補強連続部材47の中間部分48は、対応する最近接斜材の貫通孔92内に配置される部分である。
【0232】
図25及び
図26に示すように、補強連続部材471は、最近接斜材601の貫通孔92に挿入されて最近接斜材601と交差するように配置される。図示は省略するが、補強連続部材472は、最近接斜材602の貫通孔92に挿入されて最近接斜材602と交差するように配置される。補強連続部材473は、最近接斜材603の貫通孔92に挿入されて最近接斜材603と交差するように配置される。補強連続部材474は、最近接斜材604の貫通孔92に挿入されて最近接斜材604と交差するように配置される。
【0233】
以上のように、
図23に示す第5の実施形態では、最近接斜材601~604のそれぞれがこれに対応する補強連続部材47の貫通孔91に挿入されて当該補強連続部材47と交差するように配置され、
図25に示す変形例では、各補強連続部材47がこれに対応する最近接斜材の貫通孔92に挿入されて当該最近接斜材と交差するように配置される。従って、例えば
図23及び
図25に示すように、最近接斜材601の端部を副補強部451の端部よりもコネクタ75Aに近い位置に配置することができる。これにより、最近接斜材601の端部とコネクタ75A(具体的には、コネクタ75Aのピン挿通孔)との間のギャップを小さくすることができる。より具体的には、
図23及び
図25に示す側面視において、例えば、第1の主材51の中心軸と最近接斜材601の中心軸との交点と、コネクタ75Aのピン挿通孔の中心との距離Gを小さくすることができる。従って、前記連結部及びその近傍において補強部40及び副補強部45による座屈強度の向上効果を得ることができ、しかも、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0234】
また、第5の実施形態及びその変形例では、最近接斜材601~604及び補強連続部材47のそれぞれは、一端部から他端部まで途切れることなく連続する断面を有する。このことは、最近接斜材601~604及び補強連続部材47のそれぞれにおいて一端部から他端部まで又は他端部から一端部まで効率的に荷重が伝達することを可能にし、また、剛性の確保が容易になる。
【0235】
また、
図23及び
図25に示すように、一方の部材の貫通孔91又は貫通孔92に他方の部材が挿入されるという構造は、部品点数の増加を抑制することができ、しかも、最近接斜材601~604のそれぞれと当該最近接斜材に対応する補強連続部材47の相対的な位置のずれが生じることを抑制することを可能にする。
【0236】
図23に示す第5の実施形態では、最近接斜材601~604のそれぞれがその一端部から他端部までほぼ一様な断面を有する。このことは、作業機械による作業が行われるときに、例えば最近接斜材601に作用する荷重を第1の主材51及びその近傍のコネクタ75Aにより効率よく伝達することを可能にする。
【0237】
図25に示す変形例では、補強連続部材47がその一端部から他端部までほぼ一様な断面を有することが可能になる。このことは、ラチス構造物の製造時に、補強連続部材47においてひずみ(例えば溶接ひずみ)が生じることを抑制することができる。
【0238】
[第6の実施形態に係るラチス構造物]
図27は、第6の実施形態に係るラチス構造物の要部を示す斜視図であり、
図28は、その側面図である。第6の実施形態に係るラチス構造物において
図27及び
図28に示す要部が占める領域は、
図14における枠XVIで囲まれた部分に対応する領域である。
【0239】
第6の実施形態に係るラチス構造物は、4つの主材51~54と、複数のコネクタ75A,75Bと、複数の斜材60と、複数の補強部40と、を備える。なお、
図27及び
図28に示すように、第1の主材51の一端部には、雄形のコネクタ75Bが接合されているので、第1の主材51の他端部には、雌形のコネクタ75A(図示省略)が接合される。
【0240】
第6の実施形態においても、
図14に示す第3の実施形態と同様に、複数の補強部40は、補強部401と、補強部402と、補強部403と、補強部404と、を含み、これらの補強部401~404は、ラチス構造物32の長手方向の一端部にそれぞれ配置されるとともに、ラチス構造物32の長手方向の他端部にそれぞれ配置される。第6の実施形態においても、
図14に示す第3の実施形態と同様に、前記複数の補強部40のそれぞれは、直線状に延びるパイプ(補強パイプ)である。ただし、複数の補強部40のそれぞれは、例えば角柱状の部材であってもよく、H型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよい。また、複数の補強部40のそれぞれは、中実の部材であってもよい。
【0241】
図27及び
図28に示す第6の実施形態に係るラチス構造物の基本的な構成は、
図14~
図17に示す第3の実施形態に係るラチス構造物32(33)と同様である。以下では、第6の実施形態と第3の実施形態との相違点について主に説明する。
【0242】
[斜材]
第6の実施形態においても、複数の斜材60のそれぞれは、ラチス構造物の前記長手方向に対して傾斜するように直線状に延びる。複数の斜材60は、後述する最近接斜材601~604を除き、1本のパイプによりそれぞれ構成される。前記複数の斜材60のそれぞれは、その長手方向(軸方向)の一端部と前記長手方向の反対側の他端部とを有する。各斜材60は、4つの主材のうち、隣り合う2本の主材を相互に連結する。前記複数の斜材60は、第3の実施形態と同様に、複数の最近接斜材601~604を含む。
【0243】
[最近接斜材]
4つの最近接斜材601~604は、ラチス構造物32の長手方向の一端部の近傍にそれぞれ配置されるとともに、ラチス構造物32の長手方向の他端部の近傍にそれぞれ配置される。
図27及び
図28では、最近接斜材601のみが図示され、他の最近接斜材602~604の図示は省略されている。
【0244】
第6の実施形態では、最近接斜材601~604のそれぞれは、斜材本体60Dと、介在部材60Eと、を有する。各斜材本体60Dは、隣り合う2つの主材50のうち一方の主材50から他方の主材50に向かって直線状に延びる部材である。各介在部材60Eは、これに対応する斜材本体60Dと前記他方の主材50との間に介在する部材である。各斜材本体60Dは、例えば直線状に延びる1本のパイプであるが、直線状に延びる中実の部材であってもよい。また、各斜材本体60Dは、直線状に延びる板状の部材であってもよく、直線状に延びるH型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよい。
【0245】
各介在部材60Eは、介在部材本体620と、斜材本体接続部61と、補強接続部62と、主材接続部63と、を有する。介在部材本体620は、例えば
図28に示すように側面視において三角形状を有するが、介在部材本体620の形状は三角形状に限られない。介在部材本体620は、例えば板状の部材であるが、例えば、H型鋼、溝型鋼などの型鋼であってもよく、パイプであってもよい。斜材本体接続部61には、これに対応する斜材本体60Dの一端部が接続される。補強接続部62には、これに対応する補強部40の一端部が接続される。主材接続部63は、前記他方の主材50に接続される部分である。
【0246】
斜材本体接続部61と斜材本体60Dの一端部との接合、補強接続部62と補強部40の一端部との接合、及び主材接続部63と主材50との接合は、例えば溶接などの接合方法を用いて行われるが、接合方法は溶接に限られない。
【0247】
例えば最近接斜材601は、
図27及び
図28に示すように、第2の主材52から第1の主材51に向かって延びる斜材本体60Dと、当該斜材本体60Dと第1の主材51との間に介在する介在部材60Eと、を含む。最近接斜材601の主材接続部63は、第1の主材51のうちコネクタ75Bに隣接する部位に接続される。最近接斜材601の斜材本体接続部61には、当該最近接斜材601の斜材本体60Dの一端部が接続される。最近接斜材601の補強接続部62には、補強部401の一端部が接続される。
【0248】
図示は省略するが、最近接斜材602~604のそれぞれも最近接斜材601と同様の構造を有する。最近接斜材602は、第3の主材53から第2の主材52に向かって延びる斜材本体60Dと、当該斜材本体60Dと第2の主材52との間に介在する介在部材60Eと、を含む。最近接斜材602の主材接続部63は、第2の主材52のうちコネクタ75Bに隣接する部位に接続される。最近接斜材602の斜材本体接続部61には、当該最近接斜材602の斜材本体60Dの一端部が接続される。最近接斜材602の補強接続部62には、補強部402の一端部が接続される。
【0249】
同様に、最近接斜材603は、第4の主材54から第3の主材53に向かって延びる斜材本体60Dと、当該斜材本体60Dと第3の主材53との間に介在する介在部材60Eと、を含む。最近接斜材603の主材接続部63は、第3の主材53のうちコネクタ75Bに隣接する部位に接続される。最近接斜材603の斜材本体接続部61には、当該最近接斜材603の斜材本体60Dの一端部が接続される。最近接斜材603の補強接続部62には、補強部403の一端部が接続される。
【0250】
最近接斜材604は、第1の主材51から第4の主材54に向かって延びる斜材本体60Dと、当該斜材本体60Dと第4の主材54との間に介在する介在部材60Eと、を含む。最近接斜材604の主材接続部63は、第4の主材54のうちコネクタ75Bに隣接する部位に接続される。最近接斜材604の斜材本体接続部61には、当該最近接斜材604の斜材本体60Dの一端部が接続される。最近接斜材604の補強接続部62には、補強部404の一端部が接続される。
【0251】
この第6の実施形態では、各最近接斜材は、3つの接続部61~63を含む介在部材60Eを有するので、例えば
図28に示すように、最近接斜材601の端部(すなわち介在部材60Eの端部)とコネクタ75B(具体的には、コネクタ75Bのピン挿通孔)との間のギャップを小さくすることができる。より具体的には、
図28に示す側面視において、例えば、第1の主材51の中心軸と最近接斜材601の斜材本体60Dの中心軸との交点と、コネクタ75Bのピン挿通孔の中心との距離Gを小さくすることができる。従って、前記連結部及びその近傍において補強部401による座屈強度の向上効果を得ることができ、しかも、前記連結部及びその近傍において上述した三角形状の構造(ラチス構造)を形成すること又は当該ラチス構造に近い構造を形成することによる座屈強度の低下抑制効果を得ることができる。
【0252】
第6の実施形態の概要は以上の通りであるが、以下では、第6の実施形態の構造についてさらに具体的に説明する。なお、以下では、主に最近接斜材601について説明するが、他の最近接斜材602~604も同様の構造を有する。
【0253】
図27及び
図28に示すように、介在部材60Eの介在部材本体620は、斜材本体接続部61から第1の主材51まで斜材本体60Dの長手方向に平行な方向に連続する斜材連続部65を有する。当該斜材連続部65の先端部は、第1の主材51に接続される。従って、作業機械による作業が行われるときに最近接斜材601の斜材本体60Dに作用する荷重を、介在部材60Eの斜材連続部65を介して、第1の主材51及びその近傍のコネクタ75Bに連続的に効率よく伝達することが可能になる。
【0254】
また、介在部材60Eの介在部材本体620は、補強接続部62から第1の主材51まで補強部401の長手方向(第1の特定方向の一例)に平行な方向に連続する補強連続部66をさらに有する。従って、作業機械による作業が行われるときに補強部401に作用する荷重を、介在部材60Eの補強連続部66を介して、第1の主材51に連続的に効率よく伝達することが可能になる。当該補強連続部66の先端部は、斜材連続部65の前記先端部よりもコネクタ75Bから第1の主材51の長手方向に離れた位置において第1の主材51に接続される。
【0255】
介在部材60Eの介在部材本体620は、斜材連続部65の前記先端部と補強連続部66の前記先端部との間に架け渡されるように第1の主材51に沿って延びる架橋部67をさらに有する。このような架橋部67が設けられていることにより、介在部材60Eの剛性を向上させることができる。
【0256】
介在部材本体620は、斜材連続部65と、補強連続部66と、架橋部67とにより囲まれる孔部68Hを有する。すなわち、この介在部材60Eでは、荷重の伝達及び剛性の向上の観点で必要な部位に斜材連続部65と、補強連続部66と、架橋部67とを設ける一方で、軽量化の観点で孔部68Hが設けられている。
【0257】
また、
図27及び
図28に示すように、斜材本体接続部61は、斜材本体60Dの一端部を溶接するための平面である溶接面61Sを有し、補強接続部62は、補強部401の一端部を溶接するための平面である溶接面62Sを有する。この場合、溶接面が例えばパイプの側面のような湾曲面である場合に比べて、溶接作業の作業性を向上させること、及び溶接の品質を向上させることが可能になる。
【0258】
例えば特開昭58-65850号公報は、トラス構造継手を開示している。このトラス構造継手は、トラス構造の主管と支管を結合するためのものであり、支管を溶接するための複数個の膨出部を有し、この膨出部の一部又はすべてが直線的に結ばれた形状を有する。特開昭58-65850号公報の
図6に示されるように、この膨出部の内部には空間が形成されるため、パイプの一端部が接続される膨出部の剛性は必ずしも高いとは言えない。
【0259】
一方、本実施形態では、斜材本体接続部61及び補強接続部62のそれぞれは、板状の部材(平板状の部材)により形成され、介在部材本体620に接合されている。斜材本体接続部61及び補強接続部62のそれぞれと介在部材本体620との間には空間が形成されていないので、剛性の点で有利である。
【0260】
また、特開昭58-65850号公報のトラス構造継手は、膨出部の形状が複雑となることから、支管の中心線が主管の中心線に交わるように製造することが難しい。また、このトラス構造継手は、主管に溶接される部分が主管の長手方向と断面方向に長くなるとともに曲線的になるため、溶接の施工性が悪く、溶接歪みの問題が発生しやすい。このため、このトラス構造継手は、支管の中心線が主管の中心線に交わるように製造することが難しい。
【0261】
一方、
図27及び
図28に示す第6の実施形態では、介在部材60Eの主材接続部63と主材50との接続部分は直線的であり、また、斜材本体60Dの一端部は平面である溶接面61Sに溶接され、補強部401の一端部は平面である溶接面62Sに溶接される。このため、溶接の施工がしやすく、溶接歪みの問題が生じにくい。上述した距離G(第1の主材51の中心軸と最近接斜材601の中心軸との交点と、コネクタ75Bのピン挿通孔の中心との距離G)を小さくするための構造が精度よく実現される。
【0262】
[変形例1]
図29は、第6の実施形態の変形例1に係るラチス構造物の部品を示す側面図である。
図29に示す変形例1では、斜材本体接続部61の溶接面61Sは、斜材本体60Dの長手方向にほぼ直交する(実質的に直交する)ように設けられている。これにより、溶接作業の作業性をさらに向上させること、及び溶接の品質をさらに向上させることが可能になる。
【0263】
[変形例2]
図30は、第6の実施形態の変形例2に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。
図30に示す変形例2では、斜材本体接続部61及び補強接続部62は、連続する一体の部材により構成されている。この場合、当該一体の部材により構成される斜材本体接続部61及び補強接続部62を介在部材本体620に溶接するための溶接作業を連続的に行うことが可能になり、溶接作業の作業性を向上させることができる。また、連続的に溶接が行われることにより、溶接されない未溶着部分が形成されることが抑制されるので、溶接の品質を向上させることが可能になる。
【0264】
[変形例3]
図31は、第6の実施形態の変形例3に係るラチス構造物の部品を示す側面図である。
図31に示す変形例3では、斜材本体接続部61の溶接面61Sは、斜材本体60Dの長手方向にほぼ直交する(実質的に直交する)ように設けられ、かつ、斜材本体接続部61及び補強接続部62は、連続する一体の部材により構成されている。この変形例3では、溶接面61Sが斜材本体60Dの長手方向に実質的に直交し、溶接面62Sが補強部40の長手方向に実質的に直交するので、これらの溶接作業の施工性をさらに向上させること、及びこれらの溶接の品質をさらに向上させることが可能になる。
【0265】
[変形例4]
図32は、第6の実施形態の変形例4に係るラチス構造物の一部を示す斜視図であり、
図33は、その側面図である。
図27に示す形態では、介在部材60Eの主材接続部63は、主材50の外周面に溶接により接合されるが、
図32及び
図33に示す変形例4では、介在部材60Eの主材接続部63は、次のように主材50に接続される。
【0266】
図32及び
図33に示すように、第1の主材51は、介在部材60Eの一部が差し込まれる溝及び穴の少なくとも一方を含む差込部63hを有する。差込部63hは、例えば第1の主材51をその径方向に貫通する貫通穴であってもよく、第1の主材51の外周面の一部がその径方向に凹む溝であってもよい。
【0267】
介在部材60Eの主材接続部63は、主材接続部63の少なくとも一部が差込部63hに差し込まれた状態で第1の主材51に例えば溶接などの接合方法を用いて固定される。
【0268】
この変形例4では、介在部材60Eの主材接続部63の少なくとも一部が差込部63hに差し込まれた状態で介在部材60Eを第1の主材51に固定することができるので、固定作業が行われるときに第1の主材51と介在部材60Eとの相対位置を決めるための位置決め作業が容易になり、また、これらの相対位置の精度が向上し、さらに、固定作業の作業性が向上する。
【0269】
また、この変形例4では、介在部材60Eの主材接続部63は、第1の主材51の差込部63hに差し込まれた状態で、主材51の径方向の両側の部分(
図33では、第1の主材51の上部と下部)のそれぞれにおいて溶接されて固定されることが可能になる。この場合、第1の主材51と介在部材60Eとの一体性がさらに高まり、強度がより向上する。
【0270】
[第7の実施形態に係るラチス構造物]
図34は、第7の実施形態に係るラチス構造物の一部を示す斜視図であり、
図35は、その側面図である。第7の実施形態に係るラチス構造物において
図34及び
図35に示す要部が占める領域は、
図14における枠XVIで囲まれた部分に対応する領域である。
【0271】
第7の実施形態に係るラチス構造物の基本的な構造は、
図27及び
図28に示す第6の実施形態に係るラチス構造物と同様である。従って、以下では、第7の実施形態に係るラチス構造物と第6の実施形態に係るラチス構造物が相違する点について主に説明する。これらの主な相違点は、介在部材60Eの構造である。具体的には以下の通りである。
【0272】
図34及び
図35に示す第7の実施形態に係るラチス構造物では、介在部材60Eは、、第6の実施形態と同様に、介在部材本体620と、斜材本体接続部61と、補強接続部62と、主材接続部63と、を有する。介在部材本体620は、斜材連続部65と、補強連続部66と、第1の架橋部671と、を有する。
【0273】
斜材連続部65は、斜材本体接続部61から第1の主材51まで斜材本体60Dの長手方向に平行な方向に連続する部分である。斜材連続部65の先端部は、第1の主材51に接続される。補強連続部66は、補強接続部62から斜材連続部65まで補強部40の長手方向に平行な方向に連続する部分である。補強連続部66の先端部は、斜材連続部65に接続される。第1の架橋部671は、補強連続部66の前記先端部が斜材連続部65に接続される部分よりも第2の主材52に近い位置(
図35では補強接続部62に近い位置)において斜材連続部65と補強連続部66との間に架け渡される部分である。
【0274】
この第7の実施形態では、作業機械による作業が行われるときに最近接斜材601の斜材本体60Dに作用する荷重を、介在部材60Eの斜材連続部65を介して、第1の主材51及びこれに隣接するコネクタ75Bに連続的に効率よく伝達することができる。また、補強部40に作用する荷重を、介在部材60Eの補強連続部66を介して、第1の主材51に連続的に効率よく伝達することができる。しかも、第1の架橋部671が斜材連続部65と補強連続部66との間に架け渡されているので、介在部材60Eの剛性を向上させることができる。
【0275】
第7の実施形態では、介在部材60Eの介在部材本体620は、第2の架橋部672と、第3の架橋部673と、をさらに有する。第2の架橋部672は、補強連続部66の前記先端部よりもコネクタ75Bから第1の主材51の前記長手方向に離れた位置において斜材連続部65と第1の主材51との間に架け渡される部分である。第3の架橋部673は、斜材連続部65の前記先端部と、第2の架橋部672の先端部(第2の架橋部672が第1の主材51に接続される部分)との間に架け渡されるように前記第1の主材に沿って延びる部分である。これらの架橋部672,673が設けられていることにより、介在部材60Eの剛性がさらに高められている。
【0276】
また、第7の実施形態では、介在部材本体620は、斜材連続部65と、補強連続部66と、第1の架橋部671とにより囲まれる孔部681Hを有する。すなわち、この介在部材60Eでは、荷重の伝達及び剛性の向上の観点で必要な部位に斜材連続部65と、補強連続部66と、第1の架橋部671とを設ける一方で、軽量化の観点で孔部681Hが設けられている。また、介在部材本体620は、斜材連続部65と、第2の架橋部672と、第3の架橋部673とにより囲まれる孔部682Hを有する。すなわち、この介在部材60Eでは、荷重の伝達及び剛性の向上の観点で必要な部位に斜材連続部65と、第2の架橋部672と、第3の架橋部673とを設ける一方で、軽量化の観点で孔部682Hが設けられている。
【0277】
第7の実施形態では、各介在部材60Eの介在部材本体620のうち、斜材連続部65と、補強連続部66と、第1の架橋部671とは、
図35に示す側面視において、三角形状(逆三角形状)を有するが、当該部分の形状は三角形状に限られない。
【0278】
[変形例1]
図36は、第7の実施形態の変形例1に係るラチス構造物の一部を示す斜視図であり、
図37は、その側面図である。
図36及び
図37に示す変形例1では、斜材本体接続部61及び補強接続部62は、連続する一体の部材により構成されている。また、斜材本体接続部61の溶接面61Sは、斜材本体60Dの長手方向にほぼ直交する(実質的に直交する)ように設けられている。
【0279】
[変形例2]
図38は、第7の実施形態の変形例2に係るラチス構造物の一部を示す側面図である。この第7の実施形態の変形例2は、
図32及び
図33に示す第6の実施形態の変形例4と同様の接合構造を有する。
【0280】
図38に示すように、第1の主材51は、介在部材60Eの一部が差し込まれる溝及び穴の少なくとも一方を含む差込部63hを有する。差込部63hは、例えば第1の主材51をその径方向に貫通する貫通穴であってもよく、第1の主材51の外周面の一部がその径方向に凹む溝であってもよい。介在部材60Eの主材接続部63は、主材接続部63の少なくとも一部が差込部63hに差し込まれた状態で第1の主材51に例えば溶接などの接合方法を用いて固定される。
【0281】
[その他の変形例]
前記実施形態では、作業機械としてクレーンを例示したが、本発明の作業機械は、クレーンに限られず、ラチス構造物を備えるものであれば他の作業機械にも適用可能である。
【0282】
前記実施形態では、ラチス構造物が作業機械のブーム3の一部を構成する部材として例示したが、本発明に係るラチス構造物は、作業機械のジブ4、ストラット6,7などの一部を構成する部材にも適用可能である。
【0283】
前記実施形態では、基体が下部走行体1である場合を例示したが、これに限られない。前記基体は、地面を走行できないもの、地面に固定されたものなどであってもよい。
【0284】
前記実施形態では、作業機械としてのクレーン100がジブ4、マスト5、ストラット6,7などの部材を備えているものであったが、ジブ4、マスト5、ストラット6,7などの部材を備えていない作業機械にも本発明を適用可能である。
【0285】
前記実施形態に係るラチス構造物32,33の一部を構成する複数の主材50はそれぞれの軸方向が互いに平行となるように配置されているが、これに限られない。本発明における主材は、前記実施形態に係るラチス構造物31,34(ブーム部材31,34)のように複数の主材のうちの少なくとも一部の主材50の軸方向が互いに平行でないもの、換言すれば、少なくとも一つの主材の軸方向がラチス構造物の長手方向に対して傾斜する姿勢で当該複数の主材が配置されるもの、例えばラチス構造物全体が角錐状または角錐台状をなすもの、も含む。
【0286】
主材50、斜材60及び補強部40のそれぞれは、パイプであってもよいが、このような態様に限られない。主材50、斜材60及び補強部40の少なくとも一つは、例えば、中実の棒状部材、板状の部材、型鋼などの柱状の部材によって構成されていてもよい。
【0287】
前記実施形態に係る作業機械は、
図1に示すようにマスト5を備えるが、このような態様に限られない。作業機械は、マスト5に代えてガントリを備えていてもよい。また、作業機械は、マスト5とガントリを両方備えていてもよい。
【0288】
前記実施形態に係る作業機械は、複数のウィンチを備え、当該複数のウィンチは、上部旋回体2に搭載されるが、このような態様に限られない。複数のウィンチの少なくとも一つは、ブームに搭載されていてもよい。
【0289】
前記第6の実施形態では、架橋部67を省略可能である。これにより、介在部材60Eの重量を減らすことができ、また、第1の主材51と介在部材60Eとの溶接部分を減らすことができる。
【0290】
前記第7の実施形態では、第1の架橋部671、第2の架橋部672及び第3の架橋部673の少なくとも一つの架橋部を省略可能である。これにより、介在部材60Eの重量を減らすことができる。また、第3の架橋部673を省略することにより、第1の主材51と介在部材60Eとの溶接部分を減らすことができる。
【符号の説明】
【0291】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 ブーム
31~34 ブーム部材(ラチス構造物)
40 補強部
50 主材
51~54 第1~第4の主材
60 斜材
71A 第1のコネクタ、第3のコネクタ
72A 第2のコネクタ、第4のコネクタ
90 ピン
90h 挿通孔
100 クレーン
601~604 最近接斜材