(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2020196316
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【氏名又は名称】和田 充夫
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 正雄
(72)【発明者】
【氏名】星野 博一
(72)【発明者】
【氏名】的場 正人
(72)【発明者】
【氏名】小野 真広
(72)【発明者】
【氏名】藤原 泰治郎
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-44375(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0050827(US,A1)
【文献】特開2007-103046(JP,A)
【文献】特開2011-249217(JP,A)
【文献】特開2013-4282(JP,A)
【文献】特開2007-179924(JP,A)
【文献】実開平3-26065(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ側接続部材を有するプラグと、
第1方向に延びる中心線に対する周方向における前記プラグを取り外し可能な第1位置および前記プラグを取り外し不可能な第2位置の間を前記プラグ側接続部材に対して回転可能な状態で前記第1方向から解除可能に接続されているソケット側接続部材を有するソケットと
を備え、
前記プラグ側接続部材が、
前記第1方向に沿って延びる本体部と、
前記第1方向に交差する第2方向において前記本体部よりも前記中心線から離れた位置で前記本体部に固定され、前記ソケットおよび前記プラグが接続されかつ前記ソケット側接続部材が前記第2位置に位置している場合に前記第1方向における前記ソケットに対する前記プラグの移動を規制する第1規制部材と、
前記第2方向において前記本体部よりも前記中心線から離れて配置されていると共に、前記第1方向において前記第1規制部材よりも前記ソケット側接続部材から離れかつ前記第1規制部材に近い第3位置および前記第3位置よりも前記第1規制部材から離れた第4位置の間を移動可能に配置されている第2規制部材と、
前記第1方向において前記第2規制部材よりも前記ソケット側接続部材から離れて配置され、前記第2規制部材を前記第4位置から前記第3位置に向かって付勢する付勢部材と
を有し、
前記第2規制部材は、
前記ソケット側接続部材が前記第2位置に位置している場合において、前記第3位置に位置している場合に前記ソケット側接続部材の前記第2位置から前記第1位置への回転を規制し、前記第4位置に位置している場合に前記ソケット側接続部材の前記プラグ側接続部材に対する回転の規制を解除するように構成されている、コネクタ。
【請求項2】
前記プラグ側接続部材が、
前記第2方向において前記第2規制部材よりも前記中心線から離れて配置され、前記第1方向に沿って延びるガイド溝が設けられた被覆部をさらに有し、
前記第2規制部材が、
前記周方向に延びる第2ベース部と、
前記第2ベース部から前記第2方向に延びて前記ガイド溝に収容されるガイド突起と
を有する、請求項1のコネクタ。
【請求項3】
前記ガイド突起の前記第2方向の外端が、前記被覆部の前記第2方向の外端と略同一面上に配置されている、請求項2のコネクタ。
【請求項4】
前記第1規制部材が、
前記周方向に延びる第1ベース部と、
前記第1ベース部から前記第1方向に沿って前記ソケット側接続部材に向かって延びると共に、前記第1方向における前記ソケット側接続部材に近い方の端に設けられ前記第2方向でかつ前記中心線から離れる方向に延びる規制突起を有する第1規制脚部と
を有し、
前記第2規制部材が、
前記第2ベース部から前記第1規制脚部に沿って前記ソケット側接続部材に向かって延びると共に、前記第1方向の前記ソケット側接続部材に近い方の端が前記第1方向において前記規制突起よりも前記ソケット側接続部材から遠い位置に配置されている第2規制脚部を有し、
前記ソケット側接続部材には、
前記第1方向における前記プラグ側接続部材に近い方の端面に開口部を有しかつ前記プラグ側接続部材の前記第1方向における前記ソケット側接続部材に近い方の端部を収容する凹部が設けられ、
前記凹部を構成する前記ソケット側接続部材の前記第2方向の内面には、
前記開口部から前記第1方向に沿って延びると共に、前記規制突起および前記第2規制脚部を収容する解除溝と、
前記周方向に延びて、前記周方向の一端が前記解除溝の前記第1方向における前記開口部から遠い方の端に接続されていると共に、前記規制突起を収容する第1規制溝と、
前記開口部の縁における前記第1規制溝の前記周方向の他端と前記第1方向において重なる領域に前記解除溝および前記第1規制溝とは独立して設けられ、前記第2規制脚部を収容する第2規制溝と、
前記開口部の縁における前記周方向の前記解除溝および前記第2規制溝の間に設けられ、前記第2規制脚部が前記領域に位置している場合に前記周方向でかつ前記第2規制溝から前記解除溝に向かう方向への前記第2規制脚部の移動を規制する規制壁部と
が設けられ、
前記ソケット側接続部材が前記第1位置に位置している場合、前記第2規制脚部が前記解除溝に位置し、前記ソケット側接続部材が前記第2位置に位置しかつ前記第2規制部材が前記第3位置に位置している場合、前記第2規制脚部の前記第1方向における前記第2ベース部から遠い方の端部が前記領域に位置する、請求項2または3のコネクタ。
【請求項5】
前記第2規制脚部が、
前記解除溝に位置している場合に前記規制壁部に対向する傾斜面を有し、
前記傾斜面が、
前記第1方向において前記第2ベース部から離れるに従って前記周方向において前記規制壁部から離れる方向に傾斜している、請求項4のコネクタ。
【請求項6】
前記規制壁部が、
前記第2規制脚部が前記解除溝に位置している場合に前記第2規制脚部に対向する傾斜面を有し、
前記傾斜面が、
前記第1方向において前記開口部に接近するに従って前記周方向において前記解除溝から離れる方向に傾斜している、請求項4のコネクタ。
【請求項7】
前記第2規制部材が、複数の前記第2規制脚部を有し、
前記周方向に隣接する前記第2規制脚部の間に前記ガイド突起が配置されている、請求項4から6のいずれか1つのコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ねじ接続式のコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ねじ接続式のコネクタでは、構造上、ねじの緩みを避けることが難しく、ねじの緩みにより、雄雌ハウジング間の接続信頼性が低下する場合がある。
【0005】
本開示は、プラグおよびソケット間の接続信頼性の高いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例のコネクタは、
プラグ側接続部材を有するプラグと、
第1方向に延びる中心線に対する周方向における前記プラグを取り外し可能な第1位置および前記プラグを取り外し不可能な第2位置の間を前記プラグ側接続部材に対して回転可能な状態で前記第1方向から解除可能に接続されているソケット側接続部材を有するソケットと
を備え、
前記プラグ側接続部材が、
前記第1方向に沿って延びる本体部と、
前記第1方向に交差する第2方向において前記本体部よりも前記中心線から離れた位置で前記本体部に固定され、前記ソケットおよび前記プラグが接続されかつ前記ソケット側接続部材が前記第2位置に位置している場合に前記第1方向における前記ソケットに対する前記プラグの移動を規制する第1規制部材と、
前記第2方向において前記本体部よりも前記中心線から離れて配置されていると共に、前記第1方向において前記第1規制部材よりも前記ソケット側接続部材から離れかつ前記第1規制部材に近い第3位置および前記第3位置よりも前記第1規制部材から離れた第4位置の間を移動可能に配置されている第2規制部材と、
前記第1方向において前記第2規制部材よりも前記ソケット側接続部材から離れて配置され、前記第2規制部材を前記第4位置から前記第3位置に向かって付勢する付勢部材と
を有し、
前記第2規制部材は、
前記ソケット側接続部材が前記第2位置に位置している場合において、前記第3位置に位置している場合に前記ソケット側接続部材の前記第2位置から前記第1位置への回転を規制し、前記第4位置に位置している場合に前記ソケット側接続部材の前記プラグ側接続部材に対する回転の規制を解除するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
前記コネクタによれば、ソケット側接続部材が第2位置に位置している場合において、第1規制部材が第1方向におけるソケットおよびプラグ間の移動を規制し、第2規制部材が第3位置に位置している場合にソケット側接続部材のプラグ側接続部材に対する第2位置から第1位置への回転を規制する。このような構成により、ソケットおよびプラグ間の接続信頼性の高いコネクタを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態のコネクタを示す斜視図。
【
図3】
図1のコネクタのソケットの一部を示す斜視図。
【
図4】
図1のコネクタのソケット側接続部材の
図3のIV-IV線に沿った断面図。
【
図5】
図1のコネクタのプラグの一部を示す斜視図。
【
図6】
図1のコネクタの被覆部を省略した状態のプラグの一部を示す斜視図。
【
図7】
図1のコネクタの第1の変形例を示す断面図。
【
図8】
図1のコネクタの第2の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一例を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0010】
本開示の一実施形態のコネクタ1は、
図1に示すように、ソケット10と、ソケット10に取り外し可能に接続されたプラグ20とを備えている。ソケット10およびプラグ20の各々にはケーブル2が接続されている。
図2に示すように、ソケット10は、ソケット側接続部材30を有し、プラグ20は、プラグ側接続部材40を有している。ソケット側接続部材30は、第1方向Xに延びるコネクタ1の中心線CLに対する周方向における第1位置P1(
図4参照)および第2位置P2の間をプラグ側接続部材40に対して回転可能な状態で、第1方向Xから解除可能に接続されている。ソケット側接続部材30には、一例として、雌ねじ11が設けられている。プラグ側接続部材40には、一例として、雌ねじ11に第1方向(例えば、X方向)から解除可能に締結されている雄ねじ21が設けられている。雌ねじ11および雄ねじ21は、省略することもできる。
【0011】
ソケット10には、ケーブル2と電気的に接続されたソケット端子(図示せず)が収容された収容部12(
図3参照)が設けられている。プラグ20には、ケーブル2と電気的に接続されたプラグ端子22が設けられ、ソケット10の収容部に収容されている。これにより、ソケット10とプラグ20とが電気的に接続されている。ソケット10およびプラグ20が接続されている状態において、ソケット側接続部材30およびプラグ側接続部材40間は、ソケット端子およびプラグ端子への液体あるいは塵埃などの接触を防止可能に封止されている。
【0012】
ソケット10は、
図3に示すように、凹部31が設けられたソケット側接続部材30を有している。ソケット側接続部材30は、一例として、略円筒形状を有している。凹部31は、一例として、ソケット側接続部材30の第1方向Xにおけるプラグ側接続部材40に近い方の端面に略円形状の開口部32を有し、プラグ側接続部材40の第1方向Xにおけるソケット側接続部材30に近い方の端部を収容する(
図2参照)。凹部31の略中央には、第1方向Xに延びる円柱状の突出部33が設けられている。ソケット側接続部材30の中心線CLに対する径方向(以下、単に径方向という。)における突出部33の外周面と凹部31の内面との間には、隙間34が設けられている。ソケット側接続部材30の径方向は、第2方向の一例であり、例えば、
図2にY方向で示している。突出部33のプラグ20に対向する端面には、複数の収容部12が設けられている。
【0013】
図4に示すように、凹部31を構成するソケット側接続部材30のその径方向の内面には、解除溝35と、第1規制溝36と、第2規制溝37と、規制壁部38とが設けられている。
【0014】
解除溝35は、開口部32から第1方向Xに沿って延びていると共に、後述する規制突起53および第2規制脚部62を収容する。解除溝35は、ソケット側接続部材30の外部と第1規制溝36とを接続している。
【0015】
第1規制溝36は、中心線CLに対する周方向(以下、単に周方向という。)に延びていると共に、規制突起53を収容する。第1規制溝36の周方向の一端は、解除溝35の第1方向Xにおける開口部32から遠い方の端に接続されている。周方向における第1規制溝36の両側には、それぞれ雌ねじ11が配置されている。第1規制溝36における第1方向Xの開口部32に近い方の側面には、ガイド面361が設けられている。ガイド面361は、周方向において解除溝35から離れるに従って第1方向において開口部32から離れる方向に傾斜しつつ湾曲しており、規制突起53の周方向の移動をガイドする。ガイド面361は、その周方向の他端に設けられ、第1方向Xにおいて開口部32側に僅かに突出する湾曲面362を有している。
【0016】
第2規制溝37は、周方向に延びていると共に、第2規制脚部62を収容する。第2規制溝37は、開口部32の縁における第1規制溝36の周方向の他端と第1方向Xにおいて重なる領域371に、解除溝35および第1規制溝36とは独立して設けられている。
【0017】
規制壁部38は、開口部32の縁における周方向の解除溝35および第2規制溝37の間に設けられ、第2規制脚部62が領域371に位置している場合に周方向でかつ第2規制溝37から解除溝35に向かう方向への第2規制脚部62の移動を規制する。規制壁部38における第1方向Xの開口部32に近い方の端には、第1方向Xにおいて開口部32から離れるに従ってソケット側接続部材30の径方向において中心線CLに接近する方向に傾斜する傾斜面381が設けられている。
【0018】
図4に示すように、コネクタ1では、ソケット側接続部材30が第1位置P1に位置している場合、第2規制脚部62が解除溝35に位置し、ソケット側接続部材30が第2位置P2に位置しかつ第2規制脚部62が後述する第3位置P3(
図6参照)に位置している場合、第2規制脚部62における第1方向Xのソケット側接続部材30に近い方の端部が領域371に位置している。なお、
図4では、ソケット側接続部材30以外の部材を省略し、ソケット側接続部材30が第1位置P1および第2位置P2の各々に位置している場合における規制突起53および第2規制脚部62を点線で示している。
【0019】
プラグ20は、
図5に示すように、プラグ側接続部材40と、第1規制部材50と、第2規制部材60と、付勢部材70とを有している。
【0020】
プラグ側接続部材40は、第1方向Xに沿って延びると共に、第1方向Xのソケット側接続部材30に近い方の端に周方向に延びる雄ねじ21が設けられている。プラグ側接続部材40は、一例として、略円柱形状の本体部41(本体部の一例)と、本体部41の径方向の外側に設けられた被覆部42とを有している。本体部41における第1方向Xのソケット側接続部材30に近い方の端面には、複数のプラグ端子22が収容された凹部43が設けられている。各プラグ端子22は、凹部43の底面から第1方向Xに突出している。被覆部42は、
図2に示すように、第2方向Yにおいて第2規制部材60よりも中心線CLから離れて配置されている。被覆部42は、一例として、略円筒形状で、本体部41の一部、第1規制部材50の一部および第2規制部材60の一部を覆っている。被覆部42の本体部41を覆う第1部分421に雄ねじ21が設けられている。被覆部42の第1規制部材50の一部および第2規制部材60の一部を覆う第2部分422に、第1方向Xに沿って延びて、後述する第2規制部材60のガイド突起63を収容するガイド溝44が設けられている。
【0021】
第1規制部材50は、
図2に示すように、第2方向Yにおいてプラグ側接続部材40よりも中心線CLから離れた位置でプラグ側接続部材40に固定されている。第1規制部材50は、ソケット10およびプラグ20が接続されかつソケット側接続部材30が第2位置P2に位置している場合にプラグ20およびソケット10間の第1方向Xへの移動を規制する。
【0022】
本実施形態では、第1規制部材50は、
図6に示すように、本体部41の周方向に延びる第1ベース部51と、第1ベース部51から第1方向Xに沿ってソケット側接続部材30に向かって延びる第1規制脚部52とを有している。一例として、第1規制部材50は、第1ベース部51の周方向に間隔を空けて配置された複数の第1規制脚部52を有している。なお、
図6では、プラグ側接続部材40の被覆部42を省略している。
【0023】
第1ベース部51は、一例として、本体部41の外周面に沿って延びる略円環形状を有している。各第1規制脚部52は、略矩形の板状を有し、第1方向Xが長手方向となるように配置されている。各第1規制脚部52の第1方向Xにおけるソケット側接続部材30に近い方の端には、規制突起53が設けられている。規制突起53は、第1ベース部51の径方向(第2方向の一例)でかつ中心線CLから離れる方向に延びている。規制突起53は、その第1方向Xにおけるソケット側接続部材30から遠い方の端に設けられ、第1方向Xでかつソケット側接続部材30から離れる方向に突出する湾曲面531を有している。湾曲面531は、第1規制溝36のガイド面361と共に、プラグ側接続部材40に対してソケット側接続部材30を回転し易くしている。
【0024】
第2規制部材60は、
図2に示すように、第2方向Yにおいてプラグ側接続部材40よりも中心線CLから離れて配置されている。第2規制部材60は、
図6に示すように、第1方向Xにおいて第1規制部材50よりもソケット側接続部材30から離れかつ第1規制部材50に近い第3位置P3および第3位置P3よりも第1規制部材50から離れた第4位置P4の間を移動可能に構成されている。
【0025】
本実施形態では、第2規制部材60は、
図6に示すように、本体部41の周方向に延びる第2ベース部61と、第2ベース部61から第1規制脚部52に沿ってソケット側接続部材30に向かって延びる第2規制脚部62と、第2ベース部61から本体部41の径方向(第2方向の一例)に延びるガイド突起63とを有している。一例として、第2規制部材60は、第2ベース部61の周方向に間隔を空けて配置された複数の第2規制脚部62を有している。
【0026】
第2ベース部61は、一例として、本体部41の外周面に沿って延びる略円環形状を有している。各第2規制脚部62は、略矩形の板状を有し、第1方向Xが長手方向となるように配置されている。各第2規制脚部62の第1方向Xのソケット側接続部材30に近い方の端621は、
図6に示すように、第1方向Xにおいて規制突起53よりもソケット側接続部材30から遠い位置に配置されている。各第2規制脚部62は、
図4に示すように、解除溝35に位置している場合に規制壁部38に対向する傾斜面622を有している。傾斜面622は、第1方向Xにおいて第2ベース部61から離れるに従って、中心線CLに対する周方向において規制壁部38から離れる方向に傾斜している。ガイド突起63は、一例として、
図5に示すように、略L字の板状を有し、第2ベース部61から本体部41の中心線CLに対する径方向に延びる第1部分631と、第1方向でかつソケット10から離れる方向に延びる第2部分632とで構成されている。本実施形態では、第2ベース部61の周方向に隣接する第2規制脚部62の間に、ガイド突起63が配置されている。また、
図5に示すように、ガイド突起63の径方向(第2方向の一例)の外端が、被覆部42の径方向の外端と略同一面上に配置されている。
【0027】
付勢部材70は、一例として、コイルばねで構成されている。付勢部材70は、第1方向Xにおいて第2規制部材60よりもソケット10から離れて配置され、第2規制部材60を第4位置P4から第3位置P3に向かって付勢している。
【0028】
次に、ソケット10およびプラグ20を接続する場合の動作と、ソケット10およびプラグ20の接続を解除する場合の動作とについて説明する。
【0029】
ソケット10およびプラグ20を接続する場合、ソケット側接続部材30の開口部32とプラグ側接続部材40の本体部41の凹部43とを対向させて接近させ、ソケット側接続部材30がプラグ側接続部材40に対して第1位置P1に位置している状態で接続する。
【0030】
ソケット側接続部材30がプラグ側接続部材40に対して接続されると、ソケット側接続部材30を周方向に回転させて、第1位置P1から第2位置P2に移動させる。このとき、
図4に示すように、第1規制脚部52の規制突起53は、第1規制溝36のガイド面361に沿って移動し、湾曲面362まで移動する。第2規制脚部62は、その先端の傾斜面622が規制壁部38に接触し、規制壁部38を乗り越えて、第2規制溝37の領域371まで移動する。第2規制脚部62が規制壁部38を乗り越える際、第2規制部材60は、付勢部材70の付勢力に抗して第3位置P3から第4位置P4に向かって移動する(
図6参照)。
【0031】
ソケット側接続部材30が第2位置P2まで移動すると、第1規制溝36および第1規制脚部52の規制突起53によって、ソケット10およびプラグ20間の第1方向Xへの移動が規制される。また、ソケット側接続部材30が第2位置P2に位置している場合、第2規制部材60が付勢部材70により第4位置P4から第3位置P3に向かって付勢され、第2規制脚部62が第2規制溝37の領域371に位置する。このため、規制壁部38および第2規制脚部62によって、ソケット側接続部材30のプラグ側接続部材40に対する回転が規制され、ソケット10の雌ねじ11およびプラグ20の雄ねじ21間の締結の緩みを防止できる。つまり、第2規制部材60は、プラグ20が第2位置P2に位置している場合において、第3位置P3に位置している場合にプラグ20の第2位置P2から第1位置P1への回転を規制し、第4位置P4に位置している場合にプラグ20に対する回転の規制を解除するように構成されている。
【0032】
ソケット10およびプラグ20の接続を解除する場合、ガイド突起63を操作して、第2規制脚部62を第3位置P3から第4位置P4に移動させる。そして、第2規制脚部62が第4位置P4に位置している状態で、ソケット側接続部材30を周方向に回転させて、第2位置P2から第1位置P1に移動させる。これにより、ソケット10およびプラグ20間の第1方向Xへの移動規制が解除され、ソケット10およびプラグ20を第1方向でかつ相互に離れる方向に移動させることで、ソケット10およびプラグ20間の接続が解除される。
【0033】
本実施形態のコネクタ1によれば、次のような効果を発揮できる。
【0034】
コネクタ1では、ソケット側接続部材30が第2位置P2に位置している場合において、第1規制部材50が第1方向Xにおけるソケット10およびプラグ20間の移動を規制し、第2規制部材60が第3位置P3に位置している場合にソケット側接続部材30のプラグ側接続部材40に対する第2位置P2から第1位置P1への回転を規制する。このような構成により、ソケット10およびプラグ20間の接続信頼性の高いコネクタ1を実現できる。
【0035】
プラグ側接続部材40が、第2方向(例えば、径方向)において第2規制部材60よりも中心線CLから離れて配置され、第1方向Xに沿って延びるガイド溝44が設けられた被覆部42をさらに有する。第2規制部材60が、周方向に延びる第2ベース部61と、第2ベース部61から第2方向(例えば、径方向)に延びてガイド溝44に収容されるガイド突起63とを有する。このような構成により、ソケット10およびプラグ20間の接続信頼性のより高いコネクタ1を実現できる。
【0036】
ガイド突起63の第2方向(例えば、径方向)の外端が、被覆部42の第2方向(例えば、径方向)の外端と略同一面上に配置されている。このような構成により、ガイド突起63の操作性を高めつつ、コネクタ1の使用性を高めることができる。
【0037】
第1規制部材50が、周方向に延びる第1ベース部51と、第1ベース部51から第1方向Xに沿ってソケット側接続部材30に向かって延びると共に、第1方向Xにおけるソケット側接続部材30に近い方の端に設けられ第2方向(例えば、径方向)でかつ中心線CLから離れる方向に延びる規制突起53を有する第1規制脚部52とを有する。第2規制部材60が、第2ベース部61から第1規制脚部52に沿ってソケット側接続部材30に向かって延びると共に、第1方向Xのソケット側接続部材30に近い方の端が第1方向Xにおいて規制突起53よりもソケット側接続部材30から遠い位置に配置されている第2規制脚部62を有する。ソケット側接続部材30には、第1方向Xにおけるプラグ側接続部材40に近い方の端面に開口部32を有しかつプラグ側接続部材40の第1方向Xにおけるソケット側接続部材30に近い方の端部を収容する凹部31が設けられている。凹部31を構成するソケット側接続部材30の第2方向(例えば、径方向)の内面には、開口部32から第1方向Xに沿って延びると共に、規制突起53および第2規制脚部62を収容する解除溝35と、周方向に延びて、周方向の一端が解除溝35の第1方向Xにおける開口部32から遠い方の端に接続されていると共に、規制突起53を収容する第1規制溝36と、開口部32の縁における第1規制溝36の周方向の他端と第1方向Xにおいて重なる領域371に解除溝35および第1規制溝36とは独立して設けられ、第2規制脚部62を収容する第2規制溝37と、開口部32の縁における周方向の解除溝35および第2規制溝37の間に設けられ、第2規制脚部62が領域371に位置している場合に周方向でかつ第2規制溝37から解除溝35に向かう方向への第2規制脚部62の移動を規制する規制壁部38とが設けられている。ソケット側接続部材30が第1位置P1に位置している場合、第2規制脚部62が解除溝35に位置し、ソケット側接続部材30が第2位置P2に位置しかつ第2規制部材60が第3位置P3に位置している場合、第2規制脚部62の第1方向Xにおける第2ベース部61よりも遠い方の端部が領域371に位置する。このような構成により、ソケット10およびプラグ20間の接続信頼性のより高いコネクタ1を実現できる。
【0038】
第2規制脚部62が、解除溝35に位置している場合に規制壁部38に対向する傾斜面622を有している。傾斜面622は、第1方向Xにおいて第2ベース部61から離れるに従って周方向において規制壁部38から離れる方向に傾斜している。このような構成により、ソケット側接続部材30を第1位置P1から第2位置P2に向かって容易に回転させることができる。
【0039】
ソケット側接続部材30が、複数の第2規制脚部62を有し、周方向に隣接する第2規制脚部62の間にガイド突起63が配置されている。このような構成により、第2規制部材60を容易に製造できるので、ソケット10およびプラグ20間の接続信頼性の高いコネクタ1を容易に実現できる。
【0040】
コネクタ1は、次のように構成することもできる。
【0041】
被覆部42のガイド溝44およびガイド突起63は省略することができる。
【0042】
ガイド突起63は、第2方向(例えば、径方向)において、被覆部42の外端よりも突出するように構成してもよいし、ガイド溝44の内部に収容可能に構成してもよい。
【0043】
雄ねじ21は、被覆部42に設けられている場合に限らず、例えば、本体部41に設けてもよい。
【0044】
図7に示すように、規制壁部38に、第2規制脚部62が解除溝35に位置している場合に第2規制脚部62に対向する傾斜面382を設けてもよい。傾斜面382は、第1方向Xにおいて開口部32に接近するに従って周方向において解除溝35から離れる方向に傾斜している。規制壁部38に傾斜面382を設ける場合、
図8に示すように、第2規制脚部62の傾斜面622を省略することもできる。この場合においても、ソケット側接続部材30を第1位置P1から第2位置P2に向かって容易に回転させることができる。
【0045】
本開示は、前記実施形態に限らず、ソケット側接続部材が第2位置に位置している場合において、第1規制部材が第1方向におけるソケットおよびプラグ間の移動を規制し、第2規制部材が第3位置に位置している場合にソケット側接続部材のプラグ側接続部材に対する第2位置から第1位置への回転を規制するように構成された任意のコネクタに適用できる。
【0046】
以上、図面を参照して本開示における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本開示の種々の態様について説明する。なお、以下の説明では、一例として、参照符号も添えて記載する。
【0047】
本開示の第1態様のコネクタ1は、
プラグ側接続部材40を有するプラグ20と、
第1方向に延びる中心線CLに対する周方向における前記プラグ20を取り外し可能な第1位置P1および前記プラグ20を取り外し不可能な第2位置P2の間を前記プラグ側接続部材40に対して回転可能な状態で前記第1方向から解除可能に接続されているソケット側接続部材30を有するソケット10と
を備え、
前記プラグ側接続部材40が、
前記第1方向に沿って延びる本体部41と、
前記第1方向に交差する第2方向において前記本体部41よりも前記中心線CLから離れた位置で前記本体部41に固定され、前記ソケット10および前記プラグ20が接続されかつ前記ソケット側接続部材30が前記第2位置P2に位置している場合に前記第1方向における前記ソケット10に対する前記プラグ20の移動を規制する第1規制部材50と、
前記第2方向において前記本体部41よりも前記中心線CLから離れて配置されていると共に、前記第1方向において前記第1規制部材50よりも前記ソケット側接続部材30から離れかつ前記第1規制部材50に近い第3位置P3および前記第3位置P3よりも前記第1規制部材50から離れた第4位置P4の間を移動可能に配置されている第2規制部材60と、
前記第1方向において前記第2規制部材60よりも前記ソケット側接続部材30から離れて配置され、前記第2規制部材60を前記第4位置P4から前記第3位置P3に向かって付勢する付勢部材70と
を有し、
前記第2規制部材60は、
前記ソケット側接続部材30が前記第2位置P2に位置している場合において、前記第3位置P3に位置している場合に前記ソケット側接続部材30の前記第2位置P2から前記第1位置P1への回転を規制し、前記第4位置P4に位置している場合に前記ソケット側接続部材30の前記プラグ側接続部材40に対する回転の規制を解除するように構成されている。
【0048】
本開示の第2態様のコネクタ1は、
前記プラグ側接続部材40が、
前記第2方向において前記第2規制部材60よりも前記中心線CLから離れて配置され、前記第1方向に沿って延びるガイド溝44が設けられた被覆部42をさらに有し、
前記第2規制部材60が、
前記周方向に延びる第2ベース部61と、
前記第2ベース部61から前記第2方向に延びて前記ガイド溝44に収容されるガイド突起63と
を有する。
【0049】
本開示の第3態様のコネクタ1は、
前記ガイド突起63の前記第2方向の外端が、前記被覆部42の前記第2方向の外端と略同一面上に配置されている。
【0050】
本開示の第4態様のコネクタ1は、
前記第1規制部材50が、
前記周方向に延びる第1ベース部51と、
前記第1ベース部51から前記第1方向に沿って前記ソケット側接続部材30に向かって延びると共に、前記第1方向における前記ソケット側接続部材30に近い方の端に設けられ前記第2方向でかつ前記中心線CLから離れる方向に延びる規制突起53を有する第1規制脚部52と
を有し、
前記第2規制部材60が、
前記第2ベース部61から前記第1規制脚部52に沿って前記ソケット側接続部材30に向かって延びると共に、前記第1方向の前記ソケット側接続部材30に近い方の端621が前記第1方向において前記規制突起53よりも前記ソケット側接続部材30から遠い位置に配置されている第2規制脚部62を有し、
前記ソケット側接続部材30には、
前記第1方向における前記プラグ側接続部材40に近い方の端面に開口部32を有しかつ前記プラグ側接続部材40の前記第1方向における前記ソケット側接続部材30に近い方の端部を収容する凹部31が設けられ、
前記凹部31を構成する前記ソケット側接続部材30の前記第2方向の内面には、
前記開口部32から前記第1方向に沿って延びると共に、前記規制突起53および前記第2規制脚部62を収容する解除溝35と、
前記周方向に延びて、前記周方向の一端が前記解除溝35の前記第1方向における前記開口部32から遠い方の端に接続されていると共に、前記規制突起53を収容する第1規制溝36と、
前記開口部32の縁における前記第1規制溝36の前記周方向の他端と前記第1方向において重なる領域371に前記解除溝35および前記第1規制溝36とは独立して設けられ、前記第2規制脚部62を収容する第2規制溝37と、
前記開口部32の縁における前記周方向の前記解除溝35および前記第2規制溝37の間に設けられ、前記第2規制脚部62が前記領域371に位置している場合に前記周方向でかつ前記第2規制溝37から前記解除溝35に向かう方向への前記第2規制脚部62の移動を規制する規制壁部38と
が設けられ、
前記ソケット側接続部材30が前記第1位置P1に位置している場合、前記第2規制脚部62が前記解除溝35に位置し、前記ソケット側接続部材30が前記第2位置P2に位置しかつ前記第2規制部材60が前記第3位置P3に位置している場合、前記第2規制脚部62の前記第1方向における前記第2ベース部61から遠い方の端部が前記領域371に位置する。
【0051】
本開示の第5態様のコネクタ1は、
前記第2規制脚部62が、
前記解除溝35に位置している場合に前記規制壁部38に対向する傾斜面622を有し、
前記傾斜面622が、
前記第1方向において前記第2ベース部61から離れるに従って前記周方向において前記規制壁部38から離れる方向に傾斜している。
【0052】
本開示の第6態様のコネクタ1は、
前記規制壁部38が、
前記第2規制脚部62が前記解除溝35に位置している場合に前記第2規制脚部62に対向する傾斜面382を有し、
前記傾斜面382が、
前記第1方向において前記開口部32に接近するに従って前記周方向において前記解除溝35から離れる方向に傾斜している。
【0053】
本開示の第7態様のコネクタ1は、
前記第2規制部材60が、複数の前記第2規制脚部62を有し、
前記周方向に隣接する前記第2規制脚部62の間に前記ガイド突起63が配置されている。
【0054】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示のコネクタは、例えば、自動車用工作機械に適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 コネクタ
2 ケーブル
10 ソケット
11 雌ねじ
12 収容部
20 プラグ
21 雄ねじ
22 プラグ端子
30 ソケット側接続部材
31 凹部
32 開口部
33 突出部
34 隙間
35 解除溝
36 第1規制溝
361 ガイド面
362 湾曲面
37 第2規制溝
371 領域
38 規制壁部
381、382 傾斜面
40 プラグ側接続部材
41 本体部
42 被覆部
421 第1部分
422 第2部分
43 凹部
44 ガイド溝
50 第1規制部材
51 第1ベース部
52 第1規制脚部
53 規制突起
531 湾曲面
60 第2規制部材
61 第2ベース部
62 第2規制脚部
621 端
622 傾斜面
63 ガイド突起
631 第1部分
632 第2部分
70 付勢部材