(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】情報提供装置、バイナリ発電装置、およびエネルギシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240702BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240702BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240702BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 180
H02J3/38 110
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2020212692
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】小西 美沙子
(72)【発明者】
【氏名】稲村 彰信
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200043(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175449(WO,A1)
【文献】特開2010-154617(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073602(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/087864(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/38
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家に電力を提供するバイナリ発電装置および電源装置を含むエネルギシステムのための情報提供装置であって、
少なくとも前記電源装置の運転状態に関する情報を含むが、前記バイナリ発電装置の運転状態に関する情報を含まないシステム情報を取得する取得部と、
前記システム情報に基づいて、所定の判定時間帯に前記バイナリ発電装置の停止が可能であるか否かを判定するメイン判定部と、
前記バイナリ発電装置の停止が可能である前記判定時間帯をメンテナンス推奨時間帯として出力する出力部と、を備える、情報提供装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記システム情報として、前記需要家に供給されるべき必要電力量に関する必要電力量データと、前記電源装置の発電量に関する発電量データと、前記バイナリ発電装置を停止させた場合に発生するメンテナンスコストに関する情報と、を取得し、
前記メイン判定部は、
前記バイナリ発電装置を停止させた場合に、前記電源装置の発電量によって前記需要家の必要電力量を供給できる判定時間帯があるか否かを判定する第1判定部を含み、
前記電源装置の前記発電量によって前記需要家の前記必要電力量を供給できる判定時間帯があると前記第1判定部が判定した場合には、前記需要家の前記必要電力量を供給できる判定時間帯に前記バイナリ発電装置の停止が可能であると判定し、
前記電源装置の前記発電量によって前記需要家の前記必要電力量を供給できる判定時間帯がないと前記第1判定部が判定した場合には、前記メンテナンスコストが最も小さい判定時間帯に前記バイナリ発電装置の停止が可能であると判定する、請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記システム情報として、前記電源装置の発電量を抑制する必要が生じる出力抑制確率に関する情報と、電力系統へ電力を売電する必要が生じる需給調整確率に関する情報と、前記電力系統へ電力を売電することによって得られる売電利益に関する情報と、前記電力系統から電力を買電することによって生じる買電費用に関する情報と、をさらに取得し、
前記メイン判定部は、
前記出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があるか否かを判定する第2判定部と、
前記需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯があるか否かを判定する第3判定部と、
売電予定時間に前記電力系統へ電力を売電することにより得られる前記売電利益と、前記売電予定時間外に前記バイナリ発電装置を停止させた場合に生じる前記買電費用と、を比較することにより、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を判定する第4判定部と、を含み、
前記出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があると前記第2判定部が判定した場合には前記出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯に前記バイナリ発電装置の停止が可能であると判定し、
前記出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がなく、前記需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯があると前記第3判定部が判定した場合には、前記需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯に前記バイナリ発電装置の停止が可能であると判定し、
前記出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がなく、前記需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯がない場合には、前記メンテナンスコストが最も小さいと前記第4判定部が判定した判定時間帯に前記バイナリ発電装置の停止が可能であると判定する、請求項1又は2記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記システム情報として、前記バイナリ発電装置を停止させるためのユーザが希望する停止希望時間に関する情報を取得する、請求項1~3のいずれか一項記載の情報提供装置。
【請求項5】
需要家に電力を提供する電源装置を含むエネルギシステムに適用されるバイナリ発電装置であって、
前記需要家に提供する電力を二種類の熱媒体を利用して発電するバイナリ発電部と、
前記バイナリ発電部の停止が可能であるか否かを判定する情報提供部と、を備え、
前記情報提供部は、
少なくとも前記電源装置の運転状態に関する情報を含むが、前記バイナリ発電部の運転状態に関する情報を含まないシステム情報を取得する取得部と、
前記システム情報に基づいて、所定の判定時間帯に前記バイナリ発電部の停止が可能であるか否かを判定するメイン判定部と、を有する、バイナリ発電装置。
【請求項6】
需要家に提供する電力を二種類の熱媒体を利用して発電するバイナリ発電装置と、
前記バイナリ発電装置とは独立して発電を行う電源装置と、
前記バイナリ発電装置の停止が可能であるか否か判定する情報提供装置と、を備え、
前記情報提供装置は、
少なくとも前記電源装置の運転状態に関する情報を含むが、前記バイナリ発電装置の運転状態に関する情報を含まないシステム情報を取得する取得部と、
前記システム情報に基づいて、所定の判定時間帯に前記バイナリ発電装置の停止が可能であるか否かを判定するメイン判定部と、
前記メイン判定部の判定結果を出力する出力部と、を有する、エネルギシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、バイナリ発電装置、およびエネルギシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の情報提供装置として、特許文献1に記載されるように、電力管理システムに適用される情報提供装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の電力管理システムは、需要家施設の負荷に電力を供給する第1発電装置の状態を取得する制御部を備える。制御部は、第1発電装置がメンテナンスモードに遷移する情報を取得した場合、第1発電装置の出力の減少に相当する電力を、第1発電装置とは異なる第2発電装置に供給させる供給要求を電力供給サーバに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような電力管理システムには、バイナリ発電装置が用いられることがある。バイナリ発電装置は、水よりも低沸点の作動媒体を、例えば温泉水および工業用水等の熱温水で蒸発させる。バイナリ発電装置は、作動媒体によってタービンを回転させることによって発電を行うため、湯の花等の不溶性成分又はごみが配管や熱交換器に詰まることがある。このため、ユーザは、バイナリ発電装置を停止させ、配管や熱交換器の清掃を行う必要があるが、バイナリ発電装置を停止させるタイミングによっては、不要な経済的損失が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、経済的損失を抑制できる情報提供装置、バイナリ発電装置、およびエネルギシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、需要家に電力を提供するバイナリ発電装置および電源装置を含むエネルギシステムのための情報提供装置であって、少なくとも電源装置の運転状態に関する情報を含むが、バイナリ発電装置の運転状態に関する情報を含まないシステム情報を取得する取得部と、システム情報に基づいて、所定の判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であるか否かを判定するメイン判定部と、バイナリ発電装置の停止が可能である判定時間帯を停止候補時間として出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明の別の形態は、需要家に電力を提供する電源装置を含むエネルギシステムに適用されるバイナリ発電装置であって、需要家に提供する電力を二種類の熱媒体を利用して発電するバイナリ発電部と、バイナリ発電部の停止が可能であるか否かを判定する情報提供部と、を備え、情報提供部は、少なくとも電源装置の運転状態に関する情報を含むが、バイナリ発電部の運転状態に関する情報を含まないシステム情報を取得する取得部と、システム情報に基づいて、所定の判定時間帯にバイナリ発電部の停止が可能であるか否かを判定するメイン判定部と、を有する。
【0008】
本発明のさらに別の形態は、需要家に提供する電力を二種類の熱媒体を利用して発電するバイナリ発電装置と、バイナリ発電装置とは独立して発電を行う電源装置と、バイナリ発電装置の停止が可能であるか否か判定する情報提供装置と、を備え、情報提供装置は、少なくとも電源装置の運転状態に関する情報を含むが、バイナリ発電装置の運転状態に関する情報を含まないシステム情報を取得する取得部と、システム情報に基づいて、所定の判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であるか否かを判定するメイン判定部と、メイン判定部の判定結果を出力する出力部と、を有する。
【0009】
上記の情報提供装置、バイナリ発電装置、およびエネルギシステムでは、メイン判定部は、少なくとも電源装置の運転状態に関する情報を含むシステム情報に基づいて判定を行う。すなわち、メイン判定部は、所定の判定時間帯にバイナリ発電装置を停止させた場合に、電源装置によって需要家に必要な電力を提供できるか否かを判定する。これにより、メイン判定部は、バイナリ発電装置の停止が可能であるか否かを判定する。したがって、不足する電力を電力系統から購入せずにエネルギシステムを運用できる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0010】
一形態の情報提供装置において、取得部は、システム情報として、需要家に供給されるべき必要電力量に関する必要電力量データと、電源装置の発電量に関する発電量データと、バイナリ発電装置を停止させた場合に発生するメンテナンスコストに関する情報と、を取得し、メイン判定部は、バイナリ発電装置を停止させた場合に、電源装置の発電量によって需要家の必要電力量を供給できる判定時間帯があるか否かを判定する第1判定部を含み、電源装置の発電量によって需要家の必要電力量を供給できる判定時間帯があると第1判定部が判定した場合には、需要家の必要電力量を供給できる判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定し、電源装置の発電量によって需要家の必要電力量を供給できる判定時間帯がないと第1判定部が判定した場合には、メンテナンスコストが最も小さい判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定してもよい。
【0011】
この構成によれば、電源装置の発電量と需要家に供給されるべき必要電力量とを比較することができる。これにより、バイナリ発電装置を停止させた場合でも、電源装置の発電量によって需要家の必要電力量を供給できる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。また、この構成によれば、バイナリ発電装置を停止させた場合に、電源装置の発電量によって需要家の必要電力量を供給できる判定時間帯がないと判定された場合でも、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0012】
一形態の情報提供装置において、取得部は、システム情報として、電源装置の発電量を抑制する必要が生じる出力抑制確率に関する情報と、電力系統へ電力を売電する必要が生じる需給調整確率に関する情報と、電力系統へ電力を売電することによって得られる売電利益に関する情報と、電力系統から電力を買電することによって生じる買電費用に関する情報と、をさらに取得し、メイン判定部は、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があるか否かを判定する第2判定部と、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯があるか否かを判定する第3判定部と、売電予定時間に電力系統へ電力を売電することにより得られる売電利益と、売電予定時間外にバイナリ発電装置を停止させた場合に生じる買電費用と、を比較することにより、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を判定する第4判定部と、を含み、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があると第2判定部が判定した場合には出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定し、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がなく、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯があると第3判定部が判定した場合には、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定し、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がなく、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯がない場合には、メンテナンスコストが最も小さいと第4判定部が判定した判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定してもよい。
【0013】
この構成によれば、電源装置の発電量を抑制する必要が生じる出力抑制確率を考慮できる。これにより、電源装置の発電量を抑制する必要が生じる可能性が高い判定時間帯を停止候補時間として判定できる。また、この構成によれば、電力系統へ電力を売電する必要が生じる需給調整確率を考慮できる。これにより、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がないと判定された場合でも、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。また、この構成によれば、電力系統へ電力を売電することにより得られる売電利益と、電力系統から電力を買電することによって生じる買電費用と、を考慮できる。これにより、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がなく、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯がない場合でも、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0014】
一形態の情報提供装置において、取得部は、システム情報として、バイナリ発電装置を停止させるためのユーザが希望する停止希望時間に関する情報を取得してもよい。この構成によれば、判定を行うにあたり、バイナリ発電装置を停止させるためのユーザが希望する停止希望時間を考慮できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る情報提供装置、バイナリ発電装置、およびエネルギシステムによれば、経済的損失を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るエネルギシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、情報提供装置の機能的な構成を示す図である。
【
図3】
図3は、情報提供装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、情報提供装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、情報提供装置の時間判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6(a)~(d)は、各数値の時間変化および判定結果の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る情報提供装置の機能的な構成を示す図である。
【
図8】
図8は、情報提供装置の時間判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図7に示された時間判定処理の後続の処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図7に示された時間判定処理の後続の処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る情報提供装置の機能的な構成を示す図である。
【
図12】
図12は、情報提供装置の時間判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、変形例に係る情報提供装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、あるい、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。情報提供装置(「EMS」(Energy Management System)ともいう。)およびバイナリ発電装置は、エネルギシステムに用いられる。
【0018】
[エネルギシステムの構成]
図1は、一実施形態に係るエネルギシステム1の構成を概略的に示す図である。エネルギシステム1は、バイナリ発電装置2と、電源装置3と、需要家4と、情報提供装置5(情報提供部)と、を備える。バイナリ発電装置2および電源装置3は、需要家4に電力を提供する。
【0019】
エネルギシステム1は、電力系統100に接続されている。エネルギシステム1は、必要に応じて電力系統100から買電することが可能である。また、エネルギシステム1は、電力系統100に売電することが可能である。例えば、バイナリ発電装置2および電源装置3によって出力可能な電力量が、需要家4が提供されるべき必要電力量を下回る場合、エネルギシステム1は、不足する電力を電力系統100から買電することができる。一方、例えば、バイナリ発電装置2および電源装置3によって出力可能な電力量が、需要家4の必要電力量を上回る場合であり電力系統100が受け入れを許可する場合には、エネルギシステム1は、電力系統100に電力を売電することができる。
【0020】
バイナリ発電装置2は、温泉水又は工業用水を熱源として発電を行う。バイナリ発電装置2は、熱交換器を含む発電部21(バイナリ発電部)と、通信部22と、を備える。バイナリ発電装置2は、発電した電力を需要家4に向けて出力する。
【0021】
発電部21は、需要家4に出力する電力を発電する。発電部21は、一例として、温泉水、工業用水等を熱源として発電を行う。発電部21は、温泉水等を熱交換器に通すことで作動媒体を蒸発させる。発電部21は、作動媒体によってタービンを回転させることによって発電を行う。つまり、バイナリ発電装置2は、需要家に提供する電力を温泉水等の第1の熱媒体と第1の熱媒体によって蒸発させられて発電機のタービンを回転させる第2の熱媒体との二種類の熱媒体を利用して発電する。したがって、温泉水等に含まれる不溶性成分、又はごみが熱交換器に詰まることがある。このため、ユーザは、発電部21の熱交換器を定期的に清掃する必要がある。なお、熱交換器の清掃中は、バイナリ発電装置2を停止させる必要があるため、バイナリ発電装置2によって発電を行うことができない。停止時間は、一例として、30分~1時間程度である。
【0022】
通信部22は、情報提供装置5と通信を行う。通信部22は、情報提供装置5と通信可能に接続されている。通信部22は、情報提供装置5から情報を入力されることにより、バイナリ発電装置2の運転状態を変化させてもよい。
【0023】
電源装置3は、バイナリ発電装置2とは独立して発電を行う。電源装置3は、需要家4に向けて電力を出力する。電源装置3は、再生可能エネルギー発電装置31と、蓄電装置32と、を備える。
【0024】
再生可能エネルギー発電装置31は、バイナリ発電装置2とは独立して発電を行う。再生可能エネルギーの一例としては、太陽光又は風力等が挙げられる。再生可能エネルギー発電装置31は、太陽光発電装置である。再生可能エネルギー発電装置31は、需要家4に向けて電力を出力する。また、再生可能エネルギー発電装置31は、情報提供装置5と通信可能に接続されている。
【0025】
蓄電装置32は、バイナリ発電装置2および再生可能エネルギー発電装置31による発電電力に伴うエネルギーを蓄える。蓄電装置32は、バイナリ発電装置2および再生可能エネルギー発電装置31により発電された電力を充電又は放電する。蓄電装置32は、需要家4に向けて電力を出力する。蓄電装置32は、情報提供装置5と通信可能に接続されている。
【0026】
需要家4は、バイナリ発電装置2と、電源装置3と、電力系統100とにそれぞれ接続されている。需要家4は、バイナリ発電装置2、電源装置3、および電力系統100から必要な電力を提供され、所望の動作を行う。需要家4は、一例として、工場等の施設である。需要家4は、情報提供装置5と通信可能に接続されている。
【0027】
情報提供装置5は、バイナリ発電装置2の停止が可能である停止候補時間をメンテナンス推奨時間帯としてユーザに提供する。情報提供装置5は、バイナリ発電装置2と、再生可能エネルギー発電装置31と、蓄電装置32と、需要家4と、それぞれ通信を行う。上述したように、バイナリ発電装置2は、熱交換器等の清掃のため、定期的にユーザによって停止される。この時、バイナリ発電装置2を停止させるタイミングによっては、経済的損失が生じる可能性がある。情報提供装置5は、判定の対象となる対象日のうち、バイナリ発電装置2を停止させるために最も経済的損失が小さい時間をユーザに提供する。情報提供装置5の詳細な動作等については、後述する。情報提供装置5は、例えばデスクトップPC等のコンピュータ装置であってもよい。また、情報提供装置5は、バイナリ発電装置2に組み込まれていてもよい。
【0028】
[第1実施形態に係る情報提供装置の機能的な構成]
図2は、第1実施形態に係る情報提供装置5の機能的な構成を示す図である。
図2に示されるように、情報提供装置5は、取得部51と、メイン判定部52と、出力部53と、を備える。なお、これらの構成は、1台のコンピュータにまとめられていてもよく、複数台のコンピュータに分散していてもよい。
【0029】
取得部51は、少なくとも電源装置3の運転状態に関する情報を含むシステム情報を取得する。取得部51は、バイナリ発電装置2、電源装置3、および需要家4からシステム情報を取得する。また、取得部51は、電力会社又は気象予報施設等からシステム情報を取得する。
【0030】
ここで「システム情報」とは、情報提供装置5のメイン判定部52が所定の判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であるか否かを判定するために必要な情報である。より具体的には、システム情報は、電源装置3の運転状態に関する情報として、電源装置3の発電量に関する発電量データを含む。また、システム情報は、需要家4に供給されるべき必要電力量に関する必要電力量データと、電源装置3の発電量の出力抑制確率に関する出力抑制確率データと、需給調整確率に関する需給調整確率データと、メンテナンスコストに関するメンテナンスコストデータと、を含む。なお、システム情報は、運転の停止の可否の判断対象であるバイナリ発電装置2に関するデータは含まない。
【0031】
また、システム情報は、エネルギシステム1の管理者等であるユーザによって取得部51に入力された情報を含んでもよい。例えば、取得部51は、情報提供装置5が備えるキーボード等の入力装置からユーザの操作を受け付けることにより、ユーザによって情報を入力されてもよい。
【0032】
ここで「出力抑制確率」とは、バイナリ発電装置2および電源装置3の発電量を抑制する必要が生じる確率をいう。また「出力抑制確率データ」とは、将来の所定の期間における出力抑制確率の時間変化に関するデータをいう。一例として、電力会社から発電量を抑制するように要請を受けた場合には、発電設備の発電量を抑制する必要が生じる。すなわち、出力抑制確率は、売電する電力の出力抑制が発生する確率である。ユーザは、例えば電力会社が公開する情報等に基づいて、所定の期間における出力抑制確率の時間変化を予測することにより、出力抑制確率データを取得できる。このように、電力会社が公開する情報等を用いて出力抑制確率データを取得する処理は、公知の情報処理手法によって実行され得る。
【0033】
ここで「需給調整確率」とは、売電予定時間における電力系統100への売電を除き、電力系統100へ売電予定時間外に売電する必要が生じる確率をいう。また「需給調整確率データ」とは、所定の期間における需給調整確率の時間変化に関するデータをいう。一例として、電力の容量市場に参加している場合には、予定外の電力を電力系統100に売電する必要が生じる。すなわち、需給調整確率は、需給調整力が発動する確率である。ユーザは、例えば電力会社が公開する情報等に基づいて、所定の期間における需給調整確率の時間変化を予測することにより、需給調整確率データを取得できる。
【0034】
ここで「メンテナンスコスト」とは、バイナリ発電装置2を停止させた場合に発生するコストをいう。また「メンテナンスコストデータ」とは、所定の期間におけるメンテナンスコストの時間変化に関するデータをいう。例えば、バイナリ発電装置2をメンテナンスのために停止させた場合、電源装置3の発電量では需要家4の必要電力量を供給できない可能性がある。この場合、電力の不足分を電力系統100から買電する必要が生じる。すなわち、メンテナンスコストは、電力系統100から電力を買電することによって発生する買電費用を含む。また例えば、電力系統100への電力の売電が予定されている売電予定時間にバイナリ発電装置2を停止させた場合、予定されていた電力を電力系統100に売電できない可能性がある。すなわち、メンテナンスコストは、バイナリ発電装置2を停止させなければ電力系統100へ電力を売電することによって得られる売電利益を含む。ユーザは、例えば電力会社が公開する情報等に基づいて、所定の期間におけるメンテナンスコストの時間変化を予測することにより、メンテナンスコストデータを取得できる。
【0035】
ここで「判定時間帯」とは、情報提供装置5がバイナリ発電装置2の停止が可能であるか否かを判定する時間帯である。判定時間帯は、所定の時間幅を有する時間帯である。換言すると、情報提供装置5は、判定時間帯ごとに、バイナリ発電装置2の停止が可能であるか否かを判定する。
【0036】
取得部51で取得される各情報のそれぞれは、例えば、電源装置3の発電量といった各数値の判定時間帯ごとの平均値からなる時系列データである。各情報とは、電源装置3の発電量データ、需要家4の必要電力量データ、出力抑制確率データ、需給調整確率データ、およびメンテナンスコストデータである。判定時間帯の範囲は、一例として、2時間としてもよい。また、一例として、各情報のそれぞれは、1日ごとにまとめられたデータである。
【0037】
メイン判定部52は、システム情報に基づいて、所定の判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であるか否かを判定する。メイン判定部52は、第1判定部521と、第2判定部522と、第3判定部523と、第4判定部524と、を備える。メイン判定部52は、取得部51で取得した各情報に基づいて、後述する判定を行う。メイン判定部52の動作については、後述する。
【0038】
出力部53は、メイン判定部52で判定した内容に基づき、ユーザに向けて判定結果を出力する。すなわち、出力部53は、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定された特定の判定時間帯を、停止候補時間として出力する。上記判定結果をユーザに提示する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、出力部53は、情報提供装置5が備えるディスプレイ等の出力装置に停止候補時間を表示させることにより、ユーザに判定結果を提示してもよい。また、出力部53は、情報提供装置5と通信可能に構成されたユーザ端末に判定結果を送信し、ユーザ端末が備えるディスプレイ等の出力装置に停止候補時間を表示させてもよい。ユーザ端末とは、例えば、管理者が保持するスマートフォン又はタブレット等の携帯端末等である。
【0039】
[情報提供装置のハードウェア構成]
図3は、情報提供装置5のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、情報提供装置5は、物理的には、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信装置104と、入力装置105と、出力装置106と、を含むコンピュータ装置として構成されてもよい。情報提供装置5における各機能は、プロセッサ101、メモリ102等のハードウェア上に所定のプログラを読み込ませることで、プロセッサ101が演算を行い、通信装置104による通信、あるいは、メモリ102およびストレージ103におけるデータの読み出しおよび書き込みを制御することで実現される。
【0040】
プロセッサ101は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ101は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、情報提供装置5の各種処理等は、プロセッサ101で実現されてもよい。また、プロセッサ101は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、およびデータを、ストレージ103又は通信装置104からメモリ102に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。情報提供装置5の各種処理を実行する機能は、メモリ102に格納され、プロセッサ101で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。なお、情報提供装置5における各種処理は、1つのプロセッサ101で実行されてもよいが、2以上のプロセッサ101により同時又は逐次に実行されてもよい。
【0041】
メモリ102は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)等の少なくとも1つによって構成されてもよい。
【0042】
ストレージ103は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。ストレージ103は、例えば、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク等の少なくとも1つで構成されてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ102およびストレージ103等を含むデータベース、サーバ又はその他の適切な媒体であってもよい。
【0043】
通信装置104は、有線および/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのデバイスである。例えば、情報提供装置5の各種処理の一部は、通信装置104で実現されてもよい。
【0044】
入力装置105は、外部からの入力を受け付ける、例えば、キーボード等の入力デバイスである。出力装置106は、外部への出力を実施する、例えば、ディスプレイ等の出力デバイスである。
【0045】
上記の各装置は、情報を通信するためのバスで接続される。バスは、単一のバスで構成されていてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0046】
[情報提供装置の動作]
図4は、第1実施形態に係る情報提供装置5の動作を示すフローチャートである。まず、情報提供装置5は、ステップS01を実行する。ステップS01では、取得部51は、ユーザによる操作を受け付けることにより、ユーザが希望するバイナリ発電装置2を停止する停止希望時間を取得する。一例として、ユーザは、バイナリ発電装置2のメンテナンスを行うための好適な時間を停止希望時間として設定することが考えられる。バイナリ発電装置2のメンテナンスは、一例として、熱交換器の清掃を含む。メンテナンスを行うための好適な時間とは、例えば、深夜時間帯を避けた時間等である。
【0047】
続いて、情報提供装置5は、ステップS02を実行する。ステップS02では、取得部51は、ユーザによる操作を受け付けることにより、判定の対象となる対象日を取得する。ユーザは、バイナリ発電装置2の停止が可能である停止候補時間を知りたい将来の日を1日選び、情報提供装置5が備える入力装置105を操作することによって入力する。
【0048】
続いて、情報提供装置5は、ステップS03を実行する。ステップS03では、取得部51は、判定時間帯の時間幅を取得する。取得部51は、入力装置105からユーザによる操作を受け付けることにより、判定を行う判定時間帯の時間幅を取得する。ユーザは、判定時間帯の時間幅を小さく設定すれば、より詳細な判定結果を得ることができる。また、ユーザは、判定時間帯の時間幅を大きくすれば、処理量を減少させることができる。ユーザは、判定時間帯の時間幅を2時間として情報提供装置5に入力する。
【0049】
続いて、情報提供装置5は、ステップS04を実行する。ステップS04では、取得部51は、電源装置3、需要家4から、対象日と対応する各情報を取得する。取得部51は、電源装置3から電源装置3の発電量データを取得する。取得部51は、需要家4から需要家4の必要電力量データを取得する。取得部51は、ユーザによる操作を受け付けることにより、出力抑制確率データ、需給調整確率データ、およびメンテナンスコストデータを取得する。上述したように、各情報のそれぞれは、1日ごとにまとめられたデータである。取得部51は、ユーザが入力した対象日に基づいて、対象日と対応する各情報を取得する。
【0050】
続いて、情報提供装置5は、ステップS05を実行する。ステップS05では、メイン判定部52は、時間判定処理を実行する。これにより、メイン判定部52は、所定の判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であるか否かを判定する。時間判定処理の詳細な内容については、後述する。
【0051】
続いて、情報提供装置5は、ステップS06を実行する。ステップS06では、メイン判定部52は、ステップS05においてバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定された判定時間帯のうち、停止希望時間に含まれる判定時間帯を抽出する。
【0052】
続いて、情報提供装置5は、ステップS07を実行する。ステップS07では、出力部53は、メイン判定部52の判定結果を出力する。すなわち、出力部53は、ステップS06において抽出した判定時間帯を、停止候補時間としてユーザに提示する。出力部53は、出力装置106に判定結果を表示させることにより、ユーザに向けて判定結果を出力する。このような処理を行った後、情報提供装置5は、処理を終了する。
【0053】
なお、情報提供装置5が上記ステップS01~S03において実行した処理内容を予め認識している場合には、情報提供装置5は、ステップS01~S03を省略してもよい。
【0054】
[時間判定処理]
図5は、情報提供装置5の時間判定処理を示すフローチャートである。まず、情報提供装置5は、ステップS101を実行する。ステップS101において、バイナリ発電装置2を停止させた場合に、需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯があるか否かを、第1判定部521が判定する。より具体的には、第1判定部521は、ステップS02において取得した対象日と対応する電源装置3の発電量データおよび需要家4の必要電力量データを参照する。続いて、ステップS03において取得した時間幅を有する判定時間帯ごとに、電源装置3の発電量が需要家4の必要電力量を上回っているか否かを第1判定部521が判定する。すなわち、特定の判定時間帯において電源装置3の発電量が需要家4の必要電力量を上回っている場合、第1判定部521は、判定時間帯にバイナリ発電装置2を停止させても、需要家4の必要電力量を供給できると判定する。また、特定の判定時間帯において電源装置3の発電量が需要家4の必要電力量を下回っている場合、第1判定部521は、判定時間帯にバイナリ発電装置2を停止させると、需要家4の必要電力量を供給できないと判定する。
【0055】
ステップS101において、バイナリ発電装置2を停止させた場合に、需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯があると第1判定部521が判定した場合(ステップS101:YES)、メイン判定部52は、需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯に、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS102)。ステップS101において、バイナリ発電装置2を停止させた場合に、需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯がないと第1判定部521が判定した場合(ステップS101:NO)、情報提供装置5は、ステップS103を実行する。
【0056】
ステップS103において、売電する電力の出力抑制が発生する出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があるか否かを、第2判定部522が判定する。より具体的には、第2判定部522は、対象日と対応する出力抑制確率データを参照する。また、第2判定部522は、判定時間帯ごとに、出力抑制確率が所定値以上であるか否かを判定する。
【0057】
ステップS103において、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があると第2判定部522が判定した場合(ステップS103:YES)、メイン判定部52は、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯に、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS102)。ステップS103において、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がないと第2判定部522が判定した場合(ステップS103:NO)、情報提供装置5は、ステップS104を実行する。
【0058】
ステップS104において、需給調整力が発動する需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯があるか否かを第3判定部523が判定する。より具体的には、第3判定部523は、対象日と対応する需給調整確率データを参照する。また、第3判定部523は、判定時間帯ごとに、需給調整確率が所定値以下であるか否かを判定する。
【0059】
ステップS104において、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯があると第3判定部523が判定した場合(ステップS104:YES)、メイン判定部52は、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯に、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS102)。ステップS104において、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯がないと第3判定部523が判定した場合(ステップS104:NO)、情報提供装置5は、ステップS105を実行する。
【0060】
ステップS105において、メンテナンスにより発生する費用が最も小さい判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であるとメイン判定部52が判定する。換言すると、メイン判定部52は、メンテナンスコストが最も小さい判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。より具体的には、第4判定部524は、対象日と対応するメンテナンスコストデータを参照する。また、第4判定部524は、判定時間帯ごとに、バイナリ発電装置2を停止させた場合に生じるメンテナンスコストを算出する。これにより、第4判定部524は、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を判定できる。メイン判定部52は、メンテナンスコストが最小となると第4判定部524が判定した判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0061】
上述したように、取得部51が取得するメンテナンスコストは、電力系統100から買電することにより発生する買電費用を含む。すなわち、対象日に売電が予定されていない場合において、第4判定部524は、買電費用が最小となる判定時間帯を判定する。また、取得部51が取得するメンテナンスコストは、電力系統100に売電することによって得られる売電利益を含む。すなわち、対象日に売電が予定された売電予定時間が存在する場合において、第4判定部524は、売電予定時間に売電した場合に得られる売電利益と、売電予定時間外に買電した場合に発生する買電費用と、を比較する。このような処理を行うことにより、第4判定部524は、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を判定する。
【0062】
以上のような処理の後、情報提供装置5は、時間判定処理を終了する。
【0063】
[作用効果]
以上説明した情報提供装置5、バイナリ発電装置2、およびエネルギシステム1では、メイン判定部52は、少なくとも電源装置3の運転状態に関する情報を含むシステム情報に基づいて判定を行う。すなわち、メイン判定部52は、所定の判定時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に、電源装置3によって需要家4に必要な電力を提供できるか否かを判定する。これにより、メイン判定部52は、バイナリ発電装置2の停止が可能であるか否かを判定する。したがって、不足する電力を電力系統100から購入せずにエネルギシステムを運用できる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0064】
取得部51は、システム情報として、需要家4に供給されるべき必要電力量に関する必要電力量データと、電源装置3の発電量に関する発電量データと、バイナリ発電装置2を停止させた場合に発生するメンテナンスコストに関する情報と、を取得し、メイン判定部52は、バイナリ発電装置2を停止させた場合に、電源装置3の発電量によって需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯があるか否かを判定する第1判定部521を含み、電源装置3の発電量によって需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯があると第1判定部521が判定した場合には、需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定し、電源装置3の発電量によって需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯がないと第1判定部521が判定した場合には、メンテナンスコストが最も小さい判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定してもよい。
【0065】
この構成によれば、電源装置3の発電量と需要家4に供給されるべき必要電力量とを比較することができる。これにより、バイナリ発電装置2を停止させた場合でも、電源装置3の発電量によって需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。また、この構成によれば、バイナリ発電装置2を停止させた場合に、電源装置3の発電量によって需要家4の必要電力量を供給できる判定時間帯がないと判定された場合でも、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0066】
取得部51は、システム情報として、電源装置3の発電量を抑制する必要が生じる出力抑制確率に関する情報と、電力系統100へ電力を売電する必要が生じる需給調整確率に関する情報と、電力系統100へ電力を売電することによって得られる売電利益に関する情報と、電力系統100から電力を買電することによって生じる買電費用に関する情報と、をさらに取得し、メイン判定部52は、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があるか否かを判定する第2判定部522と、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯があるか否かを判定する第3判定部523と、売電予定時間に電力系統100へ電力を売電することにより得られる売電利益と、売電予定時間外にバイナリ発電装置2を停止させた場合に生じる買電費用と、を比較することにより、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を判定する第4判定部524と、を含み、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があると第2判定部522が判定した場合には出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定し、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がなく、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯があると第3判定部523が判定した場合には、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定し、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がなく、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯がない場合には、メンテナンスコストが最も小さいと第4判定部524が判定した判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定してもよい。
【0067】
この構成によれば、電源装置3の発電量を抑制する必要が生じる出力抑制確率を考慮できる。これにより、電源装置3の発電量を抑制する必要が生じる可能性が高い判定時間帯を停止候補時間として判定できる。また、この構成によれば、電力系統100へ電力を売電する必要が生じる需給調整確率を考慮できる。これにより、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がないと判定された場合でも、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。また、この構成によれば、電力系統100へ電力を売電することにより得られる売電利益と、電力系統100から電力を買電することによって生じる買電費用と、を考慮できる。これにより、出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯がなく、需給調整確率が所定値以下となる判定時間帯がない場合でも、メンテナンスコストが最小となる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0068】
取得部51は、システム情報として、バイナリ発電装置2を停止させるためのユーザが希望する停止希望時間に関する情報を取得してもよい。この構成によれば、判定を行うにあたり、バイナリ発電装置2を停止させるためのユーザが希望する停止希望時間を考慮できる。
【0069】
また、情報提供装置5によれば、メンテナンスのためにバイナリ発電装置2を停止しても問題がないタイミングを提供できる。したがって、メンテナンス中のバイナリ発電装置2を代替する別のバイナリ発電装置を準備する必要がない。つまり、エネルギシステム1を構成するためのバイナリ発電装置2の台数を最小化することができる。その結果、エネルギシステムの構築に要する初期費用を抑制することができる。
【0070】
図6は、各数値の時間変化および判定結果の一例を示す図である。
図6(a)は、電源装置3の発電量3Dおよび需要家4の必要電力量4Dを示すグラフである。
図6(b)は、出力抑制確率ODを示すグラフである。
図6(c)は、需給調整確率SDを示すグラフである。
図6(d)は、判定結果を示すグラフである。
図6(a)において、電源装置3の発電量3Dは、破線で示されており、需要家4の必要電力量4Dは、実線で示されている。
図6(b)において、出力抑制確率ODは、実線で示されており、判定の基準となる所定値POは、破線で示されている。
図6(c)において、需給調整確率SDは、実線で示されており、判定の基準となる所定値PSは、破線で示されている。
図6(d)において、停止候補時間の時間帯は、「1」で示されており、停止候補時間でない時間帯は、「0」で示されている。
【0071】
ユーザは、所定の情報処理を行うことにより、時系列データである各情報を得ることができる。具体的には、
図6(a)~
図6(c)に示す各数値の判定時間帯ごとの平均値を算出することにより、各情報を形成する。情報提供装置5は、上述した動作を行うことにより、
図6(d)に示す判定結果をユーザに提供する。なお、ユーザは、対象日の判定時間帯の全てを停止希望時間としている。
【0072】
図5に示すステップS101において、メイン判定部52は、判定時間帯ごとに、電源装置3の発電量3Dと、需要家4の必要電力量4Dと、を比較する。そして、メイン判定部52は、電源装置3の発電量3Dの平均値が需要家4の必要電力量4Dの平均値を上回る判定時間帯に、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
図6(a)に示す例では、メイン判定部52は、どの判定時間帯においても、バイナリ発電装置2を停止させるべきでないと判定する。
【0073】
図5に示すステップS103において、メイン判定部52は、判定時間帯ごとに、出力抑制確率ODと、ユーザが設定した基準となる所定値POと、を比較する。そして、メイン判定部52は、出力抑制確率ODの平均値が所定値POを上回る判定時間帯に、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
図6(b)に示す例では、メイン判定部52は、いずれの判定時間帯においても、バイナリ発電装置2を停止させるべきでないと判定する。
【0074】
図5に示すステップS104において、メイン判定部52は、判定時間帯ごとに、需給調整確率SDと、ユーザが設定した基準となる所定値PSと、を比較する。そして、メイン判定部52は、需給調整確率SDの平均値が所定値PSを上回る判定時間帯に、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
図6(c)に示す例では、メイン判定部52は、0時~6時、18時~24時の判定時間帯に、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0075】
図4に示すステップS07において、出力部53は、判定結果をユーザに向けて出力する。
図6(d)に示す例では、メイン判定部52は、0時~6時および18時~24時の判定時間帯を停止候補時間としてユーザに提示する。
【0076】
続いて、第2実施形態に係る情報提供装置5Aについて説明する。第2実施形態は、おおむね第1実施形態と類似であるが、第2実施形態は、情報提供装置5Aの機能的な構成および時間判定処理に関して、第1実施形態と一部相違する。以下では、第1実施形態と第2実施形態との相違点を主として説明する。
【0077】
エネルギシステム1は、理想的には、バイナリ発電装置2および電源装置3が発電する発電量と、需要家4に提供されるべき必要電力量とが等しくなるように発電を行う。実際には、第1の例として、エネルギシステム1は、発電量が必要電力量を上回ることがないように、調整をする場合がある。既設系統の送電設備の容量に余裕のない場合に、エネルギシステム1を適用する場合には「発電量が必要電力量を上回ることがない」という動作を要する。この場合には、エネルギシステム1は、不足する電力を電力系統100から買電することができる。しかしながら、エネルギシステム1から電力系統100への電力の流出である逆潮流は、発生させない。すなわち、エネルギシステム1は、電力系統100への売電を行わない。
【0078】
一方で、系統の送電容量に空きがある場合は、既設系統に逆潮流可能と判断される。この場合には、第2の例として、エネルギシステム1は、発電量が必要電力量を上回ることがないように、調整をしない場合もあり得る。発電分全量売電する又は一部売電するといった設定は、送電設備容量のようなハードウェアの要因だけでなく、国の政策方針によって適宜選択してよい。
【0079】
[第2実施形態に係る情報提供装置の機能的な構成]
図7は、第2実施形態に係る情報提供装置5Aの機能的な構成を示す図である。
図6に示されるように、情報提供装置5Aは、取得部51Aと、メイン判定部52Aと、出力部53Aと、を備える。
【0080】
取得部51Aが取得するシステム情報は、電源装置3の運転状態に関する情報として、電源装置3の発電量に関する発電量データを含む。また、システム情報は、需要家4に供給されるべき必要電力量に関する必要電力量データと、再生可能エネルギー発電装置31の発電量の再生出力抑制確率に関する再生出力抑制確率データと、蓄電装置32の充電状態(SOC:State of Charge)に関する充電状態データと、メンテナンスコストに関するメンテナンスコストデータと、を含む。
【0081】
また、システム情報は、エネルギシステム1の管理者等のユーザによって取得部51Aに入力された情報を含んでもよい。例えば、取得部51Aは、情報提供装置5Aが備えるキーボード等の入力装置からユーザの操作を受け付けることにより、ユーザによって情報を入力されてもよい。
【0082】
ここで「再生出力抑制確率」とは、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制する必要が生じる確率である。また「再生出力抑制確率データ」とは、所定の期間における再生出力抑制確率の時間変化に関するデータをいう。一例として、再生可能エネルギー発電装置31の発電量が需要家4の必要電力量を上回る場合、電力系統100へ逆潮流を引き起す原因となる。この場合、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制する必要が生じる。ユーザは、例えば需要家4の運転スケジュール等に基づいて、所定の期間における再生出力抑制確率の時間変化を予測することにより、再生出力抑制確率データを取得できる。
【0083】
ここで「充電状態」とは、蓄電装置32の充電率に関する状態をいう。また「充電状態データ」とは、所定の期間における充電率の時間変化に関するデータをいう。一例として、充電率は、百分率で表現され得る。すなわち、充電率は、蓄電装置32が供給できる電力量に余裕があるか否かを示す一つの指標である。ユーザは、例えば需要家4の運転スケジュール等に基づいて、所定の期間における充電率の時間変化を予測することにより、充電状態データを取得できる。
【0084】
メイン判定部52Aは、第1判定部521A~第4判定部524Aに加え、第5判定部525Aを備える。メイン判定部52Aは、取得部51Aで取得した各情報に基づいて、後述する判定を行う。取得部51Aで取得した各情報とは、電源装置3の発電量データ、需要家4の必要電力量データ、再生出力抑制確率データ、充電状態データ、およびメンテナンスコストデータである。出力部53Aは、出力部53と同様の機能を有する。したがって、出力部53Aの説明は、省略する。
【0085】
[第2実施形態に係る時間判定処理]
図8~
図10を用いて、第2実施形態に係る時間判定処理について説明する。まず、情報提供装置5Aは、
図8に示すステップS201を実行する。ステップS201において、再生可能エネルギー発電装置31の出力抑制が発生する再生出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯があるか否かを、第1判定部521Aが判定する。以下の説明において、再生出力抑制確率が所定値以上となる判定時間帯は、出力抑制時間帯とも称する。より具体的には、第1判定部521Aは、対象日と対応する再生出力抑制確率データを参照する。また、第1判定部521Aは、判定時間帯ごとに、再生出力抑制確率が所定値以上であるか否かを判定する。
【0086】
ステップS201において、再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があると第1判定部521Aが判定した場合(ステップS201:YES)、情報提供装置5Aは、ステップS202を実行する。ステップS201において、再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯がないと第1判定部521Aが判定した場合(ステップS201:NO)、情報提供装置5Aは、
図8に示すステップS301を実行する。
【0087】
ステップS202において、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に、買電が必要となるか否かを、第2判定部522Aが判定する。より具体的には、第2判定部522Aは、対象日と対応する電源装置3の発電量データおよび需要家4の必要電力量データを参照する。続いて、出力抑制時間帯において、電源装置3の発電量が需要家4の必要電力量を上回っているか否かを第2判定部522Aが判定する。すなわち、出力抑制時間帯において電源装置3の発電量が需要家4の必要電力量を上回っている場合、第2判定部522Aは、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合でも、買電が必要とならないと判定する。また、出力抑制時間帯において電源装置3の発電量が需要家4の必要電力量を下回っている場合、第2判定部522Aは、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に、買電が必要となると判定する。
【0088】
ステップS202において、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合でも、買電が必要とならないと第2判定部522Aが判定した場合(ステップS202:NO)、メイン判定部52Aは、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS203)。ステップS202において、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に、買電が必要となると第2判定部522Aが判定した場合(ステップS202:YES)、情報提供装置5Aは、
図9に示すステップS401を実行する。
【0089】
図9に示すステップS301において、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯があるか否かを第3判定部523Aが判定する。より具体的には、第3判定部523Aは、対象日と対応する蓄電装置32の充電状態データを参照する。続いて、第3判定部523Aは、判定時間帯ごとに、充電率が所定値以上であるか否かを判定する。
【0090】
ステップS301において、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がないと第3判定部523Aが判定した場合(ステップS301:NO)、情報提供装置5Aは、ステップS302を実行する。ステップS301において、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯があると第3判定部523Aが判定した場合(ステップS301:YES)、メイン判定部52Aは、判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS303)。
【0091】
ステップS302において、第3判定部523Aは、買電費用が最も小さい判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。より具体的には、第3判定部523Aは、対象日と対応するメンテナンスコストデータを参照する。上述したように、取得部51Aが取得するメンテナンスコストは、電力系統100から買電することにより発生する買電費用を含む。したがって、第3判定部523Aは、判定時間帯ごとに、買電費用を算出することにより、対象日のうち、買電費用が最も小さい判定時間帯を判定できる。
【0092】
図10に示すステップS401において、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯があるか否かを第4判定部524Aが判定する。すなわち、第4判定部524Aは、ステップS301における第3判定部523Aと同様の判定を行う。
【0093】
ステップS401において、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯があると第4判定部524Aが判定した場合(ステップS401:YES)、メイン判定部52Aは、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS402)。ステップS401において、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がないと第4判定部524Aが判定した場合(ステップS401:NO)、情報提供装置5Aは、ステップS403を実行する。
【0094】
ステップS403において、出力抑制時間帯の買電費用は、需要家4の必要電力量が最小となる判定時間帯の買電費用よりも小さいか否かを第5判定部525Aが判定する。より詳細には、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に発生する買電費用は、需要家4の必要電力量が最小となる判定時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に発生する買電費用よりも小さいか否かを、第5判定部525Aが判定する。第5判定部525Aが上記判定を行うために実行する具体的な処理は、上述した各判定部が実行する処理と同様であるから、説明を省略する。
【0095】
ステップS403において、出力抑制時間帯の買電費用は、需要家4の必要電力量が最小となる判定時間帯の買電費用よりも小さいと第5判定部525Aが判定した場合(ステップS403:YES)、メイン判定部52Aは、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS402)。ステップS403において、出力抑制時間帯の買電費用は、需要家4の必要電力量が最小となる判定時間帯の買電費用よりも大きいと第5判定部525Aが判定した場合(ステップS403:NO)、第5判定部525Aは、需要家4の必要電力量が最小となる判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0096】
以上のような処理の後、情報提供装置5Aは、時間判定処理を終了する。
【0097】
[作用効果]
第2実施形態に係る情報提供装置5Aでは、エネルギシステム1は、電力系統100へ逆潮流しないように、バイナリ発電装置2および電源装置3の発電量を抑制し、電源装置3は、再生可能エネルギー発電装置31と、蓄電装置32と、を含み、システム情報は、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制する必要が生じる再生出力抑制確率に関する再生出力抑制確率データと、蓄電装置32の充電状態に関する充電状態データと、バイナリ発電装置2を停止させた場合に発生するメンテナンスコストに関するメンテナンスコストデータと、をさらに含む。
【0098】
換言すると、エネルギシステムは、電力系統へ逆潮流しないように、バイナリ発電装置および電源装置の発電量を抑制し、電源装置は、再生可能エネルギー発電装置と、蓄電装置と、を含み、システム情報は、再生可能エネルギー発電装置の発電量を抑制する必要が生じる再生出力抑制確率に関する情報と、蓄電装置の充電状態に関する情報と、バイナリ発電装置を停止させた場合に発生するメンテナンスコストに関する情報と、をさらに含む。
【0099】
この構成によれば、判定を行うにあたり、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制する必要が生じる再生出力抑制確率と、蓄電装置32の充電率と、バイナリ発電装置2を停止させた場合に発生するメンテナンスコストと、を考慮できる。これにより、バイナリ発電装置2を停止させた場合に、経済的損失が最も小さい判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0100】
メイン判定部52Aは、再生可能エネルギー発電装置31の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯がなく、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がある場合には、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0101】
換言すると、メイン判定部は、再生可能エネルギー発電装置の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯がなく、蓄電装置の充電率が所定値以上となる判定時間帯がある場合には、蓄電装置の充電率が所定値以上となる判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0102】
この構成によれば、判定を行うにあたり、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制しなければならない可能性が高い出力抑制時間帯がない場合に、蓄電装置の充電率が高い判定時間帯を考慮できる。これにより、バイナリ発電装置2を停止させたときに、電力系統100から買電せずに需要家4に電力を供給できる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0103】
メイン判定部52Aは、再生可能エネルギー発電装置31の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯がなく、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がない場合には、バイナリ発電装置2を停止させた場合に生じるメンテナンスコストが最も小さい判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0104】
換言すると、メイン判定部は、再生可能エネルギー発電装置の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯がなく、蓄電装置の充電率が所定値以上となる判定時間帯がない場合には、バイナリ発電装置を停止させた場合に生じるメンテナンスコストが最も小さい判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0105】
この構成によれば、判定を行うにあたり、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制しなければならない可能性が高い出力抑制時間帯がなく、蓄電装置の充電率が高い判定時間帯もない場合に、バイナリ発電装置2のメンテナンス時に生じる費用を考慮できる。これにより、バイナリ発電装置2を停止させたときに、電力系統100からの買電費用が最も小さい判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0106】
メイン判定部52Aは、再生可能エネルギー発電装置31の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合でも、買電が必要とならないと判定した場合には、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0107】
換言すると、メイン判定部は、再生可能エネルギー発電装置の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置を停止させた場合でも、買電が必要とならないと判定した場合には、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0108】
この構成によれば、判定を行うにあたり、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制しなければならない可能性が高い出力抑制時間帯がある場合に、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に買電費用が生じるか否かを考慮できる。これにより、バイナリ発電装置2を停止させたときに、電力系統100から買電しなくてもよい判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0109】
メイン判定部52Aは、再生可能エネルギー発電装置31の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に、買電が必要となると判定した場合であって、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がある場合には、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0110】
換言すると、メイン判定部は、再生可能エネルギー発電装置の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置を停止させた場合に、買電が必要となると判定した場合であって、蓄電装置の充電率が所定値以上となる判定時間帯がある場合には、蓄電装置の充電率が所定値以上となる判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0111】
この構成によれば、判定を行うにあたり、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制しなければならない可能性が高い出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置を停止させると電力系統100から買電が必要となる場合に、蓄電装置32の充電率を考慮できる。これにより、バイナリ発電装置2を停止させたときに、電力系統100からの買電が必要となる場合でも、蓄電装置32の充電率が高く、買電費用が小さくなる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0112】
メイン判定部52Aは、再生可能エネルギー発電装置31の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に、買電が必要となると判定した場合であって、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がなく、出力抑制時間帯のメンテナンスコストは、需要家4の必要電力量が最小となる判定時間帯のメンテナンスコストよりも小さい場合には、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0113】
換言すると、メイン判定部は、再生可能エネルギー発電装置の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置を停止させた場合に、買電が必要となると判定した場合であって、蓄電装置の充電率が所定値以上となる判定時間帯がなく、出力抑制時間帯のメンテナンスコストは、需要家の必要電力量が最小となる判定時間帯のメンテナンスコストよりも小さい場合には、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0114】
この構成によれば、判定を行うにあたり、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制しなければならない可能性が高い出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置を停止させると電力系統100から買電が必要となり、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がない場合に、出力抑制時間帯のメンテナンスコストを考慮できる。これにより、バイナリ発電装置2を停止させたときに、電力系統100からの買電が必要であり、蓄電装置32の充電率が低い場合でも、メンテナンスコストが最も小さくなる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0115】
メイン判定部52Aは、再生可能エネルギー発電装置31の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置2を停止させた場合に、買電が必要となると判定した場合であって、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がなく、出力抑制時間帯のメンテナンスコストは、需要家4の必要電力量が最小となる判定時間帯のメンテナンスコストよりも大きい場合には、需要家4の必要電力量が最小となる判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0116】
換言すると、メイン判定部は、再生可能エネルギー発電装置の再生出力抑制確率が所定値以上となる出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置を停止させた場合に、買電が必要となると判定した場合であって、蓄電装置の充電率が所定値以上となる判定時間帯がなく、出力抑制時間帯のメンテナンスコストは、需要家の必要電力量が最小となる判定時間帯のメンテナンスコストよりも大きい場合には、需要家の必要電力量が最小となる判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0117】
この構成によれば、判定を行うにあたり、再生可能エネルギー発電装置31の発電量を抑制しなければならない可能性が高い出力抑制時間帯があり、出力抑制時間帯にバイナリ発電装置を停止させると電力系統100から買電が必要となり、蓄電装置32の充電率が所定値以上となる判定時間帯がない場合に、需要家4の負荷が最小となる判定時間帯のメンテナンスコストを考慮できる。これにより、バイナリ発電装置2を停止させたときに、電力系統100からの買電が必要であり、蓄電装置32の充電率が低い場合でも、メンテナンスコストが最も小さくなる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0118】
上記実施形態では、エネルギシステム1が電力系統100への逆潮流を発生させない場合について説明したが、エネルギシステム1は、上記のものに限られない。例えば、逆潮流に関する制限がなく、バイナリ発電装置2の発電量を需要家4の必要電力量に追従させて変化させる場合でも、
図8及び
図9のフローチャートに示す時間判定処理を用いることが可能である。
【0119】
続いて、第3実施形態に係る情報提供装置5Bについて説明する。第3実施形態は、情報提供装置5Bの機能的な構成および時間判定処理に関して、第1実施形態と一部相違する。第3実施形態の説明についても、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0120】
エネルギシステム1は、FIT(Feed-in Tarrifs)制度を利用して電力系統100に売電を行っている。したがって、エネルギシステム1は、バイナリ発電装置2で発電した電力を需要家4に供給することなく、全て電力系統100に売電する。
【0121】
[第3実施形態に係る情報提供装置の機能的な構成]
図11は、第3実施形態に係る情報提供装置5Bの機能的な構成を示す図である。
図11に示されるように、情報提供装置5Bは、取得部51Bと、メイン判定部52Bと、出力部53Bと、を備える。
【0122】
取得部51Bが取得するシステム情報は、外的要因に関する外的要因データと、バイナリ発電装置2の発電量に関するバイナリ発電データを含む。
【0123】
また、システム情報は、エネルギシステム1の管理者等のユーザによって取得部51Bに入力された情報を含んでもよい。例えば、取得部51Bは、情報提供装置5Bが備えるキーボード等の入力装置からユーザの操作を受け付けることにより、ユーザによって情報を入力されてもよい。
【0124】
ここで「外的要因」とは、バイナリ発電装置2の発電量に影響する要因である。また「外的要因データ」とは、所定の期間における外的要因の時間変化に関するデータをいう。外的要因は、一例として気温、温泉水等の流量であり、本実施形態では、外的要因は、気温のみをいう。ユーザは、例えば気象予報施設が公開する情報等に基づいて、所定の期間における気温の時間変化を予測することにより、外的要因データを取得できる。
【0125】
また、ユーザは、外的要因データに基づいて、バイナリ発電装置2の発電量の時間変化に関するバイナリ発電量データを取得できる。上述したように、バイナリ発電装置2は、温泉水等により作動媒体を蒸発させ、作動媒体でタービンを回転させることにより発電を行う。したがって、気温は、バイナリ発電装置2の発電量に影響を与える。具体的には、気温が高いほどバイナリ発電装置2の発電量が大きくなり、気温が低いほどバイナリ発電装置2の発電量が小さくなる。このように、外的要因データを用いてバイナリ発電量データを取得する処理は、公知の情報処理手法によって実行され得る。
【0126】
メイン判定部52Bは、取得部51Bで取得した各情報に基づいて、後述する判定を行う。取得部51Bで取得した各情報とは、外的要因データ、バイナリ発電量データである。出力部53Bは、出力部53と同様の機能を有する。したがって、出力部53Bの説明は、省略する。
【0127】
[第3実施形態に係る時間判定処理]
図12を用いて、第3実施形態に係る時間判定処理について説明する。まず、情報提供装置5Bは、ステップS501を実行する。ステップS501において、外的要因によって、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以下となる判定時間帯があるか否かをメイン判定部52Bが判定する。より具体的には、メイン判定部52Bは、対象日と対応するバイナリ発電量データを参照する。また、メイン判定部52Bは、判定時間帯ごとに、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以下であるか否かを判定する。
【0128】
ステップS501において、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以上となる判定時間帯があるとメイン判定部52Bが判定した場合(ステップS501:YES)、メイン判定部52Bは、判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS502)。ステップS501において、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以上となる判定時間帯がないとメイン判定部52Bが判定した場合(ステップS501:NO)、メイン判定部52Bは、停止希望時間を含む判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS503)。
【0129】
以上のような処理の後、情報提供装置5Bは、時間判定処理を終了する。
【0130】
[作用効果]
第3実施形態に係る情報提供装置5Bでは、エネルギシステム1は、バイナリ発電装置2で発電した電力の全てを電力系統100へ売電し、システム情報は、バイナリ発電装置2の発電量に影響する外的要因に関する外的要因データを含み、メイン判定部52Bは、外的要因によって、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以下となる判定時間帯がある場合には、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以下となる判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0131】
換言すると、エネルギシステムは、バイナリ発電装置で発電した電力の全てを電力系統へ売電し、システム情報は、バイナリ発電装置の発電量に影響する外的要因に関する情報を含み、メイン判定部は、外的要因によって、バイナリ発電装置の発電量が所定値以下となる判定時間帯がある場合には、バイナリ発電装置の発電量が所定値以下となる判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0132】
この構成によれば、判定を行うにあたり、バイナリ発電装置2の発電量に影響する外的要因を考慮できる。これにより、外的要因によって、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以下となる判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0133】
メイン判定部52Bは、外的要因によって、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以下となる判定時間帯がない場合には、停止希望時間を含む判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0134】
換言すると、メイン判定部は、外的要因によって、バイナリ発電装置の発電量が所定値以下となる判定時間帯がない場合には、停止希望時間を含む判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0135】
この構成によれば、判定を行うにあたり、外的要因によって、バイナリ発電装置2の発電量が所定値以下となる判定時間帯がない場合に、停止希望時間を考慮できる。これにより、ユーザの希望に沿って判定時間帯を判定できる。
【0136】
[変形例]
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されない。例えば、情報提供装置5の動作は、上記説明したものに限られない。
図13を用いて、情報提供装置5の動作の変形例について説明する。
図13の例では、エネルギシステム1を構成するバイナリ発電装置2は、工業排熱を利用して発電を行う。この場合でも、次に説明するように、情報提供装置5によれば、経済的損失を抑制できる。
【0137】
図13は、変形例に係る情報提供装置5の動作を示すフローチャートである。まず、情報提供装置5は、ステップS601を実行する。ステップS601では、情報提供装置5は、設定および各種情報の取得を行う。ステップS601は、ステップS01~S04までの各種処理に対応する。
【0138】
本変形例では、システム情報は、バイナリ発電装置2が利用する工業排熱に関する工業排熱データを含む。工業排熱は、一例として、工場等から排出される温水等である。工業排熱データは、所定の期間において、バイナリ発電装置2に供給される温水量の時間変化に関するデータをいう。ユーザは、例えば工場が公開する情報等に基づいて、所定の期間における気温の時間変化を予測することにより、工業排熱データを取得できる。
【0139】
続いて、情報提供装置5は、ステップS602を実行する。ステップS602において、メイン判定部52は、工業排熱が発生しない判定時間帯があるか否かを判定する。より具体的には、メイン判定部52は、工業排熱データを参照する。続いて、メイン判定部52は、判定時間帯ごとに、工業排熱が発生するか否かを判定する。これにより、メイン判定部52は、工業排熱が発生しない判定時間帯があるか否かを判定できる。
【0140】
ステップS602において、工業排熱が発生しない判定時間帯がないとメイン判定部52が判定した場合(ステップS602:NO)、情報提供装置5は、ステップS603を実行する。ステップS602において、工業排熱が発生しない判定時間帯があるとメイン判定部52が判定した場合(ステップS602:YES)、情報提供装置5は、ステップS604を実行する。
【0141】
ステップS603において、情報提供装置5は、上述した第1実施形態~第3実施形態に係る時間判定処理を実行する。すなわち、ステップS603において、メイン判定部52は、バイナリ発電装置2の停止が可能である判定時間帯を判定する。
【0142】
続いて、情報提供装置5は、ステップS605を実行する。ステップS605において、バイナリ発電装置2の停止が可能であると判定された判定時間帯のうち、停止希望時間に含まれる判定時間帯を抽出する。すなわち、ステップS605におけるメイン判定部52の処理は、ステップS06におけるメイン判定部52の処理と同様である。
【0143】
ステップS605の後、情報提供装置5は、ステップS607を実行する。ステップS607において、出力部53は、判定結果を出力する。
【0144】
ステップS604において、メイン判定部52は、工業排熱が発生しない判定時間帯のうち、停止希望時間に含まれる判定時間帯はあるか否かを判定する。
【0145】
ステップS604において、工業排熱が発生しない判定時間帯のうち、停止希望時間に含まれる判定時間帯があるとメイン判定部52が判定した場合(ステップS604:YES)、メイン判定部52は、判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する(ステップS606)。ステップS604において、工業排熱が発生しない判定時間帯のうち、停止希望時間に含まれる判定時間帯がないとメイン判定部52が判定した場合(ステップS604:NO)、情報提供装置5は、ステップS603を実行する。
【0146】
ステップS606の後、情報提供装置5は、ステップS607を実行する。ステップS607において、出力部53は、判定結果を出力する。
【0147】
以上のような処理の後、情報提供装置5は、処理を終了する。
【0148】
[作用効果]
本変形例に係る情報提供装置5では、バイナリ発電装置2は、工業排熱を利用して発電を行い、システム情報は、工業排熱が生じる判定時間帯に関する情報を含み、メイン判定部52は、工業排熱の発生しない判定時間帯がある場合には、工業排熱の発生しない判定時間帯にバイナリ発電装置2の停止が可能であると判定する。
【0149】
換言すると、バイナリ発電装置は、工業排熱を利用して発電を行い、システム情報は、工業排熱が生じる判定時間帯に関する情報を含み、メイン判定部は、工業排熱が発生しない判定時間帯がある場合には、工業排熱の発生しない判定時間帯にバイナリ発電装置の停止が可能であると判定する。
【0150】
この構成によれば、判定を行うにあたり、工業排熱が発生しない判定時間帯を考慮することができる。これにより、工業排熱が発生しない判定時間帯を停止候補時間として判定できる。以上より、経済的損失を抑制できる。
【0151】
また、上記実施形態では、対象日として、バイナリ発電装置2の停止が可能である停止候補時間を知りたい1日を選んだが、2日以上の期間を選んでもよいし、24時間よりも短い時間帯を選んでもよい。また、時間判定処理において判定の基準として用いられる所定値は、適宜好適な値を選択することができる。
【0152】
また、情報提供装置5が判定を行うための各情報は、公知の予測方法および情報処理によって構成され得る。例えば、電源装置3の発電量を予測する方法、および発電量データ等を構成する方法は、上記説明したものに限定されない。
【0153】
また、情報提供装置5、バイナリ発電装置2およびエネルギシステム1は、不要な電力の買電を抑制できるので、国際連合が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に貢献することが可能となる。
【符号の説明】
【0154】
1 エネルギシステム
2 バイナリ発電装置
3 電源装置
4 需要家
5 情報提供装置(情報提供部)
21 発電部
22 通信部
51 取得部
52 メイン判定部(判定部)
521 第1判定部
522 第2判定部
523 第3判定部
524 第4判定部
525A 第5判定部
53 出力部