(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コネクタの固定構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240702BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20240702BHJP
【FI】
H01R13/52 302Z
H01R13/6581
(21)【出願番号】P 2020217179
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藁科 泰輔
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213114(JP,A)
【文献】特開2009-123519(JP,A)
【文献】特開2017-157392(JP,A)
【文献】特開2014-203538(JP,A)
【文献】特開2008-34250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0045699(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/6581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔が設けられた壁部を有する機器ケースと、
前記取付孔に挿入された挿入部を含み前記機器ケースに固定されたハウジング、および前記ハウジングを外方から覆うシェルを含むコネクタと、を備え、
前記取付孔の周囲に位置する壁部には、前記取付孔の軸方向の一方側に前記壁部から突出する突出部が設けられており、
前記突出部は、前記軸方向に直交する側方方向の一端側に側方部を含み、
前記シェルは、前記側方部を覆う側方カバー部を有
し、
前記軸方向および前記側方方向に直交する上下方向において、前記側方カバー部よりも下方に位置する部分の前記シェルと前記機器ケースの間には、隙間が形成されている、コネクタの固定構造。
【請求項2】
取付孔が設けられた壁部を有する機器ケースと、
前記取付孔に挿入された挿入部を含み前記機器ケースに固定されたハウジング、および前記ハウジングを外方から覆うシェルを含むコネクタと、を備え、
前記取付孔の周囲に位置する壁部には、前記取付孔の軸方向の一方側に前記壁部から突出する突出部が設けられており、
前記突出部は、前記軸方向に直交する側方方向の一端側に側方部を含み、
前記シェルは、前記側方部を覆う側方カバー部を有し、
前記側方カバー部の少なくとも一部が前記側方部に嵌合しており、
前記軸方向および前記側方方向に直交する上下方向において、前記側方カバーよりも下方に位置する部分の前記シェルは、前記機器ケースに嵌合していない、コネクタの固定構造。
【請求項3】
取付孔が設けられた壁部を有する機器ケースと、
前記取付孔に挿入された挿入部を含み前記機器ケースに固定されたハウジング、および前記ハウジングを外方から覆うシェルを含むコネクタと、を備え、
前記取付孔の周囲に位置する壁部には、前記取付孔の軸方向の一方側に前記壁部から突出する突出部が設けられており、
前記突出部は、前記軸方向に直交する側方方向の一端側に側方部を含み、
前記シェルは、前記側方部を覆う側方カバー部を有し、
前記側方カバー部は、前記軸方向および前記側方方向に直交する上下方向の上部に、天井部を含み、
前記天井部は、前記側方方向の外側に向かうに連れて下方に向かうように傾斜する傾斜部を有する、コネクタの固定構造。
【請求項4】
前記シェルは、前記軸方向の前記一方側に位置する背面側壁部、前記軸方向および前記側方方向に直交する上下方向の上方側において前記背面側壁部に接続された上壁部、ならびに、前記上壁部および前記背面側壁部に接続された側壁部を有する本体部を含み、
前記側方カバー部は、前記側壁部から前記側方方向の外側に突出するように設けられており、
前記側方カバー部および前記本体部は、同一部材で一体に構成されている、請求項1
から3のいずれか1項に記載のコネクタの固定構造。
【請求項5】
前記側方部と前記側方カバー部との間に、ラビリンス構造が形成されている、請求項1
から4のいずれか1項に記載のコネクタの固定構造。
【請求項6】
前記側方カバー部は、電磁波を遮蔽する遮蔽部材、または、電磁波を吸収する吸収部材によって構成されている、請求項1から
5のいずれか1項に記載のコネクタの固定構造。
【請求項7】
前記突出部は、前記軸方向の一方側に端面を有し、
前記シェルには、板バネが接続されており、
前記板バネは、前記突出部の端面に接触している、請求項1から
6のいずれか1項に記載のコネクタの固定構造。
【請求項8】
前記軸方向は、車両の前後方向に平行であり、
前記機器ケースは、前記コネクタよりも車両の前方側に配置され、
前記挿入部は、前記車両の後方側から前記取付孔に挿入されている、請求項1から
7のいずれか1項に記載のコネクタの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されるコネクタの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2015-82464号公報(特許文献1)には、車両に搭載される機器ケースに設けられた筒状部にコネクタの挿入部を挿入して、当該コネクタを機器ケースに固定する固定構造が開示されている。コネクタは、筒状部の内側に挿入される挿入部を有するハウジングと、当該ハウジングを覆うシールドシェルを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシールドシェルは、筒状部の上方を覆い、筒状部の上部に締結される上壁部を有するものの、筒状部の側方を覆う側壁部は設けられていない。
【0005】
一般的に、車両に搭載される機器ケースにコネクタを挿入する際に、周囲の構造物との位置関係によっては、作業者が筒状部の正面側に回り込むことができない場合がある。
【0006】
このような状況において、特許文献1に記載のシールドシェルの上壁部を筒状部に突き当てて、コネクタを機器ケースに組み付ける場合には、車両の左右方向におけるコネクタの位置が定まらないことがある。このため、コネクタを機器ケースに組み付けにくい場合があった。
【0007】
加えて、特許文献1のコネクタの固定構造においては、筒状部の側方が外部に露出するため、筒状部内への異物の侵入において改善の余地がある。
【0008】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、簡易な構成で組付性を向上させることができ、外部から取付孔への異物の侵入を抑制することができるコネクタの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に基づくコネクタの固定構造は、取付孔が設けられた壁部を有する機器ケースと、上記取付孔に挿入された挿入部を含み上記機器ケースに固定されたハウジング、および上記ハウジングを外方から覆うシェルを含むコネクタと、を備える。上記取付孔の周囲に位置する壁部には、上記取付孔の軸方向の一方側に上記壁部から突出する突出部が設けられている。上記突出部は、上記軸方向に直交する側方方向の一端側に側方部を含む。上記シェルは、上記側方部を覆う側方カバー部を有する。
【0010】
上記構成においては、コネクタに含まれるシェルが側方カバーを有することにより、コネクタの挿入部を機器ケースに設けられた取付孔に挿入する際に、取付孔の周囲に位置する壁部に設けられた突出部に、上記側方カバーの内表面を当てることで、コネクタの位置を容易に把握することができる。コネクタの位置を把握することにより、周囲の構造物との関係において、取付孔を正面側から確認できない場合であっても、容易に取付孔に挿入部を挿入することができる。この結果、簡易な構成で、機器ケースへのコネクタの組付性を向上させることができる。また、突出部の側方部を側方カバー部で覆うことにより、側方部が露出する場合と比較して、外部からシェル内に異物が侵入することを抑制することができる。
【0011】
上記本開示に基づくコネクタの固定構造にあっては、上記シェルは、上記軸方向の一方側に位置する背面側壁部、上記軸方向および上記側方方向に直交する上下方向の上方側において上記背面側壁部に接続された上壁部、ならびに、上記上壁部および上記背面側壁部に接続された側壁部を有する本体部を含んでいてもよい。この場合には、上記側方カバー部は、上記側壁部から上記側方方向外側に突出するように設けられていてもよく、上記側方カバー部および上記本体部は、同一部材で一体に構成されていてもよい。
【0012】
上記構成においては、シェルの本体部と側方カバー部とを同一の部材で一体に構成することにより、本体部と側方カバー部とを別体に構成する場合と比較して、シェルの構成を簡素化することができる。
【0013】
上記本開示に基づくコネクタの固定構造にあっては、上記側方部と、上記側方カバー部との間に、ラビリンス構造が形成されていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、ラビリンス構造によって外部から側方カバー部内に異物が侵入することをさらに抑制することができる。
【0015】
上記本開示に基づくコネクタの固定構造にあっては、上記側方カバー部は、電磁波を遮蔽する遮蔽部材、または、電磁波を吸収する吸収部材によって構成されていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、側方カバー部によって、電磁波ノイズの影響を低減することができる。
【0017】
上記本開示に基づくコネクタの固定構造にあっては、上記軸方向および上記側方方向に直交する上下方向において、上記側方カバー部よりも下方に位置する部分の上記シェルと上記機器ケースの間には、隙間が形成されていてもよい。
【0018】
上記構成によれば、シェル内に液体等の異物が侵入した場合であっても、シェルの下部側と機器ケースとの間の隙間から当該異物を排出することができる。これにより、液体がシェル内に溜まることを抑制し、シェルおよびその内部の構造物が腐食されることを抑制できる。
【0019】
上記本開示に基づくコネクタの固定構造にあっては、上記側方カバー部の少なくとも一部が上記側方部に嵌合していてもよい。この場合には、上記軸方向および上記側方方向に直交する上下方向において、上記側方カバー部よりも下方に位置する部分の上記シェルは、上記機器ケースに嵌合していなくてもよい。
【0020】
上記構成においては、コネクタの挿入部を機器ケースに設けられた取付孔に挿入する際に、側方カバー部の少なくとも一部が上記側方部に嵌合させることにより、組付性をさらに向上させることができる。加えて、シェルの下部側が壁部に嵌合しないことにより、シェルの下部側と壁部との間に隙間を形成することができる。これにより、当該隙間から異物を排出することができる。シェル内に液体等の異物が侵入した場合であっても、シェルの下部側と壁部の間の隙間から当該異物を排出することができる。この結果、液体がシェル内に溜まることを抑制し、シェルおよびその内部の構造物が腐食されることを抑制できる。
【0021】
上記本開示に基づくコネクタの固定構造にあっては、上記側方カバー部は、上記軸方向および上記側方方向に直交する上下方向の上部に、天井部を含んでいてもよい。また、上記天井部は、上記側方方向の外側に向かうに連れて下方に向かうように傾斜する傾斜部を有していてもよい。
【0022】
上記構成によれば、側方カバー部の天井部に傾斜部を設けることにより、天井部に液体等の異物が溜まることを抑制できる。これにより、側方カバー部が腐食することを抑制できる。
【0023】
上記本開示に基づくコネクタの固定構造にあっては、上記突出部は、上記軸方向の一方側に端面を有する。この場合には、上記シェルには、板バネが接続されていてもよい。また、上記板バネは、上記突出部の端面に接触していてもよい。
【0024】
上記構成によれば、シェルに接続された板バネを突出部を介して壁部に接地することができる。これにより、電磁波ノイズの影響を低減させることができる。
【0025】
上記本開示に基づくコネクタの固定構造にあっては、上記軸方向は、車両の前後方向に平行であってもよい。また、上記機器ケースは、上記コネクタよりも車両の前方側に配置されていてもよい。この場合には、上記挿入部は、上記車両の後方側から上記取付孔に挿入されていてもよい。
【0026】
上記構成によれば、機器ケースがコネクタよりも車両の前方側に配置されている構成において、機器ケースの前方側から作業者がコネクタを取り付ける場合に、好適に、組付性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、簡易な構成で組付性を向上させることができ、外部から取付孔への異物の侵入を抑制することができるコネクタの固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施の形態に係るコネクタの固定構造を示しており、機器ケースにコネクタが組み付けられた組付状態を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る機器ケースの斜視図である。
【
図4】
図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】
図1に示す組付状態を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0030】
図1は、実施の形態に係るコネクタの固定構造を示しており、機器ケースにコネクタが組み付けられた組付状態を示す斜視図である。
図1を参照して、実施の形態に係るコネクタの固定構造100について説明する。
【0031】
図1に示すように、実施の形態に係るコネクタの固定構造100は、機器ケース10、およびコネクタ20を備える。機器ケース10は、コネクタ20よりも車両の前方側に配置されている。コネクタ20は、締結部材90等によって機器ケース10に固定されている。
【0032】
図2は、実施の形態に係る機器ケースの斜視図である。
図2を参照して、機器ケース10について説明する。
【0033】
機器ケース10は、車両に搭載されるものであり、たとえば、インバータ、またはモータ等のケースである。機器ケース10内には、機器側コネクタが配設されている。機器ケース10は、たとえば、導電性を有する金属材料によって構成されている。
【0034】
機器ケース10は、略箱形形状を有する。機器ケース10は、取付孔11hが設けられた壁部11、および当該壁部11に設けられた突出部12とを含む。取付孔11hは、壁部11に貫通するように設けられている。取付孔11hの軸方向は、車両の前後方向と略平行である。
【0035】
壁部11は、上端11a、下端11b、および壁面11cを有する。上端11aおよび下端11bは、車両の上下方向における壁部11の両端に位置する。当該上端11aには、不図示の蓋部が固定される。また、下端11bには、機器ケース10の下部側を構成するロアケースが固定される。壁面11cは、コネクタ20側を向く。より具体的には、壁面11cは、車両の後方側を向く。
【0036】
取付孔11hの周囲に位置する壁部11には、当該取付孔11hの軸方向の一方側に壁部11(より特定的には壁面11c)から突出する突出部12が設けられている。
【0037】
突出部12は、筒状部13、および一対の凸部14を含む。筒状部13は、取付孔11hを規定する内周面を有する。筒状部13は、上記軸方向に直交する側方方向において、一対の凸部14の間に配置されている。側方方向は、車両の左右方向に略平行である。
【0038】
一対の凸部14は、上記側方方向に並んで配置されている。一対の凸部14は、上記側方方向において筒状部13の外側に位置する。一対の凸部14の一方は、上記側方方向における突出部12の一端側に設けられた側方部に相当する。
【0039】
突出部12は、上記軸方向の一方側に端面12aを有する。当該端面12aは、筒状部13が有する端面13aおよび一対の凸部14が有する端面14aを含む。
【0040】
壁部11の上部側、より特定的には、筒状部13の上方には、被取付部15が設けられている。被取付部15の上面には、締結溝15hが設けられている。当該締結溝15hは、上述の締結部材90が締結可能に形成されている。
【0041】
図3は、実施の形態に係るコネクタの斜視図である。
図3に示すように、コネクタ20は、ハウジング30、シェル40、配線引出部50、および板バネ60を含む。
【0042】
ハウジング30は、たとえば、合成樹脂によって形成されており、全体として略L字形状を有する。ハウジング30の一端は、車両の前方側に突出し、ハウジング30の他端は、下方に突出する。
【0043】
ハウジング30の一端には、取付孔11hに挿入される挿入部31が設けられている。挿入部31は、略筒状形状を有する。挿入部31の内側には、接続端子を収容する端子収容部32が設けられている。挿入部31には、端子収容部32が露出するようにリテーナ33が装着されている。リテーナ33は、端子収容部32が車両の前方側に抜けてしまうことを防止する。端子収容部32に収容された接続端子は、当該挿入部31を取付孔11hに挿入した際に、上述の機器側コネクタに接続される。
【0044】
挿入部31の外周面には、シールリング34が嵌着されている。当該シールリング34は、挿入部31を取付孔11hに挿入した際に、取付孔11hと挿入部31の外周面とによって挟持される。これにより、取付孔11hと挿入部31の外周面との間の隙間が封止される。
【0045】
ハウジング30の他端には、配線引出部50が設けられている。配線引出部50からは、配線が引き出されている。
【0046】
シェル40は、ハウジング30を外方から覆う。シェル40は、ハウジング30を覆った状態で締結部材等によってハウジング30に固定されている。シェル40は、たとえば、電磁波を遮蔽する遮蔽部材、または、電磁波を吸収する吸収部材によって構成されている。
【0047】
シェル40は、背面側壁部41、上壁部42、および一対の側壁部43を有する本体部45と、一対の側方カバー部46とを含む。
【0048】
背面側壁部41は、上記軸方向の一方側に位置する。背面側壁部は、板状に設けられており、上下方向に沿って延在する。上壁部42は、上方側において背面側壁部41に接続されている。上壁部42は、上記軸方向に平行な方向に沿って延在する。
【0049】
上壁部42には、上記締結溝15hに対応する位置に貫通孔42hが設けられている。貫通孔42hおよび締結溝15hが連通するように、上壁部42が上方側から上記被取付部15の上面に配置し、締結部材90を締結溝15hに締結することにより、シェル40が機器ケース10に固定される。
【0050】
一対の側壁部43は、上記側方方向の両側において、上壁部42と背面側壁部41とを接続する。一対の側壁部43は、板状に設けられており、上下方向に沿って延在する。
【0051】
一対の側方カバー部46は、それぞれ、一対の側壁部43に設けられている。側方カバー部46は、側壁部43から上記側方方向の外側に突出するように設けられている。一対の側方カバー部46は、突出部12の側方部を側方外側から被覆可能となるように設けられている。
【0052】
一対の側方カバー部46は、本体部45と同一の部材によって一体に構成されていてもよい。この場合には、本体部と側方カバー部とを別体に構成する場合と比較して、シェルの構成を簡素化することができる。
【0053】
また、一対の側方カバー部46は、電磁波を遮蔽する遮蔽部材、または、電磁波を吸収する吸収部材によって構成されていてもよい。この場合には、コネクタ20を機器ケース10に組み付けた組付状態において、電磁波ノイズの影響を低減させることができる。
【0054】
側方カバー部46は、天井部461、底壁部462、および接続壁部463を有する。天井部461は、側方カバー部46の上部に設けられている。天井部461は、上記側方方向の外側に向かうに連れて下方に向かうように傾斜する傾斜部を有する。これにより、天井部461に液体等の異物が溜まることを抑制でき、側方カバー部46が腐食することを抑制できる。
【0055】
底壁部462は、側方カバー部46の下部に設けられている。底壁部462は、下方に向かうにつれて上記側方方向の内側に向かうように設けられている。
【0056】
接続壁部463は、天井部461および底壁部462を接続するように設けられている。接続壁部463は、板状形状を有し、上下方向に沿うように設けられている。
【0057】
板バネ60は、上端60a(
図5参照)および下端60b(
図5参照)を有する。板バネ60は、上端60a側が下端60b側よりも壁部11に近づくように設けられており、略S字形状を有する。
【0058】
板バネ60は、シェル40に接続されている。具体的には、板バネ60の下端60b側が締結部材によってシェル40に固定されている。これにより、板バネ60の下端60b側が固定端となっており、板バネ60の上端60a側が自由端となっている。
【0059】
図4は、
図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。
図5は、
図1に示す組付状態を側方から見た図である。
図4および
図5を参照して、組付状態の詳細について説明する。
【0060】
図4に示すように、凸部14は、先端側から上記軸方向に沿って延在する側面部142、および根元側において側方方向の外側に広がるベース部141を有する。これにより、凸部14の先端側に位置する側面部142とベース部141との間には段差部143が形成されている。
【0061】
コネクタの固定構造100においては、側方カバー部46の接続壁部463の内表面と上記凸部14の側面部142とが当接しつつ、接続壁部463の先端463aが当該段差部143に突き当たっている。これにより、側方カバー部46と凸部14との間に、ラビリンス構造が形成されている。このため、組付状態において、外部から側方カバー部内に異物が侵入することを抑制することができる。
【0062】
図5に示すように、コネクタの固定構造100においては、板バネ60の上端60a側が、突出部12の端面12a(より特定的には凸部14の端面14a)に当接する。これにより、シェル40に接続された板バネ60を突出部12を介して壁部11に接地することができる。この結果、電磁波ノイズの影響を低減させることができる。
【0063】
さらに、側方カバー部46よりも下方において、軸方向におけるシェルの端面41aは、接続壁部463の先端463aよりも後退しており、側方カバー部46よりも下方に位置する部分のシェルと機器ケース10(より特定的には壁部11)との間には、隙間が形成されている。
【0064】
また、側方カバー部46の少なくとも一部が、凸部14に嵌合している。具体的には、一対の側方カバー部46の内表面が、一対の凸部14を挟み込んでいる。一方で、側方カバー部46よりも下方に位置する部分のシェル40は、機器ケース10には嵌合しておらず、側方カバー部46よりも下方側においては、シェル40と機器ケース10(より特定的には壁部11)との間には、上述同様の隙間が形成されている。
【0065】
このように隙間が形成されていることにより、シェル40内に液体等の異物が侵入した場合であっても、当該隙間から異物を排出することができる。この結果、液体がシェル40内に溜まることを抑制し、シェル40およびその内部の構造物が腐食されることを抑制できる。
【0066】
ここで、本実施の形態におけるコネクタの固定構造100にあっては、上述のように、取付孔11hの周囲に位置する壁部11に、取付孔11hの軸方向の一方側に壁部11から突出する突出部12が設けられており、当該突出部12は、側方方向の一端側に側方部としての凸部14が設けられている。さらに、コネクタ20に含まれるシェル40は、凸部14を覆う側方カバー部46を有する。
【0067】
コネクタ20を機器ケース10に組み付ける際には、作業者は、一対の側方カバー部46のうちの一方の側方カバー部46の内表面を、当該一方の側方カバー部46に対応する凸部14の側面部142に当接させることにより、コネクタ20の位置を容易に把握することができる。このため、周囲の構造物との関係において、取付孔11hを正面側から確認できない場合であっても、コネクタ20の挿入部31を取付孔11hに容易に挿入することができる。この結果、簡易な構成で、機器ケース10へのコネクタ20の組付性を向上させることができる。また、突出部12の側方部(凸部14)を側方カバー部46で覆うことにより、凸部14が露出する場合と比較して、外部からシェル40内に異物が侵入することを抑制することができる。
【0068】
特に、機器ケース10が、コネクタ20よりも車両の前方側に配置され、機器ケース10の前方側から作業者が、挿入部31を、車両の後方側から取付孔11hに挿入するような場合においては、好適に、組付性を向上させることができる。
【0069】
(その他の変形例)
上述においては、突出部12が、筒状部13と、側方方向における筒状部13の両側に配置された一対の凸部14とを含む場合を例示して説明したが、これに限定されない。凸部14は、側方方向における筒状部13の一端側にのみ設けられていてもよい。この場合においては、一対の側方カバー部46の一方は、当該凸部14を覆い、一対の側方カバー部46の他方は、筒状部13の周壁部を覆う。この場合においても、コネクタ20を機器ケース10に組み付ける際に、一方の側方カバー部46の内表面を凸部14の側面部142に当接させることにより、コネクタ20の位置を容易に把握することができ、実施の形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0070】
また、筒状部13の両側に凸部14が設けられていなくてもよい。この場合には、側方方向における筒状部13の周壁部の一部が、側方部として機能し、側方カバー部46は、筒状部13の周壁部を側方側から覆うように設けられる。この場合においても、コネクタ20を機器ケース10に組み付ける際に、側方カバー部46の内表面を筒状部13の周壁部に当接させることにより、コネクタ20の位置を容易に把握することができ、実施の形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0071】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10 機器ケース、11 壁部、11a 上端、11b 下端、11c 壁面、11h 取付孔、12 突出部、12a 端面、13 筒状部、14 凸部、14a 端面、15 被取付部、15a 端面、15h 締結溝、20 コネクタ、30 ハウジング、31 挿入部、32 端子収容部、33 リテーナ、34 シールリング、40 シェル、41 背面側壁部、41a 端面、42 上壁部、42h 貫通孔、43 側壁部、45 本体部、46 側方カバー部、50 配線引出部、60 板バネ、60a 上端、60b 下端、90 締結部材、100 固定構造、141 ベース部、142 側面部、143 段差部、461 天井部、462 底壁部、463 接続壁部、463a 先端。