IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電力システム 図1
  • 特許-電力システム 図2
  • 特許-電力システム 図3
  • 特許-電力システム 図4
  • 特許-電力システム 図5
  • 特許-電力システム 図6
  • 特許-電力システム 図7
  • 特許-電力システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240702BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240702BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240702BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240702BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240702BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20240702BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20240702BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240702BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 S
H02J7/35 A
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/46
B60L55/00
G16Y10/35
G16Y40/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021013414
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116971
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 遥
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0037131(US,A1)
【文献】特開2009-278776(JP,A)
【文献】特開2013-126350(JP,A)
【文献】再公表特許第2020/084689(JP,A1)
【文献】特開2014-207814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/35
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/46
B60L 55/00
G16Y 10/35
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を搭載する車両と、
前記車両と前記車両の外部の設備との間で電力の授受が可能な充放電システムと、
前記充放電システムに対して太陽光を用いて発電した電力の供給が可能な太陽光発電装置と、
ユーザに予め定められた情報を報知する報知装置と、
第1条件と第2条件と第3条件とのうちの少なくともいずれかの条件が成立する場合に前記充放電システムの停止許否を問い合わせる問い合わせ情報を前記報知装置を用いて報知する制御装置とを備え、
前記第1条件は、前記蓄電装置と前記設備との間において授受される電力の大きさがしきい値よりも小さいという条件を含み、
前記第2条件は、現在時刻が、前記太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも小さくなる時間帯内の時刻であるという条件を含み、
前記第3条件は、前記現在時刻が、1日のうち他の時間帯よりも安い電気料金が設定された時間帯内の時刻であって、かつ、前記蓄電装置の蓄電量が満充電状態に対応する所定範囲内であるという条件を含む、電力システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1条件と前記第3条件とが成立する場合に前記問い合わせ情報を前記報知装置を用いて報知する、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記充放電システムが停止している場合に前記第2条件と前記第3条件とのうちの少なくともいずれかが成立する状態から成立しない状態に変化する場合に前記充放電システムを起動する、請求項1または2に記載の電力システム。
【請求項4】
蓄電装置を搭載する車両と、
前記車両と前記車両の外部の設備との間で電力の授受が可能な充放電システムと、
前記充放電システムに対して太陽光を用いて発電した電力の供給が可能な太陽光発電装置と、
前記充放電システムを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、第1条件と第2条件と第3条件とのうちのいずれの条件も成立する場合に前記充放電システムを停止し、
前記第1条件は、前記蓄電装置と前記設備との間において授受される電力の大きさがしきい値よりも小さいという条件を含み、
前記第2条件は、現在時刻が、前記太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも小さくなる時間帯内の時刻であるという条件を含み、
前記第3条件は、前記現在時刻が、1日のうち他の時間帯よりも安い電気料金が設定された時間帯内の時刻であって、かつ、前記蓄電装置に蓄電量が満充電状態に対応する所定範囲内であるという条件を含む、電力システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記充放電システムが停止している場合に前記第2条件と前記第3条件とのうちの少なくともいずれかが成立する状態から成立しない状態に変化する場合に前記充放電システムを起動する、請求項4に記載の電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載の蓄電装置と建物等との間で電力を授受する電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載の蓄電装置と建物や電力網等との間で電力を授受する技術が知られている。たとえば、特開2017-046421号公報(特許文献1)には、電気料金の安い深夜電力を利用して車載の蓄電装置を充電し、昼間に蓄電装置に充電した電力を建物内で利用することによって電気料金を節約したり、電力網に供給することによって電力需要のピークを緩和したり、外出時などの所望のタイミングで車載の蓄電装置のSOCが所定レベルに到達するように蓄電装置を充電したりする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-046421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような電力の授受を応答性良く行なうために、ユーザや電力網への電力を管理する管理システムなどからの停止指令がない限り、車載の蓄電装置と建物との間で電力の授受が可能な状態が維持される。そのため、車載の蓄電装置と電力網との間に設けられるコンデンサなどの電子部品の通電状態が維持される。その結果、電子部品が不必要に劣化し、寿命が短縮する可能性がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車載の蓄電装置と電力の授受先との間に設けられる電子部品の劣化を抑制する電力システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に係る電力システムは、蓄電装置を搭載する車両と、車両と車両の外部の設備との間で電力の授受が可能な充放電システムと、充放電システムに対して太陽光を用いて発電した電力の供給が可能な太陽光発電装置と、ユーザに予め定められた情報を報知する報知装置と、第1条件と第2条件と第3条件とのうちの少なくともいずれかの条件が成立する場合に充放電システムの停止許否を問い合わせる問い合わせ情報を報知装置を用いて報知する制御装置とを備える。第1条件は、蓄電装置と設備との間において授受される電力の大きさがしきい値よりも小さいという条件を含む。第2条件は、現在時刻が、太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも小さくなる時間帯内の時刻であるという条件を含む。第3条件は、現在時刻が、1日のうち他の時間帯よりも安い電気料金が設定された時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置の蓄電量が満充電状態に対応する所定範囲内であるという条件を含む。
【0007】
このようにすると、蓄電装置と設備との間で授受される電力の大きさがしきい値よりも小さい場合、太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも小さい時間帯内の時刻である場合、あるいは、1日のうち他の時間帯よりも電気料金の安い時間帯内の時刻であって、蓄電装置が満充電状態である場合には、充放電システムの停止許否を問い合わせる問い合わせ情報を報知することによって、ユーザに充放電システムの停止を促すことができる。問い合わせ情報が報知されることで充放電システムが停止されれば、蓄電装置と設備との間の通電状態が解消されるため、電子部品が不必要に劣化することを抑制するとともに、電子部品の寿命が短縮することを抑制することができる。
【0008】
ある実施の形態において、制御装置は、第1条件と第3条件とが成立する場合に問い合わせ情報を報知装置を用いて報知する。
【0009】
このようにすると、蓄電装置と設備との間で授受される電力の大きさがしきい値よりも小さく、他の時間帯よりも電気料金の安い時間帯内の時刻であって、蓄電装置が満充電状態である場合には、充放電システムの停止許否を問い合わせる問い合わせ情報を報知することによってユーザに充放電システムの停止を促すことができる。問い合わせ情報が報知されることで充放電システムが停止されれば、蓄電装置と設備との間の通電状態が解消されるため、電子部品が不必要に劣化することを抑制するとともに、電子部品の寿命が短縮することを抑制することができる。
【0010】
さらにある実施の形態において、制御装置は、充放電システムが停止している場合に第2条件と第3条件とのうちの少なくともいずれかが成立する状態から成立しない状態に変化する場合に充放電システムを起動する。
【0011】
このようにすると、第2条件と第3条件とのうちの少なくともいずれかが成立する状態から成立しない状態に変化する場合に、蓄電装置と設備との間での電力の授受が要求される可能性が高くなるため、充放電システムを起動することにより、要求に応じて応答性良く蓄電装置と設備との間での電力授受を行なうことができる。
【0012】
本開示の他の局面に係る電力制御システムは、蓄電装置を搭載する車両と、車両と車両の外部の設備との間で電力の授受が可能な充放電システムと、充放電システムに対して太陽光を用いて発電した電力の供給が可能な太陽光発電装置と、充放電システムを制御する制御装置とを備える。制御装置は、第1条件と第2条件と第3条件とのうちのいずれの条件も成立する場合に充放電システムを停止する。第1条件は、所定時間当たりの蓄電装置と設備との間において授受される電力の大きさがしきい値よりも小さいという条件を含む。第2条件は、現在時刻が、太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも小さくなる時間帯内の時刻であるという条件を含む。第3条件は、現在時刻が、1日のうち他の時間帯よりも安い電気料金が設定された時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置に蓄電量が満充電状態に対応する所定範囲内であるという条件を含む。
【0013】
このようにすると、太陽光発電装置による発電量がしきい値よりも小さい時間帯内の時刻であって、1日のうちの他の時間帯よりも電気料金の安い時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置が満充電状態である場合には、充放電システムが停止される。これにより、蓄電装置と設備との間の通電状態が解消されるため、電子部品が不必要に劣化することを抑制するとともに、電子部品の寿命が短縮することを抑制することができる。
【0014】
ある実施の形態において、制御装置は、充放電システムが停止している場合に第2条件と第3条件とのうちの少なくともいずれかが成立する状態から成立しない状態に変化する場合に充放電システムを起動する。
【0015】
このようにすると、第2条件と第3条件とのうちの少なくともいずれかが成立する状態から成立しない状態に変化する場合に、蓄電装置と設備との間で電力の授受が要求される可能性が高くなるため、充放電システムを起動することにより、要求に応じて応答性良く蓄電装置と設備との間での電力授受を行なうことができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によると、車載の蓄電装置と電力の授受先との間の電気回路に設けられる電子部品の劣化を抑制する電力システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電力システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図1に示した住宅と車両との構成の一例を示す図である。
図3】ECUによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図4】変形例においてECUによって実行される処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
図5】変形例においてECUによって実行される処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
図6】変形例においてECUによって実行される処理の一例を示すフローチャート(その3)である。
図7】変形例においてECUによって実行される処理の一例を示すフローチャート(その4)である。
図8】変形例においてECUによって実行される処理の一例を示すフローチャート(その5)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、電力システム1の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、この電力システム1は、住宅10と、車両20と、接続ケーブル15と、接続コネクタ17と、パワーグリッド30と、送電線35とを備える。
【0020】
住宅10は、送電線35に接続され、送電線35を介してパワーグリッド(電力網)30と電力を授受することができる。また、住宅10は、接続ケーブル15および接続コネクタ17によって住宅10に接続された車両20と電力を授受することができる。
【0021】
車両20は、直流電源として蓄電装置を搭載した電動車両であり、たとえば、電気自動車である。車両20は、接続ケーブル15および接続コネクタ17によって住宅10と電気的に接続される。そして、車両20は、商用電力相当の電力を生成して住宅10へ供給することができ、また、住宅10からの電力の供給を受けて蓄電装置を充電することができる。すなわち、車両20は、住宅10の一電源として利用することができる。あるいは、住宅10は、車両20を電源としてパワーグリッド30に電力を供給することもできる。
【0022】
接続ケーブル15は、車両20を住宅10と電気的に接続するための電力線である。接続コネクタ17は、車両20に接続ケーブル15を電気的に接続するためのコネクタである。
【0023】
パワーグリッド30は、系統電力を生成する多数の発電設備によって構成される商用電力系統である。パワーグリッド30には、火力発電所や原子力発電所、風力発電設備、水力発電設備、太陽光発電設備など、様々な発電設備が接続されるほか、他の住宅や工場などの建物が接続される。これらの建物においても、蓄電装置を搭載した車両が接続される場合には、蓄電装置を電源としてパワーグリッド30に電力が供給され得る。
【0024】
図2は、図1に示した住宅10と車両20との構成の一例を示す図である。図2に示すように、車両20は、システムメインリレー21と、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)22と、蓄電装置29と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)61と、動力伝達ギヤ65と、駆動輪66と、ECU(Electronic Control Unit)100とを含む。
【0025】
SMR21は、蓄電装置29とPCU22との間に電気的に接続されているリレー回路である。SMR21の閉成/開放は、ECU100からの指令に従って制御される。
【0026】
PCU22は、ECU100からの指令に従って、蓄電装置29とMG61との間で電力変換を行なう。PCU22は、蓄電装置29から電力を受けてMG61を駆動するインバータと、インバータに供給される直流電圧のレベルを調整するコンバータ(いずれも図示せず)等とを含んで構成される。
【0027】
蓄電装置29は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素電池、あるいは、液体または固体の電解質を有するリチウムイオン電池などの二次電池を含んで構成される。蓄電装置29として電気二重層キャパシタ等のキャパシタも採用可能である。蓄電装置29は、車両20の走行駆動力を生成するための電力をPCU22に供給する。また、蓄電装置29は、MG61の回生制動により発電された電力により充電されたり、MG61の駆動動作により放電されたり、車両外部から供給される電力により充電されたり、車両外部への電力の供給により放電されたりする。
【0028】
MG61は、三相交流回転電機であって、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。MG61は、電動機(モータ)としての機能と発電機(ジェネレータ)としての機能とを有する。MG61は、PCU22を介して蓄電装置29と接続される。
【0029】
MG61は、たとえば、車両20の走行時においては、PCU22に含まれるインバータによって駆動される。MG61の動力は、差動歯車等によって構成される動力伝達ギヤ65を介して駆動輪66に伝達される。また、MG61は、たとえば、車両20の制動時においては、駆動輪66によりMG61が駆動され、MG61が発電機として動作して、回生制動を行なう。MG61によって発電された電力は、PCU22を介して蓄電装置29に蓄えられる。
【0030】
車両20は、外部充電または外部給電を行なうための構成として、充放電リレー26と、電力変換装置27と、インレット28とをさらに備える。インレット28には、住宅10の接続コネクタ17が連結される。接続コネクタ17は、接続ケーブル15を介して住宅10のHEMS(Home Energy Management System)11に連結される。図2において接続コネクタ17がインレット28に取り付けられた状態が示されるが、接続コネクタ17は、インレット28から脱着可能に構成され、外部充電または外部給電が行なわれる場合にインレット28に接続コネクタ17が取り付けられ、車両20が運転される場合にインレット28から接続コネクタ17が取り外される。
【0031】
蓄電装置29の外部充電時には、HEMS11側から接続ケーブル15、接続コネクタ17およびインレット28を介して電力変換装置27に電力が供給される。供給された電力は、電力変換装置27において蓄電装置29の充電が可能な電力(以下、充電電力と記載する)に変換され、変換された充電電力が蓄電装置29に供給される。
【0032】
一方、蓄電装置29の外部給電時には、電力変換装置27において所定の電力(たとえば、交流電力)に変換され、変換された交流電力がインレット28、接続コネクタ17および接続ケーブル15を介してHEMS11に供給される。
【0033】
充放電リレー26は、蓄電装置29と電力変換装置27との間に電気的に接続されているリレー回路である。充放電リレー26が閉成され、かつ、SMR21が閉成されると、インレット28と蓄電装置29との間で電力伝送が可能な状態となる。
【0034】
電力変換装置27は、充放電リレー26とインレット28との間に電気的に接続されている。電力変換装置27は、ECU100からの指令に従って、HEMS11から供給される電力を充電電力に変換したり、あるいは、蓄電装置29からの電力を給電可能な電力(たとえば、AC100Vの交流電力)に変換したりする。本実施の形態における充放電システムは、HEMS11と、接続ケーブル15と、接続コネクタ17と、SMR21と、充放電リレー26と、電力変換装置27と、インレット28とを含む。
【0035】
ECU100は、CPU101、メモリ102、および、各種信号を入出力するための入出力ポート(図示せず)等を含んで構成されている。ECU100は、車両20が所望の状態となるように車両20内の各機器(SMR21、PCU22、充放電リレー26、電力変換装置27など)を制御する。ECU100により実行される各種制御は、ソフトウェア処理、すなわち、メモリ102に格納されたプログラムがCPU101により読み出されることにより実行される。ECU100による各種制御は、ソフトウェア処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理してもよい。
【0036】
ECU100には、電池温度センサ110と、電池電流センサ112と、電池電圧センサ114とが接続される。
【0037】
電池温度センサ110は、蓄電装置29の所定箇所(たとえば、蓄電装置29の最も温度が高くなる箇所)の温度TBを検出し、検出した温度TBを示す信号をECU100に送信する。電池電流センサ112は、蓄電装置29に流れる電流IBを検出し、検出した電流IBを示す信号をECU100に送信する。電池電圧センサ114は、蓄電装置29の端子間の電圧VBを検出し、検出した電圧VBを示す信号をECU100に送信する。
【0038】
車両20は、無線通信装置50と、表示装置53とをさらに備える。無線通信装置50は、車両外部と各種情報等を通信するために構成される。無線通信装置50は、遠距離通信モジュール51と、近距離通信モジュール52とを含む。遠距離通信モジュール51は、たとえば、LTE(Long Term Evolution)通信モジュールを含む。遠距離通信モジュール51は、通信ネットワーク6内の基地局(図示せず)との双方向のデータ通信が可能なように構成されている。近距離通信モジュール52は、車両20から近距離(たとえば、数メートルから数十メートル程度)にある車両20のユーザの携帯端末300や住宅10との間で双方向のデータ通信が可能なように構成されている。車両20は、住宅10と遠距離通信モジュール51および通信ネットワーク6を経由してデータ通信が可能になるようにしてもよいし、あるいは、近距離通信モジュール52を経由して直接的にデータ通信が可能になるようにしてもよい。
【0039】
また、ECU100は、無線通信装置50を介して様々な情報(車両20の位置情報など)を住宅10に送信したり、住宅10からの情報を受信したりする。
【0040】
表示装置53は、たとえば、運転者が車両20の運転中に視認可能な位置(たとえば、インストルメントパネル等)に設けられる。表示装置53は、たとえば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)等によって構成される。表示装置53は、ECU100からの制御信号に応じて文字情報や画像等を表示させる。
【0041】
ECU100は、たとえば、車両20の運転中であるとき、あるいは、車両20の駐車中であって、インレット28に接続コネクタ17が接続され、住宅10と蓄電装置29との間で電力の授受が可能な状態であるときに、蓄電装置29のSOC(State Of Charge)を算出する。
【0042】
なお、SOCの算出方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、または、開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の推定による手法など、種々の公知の手法を採用できる。
【0043】
住宅10は、HEMS11と、通信装置12と、太陽光発電装置13と、表示装置14と、電気機器18とを含む。
【0044】
HEMS11は、たとえば、配電盤、電力変換装置および制御装置等によって構成される。HEMS11には、太陽光発電装置13と、電気機器18と、車両20と、パワーグリッド30とが電気的に接続される。HEMS11には、車両20との間で電力を授受する入出力部11aと、パワーグリッド30との間で電力を授受する入出力部11bと、電気機器18に給電するための出力部11cと、太陽光発電装置13およびパワーグリッド30と入出力部11aとの間に電気的に接続されるリレー11fとが設けられる。
【0045】
さらに、HEMS11は、CPU11dと、メモリ11eとを含む。HEMS11は、各接続先との間の電力の授受状態が所望の状態になるようにHEMS11内の各機器を制御する。HEMS11により実行される各種制御は、ソフトウェア処理、すなわち、メモリ11eに格納されたプログラムがCPU11dにより読み出されることにより実行される。HEMS11による各種制御は、ソフトウェア処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理してもよい。
【0046】
HEMS11は、たとえば、パワーグリッド30や太陽光発電装置13から電気機器18や車両20に供給される電力量を調整する。あるいは、HEMS11は、たとえば、車両20から電気機器18やパワーグリッド30に供給される電力量を調整する。
【0047】
通信装置12は、車両20の無線通信装置50と、所定の無線通信によってあるいは通信ネットワーク6を経由した通信によって相互に通信可能に構成される。
【0048】
太陽光発電装置13は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電する発電装置である。太陽光発電装置13は、発電した電力をHEMS11に供給する。
【0049】
表示装置14は、住宅10内のユーザに視認可能な位置に設けられる。表示装置14は、たとえば、液晶ディスプレイや有機EL等によって構成される。表示装置14は、HEMS11からの制御信号に応じて文字情報や画像等を表示させる。電気機器18は、住宅10内に設けられる家電機器等を含む。
【0050】
HEMS11は、車両20のインレット28に接続コネクタ17が接続されている場合に、蓄電装置29の電力を住宅10内の電気機器18に供給したり、太陽光発電装置13において発電された電力やパワーグリッド30からの電力を車両20に供給したりする。以下の説明においては、このような住宅10と車両20との間で電力を授受する動作を「V2H運転」と記載する。HEMS11は、たとえば、車両20のインレット28に接続コネクタ17が接続されている場合にV2H運転を実施してもよいし、あるいは、インレット28に接続コネクタ17が接続された状態で、住宅10、車両20、管理サーバ200および携帯端末300のうちの少なくともいずれかからV2H運転の実施するための要求信号を受け付けた場合にV2H運転を実施してもよい。
【0051】
管理サーバ200は、住宅10と、車両20と、携帯端末300と、通信ネットワーク6を経由して通信可能に構成される。管理サーバ200は、住宅10、車両20、および、携帯端末300の各々から通信ネットワーク6を経由して各種情報を受信したり、住宅10、車両20、および、携帯端末300の各々に各種情報を通信ネットワーク6を経由して送信したりする。
【0052】
携帯端末300は、ユーザが携帯可能な端末であって、たとえば、表示装置と、入力装置と、通信装置(いずれも図示せず)とを含む。携帯端末300の通信装置は、住宅10、車両20、および、管理サーバ200と通信ネットワーク6を経由して通信可能に構成される。
【0053】
管理サーバ200は、たとえば、車両20から所定信号を受信し、受信した所定信号に対応した表示を行なうように携帯端末300に表示要求信号を送信したり、携帯端末300の入力装置への入力結果を示す信号を受信し、受信した入力結果を示す信号に対応した制御を行なうように車両20に制御要求信号を送信したりする。
【0054】
上述のような構成を有する電力システム1において、車両20に搭載される蓄電装置29と住宅10やパワーグリッド30との間で電力が授受される。
【0055】
上述のような電力の授受を応答性良く行なうために、ユーザや、パワーグリッド30への電力を管理するHEMS11あるいは管理サーバ200などから停止指令がない限り、車両20に搭載される蓄電装置29と住宅10との間で電力の授受が可能な状態が維持される。そのため、蓄電装置29と住宅10との間の充放電システムに設けられるコンデンサなどの電子部品の通電状態が維持される。その結果、電子部品が不必要に劣化し、寿命が短縮する可能性がある。
【0056】
そこで、本実施の形態においては、ECU100は、以下の第1条件と第2条件と第3条件とが成立する場合に充放電システムの停止許否を問い合わせる問い合わせ情報を報知するものとする。第1条件は、蓄電装置29と設備との間において授受される電力の大きさがしきい値よりも小さいという条件を含む。第2条件は、現在時刻が、太陽光発電装置13による発電量がしきい値よりも小さくなる時間帯内の時刻であるという条件を含む。第3条件は、現在時刻が、1日のうち他の時間帯よりも安い電気料金が設定された時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29の蓄電量であるSOCが満充電状態に対応する所定範囲内であるという条件を含む。
【0057】
このようにすると、ユーザに充放電システムの停止を促すことができる。問い合わせ情報が報知されることで充放電システムが停止されれば、蓄電装置29と住宅10との間の通電状態が解消されるため、蓄電装置29と住宅10との間の充放電システムに設けられる電子部品が不必要に劣化することを抑制するとともに、電子部品の寿命が短縮することを抑制することができる。
【0058】
以下に、図3を参照して、ECU100によって実行される処理について説明する。図3は、ECU100によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU100は、V2H運転の実施中であるか否かを判定する。
【0060】
ECU100は、V2H運転が実施中であることを示すフラグがオン状態である場合にV2H運転が実施中であると判定する。ECU100は、たとえば、接続コネクタ17が車両20のインレット28に接続されており、かつ、V2H運転の実施要求を示す信号を受信する場合に、V2H運転を実施するとともにV2H運転が実施中であることを示すフラグをオン状態にする。
【0061】
V2H運転の実施要求を示す信号は、たとえば、住宅10内の所定の操作装置に対する所定の操作を受け付けた場合にHEMS11から車両20に対して送信される。あるいは、V2H運転の実施要求を示す信号は、たとえば、携帯端末300の入力装置に対する所定の操作を受け付けた場合に携帯端末300から車両20に対して送信される。あるいは、V2H運転の実施要求を示す信号は、たとえば、車両20の蓄電装置29とパワーグリッド30との間で電力を授受する電力需給調整期間において管理サーバ200から車両20に対して送信される。V2H運転が実施中であると判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。
【0062】
S102にて、ECU100は、現在の充放電電力Pを取得する。ECU100は、たとえば、電池電流センサ112を用いて取得される電流IBおよび電池電圧センサ114を用いて取得される電圧VBとの積を現在の充放電電力Pとして取得する。
【0063】
S104にて、ECU100は、充放電電力Pの絶対値(大きさ)がしきい値P1よりも小さいか否かを判定する。しきい値P1は、予め定められた値であって、蓄電装置29とHEMS11との間で電力の授受が行なわれていないと判定するための値である。充放電電力Pの絶対値がしきい値P1よりも小さいと判定される場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。なお、充放電電力Pの絶対値がしきい値P1以上であると判定される場合は(S104にてNO)、処理はS108に移される。
【0064】
S106にて、ECU100は、時間カウンタTを加算する。具体的には、ECU100は、時間カウンタTとしてメモリ102に記憶される値に予め定められた値を加算する。ECU100は、加算した値を用いてメモリ102に記憶される時間カウンタTを示す値を更新する。
【0065】
S108にて、ECU100は、時間カウンタTをリセットする。具体的には、ECU100は、時間カウンタTとしてメモリ102に記憶される値を初期値(たとえば、ゼロ)に設定する。その後、ECU100は、処理をS102に戻す。
【0066】
S110にて、ECU100は、時間カウンタTがT1に到達しているか否かを判定する。ECU100は、たとえば、時間カウンタTを示す値がT1以上の値である場合に時間カウンタTがT1に到達していると判定する。T1は、予め定められた時間に相当する値であって、予め定められた時間は、たとえば、数十分程度の時間である。時間カウンタTがT1に到達していると判定される場合(S110にてYES)、処理はS112に移される。時間カウンタTがT1に到達していない場合には(S110にてNO)、処理はS102に戻される。
【0067】
S112にて、ECU100は、現在時刻が、日照が見込めない時刻であるか否かを判定する。ECU100は、現在時刻が予め定められた時間帯内の時刻である場合に日照が見込めない時刻であると判定する。予め定められた時間帯は、太陽光発電装置13における所定時間当たりの発電量がしきい値以下になる時間帯である。予め定められた時間帯は、たとえば、太陽光が得られない夕方や夜間に対応する時間帯を含む。また、現在時刻は、図示しない計時装置を用いて取得されてもよいし、あるいは、HEMS11、管理サーバ200あるいは携帯端末300から取得されてもよい。現在時刻が、日照が見込めない時刻であると判定される場合(S112にてYES)、処理はS114に移される。なお、現在時刻が、日照が見込めない時刻でないと判定される場合(S112にてNO)、処理はS102に戻される。
【0068】
S114にて、ECU100は、現在の時刻が深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態であるか否かを判定する。
【0069】
深夜電力の時間帯は、1日のうちの昼間の電力料金よりも安い電力料金が設定される時間帯であって、予め定められた時間帯である。深夜電力の時間帯は、予めメモリ102に記憶されていてもよいし、あるいは、管理サーバ200等から受信してメモリ102に記憶されていてもよい。
【0070】
さらに、ECU100は、たとえば、蓄電装置29のSOCがしきい値SOC(0)よりも大きい場合に蓄電装置29が満充電状態付近の状態であると判定する。深夜電力の時間帯であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態であると判定される場合(S114にてYES)、処理はS116に移される。なお、現在の時刻が深夜電力の時間帯内の時刻でないと判定される場合や、蓄電装置29が満充電状態付近の状態でないと判定される場合(S114にてNO)、処理はS102に戻される。
【0071】
S116にて、ECU100は、問い合わせ情報を報知する。ECU100は、たとえば、V2H運転の停止許否を問い合わせる情報を問い合わせ情報として報知する。ECU100は、たとえば、表示装置14に問い合わせ情報を表示するようにHEMS11に対して要求信号を送信する。HEMS11は、ECU100からの要求信号に応じて、V2H運転を停止許否を問い合わせる情報を表示装置14に表示させる。表示装置14に表示される情報は、たとえば、文字情報や画像等によって構成される情報を含む。
【0072】
なお、ユーザは、表示装置14により問い合わせ情報が表示される場合、住宅10内のタッチパネルディスプレイなどの表示装置14に一体的に設けられる操作装置や、表示装置14とは別途設けられる操作装置(いずれも図示せず)を操作することによってV2H運転の停止を許可するか否かを選択してもよい。HEMS11は、住宅10内の操作装置に対してV2H運転の停止を許可する操作が行なわれると、V2H運転の停止がユーザにより許可されたことを示す信号を車両20に送信する。
【0073】
S118にて、ECU100は、V2H運転の停止が許可されたか否かを判定する。ECU100は、たとえば、問い合わせ情報を報知したタイミングから予め定められた期間が経過するまでの間に、HEMS11からV2H運転の停止がユーザにより許可されたことを示す信号を受信する場合に、V2H運転の停止が許可されたと判定する。V2H運転の停止が許可されたと判定される場合(S118にてYES)、処理はS120に移される。V2H運転の停止が許可されなかったと判定される場合(S118にてNO)、処理はS102に戻される。
【0074】
S120にて、ECU100は、V2H運転を停止させる。ECU100は、たとえば、HEMS11に対してV2H運転の停止を要求する要求信号をHEMS11に送信するとともに電力変換装置27の停止処理を実行する。ECU100は、停止処理において、電力変換装置27の動作を停止するとともに、充放電リレー26とSMR21とを開放する。HEMS11は、ECU100からの要求信号に応じて内部のリレー11fを開放する。これにより、住宅10と車両20との間の電気的接続が遮断状態になる。
【0075】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態における車両20に搭載されるECU100の動作について説明する。
【0076】
たとえば、車両20が住宅10の駐車スペースに駐車され、接続コネクタ17がインレット28に接続されるとともに、携帯端末300に対してV2H運転の実施を要求する操作が行なわれると、携帯端末300から通信ネットワーク6を経由して住宅10のHEMS11にV2H運転の実施を要求する要求信号が送信される。HEMS11は、携帯端末300からの要求信号を受信する場合に、リレー11fを閉成するとともに、V2H運転の実施要求を示す信号をECU100に対して送信する。ECU100は、HEMS11からV2H運転の実施要求を示す信号を受信するとSMR21と充放電リレー26との各々を閉成する。これにより、太陽光発電装置13やパワーグリッド30からの電力が蓄電装置29に供給されたり、蓄電装置29の電力が電気機器18やパワーグリッド30に供給されたりすることが可能となり、HEMS11によって住宅10と車両20との間で授受される電力が調整される。このとき、V2H運転が実施中であることを示すフラグがオン状態になる。
【0077】
V2H運転が実施中であると(S100にてYES)、電池電流IBと電池電圧VBとの積から現在の充放電電力Pが取得される(S102)。蓄電装置29がHEMS11から供給される電力により充電されるなどして、取得された充放電電力Pの絶対値がしきい値P1以上である場合には(S104にてNO)、時間カウンタTが初期値にリセットされ(S108)、現在の充放電電力Pが取得される処理が繰り返される(S102)。
【0078】
蓄電装置29が満充電状態になることによって、充電が停止されるなどして、取得された充放電電力Pの絶対値がしきい値P1よりも小さくなる場合には(S104にてYES)、時間カウンタTが加算される(S106)。充放電電力Pの絶対値がしきい値P1よりも小さくなる状態が継続し、時間カウンタTがT1に到達する場合(S110にてYES)、現在時刻が、日照が見込めない時刻であるか否かが判定される(S112)。現在時刻が、予め定められた時間帯内の時刻である場合には(S112にてYES)、さらに現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29のSOCがしきい値SOC(0)よりも大きい満充電状態付近の状態であるか否かが判定される(S114)。
【0079】
現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態であると判定される場合(S114にてYES)、V2H運転の停止許否を問い合わせる問い合わせ情報が報知される(S116)。すなわち、HEMS11に問い合わせ情報の表示を要求する要求信号が出力される。HEMS11は、要求信号を受信すると表示装置14に文字情報と画像とが表示装置に表示されることによって問い合わせ情報が報知される。その後、ユーザが住宅10内の操作装置においてV2H運転の停止を許可する操作を行なうと、HEMS11からECU100に対してV2H運転の停止がユーザにより許可されたことを示す信号が送信される。
【0080】
V2H運転の停止が許可されると(S118にてYES)、V2H運転が停止される(S120)。そのため、ECU100およびHEMS11の各々において停止処理が実行され、車両20のSMR21と充放電リレー26とが開放されるとともに、HEMS11のリレー11fが開放される。その結果、住宅10と車両20との間の電気的な接続が遮断状態になる。
【0081】
以上のようにして、本実施の形態に係る電力システム1によると、充放電電力Pの絶対値がしきい値よりも小さく、太陽光発電装置13による所定時間当たりの発電量が小さい時間帯内の時刻であって、1日のうち昼間の時間帯よりも電気料金の安い深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態である場合に、充放電システムにより行なわれるV2H運転の停止許否を問い合わせる問い合わせ情報が報知される。そのため、問い合わせ情報の報知により、ユーザにV2H運転の停止を促すことができる。問い合わせ情報が報知されることでユーザがV2H運転の停止を許可する場合には、V2H運転が停止されるので、蓄電装置29と住宅10との間の通電状態が解消される。そのため、電子部品が不必要に劣化することを抑制するとともに、電子部品の寿命が短縮することを抑制することができる。したがって、車載の蓄電装置と電力の授受先との間の電気回路に設けられる電子部品の劣化を抑制する電力システムを提供することができる。
【0082】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、しきい値P1およびT1が予め定められるものとして説明したが、たとえば、ユーザによって変更可能な値であってもよい。このようにすると、報知する頻度を変化させることができるため、報知頻度をユーザの嗜好に合わせることが可能となる。
【0083】
さらに上述の実施の形態では、車両20は、電気自動車であるものとして説明したが、住宅10に電力を供給したり、住宅10からの電力の供給を受けて充電が可能な蓄電装置を搭載する車両であればよく、たとえば、ハイブリッド車両や蓄電装置を搭載した燃料電池車両であってもよい。
【0084】
さらに上述の実施の形態では、住宅10と車両20とは無線通信装置を用いて通信が行なわれるものとして説明したが、たとえば、接続ケーブル15を経由したPLC(Power Line Communication)通信等の有線通信が行なわれてもよい。
【0085】
さらに上述の実施の形態では、充放電電力Pは、電池電流IBおよび電池電圧VBの積から取得されるものとして説明したが、たとえば、インレット28に電圧センサおよび電流センサを設けて、これらのセンサの検出結果を用いて充放電電力Pが取得されてもよい。あるいは、HEMS11に設けられる電圧センサおよび電流センサの検出結果を示す信号をHEMS11から受信して、ECU100が充放電電力Pを取得してもよい。
【0086】
さらに上述の実施の形態では、問い合わせ情報が表示装置14に表示されるものとして説明したが、問い合わせ情報は、表示装置14に代えてまたは加えて携帯端末300の表示装置に表示されてもよい。ECU100は、たとえば、表示要求信号を携帯端末300に直接的に送信してもよいし、通信ネットワーク6および管理サーバ200を経由して間接的に送信してもよい。ユーザは、携帯端末300の入力装置を操作することによってV2H運転の停止を許可するか否かを選択してもよい。さらに、問い合わせ情報は、表示装置14に代えてまたは加えて表示装置53に表示されてもよい。ユーザは、車両20内の操作装置を操作することによってV2H運転の停止を許可するか否かを選択してもよい。
【0087】
さらに上述の実施の形態では、日照が見込めない時刻であるか否かを判定するための時間帯が予め定められたものであるものとして説明したが、ECU100は、たとえば、日付やHEMS11において記憶される太陽光発電装置13の所定時間当たりの発電量の履歴を取得し、取得された履歴を用いて日照が見込めない時刻であるか否かを判定するための時間帯を設定するようにしてもよいし、天気予報に対応するデータを管理サーバ200から取得し、現在の天候と関連付けて日照が見込めない時刻であるか否かを判定するための時間帯を設定してもよい。
【0088】
さらに上述の実施の形態では、表示装置に文字情報および画像等を表示することによって視覚的に問い合わせ情報を報知するものとして説明したが、音声等によって聴覚的に問い合わせ情報を報知するものとしてもよい。
【0089】
さらに上述の実施の形態では、蓄電装置29と住宅10との間で授受される電力の大きさが小さいという第1条件と、太陽光発電装置13による発電量が小さい時間帯内の時刻であるという第2条件と、1日のうち他の時間帯よりも電気料金の安い時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態であるという第3条件が成立する場合に、充放電システムにより行なわれるV2H運転の停止許否を問い合わせる問い合わせ情報が報知されるものとして説明したが、特にこのような制御に限定されるものではない。たとえば、ECU100は、第1条件と第2条件と第3条件とのうちの少なくともいずれかの条件が成立する場合に、問い合わせ情報を報知するようにしてもよい。
【0090】
以下、図4を参照して、変形例におけるECU100で実行される処理の一例について説明する。図4は、変形例においてECU100で実行される処理の一例を示すフローチャート(その1)である。なお、図4のフローチャートは、図3のフローチャートと比較して、S110の処理と、S112の処理と、S114の処理とに代えて、S200の処理と、S202の処理と、S204の処理とを含む点で異なる。それ以外の処理について、図3に示すフローチャートと同じ処理については、同じステップ番号が付与されている。そのため、以下に説明する場合を除き、それらの処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0091】
図4のフローチャートに示すように、時間カウンタTが加算されると(S106)、処理はS200に移される。S200にて、ECU100は、時間カウンタTがT1に到達したか否かを判定する。時間カウンタTがT1に到達したと判定されると(S200にてYES)、処理はS116に移される。時間カウンタTがT1に到達していないと判定される場合(S200にてNO)、処理はS202に移される。
【0092】
S202にて、ECU100は、現在時刻が、日照が見込めない時刻であるか否かを判定する。現在時刻が、日照が見込めない時刻であると判定される場合(S202にてYES)、処理はS116移される。現在時刻が、日照が見込めない時刻でないと判定される場合(S202にてNO)、処理はS204に移される。
【0093】
S204にて、ECU100は、現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態であるか否か判定する。現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態であると判定される場合(S204にてYES)、処理はS116に移される。現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻でなかったり、あるいは、蓄電装置29が満充電状態付近の状態でないと判定される場合(S204にてNO)、処理はS102に戻される。
【0094】
このようにすると、第1条件と、第2条件と、第3条件とのうちの少なくともいずれかの条件が成立する場合に、問い合わせ情報が報知されるので、ユーザにV2H運転の停止を促すことができる。
【0095】
さらに上述の実施の形態では、第1条件と第2条件と第3条件とが成立する場合に、問い合わせ情報が報知されるものとして説明したが、たとえば、ECU100は、第1条件と第3条件とが成立する場合に、問い合わせ情報を報知するようにしてもよい。
【0096】
以下、図5を参照して、他の変形例におけるECU100で実行される処理の一例について説明する。図5は、変形例においてECU100で実行される処理の一例を示すフローチャート(その2)である。なお、図5のフローチャートは、図3のフローチャートと比較して、S112の処理が省略される点で異なる。それ以外の処理について、図3のフローチャートの処理と同じ処理については、同じステップ番号が付与されている。そのため、以下に説明する場合を除き、それらの処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0097】
図5のフローチャートに示すように、時間カウンタTがT1に到達していると判定される場合には(S110にてYES)、処理はS114に移される。
【0098】
このようにすると、第1条件と第3条件とが成立する場合に、問い合わせ情報が報知されるので、ユーザにV2H運転の停止を促すことができる。
【0099】
さらに上述の実施の形態では、第1条件と第2条件と第3条件とが成立する場合に、問い合わせ情報が報知されるものとして説明したが、第1条件と第2条件と第3条件とが成立する場合に、V2H運転を停止するようにしてもよい。
【0100】
以下、図6を参照して、他の変形例におけるECU100で実行される処理の一例について説明する。図6は、変形例においてECU100で実行される処理の一例を示すフローチャート(その3)である。なお、図6のフローチャートは、図3のフローチャートと比較して、S116の処理とS118の処理とが省略される点で異なる。それ以外の処理について、図3のフローチャートの処理と同じ処理については、同じステップ番号が付与されている。そのため、以下に説明する場合を除き、それらの処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0101】
図6のフローチャートに示すように、現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態であると判定される場合(S114にてYES)、処理は、S120に移される。
【0102】
そのため、第1条件と第2条件と第3条件とが成立する場合には、V2H運転が停止されるので、蓄電装置29と住宅10との間の通電状態が解消されるため、電子部品が不必要に劣化することを抑制するとともに、電子部品の寿命が短縮することを抑制することができる。
【0103】
さらに上述の実施の形態では、第1条件と第2条件と第3条件とが成立する場合に、問い合わせ情報が報知されるものとして説明したが、第1条件と第2条件と第3条件とに加えて第4条件が成立する場合に、問い合わせ情報が報知されるものとしてもよい。
【0104】
第4条件は、補機バッテリの放電禁止回数がしきい値N1よりも多いという条件を含む。車両20には、車両20に搭載される補機(ECU100を含む)に電力を供給する補機バッテリ(図示せず)が搭載される。ECU100は、補機バッテリの残量や電圧をセンサ等を用いて検出する。ECU100は、検出された残量がしきい値以下となる場合や、電圧がしきい値以下となる場合には、補機バッテリの放電を禁止する。ECU100は、補機バッテリの放電を禁止する場合には、放電禁止回数をカウントする。そのため、補機バッテリの放電禁止回数の回数が大きいほど、車両20が放置されている状態が継続していることが示される。
【0105】
以下、図7を参照して、他の変形例におけるECU100で実行される処理の一例について説明する。図7は、変形例においてECU100で実行される処理の一例を示すフローチャート(その4)である。なお、図7のフローチャートは、図3のフローチャートと比較して、S114の処理とS116の処理との間にS300の処理を含む点で異なる。それ以外の処理について、図3のフローチャートの処理と同じ処理については、同じステップ番号が付与されている。そのため、以下に説明する場合を除き、それらの処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0106】
図7のフローチャートに示すように、現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態である場合(S114にてYES)、処理はS300に移される。
【0107】
S300にて、ECU100は、補機バッテリの放電禁止回数がしきい値N1よりも多いか否かを判定する。放電禁止回数については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。補機バッテリの放電禁止回数がしきい値N1よりも多いと判定される場合(S300にてYES)、処理はS116に移される。なお、放電禁止回数がしきい値N1以下であると判定される場合(S300にてNO)、処理はS102に戻される。
【0108】
このようにすると、第1条件と第2条件と第3条件と第4条件とが成立する場合に、問い合わせ情報が報知されるので、電力の授受が行なわれていない状況で、かつ、車両20の放置状態が継続する場合に、ユーザにV2H運転の停止を促すことができる。
【0109】
さらに上述の実施の形態では、第1条件と第2条件と第3条件とが成立する場合に、問い合わせ情報が報知され、停止許可を受けてV2H運転を停止するものとして説明したが、第1条件と第2条件と第3条件との成立によってV2H運転が停止される場合において、第1条件と第2条件と第3条件とのうちの少なくともいずれかが不成立となる場合には、V2H運転を再開するようにしてもよい。
【0110】
以下、図8を参照して、他の変形例におけるECU100で実行される処理の一例について説明する。図8は、変形例においてECU100で実行される処理の一例を示すフローチャート(その5)である。なお、図8のフローチャートは、図3のフローチャートと比較して、S400の処理と、S402の処理と、S404の処理と、S406の処理とを追加し、かつ、S120の処理に代えてS408の処理を実行する点で異なる。それ以外の処理について、図3の処理と同じ処理については、同じステップ番号が付与されている。そのため、以下に説明する場合を除き、それらの処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0111】
図8のフローチャートに示すように、V2H運転が実施中でないと判定される場合(S100にてNO)、処理はS400に移される。
【0112】
S400にて、ECU100は、停止フラグがオン状態であるか否かを判定する。停止フラグがオン状態である場合は、後述するように第1条件と第2条件と第3条件とが成立し、ユーザが停止を許可することによってV2H運転が停止されたことを示す。停止フラグがオン状態であると判定される場合(S400にてYES)、処理をS102に移す。停止フラグがオン状態でないと判定される場合(S400にてNO)、処理はS100に戻される。
【0113】
現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻であって、かつ、蓄電装置29が満充電状態付近の状態であると判定される場合(S114にてYES)、処理はS402に移される。
【0114】
S402にて、ECU100は、停止フラグがオフ状態であるか否かを判定する。停止フラグがオフ状態であると判定される場合(S402にてYES)、処理はS116に移される。停止フラグがオン状態であると判定される場合(S402にてNO)、この処理は終了される。
【0115】
時間カウンタTがリセットされた後や(S108)、時間カウンタTがT1に到達していないと判定される場合や(S110にてNO)、現在時刻が、日照が見込めない時刻でないと判定される場合や(S112にてNO)、現在時刻が深夜電力の時間帯内の時刻でなかったり、蓄電装置29が満充電状態付近の状態でないと判定される場合には(S114にてNO)、処理はS404に移される。
【0116】
S404にて、ECU100は、停止フラグがオン状態であるか否かを判定する。停止フラグがオン状態であると判定される場合(S404にてYES)、処理はS306に移される。停止フラグがオン状態でないと判定される場合(S404にてNO)、処理はS102に戻される。
【0117】
S406にて、ECU100は、V2H運転を再開する。ECU100は、V2H運転の実施要求を示す信号をHEMS11に送信するとともに、SMR21および充放電リレー26を閉成する。さらに、ECU100は、停止フラグをオフ状態に設定する。
【0118】
V2H運転の停止が許可されたと判定される場合(S118にてYES)、処理はS408に移される。
【0119】
S408にて、ECU100は、V2H運転を停止する。V2H運転の停止処理については、S120の処理における停止処理と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。このとき、ECU100は、停止フラグをオン状態に設定する。
【0120】
このようにすると、第1条件と第2条件と第3条件とが成立し、停止フラグがオフ状態である場合には(S402にてYES)、問い合わせ情報が報知され(S116)、V2H運転の停止が許可された場合に(S118にてYES)、V2H運転が停止されるとともに停止フラグがオン状態に設定される(S408)。
【0121】
そのため、V2H運転の停止中において(S100にてNO)、停止フラグがオン状態であるため(S400にてYES)、第1条件、第2条件、および、第3条件の各々が成立しているか否かが判定され、少なくともいずれかが非成立となる場合には(S110にてNO、S112にてNOまたはS114にてNO)、停止フラグがオン状態であるため(S404にてYES)、V2H運転が再開される(S406)。
【0122】
したがって、蓄電装置29と住宅10との間で電力の授受が要求される可能性が高くなる状況において、充放電システムを起動してV2H運転を再開することにより、要求に応じて応答性良く蓄電装置29と住宅10との間での電力授受を行なうことができる。
【0123】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
1 電力システム、6 通信ネットワーク、10 住宅、11a,11b 入出力部、11c 出力部、11d,101 CPU、11e,102 メモリ、11f リレー、12 通信装置、13 太陽光発電装置、14,53 表示装置、15 接続ケーブル、17 接続コネクタ、18 電気機器、20 車両、21 SMR、22 PCU、26 充放電リレー、27 電力変換装置、28 インレット、29 蓄電装置、30 パワーグリッド、35 送電線、50 無線通信装置、51 遠距離通信モジュール、52 近距離通信モジュール、61 MG、65 動力伝達ギヤ、66 駆動輪、100 ECU、110 電池温度センサ、112 電池電流センサ、114 電池電圧センサ、200 管理サーバ、300 携帯端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8