(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20240702BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
(21)【出願番号】P 2020132513
(22)【出願日】2020-08-04
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】大久保 伸一
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-333972(JP,A)
【文献】特開2015-150317(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0076680(US,A1)
【文献】登録実用新案第3157841(JP,U)
【文献】国際公開第2007/058442(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3145026(JP,U)
【文献】特表2009-505734(JP,A)
【文献】登録実用新案第3220304(JP,U)
【文献】特開2021-183745(JP,A)
【文献】実公昭12-002269(JP,Y1)
【文献】実公昭09-011441(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の顔の一部を被覆可能な形状を有するマスク本体と、
前記マスク本体の上端部に横方向に延びて設けられた第一横ワイヤと、
前記マスク本体に設けられ、前記第一横ワイヤから下方に離間した位置で横方向に延びて設けられた第二横ワイヤと、
前記第一横ワイヤから下方に縦方向に延びて設けられ、前記第二横ワイヤと交差する縦ワイヤと、
を備え、
前記マスク本体に縦方向に沿ってワイヤ挿通路が形成され、
前記縦ワイヤの下端部が前記マスク本体に対して相対移動可能に、前記ワイヤ挿通路に前記縦ワイヤが挿通されている、
マスク。
【請求項2】
使用者の顔の一部を被覆可能な形状を有するマスク本体と、
前記マスク本体の上端部に横方向に延びて設けられた第一横ワイヤと、
前記マスク本体に設けられ、前記第一横ワイヤから下方に離間した位置で横方向に延びて設けられた第二横ワイヤと、
前記第一横ワイヤから下方に縦方向に延びて設けられ、前記第二横ワイヤと交差する縦ワイヤと、
を備え、
前記縦ワイヤは、
上端が前記第一横ワイヤに接続される第一縦ワイヤと、
上端が前記第二横ワイヤに接続される第二縦ワイヤと、を備え、
前記第一縦ワイヤの下端部が前記第二横ワイヤと交差して設けられて
いる、
マスク。
【請求項3】
前記第一縦ワイヤは、前記第二横ワイヤに対して縦方向に移動可能に設けられて
いる、
請求項2に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク、より詳しくは、衛生用のマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
花粉症の症状緩和、埃やPM2.5等汚染物質の吸引防止、感染症等の感染防止のためにマスクが使用されている。マスクは、花粉や埃等の待機中の物質を遮断したり、使用者の飛沫を遮断して外部への拡散を防止するため、マスク装着時、使用者の鼻および口を覆う。一方、鼻や口の近傍が覆われているため、使用者は、マスク非装着時に比べ息苦しさを感じることがある。そこで、例えば、特許文献1に開示されたマスク等、鼻および口から離間配置させるマスクが知られている。特許文献1に記載のマスクでは、ノーズワイヤを設けることによりマスク装着時の不快感、息苦しさ等の軽減を図っている。この他、例えば、医療用のN95マスクや防塵マスク等、被覆部分を立体的に形成し、鼻および口とマスク本体との間の隙間を広く確保するマスクが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立体的なマスクは、被覆部分と鼻および口との間に広い隙間を形成しやすい。しかし、マスク自体が立体的な形状を有するため、構造が複雑であり、製造に手間を要する。また、容積が大きいため、梱包が大きくなり、かつ、収納スペースが増大する。特許文献1のマスクでは、ノーズワイヤの形状により、鼻および口の隙間を形成する構成であり、マスク本体の全域において、顔とマスク本体との間に隙間を確保することが難しい。このため、取り扱い性に優れ、顔とマスク本体との間に十分な広さの隙間を形成可能なマスクが望まれていた。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、簡便に製造でき、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能なマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマスクは、使用者の顔の一部を被覆可能な形状を有するマスク本体と、前記マスク本体の上端部に横方向に延びて設けられた第一横ワイヤと、前記マスク本体に設けられ、前記第一横ワイヤから下方に離間した位置で横方向に延びて設けられた第二横ワイヤと、前記第一横ワイヤから下方に縦方向に延びて設けられ、前記第二横ワイヤと交差する縦ワイヤと、を備える。さらに、前記マスク本体に縦方向に沿ってワイヤ挿通路が形成され、前記縦ワイヤの下端部が前記マスク本体に対して相対移動可能に、前記ワイヤ挿通路に前記縦ワイヤが挿通されている。
本発明に係る他のマスクは、使用者の顔の一部を被覆可能な形状を有するマスク本体と、前記マスク本体の上端部に横方向に延びて設けられた第一横ワイヤと、前記マスク本体に設けられ、前記第一横ワイヤから下方に離間した位置で横方向に延びて設けられた第二横ワイヤと、前記第一横ワイヤから下方に縦方向に延びて設けられ、前記第二横ワイヤと交差する縦ワイヤと、を備える。さらに、前記縦ワイヤは、上端が前記第一横ワイヤに接続される第一縦ワイヤと、上端が前記第二横ワイヤに接続される第二縦ワイヤと、を備え、前記第一縦ワイヤの下端部が前記第二横ワイヤと交差して設けられている。
【0007】
上記マスクにおいて、前記第一横ワイヤは、前記マスク本体の横方向の略中央部に位置する部分に曲げ形状が付与された曲げ加工部を有し、前記縦ワイヤの上端部が前記曲げ加工部に接続されていてもよい。
【0008】
上記マスクにおいて、前記第二横ワイヤは、前記マスク本体の縦方向の中間部に位置してもよい。
【0009】
上記マスクにおいて、前記縦ワイヤは、縦方向の中央部が前方に向かって凸となる湾曲形状を有してもよい。
【0012】
上記マスクにおいて、前記第一縦ワイヤは、前記第二横ワイヤに対して縦方向に移動可能に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマスクは、簡便に製造でき、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るマスクの正面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るマスクの斜視図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係るマスクの斜視図である。
【
図4】本発明の第三実施形態に係るマスクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るマスク1の正面図である。
図2は、マスク1の使用時の態様を示す斜視図である。マスク本体2と、係止部3と、ワイヤ4,5,6とを備える。マスク1は、係止部3が使用者の頭部や耳に係止され、マスク本体2で使用者の顔の一部を被覆可能に構成されている。本実施形態に係るマスク1は、使い捨てマスクおよび洗浄して繰り返し使用可能なマスクいずれのマスクにも適用できる。
【0016】
マスク本体2は、正面視略矩形状を有する薄布からなる。薄布は、通気性およびフィルタとしての機能を備える。薄布は、例えば、ガーゼ等の織布、不織布、多孔性の樹脂繊維等が挙げられる。薄布は、単層、複層のいずれであってもよい。マスク本体2は、使用者の顔の一部、具体的には口を含む部分を被覆可能な面積を有する。以下の説明において、マスク1の使用時、マスク本体2のうち使用者の顔に対向する面を背面と記載し、裏面と反対側の面であり、マスク1の使用時、露出する面を正面と記載する。
【0017】
マスク本体2の横方向の両端部に一対の係止部3が設けられている。係止部3は、伸縮性を有する紐状部材からなる。係止部3をマスク本体2の横方向の両端部に取り付ける態様は特に限定されない。例えば、マスク本体2の横方向の両端部に形成された紐通し様の挿通路内に環状の紐が挿通されて係止部3が形成されてもよい。例えば、長尺な紐の長手方向の両端部をマスク本体2の横方向の端部の上端および下端にそれぞれ固定して係止部3が形成されてもよい。例えば、係止部3がマスク本体2の横方向の端部から連続して一体に形成されていてもよい。
【0018】
本実施形態では、係止部3は、係止部3を使用者の耳に掛ける例を示しているが、係止部3はこの構成に限定されない。例えば、マスク本体2の横方向の両端部から延びる紐を後頭部で結んでマスクを頭部に係止させる構成であってもよい。例えば、伸縮性を有する紐がマスク本体2の横方向の両端部と接続されて閉環状に形成されており、係止部の伸縮力によりマスクが頭部に係止される構成であってもよい。
【0019】
マスク本体2は、複数のプリーツ22を有する。プリーツ22は、横方向に沿って折り曲げられて形成されている。プリーツ22の横方向の両端部が固定されており、マスク本体2の横方向の中央部は、折り曲げ部分が展開可能に構成されている。マスク本体2にプリーツ22を備えることにより、
図1に示すように、平坦なマスク本体2が、
図2に示すように、プリーツ22が展開されて立体形状に拡張可能に構成されている。
【0020】
マスク本体2には、ワイヤ4,5,6が挿通可能なワイヤ挿通路が形成されている。横ワイヤ4,5が挿通される横ワイヤ挿通路211,212は、マスク本体2の上端部および縦方向の中間部に横方向に沿って形成されている。横ワイヤ挿通路211,212は、後述する横ワイヤ4,5の外寸法よりもやや大きく形成されている。縦ワイヤ6が挿通される縦ワイヤ挿通路は、縦ワイヤ6の位置に対応する位置に、マスク本体2の縦方向に沿って形成されている。縦ワイヤ挿通路は、マスク本体2の横方向の略中央部に形成されている。本実施形態では、マスク本体2が複層の薄布で構成されており、隣接する薄布間の隙間が縦ワイヤ挿通路として機能する。すなわち、横ワイヤ挿通路211,212の横方向の中央部に縦方向に貫通する小開口214が形成されている。小開口214は、縦ワイヤ6が挿通可能な大きさを有する。
【0021】
マスク本体2に、第一横ワイヤ4、第二横ワイヤ5、縦ワイヤ6が取り付けられている。各ワイヤ4,5,6は、マスク本体2の内部に形成されたワイヤ挿通路に配置されている。
【0022】
第一横ワイヤ4は、マスク本体2の上端部に横方向に沿って設けられている。第一横ワイヤ4は、マスク本体2の横方向の略中央部に位置する部分に曲げ形状が付与された曲げ加工部を有する。第一横ワイヤ4は、マスク本体2の上端部の横ワイヤ挿通路211に挿通されている。マスク本体2の横方向の略中央部とは、マスク本体2の中央を含む領域である。第一横ワイヤ4が横ワイヤ挿通路211に挿通されている状態で、第一横ワイヤ4の曲げ加工部がマスク本体2の横方向の中央部に配置されていればよい。例えば、第一横ワイヤ4の長さ方向の中央部に曲げ加工部が形成されていてもよい。この他、例えば、第一横ワイヤ4の長さ方向の中間部の任意の位置に曲げ加工部が設けられ、第一横ワイヤ4が横ワイヤ挿通路211に挿通された状態で、曲げ加工部がマスク本体2の横方向の中央部に位置するように、第一横ワイヤ4が配置されていてもよい。曲げ加工部に縦ワイヤ6の上端が接続されている。
【0023】
第二横ワイヤ5は、第一横ワイヤ4から下方に離間して設けられている。第二横ワイヤ5は、マスク本体2の縦方向の中間部に、横方向に沿って設けられている。第二横ワイヤ5は、マスク本体2の縦方向の中間部の横ワイヤ挿通路212に挿通されている。
図1に示すように、第二横ワイヤ5は、第一横ワイヤ4よりも長い。例えば、第二横ワイヤ5は、第一横ワイヤ4の長さと同等であってもよい。
【0024】
縦ワイヤ6は、マスク本体2の上端から縦方向に沿って設けられている。縦ワイヤ6の上端は、第一横ワイヤ4の長手方向の中間部に固定されている。縦ワイヤ6の上端は、第一横ワイヤ4の曲げ加工部に接続されている。縦ワイヤ6は、第二横ワイヤ5と交差して、マスク本体2の下部まで延設されている。縦ワイヤ6は、湾曲形状の曲げ癖が付与されている。縦ワイヤ6は、縦方向の中央部が前方に向かって凸となる湾曲形状を有する。
【0025】
縦ワイヤ6は、外力が付与されると直線状あるいは予め備える曲げ癖よりも大きく湾曲可能な弾性力を備える。縦ワイヤ6は、第二横ワイヤ5に近接配置され、第二横ワイヤ5に対して相対移動可能に設けられている。
【0026】
第一横ワイヤ4は、上側の横ワイヤ挿通路211に挿通されており、横ワイヤ挿通路211の小開口214から縦ワイヤ6が下方に延出している。第二横ワイヤ5は下側の横ワイヤ挿通路212に挿通されている。下側の横ワイヤ挿通路212の小開口214に縦ワイヤ6が挿通されている。縦ワイヤ6は、下側の横ワイヤ挿通路212と第二横ワイヤ5との僅かな隙間に挿通されている。縦ワイヤ6の上端部が第一横ワイヤ4に固定され、中間部が下側の横ワイヤ挿通路212内の隙間に挿通されて、保持されている。この結果、縦ワイヤ6は、マスク本体2のプリーツ22の展開状態に応じて、下側の横ワイヤ挿通路212および第二横ワイヤ5に対して相対移動する。言い換えると、縦ワイヤ6の上端が第一横ワイヤ4に固定されているため、マスク本体2のプリーツ22の展開状態に応じて、下側の横ワイヤ挿通路212および第二横ワイヤ5が縦ワイヤ6に対して、縦方向に相対移動する。
【0027】
各ワイヤ4,5,6は、樹脂製、金属製等、形状保持性能を有する線材である。金属製の線材は樹脂被覆されていてもよい。縦ワイヤ6は、各横ワイヤ4,5よりも硬く、変形自在なワイヤからなる。
【0028】
各ワイヤ4,5,6は、少なくとも使用時の形状に保持される形状保持性能を備えればよい。例えば、使用前のワイヤ4,5,6は直線状であり、外力が加わり変形した後は、変形後の形状が保持される性能を備えてもよい。例えば、ワイヤ4,5,6に所定の曲げ癖が予め付与されており、マスク1を使用者が装着した時、所定の曲げ癖の状態が保持される性能を備えてもよい。
【0029】
次に、マスク1の使用態様について説明する。使用前のマスク1は、
図1に示すように、プリーツ22が折りたたまれており、マスク本体2が略平坦な形状となっている。各ワイヤ4,5,6に予め曲げ癖が付与されている場合、マスク本体2は、各ワイヤ4,5,6の曲げ癖に沿って僅かに湾曲していてもよい。各ワイヤ4,5,6は外力により直線状に弾性変形可能である場合、例えば、梱包材により包装された状態では、使用時よりも薄い状態に収納可能である。
【0030】
使用時、係止部3が使用者の耳に掛けられた状態では、マスク本体2の横方向の両端部は、マスク本体2の中央部よりも後方に位置する。これに伴い、第一横ワイヤ4および第二横ワイヤ5は弾性変形する。第一横ワイヤ4および第二横ワイヤ5の長手方向の中間部が前方に突出し、縦ワイヤ6は、第二横ワイヤ5の湾曲に追従して長手方向の中間部が前方に突出し、マスク本体2のプリーツ22が展開される。この結果、
図2に示すように、マスク本体2は、前方に突出した立体形状が保持される。縦ワイヤ6は、第二横ワイヤ5に対して交差しているため、第二横ワイヤ5に対して相対移動可能である。この結果、縦ワイヤ6の曲げ形状や、第二横ワイヤ5の高さを、容易に調整できる。この結果、マスク本体2の立体形状をよりフレキシブルに調整できる。
【0031】
マスク本体2は、2本の横ワイヤ4,5および縦ワイヤ6により立体形状が保持されるため、マスク本体2の中央部をより前方に突出させられる。加えて、マスク本体2の中央部が前方に突出させて口や鼻の前方に広い空間が形成された状態が保持可能である。マスク装着時、マスク本体2の縦方向の中央部から下方の領域に、鼻および口が位置する。第二横ワイヤ5および縦ワイヤ6によりマスク本体2の縦方向の中央部が前方に突出し、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能である。この結果、マスク1は、使用時の息苦しさを軽減できる。マスク1は、口の前方に広い隙間を形成可能であるため、マスク装着時に会話しやすい。
【0032】
第一横ワイヤ4および第二横ワイヤ5は、長手方向の中間部が前方に突出するように予め曲げ癖が付与される構成の他、使用者が所望の形状に曲げる構成であってもよい。この他、第一横ワイヤ4および第二横ワイヤ5は、長手方向の中間部が前方に突出するように予め曲げ癖が付与されており、使用者が曲げ癖よりも強い力を付与することにより各横ワイヤ4,5を変形可能に構成されていてもよい。例えば、第一横ワイヤ4は使用者が所望の形状に曲げ、第二横ワイヤ5は、予め所定の湾曲形状となるように曲げ癖が付与されている構成であってもよい。この構成により、第一横ワイヤ4は使用者の鼻の形状に沿って曲げられて、マスク本体2の上端部が顔に近接配置され、遮蔽性を高めることができる。例えば、第二横ワイヤ5も使用者が所望の形状に変形可能に構成されていてもよい。この場合、使用者が所望の形状に第二横ワイヤ5を湾曲させることができる。
【0033】
縦ワイヤ6は、各横ワイヤ4,5よりも硬く、変形自在なワイヤからなるため、使用者が縦ワイヤ6を所望の形状に変形可能である。縦ワイヤ6をこのような構成とすることにより、使用者の鼻の位置、鼻の高さに応じて、縦ワイヤ6の前方へ突出する頂部の位置を所望の位置に調整可能である。縦ワイヤ6は、さらに、長手方向の中間部が前方に突出するように予め曲げ癖が付与されていてもよい。
【0034】
本実施形態に係るマスク1によれば、簡便に製造でき、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能である。
【0035】
本実施形態に係るマスク1によれば、縦ワイヤ6の上端が第一横ワイヤ4の曲げ加工部に固定されているため、縦ワイヤ6が前方に突出し易い。この結果、マスク装着時、マスク本体2が前方に突出し易く、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能である。
【0036】
本実施形態に係るマスク1によれば、マスク本体2の縦方向の中間部に第二横ワイヤ5が設けられているため、マスク本体2の中間部が前方に突出した状態を容易に形成できる。この結果、マスク装着時、マスク本体2が前方に突出し易く、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能である。
【0037】
本実施形態に係るマスク1によれば、縦ワイヤ6は、縦方向の中央部が前方に向かって凸となる湾曲形状を有するため、マスク本体2の中間部が前方に突出した状態を容易に形成できる。この結果、マスク装着時、マスク本体2が前方に突出し易く、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能である。
【0038】
上記実施形態では、各ワイヤ4,5,6に予め曲げ癖が付与された例を示したが、各ワイヤ4,5,6の構成はこれに限定されない。例えば、第一横ワイヤ4は曲げ癖が付与されず、使用者が所望の位置で変形させてマスク本体2の上端の形状を調整する構成であってもよい。
【0039】
(第二実施形態)
第二実施形態に係るマスク1Aについて、
図3を参照して説明する。本実施形態では、マスク本体の構成が第一実施形態と異なる。以下の説明において既に説明したものと共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0040】
図3に示すように、本実施形態に係るマスク1Aでは、マスク本体2Aが予め立体形状を有する。マスク本体2Aは、自然状態で、横方向および縦方向の中央部が前方に突出した立体形状を有する。係止部3Aは、マスク本体2Aと一体に形成され、耳掛け用の孔が開口している。マスク本体2Aは複層構造であり、内部にワイヤ挿通路211,212,213が形成されている。縦ワイヤ6のワイヤ挿通路213も、横ワイヤ挿通路211,212と同様に、縦ワイヤ6が相対移動可能であり、かつ、保持可能な寸法の挿通路が形成されている。ワイヤ4,5,6は、予め曲げ癖が付与されている。
【0041】
各ワイヤ4,5,6を備えることにより、マスク本体2Aの立体形状を確保しやすい。すなわち、横ワイヤ4,5および縦ワイヤ6によりマスク本体2Aが前方に突出した状態を保持しやすい。例えば、従来の立体形状のマスクでは、横方向の中央部のみが前方に突出している。これに対し、本実施形態に係るマスク1Aでは、横ワイヤ4,5により、横方向の中央部をピークとして緩やかな湾曲形状にマスク本体2Aを突出させることができる。マスク1Aは縦ワイヤ6を備えることにより、マスク本体2Aの立体的な突出形状を保持可能である。
【0042】
各ワイヤ4,5,6は、使用者が、各ワイヤ4,5,6に対して予め付与された曲げ癖よりも強い力を付与すると縦ワイヤ6が変形可能に構成されていてもよい。この構成によろい、使用者が各ワイヤ4,5,6を所望の曲げ形状に調整可能となる。例えば、縦ワイヤ6を、使用者の鼻の位置、鼻の高さに応じて、縦ワイヤ6の前方へ突出する頂部の位置を所望の位置に調整可能である。
【0043】
各ワイヤ4,5,6は、各ワイヤ挿通路211,212,213内で相対移動可能に挿通されている。この結果、マスク装着時、各ワイヤ4,5,6の曲げ態様に応じて、各ワイヤ4,5,6が各ワイヤ挿通路211,212,213内で相対移動し、マスク本体2Aに皺が発生することなく、マスク本体2Aが所望の形状に調整できる。
【0044】
本実施形態に係るマスク1Aによれば、第一実施形態と同様に、簡便に製造でき、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能である。
【0045】
本実施形態に係るマスク1Aによれば、マスク本体2Aの立体形状を保持可能であり、鼻および口の前方に広い隙間を保持できる。
【0046】
本実施形態に係るマスク1Aによれば、使用者がマスク本体2Aの立体形状を所望の形状に微調整が可能であり、装着感を向上させることができる。
【0047】
本実施形態に係るマスク1Aによれば、マスク本体2Aはに縦方向に沿ってワイヤ挿通路213が形成され、縦ワイヤ6の下端部がマスク本体2Aに対して相対移動可能となるように、縦ワイヤ6が挿通されている。この結果、マスク本体2Aに皺が発生することなく、マスク本体2Aが所望の形状に調整できる。
【0048】
(第三実施形態)
第三実施形態に係るマスク1Bについて、
図4および
図5を参照して説明する。
図4は、第三実施形態に係るマスク1Bの正面図である。
図5は、
図4のV-V線における断面図である。本実施形態では、縦ワイヤの構成が第一実施形態と異なる。以下の説明において既に説明したものと共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0049】
本実施形態に係るマスク1Bは、縦ワイヤとして、第一縦ワイヤ61および第二縦ワイヤ62を備える。第一縦ワイヤ61は、上端が第一横ワイヤ4に接続されている。第二縦ワイヤ62は、上端が第二横ワイヤ5に接続されている。第一横ワイヤ4と第一縦ワイヤ61、および第二横ワイヤ5と第二縦ワイヤ62が、それぞれT字形状を有する。第一縦ワイヤ61の下端部は、第二横ワイヤ5と交差して設けられている。第一縦ワイヤ61と第二縦ワイヤ62とは相対移動可能に設けられている。第一縦ワイヤ61と第二縦ワイヤ62とは、縦方向に一部重畳している。
【0050】
第一縦ワイヤ61および第二縦ワイヤ62を備えることにより、マスク本体2の立体形状の調整が容易となる。例えば、第一縦ワイヤ61と第二縦ワイヤ62との曲げ癖の曲率を変えることにより、顔の形状に合わせた立体的なマスク1Bを形成できる。
【0051】
本実施形態に係るマスク1Bによれば、第一実施形態と同様に、簡便に製造でき、鼻および口の前方に広い隙間を形成可能である。
【0052】
本実施形態に係るマスク1Bによれば、マスク本体2Aの立体形状を保持可能であり、鼻および口の前方に広い隙間を保持できる。
【0053】
本実施形態に係るマスク1Bによれば、使用者がマスク本体2Aの立体形状を所望の形状に微調整が可能であり、装着感を向上させることができる。
【0054】
上記各実施形態では、マスク本体2,2Aの内部にワイヤ挿通路211,212,213を形成する例を示したが、ワイヤ挿通路の構成はこれに限定されない。例えば、マスク本体の外面にワイヤ挿通路となる細長形状の生地を取り付け、マスク本体とワイヤ挿通路用の生地との間にワイヤ挿通路が形成される構成であってもよい。
【0055】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態等の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B…マスク
2,2A…マスク本体
3…係止部
4…第一横ワイヤ
5…第二横ワイヤ
6…縦ワイヤ
61…第一縦ワイヤ
62…第二縦ワイヤ