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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】加熱装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240702BHJP
   B65H 5/08 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B65H5/08 A
G03G15/20 560
G03G15/20 505
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020127722
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024892
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 光介
(72)【発明者】
【氏名】小寺 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】中山 信行
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3027394(JP,U)
【文献】特開2005-289059(JP,A)
【文献】特開2003-063689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B65H 5/08
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される被搬送材の上面を非接触で加熱する加熱部と、
該被搬送材の下面に対向する対向面に設けられた送風孔を通じて該下面に送風し、前記対向面が水平方向に対して斜めに配置された送風部と、
前記対向面における低い側に設けられ、前記対向面から落下した被搬送材が収容される収容部と、
を備える加熱装置。
【請求項2】
前記対向面は、前記被搬送材の搬送方向の上流側よりも下流側で高くされることで、前記斜めに配置されている
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記被搬送材は、搬送方向の下流側部分が保持され且つ搬送方向の上流側部分が非保持の状態で搬送され、
前記対向面は、前記送風部の非送風時において前記被搬送材の搬送方向の上流側部分が接触する角度に配置されている
請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記送風部は、前記被搬送材の非搬送時にも送風する
請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記送風部の送風方向は、前記対向面における低い側を向いている
請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記被搬送材としての記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された被搬送材の上面を非接触で加熱する請求項1~5のいずれか1項に記載の加熱装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、未定着の画像を有するカット紙の両面に搬送部材が接触しないように、該カット紙の搬送方向先端を保持して搬送する非接触搬送手段と、該非接触搬送手段により搬送状態にある前記カット紙を非接触で加熱する非接触加熱手段と、を有する定着装置において、前記非接触加熱手段により加熱状態にある前記カット紙に対して、表面と裏面とにそれぞれ気体を吹き付ける気体吹き付け手段を有することを特徴とする定着装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-39148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送される被搬送材の上面を非接触で加熱する加熱部と、該被搬送材の下面に対向する対向面に設けられた送風孔を通じて該下面に送風する送風部と、を備える加熱装置では、対向面が水平方向に沿って配置されていると、被搬送材が対向面に落下した場合に被搬送材が対向面に留まり、該被搬送材が加熱部に加熱されて高温になる場合がある。
【0005】
本発明は、対向面が水平方向に沿って配置される構成に比べ、対向面に落下した被搬送材が高温になることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、搬送される被搬送材の上面を非接触で加熱する加熱部と、該被搬送材の下面に対向する対向面に設けられた送風孔を通じて該下面に送風し、前記対向面が水平方向に対して斜めに配置された送風部と、を備える。
【0007】
第2態様では、前記対向面は、前記被搬送材の搬送方向の上流側よりも下流側で高くされることで、前記斜めに配置されている。
【0008】
第3態様では、前記被搬送材は、搬送方向の下流側部分が保持され且つ搬送方向の上流側部分が非保持の状態で搬送され、前記対向面は、前記送風部の非送風時において前記被搬送材の搬送方向の上流側部分が接触する角度に配置されている。
【0009】
第4態様では、前記送風部は、前記被搬送材の非搬送時にも送風する。
【0010】
第5態様では、前記送風部の送風方向は、前記対向面における低い側を向いている。
【0011】
第6態様は、前記対向面における低い側に設けられ、前記対向面から落下した被搬送材が収容される収容部を備える。
【0012】
第7態様は、前記被搬送材としての記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって画像が形成された被搬送材の上面を非接触で加熱する第1態様~第6態様のいずれか1つの態様に係る加熱装置と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
第1態様の構成によれば、対向面が水平方向に沿って配置される構成に比べ、対向面に落下した被搬送材が高温になることが抑制される。
【0014】
第2態様の構成によれば、対向面が、被搬送材の搬送方向の下流側よりも上流側で高くされる構成に比べ、対向面に落下した被搬送材が、対向面に対する搬送方向の上流側に移動しやすい。
【0015】
第3態様の構成によれば、対向面が、送風部の非送風時において被搬送材の搬送方向の上流側部分が接触しない角度に配置される構成に比べ、搬送時の被搬送材の姿勢が安定する。
【0016】
第4態様の構成によれば、被搬送材の搬送時にのみ送風する構成に比べ、対向面に落下した被搬送材が高温になることが抑制される。
【0017】
第5態様の構成によれば、送風部の送風方向が、対向面に対する垂直方向である場合に比べ、対向面に落下した被搬送材が高温になることが抑制される。
【0018】
第6態様の構成によれば、対向面から落下した被搬送材が放置される構成に比べ、被搬送材が他の構成部に接触することが抑制される。
【0019】
第7態様の構成によれば、対向面が水平方向に沿って配置される構成に比べ、画像不良が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る加熱装置の構成を示す概略図である。
図3】第1実施形態に係るチェーングリッパの構成を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る送風装置の構成を示す斜視図である。
図5】第1実施形態に係る送風装置の非送風時における用紙と対向面との位置関係を示す概略図である。
図6】第1実施形態に係る送風装置の送風方向が対向面に対して、搬送方向上流側を向いている構成を示す概略図である。
図7】第1実施形態に係る送風装置に収容部が備えられた構成を示す概略図である。
図8】第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図9】第2実施形態に係るトナー像形成部の構成を示す概略図である。
図10】第2実施形態に係る定着ユニットの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、装置前後方向(装置奥行方向)を示す。
【0022】
<第1実施形態>
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0023】
図1に示される画像形成装置10は、シート状の被搬送材の一例としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体の一例としての用紙Pにインクを用いて画像を形成するインクジェット式の画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、図1に示されるように、収容部50と、排出部52と、画像形成部12と、加熱装置100と、冷却部90と、搬送装置16と、を有している。以下、画像形成装置10の各部(収容部50、排出部52、画像形成部12、加熱装置100、冷却部90及び搬送装置16)について説明する。
【0024】
(収容部50)
図1に示される収容部50は、用紙Pを収容する機能を有している。画像形成装置10では、収容部50は、複数(例えば2つ)が備えられている。この複数の収容部50から選択的に用紙Pが送り出される。用紙Pとしては、例えば、予め定められた大きさ(すなわちサイズ)とされた枚葉紙(いわゆるカット紙)が用いられる。
【0025】
(排出部52)
図1に示される排出部52は、画像が形成された用紙Pが排出される部分である。画像形成装置10では、加熱装置100で画像が加熱された後に、冷却部90で冷却された用紙Pが排出部52に排出される。
【0026】
(画像形成部12)
図1に示される画像形成部12は、記録媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。具体的には、画像形成部12は、インクを用いて用紙Pに画像を形成する。さらに具体的には、画像形成部12は、図1に示されるように、インクを吐出する吐出部14Y、14M、14C、14K(以下、14Y~14Kという)を有している。また、画像形成部12は、転写ドラム13と、対向ロール15と、を有している。
【0027】
転写ドラム13は、搬送装置16で搬送される用紙Pの搬送経路上に設けられており、該用紙Pの上方側を向く面(以下「上面」という)に接触する位置に配置されている。この転写ドラム13は、図1におけるE方向へ回転駆動する。対向ロール15は、転写ドラム13に対向して転写ドラム13の下側に配置されている。具体的には、対向ロール15は、転写ドラム13に対して予め定められた圧力にて接触している。なお、搬送装置16が用紙Pを搬送する方向を「搬送方向」という。各図では、搬送方向が矢印X方向にて示されている。
【0028】
各吐出部14Y~14Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を、転写ドラム13の外周面に吐出して、転写ドラム13の外周面に画像を形成する。吐出部14Y~14Kは、この順で、転写ドラム13の回転方向(E方向)の下流側へ向かって配置されている。また、各吐出部14Y~14Kは、転写ドラム13の軸方向に沿って長さを有している。各吐出部14Y~14Kは、サーマル方式、圧電方式等の公知の方式にて、ノズル(図示省略)からインク滴を転写ドラム13の外周面に吐出する。
【0029】
画像形成部12では、各吐出部14Y~14Kが、各色のインク滴を転写ドラム13の外周面に吐出して、転写ドラム13の外周面に画像を形成する。さらに、画像形成部12では、転写ドラム13の外周面に形成された画像を、転写ドラム13と対向ロール15との間を通過する用紙Pに転写する。これにより、用紙Pの上面に画像が形成される。なお、対向ロール15には、搬送装置16の後述のグリッパ76との干渉を抑制するための凹部17が形成されている。該グリッパ76は、転写ドラム13と対向ロール15との間を通過する際に、凹部17に入り込んだ状態で通過する。
【0030】
(加熱装置100)
図2は、加熱装置100の構成を示す概略図である。加熱装置100は、図1に示されるように、画像形成部12に対する搬送方向下流側に配置されている。
【0031】
加熱装置100は、用紙Pを加熱する装置である。具体的には、加熱装置100は、用紙P上のインクを加熱により乾燥させる機能を有している。さらに具体的には、加熱装置100は、図2に示されるように、加熱部102と、送風装置160と、を備えている。
【0032】
加熱部102は、搬送装置16(具体的には、後述の搬送機構60)によって搬送される用紙Pの上面を非接触で加熱する機能を有している。具体的には、加熱部102は、画像形成部12によって画像が形成された用紙Pの上面を非接触で加熱する。さらに具体的には、加熱部102は、反射板104と、複数のヒータ106(加熱源)と、金網112と、を備えている。なお、送風装置160の構成については後述する。
【0033】
反射板104は、ヒータ106からの赤外線を下方側(すなわち、搬送装置16によって搬送される用紙P側)へ反射する機能を有している。この反射板104は、下方側が開放された箱状に形成されている。反射板104は、例えばアルミニウム板等の金属板を用いて形成されている。
【0034】
ヒータ106は、用紙Pの幅方向(以下「紙幅方向」という場合がある)に沿って長さを有する円柱状の赤外線ヒータである。ヒータ106は、反射板104の内部に搬送方向に沿って、複数並べられている。なお、紙幅方向は、搬送方向と交差する交差方向(具体的には、直交する方向)である。各図では、紙幅方向が矢印Y方向にて示されている。
【0035】
金網112は、反射板104の下方側の開口に配置されている。これにより、金網112は、反射板104の内部と、反射板104の外部とを仕切っている。そして、金網112は、搬送装置16によって搬送される用紙Pとヒータ106との接触を防止している。
【0036】
(冷却部90)
冷却部90は、図1に示されるように、加熱装置100に対する搬送方向下流側に配置されている。この冷却部90は、搬送方向に並んでいる複数(例えば2つ)の冷却ロール92を備えている。
【0037】
冷却ロール92は、金属等により形成された円筒状のロールで構成されている。冷却ロール92は、その内部で空気や水などの冷媒が流通することで、冷媒との熱交換により用紙Pを冷却する構成とされている。
【0038】
(搬送装置16)
図1に示される搬送装置16は、用紙Pを搬送する装置である。具体的には、搬送装置16は、図1に示されるように、搬送機構60と、反転機構80と、を有している。
【0039】
(搬送機構60)
図1に示される搬送機構60は、用紙Pを搬送する機構である。具体的には、搬送機構60は、収容部50に収容された用紙Pを画像形成部12へ搬送し、画像形成部12に用紙Pを通過させる。また、搬送機構60は、用紙Pを画像形成部12から加熱装置100へ搬送し、加熱装置100に用紙Pを通過させる。すなわち、搬送機構60は、画像が形成された用紙Pを加熱装置100において搬送する機能を有している。
【0040】
また、搬送機構60では、画像形成部12及び加熱装置100において、用紙Pの一方の面を上方側へ向けて搬送する。当該一方の面は、画像形成部12において、画像が形成される画像面であり、且つ加熱装置100において加熱される面である。
【0041】
具体的には、搬送機構60は、図1に示されるように、送出ロール62と、複数の搬送ロール64と、チェーングリッパ66と、を有している。なお、搬送機構60は、搬送部の一例である。搬送機構60の構成要素であるチェーングリッパ66を搬送部の一例と把握してもよい。
【0042】
送出ロール62は、収容部50に収容された用紙Pを送り出す。複数の搬送ロール64は、送出ロール62が送り出した用紙Pをチェーングリッパ66へ搬送する。
【0043】
チェーングリッパ66は、図2及び図3に示されるように、用紙Pの前端部(すなわち、搬送方向の下流部)を保持して用紙Pを搬送する搬送部である。チェーングリッパ66は、具体的には、図2及び図3に示されるように、一対のチェーン72と、保持部材(把持部材)としてのグリッパ76と、を備えている。
【0044】
一対のチェーン72は、図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン72は、装置前後方向(図1のD方向)に間隔をおいて配置されている(図3参照)。そして、一対のチェーン72の各々は、図1に示されるように、対向ロール15に対する軸方向の一端側及び他端側に配置された一対のスプロケット(図示省略)と、装置前後方向に間隔をおいて配置された一対のスプロケット73、74に巻き掛けられている。これらの一対のスプロケットのいずれかが回転することで、チェーン72が矢印C方向へ周回する構成とされている(図1参照)。なお、各図では、スプロケット73、74の外周に設けられる歯を省略して図示している。
【0045】
一対のチェーン72には、図3に示されるように、グリッパ76が取り付けられた取付部材75が装置前後方向に沿って掛け渡されている。取付部材75は、チェーン72の周方向(周回方向)に沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン72に固定されている(図1及び図2参照)。なお、各図では、チェーン72の図示を簡略化するため、チェーン72をブロック状に示している。
【0046】
グリッパ76は、図3に示されるように、装置前後方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材75に取り付けられている。グリッパ76は、用紙Pの前端部を保持(把持)する機能を有している。具体的には、グリッパ76は、図2及び図3に示されるように、爪76Aと爪台76Bとを有している。グリッパ76では、爪76Aと爪台76Bとの間に用紙Pの前端部を挟むことで用紙Pを保持する構成とされている。このグリッパ76は、例えば、爪76Aが爪台76Bに対してバネ等により押し付けられると共に、カム等の作用により爪76Aが爪台76Bに対して開閉される。このように、本実施形態では、用紙Pに対する搬送方向の下流側に配置されたグリッパ76が、用紙Pの搬送方向の下流側から用紙Pの前端部を保持する。
【0047】
そして、チェーングリッパ66は、図2に示されるように、グリッパ76が用紙Pの前端部を保持した状態で、チェーン72が矢印C方向へ周回することで、用紙Pの一方の面を上方側へ向けた状態で該用紙Pを搬送する。このとき、チェーングリッパ66は、用紙Pの後端側部分を非保持の状態で該用紙Pを搬送する。すなわち、用紙Pは、後端側部分が拘束されずに、自由状態のまま搬送される。これにより、用紙Pは、一方の面を上方側へ向けた状態で画像形成部12及び加熱装置100を通過する。
【0048】
なお、用紙Pの前端部は、被搬送材における搬送方向の下流側部分の一例である。用紙Pの後端側部分は、被搬送材における搬送方向の一端側部分の一例であり、被搬送材における搬送方向の上流側部分の一例である。また、搬送機構60において用紙Pが搬送される搬送経路の一部が、図1において一点鎖線にて示されている。
【0049】
(送風装置160)
図2に示される送風装置160は、送風部の一例である。送風装置160は、図2に示されるように、側面視にて(すなわち、装置前後方向に見て)、チェーン72の内側(内周側)であって、加熱部102の下方側に配置されている。すなわち、側面視にて、チェーン72の一部が、加熱部102と送風装置160との間に配置される。これにより、チェーングリッパ66によって搬送される用紙Pは、加熱部102と送風装置160との間を通過する。
【0050】
送風装置160は、チェーングリッパ66によって搬送される用紙Pの下面に対して送風する装置である。具体的には、送風装置160は、図2に示すように、ファン161と、装置本体166と、送風板180と、を有している。装置本体166は、上方側が開放された箱状に形成されている。具体的には、装置本体166は、平面視にて枠状に形成された側壁163と、板状の底壁162と、を有している。底壁162の搬送方向の中央部であって、装置前後方向の中央部には、開口部164が形成されている。この開口部164に対してファン161が取り付けられている。ファン161は、駆動により、開口部164を通じて装置本体166の内部へ送風する。
【0051】
ファン161には、一例として、軸方向へ送風する軸流送風機が用いられている。なお、ファン161としては、多翼送風機(例えば、シロッコファン)などの、遠心方向へ送風する遠心送風機を用いてもよく、送風する送風機であればよい。なお、ファン161は、送風機の一例である。
【0052】
送風板180は、装置本体166の上部開口を塞ぐように、側壁163の上端に取り付けられている。これにより、装置本体166は、開口部164及び後述の送風孔182を除いて密閉されている。
【0053】
送風板180は、板状に形成されており、加熱部102に対向する対向面181を有している。対向面181は、上方側を向いており、加熱部102と送風板180との間を搬送される用紙Pの下面に対向する。
【0054】
送風板180は、金属板で構成されている。この送風板180は、ヒータ106からの赤外線を上方側(チェーングリッパ66によって搬送される用紙P側)へ反射する反射板としての機能も有している。
【0055】
送風板180には、送風板180の厚み方向に貫通する複数の送風孔182が形成されている。すなわち、複数の送風孔182は、対向面181に設けられており、加熱部102と送風板180との間を搬送される用紙Pの下面に対して開口している。
【0056】
この送風孔182は、図4に示されるように、搬送方向及び紙幅方向に沿って、二次元状(マトリックス状)に配置されている。なお、図4では、チェーングリッパ66及び送風装置160の各部を簡略化して示している。
【0057】
送風装置160では、ファン161の駆動により、装置本体166の内部に流入した空気を、チェーングリッパ66によって搬送される用紙Pの下面に対して、複数の送風孔182を通じて送風する(図2参照)。これにより、チェーングリッパ66で前端部が保持された用紙Pの後端側部分が、送風板180の対向面181から浮上し、送風板180の対向面181に対して非接触となる。すなわち、用紙Pは、チェーングリッパ66及び送風装置160により、送風板180の対向面181に対して非接触の状態で搬送される。
【0058】
ここで、図2に示されるように、送風板180は、対向面181が水平方向(矢印W方向)に対して斜めを向くように配置されている。具体的には、対向面181は、搬送方向(矢印X方向)の上流側よりも下流側で高くされることで、水平方向に対して斜めに配置されている。すなわち、対向面181は、搬送方向の上流側から下流側へ向かって上り勾配を有する傾斜面とされている。
【0059】
したがって、対向面181は、図2に示されるように、紙幅方向視及び紙幅方向断面視において、斜めに配置されている。なお、対向面181は、搬送方向視及び搬送方向断面視において、水平方向に沿って配置されている(図4参照)。すなわち、対向面181は、搬送方向視及び搬送方向断面視において、傾きを有していない。なお、水平方向とは、重力方向(鉛直方向)に対して直交する方向である。
【0060】
対向面181は、図5に示されるように、送風装置160の非送風時において、用紙Pの搬送方向の後端側部分が接触する角度に配置されている。該用紙Pには、画像形成装置10で用いられる最小サイズを含む全てのサイズの用紙が含まれる。該角度は、対向面181の水平方向に対する角度の上限を規定するものであり、対向面181が予め定められた角度を超えると、送風装置160の非送風時において、用紙Pが対向面181に対して非接触となる。対向面181の水平方向に対する角度は、具体的には、一例として、5°以上、60°以下の範囲に設定される。
【0061】
送風孔182は、対向面181に対する垂直方向に形成されており、重力方向に対して斜めに配置されている。具体的には、送風孔182は、重力方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。
【0062】
本実施形態では、送風板180に加えて、ファン161及び装置本体166を含む送風装置160全体が、水平方向に対して斜めに配置されている。具体的には、装置本体166では、板状の底壁162が、送風板180に沿って配置されており、水平方向に対して斜めに配置されている。側壁163は、底壁162に対する垂直方向に上方側へ延びており、重力方向に対して斜めに配置されている。具体的には、側壁163は、重力方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。ファン161の送風方向(軸方向)は、重力方向に対して斜めに配置されている。具体的には、ファン161の送風方向(軸方向)は、重力方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。
【0063】
送風装置160では、用紙Pの搬送時だけではなく、用紙Pの非搬送時においても、ファン161が駆動され、送風孔182を通じて送風する。用紙Pの非搬送時には、チェーングリッパ66の周回を含む動作が停止している場合が含まれる。用紙Pの非搬送時としては、一例として、画像を形成する動作の前に実行される予備動作を行う場合が挙げられる。予備動作には、吐出部14Y~14Kのカラーレジを調整する画質調整動作や、加熱部102を予め定められた温度に達するまでの待機動作などが含まれる。本実施形態では、例えば、画像形成装置10の電源がオンされた後、該電源がオフされるまでの間、送風する構成されている。
【0064】
なお、本実施形態では、チェーン72は、加熱部102と送風装置160との間に配置された部分において、対向面181に沿って配置されており、対向面181上における用紙Pの搬送方向は、対向面181に沿った方向(具体的には平行)とされている。また、前述のように、ヒータ106は、搬送方向に沿って複数並べられており、ヒータ106の並び方向は、対向面181に沿った方向(具体的には平行)とされている。なお、対向面181上における用紙Pの搬送方向が、対向面181に対して角度を有していてもよく、平行である構成に限られない。また、ヒータ106の並び方向は、対向面181に対して角度を有していてもよく、平行である構成に限られない。
【0065】
(反転機構80)
図1に示される反転機構80は、加熱装置100によって画像が加熱された用紙Pの表裏を反転させる機構である。具体的には、反転機構80は、図1に示されるように、複数(例えば、2つ)の搬送ロール82と、反転装置84、複数(例えば、7つ)の搬送ロール86と、有している。
【0066】
複数の搬送ロール82は、加熱装置100から送られた用紙Pを反転装置84へ搬送する。反転装置84は、用紙Pの表裏を反転させる。複数の搬送ロール86は、反転装置84で表裏が反転された用紙Pをチェーングリッパ66へ搬送する。すなわち、複数の搬送ロール86は、表裏が反転された用紙Pをチェーングリッパ66に受け渡す機能を有している。
【0067】
このように、反転機構80は、加熱部102と対向面181との間を通過した用紙Pの上下を反転させて、チェーングリッパ66に受け渡すことで、チェーングリッパ66は、受け渡された用紙Pを、加熱乾燥された画像が形成された面を下方側に向けて、再び、画像形成部12を経て、加熱部102と対向面181との間へ搬送する。なお、反転機構80において用紙Pが搬送される搬送経路の一部が、図1において一点鎖線にて示されている。
【0068】
(本実施形態に係る作用)
本実施形態では、図1に示される収容部50から送り出された用紙Pは、複数の搬送ロール64で搬送され、チェーングリッパ66へ受け渡される。チェーングリッパ66へ受け渡された用紙Pは、チェーングリッパ66によって用紙Pの前端部を保持し且つ後端側部分を非保持の状態で、画像形成部12へ搬送される。一方、画像形成部12では、各吐出部14Y~14Kが、各色のインク滴を転写ドラム13の外周面に吐出して、転写ドラム13の外周面に画像を形成する。画像形成部12を搬送される用紙Pは、転写ドラム13の外周面に形成された画像が転写され、画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、図2に示されるように、チェーングリッパ66によって、加熱装置100のヒータ106に画像面が対向した状態で搬送され、加熱装置100の加熱により画像が乾燥される。
【0069】
用紙Pの片面にのみ画像を形成する場合は、加熱装置100で画像が乾燥された用紙Pが、冷却部90の冷却ロール92で冷却された後、排出部52へ排出される。
【0070】
用紙Pの両面に画像を形成する場合には、片面の画像が乾燥された用紙Pは、図1に示される反転機構80によって、表裏が反転された後、再びチェーングリッパ66に受け渡される。チェーングリッパ66に受け渡された用紙Pは、既に形成された画像を下方側に向けた状態で画像形成部12へ搬送され、用紙Pの上面に転写ドラム13から画像が転写され、画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、前述と同様に、加熱装置100の加熱により乾燥された後、冷却部90の冷却ロール92で冷却されて、排出部52へ排出される。
【0071】
ここで、本実施形態では、図2に示されるように、送風板180の対向面181が水平方向(矢印W方向)に対して斜めに配置されている。
【0072】
例えば、送風板180の対向面181が水平方向に沿って配置される構成(以下、第1構成という)では、用紙Pやその紙片(以下、「用紙P等」という)が対向面181に落下すると、該用紙Pが対向面181に留まり、該用紙P等が加熱部102に加熱されて高温になる場合がある。
【0073】
これに対して、本実施形態では、図2に示されるように、送風板180の対向面181が水平方向(矢印W方向)に対して斜めに配置されているので、用紙P等が対向面181に落下した場合でも、第1構成に比べ、自重により低い側へ移動し、対向面181から落下しやすい。これにより、用紙P等が高温になることが抑制される。また、本実施形態によれば、第1構成に比べ、対向面181から落下しやすいため、対向面181に落下した用紙Pと擦れるなどして生じる画像不良が抑制される。
【0074】
用紙P等の対向面181への落下は、例えば、紙詰まり等が生じた用紙Pを除去する際に、該用紙Pが落下したり、用紙Pが破れるなどして紙片が落下したりすることで発生する。
【0075】
さらに、本実施形態では、図2に示されるように、対向面181が、搬送方向(矢印X方向)の上流側よりも下流側で高くされることで、水平方向に対して斜めに配置されている。このため、対向面181が搬送方向の下流側よりも上流側で高くされる構成に比べ、対向面181に落下した用紙P等が対向面181に対する搬送方向の上流側に移動しやすい。
【0076】
また、本実施形態では、対向面181が、図5に示されるように、送風装置160の非送風時において、用紙Pの搬送方向の後端側部分が接触する角度に配置されている。ここで、対向面181が送風装置160の非送風時において、用紙Pの搬送方向の後端側部分が接触しない角度に配置される構成(以下、第2構成という)では、重力の関係で、用紙Pの後端側部分へ作用する下方への力が強くなり、用紙Pの姿勢が不安定となる。これに対して、本実施形態では、対向面181が送風装置160の非送風時において、用紙Pの搬送方向の後端側部分が接触する角度に配置されているので、第2構成に比べ、搬送時の用紙Pの姿勢が安定する。
【0077】
また、本実施形態では、送風装置160が用紙Pの非搬送時においても、ファン161が駆動され、送風孔182を通じて送風する。このため、用紙Pの搬送時にのみ送風する構成に比べ、対向面181に落下した用紙Pが風力により、対向面181から落下しやすい。これにより、用紙P等が高温になることが抑制される。
【0078】
(送風装置160の送風方向の変形例)
本実施形態では、送風孔182が対向面181に対する垂直方向に設けられており、送風装置160の送風方向は、対向面181に対する垂直方向とされていたが、これに限られない。例えば、図6に示されるように、送風装置160の送風方向が対向面181に対して、対向面181における低い側(具体的には搬送方向上流側)を向いている構成であってもよい。本構成では、送風孔182が対向面181に対して、対向面181における低い側(具体的には搬送方向上流側)を向いて形成されている。
【0079】
本構成によれば、送風装置160の送風方向が、対向面181に対する垂直方向である場合に比べ、対向面181に落下した用紙Pが風力により、対向面181から落下しやすい。これにより、用紙P等が高温になることが抑制される。
【0080】
(送風装置160の収容部168)
送風装置160は、図7に示されるように、対向面181から落下した用紙P等が収容される収容部168を有していてもよい。収容部168は、対向面181における低い側(具体的には搬送方向上流側)に設けられている。具体的には、収容部168は、対向面181と対向ロール15との間に配置されている。収容部168は、対向面181よりも下側に配置されている。具体的には、収容部168は、対向面181から延びる延長線181Lよりも下側に配置されている。
【0081】
本実施形態では、対向面181から落下した用紙P等が収容される収容部168が、対向面181における低い側(具体的には搬送方向上流側)に設けられているので、対向面181から落下した用紙P等が放置される構成に比べ、用紙P等が他の構成部に接触することが抑制される。
【0082】
(送風装置16の変形例)
本実施形態では、図5に示されるように、対向面181が、搬送方向(矢印X方向)の上流側よりも下流側で高くされていたが、これに限られない。例えば、対向面181が搬送方向の下流側よりも上流側で高くされる構成であってもよい。さらに、対向面181が、搬送方向視及び搬送方向断面視において、水平方向に対して斜めに配置される構成であってもよい。
【0083】
また、本実施形態では、送風装置160が用紙Pの非搬送時においても、送風孔182を通じて送風していたが、これに限られず、用紙Pの搬送時にのみ送風する構成であってもよい。
【0084】
<第2実施形態>
(画像形成装置200)
第1実施形態では、画像形成装置10は、用紙Pにインクを用いて画像を形成するインクジェット式の画像形成装置であったが、画像形成装置としては、これに限られない。画像形成装置の一例としては、例えば、電子写真式の画像形成装置であってもよく、画像を形成する装置であればよい。第2実施形態では、電子写真式の画像形成装置200について説明する。図8は、本実施形態に係る画像形成装置200の構成を示す概略図である。なお、第1実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0085】
画像形成装置200は、画像形成部12に替えて画像形成部212を有している。また、画像形成装置200は、定着ユニット120(定着装置の一例)を備えている。なお、画像形成装置200は、送風装置160については、画像形成装置10と同様に構成されている。送風装置160では、用紙Pの搬送時だけではなく、用紙Pの非搬送時においても、ファン161が駆動され、送風孔182を通じて送風する。用紙Pの非搬送時には、チェーングリッパ66の周回を含む動作が停止している場合が含まれる。用紙Pの非搬送時としては、一例として、画像を形成する動作の前に実行される予備動作を行う場合が挙げられる。本実施形態の予備動作には、画像形成部212の後述のトナー像形成部20のカラーレジを調整する画質調整動作や、加熱部102及び定着ユニット120を予め定められた温度に達するまでの待機動作などが含まれる。本実施形態では、例えば、画像形成装置200の電源がオンされた後、該電源がオフされるまでの間、送風する構成されている。
【0086】
(画像形成部212)
図8に示される画像形成部212は、記録媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。具体的には、画像形成部212は、電子写真方式により用紙Pにトナー像を形成する機能を有している。さらに具体的には、画像形成部212は、図8に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成部20と、トナー像形成部20で形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写装置30と、を有している。
【0087】
(トナー像形成部20)
トナー像形成部20は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。画像形成装置10では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部20が備えられている。図8に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0088】
各色のトナー像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー像形成部20は、図9に示されるように、図9における矢印A方向に回転する感光体ドラム21(感光体)と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、を有している。さらに、各色のトナー像形成部20は、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して感光体ドラム21に静電潜像を形成する露光装置23と、露光装置23によって感光体ドラム21に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置24と、を有している。
【0089】
(転写装置30)
図8に示される転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー像を、中間転写体に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー像を用紙Pに二次転写する機能を有している。具体的には、転写装置30は、図8に示されるように、中間転写体としての転写ベルト31と、一次転写ロール33と、転写部35と、を備えている。
【0090】
一次転写ロール33は、感光体ドラム21に形成されたトナー像を、感光体ドラム21と一次転写ロール33との間の一次転写位置T(図9参照)で転写ベルト31に転写する機能を有している。
【0091】
転写ベルト31は、図8に示されるように、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。転写ベルト31は、複数のロール32の少なくとも1つが回転駆動されることで、矢印B方向へ周回し、一次転写された画像を二次転写位置NTへ搬送する。
【0092】
転写部35は、転写ベルト31に転写されたトナー像を用紙Pに転写する機能を有している。転写部35は、具体的には、二次転写部34と、対向ロール36と、を有している。
【0093】
対向ロール36は、転写ベルト31に対向するように、転写ベルト31の下側に配置されている。二次転写部34は、図8に示されるように、対向ロール36との間に転写ベルト31が配置されるように、転写ベルト31の内側に配置されている。二次転写部34は、具体的には、コロトロンで構成されている。転写部35では、転写ベルト31に転写されたトナー像が、二次転写部34の放電により発生された静電力により、二次転写位置NTを通過する用紙Pに転写される。
【0094】
(定着ユニット120)
図10に示される定着ユニット120は、用紙Pの画像を用紙Pに定着する定着部である。具体的には、定着ユニット120は、用紙Pに接触して用紙Pを加熱及び加圧することで、トナー像を用紙Pに定着する機能を有している。本実施形態では、加熱装置100によって用紙Pが予備加熱され、定着ユニット120が該用紙Pを定着する。
【0095】
本実施形態では、加熱及び加圧を行う定着ユニット120を用いて説明するが、加熱は必ずしも必要でなく、前工程の加熱装置100で溶融したトナーの表面性の向上、例えばグロスの調整を目的とすれば、加圧部による加圧が行われる形態のみでも適用可能である。
【0096】
この定着ユニット120は、図10に示されるように、用紙Pの搬送方向において、加熱装置100の下流側に配置されている。具体的には、定着ユニット120は、加熱ロール130と、加圧ロール140と、従動ロール150と、を有している。
【0097】
(加熱ロール130)
図10に示される加熱ロール130は、加熱装置100に対する搬送方向下流側に配置され、用紙Pに接触して用紙Pを加熱する機能を有している。この加熱ロール130は、用紙Pの上面に接触するように、装置前後方向を軸方向として配置されている。
【0098】
また、加熱ロール130は、円筒状の基材132と、基材132の外周に形成されたゴム層134と、ゴム層134の外周に形成された離型層136と、基材132の内部に収容されたヒータ138(加熱源)と、を有している。ヒータ138は、例えば、単一又は複数のハロゲンランプで構成されている。
【0099】
(従動ロール150)
図10に示される従動ロール150は、加熱ロール130の外周面における用紙Pに対する接触領域以外の領域に接触するように、装置前後方向を軸方向として配置されている。また、従動ロール150は、円筒状の基材152と、基材152の内部に収容されたヒータ154(加熱源)と、を有している。この従動ロール150は、加熱ロール130に従動して回転し、加熱ロール130を加熱する。
【0100】
(加圧ロール140)
図10に示される加圧ロール140は、加熱ロール130との間に用紙Pを挟んで用紙Pを加圧する機能を有している。この加圧ロール140は、加熱ロール130の下側に装置前後方向を軸方向として配置されている。
【0101】
加圧ロール140は、円筒状の基材142と、基材142の外周に形成されたゴム層144と、ゴム層144の外周に形成された離型層146と、を有している。
【0102】
加圧ロール140の周長は、グリッパ76がチェーン72に配置された配置間隔と同じとされている。また、図10に示されるように、加圧ロール140の外周面には、装置前後方向に延びる凹部148が形成されている。
【0103】
そして、用紙Pの前端部を保持するグリッパ76が、加圧ロール140と加熱ロール130との間を通過する場合に、当該グリッパ76が凹部148に入り込むように構成されている。
【0104】
なお、定着ユニット120では、加圧ロール140が、駆動部(図示省略)によって回転駆動され、その加圧ロール140に従動して加熱ロール130が回転し、その加熱ロール130に従動して従動ロール150が回転する。
【0105】
(本実施形態に係る作用)
本実施形態では、図8に示される収容部50から送り出された用紙Pは、複数の搬送ロール64で搬送され、チェーングリッパ66へ受け渡される。チェーングリッパ66へ受け渡された用紙Pは、チェーングリッパ66によって用紙Pの前端部を保持し且つ後端側部分を非保持の状態で、二次転写位置NTへ搬送され、転写ベルト31からトナー像が用紙Pの上面に転写される。トナー像が転写された用紙Pは、図10に示されるように、チェーングリッパ66によって、加熱装置100のヒータ106に画像面が対向した状態で搬送され、トナー像が加熱される。
【0106】
加熱装置100でトナー像が加熱された用紙Pは、さらにチェーングリッパ66によって、定着ユニット120に搬送され、加熱ロール130及び加圧ロール140で挟まれて加圧及び加熱される。これにより、トナー像が用紙Pに定着される。用紙Pの片面にのみ画像を形成する場合は、トナー像が定着された用紙Pは、図8に示される冷却部90の冷却ロール92で冷却された後、排出部52へ排出される。
【0107】
用紙Pの両面に画像を形成する場合には、片面に画像が定着された用紙Pは、図8に示される反転機構80によって、表裏が反転された後、再びチェーングリッパ66に受け渡される。チェーングリッパ66に受け渡された用紙Pは、定着済のトナー画像を下方側に向けた状態で、二次転写位置NTへ搬送され、転写ベルト31からトナー像が用紙Pの上面に転写される。
【0108】
トナー像が転写された用紙Pは、前述と同様に、加熱装置100で加熱された後、加熱ロール130及び加圧ロール140で挟まれて加圧及び加熱されて、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着された用紙Pは、冷却部90の冷却ロール92で冷却された後、排出部52へ排出される。
【0109】
本実施形態においても、図5に示されるように、送風板180の対向面181が水平方向(矢印W方向)に対して斜めに配置されているので、用紙Pやその紙片(以下、「用紙P等」という)が対向面181に落下した場合でも、第1構成に比べ、自重により低い側へ移動し、対向面181から落下しやすい。これにより、用紙P等が高温になることが抑制される。また、本実施形態によれば、第1構成に比べ、対向面181から落下しやすいため、対向面181に落下した用紙Pと擦れるなどして生じる画像不良が抑制される。このように、本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用を有する。
【0110】
(搬送機構60の変形例)
上記の第1、第2実施形態では、チェーングリッパ66は、グリッパ76が用紙Pの前端部を保持した状態で、用紙Pを搬送していたが、グリッパ76は、少なくとも、用紙Pの前端側部分を保持していればよい。用紙Pの前端側部分とは、用紙Pにおける搬送方向の中央より下流側(前側)の部分である。
【0111】
また、上記の第1、第2実施形態では、用紙Pに対する搬送方向の下流側に配置されたグリッパ76が、用紙Pの搬送方向の下流側から用紙Pの前端部を保持していたが、これに限られない。グリッパ76は、用紙Pに対する紙幅方向両端側から用紙Pの前端側部分を保持してもよい。
【0112】
また、上記の第1、第2実施形態では、チェーングリッパ66が用紙Pの前端部を保持し且つ後端側部分を非保持の状態で、加熱部102と送風装置160との間に該用紙Pを搬送していたが、これに限られない。例えば、加熱部102と送風装置160との間に一対の搬送ロールで用紙Pを搬送する構成であってもよい。当該構成においても、一対の搬送ロールで用紙Pを挟んで搬送する過程で、用紙Pの前端側部分を保持し且つ後端側部分を非保持で搬送する状態が生じる。
【0113】
さらに、当該構成では、一対の搬送ロールで用紙Pを挟んで搬送する過程で、用紙Pの後端側部分を保持し且つ前端側部分を非保持で搬送する状態が生じる。この場合では、用紙Pの前端側部分が、シート状の被搬送材における搬送方向の一端側部分の一例である。このように、シート状の被搬送材における搬送方向の一端側部分の一例としては、用紙Pの後端側部分だけでなく、用紙Pの前端側部分であってもよい。
【0114】
(被搬送材の変形例)
上記の第1、第2実施形態では、シート状の被搬送材の一例として、用紙Pを用いたが、これに限られない。ここで、「シート状の被搬送材」における「被搬送材」とは、搬送されるものをいう。また、「シート状の被搬送材」における「シート」とは、紙や薄板などをいう。したがって、「シート状」とは、紙や薄板などの形状をいい、その材質は不問である。よって、シート状の被搬送材の一例としては、例えば、耐熱樹脂製のフィルムや、金属フィルムなどであってもよく、搬送されうるシート状のものであればよい。
【0115】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0116】
10、200 画像形成装置
12、212 画像形成部
100 加熱装置
100 加熱部
160 送風装置(送風部の一例)
168 収容部
182 送風孔
P 用紙(被搬送材の一例、記録媒体の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10