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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/20 20060101AFI20240702BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02H7/20
B60R16/02 645A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021002279
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107369
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】澤田 凌兵
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 征哉
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201391(JP,A)
【文献】特開2017-225045(JP,A)
【文献】特開2013-128386(JP,A)
【文献】特開2020-5344(JP,A)
【文献】特開2017-229138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H02H 7/10-7/20
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電圧を出力する出力部と、
スイッチと、
前記出力部が出力した1つの出力電圧が一端に入力される抵抗と、
前記抵抗の他端の抵抗電圧に応じて前記スイッチをオン又はオフに切替える切替え回路と、
前記出力部が出力した複数の出力電圧に含まれる複数の特定電圧の全てが出力閾値以上である場合に前記抵抗電圧を低下させる低下回路と
を備えるスイッチ装置。
【請求項2】
前記切替え回路は、前記抵抗電圧が抵抗閾値以上の電圧となった場合に前記スイッチをオンに切替え、前記抵抗電圧が前記抵抗閾値未満の電圧となった場合に前記スイッチをオフに切替え、
前記低下回路は、前記複数の特定電圧の全てが前記出力閾値以上である場合、前記抵抗電圧を前記抵抗閾値未満の電圧に低下させる
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記出力閾値は前記抵抗閾値未満である
請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
電流は、抵抗成分を有する抵抗部材及び導体の順に流れ、
前記出力部は、基準電位が前記抵抗部材の上流側の一端の第1電位である前記複数の出力電圧それぞれを調整し、
前記切替え回路は、基準電位が、前記抵抗部材の上流側の一端とは異なる場所の第2電位である前記抵抗電圧に応じて前記スイッチをオン又はオフに切替え、
前記低下回路は、基準電位が前記第2電位である前記複数の特定電圧の全てが前記出力閾値以上である場合に前記抵抗電圧を低下させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記抵抗の他端に一端が接続される第2のスイッチを備え、
前記第2のスイッチがオンである場合、電流は、前記抵抗、第2のスイッチ及び導体の順に流れ、
前記低下回路は、前記複数の特定電圧の全てが前記出力閾値以上である場合に前記第2のスイッチをオンに切替える
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記出力部が前記抵抗の一端に出力する出力電圧は、前記複数の特定電圧の1つである
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記出力部が前記抵抗の一端に出力する出力電圧は、前記複数の特定電圧とは異なる
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
第1基板と、
前記第1基板とは異なる第2基板と
を備え、
前記第1基板に前記出力部が配置され、
前記第2基板に前記スイッチ、抵抗、切替え回路及び低下回路が配置されている
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、電源から負荷への給電を制御するスイッチ装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載のスイッチ装置では、電源及び負荷間にスイッチが接続されている。スイッチをオン又はオフに切替えることによって、電源から負荷への給電を制御する。
【0003】
スイッチは切替え回路によってオン又はオフに切替えられる。切替え回路には、出力部から電圧が入力されている。切替え回路は、出力部から入力された入力電圧に応じて、スイッチをオン又はオフに切替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-101184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の給電制御装置では、出力部が誤った電圧を切替え回路に出力した場合のスイッチの切替えについて考慮されていない。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出力部が誤った電圧を出力した場合に適切なスイッチの切替えを行うことができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るスイッチ装置は、複数の電圧を出力する出力部と、スイッチと、前記出力部が出力した1つの出力電圧が一端に入力される抵抗と、前記抵抗の他端の抵抗電圧に応じて前記スイッチをオン又はオフに切替える切替え回路と、前記出力部が出力した複数の出力電圧に含まれる複数の特定電圧の全てが出力閾値以上である場合に前記抵抗電圧を低下させる低下回路とを備える。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様によれば、出力部が誤った電圧を出力した場合に適切なスイッチの切替えが行われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】スイッチ装置の平面図である。
図3】調整回路の回路図である。
図4】調整回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図5】基準電位差が上昇する例の説明図である。
図6】実施形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図7】調整回路の回路図である。
図8】実施形態3における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図9】駆動ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図10】調整回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図11】実施形態4における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図12】調整回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0011】
(1)本開示の一態様に係るスイッチ装置は、複数の電圧を出力する出力部と、スイッチと、前記出力部が出力した1つの出力電圧が一端に入力される抵抗と、前記抵抗の他端の抵抗電圧に応じて前記スイッチをオン又はオフに切替える切替え回路と、前記出力部が出力した複数の出力電圧に含まれる複数の特定電圧の全てが出力閾値以上である場合に前記抵抗電圧を低下させる低下回路とを備える。
【0012】
上記の態様にあっては、通常、出力部が出力している複数の特定電圧の全てが出力閾値以上の電圧となることはない。全ての特定電圧が出力閾値以上の電圧となった場合、出力部が誤った出力電圧を出力したとして、抵抗電圧を低下させる。これにより、スイッチは、抵抗電圧が低い場合の状態に切替えられる。このため、適切なスイッチの切替えを行うことができる。
【0013】
(2)本開示の一態様に係るスイッチ装置では、前記切替え回路は、前記抵抗電圧が抵抗閾値以上の電圧となった場合に前記スイッチをオンに切替え、前記抵抗電圧が前記抵抗閾値未満の電圧となった場合に前記スイッチをオフに切替え、前記低下回路は、前記複数の特定電圧の全てが前記出力閾値以上である場合、前記抵抗電圧を前記抵抗閾値未満の電圧に低下させる。
【0014】
上記の態様にあっては、全ての特定電圧が出力閾値以上である場合、スイッチはオフに切替えられる。
【0015】
(3)本開示の一態様に係るスイッチ装置では、前記出力閾値は前記抵抗閾値未満である。
【0016】
上記の態様にあっては、出力閾値が抵抗閾値未満である。このため、出力部が誤った出力電圧を出力した場合において、抵抗電圧が抵抗閾値以上の電圧となる前の抵抗電圧の低下を実現することができる。結果、スイッチがオンに切替わる前の抵抗電圧の低下を実現することができる。
【0017】
(4)本開示の一態様に係るスイッチ装置では、電流は、抵抗成分を有する抵抗部材及び導体の順に流れ、前記出力部は、基準電位が前記抵抗部材の上流側の一端の第1電位である前記複数の出力電圧それぞれを調整し、前記切替え回路は、基準電位が、前記抵抗部材の上流側の一端とは異なる場所の第2電位である前記抵抗電圧に応じて前記スイッチをオン又はオフに切替え、前記低下回路は、基準電位が前記第2電位である前記複数の特定電圧の全てが前記出力閾値以上である場合に前記抵抗電圧を低下させる。
【0018】
上記の態様にあっては、第1電位から第2電位を減算することによって得られる電位差がゼロVを超えている場合、基準電位が第2電位である出力電圧(特定電圧)は、基準電位が第1電位である出力電圧(特定電圧)よりも電位差だけ高い。電位差が出力閾値以上である場合、出力部が行う出力電圧の調整に無関係に、全ての特定電圧が出力閾値以上となる。
【0019】
(5)本開示の一態様に係るスイッチ装置は、前記抵抗の他端に一端が接続される第2のスイッチを備え、前記第2のスイッチがオンである場合、電流は、前記抵抗、第2のスイッチ及び導体の順に流れ、前記低下回路は、前記複数の特定電圧の全てが前記出力閾値以上である場合に前記第2のスイッチをオンに切替える。
【0020】
上記の態様にあっては、第2のスイッチをオンに切替えることによって、抵抗電圧を低下させる。
【0021】
(6)本開示の一態様に係るスイッチ装置では、前記出力部が前記抵抗の一端に出力する出力電圧は、前記複数の特定電圧の1つである。
【0022】
上記の態様にあっては、抵抗の一端に出力する出力電圧が1つの特定電圧として用いられる。
【0023】
(7)本開示の一態様に係るスイッチ装置では、前記出力部が前記抵抗の一端に出力する出力電圧は、前記複数の特定電圧とは異なる。
【0024】
上記の態様にあっては、抵抗の一端に出力されている出力電圧とは異なる複数の出力電圧に含まれる複数の特定電圧に基づいて、抵抗電圧を低下させるか否かが判定される。
【0025】
(8)本開示の一態様に係るスイッチ装置は、第1基板と、前記第1基板とは異なる第2基板とを備え、前記第1基板に前記出力部が配置され、前記第2基板に前記スイッチ、抵抗、切替え回路及び低下回路が配置されている。
【0026】
上記の態様にあっては、出力部が第1基板に配置されている。スイッチ、抵抗、切替え回路及び低下回路は第2基板に配置されている。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
(実施形態1)
<電源システムの構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は車両に搭載されている。電源システム1は、スイッチ装置10、直流電源11、2つの負荷E1,E2及び導体Gを備える。直流電源11は例えばバッテリである。導体Gは、例えば、車両のボディである。
【0029】
以下では、任意の整数をiで表す。整数iは、1及び2のいずれであってもよい。スイッチ装置10は、2つのメインスイッチF1,F2を有する。メインスイッチFiはNチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。メインスイッチFiがオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値が十分に小さい。このため、メインスイッチFiのドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。メインスイッチFiがオフである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値が十分に大きい。このため、メインスイッチFiのドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。
【0030】
直流電源11の正極は、メインスイッチFiのドレインに接続されている。メインスイッチFiのソースは負荷Eiの一端に接続されている。直流電源11の負極及び負荷E1,E2の他端は導体Gに接続されている。導体Gへの接続によって接地が実現される。スイッチ装置10は、第1導線W1及び第2導線W2の一端に各別に接続されている。第1導線W1及び第2導線W2の他端は導体Gに接続されている。第1導線W1及び第2導線W2が接続される導体Gの位置は相互に異なっている。
【0031】
メインスイッチFiがオンに切替わった場合、直流電源11の正極からメインスイッチFi及び負荷Eiの順に流れる。これにより、負荷Eiに電力が供給される。メインスイッチFiがオフに切替わった場合、負荷Eiへの給電が停止する。負荷Eiは電気機器である。負荷Eiに電力が供給された場合、負荷Eiが作動する。負荷Eiへの給電が停止した場合、負荷Eiは動作を停止する。スイッチ装置10は、メインスイッチFiをオン又はオフに切替えることによって、負荷Eiの動作を制御する。
【0032】
2つの負荷E1,E2を同時に作動させなければならない状況はない。このため、スイッチ装置10が、2つのメインスイッチF1,F2の両方をオンに切替えなければならない状況はない。例えば、負荷E1は、車両の前方を照らすハイビーム用のライトである。負荷E2は、車両の前方の下側を照らすロービーム用のライトである。
【0033】
<スイッチ装置10の構成>
スイッチ装置10は、制御器20、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)21及びレギュレータ22を有する。制御器20は、調整回路30、2つのメインスイッチF1,F2及び2つの駆動回路H1,H2を有する。制御器20では、メインスイッチFiのゲートは、駆動回路Hiに接続されている。駆動回路Hiは調整回路30を介してマイコン21に各別に接続されている。駆動回路Hi及び調整回路30は第2導線W2の一端に接続されている。前述したように、第2導線W2の他端は導体Gに接続されている。
【0034】
マイコン21は、更に、レギュレータ22と、第1導線W1の一端とに接続されている。前述したように、第1導線W1の他端は導体Gに接続されている。レギュレータ22は、更に、メインスイッチFiのドレインと、第1導線W1の一端とに接続されている。
以下では、第1導線W1の一端の電位を第1電位P1と記載する。第2導線W2の一端の電位を第2電位P2と記載する。直流電源11の正極の電圧を電源電圧と記載する。
【0035】
電流は、直流電源11の正極から、レギュレータ22、第1導線W1及び導体Gの順に流れる。これにより、レギュレータ22に電力が供給される。レギュレータ22は、基準電位が第1電位P1である電源電圧を一定電圧に降圧し、降圧した電圧をマイコン21に印加する。これにより、電流は、直流電源11の正極から、レギュレータ22、マイコン21、第1導線W1及び導体Gの順に流れる。これにより、マイコン21に電力が供給される。電流は第1導線W1の一端及び他端の順に流れるので、第1電位P1は、第1導線W1の上流側の一端の電位である。
【0036】
マイコン21は、駆動回路Hi用の出力電圧を出力する。従って、マイコン21は2つの出力電圧を出力する。マイコン21は出力部として機能する。マイコン21は、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整する。ハイレベル電圧及びローレベル電圧は一定である。ハイレベル電圧はローレベル電圧よりも高い。ローレベル電圧はゼロVである。ハイレベル電圧は例えば5Vである。
【0037】
調整回路30は、駆動回路Hi用の出力電圧に基づいて、駆動回路Hiに入力される入力電圧を調整する。駆動回路Hiは、基準電位が第2電位P2である入力電圧が入力閾値以上である場合、メインスイッチFiをオンに切替える。駆動回路Hiは、基準電位が第2電位P2である入力電圧が入力閾値未満である場合、メインスイッチFiをオフに切替える。入力閾値は、一定値であり、ゼロVを超えている。駆動回路Hiは切替え回路として機能する。
【0038】
メインスイッチFiにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定電圧以上である場合、メインスイッチFiはオンである。メインスイッチFiにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定電圧未満である場合、メインスイッチFiはオフである。
【0039】
駆動回路Hiは、メインスイッチFiをオンに切替える場合、基準電位が第2電位P2であるゲートの電圧を上昇させる。これにより、メインスイッチFiでは、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定電圧以上の電圧となる。結果、メインスイッチFiはオンに切替わる。駆動回路Hiは、メインスイッチFiをオフに切替える場合、基準電位が第2電位P2であるゲートの電圧を低下させる。これにより、メインスイッチFiでは、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定電圧未満の電圧となる。結果、メインスイッチFiはオフに切替わる。
以上のように、駆動回路Hiは、基準電位が第2電位P2であるゲートの電圧を調整することによって、メインスイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0040】
調整回路30は、基準電位が第2電位P2であるマイコン21の出力電圧を出力閾値と比較する。出力閾値は、一定値であり、ゼロVを超えている。出力閾値は入力閾値以下である。調整回路30は、マイコン21が出力する2つの出力電圧中の少なくとも一方が出力閾値未満である場合、駆動回路Hiの入力電圧を、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧に調整する。調整回路30は、マイコン21が出力した2つの出力電圧の両方が出力閾値以上である場合、2つの駆動回路H1,H2の入力電圧をゼロVに低下させる。マイコン21が出力した2つの出力電圧は2つの特定電圧に相当する。
【0041】
第1導線W1及び第2導線W2それぞれは、抵抗成分を有する抵抗部材である。従って、第1導線W1において、マイコン21側の一端から導体Gに向かって電流が流れた場合、導体Gの電位に対して第1電位P1は上昇する。上昇幅が第1導線W1を介して流れる電流の電流値が大きい程、大きい。同様に、第2導線W2において、調整回路30側の一端から導体Gに向かって電流が流れた場合、導体Gの電位に対して第2電位P2は上昇する。上昇幅が第2導線W2を介して流れる電流の電流値が大きい程、大きい。
【0042】
以下では、第1電位から第2電位を減算することによって得られる電位差を基準電位差と記載する。基準電位差がゼロVを超えている場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧は、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧よりも基準電位差だけ高い。
【0043】
前述したように、出力閾値は入力閾値以下である。ハイレベル電圧は入力閾値以上である。ローレベル電圧は、ゼロVであり、出力閾値未満である。まず、基準電位差がゼロV以上であり、かつ、出力閾値未満である場合のスイッチ装置10の動作を説明する。基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧がハイレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hiの出力電圧は、出力閾値以上である。基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧がローレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hiの出力電圧は出力閾値未満である。
【0044】
マイコン21は、基準電位が第1電位P1である2つの出力電圧の両方をハイレベル電圧に調整することはない。従って、調整回路30は、駆動回路Hiの入力電圧を、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧に調整する。マイコン21が、基準電位が第1電位P1である出力電圧をハイレベル電圧に調整した場合、駆動回路HiはメインスイッチFiをオンに切替える。マイコン21が、基準電位が第1電位P1である出力電圧をローレベル電圧に調整した場合、駆動回路HiはメインスイッチFiをオフに切替える。
【0045】
従って、基準電位差がゼロVを超えており、かつ、出力閾値未満である場合、マイコン21は、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整することによって、メインスイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0046】
次に、基準電位差が出力閾値以上である場合のスイッチ装置10の動作を説明する。基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧がハイレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧は出力閾値以上である。基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧がローレベル電圧に調整された場合も、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧は出力閾値以上である。
【0047】
従って、基準電位差が出力閾値以上である場合、マイコン21が出力した2つの出力電圧の両方が出力閾値以上である。この場合、調整回路30は、2つの駆動回路H1,H2の入力電圧をゼロVに低下させる。前述したように、入力閾値はゼロVを超えている。このため、調整回路30が2つの駆動回路H1,H2の入力電圧をゼロVに低下させた場合、駆動回路H1,H2それぞれはメインスイッチF1,F2をオフに切替える。
【0048】
以上のように、出力閾値以上である2つの出力電圧をマイコン21が誤って出力した場合、調整回路30は、2つの駆動回路H1,H2の入力電圧をゼロVに低下させる。結果、駆動回路H1,H2それぞれはメインスイッチF1,F2をオフに切替える。
【0049】
<スイッチ装置10の外観>
図2はスイッチ装置10の平面図である。スイッチ装置10は、更に、第1基板B1及び第2基板B2を有する。第2基板B2は第1基板B1とは異なる。第1基板B1には、マイコン21及びレギュレータ22が配置されている。マイコン21は、例えば、集積回路チップである。第2基板B2には、調整回路30、2つのメインスイッチF1,F2及び2つの駆動回路H1,H2が配置されている。調整回路30及び駆動回路H1,H2それぞれについては、具体的には、回路を構成する一又は複数の回路素子が配置されている。従って、制御器20は第2基板B2において実現されている。第1基板B1及び導体Gは第1導線W1によって接続されている。第2基板B2及び導体Gは第2導線W2によって接続されている。
【0050】
なお、1つの基板に、マイコン21、レギュレータ22、調整回路30、2つのメインスイッチF1,F2及び2つの駆動回路H1,H2が配置されていてもよい。
【0051】
<調整回路30の構成>
図3は調整回路30の回路図である。調整回路30は、AND回路40、2つのスイッチ回路J1,J2及び2つの接続抵抗R1,R2を有する。AND回路40は、2つの入力端と、出力端とを有する。接続抵抗Riは、マイコン21及び駆動回路Hi間に接続されている。マイコン21及び接続抵抗Ri間の接続ノードはAND回路40の入力端に接続されている。従って、AND回路40が有する2つの入力端はマイコン21に各別に接続されている。スイッチ回路Jiは、駆動回路Hi及び接続抵抗Ri間の接続ノードと、AND回路40の出力端と、第2導線W2の一端とに接続されている。
【0052】
スイッチ回路Jiは、サブスイッチ50及び回路抵抗51,52を有する。図3では、スイッチ回路J1の構成が代表として示されている。サブスイッチ50は、NPN型のバイポーラトランジスタである。サブスイッチ50がオンである場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値が十分に小さい。このため、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることが可能である。サブスイッチ50がオフである場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値が十分に大きい。このため、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることはない。
【0053】
スイッチ回路Jiでは、サブスイッチ50のコレクタは、接続抵抗Riの駆動回路Hi側の一端に接続されている。サブスイッチ50は第2のスイッチとして機能する。サブスイッチ50のエミッタは第2導線W2の一端に接続されている。サブスイッチ50のベース及びエミッタ間には回路抵抗51が接続されている。サブスイッチ50のベースには、回路抵抗52の一端が接続されている。回路抵抗52の他端は、AND回路40の出力端に接続されている。
【0054】
接続抵抗Riの一端には、マイコン21が出力した駆動回路Hi用の出力電圧が入力される。接続抵抗Riの駆動回路Hi側の一端の電圧が入力電圧として駆動回路Hiに入力される。入力電圧及び入力閾値それぞれは、抵抗電圧及び抵抗閾値に相当する。前述したように、駆動回路Hiは、入力電圧に応じてメインスイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0055】
スイッチ回路Jiのサブスイッチ50について、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が一定電圧未満である場合、サブスイッチ50はオフである。一定電圧は正値である。サブスイッチ50がオフである場合、接続抵抗Riを介して電流が流れることはない。このため、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧が、入力電圧として駆動回路Hiに入力される。駆動回路Hiは、基準電位が第2電位P2である入力電圧を監視している。
【0056】
スイッチ回路Jiのサブスイッチ50について、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が一定電圧以上である場合、サブスイッチ50はオンである。サブスイッチ50がオンである場合、基準電位が第2電位P2である入力電圧をゼロVに低下させる。入力電圧がゼロVである場合、入力電圧は入力閾値未満である。このため、駆動回路HiはメインスイッチFiをオフに切替える。
基準電位が第2電位である駆動回路Hi用の出力電圧がゼロVを超えている場合において、サブスイッチ50がオンであるとき、電流は、接続抵抗Ri、サブスイッチ50及び導体Gの順に流れる。
【0057】
AND回路40は、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧を出力閾値と比較する。AND回路40は、2つの出力電圧の少なくとも一方が出力閾値未満である場合、基準電位が第2電位P2である出力端の電圧をゼロVに調整する。この場合、スイッチ回路Jiにおいて、回路抵抗51を介して電流が流れない。従って、サブスイッチ50について、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧は、ゼロVであり、一定電圧未満である。結果、サブスイッチ50はオフである。
【0058】
AND回路40は、2つの出力電圧の両方が出力閾値以上である場合、基準電位が第2電位P2である出力端の電圧を正の所定電圧に調整する。この場合、電流は、回路抵抗52,51、第2導線W2及び導体Gの順に流れる。これにより、回路抵抗51において電圧降下が生じるので、サブスイッチ50について、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧は、一定電圧以上である。結果、サブスイッチ50はオンである。AND回路40がスイッチ回路J1,J2のサブスイッチ50をオンに切替えた場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路H1,H2の入力電圧をゼロVに低下する。AND回路40は低下回路として機能する。
【0059】
<調整回路30の動作>
図4は、調整回路30の動作を説明するためのタイミングチャートである。図4には、駆動回路Hi用の出力電圧の推移と、駆動回路Hiの入力電圧の推移と、駆動回路H1,H2のサブスイッチ50の状態の推移とが示されている。駆動回路H1,H2のサブスイッチ50の状態は常に同じである。図4では、出力閾値及び入力閾値それぞれはVs及びVtで表されている。図4では、基準電位が第2電位P2である2つの出力電圧及び2つの入力電圧が示されている。前述したように、出力閾値Vsは入力閾値Vt以下である。
【0060】
基準電位差が小さい場合、即ち、基準電位差がゼロV以上であり、かつ、出力閾値Vs未満である場合の動作を説明する。前述したように、基準電位差が小さい場合においては、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧がハイレベル電圧であるとき、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧は出力閾値Vs以上である。同様の場合において、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧がローレベル電圧であるとき、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧は出力閾値Vs未満である。更に、マイコン21は、基準電位が第1電位P1である2つの出力電圧の両方をハイレベル電圧に調整することない。従って、基準電位差が小さい場合、スイッチ回路J1,J2のサブスイッチ50はオフである。
【0061】
前述したように、スイッチ回路Jiのサブスイッチ50がオフである場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧が、入力電圧として駆動回路Hiに入力される。従って、マイコン21が、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧をハイレベル電圧に調整した場合、駆動回路Hiの入力電圧は入力閾値Vt以上の電圧となる。前述したように、ハイレベル電圧は入力閾値Vt以上である。駆動回路Hiの入力電圧が入力閾値Vt以上の電圧となった場合、駆動回路Hiは、メインスイッチFiをオンに切替える。
【0062】
マイコン21が、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧をローレベル電圧に調整した場合、駆動回路Hiの入力電圧は入力閾値Vt未満の電圧となる。前述したように、ローレベル電圧は入力閾値Vt未満である。駆動回路Hiの入力電圧が入力閾値Vt未満の電圧となった場合、駆動回路Hiは、メインスイッチFiをオフに切替える。
【0063】
基準電位差が大きい場合の動作、即ち、基準電位差が出力閾値Vs以上である場合の動作を説明する。第2電位P2に対して第1電位P1が上昇することによって、基準電位差は出力閾値Vs以上の値となる。基準電位差が大きい場合、基準電位が第2電位P2である2つの出力電圧の両方は出力閾値Vs以上である。2つの出力電圧の両方が出力閾値Vs以上の電圧となった場合、駆動回路H1,H2それぞれのサブスイッチ50はオンに切替わる。
【0064】
調整回路30では、スイッチ回路J1,J2それぞれのサブスイッチ50がオンに切替わった場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路H1,H2の入力電圧をゼロVに低下する。結果、駆動回路H1,H2それぞれは、メインスイッチF1,F2をオフに切替える。基準電位差が大きい間、2つのメインスイッチF1,F2はオフに維持される。
【0065】
基準電位差が出力閾値Vs未満の値に低下した場合、スイッチ回路J1,J2それぞれのサブスイッチ50はオフに切替わる。前述したように、スイッチ回路J1,J2それぞれのサブスイッチ50がオフである場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧が、入力電圧として駆動回路Hiに入力される。マイコン21は、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧を調整することによって、メインスイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0066】
なお、出力閾値Vsは入力閾値Vt未満であることが好ましい。基準電位が第2電位P2である2つの出力電圧の両方が出力閾値Vs以上の電圧となってから、スイッチ回路J1,J2のサブスイッチ50がオフに切替わるまでの期間が十分に短いと仮定する。この場合においては、基準電位が第2電位P2である2つの出力電圧の両方が出力閾値Vs以上の電圧となってから、基準電位が第2電位P2である全ての入力電圧が入力閾値Vt以上の電圧となるまでに、基準電位が第2電位P2である全ての入力電圧がゼロVに低下する。前述したように、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hiの入力電圧が入力閾値Vt未満である場合、駆動回路HiはメインスイッチFiをオフに維持する。結果、全てのメインスイッチF1,F2がオンに切替わる前の駆動回路H1,H2の入力電圧の低下を実現することができる。
【0067】
<基準電位差が上昇する例>
図5は基準電位差が上昇する例の説明図である。図5の例では、電源システム1は、複数の電気機器Kを有する。各電気機器Kは、直流電源11の正極と、第1導線W1の一端との間に接続されている。電気機器Kが作動した場合、電流は直流電源11の正極から電気機器K、第1導線W1及び導体Gの順に流れる。これにより、電気機器Kに電力が供給される。電気機器Kが動作を停止している場合、電気機器Kを介して電流が流れることはない。前述したように、第1導線W1は抵抗成分を有する。このため、第1導線W1を介して電流が流れた場合、第1導線W1で電圧降下が生じる。結果、導体Gの電位に対して第1電位P1が上昇する。
【0068】
導体Gの電位に対して第1電位P1が上昇した場合、基準電位差は上昇する。第1導線W1を介して流れる電流の電流値が大きい程、電圧降下の幅は大きい。電圧降下の幅が大きい程、基準電位差の上昇幅は大きい。従って、第1導線W1を介して流れる電流の電流値が大きい程、基準電位差の上昇幅は大きい。
【0069】
作動している電気機器Kの数が多い程、第1導線W1を介して流れる電流の電流値が大きい。従って、例えば、作動している電気機器Kの数が大きく上昇した場合、基準電位差が出力閾値以上の値となる可能性がある。
【0070】
なお、電源システム1が電気機器Kを備えていない場合であっても、基準電位差は上昇する。例えば、第1導線W1の一端に外乱ノイズが印加された場合、第1導線W1を介して電流が流れる可能性がある。前述したように、第1導線W1を介して電流が流れた場合、基準電位差が上昇する。
【0071】
<スイッチ装置10の効果>
スイッチ装置10では、調整回路30は、マイコン21が出力した2つの出力電圧の両方が出力閾値以上の電圧となった場合、マイコン21が誤った出力電圧を出力したとして、駆動回路H1,H2の入力電圧をゼロVに低下させる。これにより、メインスイッチF1,F2はオフに切替えられる。結果、負荷E1,E2の動作を停止させる適切なメインスイッチF1,F2の切替えが行われる。
【0072】
(実施形態2)
実施形態1におけるスイッチ装置10が有するメインスイッチの数は2である。しかしながら、スイッチ装置10が有するメインスイッチの数は2に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0073】
<電源システム1の構成>
図6は、実施形態2における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態2における電源システム1は、実施形態1と同様に、スイッチ装置10、直流電源11及び導体Gを備える。実施形態2における電源システム1は、更に、n個の負荷E1,E2,・・・,Enを備える。ここで、nは、3以上の整数である。
【0074】
実施形態2では、整数iは、1,2,・・・,nのいずれであってもよい。スイッチ装置10は、n個のメインスイッチF1,F2,・・・,Fnを有する。メインスイッチFiは実施形態1と同様に構成されている。メインスイッチFi及び負荷Eiそれぞれは、実施形態1と同様に接続されている。第1導線W1及び第2導線W2が接続される導体Gの位置は相互に異なっている。
【0075】
負荷Eiは実施形態1と同様に作用する。スイッチ装置10は、実施形態1と同様に、メインスイッチFiをオン又はオフに切替えることによって、負荷Eiへの給電を制御する。負荷E1,E2,・・・,Enを同時に作動させなければならない状況はない。このため、スイッチ装置10が、n個のメインスイッチF1,F2,・・・,Fnの全てをオンに切替えなければならない状況はない。
【0076】
<スイッチ装置10の構成>
実施形態2におけるスイッチ装置10を、実施形態1におけるスイッチ装置10と比較した場合、制御器20の構成が異なる。実施形態2における制御器20は、実施形態1と同様に、調整回路30を有する。実施形態2における制御器20は、更に、n個のメインスイッチF1,F2,・・・,Fn及びn個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnを有する。メインスイッチFi及び駆動回路Hiそれぞれは、実施形態1と同様に接続されている。
【0077】
マイコン21は、実施形態1と同様に、駆動回路Hi用の出力電圧を出力する。従って、マイコン21はn個の出力電圧を出力する。調整回路30は、駆動回路Hi用の出力電圧に基づいて、駆動回路Hiに入力される入力電圧を調整する。駆動回路Hiは、実施形態1と同様に、メインスイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0078】
調整回路30は、実施形態1と同様に、基準電位が第2電位P2であるマイコン21の出力電圧を出力閾値と比較する。調整回路30は、マイコン21が出力するn個の出力電圧中の少なくとも一方が出力閾値未満である場合、駆動回路Hiの入力電圧を、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧に調整する。調整回路30は、マイコン21が出力したn個の出力電圧の全てが出力閾値以上である場合、n個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnの入力電圧をゼロVに低下させる。マイコン21が出力したn個の出力電圧はn個の特定電圧に相当する。
【0079】
マイコン21は、基準電位が第1電位P1であるn個の駆動回路H1,H2,・・,Hnの出力電圧の全てをハイレベル電圧に調整することはない。従って、基準電位差が出力閾値未満である場合、調整回路30は、駆動回路Hiの入力電圧を、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧に調整する。従って、マイコン21は、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整することによって、メインスイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0080】
基準電位差が出力閾値以上である場合、マイコン21が出力したn個の出力電圧の全てが出力閾値以上である。従って、基準電位差が出力閾値以上の値となった場合、調整回路30は、n個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnの入力電圧をゼロVに低下させる。これにより、n個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnそれぞれは、メインスイッチF1,F2,・・・,Fnをオフに切替える。基準電位差が出力閾値以上である間、n個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnそれぞれは、メインスイッチF1,F2,・・・,Fnをオフに固定される。
【0081】
以上のように、出力閾値以上であるn個の出力電圧をマイコン21が誤って出力した場合、調整回路30は、n個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnの入力電圧をゼロVに調整する。結果、駆動回路H1,H2,・・・,HnそれぞれはメインスイッチF1,F2,・・・,Fnをオフに切替える。
【0082】
<スイッチ装置10の外観>
実施形態2では、第2基板B2に、調整回路30、n個のメインスイッチF1,F2,・・・,Fn及びn個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnが配置されている。
なお、1つの基板に、マイコン21、レギュレータ22、調整回路30、n個のメインスイッチF1,F2,・・・,Fn及びn個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnが配置されていてもよい。
【0083】
<調整回路30の構成>
図7は調整回路30の回路図である。調整回路30は、実施形態1と同様にAND回路40を有する。調整回路30は、更に、n個のスイッチ回路J1,J2,・・・,Jn及びn個の接続抵抗R1,R2,・・・,Rnを有する。実施形態2では、AND回路40はn個の入力端を有する。スイッチ回路Jiは、実施形態1と同様に構成され、サブスイッチ50及び回路抵抗51,52を有する。接続抵抗Ri及びスイッチ回路Jiそれぞれは、実施形態1と同様に接続されている。
【0084】
<調整回路30の動作>
スイッチ回路Jiは実施形態1と同様に作用する。AND回路40は、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧を出力閾値と比較する。AND回路40は、n個の出力電圧中の少なくとも1つが出力閾値未満である場合、基準電位が第2電位P2である出力端の電圧をゼロVに調整する。この場合、スイッチ回路J1,J2,・・・,Jnのサブスイッチ50はオフである。
【0085】
実施形態1と同様に、スイッチ回路Jiのサブスイッチ50がオフである場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路Hi用の出力電圧が、入力電圧として駆動回路Hiに入力される。マイコン21は、基準電位が第1電位P1である駆動回路Hi用の出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整することによって、メインスイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0086】
AND回路40は、n個の出力電圧の全てが出力閾値以上である場合、基準電位が第2電位P2である出力端の電圧を正の所定電圧に調整する。この場合、スイッチ回路J1,J2,・・・,Jnのサブスイッチ50はオンである。
【0087】
調整回路30では、AND回路40がn個のスイッチ回路J1,J2,・・・,Jnそれぞれのサブスイッチ50をオンに切替えた場合、基準電位が第2電位P2であるn個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnの入力電圧はゼロVに低下する。前述したように、入力閾値はゼロVを超えている。結果、駆動回路H1,H2,・・・,Hnそれぞれは、メインスイッチF1,F2,・・・,Fnをオフに切替える。基準電位差が出力閾値以上である間、n個のメインスイッチF1,F2,・・・,Fnはオフに固定される。
【0088】
<スイッチ装置10の効果>
スイッチ装置10では、調整回路30は、マイコン21が出力したn個の出力電圧の全てが出力閾値以上となった場合、マイコン21が誤った出力電圧を出力したとして、n個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnの入力電圧をゼロVに低下させる。これにより、n個のメインスイッチF1,F2,・・・,Fnはオフに切替えられる。結果、n個の負荷E1,E2,・・・,Enの動作を停止させる適切なメインスイッチF1,F2,・・・,Fnの切替えが行われる。
実施形態2におけるスイッチ装置10は実施形態1におけるスイッチ装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0089】
実施形態2においても、出力閾値は入力閾値未満であることが好ましい。この場合、全てのメインスイッチF1,F2,・・・,Fnがオンに切替わる前の駆動回路H1,H2,・・・,Hnの入力電圧の低下を実現することができる。
【0090】
<なお書き>
実施形態2において、調整回路30が監視する出力電圧の数はn未満であってもよい。調整回路30が監視する出力電圧の数は2以上であればよい。例えば、マイコン21によって、全てがハイレベル電圧に調整されることがないx個の出力電圧がある場合、調整回路30は、基準電位が第2電位であるx個の出力電圧を監視すればよい。ここで、xは、2以上であり、かつ、n未満である整数である。この場合、調整回路30のAND回路40はx個の入力端を有する。AND回路40は、n個の接続抵抗R1,R2,・・・,Rnの中で、x個の出力電圧が入力されるx個の接続抵抗の一端に接続される。調整回路30が監視する出力電圧は特定電圧に相当する。
【0091】
調整回路30は、基準電位が第2電位であるx個の出力電圧中の少なくとも1つが出力閾値未満である場合、駆動回路Hiの入力電圧を、基準電位が第2電位である駆動回路Hi用の出力電圧に調整する。調整回路30は、基準電位が第2電位であるx個の出力電圧の全てが出力閾値以上である場合、n個の駆動回路H1,H2,・・・,Hnの入力電圧をゼロVに低下させる。
【0092】
(実施形態3)
実施形態1において、スイッチ装置10に接続される負荷は、一方向の電流のみが流れる電気機器に限定されない。
以下では、実施形態3について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0093】
<電源システム1の構成>
図8は、実施形態3における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態3における電源システム1は、実施形態1と同様に、スイッチ装置10及び直流電源11を備える。電源システム1は、更に、負荷として、モータ12を備える。スイッチ装置10は、4つのメインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dを有する。メインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dそれぞれの構成は、実施形態1におけるメインスイッチF1の構成と同様である。
【0094】
直流電源11の負極は導体Gに接続されている。メインスイッチF1u,F2uのドレインは直流電源11の正極に接続されている。メインスイッチF1u,F2uそれぞれのソースは、メインスイッチF2d,F1dのドレインに接続されている。メインスイッチF1d,F2dのソースは導体Gに接続されている。モータ12は、メインスイッチF1u,F2d間の接続ノードと、メインスイッチF2u,F1d間の接続ノードとに各別に接続されている。スイッチ装置10は、第1導線W1及び第2導線W2の一端に各別に接続されている。第1導線W1及び第2導線W2の他端は導体Gに接続されている。第1導線W1及び第2導線W2が接続される導体Gの位置は相互に異なっている。
【0095】
以下では、メインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dの状態をスイッチ状態と記載する。メインスイッチF1u,F1dがオンであり、かつ、メインスイッチF2u,F2dがオフである状態を正回転状態と記載する。メインスイッチF1u,F1dがオフであり、かつ、メインスイッチF2u,F2dがオンである状態を逆回転状態と記載する。メインスイッチF1u,F2uがオフであり、かつ、メインスイッチF1d,F2dがオンである状態を放電状態と記載する。メインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dがオフである状態をオフ状態と記載する。
【0096】
スイッチ装置10は、メインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dそれぞれをオン又はオフに切替えることによって、スイッチ状態を、正回転状態、逆回転状態、放電状態又はオフ状態に遷移させる。スイッチ装置10がスイッチ状態を正回転状態に遷移させた場合、電流は、直流電源11の正極から、メインスイッチF1u、モータ12、メインスイッチF1d及び導体Gの順に流れる。このとき、モータ12は正回転を行う。スイッチ装置10がスイッチ状態を逆回転状態に遷移させた場合、電流は、直流電源11の正極から、メインスイッチF2u、モータ12、メインスイッチF2d及び導体Gの順に流れる。このとき、モータ12は逆回転を行う。
【0097】
例えば、モータ12は、軸回りに回転する柱状のロータを有する。正回転は、例えば、ロータの時計回りの回転である。この場合、逆回転は、ロータの反時計回りの回転である。モータ12はインダクタを有する。モータ12を介して電流が流れている間、モータ12のインダクタにエネルギーが蓄積される。
【0098】
スイッチ装置10がスイッチ状態を放電状態に遷移させた場合、電流は、モータ12の一端から、メインスイッチF1d,F2dを介してモータ12の他端に流れる。これにより、モータ12のインダクタに蓄積されたエネルギーが放出される。スイッチ装置10が、スイッチ状態をオフ状態に遷移させた場合、モータ12を介した電流の通流が停止する。スイッチ状態が遷移状態又はオフ状態である場合、モータ12の回転は停止している。
【0099】
<スイッチ装置10の構成>
実施形態3におけるスイッチ装置10を、実施形態1におけるスイッチ装置10と比較した場合、制御器20の構成が異なる。実施形態3における制御器20は、実施形態1と同様に調整回路30を有する。実施形態3における制御器20は、更に、駆動IC31及び4つのメインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dを有する。駆動IC31は、第1上側駆動回路H1u、第1下側駆動回路H1d、第2上側駆動回路H2u及び第2下側駆動回路H2dを有する。
【0100】
第1上側駆動回路H1u、第1下側駆動回路H1d、第2上側駆動回路H2u及び第2下側駆動回路H2dそれぞれは、メインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dのゲートに接続されている。第1上側駆動回路H1u、第1下側駆動回路H1d、第2上側駆動回路H2u及び第2下側駆動回路H2dそれぞれは、実施形態1における駆動回路H1と同様に、メインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dをオン又はオフに切替える。
【0101】
駆動IC31は調整回路30に接続されている。調整回路30はマイコン21に接続されている。調整回路30及び駆動IC31は第2導線W2の一端に接続されている。
【0102】
マイコン21は、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧を出力する。従って、マイコン21は3つの出力電圧を出力する。マイコン21は、基準電位が第1電位P1である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧それぞれをハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整する。
【0103】
調整回路30は、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧に基づいて駆動IC31に入力される第1入力電圧を調整する。調整回路30は、基準電位が第2電位P2である第2出力電圧に基づいて駆動IC31に入力される第2入力電圧を調整する。調整回路30は、基準電位が第2電位P2である第3出力電圧に基づいて駆動IC31に入力される第3入力電圧を調整する。駆動IC31は、基準電位が第2電位P2である第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧に応じてスイッチ状態を正回転状態、逆回転状態、放電状態又はオフ状態に遷移させる。
【0104】
図9は、駆動IC31の動作を説明するためのタイミングチャートである。図9には、メインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dの状態の推移と、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧の推移とが示されている。これらの推移の横軸には時間が示されている。図9でも、入力閾値はVtで表されている。
【0105】
第1入力電圧が入力閾値Vt以上であり、かつ、第2入力電圧及び第3入力電圧が入力閾値Vt未満である場合、第1上側駆動回路H1u及び第1下側駆動回路H1dそれぞれはメインスイッチF1u,F1dをオンに切替える。更に、第2上側駆動回路H2u及び第2下側駆動回路H2dそれぞれはメインスイッチF2u,F2dをオフに切替える。これにより、スイッチ状態は正回転状態に遷移する。第1入力電圧を入力閾値Vt以上の電圧に調整することによってモータ12の正回転が指示される。
【0106】
第2入力電圧が入力閾値Vt以上であり、かつ、第1入力電圧及び第3入力電圧が入力閾値Vt未満である場合、第1上側駆動回路H1u及び第1下側駆動回路H1dそれぞれはメインスイッチF1u,F1dをオフに切替える。更に、第2上側駆動回路H2u及び第2下側駆動回路H2dそれぞれはメインスイッチF2u,F2dをオンに切替える。これにより、スイッチ状態は逆回転状態に遷移する。第2入力電圧を入力閾値Vt以上の電圧に調整することによってモータ12の逆回転が指示される。
【0107】
第3入力電圧が入力閾値Vt以上であり、かつ、第1入力電圧及び第2入力電圧が入力閾値Vt未満である場合、第1上側駆動回路H1u及び第2上側駆動回路H2uそれぞれはメインスイッチF1u,F2uをオフに切替える。更に、第1下側駆動回路H1d及び第2下側駆動回路H2dそれぞれはメインスイッチF1d,F2dをオンに切替える。これにより、スイッチ状態は放電状態に遷移する。第3入力電圧を入力閾値Vt以上の電圧に調整することによってモータ12の放電が指示される。
【0108】
第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧が入力閾値Vt未満である場合、第1上側駆動回路H1u、第1下側駆動回路H1d、第2上側駆動回路H2u及び第2下側駆動回路H2dそれぞれはメインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dをオフに切替える。これにより、スイッチ状態はオフ状態に遷移する。
以上のように、駆動IC31は、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧に基づいて、スイッチ状態を、正回転状態、逆回転状態、放電状態又はオフ状態に遷移させる。
【0109】
図8に示す調整回路30は、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧それぞれを出力閾値と比較する。調整回路30は、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧の少なくとも1つが出力閾値未満である場合、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧それぞれを、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧に調整する。調整回路30は、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧の全てが出力閾値以上である場合、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧それぞれをゼロVに低下させる。第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧は3つの特定電圧に相当する。
【0110】
実施形態1と同様に、出力閾値は入力閾値以下である。ハイレベル電圧は入力閾値以上である。ローレベル電圧は、ゼロVであり、出力閾値未満である。まず、基準電位差がゼロV以上であり、かつ、出力閾値未満である場合のスイッチ装置10の動作を説明する。基準電位が第1電位P1である第1出力電圧がハイレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧は、出力閾値以上である。同様に、基準電位が第1電位P1である第2出力電圧がハイレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である第2出力電圧は、出力閾値以上である。基準電位が第1電位P1である第3出力電圧がハイレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である第3出力電圧は、出力閾値以上である。
【0111】
基準電位が第1電位P1である第1出力電圧がローレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧は出力閾値未満である。同様に、基準電位が第1電位P1である第2出力電圧がローレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である第2出力電圧は出力閾値未満である。基準電位が第1電位P1である第3出力電圧がローレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2である第3出力電圧は出力閾値未満である。
【0112】
マイコン21は、基準電位が第1電位P1である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧の全てをハイレベル電圧に調整することはない。具体的には、マイコン21は、基準電位が第1電位P1である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧中の1つのみをハイレベル電圧に調整する。従って、調整回路30は、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧それぞれを、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧に調整する。
【0113】
マイコン21が、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧のみをハイレベル電圧に調整した場合、駆動IC31はスイッチ状態を正回転状態に遷移させる。マイコン21が、基準電位が第2電位P2である第2出力電圧のみをハイレベル電圧に調整した場合、駆動IC31はスイッチ状態を逆回転状態に遷移させる。マイコン21が、基準電位が第2電位P2である第3出力電圧のみをハイレベル電圧に調整した場合、駆動IC31はスイッチ状態を放電状態に遷移させる。マイコン21が、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧をローレベル電圧に調整した場合、駆動IC31はスイッチ状態をオフ状態に遷移させる。
【0114】
従って、基準電位差がゼロVを超えており、かつ、出力閾値未満である場合、マイコン21は、基準電位が第1電位P1である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧それぞれをハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整することによって、スイッチ状態を、正回転状態、逆回転状態、放電状態又はオフ状態に遷移させる。
【0115】
図9に示すように、スイッチ状態が正回転状態である場合において、スイッチ状態を逆回転状態に遷移させるとき、マイコン21は、直流電源11の両端が短絡することを防止するため、スイッチ状態をオフ状態に遷移させる。次に、マイコン21は、スイッチ状態を放電状態に遷移させる。これにより、モータ12のインダクタに蓄えられたエネルギーが放出される。その後、マイコン21は、スイッチ状態を再びオフ状態に遷移させる。最後に、マイコン21は、スイッチ状態を逆回転状態に遷移させる。
【0116】
スイッチ状態を逆回転状態である場合において、スイッチ状態を正回転状態に遷移させるとき、マイコン21は、同様に、スイッチ状態を、オフ状態、放電状態、オフ状態及び正回転状態に遷移させる。
【0117】
基準電位差が出力閾値以上である場合のスイッチ装置10の動作を説明する。基準電位差が出力閾値以上である場合、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧は、出力閾値以上であり、出力閾値未満の電圧に低下することはない。従って、調整回路30は、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧をゼロVに低下させる。実施形態1の説明で述べたように、入力閾値はゼロVを超えている。このため、調整回路30が、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧をゼロVに低下させた場合、駆動IC31はスイッチ状態をオフ状態に遷移させる。
【0118】
以上のように、出力閾値以上である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧をマイコン21が誤って出力した場合、調整回路30は、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧をゼロVに低下させる。結果、駆動IC31は、スイッチ状態をオフ状態に遷移させる。
【0119】
<スイッチ装置10の外観>
実施形態3では、第2基板B2に、調整回路30、4つのメインスイッチF1u,F1d,F2u,F2d及び駆動IC31が配置されている。
なお、1つの基板に、マイコン21、レギュレータ22、調整回路30、4つのメインスイッチF1u,F1d,F2u,F2d及び駆動IC31が配置されていてもよい。
【0120】
<調整回路30の構成>
実施形態3における調整回路30は、整数nが3である場合における実施形態2の調整回路30と同様に構成されている。マイコン21は、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧それぞれを、接続抵抗R1,R2,R3の一端に出力する。3つの接続抵抗R1,R2,R3の他端は、駆動IC31に各別に接続されている。駆動IC31は、接続抵抗R1,R2,R3それぞれの他端から入力された第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧に応じて、スイッチ状態を正回転状態、逆回転状態、放電状態又はオフ状態に遷移させる。
【0121】
<調整回路30の動作>
図10は、調整回路30の動作を説明するためのタイミングチャートである。図10では、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧、第3出力電圧、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧の推移が示されている。図10では、更に、スイッチ回路J1,J2,J3のサブスイッチ50の状態の推移が示されている。3つのサブスイッチ50の状態は常に同じである。図10でも、出力閾値及び入力閾値それぞれはVs及びVtで表されている。
【0122】
基準電位差が小さい場合、即ち、基準電位差がゼロV以上であり、かつ、出力閾値Vs未満である場合の動作を説明する。基準電位差が小さい場合、AND回路40は、スイッチ回路J1,J2,J3のサブスイッチ50をオフに維持する。スイッチ回路J1,J2,J3のサブスイッチ50がオフである場合、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧それぞれが、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧として、駆動IC31に入力される。従って、前述したように、マイコン21は、基準電位が第1電位P1である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧を調整することによって、スイッチ状態を正回転状態、逆回転状態、放電状態又はオフ状態に遷移させる。
【0123】
基準電位差が大きい場合、即ち、基準電位差が出力閾値Vs以上である場合の動作を説明する。第2電位P2に対して第1電位P1が上昇することによって、基準電位差は出力閾値Vs以上の値となる。基準電位差が大きい場合、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧の全ては出力閾値Vs以上である。第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧の全てが出力閾値Vs以上の電圧となった場合、AND回路40は、スイッチ回路J1,J2,J3それぞれのサブスイッチ50をオンに切替える。
【0124】
調整回路30では、スイッチ回路J1,J2,J3それぞれのサブスイッチ50がオンに切替わった場合、基準電位が第2電位P2である第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧をゼロVに低下する。結果、駆動IC31は、スイッチ状態をオフ状態に遷移させる。基準電位差が大きい間、スイッチ状態はオフ状態に固定される。
【0125】
基準電位差が出力閾値Vs未満の値に低下した場合、AND回路40は、スイッチ回路J1,J2,J3それぞれのサブスイッチ50をオフに切替える。前述したように、スイッチ回路J1,J2,J3それぞれのサブスイッチ50がオフである場合、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧それぞれが、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧として、駆動IC31に入力される。マイコン21は、基準電位が第1電位P1である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧を調整することによって、スイッチ状態を正回転状態、逆回転状態、放電状態又はオフ状態に遷移させる。
【0126】
<スイッチ装置10の効果>
スイッチ装置10では、調整回路30は、マイコン21が出力した第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧の全てが出力閾値以上の電圧となった場合、マイコン21が誤った出力電圧を出力したとして、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧をゼロVに低下させる。これにより、スイッチ状態はオフ状態に遷移する。結果、モータ12の動作を停止させるメインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dの切替えが行われる。
実施形態3におけるスイッチ装置10は実施形態1におけるスイッチ装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0127】
実施形態3においても、出力閾値は入力閾値未満であることが好ましい。この場合、全てのメインスイッチF1u,F1d,F2u,F2dがオンに切替わる前の第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧の低下を実現することができる。
【0128】
<なお書き>
実施形態3において、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧の全てが出力閾値以上の電圧となった場合、調整回路30は、第1入力電圧及び第2入力電圧のみをゼロVに低下させてもよい。この構成では、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧の全てが出力閾値以上の電圧となった場合、駆動IC31はスイッチ状態を放電状態に遷移させる。
【0129】
また、マイコン21は、基準電位が第1電位P1である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧中の1つのみをハイレベル電圧に調整する。従って、マイコン21は、基準電位差が出力閾値未満である場合、基準電位が第2電位P2である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧中の2つをハイレベル電圧に調整することはない。このため、調整回路30が監視する出力電圧は、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧中の2つであってもよい。
【0130】
この場合、調整回路30のAND回路40は2つの入力端を有する。AND回路40には、第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧中の2つが入力される。調整回路30は、基準電位が第2電位である2つの出力電圧の少なくとも一方が出力閾値未満である場合、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧それぞれを、基準電位が第2電位である第1出力電圧、第2出力電圧及び第3出力電圧に調整する。調整回路30は、基準電位が第2電位である2つの出力電圧の両方が出力閾値以上である場合、第1入力電圧、第2入力電圧及び第3入力電圧をゼロVに低下させる。
【0131】
(実施形態4)
実施形態1では、調整回路30は、駆動回路Hi用の出力電圧を監視している。しかしながら、調整回路30が監視する出力電圧は、駆動回路Hi用の出力電圧に限定されない。
以下では、実施形態4について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0132】
<電源システム1の構成>
図11は、実施形態4における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態4における電源システム1は、実施形態1における電源システム1が備える構成部の中で負荷E2を除く他の構成部を備える。実施形態4におけるスイッチ装置10は、実施形態1と同様に、メインスイッチF1を有する。実施形態4におけるスイッチ装置10は、メインスイッチF1をオン又はオフに切替えることによって、負荷E1の動作を制御する。
【0133】
<スイッチ装置10の構成>
実施形態4におけるスイッチ装置10は、実施形態1と同様に、制御器20、マイコン21及びレギュレータ22を有する。制御器20は、実施形態1と同様に、調整回路30、メインスイッチF1及び駆動回路H1を有する。マイコン21は、複数の出力電圧を出力する。マイコン21は、基準電位が第1電位P1である複数の出力電圧それぞれをハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整する。
【0134】
マイコン21が出力する複数の出力電圧には、駆動回路H1用の出力電圧と、監視用の複数の出力電圧とが含まれている。以下では、監視用の出力電圧を特定電圧と記載する。実施形態1の説明で述べたように、調整回路30は、駆動回路H1用の出力電圧に基づいて、駆動回路H1に入力される入力電圧を調整する。駆動回路H1は、基準電位が第2電位P2である入力電圧が入力閾値以上である場合、メインスイッチF1をオンに切替える。駆動回路H1は、基準電位が第2電位P2である入力電圧が入力閾値未満である場合、メインスイッチF1をオフに切替える。
【0135】
調整回路30は、基準電位が第2電位P2である複数の特定電圧それぞれを出力閾値と比較する。調整回路30は、マイコン21が出力した複数の特定電圧中の少なくとも1つが出力閾値未満である場合、駆動回路H1の入力電圧を、基準電位が第2電位P2である駆動回路H1用の出力電圧に調整する。調整回路30は、マイコン21が出力した全ての特定電圧が出力閾値以上である場合、駆動回路H1の入力電圧をゼロVに低下させる。
【0136】
実施形態1と同様に、出力閾値は入力閾値以下である。ハイレベル電圧は入力閾値以上である。ローレベル電圧は、ゼロVであり、出力閾値未満である。まず、基準電位差がゼロV以上であり、かつ、出力閾値未満である場合のスイッチ装置10の動作を説明する。基準電位が第1電位P1であるマイコン21の出力電圧がハイレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2であるマイコン21の出力電圧は、出力閾値以上である。基準電位が第1電位P1であるマイコン21の出力電圧がローレベル電圧に調整された場合、基準電位が第2電位P2であるマイコン21の出力電圧は出力閾値未満である。
【0137】
マイコン21は、基準電位が第1電位P1である複数の特定電圧の全てをハイレベル電圧に調整することはない。従って、調整回路30は、駆動回路H1の入力電圧を、基準電位が第2電位P2である駆動回路H1用の出力電圧に調整する。マイコン21が、基準電位が第1電位P1である出力電圧をハイレベル電圧に調整した場合、駆動回路H1はメインスイッチF1をオンに切替える。マイコン21が、基準電位が第1電位P1である出力電圧をローレベル電圧に調整した場合、駆動回路H1はメインスイッチF1をオフに切替える。
【0138】
従って、基準電位差がゼロVを超えており、かつ、出力閾値未満である場合、マイコン21は、基準電位が第1電位P1である駆動回路H1用の出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整することによって、メインスイッチF1をオン又はオフに切替える。
【0139】
次に、基準電位差が出力閾値以上である場合のスイッチ装置10の動作を説明する。基準電位差が出力閾値以上である場合、基準電位が第2電位P2である複数の特定電圧の全てが出力閾値以上である。調整回路30は、駆動回路H1の入力電圧をゼロVに低下させる。前述したように、入力閾値はゼロVを超えている。このため、調整回路30が駆動回路H1の入力電圧をゼロVに低下させた場合、駆動回路H1はメインスイッチF1をオフに切替える。
【0140】
以上のように、出力閾値以上である複数の出力電圧をマイコン21が誤って出力した場合、調整回路30は、駆動回路H1の入力電圧をゼロVに低下させる。結果、駆動回路H1はメインスイッチF1をオフに切替える。
特定電圧の数が2である場合、第1の特定電圧の例として、スイッチのオン又はオフを指示する電圧が挙げられる。この場合、第2の特定電圧は、例えば、暗電流の遮断を指示する電圧である。第1の特定電圧をハイレベル電圧に切替えることによって、スイッチのオンが指示される。第2の特定電圧をハイレベル電圧に切替えることによって、暗電流の遮断が指示される。第1の特定電圧及び第2の特定電圧の両方がハイレベル電圧に切替えられることはない。
【0141】
<スイッチ装置10の外観>
実施形態4では、第2基板B2に、調整回路30、メインスイッチF1及び駆動回路H1が配置されている。
なお、1つの基板に、マイコン21、レギュレータ22、調整回路30、メインスイッチF1及び駆動回路H1が配置されていてもよい。
【0142】
<調整回路30の構成>
図12は調整回路30の回路図である。調整回路30は、実施形態1と同様に、AND回路40、スイッチ回路J1及び接続抵抗R1を有する。AND回路40は、複数の入力端を有する。AND回路40には、マイコン21が出力した複数の特定電圧が各別に入力される。マイコン21が出力した駆動回路H1用の出力電圧は接続抵抗R1の一端に出力される。
【0143】
<調整回路30の動作>
スイッチ回路J1は実施形態1と同様に作用する。AND回路40は、基準電位が第2電位P2である複数の特定電圧それぞれを出力閾値と比較する。AND回路40は、複数の特定電圧中の少なくとも1つが出力閾値未満である場合、基準電位が第2電位P2である出力端の電圧をゼロVに調整する。この場合、スイッチ回路J1のサブスイッチ50はオフである。
【0144】
実施形態1と同様に、スイッチ回路J1のサブスイッチ50がオフである場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路H1用の出力電圧が、入力電圧として駆動回路H1に入力される。マイコン21は、基準電位が第1電位P1である駆動回路H1用の出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に調整することによって、メインスイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0145】
AND回路40は、複数の特定電圧の全てが出力閾値以上である場合、基準電位が第2電位P2である出力端の電圧を正の所定電圧に調整する。この場合、スイッチ回路J1のサブスイッチ50はオンである。
【0146】
調整回路30では、AND回路40がスイッチ回路J1のサブスイッチ50をオンに切替えた場合、基準電位が第2電位P2である駆動回路H1の入力電圧をゼロVに低下する。前述したように、入力閾値はゼロVを超えている。結果、駆動回路H1は、メインスイッチF1をオフに切替える。基準電位差が出力閾値以上である間、メインスイッチF1はオフに固定される。
【0147】
<スイッチ装置10の効果>
スイッチ装置10では、調整回路30は、マイコン21が出力した全ての特定電圧が出力閾値以上となった場合、マイコン21が誤った出力電圧を出力したとして、駆動回路H1の入力電圧をゼロVに低下させる。これにより、メインスイッチF1はオフに切替わる。結果、負荷E1の動作を停止させる適切なメインスイッチF1の切替えが行われる。
実施形態4におけるスイッチ装置10は実施形態1におけるスイッチ装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0148】
実施形態4においても、出力閾値は入力閾値未満であることが好ましい。この場合、メインスイッチF1がオンに切替わる前の駆動回路H1の入力電圧の低下を実現することができる。
【0149】
<なお書き>
実施形態4において、負荷E1、メインスイッチF1、駆動回路H1、スイッチ回路J1及び接続抵抗R1それぞれの数は、1に限定されず、2以上であってもよい。各スイッチ回路J1のサブスイッチ50は、共通のAND回路40の出力端の電圧に応じてオン又はオフに切替えられる。
【0150】
<変形例>
実施形態1~4において、第1電位P1及び第2電位P2は、共通の場所の電位であってもよい。例えば、実施形態1~4において、第2導線W2の一端に接続された構成部は、第1導線W1の一端に接続される。この構成では、マイコン21が誤って全ての出力電圧をハイレベル電圧に調整した場合、調整回路30は、入力電圧をゼロVに低下させる。
【0151】
実施形態1,2,4において、駆動回路の入力電圧が入力閾値未満の電圧となった場合に駆動回路はメインスイッチをオンに切替えてもよい。この場合、特定電圧に相当する全ての出力電圧が出力閾値以上である場合、駆動回路はメインスイッチをオンに切替え、メインスイッチをオンに固定する。駆動回路の入力電圧が入力閾値以上である場合、駆動回路はメインスイッチをオフに切替える。
【0152】
入力電圧が入力閾値未満の電圧となった場合にメインスイッチをオフに切替える駆動回路を第1駆動回路と記載する。入力電圧が入力閾値未満の電圧となった場合にメインスイッチをオンに切替える駆動回路を第2駆動回路と記載する。スイッチ装置10が複数の駆動回路を有する場合、複数の駆動回路に、第1駆動回路及び第2駆動回路が含まれていてもよい。
【0153】
例えば、車両の運転に支障を与えない負荷に対応するメインスイッチは、マイコン21が誤った電圧を出力した場合、直流電源11の無駄な電力消費を抑制するため、メインスイッチをオフに固定することが好ましい。例えば、動作が停止した場合に車両の運転に支障を与える可能性がある負荷に対応するメインスイッチは、マイコン21が誤った電圧を出力したとき、スイッチをオンに固定することが好ましい。
【0154】
実施形態3の構成については、相補的に2つのメインスイッチをオン又はオフに切替える装置、例えば、チョッパ制御を行う変圧装置に適用することができる。
実施形態1~4において、メインスイッチF1,F2,・・・,Fn,F1u,F1d,F2u,F2dそれぞれは、駆動回路によってオン又はオフに切替えられるスイッチであればよい。このため、メインスイッチF1,F2,・・・,Fn,F1u,F1d,F2u,F2dそれぞれは、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFET、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等であってもよい。
【0155】
実施形態1~4において、サブスイッチ50は、AND回路40の出力端の電圧に応じてオン又はオフに切替わるスイッチであればよい。このため、サブスイッチ50は、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、PNP型のバイポーラトランジスタ、FET又はリレー接点等であってもよい。
【0156】
開示された実施形態1~4はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0157】
1 電源システム
10 スイッチ装置
11 直流電源
12 モータ
20 制御器
21 マイコン(出力部)
22 レギュレータ
30 調整回路
31 駆動IC
40 AND回路(低下回路)
50 サブスイッチ(第2のスイッチ)
51,52 回路抵抗
B1 第1基板
B2 第2基板
E1,E2,・・・,En 負荷
F1,F2,・・・,Fn,F1d,F1u,F2d,F2u メインスイッチ
G 導体
H1,H2,・・・,Hn 駆動回路(切替え回路)
H1d 第1下側駆動回路(切替え回路)
H1u 第1上側駆動回路(切替え回路)
H2d 第2下側駆動回路(切替え回路)
H2u 第2上側駆動回路(切替え回路)
J1,J2,・・・,Jn スイッチ回路
K 電気機器
P1 第1電位
P2 第2電位
R1,R2,・・・,Rn 接続抵抗
W1 第1導線(抵抗部材)
W2 第2導線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12