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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像読取装置および配線方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240702BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020169607
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061589
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 清司
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-166675(JP,A)
【文献】特開平04-368193(JP,A)
【文献】特開2008-278366(JP,A)
【文献】特開2019-169738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取のためのセンサーを有するセンサー基板と、
前記センサーから出力される読取信号を入力して処理するアナログフロントエンドを有するAFE基板と、
複数の導線が長手方向と交差する幅方向に並び、前記センサー基板と前記AFE基板とを接続するフレキシブルフラットケーブルと、を備える画像読取装置であって、
前記フレキシブルフラットケーブルは、
前記複数の導線のうちの前記センサー基板から前記AFE基板へ前記読取信号を送信する信号線である第1導線と第2導線との間に、前記複数の導線のうちの一つであって前記センサー基板と前記AFE基板とが夫々に有するグラウンドパターンに接続するグラウンド線を挟む構成を含み、かつ、
前記複数の導線のうちの前記第1導線と前記第2導線との組以外の少なくとも一つの組である二つの前記信号線の間に、前記複数の導線のうちの一つであって前記信号線よりも電圧変化が小さい第3導線を挟む構成を含み、
前記信号線は夫々に、前記センサー基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、かつ、前記AFE基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、
前記第3導線は、前記センサー基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、かつ、前記AFE基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第3導線は、前記センサー基板に対して電源電圧またはリファレンス電圧を供給する導線である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記フレキシブルフラットケーブルは、前記長手方向および前記幅方向と交差する厚み方向において重なる複数層からなり、前記複数層のうちの第1層に含まれる前記信号線に対して、前記複数層のうち前記第1層と重なる第2層に含まれる前記第3導線が重なる位置に配置される、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記AFE基板を収容する第1ユニットと、
前記センサー基板を収容する第2ユニットと、
前記第2ユニットを前記第1ユニットに対して開閉可能に支持するヒンジと、を備え、
前記フレキシブルフラットケーブルは、前記ヒンジを通過した状態で前記センサー基板と前記AFE基板とを接続する、ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記フレキシブルフラットケーブルは、前記ヒンジと前記センサー基板との間において前記複数層が結束部材により結束されており、前記ヒンジと前記AFE基板との間において前記複数層が結束部材により結束されている、ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記フレキシブルフラットケーブルは、前記複数層を構成する層と層との間にスペーサーを有する、ことを特徴とする請求項3~請求項5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記フレキシブルフラットケーブルの一端と前記AFE基板とが接続し、
前記フレキシブルフラットケーブルの他端と前記センサー基板とは、中継基板を介して接続し、
前記中継基板は、前記他端との接続側における前記フレキシブルフラットケーブルの各導線の配置順と、前記センサー基板における各接続端子の配置順との相違を解消するパターンを有する、ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記フレキシブルフラットケーブルは、表面が金属製のシールド層で覆われている、ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項9】
画像読取のためのセンサーを有するセンサー基板と、前記センサーから出力される読取信号を入力して処理するアナログフロントエンドを有するAFE基板と、を複数の導線が長手方向と交差する幅方向に並んで構成されるフレキシブルフラットケーブルにより接続する配線方法であって、
前記フレキシブルフラットケーブルを、
前記複数の導線のうちの前記センサー基板から前記AFE基板へ前記読取信号を送信する信号線である第1導線と第2導線との間に、前記複数の導線のうちの一つであって前記センサー基板と前記AFE基板とが夫々に有するグラウンドパターンに接続するグラウンド線を挟む構成とし、かつ、
前記複数の導線のうちの前記第1導線と前記第2導線との組以外の少なくとも一つの組である二つの前記信号線の間に、前記複数の導線のうちの一つであって前記信号線よりも電圧変化が小さい第3導線を挟む構成とし、
前記信号線の夫々を、前記センサー基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、かつ、前記AFE基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、
前記第3導線を、前記センサー基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、かつ、前記AFE基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続する、ことを特徴とする配線方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および配線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフラットケーブル(以下、FFC)を用い、複数の信号線を近接させて配線する場合、ある信号線で送信される信号が発生させる磁界が、他の信号線で送信される信号に影響し、ノイズやクロストークを起こすことが知られている(特許文献1参照)。画像読取装置においては、このようなノイズやクロストークは、原稿の読取結果としての読取信号の劣化として表れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016‐179367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のクロストーク等への対策としては、信号線毎にその両側をグラウンド線で挟むことにより、信号線間での相互誘導を抑制することが挙げられる。しかしながら、このやり方では、信号線の数に応じてグラウンド線を増やす必要が有り、FFCやFFCを利用する製品の小型化が困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
画像読取装置は、画像読取のためのセンサーを有するセンサー基板と、前記センサーから出力される読取信号を入力して処理するアナログフロントエンド(以下、AFE)を有するAFE基板と、複数の導線が長手方向と交差する幅方向に並び、前記センサー基板と前記AFE基板とを接続するFFCと、を備え、前記FFCは、前記複数の導線のうちの前記センサー基板から前記AFE基板へ前記読取信号を送信する信号線である第1導線と第2導線との間に、前記複数の導線のうちの一つであって前記センサー基板と前記AFE基板とが夫々に有するグラウンドパターンに接続するグラウンド線を挟む構成を含み、かつ、前記複数の導線のうちの前記第1導線と前記第2導線との組以外の少なくとも一つの組である二つの前記信号線の間に、前記複数の導線のうちの一つであって前記信号線よりも電圧変化が小さい第3導線を挟む構成を含み、前記信号線は夫々に、前記センサー基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、かつ、前記AFE基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、前記第3導線は、前記センサー基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、かつ、前記AFE基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続する。
【0006】
画像読取のためのセンサーを有するセンサー基板と、前記センサーから出力される読取信号を入力して処理するAFEを有するAFE基板と、を複数の導線が長手方向と交差する幅方向に並んで構成されるFFCにより接続する配線方法は、前記FFCを、前記複数の導線のうちの前記センサー基板から前記AFE基板へ前記読取信号を送信する信号線である第1導線と第2導線との間に、前記複数の導線のうちの一つであって前記センサー基板と前記AFE基板とが夫々に有するグラウンドパターンに接続するグラウンド線を挟む構成とし、かつ、前記複数の導線のうちの前記第1導線と前記第2導線との組以外の少なくとも一つの組である二つの前記信号線の間に、前記複数の導線のうちの一つであって前記信号線よりも電圧変化が小さい第3導線を挟む構成とし、前記信号線の夫々を、前記センサー基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、かつ、前記AFE基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、前記第3導線を、前記センサー基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続し、かつ、前記AFE基板のグラウンドパターンにコンデンサーを介して接続する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像読取装置を簡易的に示すブロック図。
図2】本実施形態にかかる配線方法の一例を説明するための図。
図3】従来例を説明するための図。
図4図4Aは複数層からなるFFCの断面図、図4Bは複数層からなるFFCであって層間にスペーサーを有する例の断面図。
図5】画像読取装置の構造を側面からの視点により簡易的に示す図。
図6】FFCの折り曲げ層構造を説明するための断面図。
図7】折り曲げ層構造のFFCを用いた配線方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0009】
1.装置構成の概略:
図1は、本実施形態にかかる画像読取装置10の構成をブロック図により簡易的に示している。画像読取装置10をスキャナーとも呼ぶ。画像読取装置10は、画像読取のためのセンサー21を搭載したセンサー基板20を有する。センサー21は、複数のセンサーチップを含んで構成される回路である。複数のセンサーチップは、例えば、一次元状に並んでラインセンサーを構成し、読取対象の原稿を読み取る。各センサーチップは複数の光電変換素子を有し、各素子による読取信号を出力する。
【0010】
センサー基板20は、FFC50によりメイン基板30と接続している。FFC50は、複数の導線がケーブルの長手方向と交差する幅方向に並ぶことによりフラット状に構成されたケーブルである。導線を、導体、電線などと記載してもよい。メイン基板30には、AFE31および画像処理回路32が搭載されている。メイン基板30は、AFE31を有する点において「AFE基板」に該当する。むろん、AFE31を有する基板と、画像処理回路32を有する基板とは、実態として別々の基板であってもよい。以下では、AFE31を有するメイン基板30を、AFE基板30とも呼ぶ。
【0011】
AFE31は、センサー21から出力される読取信号を入力して処理する回路である。AFE31は、アナログ信号である読取信号に対して、例えば、増幅したり、波形を整えたり、アナログ・デジタル変換したりして、後段の画像処理回路32が扱うデジタルデータに変換する。アナログ・デジタル変換は、画像処理回路32が実行してもよい。画像処理回路32は、デジタルデータとしての読取信号に対して、適宜、明るさや色の補正を実行したり、所定のフォーマットの画像データに変換したりする。
【0012】
図1の例では、画像読取装置10は搬送部40を有する。搬送部40は、モーターやローラー等を有し、メイン基板30による制御下で原稿を搬送する。搬送部40により搬送される原稿が、センサー21により読み取られる。搬送部40を有する画像読取装置10は、いわゆるシードフィードスキャナーに該当する。ただし、画像読取装置10は、いわゆるフラットベッドスキャナーであってもよい。
【0013】
図1に示していないが、言うまでもなく、画像読取装置10は、電源回路や、原稿を照射する光源や、画像データを記憶する記憶装置や、外部のコンピューター等と通信する通信インターフェイスや、ユーザーからの操作を受け付ける操作パネル等、スキャナーが通常有する各構成を有する。画像読取装置10は、コピー機能やファクシミリ機能や電子メール通信機能など複数の機能を備えた複合機であってもよい。
【0014】
2.配線方法:
図2は、本実施形態にかかる配線方法の一例を説明するための図である。FFC50の一端は、AFE基板30に実装された不図示のコネクターを介してAFE基板30と接続し、FFC50の他端は、センサー基板20に実装された不図示のコネクターを介してセンサー基板20と接続している。図2によれば、FFC50は、符号51,52,53,54,55,56,57,58,59で示す9本の導線が並んで構成されている。図2では示していないが、FFC50の各導線は、絶縁体等により被覆された上でフラット状に一体化している。
【0015】
各導線の符号の隣には、各導線の役割または伝送する信号を併せて示している。導線51,53は、夫々がグラウンド(GND)線である。各グラウンド線は、センサー基板20と、AFE基板30とが夫々に有するグラウンドパターンに接続している。図示は省略しているが、センサー基板20、AFE基板30の夫々は、必要な範囲にグラウンドパターンを有している。また、センサー21、AFE31も夫々に、不図示のグラウンド端子によりグラウンドパターンに接続している。
【0016】
導線52,54,56は、夫々がセンサー基板20からAFE基板30へ読取信号を送信する信号線(以下、読取信号線)である。具体的には、導線52は、チャンネル(CH)0の読取信号線であり、導線54は、CH1の読取信号線であり、導線56は、CH2の読取信号線である。センサー基板20において、導線52は所定のパターンを介してセンサー21の信号端子21aと接続し、導線54は所定のパターンを介してセンサー21の信号端子21bと接続し、導線56は所定のパターンを介してセンサー21の信号端子21dと接続している。
【0017】
一方、AFE基板30において、導線52は所定のパターンを介してAFE31の信号端子31aと接続し、導線54は所定のパターンを介してAFE31の信号端子31bと接続し、導線56は所定のパターンを介してAFE31の信号端子31dと接続している。
センサー21は、複数のセンサーチップを複数のチャンネルに区分けしている。そして、センサー21は、各チャンネルの光電変換素子からの読取信号の出力タイミングをチャンネル間で同期させて、各チャンネルが対応する各信号端子21a,21b,21dから読取信号を出力する。
【0018】
つまり、センサー21の信号端子21aから出力されたCH0の読取信号は、導線52を通じてAFE31の信号端子31aへ入力する。同様に、センサー21の信号端子21bから出力されたCH1の読取信号は、導線54を通じてAFE31の信号端子31bへ入力し、センサー21の信号端子21dから出力されたCH2の読取信号は、導線56を通じてAFE31の信号端子31dへ入力する。図2は、センサー21のチャンネル数が3つである例を示しているが、チャンネル数は限定されない。いずれにしても、チャンネル数に応じた数の読取信号線が必要となる。
【0019】
導線55,57は、夫々がAFE基板30からセンサー基板20へ駆動用の電源電圧を供給する電源供給線である。導線55は、所定の電源電圧VAD1を供給し、導線57は、所定の電源電圧VAD2を供給する。センサー基板20において、導線55は所定のパターンを介してセンサー21の電源端子21cと接続し、導線57は所定のパターンを介してセンサー21の電源端子21eと接続している。一方、AFE基板30において、導線55は所定のパターンを介してAFE31の電源端子31cと接続し、導線57は所定のパターンを介してAFE31の電源端子31eと接続している。
【0020】
導線58は、読取信号の出力タイミング等を取るためのシフト信号TRをAFE基板30からセンサー基板20へ供給するシフト信号線である。導線58は、センサー基板20において、所定のパターンを介してセンサー21のシフト端子21fと接続し、AFE基板30において、所定のパターンを介してAFE31のシフト端子31fと接続している。
【0021】
導線59は、AFE基板30からセンサー基板20へ、基準となるリファレンス電圧Vrefを供給するリファレンス供給線である。導線59は、センサー基板20において、所定のパターンを介してセンサー21のリファレンス端子21gと接続し、AFE基板30において、所定のパターンを介してAFE31のリファレンス端子31gと接続している。
【0022】
導線52,54,56が夫々に送信する読取信号は、光電変換素子の受光量に応じてレベルが随時変動している。一方、電源電圧VAD1,VAD2やリファレンス電圧Vrefは、夫々が所定のレベルであり、変動しないか或いは殆ど変動しない。従って、導線55,57,59は、読取信号線である導線52,54,56よりも電圧変化が小さい「第3導線」に該当する。
【0023】
図2によれば、FFC50は、読取信号線である導線52と導線54との間に、グラウンド線である導線53を挟む構成を含んでいる。このように、読取信号線である互いの間に一つのグラウンド線を挟む関係にある導線52および導線54は、“第1導線と第2導線との組”の一つである。導線52,54のどちらを第1導線と呼び、どちらを第2導線と呼んでもよい。また、“第1導線と第2導線との組”に該当する導線の組み合わせは、導線52,54の組以外にもあってもよい。
【0024】
また、図2によれば、FFC50は、読取信号線である導線54と導線56との間に、電源供給線である導線55を挟む構成を含んでいる。このように、読取信号線である互いの間に一つの第3導線を挟む関係にある導線54および導線56は、“第1導線と第2導線との組以外の一つの組である二つの読取信号線の間に、第3導線を挟む構成”の一つに該当する。第3導線を間に挟む読取信号線の組み合わせも、導線54,56の組以外にもあってもよい。読取信号線に挟まれて配置される第3導線は、電源供給線ではなくリファレンス供給線であってもよい。
【0025】
図示をある程度簡略化しているが、導線52,54,56といった読取信号線は夫々に、センサー基板20のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、かつ、AFE基板30のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続している。コンデンサーCは、セラミックコンデンサーである。同様に、読取信号線に挟まれて配置された第3導線である導線55,57は夫々に、センサー基板20のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、かつ、AFE基板30のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続している。
【0026】
このような配線方法によれば、各読取信号線に対してリターンパスが確保される。例えば、コンデンサーCおよびグラウンドパターンを介して繋がった、読取信号線である導線52とグラウンド線である導線53との関係に注目すると、導線53が導線52に対するリターンパスの一つとなる。リターンパスとしての導線53を流れるリターン電流による磁界が、導線52を流れる読取信号による磁界を打ち消すように作用することで、導線52を流れる読取信号の影響による近隣の読取信号線へのノイズやクロストークが抑制される。同様に、読取信号線である導線54と第3導線である導線55との関係に注目すると、導線55が導線54に対するリターンパスの一つとなる。リターンパスによる効果は、述べた通りである。また、読取信号線である導線56と第3導線である導線57との関係に注目すると、導線57が導線56に対するリターンパスの一つとなる。図2から解るように、読取信号線である導線52,54,56夫々の両側に、グラウンド線または第3導線によるリターンパスが確保されている。
【0027】
図3は、本実施形態にかかる配線方法を採用する前の構成、つまり従来例を説明するための図である。図2は、図3における課題を解決した構成を提示している。図3に関し、図2と共通する構成についての説明は適宜省く。
【0028】
図3によれば、FFC50は、符号51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61で示す11本の導線が並んで構成されている。導線60,61は、夫々がAFE基板30からセンサー基板20へ駆動用の電源電圧を供給する電源供給線である。導線60は、所定の電源電圧VAD1を供給し、導線61は、所定の電源電圧VAD2を供給する。センサー基板20において、導線60は所定のパターンを介してセンサー21の電源端子21cと接続し、導線61は所定のパターンを介してセンサー21の電源端子21eと接続している。一方、AFE基板30において、導線60は所定のパターンを介してAFE31の電源端子31cと接続し、導線61は所定のパターンを介してAFE31の電源端子31eと接続している。
【0029】
図3に示すように、読取信号線である導線52,54,56夫々の両側にはグラウンド線が配置されている。これにより、従来例においても本実施形態と同様に、各読取信号線に対して両側にリターンパスが確保され、ノイズやクロストークが抑制される。しかし従来例では、全ての読取信号線について両側にグラウンド線を配置していたため、少なくとも読取信号線の本数プラス1本のグラウンド線を確保する必要が有った。
【0030】
これに対して本実施形態では、従来はグラウンド線としていた一部の導線を、電源供給線またはリファレンス供給線とすることにより、FFC50の芯数の削減と、各読取信号線に対するリターンパスの適切な確保とを両立させている。図2図3と比較すると、グラウンド線であった導線55を、電源電圧VAD1の電源供給線に変更し、同様にグラウンド線であった導線57を、電源電圧VAD2の電源供給線に変更し、その上で導線60,61を削減している。
【0031】
図2では、見易さを優先して、センサー21の各端子21a~21gの配置およびAFE31の各端子31a~31gの配置を、図3に示した配置から変更している。ただし、図2において、各端子21a~21gの配置および各端子31a~31gの配置を図3と同様としてもよい。そして、センサー基板20において端子21cを導線55に繋ぎ、端子21eを導線57に繋ぎ、かつ、AFE基板30において端子31cを導線55に繋ぎ、端子31eを導線57に繋いでもよい。
【0032】
3.複数層からなる構成に関連する説明:
FFC50は、複数層からなる構成であってもよい。
図4Aは、複数層からなるFFC50の断面図を例示している。図4Aは、FFC50の長手方向を向く視点から見た断面図である。符号Daは、FFC50の長手方向に交差する幅方向Daを示し、符号Dbは、FFC50の長手方向および幅方向Daに交差する、FFC50の厚み方向Dbを示している。図4Aにおいて、FFC50の長手方向は、紙面に対して垂直な方向である。
【0033】
図4Aによれば、FFC50は、第1層50aおよび第2層50bが厚み方向Dbに重なることにより構成されている。第1層50a、第2層50bは、夫々がFFCである。第1層、第2層という表現は、FFC50の各層を識別するための呼び名に過ぎないため、符号50aで示す層を第2層と呼び、符号50bで示す層を第1層と呼んでもよい。また、FFC50を構成する層数は、3以上であってもよい。
【0034】
符号70,71,72,73,74,75,76,77,78で示すように、第1層50aは、幅方向Daに並ぶ8本の導線70~78を有する。また、符号79,80,81,82,83,84,85,86,87で示すように、第2層50bは、幅方向Daに並ぶ8本の導線79~87を有する。第1層50a内では、読取信号線である導線71,73,75の夫々に対して、両側にグラウンド線(導線70,72)や電源供給線(導線74,76)を配置することにより、図2で説明したようにリターンパスが確保されている。また、第2層50b内では、読取信号線である導線81,83,85の夫々に対して、両側にグラウンド線(導線80,84)や電源供給線(導線82,86)を配置することにより、同様にリターンパスが確保されている。
【0035】
さらに、第1層50aに含まれる読取信号線(導線71,73,75)に対して、第2層50bに含まれるグラウンド線(導線80,84)や電源供給線(導線82)が重なる位置に配置されている。例えば、厚み方向Dbから見たとき、第1層50aの導線73に対して、第2層50bの導線82が重なるように配置されている。同様に、第2層50bに含まれる読取信号線(導線81,83,85)に対して、第1層50aに含まれるグラウンド線(導線72)や電源供給線(導線74,76)が重なる位置に配置されている。例えば、厚み方向Dbから見たとき、第2層50bの導線83に対して、第1層50aの導線74が重なるように配置されている。このような構成によれば、例えば、センサー21やAFE31の仕様上の要請や、製品組み立て工程上の要請によりFFC50を複数層とした場合に、各読取信号線に対して、幅方向Daだけでなく厚み方向Dbの位置にもリターンパスを確保することができる。
【0036】
図4Bは、図4Aと同様に複数層からなるFFC50の断面図を例示している。図4BのFFC50は、図4Aと比べると、スペーサー50cを有する点で異なる。つまり、FFC50は、複数層を構成する層と層との間にスペーサーを有するとしてもよい。スペーサー50cは、第1層50aと第2層50bとを厚み方向Dbにおいて離間させて距離を保ち、両層間におけるクロストークやノイズの影響を低減させる。
【0037】
図5は、画像読取装置10の構造を、装置の側面からの視点により簡易的に示している。画像読取装置10は、第1ユニット1と、第2ユニット2とを有する。第1ユニット1を下ユニット、第2ユニット2を上ユニットと呼んでもよい。第2ユニット2は、ヒンジ3により、第1ユニット1に対して開閉可能に支持されている。つまり、ユーザーは、第2ユニット2を、ヒンジ3を中心に回動させることにより、第1ユニット1に対して第2ユニット2を閉じたり開いたりすることができる。第2ユニット2は、第1ユニット1の蓋でもある。
【0038】
第1ユニット1と、閉じた状態の第2ユニット2との隙間が、原稿の搬送路となる。図5では省略しているが、第1ユニット1は搬送部40を収容しており、搬送部40により搬送路での原稿の搬送を実行する。第1ユニット1は、AFE基板30を収容し、第2ユニット2は、センサー基板20を収容している。そして、FFC50は、ヒンジ3を通過した状態でセンサー基板20とAFE基板30とを接続する。詳細は省くが、例えば、円筒状のヒンジ3には、スリットが形成されており、FFC50は、このスリットを通ることでヒンジ3の内外を通過している。
【0039】
複数層からなるFFC50は、図4A図4Bに例示したように2つのFFCを重ね合わせた形態であってもよいが、1つのFFCを、長手方向を向く切れ目で折って重ね合わせることで、元の幅よりも幅を1/2や1/3にした構造(以下、折り曲げ層構造)であってもよい。特に、FFC50を、ヒンジ3のような部品の特定の狭い場所を通過させて基板間を接続する場合、FFC50の幅は狭い方が、製品組み立てが容易となる。そのため、図5に示すFFC50は、折り曲げ層構造であると想定する。図5では、FFC50が2層からなることを示すため、FFC50を二重線で記載している。
【0040】
図5に示すように、FFC50は、ヒンジ3とセンサー基板20との間において複数層が結束部材4により結束されており、ヒンジ3とAFE基板30との間において複数層が結束部材4により結束されている。結束部材4は、例えば、結束バンドやテープである。FFC50を構成する複数層を結束部材4で結束することで、層と層とのずれ、より詳しくは、一方の層に属する読取信号線と、他方の層に属し、この読取信号線のリターンパスとなるべき導線との位置ずれを、防ぐことができる。また、FFC50を構成する複数層を結束部材4で結束することで、製品組み立て工程における作業性が向上する。
【0041】
図6は、図4A図4Bと同じ視点によるFFC50の断面図の例であって、折り曲げ層構造を説明する図である。図6では、図内上段に、折り曲げ前のFFC50を示し、図内下段に、折り曲げ後のFFC50を示している。符号90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101で示すように、FFC50は、幅方向Daに並ぶ12本の導線90~101を有する。図6の構成においても、これまでの図2図4A,4Bと同様に、従来はグラウンド線であった導線の一部は、電源供給線等の第3導線に変更されている。
【0042】
折り曲げ前のFFC50のほぼ中央であって導線が通っていない位置に、破線で示す“切れ目5”が形成されている。切れ目5は、FFC50の長手方向に連続している。作業者は、切れ目5を境にしてFFC50を折り畳む。これにより、図6内の下段に示すように、FFC50は第1層50dと第2層50eとが重なった折り曲げ層構造となる。重なった第1層50dと第2層50eとは、切れ目5において、完全に切断されていてもよいし、一部が繋がった状態であってもよい。図6の折り曲げ層構造によれば、FFC50の幅が折り曲げ前の約1/2となっている。
【0043】
図7は、図6の折り曲げ層構造のFFC50を用いた配線方法を説明するための図である。図7の見方については、基本的には図2の見方を踏襲すればよい。FFC50の一端は、AFE基板30と接続し、FFC50の他端は、中継基板22を介してセンサー基板20と接続している。中継基板22は、センサー基板20とともに第2ユニット2に収容されている。中継基板22とセンサー基板20とは、ケーブル23により接続している。中継基板22が第2ユニット2内に在る場合、ヒンジ3と中継基板22との間において、FFC50を構成する複数層が結束部材4で結束されている。
【0044】
図7では、分かり易さを優先して導線90~100の全てが見えるように記載しているが、実際にはFFC50は、図6内の下段に示すような折り曲げ層構造となっている。ただし、FFC50の一端から他端までの全長に亘ってFFC50が折り曲げ層構造となっている訳ではなく、AFE基板30と接続する一端近傍および中継基板22と接続する他端近傍は、図6内の上段に示すように単層となっている。また、図6に示した導線101は、実質的に不要であるため図7に記載していない。
【0045】
図7でも図2と同様に、各導線の符号の隣に各導線の役割または伝送する信号を併せて記載している。この記載は、当然、図6の導線毎の記載と一致している。また、図7では、AFE31の各端子およびセンサー21の各端子の符号の隣にも、入力あるいは出力する信号を併せて記載している。導線90,92,96は、夫々がグラウンド(GND)線である。各グラウンド線は、中継基板22と、AFE基板30とが夫々に有するグラウンドパターンに接続している。図示は省略しているが、中継基板22は、センサー基板20やAFE基板30と同様に、必要な範囲にグラウンドパターンを有している。中継基板22のグラウンドパターンは、センサー基板20のグラウンドパターンと電気的に接続しているため、中継基板22のグラウンドパターンに接続することは、センサー基板20のグラウンドパターンに接続することと同じと解してよい。
【0046】
導線91,93,97,99は、CH0,CH1,CH2,CH3の各読取信号線である。AFE基板30において、導線91は所定のパターンを介してAFE31のCH0の信号端子31hと接続し、導線93は所定のパターンを介してAFE31のCH1の信号端子31iと接続している。また、AFE基板30において、導線97は所定のパターンを介してAFE31のCH2の信号端子31jと接続し、導線99は所定のパターンを介してAFE31のCH3の信号端子31kと接続している。図6,7に示す導線91,93,97,99とCH0,CH1,CH2,CH3との対応関係を実現するため、AFE基板30では、破線で示すように、信号端子31jと導線97とを繋ぎ、信号端子31kと導線99とを繋ぐ。図7における各破線は、基板のパターンの一部を簡易的に示しており、破線の両端が電気的に接続していることを意味する。
【0047】
導線94,98は、電源電圧VAD1,VAD2を供給する各電源供給線である。図6,7に示す導線94,98と電源電圧VAD1,VAD2との対応関係を実現するため、AFE基板30では、破線で示すように、AFE31の電源端子31nと導線94とを繋ぎ、AFE31の電源端子31oと導線98とを繋ぐ。
【0048】
導線95は、シフト信号TRを供給するシフト信号線である。図6,7に示す導線95とシフト信号TRとの対応関係を実現するため、AFE基板30では、破線で示すように、AFE31のシフト端子31lと導線95とを繋ぐ。導線100は、リファレンス電圧Vrefを供給するリファレンス供給線であり、AFE基板30において、所定のパターンを介してAFE31のリファレンス端子31mと接続している。
【0049】
図7によれば、導線91,93,97,99といった各読取信号線は夫々に、中継基板22のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、かつ、AFE基板30のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続している。また、導線94,98,100といった、読取信号線に対するリターンパスとなる各第3導線(電源供給線やリファレンス供給線)は夫々に、中継基板22のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、かつ、AFE基板30のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続している。
【0050】
図7によれば、AFE31の各端子31h,31i,31j,31k,31l,31m,31n,31oと、センサー21の各端子21h,21i,21j,21k,21l,21m,21n,21oとは、対応する信号の並び順が一致している。一方で、図6,7に示すFFC50の各導線と信号との対応関係を実現するために、AFE31の各端子31h,31i,31j,31k,31l,31m,31n,31oとFFC50の各導線との対応関係を、AFE基板30の破線のパターンにより一部変更した。そのため、FFC50の各導線と、センサー21の各端子21h,21i,21j,21k,21l,21m,21n,21oとは、対応する信号の並び順が一部で一致しない。そこで、このような不一致を中継基板22において解消する。つまり、中継基板22は、FFC50との接続側におけるFFC50の各導線の配置順と、センサー基板20における各接続端子(21h,21i,21j,21k,21l,21m,21n,21o)の配置順との相違を解消するパターンを有している。図7から解るように、中継基板22が有するパターンは、AFE基板30が有するパターンと、FFC50を挟んで対称の配置となっている。
【0051】
このような図6,7に示したFFC50の折り曲げ層構造によれば、第1層50dの読取信号線である導線91は、幅方向Daにおいてグラウンド線に挟まれ、厚み方向Dbにおいて第2層50eのリファレンス供給線である導線100と重なる。また、第2層50eの読取信号線である導線99は、幅方向Daにおいてリファレンス供給線と電源供給線とに挟まれ、厚み方向Dbにおいて第1層50dのグラウンド線である導線92と重なる。また、第1層50dの読取信号線である導線93は、幅方向Daにおいてグラウンド線と電源供給線とに挟まれ、厚み方向Dbにおいて第2層50eの電源供給線である導線98と重なる。また、第2層50eの読取信号線である導線97は、幅方向Daにおいて電源供給線とグラウンド線とに挟まれ、厚み方向Dbにおいて第1層50dの電源供給線である導線94と重なる。
【0052】
4.まとめ:
このように本実施形態によれば、画像読取装置10は、画像読取のためのセンサー21を有するセンサー基板20と、センサー21から出力される読取信号を入力して処理するAFE31を有するAFE基板30と、複数の導線が長手方向と交差する幅方向に並び、センサー基板20とAFE基板30とを接続するFFC50と、を備える。そして、FFC50は、複数の導線のうちのセンサー基板20からAFE基板30へ読取信号を送信する読取信号線である第1導線と第2導線との間に、複数の導線のうちの一つであってセンサー基板20とAFE基板30とが夫々に有するグラウンドパターンに接続するグラウンド線を挟む構成を含み、かつ、複数の導線のうちの第1導線と第2導線との組以外の少なくとも一つの組である二つの読取信号線の間に、複数の導線のうちの一つであって読取信号線よりも電圧変化が小さい第3導線を挟む構成を含む。読取信号線は夫々に、センサー基板20のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、かつ、AFE基板30のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、第3導線は、センサー基板20のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、かつ、AFE基板30のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続する。
【0053】
前記構成によれば、FFC50は、二つの読取信号線の間に第3導線を挟む構成を少なくとも一つ含む。そのため、読取信号線に対するリターンパスを第3導線により確保し、従来と比較してFFC50の導線数を削減して、FFC50やFFC50を利用する製品の小型化に貢献することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、第3導線は、センサー基板20に対して電源電圧またはリファレンス電圧を供給する導線であるとしてもよい。
前記構成によれば、電源供給線やリファレンス供給線といった、元から必要である線を利用して読取信号線に対するリターンパスを確保することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、FFC50は、長手方向および幅方向と交差する厚み方向Dbにおいて重なる複数層からなり、複数層のうちの第1層に含まれる読取信号線に対して、複数層のうち第1層と重なる第2層に含まれる第3導線が重なる位置に配置される、としてもよい。
前記構成によれば、FFC50を複数層で形成したとき、ある層に含まれる読取信号線に対して、この層に重なる別の層内の第3導線によってもリターンパスを確保することができる。これにより、読取信号線を流れる読取信号による周囲へのクロストークやノイズを、適切に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、画像読取装置10は、AFE基板30を収容する第1ユニット1と、センサー基板20を収容する第2ユニット2と、第2ユニット2を第1ユニット1に対して開閉可能に支持するヒンジ3と、を備える構成であってもよい。この場合、FFC50は、ヒンジ3を通過した状態でセンサー基板20とAFE基板30とを接続する。
前記構成によれば、複数層としたFFC50をヒンジ3に通すことで、製品の組み立てが容易化する。
【0057】
また、本実施形態によれば、FFC50は、ヒンジ3とセンサー基板20との間において複数層が結束部材4により結束されており、ヒンジ3とAFE基板30との間において複数層が結束部材4により結束されている、としてもよい。
前記構成によれば、FFC50を構成する層間のずれを防ぎ、かつ、FFC50による基板の接続を含む製品組み立ての作業性が向上する。
【0058】
また、本実施形態によれば、FFC50は、複数層を構成する層と層との間にスペーサー50cを有する、としてもよい。
前記構成によれば、FFC50の層間距離を確保して、上述のクロストークやノイズを、より低減することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、FFC50の一端とAFE基板30とが接続し、FFC50の他端とセンサー基板20とは、中継基板22を介して接続し、中継基板22は、前記他端との接続側におけるFFC50の各導線の配置順と、センサー基板20における各接続端子の配置順との相違を解消するパターンを有する。
前記構成によれば、FFC50について複数層の構成を採用するために、AFE基板30において各接続端子と各導線との対応関係を変更しても、この変更に因るFFC50の各導線の配置順とセンサー基板20における各接続端子の配置順との相違を中継基板22により解消することができる。
ただし、FFC50の他端とセンサー基板20とを中継基板22を介して接続して、FFC50の各導線の配置順と、センサー基板20における各接続端子の配置順との相違を中継基板22により解消する方法は、FFC50を単層とする場合にも適用することができる。
【0060】
これまでに説明したFFC50の各種態様において、さらに、FFC50の表面を金属製のシールド層で覆うとしてもよい。例えば、FFC50の表面に対し、アルミニウム等の金属を蒸着させて、当該表面の少なくとも一部を覆う。
これにより、読取信号に関するノイズ対策を、より向上させることができる。
【0061】
本実施形態は、画像読取装置10以外のカテゴリーの発明も開示する。
画像読取のためのセンサー21を有するセンサー基板20と、センサー21から出力される読取信号を入力して処理するAFE31を有するAFE基板30と、を複数の導線が長手方向と交差する幅方向に並んで構成されるFFC50により接続する配線方法では、FFC50を、複数の導線のうちのセンサー基板20からAFE基板30へ読取信号を送信する読取信号線である第1導線と第2導線との間に、複数の導線のうちの一つであってセンサー基板20とAFE基板30とが夫々に有するグラウンドパターンに接続するグラウンド線を挟む構成とし、かつ、複数の導線のうちの第1導線と第2導線との組以外の少なくとも一つの組である二つの読取信号線の間に、複数の導線のうちの一つであって読取信号線よりも電圧変化が小さい第3導線を挟む構成とする。そして、読取信号線の夫々を、センサー基板20のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、かつ、AFE基板30のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、第3導線を、センサー基板20のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続し、かつ、AFE基板30のグラウンドパターンにコンデンサーCを介して接続する。
【0062】
さらに、配線方法を含む本実施形態は、FFC50を含む配線構造や、この配線構造を有する画像読取装置10の製造方法を開示すると言える。
【符号の説明】
【0063】
1…第1ユニット、2…第2ユニット、3…ヒンジ、4…結束部材、10…画像読取装置、20…センサー基板、21…センサー、22…中継基板、30…AFE基板、31…AFE、40…搬送部、50…FFC、50a,50d…第1層、50b,50e…第2層、50c…スペーサー、51,52,53,54,55,56,57,58,59…導線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7