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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/16 20060101AFI20240702BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20240702BHJP
   B65H 23/16 20060101ALI20240702BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20240702BHJP
   B65H 20/32 20060101ALI20240702BHJP
   B65C 11/02 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
B41J15/16
B65H41/00 C
B65H23/16
B65H20/02
B65H20/32 A
B65C11/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020124506
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021109
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高見 徹
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-041757(JP,U)
【文献】特開2019-112229(JP,A)
【文献】特開平03-183581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/16
B65H 41/00
B65H 23/16
B65H 20/02
B65H 20/32
B65C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙にラベルが貼付された記録媒体に印刷する印刷部と、
前記記録媒体を挟持して搬送する搬送ローラーと、
前記記録媒体を屈曲させることによって、前記台紙から前記ラベルを剥離させる剥離部材と、
前記搬送ローラーによる前記記録媒体の搬送方向と逆方向の張力を前記記録媒体に付与するテンショナーとを備え、
前記搬送方向において、前記搬送ローラーは、前記剥離部材の下流に位置し、前記テンショナーは、前記剥離部材の上流に位置し、
前記テンショナーは、記録媒体から離間しており、ラベルを剥離させるときに記録媒体に接触する、印刷装置。
【請求項2】
前記テンショナーは、前記記録媒体を支持する支持部と、前記支持部に接離可能な押圧部とを備え、
前記テンショナーは、前記支持部と前記押圧部との間に前記記録媒体を挟持する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記搬送方向において、前記印刷部は前記剥離部材の上流に位置し、前記テンショナーは前記印刷部の上流に位置する、請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記テンショナーが発生させる前記逆方向の張力は、前記搬送ローラーによる前記記録媒体の搬送力よりも小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記搬送ローラーの回転を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記記録媒体の幅を検出し、前記幅が大きいほど、前記搬送ローラーによる搬送力を大きくする、請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
台紙にラベルが貼付された記録媒体に印刷する印刷部と、
前記記録媒体を挟持して搬送する搬送ローラーと、
前記記録媒体を屈曲させることによって、前記台紙から前記ラベルを剥離させる剥離部材と、
前記搬送ローラーによる前記記録媒体の搬送方向と逆方向の張力を前記記録媒体に付与するテンショナーとを備え、
前記搬送方向において、前記搬送ローラーは、前記剥離部材の下流に位置し、前記テンショナーは、前記剥離部材の上流に位置し、
前記記録媒体は、ロール紙であって、ロール状に巻かれたロール部から前記搬送ローラーによって前記搬送方向の下流側に引き出され、
前記搬送方向に対応する方向に前記ロール部を回転させる駆動部が設けられ、
前記駆動部による前記ロール部の回転によって、前記ロール部と前記テンショナーとの間の前記記録媒体に弛みが付与される、刷装置。
【請求項7】
前記搬送ローラーは、幅が異なる複数の前記記録媒体を搬送可能であり、
前記テンショナーは、前記記録媒体の幅方向に複数分割される、請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙にラベルが貼付された記録媒体に印刷する印刷装置が知られている。例えば特許文献1の印刷装置では、記録媒体を挟持して搬送する搬送ローラーと、記録媒体を屈曲させることによって台紙からラベルを剥離させる剥離部材と、記録媒体の搬送方向において剥離部材の下流に設けられる第2の搬送ローラーとを備える。上記第2の搬送ローラーは、剥離部材の下流側に記録媒体を引っ張ることで、ラベルを台紙から剥離し易くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-33122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の印刷装置のように、搬送ローラーを記録媒体の搬送方向において複数個所に設けると、複数の搬送ローラーの搬送状態の差によって、記録媒体の送り精度が低下することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する一態様は、台紙にラベルが貼付された記録媒体に印刷する印刷部と、前記記録媒体を挟持して搬送する搬送ローラーと、前記記録媒体を屈曲させることによって、前記台紙から前記ラベルを剥離させる剥離部材と、前記搬送ローラーによる前記記録媒体の搬送方向と逆方向の張力を前記記録媒体に付与するテンショナーとを備え、前記搬送方向において、前記搬送ローラーは、前記剥離部材の下流に位置し、前記テンショナーは、前記剥離部材の上流に位置する印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】印刷装置の外観を示す斜視図。
図2】印刷装置の構成を示す断面図。
図3】テンショナー及び記録媒体を上方側から見た平面図。
図4】第2実施形態のテンショナー及び記録媒体を上方側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0008】
[第1実施形態]
図1は、印刷装置1の外観を示す斜視図である。図2は、印刷装置1の構成を示す断面図である。
以下の説明及び図面において、印刷装置1の幅方向をX軸方向と定義し、印刷装置1の奥行き方向をY軸方向と定義し、上下方向をZ軸方向と定義する。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交する方向である。
【0009】
印刷装置1は、パソコン及び携帯端末等の情報処理装置から送信される印刷データに基づいて、記録媒体10に画像及び文字を印刷する。
記録媒体10は、ロール紙である。記録媒体10は、例えば円筒状の芯材11をロールの中心としてラベル用紙12をロール状に巻いたものである。
ラベル用紙12は、台紙13と、台紙13に貼付される複数のラベル14とを備える。
台紙13は、帯状の連続紙である。ラベル14は、台紙13の表面13aに貼付される。ラベル14は、表面13aにおいて、台紙13の長さ方向に略等間隔で複数貼付される。
台紙13において表面13aの反対側の面は、裏面13bである。
ラベル14は、粘着手段によって台紙13に貼付されており、台紙13から剥離可能である。
記録媒体10の幅は、台紙13の幅である。台紙13は、幅の異なる複数種が用意されている。台紙13及びラベル14の材質、及び粘着手段の種類は特に限定されない。
印刷装置1は、ラベル14に印刷する。印刷が行われたラベル14は、台紙13から剥離され、貼付対象物に貼付される。
【0010】
印刷装置1は、略直方体形状の外装ケース20を備える。外装ケース20の前面20aには、ディスプレイ及び操作ボタン等が配置された操作パネル部21が設けられる。外装ケース20の前面20aは、印刷装置の前面を構成する。
外装ケース20の前面20aには、ラベル排出口22が設けられる。台紙13から剥離されたラベル14は、ラベル排出口22から印刷装置1の外側に排出される。
外装ケース20の側面には、開閉可能なロール紙供給口23が設けられる。記録媒体10は、ロール紙供給口23から印刷装置1の内部にセットされる。
【0011】
印刷装置1は、記録媒体送出部25と、印刷部26と、記録媒体10を搬送する搬送ローラー27と、ラベル14を台紙13から剥離させる剥離部材28と、記録媒体10に張力を付与するテンショナー29とを、外装ケース20の内側に備える。
また、印刷装置1は、印刷部26及び搬送ローラー27等を電気的に制御する制御部30と、ラベル14を検出するセンサー31とを備える。
制御部30は、記憶部と、プロセッサーとを備えるコンピューター装置である。記憶部は、ROMやRAM等のメモリーを備える。上記記憶部は、プロセッサーが実行する制御プログラムを記憶する。制御プログラムには、アプリケーションプログラムが含まれる。また、記憶部は、プロセッサーによるコンピュータープログラムの実行時に処理されるデータや処理結果のデータを記憶する。
【0012】
記録媒体送出部25は、印刷装置1内において外装ケース20の後面20b側に設けられる。
記録媒体送出部25は、記録媒体10が装着される記録媒体装着部25aと、記録媒体装着部25aを介して記録媒体10を回転させる駆動部25bとを備える。
記録媒体10は、芯材11に記録媒体装着部25aが挿入されることで、記録媒体装着部25aに支持される。
駆動部25bは、制御部30によって駆動されるモーターである。駆動部25bは、例えば複数の歯車を介して記録媒体装着部25aに接続され、記録媒体装着部25aを回転させる。記録媒体10の回転軸は、印刷装置1の幅方向に延びる。
【0013】
搬送ローラー27は、印刷装置1内において外装ケース20の前面20a側に設けられ、ラベル排出口22の近くに位置する。
搬送ローラー27は、ニップローラーとしての駆動ローラー27aと、従動ローラー27bとを備える。駆動ローラー27a及び従動ローラー27bは、印刷装置1の幅方向に延びる回転軸を中心に回転する。
駆動ローラー27aは、送りモーター等を有する駆動源の動力によって回転駆動される。上記送りモーターは、制御部30によって制御される。
搬送ローラー27は、駆動ローラー27aと従動ローラー27bとの間に記録媒体10を挟持した状態で回転することで、記録媒体10を搬送方向Fに搬送する。
【0014】
記録媒体10は、ラベル用紙12がロール状に巻かれたロール部10aが、印刷装置1の後部の記録媒体送出部25に支持され、ロール部10aから引き出される帯状部10bが、印刷装置1の前部に位置する搬送ローラー27によって前方側に搬送される。
すなわち、搬送方向Fは、印刷装置1の後部から前部に向かう方向であって、全体的に見ると印刷装置1の奥行き方向である。
駆動ローラー27a及び従動ローラー27bは、回転軸が搬送方向Fに直交する向きで配置される。駆動ローラー27aは、記録媒体10の帯状部10bの裏面13bに当接し、従動ローラー27bは、帯状部10bの表面13aに当接する。
【0015】
印刷部26は、印刷ユニット35と、印刷ユニット35に対向するプラテン36とを備える。印刷部26は、搬送方向Fにおいて、搬送ローラー27よりも上流に配置される。
印刷部26は、印刷装置1内において外装ケース20の前面20a側に配置される。
ロール部10aと印刷部26との間の区間では、記録媒体10は、ラベル14が貼付された表面13aが上面となる向きで略水平に搬送方向Fへ搬送される。
印刷ユニット35は、表面13aの上方に配置され、ラベル14を上方から覆う。
プラテン36は、帯状部10bの下方に配置され、裏面13bを下方から受ける。
印刷ユニット35は、搬送方向Fに直交して記録媒体10の幅方向に延びるキャリッジ軸35aに支持される。印刷ユニット35の主走査方向は、キャリッジ軸35aの軸方向であり、印刷ユニット35は、キャリッジ軸35aに沿って往復移動しながらラベル14に印刷する。上記主走査方向及び記録媒体10の幅方向は、図1のX軸方向である。
【0016】
印刷ユニット35は、シリアルタイプのインクジェットヘッドであり、複数色のノズル列を備える。印刷ユニット35は、制御部30による制御により、不図示の各インクカートリッジから供給されるインクを、ノズル列のノズルから吐出し、ラベル14に印刷する。
なお、印刷ユニット35は、上記主走査方向に移動しないラインタイプのインクジェットヘッドであっても良い。
【0017】
剥離部材28は、搬送方向Fにおいて、印刷部26の下流且つ搬送ローラー27の上流に位置する。
搬送ローラー27は、印刷部26の下方に配置されており、印刷部26を通過した記録媒体10は、下方に屈曲し、下方の搬送ローラー27に向けて送り力fで搬送される。
剥離部材28は、上下方向において印刷部26と搬送ローラー27との間に位置する。
剥離部材28は、印刷部26と搬送ローラー27との間の区間の記録媒体10の裏面13bに当接し、記録媒体10を屈曲させる。
【0018】
剥離部材28は、板状である。剥離部材28は、印刷装置1の内側からラベル排出口22に向けて指向する先端部28aを有し、先端部28aを介して記録媒体10の裏面13bに当接する。先端部28aは、裏面13bに滑らかに接触するように、記録媒体10の幅方向の全体に亘って円弧状に形成される。
剥離部材28の先端部28aは、印刷ユニット35における記録媒体10の出口35b及び搬送ローラー27よりも外装ケース20の前面20a側に位置する。
【0019】
記録媒体10の出口35bから出た記録媒体10は、剥離部材28によって裏面13bから押圧されることで、屈曲部10cが形成される。記録媒体10は、屈曲部10cで印刷装置1の後下方に向けて屈曲し、搬送ローラー27に向かう。屈曲部10cは、剥離部材28の先端部28aに沿う円弧状である。
図2のように搬送ローラー27の軸方向に見た場合、屈曲部10cでは、記録媒体10が鋭角に屈曲させられる。屈曲部10cでは、表面13a側が山となり、裏面13b側が谷となるように記録媒体10が屈曲される。
【0020】
台紙13の剛性はラベル14の剛性よりも低いため、屈曲部10cでは、台紙13のみが剥離部材28によって屈曲させられ、ラベル14は台紙13から剥離する。剥離されたラベル14は、ラベル排出口22から外側に排出される。
ラベル14が剥離された台紙13は、搬送ローラー27に向かって搬送される。すなわち、搬送ローラー27は、台紙13のみを挟持して記録媒体10を搬送方向Fに搬送する。
【0021】
センサー31は、搬送方向Fにおいて、印刷部26の下流且つ剥離部材28の上流に配置される。センサー31は、例えば反射型のセンサーであり、台紙13上のラベル14を検出する。
【0022】
テンショナー29は、搬送方向Fにおいて、記録媒体送出部25の下流且つ印刷部26の上流に位置する。
テンショナー29は、記録媒体10を支持する支持部40と、支持部40に対し接離可能な押圧部41とを備える。
テンショナー29は、支持部40と押圧部41との間に記録媒体10を挟持することで、搬送方向Fと逆方向の張力Tを記録媒体10に付与する。
【0023】
図3は、テンショナー29及び記録媒体10を上方側から見た平面図である。
図2及び図3を参照し、支持部40は、平坦な受け面40aを上面に有する。支持部40は、受け面40aによって記録媒体10の帯状部10bの裏面13bを下方から支持する。
【0024】
押圧部41は、支持部40の受け面40aに対向して配置され、上下方向にストローク可能に設けられる。押圧部41は、記録媒体10の帯状部10bの表面13aを上方から押圧し、記録媒体10を受け面40aに押し付ける。
押圧部41は、記録媒体10の幅方向に複数分割されている。詳細には、押圧部41は、記録媒体10の幅方向の一端側から順に、第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cを備える。
第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cの下端面は、記録媒体10の表面13aを押圧する押圧面42である。押圧面42は、図2のように搬送ローラー27の軸方向に見た場合、記録媒体10の幅方向の全体に亘って円弧状に形成されている。このため、表面13aのラベル14に対する押圧面42の引っ掛かりを防止できる。
【0025】
第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cは、押圧面42が記録媒体10に当接するように、不図示の付勢部材によって、それぞれ付勢されている。このため、第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cは、互いに独立して支持部40に対し接離可能である。上記付勢部材は、例えば、第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cの上面部を介し第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cを下方に押圧するコイルばねである。
【0026】
テンショナー29は、支持部40と押圧部41との間に記録媒体10を挟むことで、テンショナー29と記録媒体10との間に摩擦力を発生させる。この摩擦力は、搬送方向Fへの記録媒体10の搬送を妨げる方向の力であり、この力は、搬送方向Fと逆方向の張力Tを発生させる。
【0027】
搬送ローラー27は、記録媒体10、及び記録媒体10よりも幅が大きな記録媒体10´の搬送を可能な軸方向長さを備える。また、搬送ローラー27は、記録媒体10よりも幅が大きく記録媒体10´よりも幅が小さい任意の幅の記録媒体を搬送可能である。
記録媒体10の幅は、第2押圧部41bの幅よりも小さい。記録媒体10´の幅は、第2押圧部41bの幅よりも大きい。
記録媒体10が搬送される場合、テンショナー29は、幅方向の中央の第2押圧部41bと支持部40との間に記録媒体10を挟み、張力Tを発生させる。
記録媒体10´が搬送される場合、テンショナー29は、第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cと支持部40との間に記録媒体10を挟み、張力Tを発生させる。
【0028】
搬送方向Fでは、最も上流の記録媒体送出部25側から順に、テンショナー29、印刷部26、センサー31、剥離部材28、及び搬送ローラー27が配置される。
【0029】
ここで、印刷装置1の印刷の動作について説明する。
印刷装置1の制御部30は、搬送ローラー27を駆動して記録媒体10を搬送方向Fに搬送するとともに、印刷ユニット35を主走査方向に駆動し、記録媒体10のラベル14に印刷する。
制御部30は、不図示の用紙幅センサーによって記録媒体の幅を検出し、記録媒体の幅に応じて搬送ローラー27による記録媒体の搬送力を変更する。制御部30は、記録媒体の幅が大きいほど、搬送ローラー27による搬送力を大きくする。搬送力は、例えば搬送ローラー27のトルクである。
【0030】
印刷装置1では、搬送ローラー27は、一か所だけ設けられる。このため、搬送ローラー27による記録媒体の送り精度を高くできる。
記録媒体10は、テンショナー29によって上方から押圧されることで、印刷部26においてプラテン36側に寄せられる。
搬送ローラー27は、テンショナー29が発生させる張力Tに抗して記録媒体10を搬送方向Fに送り力fで搬送する。これにより、記録媒体10の屈曲部10cの前後に、送り力fと張力Tとが作用し、記録媒体10の屈曲部10cは、剥離部材28の先端部28aに押し付けられる。このため、剥離部材28によって記録媒体10を効果的に屈曲させてラベル14を台紙13から剥離できる。
【0031】
制御部30は、ラベル14を剥離させる工程において、図2のように、ラベル14の後端部14aのみが台紙13に張り付いている状態で、搬送ローラー27による搬送及び印刷部26による印刷を一旦停止する。ユーザー等は、後端部14aのみが台紙13に張り付いているラベル14を引っ張って台紙13から剥がす。
制御部30は、センサー31の検出に基づいて、ラベル14が台紙13から完全に剥離されたことを検知すると、搬送及び印刷を再開し、次のラベル14を印刷する。
【0032】
制御部30は、搬送ローラー27によって記録媒体10を搬送する際に、記録媒体送出部25の駆動部25bを駆動し、搬送方向Fに対応する回転方向に記録媒体10のロール部10aを回転させる。詳細には、制御部30は、ロール部10aとテンショナー29との間の区間の記録媒体10に弛みが発生するようにロール部10aを回転させる。これにより、搬送ローラー27による記録媒体10の搬送時に、ロール部10aの重さによって搬送方向Fと逆方向に記録媒体10に作用する張力を減らすことができる。このため、張力Tをテンショナー29によって管理し易く、適切な張力Tを発生させてラベル14を良好に剥離できる。
【0033】
記録媒体10に張力Tを付与する場合、搬送方向Fにおいて剥離部材28と印刷部26との間にテンショナー29を設けることもできるが、印刷装置1では、テンショナー29は、搬送方向Fにおいて印刷部26の上流に配置される。これにより、テンショナー29は、印刷される前の記録媒体10を挟持するため、印刷後の記録媒体10をテンショナー29が挟むことが無く、ラベル14の印刷を綺麗に維持できる。
また、搬送方向Fの上流側から、テンショナー29、印刷部26、及び剥離部材28の順に配置することで、印刷部26と剥離部材28とを近づけることができる。このため、ラベル14の印刷及び剥離を効率良く行うことができる。例えば、剥離部材28に対し印刷部26が搬送方向Fの上流側に大きく離れている場合、ラベル14の剥離後に次の印刷をするために、次のラベル14を印刷部26の位置に戻す必要があり、記録媒体10を搬送方向Fの逆方向に搬送する距離が長くなる。
【0034】
以上説明したように本第1実施形態の印刷装置1は、台紙13にラベル14が貼付された記録媒体10に印刷する印刷部26と、記録媒体10を挟持して搬送する搬送ローラー27とを備える。印刷装置1は、記録媒体10を屈曲させることによって、台紙13からラベル14を剥離させる剥離部材28と、搬送ローラー27による記録媒体10の搬送方向Fと逆方向の張力Tを記録媒体10に付与するテンショナー29とを備える。搬送方向Fにおいて、搬送ローラー27は、剥離部材28の下流に位置し、テンショナー29は、剥離部材28の上流に位置する。
従って、剥離部材28の下流の一か所の搬送ローラー27によって記録媒体10を搬送するため、記録媒体10の送り精度を高くできる。さらに、剥離部材28の上流に位置するテンショナー29によって搬送方向Fと逆方向の張力Tを記録媒体10に付与するため、剥離部材28によってラベル14を良好に剥離できる。
【0035】
テンショナー29は、記録媒体10を支持する支持部40と、支持部40に接離可能な押圧部41とを備え、テンショナー29は、支持部40と押圧部41との間に記録媒体10を挟持する。
従って、テンショナー29は、支持部40と押圧部41との間に記録媒体10を挟持するため、搬送方向Fと逆方向の張力Tを記録媒体10に効果的に付与できる。このため、剥離部材28によってラベル14を良好に剥離できる。
搬送方向Fにおいて、印刷部26は剥離部材28の上流に位置し、テンショナー29は印刷部26の上流に位置する。
従って、印刷部26によって印刷した後の記録媒体10をテンショナー29による挟持から保護できる。また、印刷部26と剥離部材28とを近づけることができ、印刷及び剥離を効率良く行うことができる。
【0036】
テンショナー29が発生させる逆方向の張力Tは、搬送ローラー27による記録媒体10の搬送力よりも小さい。
従って、テンショナー29を利用してラベル14を良好に剥離できるとともに、搬送ローラー27によって記録媒体10を搬送できる。
印刷装置1は、搬送ローラー27の回転を制御する制御部30を備え、制御部30は、記録媒体10の幅を検出し、幅が大きいほど、搬送ローラー27による搬送力を大きくする。
従って、テンショナー29が記録媒体10に付与する張力Tが記録媒体10の幅に応じて大きくなった場合であっても、適切な搬送力を搬送ローラー27によって記録媒体10に与えることができる。
【0037】
記録媒体10は、ロール紙であって、ロール状に巻かれたロール部10aから搬送ローラー27によって搬送方向Fの下流側に引き出される。印刷装置1には、搬送方向Fに対応する方向にロール部10aを回転させる駆動部25bが設けられ、駆動部25bによるロール部10aの回転によって、ロール部10aとテンショナー29との間の記録媒体10に弛みが付与される。
従って、ロール部10aとテンショナー29との間で記録媒体10に弛みが付与されることで、ロール部10aの重さによって発生する搬送方向Fと逆方向の張力を低減できる。このため、テンショナー29による記録媒体10の張力の管理が容易である。
搬送ローラー27は、幅が異なる複数の記録媒体10を搬送可能であり、テンショナー29は、記録媒体10の幅方向に複数分割される。
従って、幅方向に複数分割されたテンショナー29は、記録媒体10の幅に対応する位置にあるテンショナーが、テンショナーとして機能して、記録媒体10に張力を付与する。例えば、記録媒体10であれば、第2押圧部41bがテンショナーとして機能し、記録媒体10´であれば第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cがテンショナーとして機能する。テンショナー29が発生する張力Tは、記録媒体10の場合よりも記録媒体10´の方が大きくなる。すなわち、テンショナー29が発生する張力Tは、記録媒体10の幅に対応して変化する。このため、簡単な構成で、幅が異なる複数の記録媒体10に対応できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、添付図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態において、上記第1実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第1実施形態では、テンショナー29が記録媒体10の幅方向に複数分割されている構成を説明した。第2実施形態では、記録媒体10の幅方向に複数分割されていないテンショナー229について説明する。
【0039】
図4は、第2実施形態のテンショナー229及び記録媒体10を上方側から見た平面図である。
テンショナー229は、支持部40と、支持部40に対し接離可能な押圧部241とを備える。
テンショナー229は、支持部40と押圧部241との間に記録媒体10を挟持することで、搬送方向Fと逆方向の張力Tを記録媒体10に付与する。
【0040】
押圧部241は、支持部40の受け面40aに対向して配置され、上下方向にストローク可能に設けられる。押圧部241は、記録媒体10の帯状部10bの表面13aを上方から押圧し、記録媒体10を受け面40aに押し付ける。
押圧部241は、記録媒体10´の幅方向の全体に亘って連続するブロック状である。押圧部41は、平面視では、搬送方向Fに直交する方向に延在する。すなわち、押圧部241は、上記第1実施形態の第1押圧部41a、第2押圧部41b、及び第3押圧部41cを記録媒体10の幅方向に一体に繋げた形状を有する。押圧部241は、下端面に押圧面42を有する。
【0041】
制御部30は、不図示のアクチュエーターを駆動して押圧部241を押圧し、押圧面42を記録媒体10に当接させる。
テンショナー229は、支持部40と押圧部241との間に記録媒体10を挟むことで、テンショナー229と記録媒体10との間に摩擦力を発生させる。この摩擦力は、搬送方向Fへの記録媒体10の搬送を妨げる方向の力であり、この力は、搬送方向Fと逆方向の張力Tを発生させる。
【0042】
制御部30は、上記アクチュエーターの駆動力を制御することで、押圧部241の押圧力を変化させ、張力Tを変更する。
制御部30は、不図示の用紙幅センサーによって記録媒体10の幅を検出し、記録媒体10の幅に応じて、張力Tを変更する。
制御部30は、記録媒体10の幅が大きいほど、張力Tを大きくする。このため、記録媒体10の幅に応じて適切な大きさの張力Tを付与して、ラベル14を剥離できる。
制御部30は、記録媒体10´を搬送する場合、記録媒体10を搬送する場合よりも張力Tを大きくする。
【0043】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の形態である。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。
上述した説明では、テンショナー29は、搬送方向Fにおいて印刷部26の上流に配置されるものとして説明したが、テンショナー29は、搬送方向Fにおいて剥離部材28の上流に位置していればよい。例えば、テンショナー29は、搬送方向Fにおいて剥離部材28と印刷部26との間に設けられても良い。
また、上述した説明では、制御部30は、ロール部10aとテンショナー29との間の区間の記録媒体10に弛みが発生するように、駆動部25bによってロール部10aを回転させるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動部25bを設けずに、記録媒体装着部25a上にロール部10aを回転自在に支持し、搬送ローラー27の搬送力によってロール部10aから記録媒体10を引き出してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…印刷装置、10…記録媒体、10a…ロール部、10b…帯状部、10c…屈曲部、11…芯材、12…ラベル用紙、13…台紙、13a…表面、13b…裏面、14…ラベル、14a…後端部、20…外装ケース、20a…前面、20b…後面、21…操作パネル部、22…ラベル排出口、25…記録媒体送出部、25a…記録媒体装着部、25b…駆動部、26…印刷部、27…搬送ローラー、27a…駆動ローラー、27b…従動ローラー、28…剥離部材、28a…先端部、29、229…テンショナー、30…制御部、31…センサー、35…印刷ユニット、35a…キャリッジ軸、35b…出口、36…プラテン、40…支持部、40a…受け面、41、241…押圧部、42…押圧面、F…搬送方向、T…張力。
図1
図2
図3
図4