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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】駆動回路、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/045 20060101AFI20240702BHJP
   B41J 2/015 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B41J2/045
B41J2/015 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020165283
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057171
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】井出 典孝
(72)【発明者】
【氏名】田端 邦夫
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-114500(JP,A)
【文献】特開2018-052047(JP,A)
【文献】特開2009-166349(JP,A)
【文献】特開2016-141104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0195576(US,A1)
【文献】米国特許第09975330(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/045
B41J 2/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を駆動する駆動信号を出力する駆動回路であって、
前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調して変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅した増幅変調信号を第1出力点から出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号の電位をシフトしたレベルシフト増幅変調信号を第2出力点から出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
を備え、
前記増幅回路は、前記変調信号に基づいて第1ゲート信号と第2ゲート信号とを出力する第1ゲートドライバーと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第1ゲート信号に基づいて動作する第1トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端に第1電源電圧が供給され、前記第2ゲート信号に基づいて動作する第2トランジスターと、を有し、
前記レベルシフト回路は、前記基駆動信号に基づいて第3ゲート信号と第4ゲート信号とを出力する第2ゲートドライバーと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、他端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第3ゲート信号に基づいて動作する第3トランジスターと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、前記第4ゲート信号に基づいて動作する第4トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端が前記第4トランジスターの他端と電気的に接続している第1容量素子と、一端が前記第4トランジスターの一端と電気的に接続し、他端が前記第2ゲートドライバーと電気的に接続され、他端に第2電源電圧が供給される第2容量素子と、を有し、
前記駆動信号は、第1電位で一定となる第1期間と、前記第1電位よりも高電位の第2電位で一定となる第2期間と、前記第2電位よりも高電位の第3電位で一定となる第3期間とを含み、
前記第2ゲートドライバーは、前記第2期間において、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力する、
ことを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
前記第2ゲートドライバーは、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力するのか、前記第3トランジスターを非導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力するのかを、前記基駆動信号の電位に基づいて判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記第2ゲートドライバーは、
前記基駆動信号の電位が所定の電位よりも低い場合、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号と、を出力し、
前記基駆動信号の電位が前記所定の電位よりも高い場合、前記第3トランジスターを非導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを導通に制御する前記第4ゲート信号と、を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記第2電位は、前記第1電源電圧の電位よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記基駆動信号を出力する基駆動信号回路を備え、
前記基駆動信号は、第4電位で一定となる第4期間と、前記第4電位よりも高電位の第5電位で一定となる第5期間と、前記第5電位よりも高電位の第6電位で一定となる第6期間とを含み、
前記基駆動信号回路は、前記第1電源電圧の電位に基づいて前記第5電位を変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記基駆動信号を出力する基駆動信号回路を備え、
前記基駆動信号は、第4電位で一定となる第4期間と、前記第4電位よりも高電位の第5電位で一定となる第5期間と、前記第5電位よりも高電位の第6電位で一定となる第6期間とを含み、
前記基駆動信号回路は、前記駆動部の特性の変化に基づいて前記第4電位、及び前記第6電位の少なくとも一方の電位を変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記第1電源電圧を出力する電源回路を備え、
前記電源回路は、前記駆動部の特性変化に基づいて前記第1電源電圧の電位を変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記第1電源電圧を出力する電源回路を備え、
前記基駆動信号は、第4電位で一定となる第4期間と、前記第4電位よりも高電位の第5電位で一定となる第5期間と、前記第5電位よりも高電位の第6電位で一定となる第6期間とを含み、
前記電源回路は、前記第5電位に基づいて前記第1電源電圧の電位を変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記レベルシフト回路は、前記増幅変調信号の基準電位を、第7電位と、前記第7電位よりも高電位の第8電位との間で切り替える、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記第7電位はグラウンド電位であり、前記第8電位は前記第1電源電圧の電位である、
ことを特徴とする請求項9に記載の駆動回路。
【請求項11】
液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部を駆動する駆動信号を出力する駆動回路と、
を備え、
前記駆動回路は、
前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調して変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅した増幅変調信号を第1出力点から出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号の電位をシフトしたレベルシフト増幅変調信号を第2出力点から出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
を有し、
前記増幅回路は、前記変調信号に基づいて第1ゲート信号と第2ゲート信号とを出力する第1ゲートドライバーと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第1ゲート信号に基づいて動作する第1トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端に第1電源電圧が供給され、前記第2ゲート信号に基づいて動作する第2トランジスターと、を有し、
前記レベルシフト回路は、前記基駆動信号に基づいて第3ゲート信号と第4ゲート信号とを出力する第2ゲートドライバーと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、他端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第3ゲート信号に基づいて動作する第3トランジスターと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、前記第4ゲート信号に基づいて動作する第4トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端が前記第4トランジスターの他端と電気的に接続している第1容量素子と、一端が前記第4トランジスターの一端と電気的に接続し、他端が前記第2ゲートドライバーと電気的に接続され、他端に第2電源電圧が供給される第2容量素子と、を有し、
前記駆動信号は、第1電位で一定となる第1期間と、前記第1電位よりも高電位の第2電位で一定となる第2期間と、前記第2電位よりも高電位の第3電位で一定となる第3期間とを含み、
前記第2ゲートドライバーは、前記第2期間において、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路、及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)等の駆動素子を用いたものが知られている。このような圧電素子は、ヘッドユニットにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号に従って駆動される。これにより、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、媒体にドットが形成される。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。このため、源信号を増幅回路によって増幅し、駆動信号としてヘッドユニットに供給することで、圧電素子を駆動する構成となっている。
【0003】
特許文献1には、駆動信号を出力する駆動回路として、基駆動信号を変調する変調回路と、変調回路が出力した信号を電力増幅する複数の電力増幅回路と、を備えた駆動回路、及び当該駆動回路を搭載した液体噴射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-166349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の駆動回路では、動作安定性のさらなる向上の観点において、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る駆動回路の一態様は、
駆動部を駆動する駆動信号を出力する駆動回路であって、
前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調して変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅した増幅変調信号を第1出力点から出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号の電位をシフトしたレベルシフト増幅変調信号を第2出力点から出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
を備え、
前記増幅回路は、前記変調信号に基づいて第1ゲート信号と第2ゲート信号とを出力する第1ゲートドライバーと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第1ゲート信号に基づいて動作する第1トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端に第1電源電圧が供給され、前記第2ゲート信号に基づいて動作する第2トランジスターと、を有し、
前記レベルシフト回路は、前記基駆動信号に基づいて第3ゲート信号と第4ゲート信号とを出力する第2ゲートドライバーと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、他端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第3ゲート信号に基づいて動作する第3トランジスターと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、前記第4ゲート信号に基づいて動作する第4トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端が前記第4トランジスターの他端と電気的に接続している第1容量素子と、一端が前記第4トランジスターの一端と電気的に接続し、他端が前記第2ゲートドライバーと電気的に接続され、他端に第2電源電圧が供給される第2容量素子と、を有し、
前記駆動信号は、第1電位で一定となる第1期間と、前記第1電位よりも高電位の第2電位で一定となる第2期間と、前記第2電位よりも高電位の第3電位で一定となる第3期間とを含み、
前記第2ゲートドライバーは、前記第2期間において、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力する。
【0007】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部を駆動する駆動信号を出力する駆動回路と、
を備え、
前記駆動回路は、
前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調して変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅した増幅変調信号を第1出力点から出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号の電位をシフトしたレベルシフト増幅変調信号を第2出力点から出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
を有し、
前記増幅回路は、前記変調信号に基づいて第1ゲート信号と第2ゲート信号とを出力する第1ゲートドライバーと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第1ゲート信号に基づいて動作する第1トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端に第1電源電圧が供給され、前記第2ゲート信号に基づいて動作する第2トランジスターと、を有し、
前記レベルシフト回路は、前記基駆動信号に基づいて第3ゲート信号と第4ゲート信号とを出力する第2ゲートドライバーと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、他端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第3ゲート信号に基づいて動作する第3トランジスターと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、前記第4ゲート信号に基づいて動作する第4トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端が前記第4トランジスターの他端と電気的に接続している第1容量素子と、一端が前記第4トランジスターの一端と電気的に接続し、他端が前記第2ゲートドライバーと電気的に接続され、他端に第2電源電圧が供給される第2容量素子と、を有し、
前記駆動信号は、第1電位で一定となる第1期間と、前記第1電位よりも高電位の第2電位で一定となる第2期間と、前記第2電位よりも高電位の第3電位で一定となる第3期間とを含み、
前記第2ゲートドライバーは、前記第2期間において、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体吐出装置の構造を示す図である。
図2】液体吐出装置の機能構成を示す図である。
図3】ヘッドユニットにおける複数の吐出部の配置の一例を示す図である。
図4】吐出部の概略構成を示す図である。
図5】駆動信号COMの波形の一例を示す図である。
図6】駆動信号出力回路の機能構成を示す図である。
図7】駆動信号出力回路の動作を説明するための図である。
図8】駆動信号COMの波形補正に伴う電圧VMVの電位の補正について説明するための図である。
図9】電圧VMVの電位に応じた電圧Vcの補正について説明するための図である。
図10】電圧Vb,Vtの電位に基づく駆動信号COMの波形補正について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.液体吐出装置の概要
図1は、液体吐出装置1の構造を示す図である。図1に示すように、液体吐出装置1は、移動体2を主走査方向に沿った方向に往復動させる移動ユニット3を備える。
【0011】
移動ユニット3は、移動体2の移動の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在し、キャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33とを有する。
【0012】
移動体2は、キャリッジ24を有する。キャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト33の一部に固定されている。これにより、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33を正逆走行することで、移動体2がキャリッジガイド軸32に案内されて往復動する。移動体2のうち、媒体Pと対向する部分にはヘッドユニット20が設けられている。このヘッドユニット20の媒体Pと対向する面には、液体としてのインクを吐出する多数のノズルが位置している。そして、ヘッドユニット20には、フレキシブルケーブル190を介してヘッドユニット20の動作を制御する各種制御信号が供給される。
【0013】
また、液体吐出装置1は、媒体Pを搬送方向に沿ってプラテン40上で搬送させる搬送ユニット4を備える。搬送ユニット4は、媒体Pの搬送の駆動源である搬送モーター41と、搬送モーター41により回転し、媒体Pを搬送方向に沿って搬送する搬送ローラー42とを有する。
【0014】
以上のように構成された液体吐出装置1では、媒体Pが搬送ユニット4によって搬送されるタイミングで、ヘッドユニット20から当該媒体Pにインクが吐出されることで、媒体Pの表面に所望の画像が形成される。
【0015】
次に液体吐出装置1の機能構成について説明する。図2は、液体吐出装置1の機能構成を示す図である。図2に示すように液体吐出装置1は、制御ユニット10、ヘッドユニット20、移動ユニット3、搬送ユニット4、及び制御ユニット10とヘッドユニット20とを電気的に接続するフレキシブルケーブル190を備える。
【0016】
制御ユニット10は、制御部100、駆動信号出力回路50、及び電源回路70を有する。
【0017】
電源回路70は、液体吐出装置1の外部から供給される商用交流電源から所定の電圧値の電圧VHV,VMV,VDDを生成し、対応する液体吐出装置1の構成に出力する。ここで、本実施形態における電圧VHVは42Vの直流電圧であり、電圧VMVは21Vの直流電圧であり、電圧VDDは5Vの直流電圧である。なお、電源回路70は、電圧VHV,VMV,VDDに替えて、又は電圧VHV,VMV,VDDに加えて異なる電圧値の信号を出力してもよい。また、電源回路70は、商用交流電源から電圧VHVを生成するAC/DCコンバーターと、電圧VHVから電圧VMV,VDDを生成するDC/DCコンバーターとを備えてもよい。
【0018】
制御部100には、液体吐出装置1の外部に設けられる不図示の外部機器であって、例えば、ホストコンピューター等から画像データが供給される。そして、制御部100は、供給される画像データに各種の画像処理等を施すことで、液体吐出装置1の各部を制御するための各種制御信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0019】
具体的には、制御部100は、移動ユニット3による移動体2の往復動を制御するための制御信号Ctrl1を生成し、移動ユニット3に含まれるキャリッジモーター31に出力する。また、制御部100は、搬送ユニット4による媒体Pの搬送を制御するための制御信号Ctrl2を生成し、搬送ユニット4に含まれる搬送モーター41に出力する。これにより、主走査方向に沿った移動体2の往復動と、搬送方向に沿った媒体Pの搬送とが制御され、ヘッドユニット20は、媒体Pの所望の位置にインクを吐出することができる。なお、制御部100は、制御信号Ctrl1を、不図示のキャリッジモータードライバを介して移動ユニット3に供給してもよく、また、制御信号Ctrl2を、不図示の搬送モータードライバーを介して搬送ユニット4に供給してもよい。
【0020】
また、制御部100は、駆動信号出力回路50に基駆動データdAを出力する。ここで、基駆動データdAは、ヘッドユニット20に供給される駆動信号COMの波形を規定するデータを含むデジタル信号である。そして、駆動信号出力回路50は、入力される基駆動データdAをアナログ信号に変換した後、変換した信号を増幅することで駆動信号COMを生成し、ヘッドユニット20に供給する。なお、駆動信号出力回路50の構成、及び動作の詳細については後述する。
【0021】
また、制御部100は、ヘッドユニット20の動作を制御するための駆動データ信号DATAを生成し、ヘッドユニット20に出力する。ヘッドユニット20は、選択制御部210、複数の選択部230、及び吐出ヘッド21を有する。また、吐出ヘッド21は、圧電素子60を含む吐出部600を複数個有する。ここで、複数の選択部230のそれぞれは、吐出ヘッド21が有する複数の吐出部600のそれぞれに含まれる圧電素子60に対応して設けられる。
【0022】
選択制御部210には、駆動データ信号DATAが入力される。選択制御部210は、入力される駆動データ信号DATAに基づいて選択部230のそれぞれに対して駆動信号COMを選択すべきか又は非選択とすべきかを指示する選択制御信号を生成し、複数の選択部230のそれぞれに出力する。複数の選択部230のそれぞれは、入力される選択制御信号に基づいて、駆動信号VOUTとして駆動信号COMを選択、又は非選択とする。これにより、選択部230は、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTを生成し、吐出ヘッド21に含まれる対応する吐出部600に含まれる圧電素子60の一端に供給する。また、圧電素子60の他端には、圧電素子60の駆動の基準となる基準電圧信号VBSが供給されている。ここで、基準電圧信号VBSは、5Vの直流電圧の信号であってもよく、また、グラウンドの電位であってもよい。
【0023】
圧電素子60は、ヘッドユニット20における複数のノズルのそれぞれに対応して設けられる。そして、圧電素子60が、一端に供給される駆動信号VOUTと、他端に供給される基準電圧信号VBSとの電位差に応じて駆動することで、対応するノズルからインクが吐出される。
【0024】
なお、図2ではヘッドユニット20が1つの吐出ヘッド21を搭載している場合を図示しているが、液体吐出装置1は、吐出されるインクの種類の数等に応じて複数の吐出ヘッド21を有してもよい。
【0025】
2.吐出部の構成
図3は、ヘッドユニット20における複数の吐出部600の配置の一例を示す図である。なお、図3では、ヘッドユニット20が4個の吐出ヘッド21を有する場合を例示している。
【0026】
図3に示すように、吐出ヘッド21は、一方向に列状に設けられた複数の吐出部600を有する。すなわち、ヘッドユニット20には、吐出部600に含まれるノズル651が一方向に並ぶノズル列Lが、吐出ヘッド21の数だけ形成されている。なお、吐出ヘッド21が有するノズル列Lにおけるノズル651の配置は、一列に限るものではなく、例えば、吐出ヘッド21は、複数のノズル651が、端から数えて偶数番目のノズル651と奇数番目のノズル651とが、互いに位置が相違するように千鳥状に配置されたノズル列Lを有してもよく、また、複数のノズル651が2列以上で並設されノズル列Lを含んでもよい。
【0027】
ここで、吐出部600の構成の一例ついて説明する。図4は、吐出部600の概略構成を示す図である。図4に示すように、吐出部600は、圧電素子60と、振動板621と、キャビティー631と、ノズル651とを含む。キャビティー631には、リザーバー641からインクが供給されるインクが充填している。また、リザーバー641には、不図示のインクカートリッジから供給口661を経由してインクが導入される。すなわち、キャビティー631には、対応するインクカートリッジに貯留されているインクが充填している。
【0028】
振動板621は、図4において上面に設けられた圧電素子60の駆動によって変位する。そして、振動板621の変位に伴って、インクが充填されるキャビティー631の内部容積が拡大、縮小する。すなわち、振動板621は、キャビティー631の内部容積を変化させるダイヤフラムとして機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に設けられ開口部であって、キャビティー631と連通している。そして、キャビティー631の内部容積が変化することで、内部容積の変化に応じた量のインクが、キャビティー631に導入されるとともに、ノズル651から吐出される。
【0029】
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,電極612で挟んだ構造である。このような構造の圧電体601は、電極611,電極612により供給された電圧の電位差に応じて、電極611,電極612の中央部分が、振動板621とともに上下方向に撓む。具体的には、圧電素子60の電極611には駆動信号VOUTが供給され、電極612には、基準電位の信号が供給される。そして、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧レベルが低くなると、対応する圧電素子60は上方向に撓み、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧レベルが高くなると、対応する圧電素子60は下方向に撓む。
【0030】
以上のように構成された吐出部600では、圧電素子60が上方向に撓むことで、振動板621が上方向に変位し、キャビティー631の内部容積が拡大する。これにより、リザーバー641からインクが引き込まれる。一方、圧電素子60が下方向に撓むことで、振動板621が下方向に変位し、キャビティー631の内部容積が縮小する。これにより、縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。なお、圧電素子60は、図4に示す構造に限られるものではなく、圧電素子60の駆動に伴ってノズル651からインクが吐出できる構造であればよい。また、圧電素子60は、上述した屈曲振動の構成に限られず、例えば、縦振動を用いる構造でもよい。さらに、圧電素子60は、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧レベルが高くなると、対応する圧電素子60は上方向に撓み、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧レベルが低くなると、対応する圧電素子60は下方向に撓む構成であってもよい。
【0031】
ここで、圧電素子60を含む吐出部600が駆動部の一例であり、駆動部を駆動する駆動信号VOUTの基となる駆動信号COMが駆動信号の一例である。なお、駆動信号VOUTが駆動信号COMを選択、又は非選択とすることにより生成されていることに鑑みると、広義の上で、駆動信号VOUTも駆動信号の一例である。
【0032】
3.駆動信号出力回路の構成
以上のように、ヘッドユニット20に含まれる吐出部600がインクを吐出するために駆動する圧電素子60は、駆動信号出力回路50で生成される駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTにより駆動される。このような駆動信号VOUTの基となる駆動信号COMを生成する駆動信号出力回路50の構成、及び動作について説明する。
【0033】
3.1 駆動信号COMの電圧波形
まず、駆動信号出力回路50で生成される駆動信号COMの波形の一例について説明する。図5は、駆動信号COMの波形の一例を示す図である。図5に示すように駆動信号COMは、周期T毎に台形波形Adpを含む信号である。この駆動信号COMに含まれる台形波形Adpは、電圧Vcで一定の期間と、電圧Vcで一定の期間の後に位置する電圧Vcよりも低電位の電圧Vbで一定の期間と、電圧Vbで一定の期間の後に位置する電圧Vcよりも高電位の電圧Vtで一定の期間と、電圧Vtで一定の期間の後に位置する電圧Vcで一定の期間とを含む。すなわち、駆動信号COMは、電圧Vcで始まり電圧Vcで終了する台形波形Adpを含む。換言すれば、駆動信号COMは、電位が電圧Vbで一定となる期間と、電位が電圧Vbよりも高電位の電圧Vcで一定となる期間と、電位が電圧Vcよりも高電位の電圧Vtで一定となる期間とを含む。ここで、電圧Vb、及び電圧Vbの電位が第1電位の一例であり、電圧Vc、及び電圧Vcの電位が第2電位の一例であり、電圧Vt、及び電圧Vtの電位が第3電位の一例である。
【0034】
ここで、電圧Vcは、駆動信号COMにより駆動する圧電素子60の変位の基準となる基準電位として機能する。そして、圧電素子60に供給される駆動信号COMの電圧値が電圧Vcから電圧Vbになることで、圧電素子60が図4の上方に撓み、その結果、振動板621が図4に示す上方に変位する。そして、振動板621が上方に変位することで、キャビティー631の内部容積が拡大し、インクがリザーバー641からキャビティー631に引き込まれる。その後、圧電素子60に供給される駆動信号COMの電圧値が電圧Vbから電圧Vtになることで、圧電素子60が図4に示す下方に撓み、その結果、振動板621が図4に示す下方に変位する。そして、振動板621が下方に変位することで、キャビティー631の内部容積が縮小し、キャビティー631に貯留されているインクがノズル651から吐出される。また、圧電素子60の駆動によりノズル651からインクが吐出された後、一定の期間、ノズル651の近傍のインクや振動板621が振動を継続する場合がある。駆動信号COMに含まれる電圧Vcで一定の期間は、このようなインクや振動板621に生じたインクの吐出に寄与しない振動を静止させるための期間としても機能する。
【0035】
3.2 駆動信号出力回路の構成
次に、駆動信号COMを生成し出力する駆動信号出力回路50の構成について説明する。図6は、駆動信号出力回路50の機能構成を示す図である。図6に示すように駆動信号出力回路50は、基駆動信号出力回路510、加算器511、固定出力切替回路520、パルス変調回路530、切替スイッチ531、帰還回路540、デジタル増幅回路550、レベルシフト回路560、及び復調回路580を有する。
【0036】
基駆動信号出力回路510には、制御部100からデジタル信号である基駆動データdAが入力される。そして、基駆動信号出力回路510は、入力される基駆動データdAをデジタル-アナログ変換した後、変換したアナログ信号を基駆動信号aAとして出力する。すなわち、基駆動信号出力回路510は、D/A(Digital to Analog Converter)コンバーターを含む。この基駆動信号aAの電圧振幅は例えば、1~2Vであり、駆動信号出力回路50は、基駆動信号aAを増幅した信号を駆動信号COMとして出力する。すなわち、基駆動信号aAは、駆動信号COMの増幅前の目標となる信号に相当する。
【0037】
加算器511の+側入力端には基駆動信号aAが入力され、-側入力端には帰還回路540を介して供給される駆動信号COMの帰還信号Sfbが入力される。そして、加算器511は、+側の入力端に入力された電圧から-側の入力端に入力された電圧を差し引き積分した電圧をパルス変調回路530に出力する。
【0038】
パルス変調回路530は、加算器511から入力される信号をパルス変調し変調信号Msとして切替スイッチ531に出力する。すなわち、パルス変調回路530は、駆動信号COMの基となる基駆動信号aAを変調し、変調信号Msを出力する。
【0039】
固定出力切替回路520は、切替回路521と固定パルス出力回路522とを含む。固定パルス出力回路522には、基駆動信号aAが入力される。そして、固定パルス出力回路522は、入力される基駆動信号aAの電位に応じた所定のデューティーのパルス信号PDCを生成し、切替スイッチ531に出力する。また、切替回路521には、基駆動信号aAが入力される。そして、切替回路521は、入力される基駆動信号aAの電位に基づいて、切替スイッチ531を制御する切り替え信号Selを出力する。具体的には、切替回路521は、基駆動信号aAの電位が一定の期間において、切替スイッチ531が変調信号Msを基ゲート信号Gdとして出力端から出力するための切り替え信号Selを出力する。また、切替回路521は、基駆動信号aAの電位が変化する期間において、切替スイッチ531がパルス信号PDCを基ゲート信号Gdとして出力端から出力するための切り替え信号Selを出力する。
【0040】
切替スイッチ531の一方の入力端には変調信号Msが供給され、他方の入力端にはパルス信号PDCが供給される。そして、切替スイッチ531は、切替回路521が出力する切り替え信号Selに基づいて、変調信号Msを基ゲート信号Gdとして出力端から出力するのか、又はパルス信号PDCを基ゲート信号Gdとして出力端から出力するのかを切り替える。この切替スイッチ531から出力された基ゲート信号Gdがデジタル増幅回路550に入力される。
【0041】
デジタル増幅回路550は、ゲートドライバー551、ダイオードD1、コンデンサーC1、及びトランジスターQ1,Q2を含む。そして、デジタル増幅回路550は、基ゲート信号Gdを増幅した増幅変調信号AMs1を中点CP1から出力する。
【0042】
具体的には、基ゲート信号Gdは、デジタル増幅回路550が有するゲートドライバー551に入力される。ゲートドライバー551は、入力される基ゲート信号Gdの論理レベルに基づいて、トランジスターQ1を駆動するゲート信号Hgs1とトランジスターQ2を駆動するゲート信号Lgs1とを出力する。
【0043】
トランジスターQ1,Q2は、共にNチャネルのMOS-FETで構成されている。ゲートドライバー551が出力するゲート信号Hgs1は、トランジスターQ1のゲート端子に入力される。また、トランジスターQ1のドレイン端子には、電圧VMVが供給され、トランジスターQ1のソース端子は、中点CP1と接続している。すなわち、トランジスターQ1は、一端であるソース端子が中点CP1と電気的に接続し、ゲート信号Hgs1に基づいて動作する。また、ゲートドライバー551が出力するゲート信号Hgs2は、トランジスターQ2のゲート端子に入力される。また、トランジスターQ2のドレイン端子は、中点CP1と接続し、トランジスターQ2のソース端子には、グラウンド電位GNDが供給されている。すなわち、トランジスターQ2は、一端であるドレイン端子が中点CP1と電気的に接続し、ゲート信号Lgs1に基づいて動作する。そして、デジタル増幅回路550は、トランジスターQ1とトランジスターQ2とが接続される中点CP1に生成された信号を増幅変調信号AMs1として出力する。
【0044】
ここで、ゲート信号Hgs1,Lgs1を出力するゲートドライバー551の動作について説明する。ゲートドライバー551は、ゲートドライブ回路552,553と、インバーター回路554とを含む。そして、ゲートドライバー551に入力された基ゲート信号Gdは、ゲートドライブ回路552に入力されるとともに、インバーター回路554を介しゲートドライブ回路553に入力される。すなわち、ゲートドライブ回路552に入力される信号とゲートドライブ回路553に入力される信号とには、排他的にHレベルとなる。ここで、排他的にHレベルとなる信号とは、ゲートドライブ回路552とゲートドライブ回路553とに同時にHレベルの信号が入力されないことを意味する。すなわち、ゲートドライブ回路552とゲートドライブ回路553とに同時にLレベルの信号が入力される場合を除外するものではない。
【0045】
ゲートドライブ回路552の低電位側電源端子は、中点CP1と接続されている。したがって、ゲートドライブ回路552の低電位側電源端子には、中点CP1の電位の信号が電圧HVss1として供給されている。また、ゲートドライブ回路552の高電位側電源端子は、アノード端子に電圧Vgが供給されているダイオードD1のカソード端子と接続されているとともに、コンデンサーC1の一端とも接続されている。そして、コンデンサーC1の他端は、中点CP1に接続されている。すなわち、ゲートドライブ回路552の高電位側入力端子には、ブートストラップコンデンサーとして機能するコンデンサーC1を含むブートストラップ回路が構成されている。そのため、ゲートドライブ回路552の高電位側入力端子には、低電位側入力端子に入力される電圧LVss1よりも電圧Vgだけ大きな電位の電圧HVdd1が供給される。したがって、ゲートドライブ回路552にHレベルの基ゲート信号Gdが入力された場合、ゲートドライブ回路552は、中点CP1の電位よりも電圧Vgだけ大きな電圧HVdd1に基づく電位のHレベルのゲート信号Hgs1を出力し、ゲートドライブ回路552にLレベルの基ゲート信号Gdが入力された場合、ゲートドライブ回路552は、中点CP1の電位である電圧HVss1に基づく電位のLレベルのゲート信号Hgs1を出力する。ここで電圧Vgは、電源回路70が出力する電圧VHV,VMV,VDDを降圧又は昇圧することで生成された直流電圧であって、トランジスターQ1,Q2,Q3,Q4のそれぞれを駆動することが可能な電圧値であって、例えば7.5Vの直流電圧である。
【0046】
ゲートドライブ回路553の低電位側電源端子には、グラウンド電位GNDの信号が電圧LVss1として供給されている。また、ゲートドライブ回路553の高電位側電源端子には、電圧Vgが電圧LVdd1として供給されている。したがって、ゲートドライブ回路553にLレベルの基ゲート信号Gdの論理がインバーター回路554によって反転されたHレベルの信号が入力された場合、ゲートドライブ回路553は、電圧Vgである電圧LVdd1に基づく電位のHレベルのゲート信号Lgs1を出力し、ゲートドライブ回路553は、Hレベルの基ゲート信号Gdの論理がインバーター回路554によって反転されたLレベルの信号が入力された場合、グラウンド電位GNDである電圧LVss1に基づく電位のLレベルのゲート信号Lgs1を出力する。
【0047】
レベルシフト回路560は、基準レベル切替回路561、ゲートドライバー562、ダイオードD2,D3,D4、コンデンサーC2,C3,C4、及びトランジスターQ3,Q4を含む。そして、レベルシフト回路560は、増幅変調信号AMs1の基準電位をシフトしたレベルシフト増幅変調信号AMs2を中点CP2から出力する。
【0048】
具体的には、レベルシフト回路560が有する基準レベル切替回路561には、基駆動信号出力回路510が出力する基駆動信号aAが入力される。そして、基準レベル切替回路561は、基駆動信号aAに基づくレベル切替信号Lsを生成し、ゲートドライバー562に出力する。具体的には、基準レベル切替回路561は、基駆動信号aAの電位が、所定の電位である閾値電圧Vth1以上である場合に、Hレベルのレベル切替信号Lsを生成し、ゲートドライバー562に出力し、閾値電圧Vth1未満である場合に、Lレベルのレベル切替信号Lsを生成し、ゲートドライバー562に出力する。
【0049】
ゲートドライバー562は、入力されるレベル切替信号Lsの論理レベルに基づいて、トランジスターQ3を駆動するゲート信号Hgs2とトランジスターQ4を駆動するゲート信号Lgs2とを出力する。
【0050】
トランジスターQ3,Q4は、共にNチャネルのMOS-FETで構成されている。ゲートドライバー562が出力するゲート信号Hgs2は、トランジスターQ3のゲート端子に入力される。また、トランジスターQ3のドレイン端子は、アノード端子に電圧VMVが供給されているダイオードD4のカソード端子と接続され、ソース端子は、中点CP2と接続している。すなわち、トランジスターQ3は、一端であるソース端子が中点CP2と電気的に接続し、他端であるドレイン端子にダイオードD4を介して電圧VMVが供給され、ゲート信号Hgs2に基づいて動作する。また、ゲートドライバー562が出力するゲート信号Lgs2は、トランジスターQ4のゲート端子に入力される。また、トランジスターQ4のドレイン端子は、中点CP2と接続し、トランジスターQ4のソース端子は、中点CP1と接続している。すなわち、トランジスターQ4は、一端であるドレイン端子が中点CP2と電気的に接続し、他端であるソース端子が中点CP1と電気的に接続し、ゲート信号Lgs2に基づいて動作する。そして、レベルシフト回路560は、トランジスターQ3とトランジスターQ4とが接続される中点CP2に生成された信号をレベルシフト増幅変調信号AMs2として出力する。
【0051】
また、コンデンサーC4は、一端が中点CP1と電気的に接続し、他端がトランジスターQ3のドレイン端子と電気的に接続している。すなわち、コンデンサーC4は、ブートストラップコンデンサーとして機能する。これにより、デジタル増幅回路550から出力される増幅変調信号AMs1の電位に基づいてトランジスターQ3のドレイン端子の電位が規定される。
【0052】
ここで、ゲート信号Hgs2,Lgs2を出力するゲートドライバー562の動作について説明する。ゲートドライバー562は、ゲートドライブ回路563,564と、インバーター回路565とを含む。そして、ゲートドライバー562に入力された基駆動信号aAに基づくレベル切替信号Lsは、ゲートドライブ回路563に入力されるとともに、インバーター回路565を介しゲートドライブ回路564に入力される。すなわち、ゲートドライブ回路563に入力される信号とゲートドライブ回路564に入力される信号とは、排他的にHレベルとなる。ここで、排他的にHレベルとなる信号とは、ゲートドライブ回路563とゲートドライブ回路564とに同時にHレベルの信号が入力されないことを意味する。すなわち、ゲートドライブ回路563とゲートドライブ回路564とに同時にLレベルの信号が入力される場合を除外するものではない。
【0053】
ゲートドライブ回路563の低電位側電源端子は、中点CP2と接続されている。したがって、ゲートドライブ回路563の低電位側電源端子には、中点CP2の電位の信号が電圧HVss2として供給されている。また、ゲートドライブ回路563の高電位側電源端子は、アノード端子に電圧Vgが供給されているダイオードD2のカソード端子と接続されている。コンデンサーC2は、一端が中点CP2に接続され、他端がダイオードD2のカソード端子と接続されている。したがって、コンデンサーC2は、一端がトランジスターQ3の一端であるソース端子に接続され、他端がゲートドライブ回路563を含むゲートドライバー562と電気的に接続される。そして、コンデンサーC2の他端には、ダイオードD2を介して電圧Vgが供給される。
【0054】
すなわち、ゲートドライブ回路563の高電位側入力端子には、ブートストラップコンデンサーとして機能するコンデンサーC2を含むブートストラップ回路が構成されている。そのため、ゲートドライブ回路563の高電位側電源端子には、低電位側入力端子に入力される電圧LVss2よりも電圧Vgだけ大きな電位の電圧HVdd2が供給される。したがって、ゲートドライブ回路563にHレベルのレベル切替信号Lsが入力された場合、ゲートドライブ回路563は、中点CP2の電位よりも電圧Vgだけ大きな電圧HVdd2に基づく電位のHレベルのゲート信号Hgs2を出力し、ゲートドライブ回路563にLレベルのレベル切替信号Lsが入力された場合、ゲートドライブ回路563は、中点CP2の電位である電圧HVss2に基づく電位のLレベルのゲート信号Hgs2を出力する。
【0055】
ゲートドライブ回路564の低電位側電源端子は、中点CP1と接続されている。したがって、ゲートドライブ回路564の低電位側電源端子には、中点CP1の電位の信号が電圧LVss2として供給されている。また、ゲートドライブ回路564の高電位側電源端子は、アノード端子に電圧Vgが供給されているダイオードD3のカソード端子と接続されているとともに、コンデンサーC3の一端とも接続されている。そして、コンデンサーC3の他端は、中点CP1に接続されている。すなわち、ゲートドライブ回路564の高電位側入力端子には、ブートストラップコンデンサーとして機能するコンデンサーC3を含むブートストラップ回路が構成されている。そのため、ゲートドライブ回路564の高電位側入力端子には、低電位側入力端子に入力される電圧LVss2よりも電圧Vgだけ大きな電位の電圧LVdd2が供給される。したがって、ゲートドライブ回路564にLレベルのレベル切替信号Lsがインバーター回路565によって論理が反転されたHレベルの信号が入力された場合、ゲートドライブ回路564は、中点CP1の電位よりも電圧Vgだけ大きな電圧LVdd2に基づく電位のHレベルのゲート信号Hgs2を出力し、ゲートドライブ回路564にHレベルのレベル切替信号Lsがインバーター回路565によって論理が販連されたLレベルの信号が入力された場合、ゲートドライブ回路563は、中点CP1の電位である電圧LVss2に基づく電位のLレベルのゲート信号Hgs2を出力する。
【0056】
復調回路580は、レベルシフト回路560から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2を平滑することにより復調した駆動信号COMを出力する。復調回路580は、インダクターL1とコンデンサーC5とを含む。インダクターL1の一端は中点CP2と電気的に接続され、他端はコンデンサーC5の一端と電気的に接続している。そして、コンデンサーC5の他端には、グラウンド電位GNDが供給されている。すなわち、インダクターL1とコンデンサーC5とはローパスフィルター回路を構成する。これにより、レベルシフト回路560から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2は平滑され、平滑された電圧が駆動信号COMとして駆動信号出力回路50から出力される。
【0057】
帰還回路540は、パルス変調回路530と復調回路580とに電気的に接続し、復調回路580が生成した駆動信号COMを減衰した帰還信号Sfbを加算器511に供給する。すなわち、駆動信号出力回路50は、パルス変調回路530と復調回路580とに電気的に接続し、駆動信号COMに基づく帰還信号Sfbを出力する帰還回路540を備える。これにより、復調回路580が出力する駆動信号COMがパルス変調回路530にフィードバックされることとなり、その結果、駆動信号COMの精度が向上する。
【0058】
ここで、パルス変調回路530が変調回路の一例である。また、デジタル増幅回路550が増幅回路の一例であり、デジタル増幅回路550から増幅変調信号AMs1が出力される中点CP1が第1出力点の一例である。また、レベルシフト回路560がレベルシフト増幅変調信号AMs2を出力する中点CP2が第2出力点の一例である。また、デジタル増幅回路550に含まれるゲートドライバー551が第1ゲートドライバーの一例であり、ゲートドライバー551が出力するゲート信号Lgs1が第1ゲート信号の一例であり、ゲートドライバー551が出力するゲート信号Hgs1が第2ゲート信号の一例である。そして、ゲート信号Lgs1に基づいて動作するトランジスターQ2が第1トランジスターの一例であり、ゲート信号Hgs1に基づいて動作するトランジスターQ1が第2トランジスターの一例である。また、レベルシフト回路560に含まれるゲートドライバー562が第2ゲートドライバーの一例であり、ゲートドライバー562が出力するゲート信号Lgs2が第3ゲート信号の一例であり、ゲートドライバー562が出力するゲート信号Hgs2が第4ゲート信号の一例である。そして、ゲート信号Lgs2に基づいて動作するトランジスターQ4が第3トランジスターの一例であり、ゲート信号Hgs2に基づいて動作するトランジスターQ3が第4トランジスターの一例である。また、コンデンサーC4が第1容量素子の一例であり、コンデンサーC2が第2容量素子の一例である。そして、トランジスターQ1に供給される電圧VMVが第1電源電圧の一例あり、ダイオードD2を介してコンデンサーC2に供給される電圧Vgが第2電源電圧の一例である。
【0059】
3.3 駆動信号出力回路の動作
以上のように構成された駆動信号出力回路50が駆動信号COMを生成する場合の動作について説明する。図7は、駆動信号出力回路50の動作を説明するための図である。なお、図7では、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMの内、任意の周期Tにおける駆動信号COMのみを図示している。
【0060】
ここで、図7では、基準レベル切替回路561がHレベルのレベル切替信号Lsを出力するのか、又はLレベルのレベル切替信号Lsを出力するのかを切り替える電位である閾値電圧Vth1が、電圧Vcの増幅前の電圧aVcよりも大きい電位であるとして説明を行う。
【0061】
また、固定パルス出力回路522は、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth2よりも小さい場合にパルス幅が第1のDutyで一定のパルス信号PDCを出力し、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth2と閾値電圧Vth3との間である場合に、パルス幅が第2のDutyで一定のパルス信号PDCを出力し、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth3よりも大きい場合に、パルス幅が第3のDutyで一定のパルス信号PDCを出力するとして説明を行う。ここで、閾値電圧Vth2の電位は、電圧Vcの増幅前の電圧aVcより低電位であり、且つ電圧Vbの増幅前の電圧aVbより高電位であり、閾値電圧Vth3の電位は、電圧Vcの増幅前の電圧aVcより高電位であり、且つ電圧Vtの増幅前の電圧aVtよりも低電位であるとして説明を行う。すなわち、固定パルス出力回路522は、駆動信号COMの基となる基駆動信号aAの電位が電圧aVbで一定の期間において、パルス幅が第1のDutyで一定のパルス信号PDCを出力し、駆動信号COMの基となる基駆動信号aAの電位が電圧aVcで一定の期間において、パルス幅が第2のDutyであるパルス信号PDCを出力し、駆動信号COMの基となる基駆動信号aAの電位が電圧aVtで一定の期間において、パルス幅が第3のDutyであるパルス信号PDCを出力する。
【0062】
図7に示すように、時刻t0~時刻t10の期間において、駆動信号出力回路50は、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMを出力する。具体的には、時刻t0~時刻t10の期間において、基駆動信号出力回路510には、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMを生成するための基駆動データdAが入力される。基駆動信号出力回路510は、入力される基駆動データdAに基づいて電圧aVcで一定の基駆動信号aAを生成する。そして、基駆動信号出力回路510が生成した基駆動信号aAは、加算器511を介してパルス変調回路530に入力されるとともに、固定出力切替回路520に含まれる切替回路521、及び固定パルス出力回路522に入力される。
【0063】
また、時刻t0~時刻t10の期間において、入力される基駆動信号aAの電圧値が電圧aVcで一定であるが故に、切替回路521は、切替スイッチ531がパルス信号PDCを基ゲート信号Gdとして選択するための切り替え信号Selを出力する。その結果、デジタル増幅回路550には、固定パルス出力回路522が出力するパルス幅が第2のDutyで一定のパルス信号PDCが、基ゲート信号Gdとして入力される。そして、デジタル増幅回路550に含まれるゲートドライバー551が、入力される基ゲート信号Gdの論理レベルに応じたゲート信号Hgs1と、基ゲート信号Gdの論理レベルを反転した信号に応じたゲート信号Lgs1とを出力することで、デジタル増幅回路550の中点CP1には、基ゲート信号Gdを電圧VMVに基づいて増幅した増幅変調信号AMs1が出力される。
【0064】
また、基駆動信号aAは、レベルシフト回路560に含まれる基準レベル切替回路561にも入力される。時刻t0~時刻t10の期間において、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth1よりも低いが故に、基準レベル切替回路561は、Lレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Lレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するとともに、Hレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。その結果、トランジスターQ3は非導通に制御され、トランジスターQ4は導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1と同等のレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。
【0065】
そして、復調回路580がレベルシフト回路560の中点CP2から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2を平滑し復調することで、電圧Vcで一定の駆動信号COMが駆動信号出力回路50から出力される。ここで、駆動信号COMの電位が電圧Vcで一定の時刻t0~時刻t10の期間が第2期間の一例である。
【0066】
時刻t10~時刻t20の期間において、駆動信号出力回路50は、電圧値が電圧Vcから電圧Vbに変化する駆動信号COMを出力する。具体的には、時刻t10~時刻t20の期間において、基駆動信号出力回路510には、電圧値が電圧Vcから電圧Vbに変化する駆動信号COMを生成するための基駆動データdAが入力される。基駆動信号出力回路510は、入力される基駆動データdAに基づいて電圧値が電圧aVcから電圧aVbに変化する基駆動信号aAを生成する。そして、基駆動信号出力回路510が生成した基駆動信号aAは、加算器511を介してパルス変調回路530に入力されるとともに、固定出力切替回路520に含まれる切替回路521、及び固定パルス出力回路522に入力される。
【0067】
また、時刻t10~時刻t20の期間において、入力される基駆動信号aAの電圧値が変化するが故に、切替回路521は、切替スイッチ531が変調信号Msを基ゲート信号Gdとして選択するための切り替え信号Selを出力する。その結果、デジタル増幅回路550には、パルス変調回路530が出力する変調信号Msが基ゲート信号Gdとして入力される。そして、デジタル増幅回路550に含まれるゲートドライバー551が、入力される基ゲート信号Gdの論理レベルに応じたゲート信号Hgs1と、基ゲート信号Gdの論理レベルを反転した信号に応じたゲート信号Lgs1とを出力することで、デジタル増幅回路550の中点CP1には、基ゲート信号Gdを電圧VMVに基づいて増幅した増幅変調信号AMs1が出力される。
【0068】
また、基駆動信号aAは、レベルシフト回路560に含まれる基準レベル切替回路561にも入力される。時刻t10~時刻t20の期間において、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth1よりも低いが故に、基準レベル切替回路561は、Lレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Lレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するととともに、Hレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。その結果、トランジスターQ3は非導通に制御され、トランジスターQ4は導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1と同等のレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。
【0069】
そして、復調回路580がレベルシフト回路560の中点CP2から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2を平滑し復調することで、電圧Vcから電圧Vbに変化する駆動信号COMが駆動信号出力回路50から出力される。
【0070】
また、時刻t10~時刻t20の期間において、基駆動信号aAの電圧値が電圧aVcから電圧aVbに変化し、基駆動信号aAの電圧値が、閾値電圧Vth2を下回ることで、固定パルス出力回路522は、出力するパルス信号PDCのパルス幅を第1のDutyに変化させる。
【0071】
時刻t20~時刻t30の期間において、駆動信号出力回路50は、電圧値が電圧Vbで一定の駆動信号COMを出力する。具体的には、時刻t20~時刻t30の期間において、基駆動信号出力回路510には、電圧値が電圧Vbで一定の駆動信号COMを生成するための基駆動データdAが入力される。基駆動信号出力回路510は、入力される基駆動データdAに基づいて電圧aVbで一定の基駆動信号aAを生成する。そして、基駆動信号出力回路510が生成した基駆動信号aAは、加算器511を介してパルス変調回路530に入力されるとともに、固定出力切替回路520に含まれる切替回路521、及び固定パルス出力回路522に入力される。
【0072】
また、時刻t20~時刻t30の期間において、入力される基駆動信号aAの電圧値が電圧aVb一定であるが故に、切替回路521は、切替スイッチ531がパルス信号PDCを基ゲート信号Gdとして選択するための切り替え信号Selを出力する。その結果、デジタル増幅回路550には、固定パルス出力回路522が出力するパルス幅が第1のDutyで一定のパルス信号PDCが、基ゲート信号Gdとして入力される。そして、デジタル増幅回路550に含まれるゲートドライバー551が、入力される基ゲート信号Gdの論理レベルに応じたゲート信号Hgs1と、基ゲート信号Gdの論理レベルを反転した信号に応じたゲート信号Lgs1とを出力することで、デジタル増幅回路550の中点CP1には、基ゲート信号Gdを電圧VMVに基づいて増幅した増幅変調信号AMs1が出力される。
【0073】
また、基駆動信号aAは、レベルシフト回路560に含まれる基準レベル切替回路561にも入力される。時刻t20~時刻t30の期間において、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth1よりも低いが故に、基準レベル切替回路561は、Lレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Lレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するとともに、Hレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。その結果、トランジスターQ3は非導通に制御され、トランジスターQ4は導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1と同等のレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。
【0074】
そして、復調回路580がレベルシフト回路560の中点CP2から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2を平滑し復調することで、電圧Vbで一定の駆動信号COMが駆動信号出力回路50から出力される。ここで、駆動信号COMの電位が電圧Vbで一定の時刻t20~時刻t30の期間が第1期間の一例である。
【0075】
時刻t30~時刻t40の期間において、駆動信号出力回路50は、電圧値が電圧Vbから電圧Vtに変化する駆動信号COMを出力する。具体的には、時刻t30~時刻t40の期間において、基駆動信号出力回路510には、電圧値が電圧Vbから電圧Vtに変化する駆動信号COMを生成するための基駆動データdAが入力される。基駆動信号出力回路510は、入力される基駆動データdAに基づいて電圧値が電圧aVbから電圧aVtに変化する基駆動信号aAを生成する。そして、基駆動信号出力回路510が生成した基駆動信号aAは、加算器511を介してパルス変調回路530に入力されるとともに、固定出力切替回路520に含まれる切替回路521、及び固定パルス出力回路522にも入力される。
【0076】
また、時刻t30~時刻t40の期間において、入力される基駆動信号aAの電圧値が変化するが故に、切替回路521は、切替スイッチ531が変調信号Msを基ゲート信号Gdとして選択するための切り替え信号Selを出力する。その結果、デジタル増幅回路550には、パルス変調回路530が出力する変調信号Msが基ゲート信号Gdとして入力される。そして、デジタル増幅回路550に含まれるゲートドライバー551が、基ゲート信号Gdの論理レベルに応じたゲート信号Hgs1と、基ゲート信号Gdの論理レベルを反転した信号に応じたゲート信号Lgs1とを出力することで、デジタル増幅回路550の中点CP1には、基ゲート信号Gdを電圧VMVに基づいて増幅した増幅変調信号AMs1が出力される。
【0077】
また、基駆動信号aAは、レベルシフト回路560に含まれる基準レベル切替回路561にも供給される。時刻t30~時刻t40の期間の内、基駆動信号aAの電圧値が閾値電圧Vth1よりも低い時刻t30~時刻tc1の期間において、基準レベル切替回路561は、Lレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Lレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するとともに、Hレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。これにより、トランジスターQ3は非導通に制御され、トランジスターQ4は導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1と同等のレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。
【0078】
また、時刻t30~時刻t40の期間の内、基駆動信号aAの電圧値が閾値電圧Vth1よりも高い時刻tc1~時刻t40の期間において、基準レベル切替回路561は、Hレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Hレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するとともに、Lレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。その結果、トランジスターQ3は導通に制御され、トランジスターQ4は非導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1の基準電位がコンデンサーC3を含むブートストラップ回路により電圧VMVにレベルシフトされたレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。すなわち、レベルシフト回路560は、増幅変調信号AMs1の基準電位を、グラウンド電位GNDと、電圧VMVの電位との間で切り替える。そして、グラウンド電位GNDが第7電位の一例であり、電圧VMVの電位が第8電位の一例である。
【0079】
そして、復調回路580がレベルシフト回路560の中点CP2から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2を平滑し復調することで、電圧Vbから電圧Vtに変換する駆動信号COMが駆動信号出力回路50から出力される。
【0080】
また、時刻t30~時刻t40の期間において、基駆動信号aAの電圧値が電圧aVbから電圧aVtに変化する過程において、基駆動信号aAの電圧値が、閾値電圧Vth2を上回る。これにより、固定パルス出力回路522は、出力するパルス信号PDCのパルス幅を第2のDutyに変化させる。その後、基駆動信号aAの電圧値は、閾値電圧Vth3を上回る。これにより、固定パルス出力回路522は、出力するパルス信号PDCのパルス幅を第3のDutyに変化させる。すなわち、時刻t30~時刻t40の期間において、基駆動信号aAの電圧値が電圧aVbから電圧aVtに変化する過程において、固定パルス出力回路522は、出力するパルス信号PDCのパルス幅を第1のDutyから第3のDutyに変化させる。
【0081】
時刻t40~時刻t50の期間において、駆動信号出力回路50は、電圧値が電圧Vtで一定の駆動信号COMを出力する。具体的には、時刻t40~時刻t50の期間において、基駆動信号出力回路510には、電圧値が電圧Vtで一定の駆動信号COMを生成するための基駆動データdAが入力される。基駆動信号出力回路510は、入力される基駆動データdAに基づいて、電圧aVtで一定の基駆動信号aAを生成する。そして、基駆動信号出力回路510が生成した基駆動信号aAは、加算器511を介してパルス変調回路530に入力されるとともに、固定出力切替回路520に含まれる切替回路521、及び固定パルス出力回路522に入力される。
【0082】
また、時刻t40~時刻t50の期間において、入力される基駆動信号aAの電圧値が一定であるが故に、切替回路521は、切替スイッチ531がパルス信号PDCを基ゲート信号Gdとして選択するための切り替え信号Selを出力する。その結果、デジタル増幅回路550には、固定パルス出力回路522が出力するパルス幅が第3のDutyで一定のパルス信号PDCが、基ゲート信号Gdとして入力される。そして、デジタル増幅回路550に含まれるゲートドライバー551が、入力される基ゲート信号Gdの論理レベルに応じたゲート信号Hgs1と、基ゲート信号Gdの論理レベルを反転した信号に応じたゲート信号Lgs1とを出力することで、デジタル増幅回路550の中点CP1には、基ゲート信号Gdを電圧VMVに基づいて増幅した増幅変調信号AMs1が出力される。
【0083】
また、基駆動信号aAは、レベルシフト回路560に含まれる基準レベル切替回路561にも供給される。時刻t40~時刻t50の期間において、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth1よりも高いが故に、基準レベル切替回路561は、Hレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Hレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するとともに、Lレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。その結果、トランジスターQ3は導通に制御され、トランジスターQ4は非導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1の基準電位がコンデンサーC3を含むブートストラップ回路により電圧VMVにレベルシフトされたレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。すなわち、レベルシフト回路560は、増幅変調信号AMs1の基準電位を、グラウンド電位GNDと、電圧VMVの電位との間で切り替える。
【0084】
そして、復調回路580がレベルシフト回路560の中点CP2から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2を平滑し復調することで、電圧Vtで一定の駆動信号COMが駆動信号出力回路50から出力される。ここで、駆動信号COMの電位が電圧Vtで一定の時刻t40~時刻t50の期間が第3期間の一例である。
【0085】
時刻t50~時刻t60の期間において、駆動信号出力回路50は、電圧値が電圧Vtから電圧Vcに変化する駆動信号COMを出力する。具体的には、時刻t50~時刻t60の期間において、基駆動信号出力回路510には、電圧値が電圧Vtから電圧Vcに変化する駆動信号COMを生成するための基駆動データdAが入力される。基駆動信号出力回路510は、入力される基駆動データdAに基づいて電圧値が電圧aVtから電圧aVcに変化する基駆動信号aAを生成する。そして、基駆動信号出力回路510が生成した基駆動信号aAは、加算器511を介してパルス変調回路530に入力されるとともに、固定出力切替回路520に含まれる切替回路521、及び固定パルス出力回路522にも入力される。
【0086】
また、時刻t50~時刻t60の期間において、入力される基駆動信号aAの電圧値が変化するが故に、切替回路521は、切替スイッチ531が変調信号Msを基ゲート信号Gdとして選択するための切り替え信号Selを出力する。その結果、デジタル増幅回路550には、パルス変調回路530が出力する変調信号Msが基ゲート信号Gdとして入力される。そして、デジタル増幅回路550に含まれるゲートドライバー551が、基ゲート信号Gdの論理レベルに応じたゲート信号Hgs1と、基ゲート信号Gdの論理レベルを反転した信号に応じたゲート信号Lgs1とを出力することで、デジタル増幅回路550の中点CP1には、基ゲート信号Gdを電圧VMVに基づいて増幅した増幅変調信号AMs1が出力される。
【0087】
また、基駆動信号aAは、レベルシフト回路560に含まれる基準レベル切替回路561にも供給される。時刻t50~時刻t60の期間の内、基駆動信号aAの電圧値が閾値電圧Vth1よりも高い時刻t50~時刻tc2の期間において、基準レベル切替回路561は、Hレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Hレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するとともに、Lレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。これにより、トランジスターQ3は導通に制御され、トランジスターQ4は非導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1の基準電位がコンデンサーC3を含むブートストラップ回路により電圧VMVにレベルシフトされたレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。すなわち、レベルシフト回路560は、増幅変調信号AMs1の基準電位を、グラウンド電位GNDと、電圧VMVの電位との間で切り替える。
【0088】
また、時刻t50~時刻t60の期間の内、基駆動信号aAの電圧値が閾値電圧Vth1よりも低い時刻tc2~時刻t60の期間において、基準レベル切替回路561は、Lレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Lレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するとともに、Hレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。その結果、トランジスターQ3は非導通に制御され、トランジスターQ4は導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1と同等のレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。
【0089】
そして、復調回路580がレベルシフト回路560の中点CP2から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2を平滑し復調することで、電圧Vtから電圧Vcに変換する駆動信号COMが駆動信号出力回路50から出力される。
【0090】
また、時刻t50~時刻t60の期間において基駆動信号aAの電圧値が電圧aVtから電圧aVcに変化し、基駆動信号aAの電圧値が、閾値電圧Vth3を下回ることで、固定パルス出力回路522は、出力するパルス信号PDCのパルス幅を第2のDutyに変化させる。
【0091】
時刻t60~時刻t70の期間において、駆動信号出力回路50は、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMを出力する。具体的には、時刻t60~時刻t70の期間において、基駆動信号出力回路510には、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMを生成するための基駆動データdAが入力される。基駆動信号出力回路510は、入力される基駆動データdAに基づいて電圧aVcで一定の基駆動信号aAを生成する。そして、基駆動信号出力回路510が生成した基駆動信号aAは、加算器511を介してパルス変調回路530に入力されるとともに、固定出力切替回路520に含まれる切替回路521、及び固定パルス出力回路522に入力される。
【0092】
また、時刻t60~時刻t70の期間において、入力される基駆動信号aAの電圧値が一定であるが故に、切替回路521は、切替スイッチ531がパルス信号PDCを基ゲート信号Gdとして選択するための切り替え信号Selを出力する。その結果、デジタル増幅回路550には、固定パルス出力回路522が出力するパルス幅が第2のDutyで一定のパルス信号PDCが、基ゲート信号Gdとして入力される。そして、デジタル増幅回路550に含まれるゲートドライバー551が、入力される基ゲート信号Gdの論理レベルに応じたゲート信号Hgs1と、基ゲート信号Gdの論理レベルを反転した信号に応じたゲート信号Lgs1とを出力することで、デジタル増幅回路550の中点CP1には、基ゲート信号Gdを電圧VMVに基づいて増幅した増幅変調信号AMs1が出力される。
【0093】
また、基駆動信号aAは、レベルシフト回路560に含まれる基準レベル切替回路561にも供給される。時刻t60~時刻t70の期間において、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth1よりも低いが故に、基準レベル切替回路561は、Lレベルのレベル切替信号Lsをゲートドライバー562に出力する。これにより、ゲートドライバー562は、Lレベルのゲート信号Hgs2をトランジスターQ3に出力するとともに、Hレベルのゲート信号Lgs2をトランジスターQ4に出力する。その結果、トランジスターQ3は非導通に制御され、トランジスターQ4は導通に制御される。したがって、レベルシフト回路560の中点CP2には、デジタル増幅回路550の中点CP1に出力された増幅変調信号AMs1と同等のレベルシフト増幅変調信号AMs2が出力される。
【0094】
そして、復調回路580がレベルシフト回路560の中点CP2から出力されたレベルシフト増幅変調信号AMs2を平滑し復調することで、電圧Vcで一定の駆動信号COMが駆動信号出力回路50から出力される。この時刻t70が図7に示す時刻t0に相当する。これにより、駆動信号出力回路50は、周期T毎に台形波形Adpを繰り返し含む駆動信号COMを生成し出力する。
【0095】
ここで、駆動信号COMの電位が電圧Vcで一定の時刻t60~時刻t70の期間が第2期間の他の一例であり、時刻t70が時刻t0に相当するとするなら、時刻t60~時刻t10までの期間もまた第2の期間の一例である。
【0096】
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1が備える駆動信号出力回路50が有するゲートドライバー562は、駆動信号COMの電位が電圧Vcで一定の期間である時刻t0~t10,t60~t70の期間において、トランジスターQ4を導通に制御するゲート信号Lgs2と、トランジスターQ3を非導通に制御するゲート信号Hgs2とを出力する。すなわち、駆動信号COMの電位が電圧Vcで一定の期間である時刻t0~t10,t60~t70の期間において、トランジスターQ4が導通に制御され、トランジスターQ3が非導通に制御される。
【0097】
トランジスターQ4は、コンデンサーC2とダイオードD2とで構成されたブートストラップ回路により生成された低電位側入力端子に入力される電圧LVss2よりも電圧Vgだけ大きな電位の電圧HVdd2により駆動する。しかしながら、電圧HVdd2の電位は、コンデンサーC2、ゲートドライブ回路563、及びその他の回路素子を介して生じる漏れ電流などに起因して徐々に低下し、その結果、トランジスターQ4の駆動の安定性を低下させるおそれがある。特に、前述の通り駆動信号COMに含まれる電圧Vcで一定の期間は、インクや振動板621に生じたインクの吐出に寄与しない振動を静止させるための期間としても機能するが故に、電圧Vbで一定の期間、及び電圧Vtで一定の期間よりも長い期間に設定される。そのため、駆動信号COMに含まれる電圧Vcで一定の期間において、電圧HVdd2の電位が低下するおそれを低減することが求められる。
【0098】
このような問題に対して、本実施形態における駆動信号出力回路50では、駆動信号COMの電位が電圧Vcで一定の期間である時刻t0~t10,t60~t70の期間において、トランジスターQ4が導通に制御され、トランジスターQ3が非導通に制御される。その結果、コンデンサーC2が接続される中点CP2の電位は、デジタル増幅回路550のトランジスターQ1,Q2がスイッチング動作することにより生成される増幅変調信号AMs1が出力される中点CP1の電位となる。したがって、コンデンサーC2とダイオードD2とで構成されたブートストラップ回路により生成される電圧HVdd2の電位は、電圧LVss2よりも電圧Vgだけ大きな電位に保持される。その結果、トランジスターQ3の駆動の安定性が向上し、駆動信号出力回路50の駆動の安定性が向上する。
【0099】
また、ゲートドライバー562は、トランジスターQ4を導通に制御するゲート信号Lgs2と、トランジスターQ3を非導通に制御するゲート信号Hgs2とを出力するのか、又はトランジスターQ4を非導通に制御するゲート信号Lgs2と、トランジスターQ3を導通に制御するゲート信号Hgs2とを出力するのかを、基駆動信号aAの電位に基づいて判定する。具体的には、図7に示すように、ゲートドライバー562は、基駆動信号aAの電位が所定の電位である閾値電圧Vth1よりも低い場合、トランジスターQ4を導通に制御するゲート信号Lgs2と、トランジスターQ3を非導通に制御するゲート信号Hgs2とを出力し、基駆動信号aAの電位が閾値電圧Vth1よりも高い場合、トランジスターQ4を非導通に制御するゲート信号Lgs2と、トランジスターQ3を導通に制御するゲート信号Hgs2とを出力する。
【0100】
以上のように、ゲートドライバー562は、トランジスターQ4を導通に制御するゲート信号Lgs2と、トランジスターQ3を非導通に制御するゲート信号Hgs2とを出力するのか、又はトランジスターQ4を非導通に制御するゲート信号Lgs2と、トランジスターQ3を導通に制御するゲート信号Hgs2とを出力するのかを、基駆動信号aAの電位に基づいて判定することで、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMの電圧値に応じたタイミングで、トランジスターQ3,Q4を制御することが可能となる。すなわち、駆動信号COMの電位が一定となることにより電圧HVdd2の電位が低下するおそれのある場合に、トランジスターQ3,Q4を制御することが可能となり、トランジスターQ4の駆動の安定性がさらに向上し、駆動信号出力回路50の駆動の安定性がさらに向上する。
【0101】
また、図7に示すように、電圧Vcは、デジタル増幅回路550が有するトランジスターQ1に供給される電圧VMVより低いことが好ましい。これにより、駆動信号出力回路50が駆動信号COMとして電圧Vcを出力する期間は、レベルシフト回路560が増幅変調信号AMs1の基準電位をグラウンド電位GNDとするレベルシフト増幅変調信号AMs2を出力している期間となる。そうすると、中点CP2の電位変動が大きくなり、コンデンサーC2とダイオードD2とで構成されたブートストラップ回路により生成される電圧HVdd2の電位が安定する。その結果、トランジスターQ4の駆動の安定性がさらに向上し、駆動信号出力回路50の駆動の安定性がさらに向上する。
【0102】
ここで、駆動信号COMの基となる基駆動信号aAにおいて、一定の電位の電圧aVbが第4電位の一例であり、一定の電位の電圧aVcが第5電位の一例であり、一定の電位の電圧aVtが第6電位の一例である。そして、基駆動信号aAの電位が電圧aVbで一定となる時刻t20~t30の期間が第4期間の一例であり、基駆動信号aAの電位が電圧aVcで一定となる時刻t0~t10の期間、及び時刻t60~t70の期間の少なくとも一方が第5期間の一例であり、基駆動信号aAの電位が電圧aVtで一定となる時刻t40~t50の期間が第6期間の一例である。すなわち、基駆動信号aAは、電圧aVbで一定となる時刻t20~t30の期間と、電圧aVcで一定となる時刻t0~t10の期間、及び時刻t60~t70の期間と、電圧aVtで一定となる時刻t20~t30の期間とを含む。
【0103】
4.駆動部の特性の変化に伴う補正
ここで、液体吐出装置1が有する吐出部600は、温度や湿度などの周囲環境や、使用期間により特性が変化する。このような吐出部600の特性変化は、インクの吐出特性に影響を及ぼす。そのため、液体吐出装置1では、吐出部600の特性変化に応じて、駆動信号COMの信号波形を補正することで、吐出部600の特性変化に起因してインクの吐出特性が悪化するおそれを低減している。しかしながら、駆動信号COMの波形を補正することで、駆動信号COMの信号波形と、電圧VMVとの相互関係が変化し、その結果、コンデンサーC2を十分に充電できず、その結果、電圧HVdd1の電位が低下し、トランジスターQ4の駆動の安定性を低下させるおそれがある。このような問題に対して、以下では、電圧HVdd1の電位が低下するおそれを低減することができる補正について複数の補正を例示し説明する。
【0104】
4.1 駆動信号COMの波形補正に伴う電圧VMVの電位の補正
第1の補正は、吐出部600の特性変化に伴い駆動信号COMの波形を補正した際、補正後の駆動信号COMに含まれる電圧Vcの電位に応じて電圧VMVの電位を補正する。図8は、駆動信号COMの波形補正に伴う電圧VMVの電位の補正について説明するための図である。なお、図8には、(a)補正前の駆動信号COM、及び電圧VMVの波形、(b)吐出部600の特性変化が生じた際における駆動信号COMの補正、(c)駆動信号COMの補正に伴う電圧VMVの補正を図示している。
【0105】
図8(a)に示すように、吐出部600の特性変化が生じる前、電圧VMVは、駆動信号COMの電圧Vcの電位よりも高電位に位置している。
【0106】
そして、吐出部600の特性変化に伴い、貯留されるインクの粘度が増加すると、図8(b)に示すように、駆動信号出力回路50は、駆動信号COMの台形波形Adpに含まれる電圧Vtと電圧Vbとの電位差が大きくなるように、電圧Vtの電位を電圧Vtよりも高電位の電圧Vt’と補正した、台形波形Adp’を含む駆動信号COMを生成し出力する。
【0107】
詳細には、制御部100は、不図示のセンサー等により、吐出部600の粘度が増粘したことを検出する。そして、制御部100は、吐出部600の粘度が増粘したことを検出すると、増粘したインクの安定した吐出を可能とするために、駆動信号COMに含まれる電圧Vtの電位を電圧Vtよりも高電位な電圧Vt’とするための基駆動データdAを生成し、駆動信号出力回路50に出力する。また、この場合において、制御部100は、吐出部600へのインクの供給と、吐出部600からのインクの吐出との関係を同様の状態とするために、電圧Vtを電圧Vt’とする際の電位の増加量に応じて電圧Vcの電位を電圧Vcよりも高電位の電圧Vc’とする基駆動データdAを生成し駆動信号出力回路50に出力する。
【0108】
駆動信号出力回路50は、基駆動データdAに基づいて、電圧aVtよりも高電位の電圧aVt’と、電圧aVcよりも高電位の電圧aVc’とを含む基駆動信号aA’を生成するとともに、生成した基駆動信号aA’に基づく台形波形Adp’を含む駆動信号COMを生成し、吐出部600に出力する。これにより、増粘したインクであっても吐出部600から安定したインクの吐出が可能となる。
【0109】
しかしながら、図8(b)に示すように、駆動信号COMの補正を行うに際して、電圧Vc’の電位が、電圧VMVよりも高電位となると、コンデンサーC2を十分に充電できず、その結果、電圧HVdd1の電位が低下し、トランジスターQ4の駆動の安定性が低下するおそれがある。このような問題に対して、図8(c)に示すように、電源回路70は、電圧VMVの電位が電圧Vc’よりも大きくなるように、電圧VMVの電位を電圧VMV及び電圧Vcよりも高電位の電圧VMV’とする補正を実行する。すなわち、電源回路70は、吐出部600の特性変化、及び駆動信号COMの電圧Vcに応じた電圧aVcの電位に基づいて、電圧VMVの電位を変化させる。これにより、電圧Vc’の電位を、デジタル増幅回路550が有するトランジスターQ1に供給される電圧VMVよりも低くすることができる。その結果、駆動信号出力回路50が駆動信号COMとして電圧Vc’を出力する期間が、レベルシフト回路560が増幅変調信号AMs1の基準電位をグラウンド電位GNDとするレベルシフト増幅変調信号AMs2を出力している期間となる。よって、中点CP2の電位変動が大きくなり、コンデンサーC2とダイオードD2とで構成されたブートストラップ回路により生成される電圧HVdd2の電位が安定する。すなわち、吐出部600の特性変化に応じて駆動信号COMの波形を補正した場合であっても、トランジスターQ4の駆動の安定性、及び駆動信号出力回路50の駆動の安定性が向上する。
【0110】
4.2 電圧VMVの電位に応じた駆動信号COMの波形補正
第2の補正は、吐出部600の特性変化に伴い駆動信号COMの波形を補正した際、補正後の駆動信号COMに含まれる電圧Vcの電位を電圧VMVの電位に応じて補正する。図9は、電圧VMVの電位に応じた電圧Vcの補正について説明するための図である。なお、図9には、(a)補正前の駆動信号COM、及び電圧VMVの波形、(b)吐出部600の特性変化が生じた際における駆動信号COMの補正、(c)電圧VMVの電位に応じた電圧Vcの補正を図示している。
【0111】
図9(a)に示すように、吐出部600の特性変化が生じる前、電圧VMVは、駆動信号COMの電圧Vcの電位よりも高電位に位置している。
【0112】
そして、図8に示す場合と同様に、吐出部600の特性変化に伴い、貯留されるインクの粘度が増加することで、駆動信号出力回路50は、駆動信号COMの台形波形Adpに含まれる電圧Vtと電圧Vbとの電位差が大きくなるように、電圧Vtの電位を電圧Vtよりも高電位の電圧Vt’と補正した、台形波形Adp’を含む駆動信号COMを生成し出力する。その結果、図9(b)に示すように、駆動信号COMの補正を行うに際して、電圧Vc’の電位が、電圧VMVよりも高電位となり、コンデンサーC2を十分に充電できず、その結果、電圧HVdd1の電位が低下し、トランジスターQ4の駆動の安定性が低下するおそれがある。
【0113】
図9に示す第2の補正では、図9(c)に示すように、制御部100が、駆動信号COMに含まれる電圧Vc’の電位が電圧VMVの電位よりも小さくなるような基駆動データdAを生成し、駆動信号出力回路50に出力することで、電圧Vc’の電位を電圧VMVの電位よりも低電位の電圧Vc’’とする補正を実行する。すなわち、制御部100は、電圧VMVの電位に基づいて、台形波形Adp’の電圧Vc’を電圧Vc’’とするための電圧aVc’’を含む基駆動信号aA’’を出力する。換言すれば、制御部100は、電圧VMVの電位に基づいて、基駆動信号aAの電圧aVcの電位を変化させる。これにより、電圧Vc’’の電位を、デジタル増幅回路550が有するトランジスターQ1に供給される電圧VMVよりも低くすることができる。その結果、駆動信号出力回路50が駆動信号COMとして電圧Vc’’を出力する期間が、レベルシフト回路560が増幅変調信号AMs1の基準電位をグラウンド電位GNDとするレベルシフト増幅変調信号AMs2を出力している期間となる。よって、中点CP2の電位変動が大きくなり、コンデンサーC2とダイオードD2とで構成されたブートストラップ回路により生成される電圧HVdd2の電位が安定する。すなわち、吐出部600の特性変化に応じて駆動信号COMの波形を補正した場合であっても、トランジスターQ4の駆動の安定性、及び駆動信号出力回路50の駆動の安定性が向上する。
【0114】
4.3 電圧VMVの電位に依らない駆動信号COMの波形補正
第3の補正は、吐出部600の特性変化に伴い駆動信号COMの波形を補正する際、駆動信号COMに含まれる電圧Vbの電位、及び電圧Vtの電位を変更することで、駆動信号COMに含まれる電圧Vtと電圧Vbとの電位差を大きくする。図10は、電圧Vb,Vtの電位に基づく駆動信号COMの波形補正について説明するための図である。なお、図10には、(a)補正前の駆動信号COM、及び電圧VMVの波形、(b)補正後の駆動信号COM、及び電圧VMVの波形を図示している。
【0115】
図10(a)に示すように、吐出部600の特性変化が生じる前、電圧VMVは、駆動信号COMの電圧Vcの電位よりも高電位に位置している。
【0116】
そして、吐出部600の特性変化に伴い、貯留されるインクの粘度が増加すると、図10(b)に示すように、駆動信号出力回路50は、駆動信号COMの台形波形Adpに含まれる電圧Vtと電圧Vbとの電位差が大きくなるように、電圧Vtの電位を電圧Vtよりも高電位の電圧Vt’と補正し、電圧Vbの電位を電圧Vbよりも低電位の電圧Vb’と補正した、台形波形Adp’を含む駆動信号COMを生成し出力する。
【0117】
詳細には、制御部100は、不図示のセンサー等により、吐出部600の粘度が増粘したことを検出する。そして、制御部100は、吐出部600の粘度が増粘したことを検出すると、増粘したインクの安定した吐出を可能とするために、駆動信号COMに含まれる電圧Vtの電位を電圧Vtよりも高電位な電圧Vt’とするための基駆動データdAを生成し、駆動信号出力回路50に出力するとともに、駆動信号COMに含まれる電圧Vbの電位を電圧Vbよりも低電位な電圧Vb’とするための基駆動データdAを生成し、駆動信号出力回路50に出力する。この場合において、制御部100が出力する基駆動データdAには、電圧Vcと同等の電位の電圧Vc’を生成する情報が含まれる。
【0118】
駆動信号出力回路50は、基駆動データdAに基づいて、電圧aVtよりも高電位の電圧aVt’と、電圧aVbよりも低電位の電圧aVb’と、電圧aVcと同等の電位の電圧aVc’とを含む基駆動信号aA’を生成するとともに、生成した基駆動信号aA’に基づく台形波形Adp’を含む駆動信号COMを生成し、吐出部600に出力する。これにより、増粘したインクであっても吐出部600から安定したインクの吐出が可能となる。
【0119】
このように補正された台形波形Adp’を含む駆動信号COMにおいて、電圧Vc’の電位は、電圧VMVの電位よりも小さくなる。その結果、駆動信号出力回路50が駆動信号COMとして電圧Vc’を出力する期間が、レベルシフト回路560が増幅変調信号AMs1の基準電位をグラウンド電位GNDとするレベルシフト増幅変調信号AMs2を出力している期間となる。よって、中点CP2の電位変動が大きくなり、コンデンサーC2とダイオードD2とで構成されたブートストラップ回路により生成される電圧HVdd2の電位が安定する。すなわち、吐出部600の特性変化に応じて駆動信号COMの波形を補正した場合であっても、トランジスターQ4の駆動の安定性、及び駆動信号出力回路50の駆動の安定性が向上する。すなわち、第3の補正では、制御部100が、吐出部600の特性の変化に基づいて、基駆動信号aAに含まれる電圧aVtの電位を電圧aVt’とし、基駆動信号aAに含まれる電圧aVbの電位を電圧aVb’とすることで、吐出部600の特性変化に応じて駆動信号COMの波形を補正した場合であっても、トランジスターQ4の駆動の安定性、及び駆動信号出力回路50の駆動の安定性が向上する。
【0120】
ここで、基駆動信号aAが基駆動データdAに基づく信号であることを加味すると、基駆動データdAもまた基駆動信号の一例であり、基駆動データdAを出力する制御部100が基駆動信号回路の一例である。そして、制御部100、電源回路70、及び駆動信号出力回路50を含む制御ユニット10が駆動回路に相当する。
【0121】
5.作用効果
以上のように本実施形態における液体吐出装置1では、駆動信号出力回路50が有するゲートドライバー562が、駆動信号COMの電位が電圧Vtよりも低電位であって、電圧Vbよりも高電位である電圧Vcで一定の期間に相当する時刻t0~t10,t60~t70の期間において、トランジスターQ4を導通に制御するゲート信号Lgs2と、トランジスターQ3を非導通に制御するゲート信号Hgs2とを出力することで、駆動信号COMの電位が電圧Vcで一定の期間において、トランジスターQ4が導通に制御され、トランジスターQ3が非導通に制御される。これにより、コンデンサーC2が接続される中点CP2の電位は、デジタル増幅回路550のトランジスターQ1,Q2がスイッチング動作することにより生成される増幅変調信号AMs1が出力される中点CP1の電位となる。したがって、コンデンサーC2とダイオードD2とで構成されたブートストラップ回路により生成される電圧HVdd2の電位は、電圧LVss2よりも電圧Vgだけ大きな電位に保持される。その結果、トランジスターQ3の駆動の安定性が向上し、駆動信号出力回路50の駆動の安定性が向上する。
【0122】
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0123】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0124】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0125】
駆動回路の一態様は、
駆動部を駆動する駆動信号を出力する駆動回路であって、
前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調して変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅した増幅変調信号を第1出力点から出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号の電位をシフトしたレベルシフト増幅変調信号を第2出力点から出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
を備え、
前記増幅回路は、前記変調信号に基づいて第1ゲート信号と第2ゲート信号とを出力する第1ゲートドライバーと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第1ゲート信号に基づいて動作する第1トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端に第1電源電圧が供給され、前記第2ゲート信号に基づいて動作する第2トランジスターと、を有し、
前記レベルシフト回路は、前記基駆動信号に基づいて第3ゲート信号と第4ゲート信号とを出力する第2ゲートドライバーと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、他端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第3ゲート信号に基づいて動作する第3トランジスターと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、前記第4ゲート信号に基づいて動作する第4トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端が前記第4トランジスターの他端と電気的に接続している第1容量素子と、一端が前記第4トランジスターの一端と電気的に接続し、他端が前記第2ゲートドライバーと電気的に接続され、他端に第2電源電圧が供給される第2容量素子と、を有し、
前記駆動信号は、第1電位で一定となる第1期間と、前記第1電位よりも高電位の第2電位で一定となる第2期間と、前記第2電位よりも高電位の第3電位で一定となる第3期間とを含み、
前記第2ゲートドライバーは、前記第2期間において、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力する。
【0126】
この駆動回路によれば、第2ゲートドライバーが、駆動信号の電位が第1電位よりも高電位であって、第3電位よりも低電位である第2電位で一定の期間において、第3トランジスターを導通に制御する第3ゲート信号と、第4トランジスターを非導通に制御する第4ゲート信号とを出力することで、第2電位で一定の期間において、第3トランジスターが導通に制御され、第4トランジスターが非導通に制御される。これにより、第2容量素子が接続される第2出力点の電位は、増幅回路の第1トランジスター、及び第2トランジスターのスイッチング動作により生成される増幅変調信号が出力される第1出力点の電位となる。したがって、第2容量素子には、増幅回路の動作に伴う電荷が蓄えられる。そして、第2容量素子に蓄えられた電荷に基づいて第2ゲートドライバーが第4トランジスターを駆動する第4ゲート信号を生成することで、第4トランジスターの駆動の安定性が向上し、その結果、駆動回路の駆動の安定性が向上する。
【0127】
前記駆動回路の一態様において、
前記第2ゲートドライバーは、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力するのか、前記第3トランジスターを非導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力するのかを、前記基駆動信号の電位に基づいて判定してもよい。
【0128】
この駆動回路によれば、第3トランジスター及び第4トランジスターのスイッチング動作の回数を第1トランジスター及び第2トランジスターと比較して少なくすることができ、どの結果、レベルシフト回路に生じるスイッチング損失を低減することが可能となり、駆動回路の消費電力を低減できる。
【0129】
前記駆動回路の一態様において、
前記第2ゲートドライバーは、
前記基駆動信号の電位が所定の電位よりも低い場合、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号と、を出力し、
前記基駆動信号の電位が前記所定の電位よりも高い場合、前記第3トランジスターを非導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを導通に制御する前記第4ゲート信号と、を出力してもよい。
【0130】
この駆動回路によれば、第3トランジスター及び第4トランジスターのスイッチング動作の回数を第1トランジスター及び第2トランジスターと比較して少なくすることができ、どの結果、レベルシフト回路に生じるスイッチング損失を低減することが可能となり、駆動回路の消費電力を低減できる。
【0131】
前記駆動回路の一態様において、
前記第2電位は、前記第1電源電圧の電位よりも小さくてもよい。
【0132】
この駆動回路によれば、第2容量素子に電荷を安定して蓄えることが可能となり、第2容量素子に蓄えられた電荷に基づいて第2ゲートドライバーが生成する第4トランジスターを駆動する第4ゲート信号の出力が安定する。したがって、第4トランジスターの駆動の安定性がさらに向上し、その結果、駆動回路の駆動の安定性がさらに向上する。
【0133】
前記駆動回路の一態様において、
前記基駆動信号を出力する基駆動信号回路を備え、
前記基駆動信号は、第4電位で一定となる第4期間と、前記第4電位よりも高電位の第5電位で一定となる第5期間と、前記第5電位よりも高電位の第6電位で一定となる第6期間とを含み、
前記基駆動信号回路は、前記第1電源電圧の電位に基づいて前記第5電位を変化させてもよい。
【0134】
この駆動回路によれば、第1電源電圧の電位が変化した場合であっても、基駆動信号の第5電位を第1電源電圧の変化に基づいて変化せることで、駆動信号の第2電位を変化することが可能となり、その結果、第2容量素子に電荷を安定して蓄えることが可能となる。したがって、第2容量素子に蓄えられた電荷に基づいて第2ゲートドライバーが生成する第4トランジスターを駆動する第4ゲート信号の出力が安定し、第4トランジスターの駆動の安定性がさらに向上し、その結果、駆動回路の駆動の安定性がさらに向上する。
【0135】
前記駆動回路の一態様において、
前記基駆動信号を出力する基駆動信号回路を備え、
前記基駆動信号は、第4電位で一定となる第4期間と、前記第4電位よりも高電位の第5電位で一定となる第5期間と、前記第5電位よりも高電位の第6電位で一定となる第6期間とを含み、
前記基駆動信号回路は、前記駆動部の特性の変化に基づいて前記第4電位、及び前記第6電位の少なくとも一方の電位を変化させてもよい。
【0136】
この駆動回路によれば、駆動部の特性に変化が生じた場合であっても、基駆動信号の第4電位、及び第6電位を変化させることで、駆動信号に十分な電位差が生じ、駆動部に十分な電力を供給できる。さらに、第5電位を一定とすることで基駆動信号に基づき生成された駆動信号の第2電位と第1電源電圧の電位との関係を保持することが可能となり、その結果、第2容量素子に電荷を安定して蓄えることが可能となる。したがって、第2容量素子に蓄えられた電荷に基づいて第2ゲートドライバーが生成する第4トランジスターを駆動する第4ゲート信号の出力が安定し、第4トランジスターの駆動の安定性がさらに向上し、その結果、駆動回路の駆動の安定性がさらに向上する。
【0137】
前記駆動回路の一態様において、
前記第1電源電圧を出力する電源回路を備え、
前記電源回路は、前記駆動部の特性変化に基づいて前記第1電源電圧の電位を変化させてもよい。
【0138】
この駆動回路によれば、駆動部の特性に変化が生じた場合に駆動信号の波形が補正された場合であっても、第1電源電圧の電位を変化させることで基駆動信号に基づき生成された駆動信号の第2電位と第1電源電圧の電位との関係を保持することが可能となり、その結果、第2容量素子に電荷を安定して蓄えることが可能となる。したがって、第2容量素子に蓄えられた電荷に基づいて第2ゲートドライバーが生成する第4トランジスターを駆動する第4ゲート信号の出力が安定し、第4トランジスターの駆動の安定性がさらに向上し、その結果、駆動回路の駆動の安定性がさらに向上する。
【0139】
前記駆動回路の一態様において、
前記第1電源電圧を出力する電源回路を備え、
前記基駆動信号は、第4電位で一定となる第4期間と、前記第4電位よりも高電位の第5電位で一定となる第5期間と、前記第5電位よりも高電位の第6電位で一定となる第6期間とを含み、
前記電源回路は、前記第5電位に基づいて前記第1電源電圧の電位を変化させてもよい。
【0140】
この駆動回路によれば、駆動信号の波形に変化が生じた場合であっても、基駆動信号の第5電位に基づいて第1電源電圧の電位を変化させることで、基駆動信号に基づき生成された駆動信号の第2電位と第1電源電圧の電位との関係を保持することが可能となり、その結果、第2容量素子に電荷を安定して蓄えることが可能となる。したがって、第2容量素子に蓄えられた電荷に基づいて第2ゲートドライバーが生成する第4トランジスターを駆動する第4ゲート信号の出力が安定し、第4トランジスターの駆動の安定性がさらに向上し、その結果、駆動回路の駆動の安定性がさらに向上する。
【0141】
前記駆動回路の一態様において、
前記レベルシフト回路は、前記増幅変調信号の基準電位を、第7電位と、前記第7電位よりも高電位の第8電位との間で切り替えてもよい。
【0142】
前記駆動回路の一態様において、
前記第7電位はグラウンド電位であり、前記第8電位は前記第1電源電圧の電位であってもよい。
【0143】
液体吐出装置の一態様は、
液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部を駆動する駆動信号を出力する駆動回路と、
を備え、
前記駆動回路は、
前記駆動信号の基となる基駆動信号を変調して変調信号を出力する変調回路と、
前記変調信号を増幅した増幅変調信号を第1出力点から出力する増幅回路と、
前記増幅変調信号の電位をシフトしたレベルシフト増幅変調信号を第2出力点から出力するレベルシフト回路と、
前記レベルシフト増幅変調信号を復調し、前記駆動信号を出力する復調回路と、
を有し、
前記増幅回路は、前記変調信号に基づいて第1ゲート信号と第2ゲート信号とを出力する第1ゲートドライバーと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第1ゲート信号に基づいて動作する第1トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端に第1電源電圧が供給され、前記第2ゲート信号に基づいて動作する第2トランジスターと、を有し、
前記レベルシフト回路は、前記基駆動信号に基づいて第3ゲート信号と第4ゲート信号とを出力する第2ゲートドライバーと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、他端が前記第1出力点と電気的に接続し、前記第3ゲート信号に基づいて動作する第3トランジスターと、一端が前記第2出力点と電気的に接続し、前記第4ゲート信号に基づいて動作する第4トランジスターと、一端が前記第1出力点と電気的に接続し、他端が前記第4トランジスターの他端と電気的に接続している第1容量素子と、一端が前記第4トランジスターの一端と電気的に接続し、他端が前記第2ゲートドライバーと電気的に接続され、他端に第2電源電圧が供給される第2容量素子と、を有し、
前記駆動信号は、第1電位で一定となる第1期間と、前記第1電位よりも高電位の第2電位で一定となる第2期間と、前記第2電位よりも高電位の第3電位で一定となる第3期間とを含み、
前記第2ゲートドライバーは、前記第2期間において、前記第3トランジスターを導通に制御する前記第3ゲート信号と、前記第4トランジスターを非導通に制御する前記第4ゲート信号とを出力する。
【0144】
この液体吐出装置によれば、駆動回路において、第2ゲートドライバーが、駆動信号の電位が第1電位よりも高電位であって、第3電位よりも低電位である第2電位で一定の期間において、第3トランジスターを導通に制御する第3ゲート信号と、第4トランジスターを非導通に制御する第4ゲート信号とを出力することで、第2電位で一定の期間において、第3トランジスターが導通に制御され、第4トランジスターが非導通に制御される。これにより、第2容量素子が接続される第2出力点の電位は、増幅回路の第1トランジスター、及び第2トランジスターのスイッチング動作により生成される増幅変調信号が出力される第1出力点の電位となる。したがって、第2容量素子には、増幅回路の動作に伴う電荷が蓄えられる。そして、第2容量素子に蓄えられた電荷に基づいて第2ゲートドライバーが第4トランジスターを駆動する第4ゲート信号を生成することで、第4トランジスターの駆動の安定性が向上し、その結果、駆動回路、及び液体吐出装置の駆動の安定性が向上する。
【符号の説明】
【0145】
1…液体吐出装置、2…移動体、3…移動ユニット、4…搬送ユニット、10…制御ユニット、20…ヘッドユニット、21…吐出ヘッド、24…キャリッジ、31…キャリッジモーター、32…キャリッジガイド軸、33…タイミングベルト、40…プラテン、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、50…駆動信号出力回路、60…圧電素子、70…電源回路、100…制御部、190…フレキシブルケーブル、210…選択制御部、230…選択部、510…基駆動信号出力回路、511…加算器、520…固定出力切替回路、521…切替回路、522…固定パルス出力回路、530…パルス変調回路、531…切替スイッチ、540…帰還回路、550…デジタル増幅回路、551…ゲートドライバー、552,553…ゲートドライブ回路、554…インバーター回路、560…レベルシフト回路、561…基準レベル切替回路、562…ゲートドライバー、563,564…ゲートドライブ回路、565…インバーター回路、580…復調回路、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…供給口、C1,C2,C3,C4,C5…コンデンサー、CP1,CP2…中点、D1,D2,D3,D4…ダイオード、L…ノズル列、L1…インダクター、P…媒体、Q1,Q2,Q3,Q4…トランジスター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10