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特許7512919ハイブリッド成形体、成形装置、及び成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ハイブリッド成形体、成形装置、及び成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20240702BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240702BHJP
   B29C 65/70 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/26
B29C65/70
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021014784
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2022118344
(43)【公開日】2022-08-15
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】上野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】村田 木綿子
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕希
(72)【発明者】
【氏名】四方田 英利
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-240276(JP,A)
【文献】特開2008-049702(JP,A)
【文献】特開2009-202580(JP,A)
【文献】特開2015-137013(JP,A)
【文献】特開2014-240191(JP,A)
【文献】特開2016-150547(JP,A)
【文献】国際公開第2020/202903(WO,A1)
【文献】特開2016-078376(JP,A)
【文献】特開2013-216039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/14
B29C 65/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維プラスチックからなるシート状のプリプレグとシート状の樹脂とが突き合わせ構造で一体成形されたシート状のハイブリッド成形体であって、
前記プリプレグと前記樹脂との前記突き合わせ構造における境界部分において、前記樹脂が前記プリプレグを被覆する被覆部を備え、
前記被覆部は、前記境界部分の全体に亘って設けられると共に、前記境界部分のみに設けられている、
ハイブリッド成形体。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド成形体を成形する成形装置であって、
前記成形装置は、
前記プリプレグをプレス加工する第1の型及び第2の型を備え、
前記第1の型及び前記第2の型が対向する面のうち少なくともいずれか一方が、前記被覆部を成形するための凹部を備える、
成形装置。
【請求項3】
前記第1の型及び前記第2の型のうち少なくともいずれか一方が、前記樹脂の射出手段を備える、
請求項に記載の成形装置。
【請求項4】
プリプレグと樹脂とを一体成形して請求項に記載のハイブリッド成形体を成形する成形方法であって、
プレス成形後のシート状の前記プリプレグに対し、記境界部分に前記被覆部を形成するように前記樹脂をシート状に射出して前記突き合わせ構造を有する前記ハイブリッド成形体を成形する、
成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド成形体、成形装置、及び成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下型と上型でプレス成形されるプレス素材と射出成形される射出素材を結合させるために、下型のゲート上にプレス素材を載置し、下型に向かって上型を移動させ、上型が下死点に到達する直前又は同時に、ゲートから射出素材を射出する、ハイブリッド成形方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-196115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、ハイブリッド成形体、成形装置、及び成形方法に関し、以下の課題を見出した。特許文献1の成形方法で成形されたハイブリッド成形体は、プリプレグなどのプレス素材と樹脂などの射出素材との接合部分の構造が、突き合わせ構造となっている。プリプレグを構成する連続繊維強化シート状の繊維強化プラスチックの端部は、繊維のほつれが発生することがある。かかる状態の場合、樹脂が完全に充填しきらず、プリプレグと樹脂との境界部分である接合部において所望の接合強度を得ることができない可能性がある。そうすると、外力や当該部分に発生する剪断応力によって、当該部分を起点にクラックなどのリーク経路が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制可能なハイブリッド成形体、成形装置および成形方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体は、
強化繊維プラスチックからなるプリプレグと樹脂とが一体成形されたハイブリッド成形体であって、
前記プリプレグと前記樹脂との境界部分において、前記樹脂が前記プリプレグの少なくとも一部を被覆する被覆部を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体では、プリプレグと樹脂との境界部分において、樹脂がプリプレグの少なくとも一部を被覆する被覆部を備える。このような構成によって、プリプレグと樹脂との突き合わせ部分を被覆できるとともに、プリプレグと樹脂との境界部分に剪断力が生じることによって、外力や剪断応力が発生した際のプリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0008】
前記被覆部の幅は、前記プリプレグの位置ずれ量以上であり、前記被覆部の幅および厚さは、前記プリプレグと前記樹脂との境界部分における剪断強度が、剪断応力以上となるように設けられてもよい。このような構成によって、被覆部がプリプレグを確実に被覆することができ、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0009】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体を成形する成形装置は、
前記プリプレグをプレス加工する第1の型及び第2の型を備え、
前記第1の型及び前記第2の型が対向する面のうち少なくともいずれか一方が、前記被覆部を成形するための凹部を備える。
【0010】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体を成形する成形装置では、第1の型及び第2の型が対向する面のうち少なくともいずれか一方が、被覆部を成形するための凹部を備える。このような構成により、プリプレグと樹脂との境界部分に被覆部を備えるハイブリッド成形体を成形することができる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0011】
前記第1の型及び前記第2の型のうち少なくともいずれか一方が、前記樹脂の射出手段を備えてもよい。このような構成によって、被覆部を第1の型側の面及び第2の型側の面のいずれか一方、又は、第1の型側の面及び第2の型側の面の両方に成形することができる。
【0012】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体を成形する成形装置は、
前記樹脂の射出手段を備える第1の型と、
前記プリプレグが載置される第2の型と、を備え、
前記射出手段は、前記第1の型と前記第2の型との間隔が所定の間隔となったときに、前記プリプレグ上へ前記樹脂の射出を開始する。
【0013】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体を成形する成形装置では、射出手段は、第1の型と第2の型との間隔が所定の間隔となったときに、プリプレグ上へ樹脂の射出を開始する。プリプレグ全体が樹脂によって被覆されるため、プリプレグと樹脂との境界部分を被覆することができる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0014】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体の成形方法は、
プリプレグと樹脂とを一体成形して請求項1又は2に記載のハイブリッド成形体を成形する成形方法であって、
プレス成形後の前記プリプレグと前記樹脂との境界部分において、前記樹脂が前記プリプレグの少なくとも一部を被覆するように前記樹脂を射出して前記ハイブリッド成形体を成形する。
【0015】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体の成形方法では、プレス成形後のプリプレグと樹脂との境界部分において、樹脂がプリプレグの少なくとも一部を被覆するように樹脂を射出してハイブリッド成形体を成形する。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0016】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体の成形方法は、
プリプレグを配置した第2の型に第1の型を相対的に接近させて、前記第1の型と前記第2の型との間隔が所定の間隔となったときに、前記樹脂を射出して前記ハイブリッド成形体を成形する工程を備える。
【0017】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体の成形方法では、プリプレグを配置した第2の型に第1の型を相対的に接近させて、第1の型と第2の型との間隔が所定の間隔となったときに、樹脂を射出してハイブリッド成形体を成形する。プリプレグ全体が樹脂によって被覆されるため、プリプレグと樹脂との境界部分を被覆することができる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0018】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体の成形方法は、
プリプレグを配置した第2の型に第1の型を相対的に接近させて、前記プリプレグをプレス加工する工程と、
プレス加工後に、前記第1の型を前記第2の型から相対的に離れる方向に移動させ、前記第1の型と前記第2の型との間隔が所定の間隔となったときに前記樹脂を射出して前記ハイブリッド成形体を成形する工程と、を備える。
【0019】
本発明の一態様に係るハイブリッド成形体の成形方法では、プレス加工後に、第1の型を第2の型から相対的に離れる方向に移動させ、第1の型と第2の型との間隔が所定の間隔となったときに樹脂を射出してハイブリッド成形体を成形する。プリプレグ全体が樹脂によって被覆されるため、プリプレグと樹脂との境界部分を被覆することができる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制可能なハイブリッド成形体、成形装置および成形方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係るハイブリッド成形体を示す平面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】実施の形態1にかかるハイブリッド成形装置を示す正面断面図である。
図4】実施の形態1にかかるハイブリッド成形装置の動作を示す図である。
図5】実施の形態1にかかるハイブリッド成形装置の動作を示す図である。
図6】実施の形態2に係るハイブリッド成形体を示す平面図である。
図7図6のVII-VII線に沿う断面図である。
図8】実施の形態2に係るハイブリッド成形装置を示す正面断面図である。
図9】実施の形態2にかかるハイブリッド成形装置の動作を示す図である。
図10】実施の形態3にかかるハイブリッド成形装置の動作を示す図である。
図11】実施の形態3にかかるハイブリッド成形装置の動作を示す図である。
図12】実施の形態4にかかるハイブリッド成形体を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、図に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。特に言及のない限り、z軸プラス向きが鉛直上向きである。また、xy平面が水平面である。本明細書に記載のハイブリッド成形体は、例えば、電池ケース部品として用いることができる。
【0023】
<実施の形態1>
まず、図1及び図2を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形体について説明する。続いて、図3を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形装置を説明する。さらに、図4及び図5を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形体の成形方法について説明する。
【0024】
図1は、実施の形態1に係るハイブリッド成形体を示す平面図である。なお、図1に示すハッチングは、各部を見やすくするために付したものであり、断面図を示すものではない。
【0025】
図1に示すように、ハイブリッド成形体10は、繊維強化プラスチックからなるプリプレグ11と樹脂12とが一体成形された、成形体である。プリプレグ11と樹脂12との境界部分において、樹脂12はプリプレグ11の少なくとも一部を被覆する被覆部13aを備える。被覆部13aは、被覆体13の一部である。被覆体13及び被覆部13aの詳細については、図2を用いて後述する。図1では、プリプレグ11を格子状のハッチングで示し、被覆体13及び被覆部13aを右上がり斜線で示す。
【0026】
ここで、プリプレグ11は、繊維強化プラスチックの一種である炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)に、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含侵させた、連続繊維強化シートである。樹脂12は、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂である。プリプレグ11は所望の任意の形状に加工されており、プレス加工によって成形される。樹脂12は射出成形によって成形される。すなわち、ハイブリッド成形体10は、プレス加工と射出成形によって、ハイブリッド成形されている。
【0027】
図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。図2に示すように、プリプレグ11と樹脂12との接合面Bは、突き合わせ構造を有している。被覆体13は樹脂12の一部である。被覆体13は、プリプレグ11及び樹脂12のz軸正側のxy平面から、z軸正方向に突出するように設けられている。被覆体13が備える被覆部13aが、プリプレグ11のz軸正側のxy平面の少なくとも一部を被覆している。すなわち、被覆体13によって、プリプレグ11と樹脂12との接合面Bの突き合わせ部分が被覆されている。
【0028】
図2に示すように、被覆部13aの幅Wは、プリプレグ11の位置ずれ量以上となるように設ける。ここで、位置ずれ量とは、本実施の形態に係るハイブリッド成形体10を成形する際に、成形装置内にプリプレグ11を配置したときの、xy平面の方向の位置ずれ量のことを示している。より具体的には、図3を用いて後述する。本実施の形態に係るハイブリッド成形体10では、一例として、位置ずれ量が±10mmの場合、被覆部13aの幅Wは11mm、厚さTは3mmとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
ここで、図2に示す被覆部13aの幅W及び厚さTの定義について説明する。図2に示す被覆部13aの幅W及び厚さTは、プリプレグ11と樹脂12との境界部分における剪断強度が、剪断応力以上となるように設けられている。ここで、プリプレグ11と樹脂12との境界部分における剪断強度は、プリプレグ11及び樹脂12の材料自体が有する強度と、被覆部13aの幅W及び厚さTとに依存して変化する。ハイブリッド成形体10に対してx軸正方向及び負方向の引張力を印加することによって発生する剪断力を、プリプレグ11と被覆部13aとの境界部分の面積で除して求められる値が、剪断応力である。剪断応力≦剪断強度となるように、被覆部13aの幅W及び厚さTを設定する。
【0030】
さらに、厚さTについて、次のように定義することができる。本実施の形態に係るハイブリッド成形体10の成形において樹脂12を射出した際に、射出の勢いによって、プリプレグ11のz軸負側のxy平面に樹脂12が侵入する場合がある。被覆部13aの厚さTは、このようにプリプレグ11のz軸負側のxy平面に樹脂12が侵入し、当該樹脂12によってプリプレグ11がz軸正方向に持ち上げられた場合であっても、被覆部13aのz軸正側のxy平面からプリプレグ11が突出しないような厚さとすることができる。
【0031】
また、被覆部13aを設ける場所は、CAE(Computer Aided Engineering)などのコンピュータシミュレーションを用いてあらかじめ定めてもよい。例えば、ハイブリッド成形体10において剪断応力が発生し得る場所を、CAEを用いてあらかじめ特定し、当該場所にのみ被覆部13aを設けてもよい。
【0032】
なお、図2では被覆部13a以外の被覆体13の形状は、正面断面視矩形状としたが、プリプレグ11及び樹脂12のz軸正側のxy平面からz軸正方向に突出するように設けられた形状であればよい。具体的には例えば、樹脂12のz軸正側のxy平面から、被覆部13aの右端に向かって傾斜を有して突出するような、正面断面視三角形状であってもよい。また、被覆部13aの正面断面視矩形状の角の部分を丸くしてもよい。
【0033】
このように、本実施の形態に係るハイブリッド成形体は、プリプレグと樹脂との突き合わせ部分を被覆できるとともに、プリプレグと樹脂との境界部分に剪断力が生じることによって、外力や剪断応力が発生した際のプリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。また、本実施の形態に係るハイブリッド成形体は、プリプレグと樹脂との突き合わせ部分を被覆できるため、気密性を向上させることもできる。
【0034】
また、本実施の形態に係るハイブリッド成形体の被覆部の幅は、プリプレグの位置ずれ量以上であり、被覆部の幅および厚さは、プリプレグと樹脂との境界部分における剪断強度が、剪断応力以上となるように設けられてもよい。このような構成によって、被覆部がプリプレグを確実に被覆することができ、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0035】
続いて、図3を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形装置について説明する。図3は、実施の形態1にかかるハイブリッド成形装置を示す正面断面図である。
【0036】
図3に示すように、本実施の形態に係るハイブリッド成形装置20は、プリプレグ11をプレス加工する第1の型21及び第2の型22を備える。図3では、第1の型21のz軸負側のxy平面が、図2に示した被覆部13aを成形するための凹部21aを備えているが、これに限定されない。例えば、第2の型22のz軸正側のxy平面が被覆部13aを成形するための凹部を備えていてもよいし、第1の型21及び第2の型22の両方が凹部を備えていてもよい。換言すると、本実施の形態に係る成形装置20は、第1の型21及び第2の型22が対向する面のうち少なくともいずれか一方が、被覆部13aを成形するための凹部を備える。
【0037】
ここで、プリプレグ11を第2の型22上の所望の位置に配置する際に、所望の位置からxy平面の方向にずれる位置ずれが生じる場合がある。想定される位置ずれ量は、CAEによって求めることができる。プリプレグ11の想定される位置ずれ量が最大になった場合であっても、凹部21aがプリプレグ11を被覆可能なように、幅W1を設定する。当該幅W1は、図2に示した被覆部13aの幅Wと一致するように設けられている。また、凹部21aの高さT1は、図2に示した被覆部13aの高さTと一致するように設けられている。さらに、本実施の形態に係るハイブリッド成形装置20は、第1の型21及び第2の型22のうち少なくともいずれか一方が、樹脂12を射出する射出手段を備えてもよい(不図示)。
【0038】
このように、本実施の形態に係るハイブリッド成形装置は、第1の型及び第2の型が対向する面のうち少なくともいずれか一方が、被覆部を成形するための凹部を備える。このような構成により、プリプレグと樹脂との境界部分に被覆部を備えるハイブリッド成形体を成形することができる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0039】
また、第1の型及び第2の型のうち少なくともいずれか一方が、樹脂の射出手段を備えてもよい。このような構成によって、被覆部を第1の型側の面及び第2の型側の面のいずれか一方、又は、第1の型側の面及び第2の型側の面の両方に成形することができる。
【0040】
続いて、図4及び図5を用いて、ハイブリッド成形体の成形方法について説明する。図4及び図5は、実施の形態1にかかるハイブリッド成形装置の動作を示す図である。図4に示すように、第1の型21を第2の型22へと近接する方向(z軸負方向、白抜き矢印で示す)に移動させ、プリプレグ11を所望の形状にプレス加工する。
【0041】
続いて、図5に示すように、プリプレグ11と樹脂12との境界部分において、樹脂12がプリプレグ11の少なくとも一部を被覆するように、射出手段から樹脂12が射出される。なお、樹脂12は、射出の際は溶融状態となっており、第1の型21と第2の型22との間に充填された後、硬化する。このようにして、凹部21a内に被覆部13aを備える被覆体13が形成され、図2に示したような本実施の形態に係るハイブリッド成形体10が成形される。
【0042】
このように、本実施の形態に係るハイブリッド成形体の成形方法では、プレス成形後のプリプレグと樹脂との境界部分において、樹脂がプリプレグの少なくとも一部を被覆するように樹脂を射出してハイブリッド成形体を成形する。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0043】
<実施の形態2>
次に、図6及び図7を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形体について説明する。続いて、図8を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形装置を説明する。さらに、図9を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形体の成形方法について説明する。
【0044】
図6は、実施の形態2に係るハイブリッド成形体を示す平面図である。なお、図6に示すハッチングは、各部を見やすくするために付したものであり、断面図を示すものではない。図1に示した実施の形態1に係るハイブリッド成形体10と本実施の形態に係るハイブリッド成形体30との相違点は、プリプレグ31がプレス加工されていない点と、被覆部33の形状が異なる点である。ハイブリッド成形体30のプリプレグ31及び樹脂32を構成する材料は実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
図6に示すように、ハイブリッド成形体30は、繊維強化プラスチックからなるプリプレグ31と樹脂32とが一体成形された、成形体である。プリプレグ31は、プレス加工されていない。樹脂32は、プリプレグ31の全体を被覆する被覆部33を備える(右上がり斜線で示す)。
【0046】
図7は、図6のVII-VII線に沿う断面図である。図7に示すように、被覆部33は樹脂32の一部であり、被覆部33はプリプレグ31のz軸正側のxy平面の全体を被覆している。
【0047】
このように、本実施の形態に係るハイブリッド成形体は、プリプレグ全体が樹脂によって被覆されるため、プリプレグと樹脂との境界部分を被覆することができる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0048】
続いて、図8を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形装置について説明する。図8は、実施の形態2に係るハイブリッド成形装置40を示す正面断面図である。実施の形態1と異なる点は、本実施の形態に係るハイブリッド成形装置40は、射出手段43が第1の型41のみに設けられている点である。
【0049】
図8に示すように、第1の型41は、樹脂32を射出する射出手段43を備える。第2の型42上には、プリプレグ31が載置される。射出手段43は、スプルー44及びゲート45を備える。スプルー44は樹脂32が通過する経路であり、ゲート45は樹脂32が型内へと流入する速度を調節することができる。射出手段43は、スプルー44とゲート45との間にランナーを有していてもよい。
【0050】
本実施の形態に係るハイブリッド成形装置40では、射出手段43は、第1の型41と第2の型42との間隔が所定の間隔となったときに、プリプレグ31上へ樹脂32の射出を開始する。なお、樹脂32は、射出の際は溶融状態となっており、第1の型41と第2の型42との間に充填された後、硬化する。プリプレグ31全体が樹脂32によって被覆されるため、プリプレグ31と樹脂32との境界部分を被覆することができる。よって、プリプレグ31と樹脂32との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0051】
図9は、実施の形態2にかかるハイブリッド成形装置の動作を示す図である。本実施の形態に係るハイブリッド成形体の成形方法では、プリプレグ31のプレス加工を行わない。まず、プリプレグ31を配置した第2の型42に第1の型41を相対的に接近させる。第1の型41と第2の型42との間隔が所定の間隔Gとなったときに、射出手段43はプリプレグ31上へ樹脂32の射出を開始する。なお、樹脂32は射出の際は溶融状態となっており、第1の型41と第2の型42との間に充填された後、硬化する。
【0052】
ここで、所定の間隔Gは、プリプレグ31が表出しない、すなわちリーク経路が形成されない任意の間隔とすることができる。また、例えばプリプレグ31が第2の型42に載置され、射出手段が第1の型41に設けられているため、プリプレグ31は樹脂32の射出圧によって第2の型42に押さえつけられる。したがって、プリプレグ31がz軸方向に持ち上げられることを抑制できる。
【0053】
このようにして、所定の間隔Gの厚さを有し、プリプレグ31のz軸正側のxy平面全体を被覆する被覆部33が形成され、図6及び図7に示したような本実施の形態に係るハイブリッド成形体が成形される。
【0054】
本実施の形態に係るハイブリッド成形体の成形方法では、プリプレグを配置した第2の型に第1の型を相対的に接近させて、第1の型と第2の型との間隔が所定の間隔となったときに、樹脂を射出してハイブリッド成形体を成形する。プリプレグ全体が樹脂によって被覆されるため、プリプレグと樹脂との境界部分を被覆することができる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。また、被覆部の形状をプリプレグのz軸正側のxy平面全体を被覆する形状とすることにより、被覆部を備えるハイブリッド成形体をより容易に成形することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、図3に示した実施の形態1の成形装置20の第1の型21に射出手段を設けた成形装置を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形方法を行うこともできる。図3を参照して説明する。本実施の形態では、プリプレグ11のプレス加工は行わない。まず、プリプレグ11を載置した第2の型22に、第1の型21を相対的に接近させる。第1の型21と第2の型22との間隔が所定の間隔となったときに、射出手段はプリプレグ11上へ樹脂12の射出を開始する。なお、樹脂12は射出の際は溶融状態となっており、第1の型21と第2の型22との間に充填された後、硬化する。
【0056】
ここで、所定の間隔は、例えば、図4に示すように、第1の型21のz軸負側のxy平面の少なくとも一部が、プリプレグ11のz軸正側のxy平面の少なくとも一部に接触する間隔とすることができる。このようにして、図5に示すように、プリプレグ11の少なくとも一部を被覆する被覆部13aを備えるハイブリッド成形体を成形することもできる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0057】
<実施の形態3>
続いて、図10及び図11を用いて、本実施の形態に係るハイブリッド成形体の成形方法について説明する。図10及び図11は、実施の形態3にかかるハイブリッド成形装置の動作を示す図である。本実施の形態に係る成形方法で用いる成形装置60と、実施の形態2で上述した成形装置40との異なる点は、プリプレグ51をプレス加工する点と、樹脂を射出する射出手段が設けられている位置である。本実施の形態では、射出手段(不図示)は、第1の型61及び第2の型62の少なくとも一方に設けられていてもよく、両方に設けられていてもよい。ハイブリッド成形体のプリプレグ51及び樹脂52を構成する材料は実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0058】
図10に示すように、プリプレグ51を配置した第2の型62に第1の型61を相対的に接近させ(z軸負方向、白抜き矢印で示す)、プリプレグ51をプレス加工する。続いて図11を参照する。プレス加工後に、第1の型61を第2の型62から相対的に離れる方向に移動させる(z軸正方向、白抜き矢印で示す)。第1の型61と第2の型62との間隔G2が所定の間隔となったときに、樹脂52を射出して、被覆部53を備えるハイブリッド成形体を成形する。なお、樹脂52は、射出の際は溶融状態となっており、第1の型61と第2の型62との間に充填された後、硬化する。
【0059】
ここで、所定の間隔G2は、プリプレグ51が表出しない、すなわちリーク経路が形成されない任意の間隔とすることができる。また、例えばプリプレグ51が第2の型62に載置され、射出手段が第1の型61に設けられている場合、プリプレグ51は樹脂52の射出圧によって第2の型62に押さえつけられる。したがって、プリプレグ51がz軸方向に持ち上げられることを抑制できる。
【0060】
本実施の形態に係るハイブリッド成形体の成形方法では、プレス加工後に、第1の型を第2の型から相対的に離れる方向に移動させ、第1の型と第2の型との間隔が所定の間隔となったときに樹脂を射出してハイブリッド成形体を成形する。プリプレグ全体が樹脂によって被覆されるため、プリプレグと樹脂との境界部分を被覆することができる。よって、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0061】
<実施の形態4>
図12は、実施の形態4にかかるハイブリッド成形体を示す正面断面図である。ハイブリッド成形体のプリプレグ71及び樹脂72を構成する材料は実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。実施の形態1の成形体10では、被覆部13aがプリプレグ11のz軸正側の面から突出していた(図2参照)。これに対し、本実施の形態に係るハイブリッド成形体70は、被覆部72aがプリプレグ71のz軸正側の面71Sから突出しないように形成されている。換言すると、プリプレグ71と樹脂72との境界部分において、プリプレグ71のz軸方向の厚さが薄く形成されている。
【0062】
プリプレグ71のz軸方向の厚さを薄く形成する例として、例えば、プリプレグ71は厚さ71aを有し、境界部分は厚さ71aより薄い厚さ71bを有するようにあらかじめ加工してもよい。他に例えば、厚さ71aを有するプリプレグ71を、厚さ71cの厚さ分プレス加工する工程を設け、境界部分は厚さ71aより薄い厚さ71bを有するプリプレグ71としてもよい。また、プリプレグ71を構成する繊維強化プラスチックの積層数を、厚さ71aと厚さ71bとで異なる積層数としてもよい。また、厚さ71bのプリプレグと、厚さ71cのプリプレグとを重ね、全体として厚さ71aのプリプレグとして成形してもよい。また、厚さ71bのプリプレグを折りたたむことによって、厚さ71bの部分と厚さ71aの部分とを有するプリプレグとしてもよい。
【0063】
本実施の形態に係るハイブリッド成形体は、プリプレグと樹脂との接合面が噛み合うように構成されるため、プリプレグと樹脂との境界部分におけるリーク経路の発生を抑制できる。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 成形体
10 ハイブリッド成形体
11 プリプレグ
12 樹脂
13 被覆体
13a 被覆部
20 成形装置
20 ハイブリッド成形装置
21 第1の型
21a 凹部
22 第2の型
30 ハイブリッド成形体
31 プリプレグ
32 樹脂
33 被覆部
40 成形装置
40 ハイブリッド成形装置
41 第1の型
42 第2の型
43 射出手段
44 スプルー
45 ゲート
51 プリプレグ
52 樹脂
53 被覆部
60 成形装置
61 第1の型
62 第2の型
70 ハイブリッド成形体
71 プリプレグ
71S 面
72 樹脂
72a 被覆部
B 接合面
G 間隔
G2 間隔
W 幅
W1 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12