(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】アソートシステム及びアソート方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65G1/137 F
(21)【出願番号】P 2021011095
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小山 延明
(72)【発明者】
【氏名】石田 正人
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112236(JP,A)
【文献】特許第6689438(JP,B1)
【文献】特開2020-189733(JP,A)
【文献】特開2015-160696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのマークが付された容器に作業者が商品を投入することを支援するアソートシステムであって、
複数の容器を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した画像を表示するディスプレイと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記カメラで撮影した画像から商品を投入する容器を認識して、前記画像において当該容器を強調表示する画像加工部と、
前記対象の容器に付された2つのマークのうちの撮影されるマークが切り替わったことを認識することで、投入が終了したと判断する投入終了判断部と、を有する、
アソートシステム。
【請求項2】
前記2つのマークと、前記2つのマークのうちの一方が認識可能であり他方が認識不能である状態を切り替え可能な切替構造と、を有する容器又は容器装着部材をさらに備える、請求項1に記載のアソートシステム。
【請求項3】
前記画像加工部は、強調表示された対象の容器とは異なる容器のマークが切り替わったことを認識すれば、画像において当該容器を間違い表示する、請求項1又は2に記載のアソートシステム。
【請求項4】
少なくとも前記2つのマークを用いることで、前記2つのマークのうちの一方を認識可能であり他方が認識不能である第1状態及び第2状態と、前記第1状態及び前記第2状態以外の第3状態が実現可能であり、
前記投入終了判断部は、前記第3状態を認識すれば、前記容器は満杯であると判断する、請求項1~3のいずれかに記載のアソートシステム。
【請求項5】
2つのマークが付された容器に作業者が商品を投入することを支援するアソートシステムであって、複数の容器を撮影するカメラと、前記カメラで撮影した画像を表示するディスプレイと、を有するアソートシステムにおいて、
前記カメラで撮影した画像に基づいて、前記2つのマークのうちの一方を認識すると当該容器が対象の容器であると判断するステップと、
前記画像において前記対象の容器を強調表示するように表示画像を作成するステップと、
前記2つのマークが切り替えられることで2つのマークのうちの他方を認識すると当該容器への投入が完了したと判断するステップと、
前記画像において前記対象の容器の強調表示をなくすように表示画像を作成するステップと、
を備えたアソート方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アソートシステム及びアソート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルアソートシステム(DAS)は、複数で準備された商品をオーダー別に分けて仕分け作業を支援するシステムである。例えば、作業者は、仕分け(アソート)する商品をハンディーターミナルなどでシステムに認識させると、仕分け先ごとに設置したデジタル表示器に指示数(商品投入数)が反映される。
最近、拡張現実(AR:Augmented Reality)技術(以下、AR技術)を用いて、アソート指示情報を現実又は仮想現実に追加して提示するアソートシステムが開発されている。
また、AR技術を利用してピッキング対象品に情報を重ねて表示するピッキングシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ディジタルアソートシステムでは、商品の投入完了は、作業者がボタンを操作したり、音声認識させたりすることでシステムに認識させていた。
しかし、ボタン操作は、容器とボタンを紐付ける必要があるので、容器は固定された間口に保管されなければならない。これは、容器を自由に保管できるというAR技術を用いたアソートシステムのメリットを減らしてしまう。
また、音声認識で、いずれの容器に投入したかをコンピュータシステムが認識できないので、作業ミスをチェックできない。
【0005】
本発明の目的は、AR技術を利用するアソートシステムにおいて、コントローラが投入完了を確実に認識できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係るアソートシステムは、2つのマークが付された容器に作業者が商品を投入することを支援するものであり、カメラと、ディスプレイと、コントローラとを備えている。
カメラは、複数の容器を撮影する。
ディスプレイは、カメラで撮影した画像を表示する。
コントローラは、画像加工部と、投入終了判断部とを有している。
画像加工部は、カメラで撮影した画像から商品を投入する容器を認識して、画像において当該容器を強調表示する。
投入終了判断部は、対象の容器に付された2つのマークのうちの撮影されるマークが切り替わったことを認識することで、投入が終了したと判断する。
このシステムでは、作業者が商品を対象の容器に投入する。このとき、対象の容器に付された2つのマークのうちの一方が撮影されることで、対象の容器が認識されて、画像において対象の容器が強調表示される。作業者は、表示された画像によって対象の容器を認識することが容易である。そして、商品を容器に投入し終えると、作業者は撮影されるマークを切り替える。すると、2つのマークのうちの他方が撮影されることで、投入が終了したことが認識されて、例えば表示された画像において対象の容器の強調表示が消去される。以上のように、本発明では、2つのマークいずれか一方が見えないようにされ他方が見えるようにされるという構造を用いることで、誤認識が生じにくくなる。従来の1つのマークを表示又は遮蔽する方式では、例えば作業者の体がマークを隠してしまった場合やマークの表示が認識できなかった場合に、遮蔽されたと誤認識される可能性がある。
【0008】
アソートシステムは、容器又は容器装着部材をさらに備えていてもよい。これらは、2つのマークと、2つのマークのうちの一方を認識可能であり他方が認識不能である状態を切り替え可能な切替構造とを有していてもよい。
このシステムでは、切替構造により1つのマークを認識不能にすることで、マークの認識を確実に行うことができる。
【0009】
画像加工部は、強調表示された対象の容器とは異なる容器のマークが切り替わったことを認識すれば、画像において当該容器を間違い表示してもよい。
このシステムでは、作業者は、表示画像の間違い表示によって、対象容器とは異なる容器のマークを切り替えたことに気がつける。
【0010】
少なくとも2つのマークを用いることで、前記2つのマークのうちの一方を認識可能であり他方が認識不能である第1状態及び第2状態と、第1状態及び第2状態以外の第3状態が実現可能であってもよい。
投入終了判断部は、第3状態を認識すれば、容器は満杯であると判断してもよい。
このシステムでは、対象容器が満杯になったことを認識できる。
【0011】
本発明の他の見地に係るアソート方法は、2つのマークが付された容器に作業者が商品を投入することを支援するアソートシステムであって、複数の容器を撮影するカメラと、カメラで撮影した画像を表示するディスプレイと、を有するアソートシステムに用いられる。アソート方法は下記のステップを備えている。
◎カメラで撮影した画像に基づいて、2つのマークのうちの一方を認識すると当該容器が対象の容器であると判断するステップ。
◎画像において対象の容器を強調表示するように表示画像を作成するステップ。
2つのマークが切り替えられることで2つのマークのうちの他方を認識すると当該容器への投入が完了したと判断するステップ。
◎画像において対象の容器の強調表示をなくすように表示画像を作成するステップ。
このシステムでは、作業者が商品を対象の容器に投入する。このとき、2つのマークのうちの一方が撮影されることで、対象の容器であることが認識されて、画像において対象の容器が強調表示される。作業者は、表示された画像によって対象の容器を認識することが容易である。そして、商品を対象の容器に投入し終えると、作業者は撮影されるマークを切り替える。すると、2つのマークのうちの他方が撮影されることで、投入が終了したことが認識され、次に例えば表示された画像において対象の容器の強調表示が消去される。以上のように、2つのマークのうちの一方が表示されず他方が表示されるという構造を用いることで、誤認識が生じにくくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアソートシステムでは、コントローラが投入完了を確実に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態のアソートシステムのカメラ及びディスプレイがラックと共に示された模式図。
【
図4】ディスプレイに表示されたアソート指示画像の一例。
【
図5】アソートシステムの制御構成を示すブロック図。
【
図6】アソートシステムの制御動作を示すフローチャート。
【
図7】第2実施形態のディスプレイに表示されたアソート指示画像の一例。
【
図8】第3実施形態の切替マークの状態を示す正面図。
【
図9】第3実施形態の切替マークの状態を示す正面図。
【
図10】第3実施形態の切替マークの状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
(1)アソートシステムの概略構成
図1を用いて、アソートシステム1を説明する。
図1は、第1実施形態のアソートシステムのカメラ及びディスプレイがラックと共に示された模式図である。
アソートシステム1は、AR技術により、作業者Wが容器5(後述)に商品7を投入することを支援するシステムである。
【0015】
アソートシステム1は、本実施形態では、ラック3と共に用いられる。ラック3は、複数の容器5を収納可能な棚段3aを有している。つまり、棚段3aは複数の間口を有している。各間口には、商品が入った容器5(後述)が収容されている。
【0016】
図2及び
図3を用いて、容器5を詳細に説明する。
図2及び
図3は、容器の切替マークの状態を示す正面図である。容器5の前面には、切替マーク29が設けられている。切替マーク29は、容器5の前面に第1マーク31(マークの一例)及び第2マーク33(マークの一例)と、第1マーク31及び第2マーク33の一方を認識可能状態にし他方を認識不能状態にする状態を切り替え可能な切替構造35(切替構造の一例)とを有している。
【0017】
第1マーク31及び第2マーク33は、各々、ARマーカであり、QRコード(登録商標)から構成されている。各容器5において第1マーク31及び第2マーク33のQRコードは互いに異なっている。また、複数の容器5の第1マーク31同士は互いに異なっており、複数の容器5の第2マーク33同士も互いに異なっている。また、第1マーク31及び第2マーク33は、左右に並んで設けられている。QRコードは、例えば、容器番号及びマーク番号(第1マーク31又は第2マーク33を示す番号)の情報を有している。具体的にはQRコードは固有の番号が記載されており、コントローラ51(後述)の記憶部内に上記固有番号と容器番号とマーク番号が紐付けられて記録されている。
切替構造35は、スライド板35aと、それを左右に移動可能に支持する支持部35bとを有している。スライド板35aは、第1マーク31を見えるようにして第2マーク33を隠す第1位置(
図2)と、第1マーク31を隠して第2マーク33を見えるようにする第2位置(
図3)との間でスライド可能になっている。つまり、スライド板35aは、作業者Wによって第1位置又は第2位置に移動させられる。
なお、第1マーク31、第2マーク33及び切替構造35は、容器5とは別体でありかつ容器5に装着可能な容器装着部材に設けられていてもよい。その場合、容器装着部材はベルトや他の構造によって容器5に脱着自在でもよい。
【0018】
(2)アソートシステムの詳細構成
アソートシステム1は、
図1に示すように、カメラ11を有している。カメラ11は、ラック3に収納された複数の容器5を撮影する。カメラ11は、ラック3の正面に配置され、ラック3の全体及び容器5の前面を撮影可能である。カメラ11の撮影画像は、例えば、動画である。
カメラ11の撮影画像には、各容器5において第1マーク31及び第2マーク33の一方が含まれている。
【0019】
アソートシステム1は、
図1に示すように、ディスプレイ13を有している。ディスプレイ13は、アソート指示画像75(後述)を表示する装置である。ディスプレイ13は、カメラ11で撮影した画像を表示する。ディスプレイ13は、ラック3の近傍に配置されている。以上より、作業者Wはディスプレイ13を見ながら商品7をアソート可能である。
図4を用いて、ディスプレイ13を詳細に説明する。
図4は、ディスプレイに表示されたアソート指示画像の一例である。
図4では、ディスプレイ13においてアソート指示画像75が示されている。アソート指示画像75では、対象の容器5の第1マーク31又は第2マーク33の周囲に容器5の強調表示として強調マーク77が重ねられている。また、アソート指示画像75では、非対象の容器5の上に例えばグレーの覆いマーク79が重ねられている。これにより、対象の容器5のみにおいて、第1マーク31が表示されている。なお、覆いマーク79は省略されてもよい。
【0020】
強調マーク77は、容器5が対象であることを視覚的に教示するものである。強調マーク77は、例えば、
図2に示すように、第1マーク31及び第2マーク33を囲む枠線である。
【0021】
(3)アソートシステムの制御構成
図5を用いて、アソートシステム1の制御構成を説明する。
図5は、アソートシステムの制御構成を示すブロック図である。
アソートシステム1は、コントローラ51を有している。
コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0022】
コントローラ51は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ51の各要素の機能は、一部又は全てが、コントローラ51を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ51の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0023】
コントローラ51は、画像加工部53を有している。画像加工部53は、カメラ11で撮影した画像から商品7を投入する対象容器を認識する。
具体的には、画像加工部53は、第1マーク31が撮影された容器5を対象容器として認識する。そのために、画像加工部53は、第1マーク31のQRコードを読み取り(容器番号を認識し)、サーバ(図示せず)に照会し、容器5及び商品7の情報を入手する。
さらに、画像加工部53は、カメラ11による撮影中の動画から静止画を撮影画像として作成する。
さらに、画像加工部53は、撮影画像にアソート指示情報の一種としての強調マーク77(強調表示の一例)を撮影画像に付加することで、アソート指示画像75を作成する。
【0024】
投入終了判断部55は、作業開始時に撮影されていたマークがそのまま撮影されていれば、容器5が投入中であると判断する。そして、投入終了判断部55は、作業開始時に撮影されていなかったマークが撮影されていれば(マークが切り替えられていれば)、容器5は投入が終了していると判断する。つまり、投入終了判断部55は、第1マーク31から第2マーク33への切替及び第2マーク33から第1マーク31への切替を、対象容器に付された2つのマーク31、33のうち撮影されるマークが切り替わったことによって認識する。
【0025】
コントローラ51には、図示しないが、容器5の大きさ、形状及び位置検出する判断部、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
コントローラ51には、ディスプレイ13が接続されている。
【0026】
(4)アソートシステムの制御動作
図6を用いて、アソートシステム1の制御動作を説明する。
図6は、アソートシステムの制御動作を示すフローチャートである。
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き替えることができる。
なお、各装置の動作は、コントローラ51から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
なお、カメラ11が、ラック3に載っている複数の容器5の前面を撮影し続けている。
【0027】
制御動作を具体的に説明する。
ステップS1では、画像認識が行われ、対象の容器5があるか否かが判断される。具体的には、撮影画像内の対象容器番号の第1マーク31又は第2マーク33のQRコードが認識されたか否かが判断される。具体的には、画像加工部53が上記判断を実行する。認識されればプロセスはステップS2に移行し、認識されなければプロセスはステップS1に戻る。
【0028】
ステップS2では、対象容器番号の第1マーク31又は第2マーク33のQRコードが認識された容器5が対象の容器であると判断される。具体的には、画像加工部53が上記判断を実行する。
【0029】
ステップS3では、アソート指示画像75が作成される。具体的には、画像加工部53が、撮影中の動画から静止画としての撮影画像を作成する。さらに具体的には、画像加工部53が、対象の容器5に合わせて作成された強調マーク77を撮影画像に重ねることで、アソート指示画像75を作成する。このとき、非対象の容器5は強調表示されない。この実施形態では、非対象の容器5には、覆いマーク79が付加される。なお、撮影画像は動画でもよい。
【0030】
ステップS4では、アソート指示画像75が表示される。具体的には、アソート指示画像75がディスプレイ13に送られて、そこに表示される。作業者は、アソート指示画像75によって対象の容器5を認識することが容易である。
【0031】
ステップS5では、撮影中の画像の全てのQRコードがスキャンされる。具体的には、コントローラ51が上記動作を実行する。
【0032】
ステップS6では、対象の容器5に関して、作業開始時に撮影されていたマークが他のマークに切替えられたか否かが判断される。具体的には、投入終了判断部55が上記判断を実行する。
【0033】
切り替えられていなければ、プロセスはステップS5に戻る。つまり、アソート指示画像75がそのまま表示され続ける。
切り替えられていれば、プロセスはステップS1に戻る。これは、作業者Wが、商品7を対象の容器5に投入し終えて、次に対象の容器5の撮影されるマークを第1マーク31から第2マーク33に切り替えた場合である。つまり、対象であった容器5の第2マーク33が撮影されることで、作業終了が認識されて、例えば次に作成されるアソート指示画像75において強調マーク77が消去される。
以上のように、コントローラ51は、容器認識処理及びアソート指示画像作成処理を所定間隔で繰り返し実行する。したがって、リアルタイムでアソート指示画像75が更新される。
【0034】
このシステムでは、以上のように、第1マーク31及び第2マーク33のいずれか一方が表示されず他方が表示されるという構造を用いることで、従来の1つのマークを表示又は遮蔽する方式に比べて誤認識が生じにくくなる。
【0035】
この実施形態では、切替構造35は、容器5に固定されており、1動作で2つの状態を切り替えできるので、作業性が良い。
なお、この実施形態では、容器5が満杯になると上位システムが判断し、画像において当該容器が満杯表示される(図示せず)。
【0036】
2.第2実施形態
第1実施形態では、アソート指示画像を表示した後に対象の容器において第1マークから第2マークに切り替えられると、投了が終了したと判断されていた。
図7を用いて、第1実施形態の変形例を第2実施形態として説明する。
図7は、第2実施形態のディスプレイに表示されたアソート指示画像の一例である。
第2実施形態では、第1実施形態の構成及び動作に加えて、アソート指示画像を表示した後に非対象の容器5において作業開始時に撮影されていたマークが他のマークに切り替えられると、画像加工部53は、強調表示された対象容器とは異なる容器のマークが切り替わったことを認識する。そして、
図7に示すように、画像加工部53は、アソート指示画像において、間違いマーク81(間違い表示の一例)を追加する。間違いマークは、強調マークと同じく複数の形態を取り得る。
したがって、作業者Wは、アソート指示画像の間違いマークによって、対象の容器5とは異なる容器5の第2マーク33を第1マーク31に切り替えたことに気がつける。
【0037】
3.第3実施形態
第1実施形態では第1マークと第2マークを切り替えることで、2つのマークいずれか一方が見えないようにされ他方が見えるようにされる第1状態及び第2状態を実現していた。変形例として、少なくとも第1マーク及び第2マークを用いることで、第1状態及び第2状態以外の第3状態が実現可能であり、投入終了判断部は、第3状態を認識すれば容器は満杯であると判断するようにしてもよい。
図8~
図10を用いて、そのような実施例を第3実施形態として説明する。
図8~
図10は、第3実施形態の切替マークの状態を示す正面図である。
【0038】
図8~
図10に示すように、切替マーク29Aは、容器5の前面に第1マーク31及び第2マーク33と、第1マーク31及び第2マーク33の一方を認識可能状態にし他方を認識不能状態にする状態を切り替え可能な切替構造35A(切替構造の一例)とを有している。
【0039】
切替構造35Aは、スライド板35aと、それを左右に移動可能に支持する支持部35bとを有している。第1実施形態とは異なり、支持部35bが第1マーク31よりさらに左側に延びており、スライド板35aは、第1マーク31のみが見える第1状態(
図8)と、第2マーク33のみが見える第2状態(
図9)と、第1マーク31及び第2マーク33の両方が見える第3状態(
図10)を実現できる。第3状態は、例えば、対象の容器5が満杯であることを意味する。
したがって、投入終了判断部55は、第1マーク31及び第2マーク33の両方を認識すれば、対象の容器5は満杯である(対象の容器5に入れられている商品7は次の容器5にも分割されて入れられる)と判断する。その後、当該容器5は作業完結処理が施される。具体的には、ラベルが発行され、新しい容器5が準備される。
第3実施形態の変形例として、マークの数を3つにした構成において、第1~第3状態を切替可能にしてもよい。例えば、各状態ではいずれか1つのマークだけが見える、又は、各状態では2つのマークの組み合わせが見える。
【0040】
4.実施形態の共通事項
上記第1~第3実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
アソートシステム(例えば、アソートシステム1)は、2つのマーク(例えば、第1マーク31、第2マーク33)が付された容器(例えば、容器5)に作業者(例えば、作業者W)が商品(例えば、商品7)を投入することを支援するものであり、カメラと、ディスプレイと、コントローラとを備えている。
カメラ(例えば、カメラ11)は、複数の容器を撮影する。
ディスプレイ(例えば、ディスプレイ13)は、カメラで撮影した画像を表示する。
コントローラ(例えば、コントローラ51)は、画像加工部と、投入終了判断部とを有している。
画像加工部(例えば、画像加工部53)は、カメラで撮影した画像から商品を投入する容器を認識して、画像(例えば、アソート指示画像75)に強調表示する(例えば、強調マーク77を追加する)。
投入終了判断部(例えば、投入終了判断部55)は、対象の容器に付された2つのマークのうちの撮影されるマークが切り替わったことを認識することで、投入が終了したと判断する。
このシステムでは、作業者が商品を対象容器に投入する。このとき、対象容器に付された2つのマークのうちの一方が撮影されることで、対象容器が認識されて、表示画像において対象の容器が強調表示される。作業者は、表示画像によって対象の容器を認識することが容易である。そして、商品を対象の容器に投入し終えると、作業者は撮影されるマークを切り替える。すると、2つのマークのうちの他方が撮影されることで、投入が終了したことが認識されて、例えば表示画像において強調表示が消去される。以上のように、2つのマークいずれか一方が表示されず他方が表示されるという構造を用いることで、誤認識が生じにくくなる。
【0041】
5.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(1)アソートシステムの基本構成の変形例
固定カメラとディスプレイの代わりに、ヘッドマウントディスプレイと付属カメラが用いられてもよい。
【0042】
(2)容器の変形例
容器としては、プラスチックケースの代わりに、オリコン、トレイ等の他の容器が用いられてもよい。
(3)マークの変形例
マークは、QRコードの代わりに、ARマーカ、バーコード、その他の2次元コードが用いられてもよい。
【0043】
(4)切替構造の変形例
(4-1)遮蔽部材
スライド板の移動方向は上下方向であって、2つのマークは縦方向に並んでいてもよい。
切替構造は、遮蔽部材として、スライド板ではなく、回動可能な扉板を用いてもよい。扉板は、2つのマークの間に配置された1枚の板がいずれかのマークを遮蔽する構造でもよいし、2つマークのそれぞれに対応して設けられた合計2枚の板が2つのマークを別々に遮蔽する構造でもよい。
切替構造の遮蔽部材は、2つのマークのそれぞれに対応して設けられた合計2枚の垂れ幕でもよい。
【0044】
(4-2)第1マークと第2マークを移動させて状態を切り替える構造
切替構造は、回転体の表裏の各々にマークを付した構造でもよい。その場合、回転体を回転させることでマークを切り替えることができる。
切替構造は、無端状の表示幕に2つのマークを印刷又は取り付けて循環させる構造でもよい。
切替構造は、1枚の板の両面に2つのマークを設けて、板を回転させる構造でもよい。
切替構造は、2枚のマークを別体の板部材に設けており、各板部材を差し替える又は一方を他方の上に差し込む仕組みでもよい。
(4-3)電子的な切替構造
切替構造は、タッチパネル等を用いて、ボタンと表示器を容器に設け、ボタンを押すと表示器に第1マークと第2マークが交互に見える仕組みでもよい。
【0045】
(5)強調マークの変形例
強調マークは、第1マークに付された半透明の色であってもよい。
強調マークは、第1マークではなく、容器の一部又は全体に色を付けたり、光らせたりしてもよい。
強調マークは、容器を示す矢印や他の記号でもよい。
強調マークは、第1マークに完全に一致して表示しなくとも、その場所に関連付けて表示されてもよい。
強調マークは、アソート情報として、数量や品名も含んでいてもよい。
(6)カメラの変形例
撮影画像は、静止画に限定されない。例えば、動画であってもよいし、多数の静止画からなるコマ送り画像であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、アソートシステム及びアソート方法に広く適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 :アソートシステム
3 :ラック
3a :棚段
5 :容器
7 :商品
11 :カメラ
13 :ディスプレイ
29 :切替マーク
31 :第1マーク
33 :第2マーク
35 :切替構造
35a :スライド板
35b :支持部
51 :コントローラ
53 :画像加工部
55 :投入終了判断部
75 :アソート指示画像
77 :強調マーク
79 :覆いマーク
81 :間違いマーク
W :作業者