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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】スイッチギヤの交換方法
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H02B3/00 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020190865
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022079960
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】福田 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】星島 亘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平岡 景志
(72)【発明者】
【氏名】光籏 信吾
(72)【発明者】
【氏名】東 健太
(72)【発明者】
【氏名】赤木 孝之
(72)【発明者】
【氏名】徳重 正章
(72)【発明者】
【氏名】飯田 誠
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-189758(JP,A)
【文献】特開2013-207905(JP,A)
【文献】実開昭62-160524(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00-27/06
H02B 1/00-1/38
H02B 1/46-7/08
H02G 5/00-5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設のスイッチギヤを新規のスイッチギヤに交換する場合に、変圧器を収容する変圧器本体に取り付けられた既設ダクトに増設ダクトが接続され、前記既設ダクト側の第1銅帯と接続される第2銅帯が前記増設ダクトの内部側に配置され、前記第2銅帯に前記新規のスイッチギヤから延びる低電圧側電力ケーブルの先端が接続されるスイッチギヤの交換方法において、
停電前の作業工程と停電時の作業工程とに大別され、
前記停電前の作業工程は、予め前記増設ダクトが下側部分と上側部分とに分割された状態で形成される増設ダクト製造工程と、前記増設ダクトを設置する基礎が前記既設ダクトの側壁に対向する側で且つ前記既設ダクトに隣り合う位置に設けられる基礎形成工程と、前記基礎形成工程終了後に前記増設ダクトの前記下側部分が前記基礎上に配置される下側部分配置工程と、前記新規のスイッチギヤから前記基礎上の前記増設ダクトの前記下側部分まで低電圧側電力ケーブルが敷設される電力ケーブル敷設工程と、前記電力ケーブル敷設工程終了後の前記低電圧側電力ケーブルの先端に端末処理が施される電力ケーブル端末処理工程と、前記電力ケーブル端末処理工程終了後に前記増設ダクトの前記下側部分内の第2銅帯に前記低電圧側電力ケーブルの先端が接続される電力ケーブル接続工程と、を有し、
前記停電時の作業工程は、前記既設ダクトの前記側壁を張出ダクトが形成された増設ダクト接続用側壁に取り替える張出ダクト設置工程と、前記増設ダクトの前記下側部分に前記増設ダクトの前記上側部分が乗せられ、前記張出ダクト設置工程終了後の前記張出ダクトと前記増設ダクトの前記下側ダクトとに前記増設ダクトの前記上側部分が接続されるダクト接続工程と、を有する、
ことを特徴とするスイッチギヤの交換方法。
【請求項2】
前記電力ケーブル端末処理工程終了後であって、前記電力ケーブル接続工程前に、前記新規のスイッチギヤに関する諸試験を実施する試験工程を配置した、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチギヤの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変圧器に接続された既設のスイッチギヤに代えて、新規のスイッチギヤを変圧器に接続するスイッチギヤの交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、変圧器は、変圧器本体と、この変圧器本体を収容する変圧器ケースと、を有している。そして、変圧器本体から引き出された高電圧側巻線の三相(U相、V相、W相)分の口出線(一次側口出線)は、三相の高電圧側電力ケーブルに接続されている。また、変圧器本体から引き出された低電圧側巻線の三相分の口出線(二次側口出線)は、三相の低電圧側電力ケーブルに接続されている。そして、低電圧側電力ケーブルは、変圧器から離れた位置に設置されたスイッチギヤに接続されている(特許文献1参照)。
【0003】
図13は、変圧器1、低電圧側ダクト2(以下、ダクトと略称する)、及びスイッチギヤ3との関係を簡略化して示す図である。この図13に示すように、スイッチギヤ3から延びる低電圧側電力ケーブル4は、地中5に敷設され、地中5から引き出された端部が端末処理された後、ダクト2内の銅帯6に接続されている。
【0004】
図14は、変圧器1に取り付けられたダクト2を示す図である。なお、図14(a)はダクト2の側面図であり、図14(b)は変圧器1及びダクト2の正面図である。
【0005】
この図14に示すように、ダクト2は、変圧器本体1Aを収容する変圧器ケース7の上部に接続されて水平方向(変圧器1が設置される面8に沿った方向)に延びる横梁部10と、この横梁部10の端部から下方に向かって垂直に延びる縦梁部11と、を有している。このようなダクト2は、正面側から見た形状が略L字形状になっている。ダクト2の縦梁部11は、下端がダクト設置台(基礎)12上に固定されている。そして、このようなダクト2の内部空間には、三相分の銅帯6が碍子13に支持された状態で収容されている。三相分の銅帯6は、一端が低電圧側巻線14の各相にそれぞれ接続され、他端が低電圧側電力ケーブル4の各相にそれぞれ接続されている。
【0006】
図15及び図16は、既設のスイッチギヤ3Aを新規のスイッチギヤ3Bに交換する場合の従来工法を説明する図である。先ず、図15に示すように、従来工法に第1段階は、変圧器1及び既設のスイッチギヤ3Aが作動している期間(停電前)において、新規のスイッチギヤ3Bが空きスペースに設置されると共に、既設ダクト2Aの側壁17に対向する側で且つ既設ダクト2Aに隣り合う位置に増設ダクト設置台(基礎)15が設けられる(図14参照)。
【0007】
次に、従来工法の第2段階は、変圧器1及び既設のスイッチギヤ3Aへの通電遮断時(停電時)において、既設ダクト2Aの側壁17を張出ダクト2Aaが形成された増設ダクト接続用側壁18に取り替える(図15参照)。次ぎに、図16に示すように、増設ダクト設置台15上に増設ダクト2Bを乗せ、増設ダクト2Bの横梁部21の開口部22を張出ダクト2Aaの開口部20に合わせ、銅帯6を既設ダクト2A側(張出ダクト2Aa側)から増設ダクト2Bの横梁部21内に延ばし、増設ダクト2Bの横梁部21の開口部22側に位置する増設側フランジ23と張出ダクト2Aaの開口部20側に位置する既設側フランジ24とをパッキン25を挟んで複数のボルト・ナット(図示せず)で固定するようになっている。そして、既設ダクト2A側から増設ダクト2Bの横梁部21内に延ばした銅帯6は、増設ダクト2Bの横梁部21の上面側に形成された開閉窓26から差し入れられた作業者の手によって増設ダクト2B内に予め設置された銅帯6に接続される。また、新規のスイッチギヤ3Bから増設ダクト2Bの縦梁部16まで敷設された低電圧側電力ケーブル4は、地中5から引き出された部分の先端に端末処理が施される。その後、新規のスイッチギヤ3Bに関する諸試験が行われた後、端末処理が施された低電圧側電力ケーブルの先端が増設ダクト2Bの縦梁部16内に収容された銅帯6の下端に接続される。これにより、新規のスイッチギヤ3Bは、低電圧側電力ケーブル4及び銅帯6を介して変圧器1に電気的に接続される。なお、既設のスイッチギヤ3Aと変圧器1とに接続された低電圧側電力ケーブル4は、変圧器1への通電遮断後(停電後)に撤去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-207690号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図15及び図16に示した従来工法は、増設ダクト2Bの縦梁部16内の銅帯6に接続する低電圧側電力ケーブル4の各相毎の長さが不適切であると、低電圧側電力ケーブル4の張り替え(敷設作業のやり直し)、長さの調整、及び端末処理のやり直し等が必要になり、停電当日における既設のスイッチギヤ3Aから新規のスイッチギヤ3Bへの交換作業に時間を要し、停電時間が長くなるという問題を生じる。
【0010】
そこで、本発明は、スイッチギヤの交換作業時における停電時間を短くすることが可能なスイッチギヤの交換方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、既設のスイッチギヤ3Aを新規のスイッチギヤ3Bに交換する場合に、変圧器1を収容する変圧器ケース7に取り付けられた既設ダクト2Aに増設ダクト2Bが接続され、前記既設ダクト2A側の第1銅帯6Aと接続される第2銅帯6Bが前記増設ダクト2Bの内部側に配置され、前記第2銅帯6Bに前記新規のスイッチギヤ3Bから延びる低電圧側電力ケーブル4の先端が接続されるスイッチギヤの交換方法に関するものである。
本発明において、スイッチギヤの交換方法は、停電前の作業工程と停電時の作業工程とに大別される。
前記停電前の作業工程は、予め前記増設ダクト2Bが下側部分2Baと上側部分2Bbとに分割された状態で形成される増設ダクト製造工程と、前記増設ダクト2Bを設置する増設ダクト設置台(基礎)15が前記既設ダクト2Aの側壁17に対向する側で且つ前記既設ダクト2Aに隣り合う位置に設けられる基礎形成工程と、前記基礎形成工程終了後に前記増設ダクト2Bの前記下側部分2Baが前記増設ダクト設置台(基礎)15上に配置される下側部分配置工程と、前記新規のスイッチギヤ3Bから前記増設ダクト設置台(基礎)15上の前記増設ダクト2Bの前記下側部分2Baまで低電圧側電力ケーブル4が敷設される電力ケーブル敷設工程と、前記電力ケーブル敷設工程終了後の前記低電圧側電力ケーブル4の先端に端末処理が施される電力ケーブル端末処理工程と、前記電力ケーブル端末処理工程終了後に前記増設ダクト2Bの前記下側部分2Ba内の第2銅帯6Bに前記低電圧側電力ケーブル4の先端が接続される電力ケーブル接続工程と、を有している。
前記停電時の作業工程は、前記既設ダクト2Aの前記側壁17を張出ダクト2Aaが形成された増設ダクト接続用側壁18に取り替える張出ダクト設置工程と、前記増設ダクト2Bの前記下側部分2Baに前記増設ダクト2Bの前記上側部分2Bbが乗せられ、前記張出ダクト設置工程終了後の前記張出ダクト2Aaと前記増設ダクト2Bの前記下側ダクト2Baとに前記増設ダクト2Bの前記上側部分2Bbが接続されるダクト接続工程と、を有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るスイッチギヤの交換方法によれば、変圧器の停電前に、新規のスイッチギヤから延びる低電圧側電力ケーブルの先端が端末処理を施された後、その端末処理済みの低電圧側電力ケーブルの先端が増設ダクトの下側部分内の第2銅帯に接続されるため、変圧器の停電時における低電圧側電力ケーブルの張り替え、長さの調整、及び端末処理のやり直しが不要になり、停電当日における既設のスイッチギヤから新規のスイッチギヤへの交換作業の時間短縮が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係るスイッチギヤの交換方法に関連するダクトの構造を説明する図であり、図1(a)は増設ダクトの正面図、図1(b)は既設ダクト、張出ダクト、及び増設ダクトの側面図である。
図2図1(b)のB1部を拡大して示す図であり、張出ダクトと増設ダクトとの接続部を一部破断して示す図である。
図3】接続ボルト機構を覆うカバーの図であり、図3(a)はカバーの正面図、図3(b)はカバーの右側面図、図3(c)はカバーの左側面図、図3(d)はカバーの下面図、図3(e)はカバーの上面図、図3(f)は図3(a)のA1-A1線に沿って切断して示す図である。
図4】増設ダクトを示す(銅帯及び碍子を省略して示す)図であり、図4(a)は増設ダクトの側面図、図4(b)は増設ダクトの正面図、図4(c)は増設ダクトの平面図である。
図5図5(a)は一対の接続用ステイの使用状態を示す平面図(図4(a)のC1方向に沿って見た図)、図5(b-1)は第1ステイの平面図、図5(b-2)は第1ステイの正面図図5(b-3)は第1ステイの側面図、図5(c-1)は第1ステイと第2ステイとに跨って固定される第3ステイの平面図、図5(c-2)は第3ステイの左側面図、図5(c-3)は第3ステイの背面図である。
図6】既設ダクト及びこの既設ダクトに取り付けた張出ダクトを示す(銅帯及び碍子を省略して示す)図であり、図6(a)は既設ダクト及び張出ダクトの正面図、図6(b)は既設ダクト及び張出ダクトの側面図、図6(c)は既設ダクト及び張出ダクトの平面図である。
図7図7(a)は蓋及び位置決め治具が取り付けられた縦梁部の下側部分の正面図、図7(b)は蓋及び位置決め治具が取り付けられた縦梁部の下側部分の側面図、図7(c)は蓋及び位置決め治具が取り付けられた縦梁部の下側部分の平面図である。
図8図8(a)は位置決め治具のみが取り付けられた縦梁部の下側部分の正面図、図8(b)は位置決め治具のみが取り付けられた縦梁部の下側部分の側面図、図8(c)は位置決め治具のみが取り付けられた縦梁部の下側部分の平面図である。
図9図9(a)は蓋組立体(蓋に位置決め治具を取り付けた物)の正面図、図9(b)は蓋組立体の側面図、図9(c)は蓋組立体の平面図、図9(d)は蓋組立体の裏面図である。
図10図10(a)は蓋の一部を切り欠いて示す蓋の正面図、図10(b)は蓋の一部を切り欠いて示す蓋の側面図、図10(c)は蓋の平面図、図10(d)は蓋の裏面図である。
図11図11(a)は位置決め治具の正面図、図11(b)は位置決め治具の側面図、図11(c)は位置決め治具の平面図、図11(d)は位置決め治具の裏面図である。
図12】本発明の実施例に係るスイッチギヤ(既設のスイッチギヤと新規のスイッチギヤ)の交換方法を説明する図である。
図13】スイッチギヤ、ダクト、及び変圧器との関係を簡略化して示す図である。
図14】変圧器本体に取り付けられたダクトを示す図であり、図13(a)はダクトの側面図であり、図13(b)はダクトの正面図である。
図15】既設のスイッチギヤを新規のスイッチギヤに交換する場合の従来工法(第1段階)を説明する図である。
図16】既設のスイッチギヤを新規のスイッチギヤに交換する場合の従来工法(第2段階)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳述する。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係るスイッチギヤ3の交換方法に関連するダクト2の構造を示す図である。なお、図1(a)はダクト2を構成する既設ダクト2A及び増設ダクト2Bの側面図であり、図1(b)は増設ダクト2Bの正面図である。
【0016】
(ダクトの概略構成)
この図1に示すダクト2は、既設ダクト2Aの構造が図15に示した既設ダクト2Aと同様であり、増設ダクト2Bが下側部分2Baと上側部分2Bbとに分割された構造になっている点において、図15に示した増設ダクト2Bと相違する。
【0017】
(既設ダクト)
図1において、既設ダクト2Aは、増設ダクト2Bに対向する側壁17を取り外し、その側壁17に代えて増設ダクト接続用側壁18を取り付けてある(図15参照)。この増設ダクト接続用側壁18は、増設ダクト2B側へ向かって延びる(図1(b)の左方向へ向かって延びる)張出ダクト2Aaを既設ダクト2Aの横梁部10と同一高さ位置に有している(図6参照)。また、既設ダクト2Aは、ダクト設置台(基礎)12上から起立する縦梁部11と、縦梁部11の上端部分から変圧器1へ向かって延びる横梁部10と、を有している。そして、横梁部10内の空間には、三相分の第1銅帯6が碍子13に支持された状態で収容されている。この三相分の第1銅帯6は、一端が変圧器1の低電圧側巻線14の各相にそれぞれ電気的に接続され、他端が増設ダクト2Bの横梁部21内の三相分の第2銅帯6のそれぞれに接続されている。既設のスイッチギヤから延びる第1の低電圧側電力ケーブル(三相分のケーブル)は、その先端が既設ダクト2Aの縦梁部11内の三相分の第1銅帯6の下端にそれぞれ接続されているが、停電作業中に既設ダクト2A内から撤去されか、又は新規のスイッチギヤへの切換作業終了後に既設ダクト2A内から撤去される。なお、既設ダクト2Aの縦梁部11の第1銅帯6は、停電作業時に変圧器1(変圧器本体1A)から切り離される。したがって、既設のスイッチギヤ及び第1の低電圧側電力ケーブル4の撤去作業は、新規のスイッチギヤへの切換作業終了後における変圧器1への通電後でも可能になる。
【0018】
(張出ダクト)
図1図2、及び図6に示すように、張出ダクト2Aaは、既設ダクト2Aの横梁部10を増設ダクト2B側へ延長したような形状になっており、増設ダクト2B側へ向かって開口する第1開口端部28を有すると共に、この第1開口端部28の外縁に沿って張り出した第1フランジ部30を有している。この第1フランジ部30は、張出ダクト2Aaの第1開口端部28の外縁に沿って額縁状に形成され、四隅にボルト穴31がそれぞれ形成されている。また、この張出ダクト2Aaは、既設ダクト2Aの横梁部10と連通する矩形形状の空間32を有し、内部に既設ダクト2Aの横梁部10側から延びる銅帯6が収容されている。
【0019】
(増設ダクト)
図1及び図4に示すように、増設ダクト2Bは、増設ダクト接続用側壁18と並立するように増設ダクト設置台(基礎)15上から起立する縦梁部16と、この縦梁部16の上端部分から張出ダクト2Aaの張出方向と逆方向に延びる横梁部21と、を有している。
【0020】
(増設ダクトの横梁部)
増設ダクト2Bの横梁部21は、張出ダクト2Aaと同一高さ位置に配置されるように形成されており、張出ダクト2Aaの第1開口端部28に対向して開口する第2開口端部33を有すると共に、この第2開口端部33の外縁に沿って張り出した第2フランジ部34を有している。この第2フランジ部34は、横梁部21の第2開口端部33の外縁に沿って額縁状に形成され(第1フランジ部30と同様の形状に形成され)、四隅にボルト穴31がそれぞれ形成されている(第1フランジ部30のボルト穴31に対向する位置に形成されている)。また、この増設ダクト2Bの横梁部21は、張出ダクト2Aaと連通する矩形形状の空間35を有し、内部に張出ダクト2Aa側の第1銅帯6に接続される第2銅帯6が収容されている。
【0021】
(増設ダクトの縦梁部)
また、図1及び図4に示すように、増設ダクト2Bの縦梁部16は、増設ダクト設置台15上に固定される下側部分2Baと、この下側部分2Baの上に固定(複数のボルトで締結固定)される上側部分2Bbとを有している。そして、縦梁部16の上側部分2Bbの上端側には、前述の横梁部21が一体に形成されている。
【0022】
図7乃至図11は、増設ダクト2Bの縦梁部16の下側部分2Baの構成と、縦梁部16の下側部分2Baに取り付けられた第2銅帯下端部分6Baと新規のスイッチギヤ3Bから延びる低電圧側電力ケーブル4との接続方法と、を説明するための図である。なお、図7(a)は蓋70及び位置決め治具71が取り付けられた縦梁部16の下側部分2Baの正面図であり、図7(b)は蓋70及び位置決め治具71が取り付けられた縦梁部16の下側部分2Baの側面図であり、図7(c)は蓋70及び位置決め治具71が取り付けられた縦梁部16の下側部分2Baの平面図である。また、図8(a)は位置決め治具71のみが取り付けられた縦梁部16の下側部分2Baの正面図であり、図8(b)は位置決め治具71のみが取り付けられた縦梁部16の下側部分2Baの側面図であり、図8(c)は位置決め治具71のみが取り付けられた縦梁部16の下側部分2Baの平面図である。また、図9(a)は蓋組立体72(蓋70に位置決め治具71を取り付けた物)の正面図であり、図9(b)は蓋組立体72の側面図であり、図9(c)は蓋組立体72の平面図であり、図9(d)は蓋組立体72の裏面図である。また、図10(a)は蓋70の一部を切り欠いて示す蓋70の正面図であり、図10(b)は蓋70の一部を切り欠いて示す蓋70の側面図であり、図10(c)は蓋70の平面図であり、図10(d)は蓋70の裏面図である。また、図11(a)は位置決め治具71の正面図であり、図11(b)は位置決め治具71の側面図であり、図11(c)は位置決め治具71の平面図であり、図11(d)は位置決め治具71の裏面図である。
【0023】
増設ダクト2Bの縦梁部16の下側部分2Baは、変圧器1及び既設のスイッチギヤ3Aの作動時に増設ダクト設置台15上に予め置かれる(停電前で、且つ、増設ダクト2Bの縦梁部16の上側部分2Bbを乗せる前に置かれる)。この段階では、縦梁部16の下側部分2Baは、増設ダクト設置台15上を移動させることができるようになっており、図示しない据え付けボルトで増設ダクト設置台15上に固定されていない。
【0024】
また、縦梁部16の下側部分2Baは、縦梁部16の上側部分2Bbが乗せられる上部に、上方(増設ダクト設置台15における増設ダクト2Bの設置面の法線方向)に向かって開口する上部開口部73が形成されている。そして、縦梁部16の上側部分2Bbから縦梁部16の下側部分2Baの内部まで延びる第2銅帯6Bは、縦梁部16の下側部分2Baの上部開口部73を通過して縦梁部16の下側部分2Baの内部まで延びる部分(下側部分2Baに配置される部分)を第2銅帯下端部分6Baとすると、この第2銅帯下端部分6Baが第2銅帯6Bの他の部分6Bbから分離され、この分離された第2銅帯下端部分6Baが蓋70に取り付けられた位置決め治具71で位置決めされて(第2銅帯下端部分6Baの下端位置が第2銅帯6Bの下端位置に一致するように位置決めされ)、碍子13によって縦梁部16の下側部分2Baの内部に固定されている。
【0025】
(縦梁部の下側部分と蓋及び位置決め治具との関係)
蓋70は、縦梁部16の上側部分2Bbが縦梁部16の下側部分2Baに乗せられる迄の間、縦梁部16の下側部分2Baの上部開口部73を塞ぎ、縦梁部16の下側部分2Baの上部開口部73から縦梁部16の下側部分2Baの内部に小動物、雨、水滴、埃等が侵入するのを防止している。そして、この蓋70の内側には、位置決め治具71が取り付けられている。この位置決め治具71は、上面側に形成された固定用突起74が蓋70の内面から延びる支持突起75にボルト・ナット76で固定されており、縦梁部16の上部開口部73の内周面に僅かな隙間をもって嵌り合うようになっている。また、位置決め治具71は、3相の各第2銅帯下端部分6Baを貫通させる位置決め穴77が3箇所形成されており、各第2銅帯下端部分6Baを縦梁部16の下側部分2Baの内部に正確に位置決めできるようになっている。また、位置決め治具71は、各位置決め穴77に隣接して形成された一対の固定用突起74,74が第2銅帯下端部分6Baの上部が位置決め穴77内を円滑に移動できるようにガイドし、一対の固定用突起74,74と位置決め穴77とによって第2銅帯下端部分6Baの姿勢を正しい位置に支持できるようになっている。そして、この位置決め治具71の位置決め穴77に挿入された第2銅帯下端部分6Baは、上端が蓋70の内面70aに突き当てられることにより、上端位置が位置決めされると共に、下端位置が位置決めされ、新規なスイッチギヤ3Bから増設ダクト2B内に延びる第2の低電圧側電力ケーブル4の先端の取付位置が正確に位置決めされる。このようにして、蓋70及び蓋70に取り付けられた位置決め治具71で位置決めされた第2銅帯下端部分6Baは、碍子13によって縦梁部16の下側部分2Baの内部に正確に固定される。
【0026】
新規のスイッチギヤ3Bから増設ダクト2Bへ延びる第2の低電圧側電力ケーブル4は、既設のスイッチギヤ3A及び変圧器1の作動時(停電前)に、長さが調節され、先端が端末処理された後、諸試験(所定の電気的テスト、スイッチギヤ3Bの動作試験等)が行われ、上記したように第2銅帯下端部分6Baが増設ダクト2Bの下側部分2Baの内部に正確に固定された後に、端末処理された先端が第2銅帯下端部分6Baの下端に設置された接続端子78,78に圧着固定(かしめ固定)される。このように、新規のスイッチギヤ3Bから延びる第2の低電圧側電力ケーブル4は、既設のスイッチギヤ3A及び変圧器1の作動時(停電前)に増設ダクト2Bの下側部分2Ba内の第2銅帯下端部分6Baに接続される。なお、第2の低電圧側電力ケーブル4は、新規のスイッチギヤ3Bから増設ダクト2Bの近傍まで地中に埋設され、増設ダクト2Bの近傍で地中から地上に引き出された部分(先端部分)が増設ダクト2Bの内部空間に収容される。
【0027】
蓋70及び位置決め治具71は、変圧器1の停電時で且つ上側部分2Bbを下側部分2Baに乗せる前に、下側部分2Baの上部開口部73から取り除かれ、第2銅帯下端部分6Baから分離される。その後、増設ダクト2Bの縦梁部16の下側部分2Baの上端に張り出すように設けられたフランジ部80には、増設ダクト2Bの縦梁部16の上側部分2Bbの下端に張り出すように設けられたフランジ部81が乗せられる。なお、この段階では、縦梁部16の下側部分2Baのフランジ部80と縦梁部16の上側部分2Bbのフランジ部81とがボルト・ナット(図示せず)で固定されておらず、縦梁部16の上側部分2Bbを縦梁部16の下側部分2Baに対してスライド移動させることができるようになっている。また、蓋組立帯72(蓋70及び位置決め治具71)は、蓋70の上面に一対の取っ手82,82が設けられているため、取っ手82,82を把持して持ち上げることにより、縦梁部16の下側部分2Baの上部開口部73から容易に取り外すことができる。
【0028】
(張出ダクトと増設ダクトとの接続)
図1及び図2に示すように、張出ダクト2Aaの第1フランジ部30と増設ダクト2Bの第2フランジ部34との間には、張出ダクト2Aaと増設ダクト2Bとの間隔のバラツキ(例えば、既設ダクト2Aに対する増設ダクト2Bの設置誤差、張出ダクト2Aaに対する増設ダクト2Bの設置誤差等)を吸収するための隙間36が設けられている。そして、張出ダクト2Aaの第1フランジ部30と増設ダクト2Bの第2フランジ部34は、隙間36の大小に応じて長さを調節できる複数の接続ボルト機構37で固定されている。第1フランジ部30、第2フランジ部34、隙間36、及び複数の接続ボルト機構37は、カバー38によって覆われている。
【0029】
(接続ボルト機構)
図1図2図4、及び図6に示すように、接続ボルト機構37は、第1フランジ部30及び第2フランジ部34の四隅にそれぞれ配置されている。この接続ボルト機構37は、第1フランジ部30のボルト穴31と第2フランジ部34のボルト穴31に軸部40aが挿入される接続ボルト40と、接続ボルト40の軸部40aに螺合され、接続ボルト40の頭部40bとの間に第1フランジ部30と第2フランジ部34とを挟む接続ナット41と、第2フランジ部34を接続ボルト40の頭部40bとの間に第1防振ゴム42及び第2防振ゴム43を介して挟む第1止めナット44と、第1フランジ部30を接続ナット41との間に挟む第2止めナット45、とを有している。また、接続ボルト機構37は、接続ボルト40の頭部40bと第1防振ゴム42との間にワッシャ46が挟み込まれており、第1止めナット44と第2防振ゴム43との間にワッシャ46が挟み込まれているため、第1防振ゴム42が接続ボルト40の頭部40bによって傷付けられるのを防止でき、第2防振ゴム43が第1止めナット44によって傷付けられるのを防止できるようになっている。そして、第1防振ゴム42は、例えば合成ゴム(クロロプレンゴム等)で円筒状に形成され、接続ボルト40の軸部40aに嵌合された状態で、接続ボルト40の頭部40bと第2フランジ部34との間に挟持されている。また、第2防振ゴム43は、第1防振ゴム42と同一の材料で第1防振ゴム42と同一形状に形成されて、第1止めナット44と第2フランジ部34との間に挟持されている。このような接続ボルト機構37は、張出ダクト2Aaの第1フランジ部30と増設ダクト2Bの第2フランジ部34との隙間36の大小に応じて長さを調節し、第1フランジ部30(張出ダクト2Aa)と第2フランジ部34(増設ダクト2B)とを確実に固定すると共に、変圧器ケース7及び既設ダクト2A(張出ダクト2Aa)側の振動が増設ダクト2B側に伝達されるのを抑えることができる。なお、接続ボルト機構37は、接続ボルト40の向きを上記実施例と逆にし、接続ボルト40の頭部40bと第1フランジ部30との間に第1防振ゴム42を配置し、第1フランジ部30と第2止めナット45との間に第2防振ゴム43を配置するように構成してもよい。また、第1フランジ部30のボルト穴31と第2フランジ部34のボルト穴31は、第1フランジ部30のボルト穴31と第2フランジ部34のボルト穴31との位置ズレを吸収できるように、接続ボルト40の軸部40aよりも大きく形成されている。
【0030】
(カバー)
図1図2、及び図3に示すように、カバー38は、断面がコ字形状で且つ正面形状がL字形状の第1枠体47と第2枠体48を正面形状が矩形形状となるように組み合わされ、張出ダクト2Aaの第1フランジ部30、隙間36、増設ダクト2Bの第2フランジ部34、複数の接続ボルト機構37を覆うように張出ダクト2Aa及び増設ダクト2Bに跨って取り付けられている。第2枠体48は、第1枠体47よりも幅寸法が小さく、一端側と他端側が第1枠体47の空間内に嵌め込まれ、その一端側と他端側が第1枠体47にねじ止め固定されている。そして、カバー38は、張出ダクト2Aa及び増設ダクト2Bの外表面に複数のねじで固定されている。このようなカバー38は、張出ダクト2Aaの第1フランジ部30と増設ダクト2Bの第2フランジ部34との隙間36から小動物、雨水、埃等が張出ダクト2Aa、既設ダクト2A、及び増設ダクト2B内に侵入するのを防止することができる。
【0031】
(接続用ステイ)
図1図4乃至図6に示すように、増設ダクト2Bの縦梁部16の側壁50(増設ダクト接続用側壁18に対向する側壁50)と増設ダクト接続用側壁18とは、増設ダクト2Bの縦梁部16の側壁50における起立方向を高さ方向とし、この高さ方向に直交し且つ側壁50に沿った方向を幅方向とし、側壁50に直交する方向(張出ダクト2Aaの張出方向に沿った方向)を接続方向とすると、幅方向に沿って且つ背中合わせで一対配置された接続用ステイ51で固定されている。この接続用ステイ51は、増設ダクト2Bの縦梁部16の側壁50に固定された第1ステイ52と、増設ダクト接続用側壁18に固定された第2ステイ53と、第1ステイ52と第2ステイ53とを接続する第3ステイ54と、を有している。そして、第3ステイ54の一端部は、第1ステイ52に第1のボルト55及び第1のナット56で締め付け固定されている。また、第3ステイ54の他端部は、第2ステイ53に第2のボルト57及び第2のナット58で締め付け固定されている。
【0032】
第1ステイ52は、アングル状の部材であり、一辺52aが増設ダクト2Bの縦梁部16の側壁50に直交し且つ幅方向に沿って延び、他辺52bが一辺52aに直交し且つ高さ方向の下方(図4(a)の下方)へ向かって延びている。そして、第1ステイ52の他辺52bには、幅方向に沿った長穴状の第1ボルト挿通穴60が幅方向に沿って一対形成されている。これら一対の第1ボルト挿通穴60,60には、第1のボルト55の軸部が挿通される。
【0033】
第2ステイ53は、アングル状の部材であり、増設ダクト接続用側壁18に一端が固定され、増設ダクト接続用側壁18に直交する方向(接続方向)に延びている。この第2ステイ53は、第1ステイ52と同一高さ位置に設置され、一辺53aが幅方向に沿って位置し、他辺53bが高さ方向に沿って位置している。そして、第2ステイ53の他辺53bには、高さ方向に沿った長穴状の第3ボルト挿通穴61が接続方向に沿って一対形成されている。これら一対の第3ボルト挿通穴61,61には、第2のボルト57の軸部が挿通される。
【0034】
第3ステイ54は、平面視した形状がL字形状であり、幅方向に沿って延びる第1アングル部材62と接続方向に沿って延びる第2アングル部材63とが一体化したような形状になっている。この第3ステイ54は、第1ステイ52及び第2ステイ53と同一高さ位置に設置され、第3ステイ54の一端部側に位置する第1アングル部材62の一辺62aが第1ステイ52の他辺52bに突き当てられ、第2アングル部材63の一辺63aの他端部側が第2ステイ53の他辺53bに突き当てられるようになっている。そして、第1アングル部材62の一辺62aには、高さ方向に沿った長穴状の第2ボルト挿通穴64が幅方向に沿って一対形成されている。これら一対の第2ボルト挿通穴64,64は、第1ステイ52の第1ボルト挿通穴60に対応して位置し、第1ボルト挿通穴60に挿入された第1のボルト55の軸部が挿通されるようになっている。第2アングル部材63の一辺63aの他端部側には、接続方向に沿った長穴状の第4ボルト挿通穴65が接続方向に沿って一対形成されている。これら一対の第4ボルト挿通穴65は、第2ステイ53の第3ボルト挿通穴61に対応して位置し、第3ボルト挿通穴61に挿入された第2のボルト57の軸部が挿通されるようになっている。
【0035】
以上のような構造の接続用ステイ51は、既設ダクト2Aに固定された張出ダクト2Aaと増設ダクト2Bとの接続方向のズレ、幅方向のズレ、高さ方向のズレを許容し、既設ダクト2Aに固定された張出ダクト2Aaと増設ダクト2Bとを確実に固定することができる。
【0036】
なお、本実施例において、増設ダクト2Bと張出ダクト2Aaを接続ボルト機構37を使用して接続し、増設ダクト2Bと既設ダクト2Aとを接続用ステイ51で固定し、増設ダクト2Bの縦梁部16の下側部分2Baと上側部分2Bbとを複数のボルト・ナット(図示せず)で固定し、増設ダクト2Bの縦梁部16の下側部分2Baを増設ダクト設置台15に複数の据え付けボルト(図示せず)で固定する作業は、調整しながら同時並行的に進められる。
【0037】
そして、増設ダクト2Bと張出ダクト2Aaとを接続ボルト機構37で接続し、増設ダクト2Bと既設ダクト2Aとを接続用ステイ51で固定し、増設ダクト2Bの縦梁部16の下側部分2Baと上側部分2Bbとを複数のボルト・ナット(図示せず)で固定し、増設ダクト2Bの縦梁部16の下側部分2Baを増設ダクト設置台15に複数の据え付けボルト(図示せず)で固定する作業が終了した後、既設ダクト2A側の第1銅帯6Aと増設ダクト2B側の第2胴帯6Bは、3次元的に変形できるように複数の銅線で形成された接続銅帯83を介して接続される。また、増設ダクト2Bの下側部分2Ba側の第2銅帯下端部分6Baと増設ダクト2Bの上側部分2Bb側の第2銅帯6B(第2銅帯6Bのうちの第2銅帯下端部分以外の部分6Bb)は、3次元的に変形できるように複数の銅線で形成された接続銅帯83を介して接続される。
【0038】
(スイッチギヤの交換方法)
図12は、本実施例に係るスイッチギヤ(既設のスイッチギヤ3Aと新規のスイッチギヤ3B)の交換方法を説明する図である。この図12に示すように、スイッチギヤの交換方法は、停電前の作業工程と停電時の作業工程とに大別される。
【0039】
停電前の作業工程は、予め増設ダクト2Bが下側部分2Baと上側部分2Bbとに分割された状態で形成される増設ダクト製造工程と、増設ダクト2Bを設置する増設ダクト設置台(基礎)15が既設ダクト2Aの側壁17に対向する側で且つ既設ダクト2Aに隣り合う位置に設けられる基礎形成工程と、この基礎形成工程終了後に増設ダクト2Bの下側部分2Baが増設ダクト設置台(基礎)15上に配置される下側部分配置工程と、新規のスイッチギヤ3Bから増設ダクト設置台(基礎)15上の増設ダクト2Bの下側部分2Baまで低電圧側電力ケーブル4を敷設する電力ケーブル敷設工程と、この電力ケーブル敷設工程終了後の低電圧側電力ケーブル4の先端に端末処理を施す電力ケーブル端末処理工程と、この電力ケーブル端末処理工程終了後に新規のスイッチギヤ3Bに関する諸試験を実施する試験工程と、この試験工程終了後に増設ダクト2Bの下側部分2Ba内の第2銅帯6Bに低電圧側電力ケーブル4の先端が接続される電力ケーブル接続工程と、を有している。なお、この停電前の作業工程において、電力ケーブル端末処理工程終了後であって、電力ケーブル接続工程前には、新規のスイッチギヤに関する諸試験を実施する試験工程を配置してもよい。
【0040】
停電時の作業工程は、既設ダクト2Aの側壁17を張出ダクト2Aaが形成された増設ダクト接続用側壁18に取り替える張出ダクト設置工程と、増設ダクト2Bの下側部分2Baに増設ダクト2Bの上側部分2Bbを乗せ、張出ダクト設置工程終了後の張出ダクト2Aaと増設ダクト2Bの下側ダクト2Baとに増設ダクト2Bの上側部分2Bbを接続するダクト接続工程と、を有している。
【0041】
(実施例の効果)
以上のように、本実施例に係るスイッチギヤの交換方法によれば、変圧器1の停電前に、新規のスイッチギヤ3Bから延びる第2の低電圧側電力ケーブル4の先端が端末処理を施された後、その端末処理済みの低電圧側電力ケーブル4の先端が増設ダクト2Bの下側部分2Ba内の第2銅帯6(第2銅帯下端部分6Ba)に接続されるため、変圧器1の停電時における低電圧側電力ケーブル4の張り替え、長さの調整、及び端末処理のやり直しが不要になり、停電当日における既設のスイッチギヤ3Aから新規のスイッチギヤ3Bへの交換作業の時間短縮が可能になる。
【0042】
(ダクトの接続構造の変形例)
なお、ダクト2の接続構造は、2箇所に配置した一対の接続用ステイ51,51によって増設ダクト接続用側壁18と増設ダクト2Bの側壁50とを固定しているが、これに限定されず、1箇所のみ配置した接続用ステイ51によって増設ダクト接続用側壁18と増設ダクト2Bの側壁50とを固定してもよい。
【0043】
また、ダクト2の接続構造は、上記実施例の説明に限定されず、第3ステイ54の一端部と第1ステイ52のいずれか一方に、高さ方向に沿った長穴状の第1ボルト挿通穴60を形成し、第3ステイ54の一端部と第1ステイ52のいずれか他方に、幅方向に沿った長穴状の第2ボルト挿通穴64を形成し、第3ステイ54の他端部と第2ステイ53のいずれか一方に、接続方向に沿った長穴状の第3ボルト挿通穴64を形成し、第3ステイ54の他端部と第2ステイ53のいずれか他方に、高さ方向に沿った長穴状の第4ボルト挿通穴65を形成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1……変圧器、2A……既設ダクト、2B……増設ダクト、2Ba……下側部分、2Bb……上側部分、3A……既設のスイッチギヤ、3B……新規のスイッチギヤ、4……低電圧側電力ケーブル、6A……第1銅帯、6B……第2銅帯、7……変圧器ケース、15……増設ダクト設置台(基礎)、17……側壁、18……増設ダクト接続用側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16