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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】車両システム、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/955 20190101AFI20240702BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20240702BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240702BHJP
   G06F 16/172 20190101ALI20240702BHJP
【FI】
G06F16/955
G06K19/06 037
G06K7/10 252
G06F16/172
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021018279
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022121111
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-000912(JP,A)
【文献】特開2015-141652(JP,A)
【文献】特開2007-193603(JP,A)
【文献】特開2015-076869(JP,A)
【文献】特開2016-091470(JP,A)
【文献】特開2001-022628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06K 19/06
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、携帯端末と、を含む車両システムであって、
前記車両は、
一つ以上のインタフェース装置と、
前記インタフェース装置の利用方法をユーザに案内するためのデジタルデータをエンコードして得られる画像が印刷された部材と、を有し、
前記デジタルデータは、前記車両のモデルを識別するモデル識別子と、前記車両に対応する電子マニュアルの、ネットワーク上における配布場所を示す第一のデータと、前記電子マニュアル中の、対応するインタフェース装置の利用方法が記載された箇所を示す第二のデータと、を含み、
前記携帯端末は、
前記部材を光学的に読み取り、前記デジタルデータを取得することと、
取得された前記デジタルデータから、前記モデル識別子、前記第一のデータ、および前記第二のデータを抽出することと、
抽出された前記モデル識別子により示される車両のモデルに対応する電子マニュアルが自端末にダウンロードされているか否かを判定することと、
前記車両のモデルに対応する電子マニュアルが自端末にダウンロードされていない場合に、抽出された前記第一のデータに従って、前記車両の電子マニュアルをダウンロードすることと、
前記車両のモデルに対応する電子マニュアルが自端末にダウンロードされている場合に、ダウンロードされた前記電子マニュアル中の、抽出された前記第二のデータに対応する前記インタフェース装置の利用方法が記載された箇所を出力することと、
を実行する制御部を有する、
車両システム。
【請求項2】
前記車両は、対応する前記インタフェース装置の近傍に前記部材を配置してなる、
請求項に記載の車両システム。
【請求項3】
前記第一のデータはURLによって表され、前記第二のデータは、前記URLに付随するクエリパラメータによって表される、
請求項1または2に記載の車両システム。
【請求項4】
車両の電子マニュアルを識別するためのデジタルデータであって、前記車両のモデルを識別するモデル識別子と、前記車両に対応する電子マニュアルの、ネットワーク上における配布場所を示す第一のデータと、前記車両の電子マニュアル中の、対応するインタフェース装置の利用方法が記載された箇所を示す第二のデータと、を含むデジタルデータがエンコードされた画像を光学的に読み取り、前記デジタルデータを取得することと、
取得された前記デジタルデータから、前記モデル識別子、前記第一のデータ、および前記第二のデータを抽出することと、
抽出された前記モデル識別子により示される車両のモデルに対応する電子マニュアルが自装置にダウンロードされているか否かを判定することと、
前記車両のモデルに対応する電子マニュアルが自装置にダウンロードされていない場合に、抽出された前記第一のデータに従い、前記車両の電子マニュアルをダウンロードすることと、
車両のモデルに対応する電子マニュアルが自装置にダウンロードされている場合に、ダウンロードされた前記子マニュアル中の、抽出された前記第二のデータに対応する前記インタフェース装置の利用方法が記載された箇所を出力することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の取扱説明書を電子化する動きがある。これに関連し、例えば、特許文献1には、携帯端末によって自動車のマニュアルを表示可能な電子マニュアルシステムに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-162155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、電子マニュアルの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一の態様は、一つ以上のインタフェース装置と、前記インタフェース装置の利用方法をユーザに案内するためのデジタルデータをエンコードして得られる画像が印刷された部材と、を有し、前記部材を、対応する前記インタフェース装置の近傍に配置してなる車両である。
【0006】
本開示の第二の態様は、車両と、携帯端末と、を含む車両システムである。具体的には、前記車両は、一つ以上のインタフェース装置と、前記インタフェース装置の利用方法をユーザに案内するためのデジタルデータをエンコードして得られる画像が印刷された部材と、を有し、前記携帯端末は、前記部材を光学的に読み取り、前記デジタルデータを取得することと、前記デジタルデータに基づいて、対応する前記インタフェース装置の利用方法に関する案内を出力することと、を実行する制御部を有する。
【0007】
本開示の第三の態様は、車両の電子マニュアルを識別するためのデジタルデータがエンコードされた画像を光学的に読み取り、前記デジタルデータを取得することと、前記デジタルデータによって示された前記電子マニュアルが自装置に記憶されていない場合に、前記デジタルデータに従い、前記電子マニュアルを取得することと、前記デジタルデータによって示された前記電子マニュアルが自装置に記憶されている場合に、前記記憶された電子マニュアルを出力することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0008】
また、他の態様として、上記の情報処理装置が実行する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電子マニュアルの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る車両システムのシステム構成図。
図2】車両が有する構成要素を示したブロック図。
図3】パワーアウトレットの外観を示した図。
図4】ユーザ端末が有する構成要素を示したブロック図。
図5】第一の実施形態において二次元コードに符号化された情報を説明する図。
図6】ユーザ端末が提供する電子マニュアルの表示例。
図7】ユーザ端末が実行する処理のフローチャート。
図8】パワーアウトレットの外観の変形例を示した図。
図9】第二の実施形態において二次元コードに符号化された情報を説明する図。
図10】パワーアウトレットの外観の変形例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様は、複数のインタフェース装置を有する車両である。
具体的には、一つ以上のインタフェース装置と、前記インタフェース装置の利用方法をユーザに案内するためのデジタルデータをエンコードして得られる画像が印刷された部材と、を有し、前記部材が、対応する前記インタフェース装置の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0012】
インタフェース装置は、情報または電力の入力または出力を行う装置である。インタフェース装置として、例えば、車載機器に設けられた操作パネル、タッチパネル、または、表示装置などが挙げられる。また、インタフェース装置は、電力を車外に供給するソケットや、外部装置を接続するコネクタ等であってもよい。
【0013】
車両が有するこのようなインタフェース装置の中には、日常的に使用しないものが存在する。このようなインタフェース装置として、例えば、停電などの非常時において電力を車外に供給するコンセント(パワーアウトレット)がある。しかし、日常的に使用しないインタフェース装置をユーザが利用しようとした場合、その利用方法がわからないという問題が発生しうる。
装置の利用方法を知るためには、車両のマニュアルを参照する必要があるが、マニュアルが電子化されている場合、電子マニュアルのダウンロードから始めなければならず、必要な情報をすぐに入手することができない。電子マニュアルが既に手元にある場合であっても、長大なマニュアルから、必要な部分を見つけ出すのは容易ではない。
【0014】
この問題を解決するための、本開示の一態様に係る車両は、対応するインタフェース装置の近傍に、当該インタフェース装置の利用方法をユーザに案内するためのデジタルデータをエンコードした画像が印刷された部材を貼付してなる。
【0015】
インタフェース装置の利用方法を案内するためのデジタルデータは、例えば、ネットワーク上における電子マニュアルの場所を示すデータ(URLやURI等)であってもよいし、当該電子マニュアル中における記載箇所を示すデータ(ページ数やブックマークへのリンクを表すデータ)であってもよい。このようなデジタルデータをエンコードした画像(例えば、二次元コード)をインタフェース装置の近傍に貼付することで、ユーザを電子マニュアルに誘導することができる。
電子マニュアルは、文書ファイルの形式で提供されてもよいし、車種別、または、メーカー別のサポートソフトウェアとして提供されてもよい。
【0016】
また、前記デジタルデータは、前記車両に対応する電子マニュアルの、ネットワーク上における配布場所を示す第一のデータを含むことを特徴としてもよい。
例えば、電子マニュアルが文書ファイルとして提供されている場合、第一のデータは、当該文書の所在を示すネットワークアドレスであってもよい。また、電子マニュアルがソフトウェアとして提供されている場合、第一のデータは、当該ソフトウェアの配布場所(例えば、アプリストア)の識別子やネットワークアドレスであってもよい。
【0017】
また、前記デジタルデータは、前記車両に対応する電子マニュアル中における、対応するインタフェースの利用方法が記載された箇所を示す第二のデータを含むことを特徴としてもよい。
例えば、電子マニュアルが文書ファイルとして提供されている場合、第二のデータは、文書中におけるページ番号や、ブックマークへのリンクを表すデータであってもよい。
【0018】
また、前記デジタルデータは、前記車両に対応する電子マニュアルの、ネットワーク上における配布場所を示す第一のデータと、前記電子マニュアル中における、対応するインタフェースの利用方法が記載された箇所を示す第二のデータと、の双方を含むことを特徴としてもよい。
【0019】
本開示の一態様は、前述した車両と、携帯端末とを含む車両システムである。
携帯端末は、前記部材を光学的に読み取り、前記デジタルデータを取得することと、前記デジタルデータに基づいて、対応する前記インタフェース装置の利用方法に関する案内を出力することと、を実行する制御部を有する。
【0020】
このように、デジタルデータをエンコードした画像(例えば、二次元コード)を携帯端末が読み取ることで、当該携帯端末上において電子マニュアルを参照することが可能になる。
【0021】
また、前記携帯端末が有する前記制御部は、前記電子マニュアルが自端末に記憶されていない場合に、前記第一のデータに従い、前記電子マニュアルを取得することを特徴としてもよい。
また、前記携帯端末が有する前記制御部は、前記電子マニュアルが自端末に記憶されている場合に、前記記憶された電子マニュアルを出力することを特徴としてもよい。
また、前記携帯端末が有する前記制御部は、前記電子マニュアルが自端末に記憶されている場合に、前記記憶された電子マニュアルのうち、前記第二のデータによって示された箇所を出力することを特徴としてもよい。
【0022】
かかる構成によると、同一の二次元コードを用いて、「電子マニュアルの取得」「電子マニュアルの起動」「必要なページへのアクセス」といった複数の動作のうち、必要な動作を携帯端末に行わせることが可能になる。これにより、電子マニュアル中の適切な情報をユーザに迅速に提供することができる。
なお、「電子マニュアルを起動」とは、文書ファイルとして提供されている電子マニュアルを開く処理であってもよいし、電子マニュアルを提供するサポートソフトウェアを起動する処理であってもよい。
【0023】
また、本開示の一様態は、前述した携帯端末である。
具体的には、車両の電子マニュアルを識別するためのデジタルデータがエンコードされた画像を光学的に読み取り、前記デジタルデータを取得することと、前記デジタルデータによって示された前記電子マニュアルが自装置に記憶されていない場合に、前記デジタルデータに従い、前記電子マニュアルを取得することと、前記デジタルデータによって示された前記電子マニュアルが自装置に記憶されている場合に、前記記憶された電子マニュアルを出力することと、を実行する制御部を有する。
【0024】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0025】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両システムの概要について、図1を参照しながら説明する。本
実施形態に係る車両システムは、車両1と、ユーザ端末100を含んで構成される。
【0026】
車両1は、車両の外部に電源を供給する機能を有するハイブリッド自動車である。車両1は、駆動用のバッテリ(ハイブリッドバッテリ)と、ハイブリッドバッテリに蓄えられた電力を車外に供給するためのインタフェースであるパワーアウトレットを有している。
【0027】
ユーザ端末100は、車両1のユーザが所持する携帯端末である。ユーザ端末100は、車両1に貼付された二次元コードを光学的に読み取る機能と、読み取った二次元コードに基づいて、車両1の電子マニュアルを提供する機能を有している。
車両1には、当該車両の電子マニュアルを案内するためのデジタルデータがエンコードされた二次元コードが貼付されており、これをユーザ端末100によって読み取ることで、車両のユーザは、車両1の電子マニュアルにアクセスすることができる。
【0028】
システムの構成要素について、詳しく説明する。
図2は、図1に示した車両1の構成の一例を概略的に示したブロック図である。
車両1は、ハイブリッドバッテリ11、モータジェネレータ12、パワーコントロールユニット13、ハイブリッドECU14、インバータ15、および、パワーアウトレット16を有して構成される。
なお、本例では、車両1に搭載されたECU(Electronic Control Unit)として、充
放電を制御するハイブリッドECUを例示しているが、車両1には、エンジンECU、ボディECUなど、バッテリの充放電以外を制御するECUが搭載されていてもよい。
【0029】
ハイブリッドバッテリ11は、車両1を駆動する電力を供給するバッテリである。ハイブリッドバッテリ11は、モータジェネレータ12に電力を供給するとともに、モータジェネレータ12が発電した電力により充電される。ハイブリッドバッテリ11として、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池を用いることができる。
モータジェネレータ12は、電動機または発電機として機能する電動発電機である。モータジェネレータ12は、動力分割機構を介して駆動軸と接続されており、電力を運動エネルギーに、または、運動エネルギーを電力に変換することができる。
【0030】
パワーコントロールユニット13は、駆動用の電力の変換を行うユニットである。具体的には、電力を直流から交流に変換するインバータ、電圧を制御するコンバータなどを有して構成される。
ハイブリッドECU14は、電力による走行を制御する電子制御ユニットである。ハイブリッドECU14は、ハイブリッドバッテリ11に蓄積された電力による駆動軸の駆動、回生ブレーキによる電力の回収などを制御する。また、必要に応じて、ハイブリッドバッテリ11に蓄積された電力を外部に供給する制御などを行う。
なお、車両1がプラグインハイブリッド車両である場合、ハイブリッドECU14は、外部電源によるハイブリッドバッテリ11の充電制御などを行うこともできる。
【0031】
インバータ15は、ハイブリッドバッテリ11に蓄積された電力を外部に供給するため、電力を直流から交流に変換する。
パワーアウトレット16は、車両の外部に電力を供給するためのユニットである。パワーアウトレット16は、電源コネクタ(ソケット)を有しており、プラグを差し込むことで、車外に電力を供給することができる。
【0032】
車両1は、ユーザが所定の操作を行うことで、走行するモードから、車両の外部に電力を供給するモードに切り替えることができる。この制御は、ハイブリッドECU14によって実行される。しかし、当該操作に慣れていないユーザがモードを切り替えようとした場合、操作方法を調べるために車両のマニュアルを参照しなければならない。
そこで、本実施形態では、電力の出力を行うインタフェース(すなわち、パワーアウトレット16)の近傍に貼付された二次元コードを用いて、ユーザを車両の電子マニュアルへ誘導する。
【0033】
図3は、車両1が有するパワーアウトレット16の外観を示した図である。パワーアウトレット16は、例えば、ラゲッジスペース(荷室)に配置され、保護蓋を開けることで使用することができる。
パワーアウトレット16の近傍には、図示したように、二次元コードが貼付されている。後述するユーザ端末100が当該コードを読み取ることで、ユーザ端末100は、ユーザに対して電子マニュアル(特に、パワーアウトレットの使用方法に関する説明)を提供することができる。二次元コードにエンコードされた情報の詳細、および、ユーザ端末100が電子マニュアルを提供する方法については後述する。
【0034】
次に、ユーザ端末100について説明する。
図4は、図1に示したユーザ端末100の構成の一例を概略的に示したブロック図である。
【0035】
ユーザ端末100は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、ユーザ端末100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0036】
ユーザ端末100は、車両1のユーザが所持する携帯型のコンピュータである。ユーザ端末100は、スマートフォン、タブレット端末、または、その他の携帯型のコンピュータであってもよい。ユーザ端末100は、制御部101、記憶部102、通信部103、入出力部104、およびカメラ105を有して構成される。
【0037】
制御部101は、ユーザ端末100の制御を司る手段である。制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の情報
処理ユニットによって構成される。
制御部101は、機能モジュールとして、取得部1011を有している。当該機能モジュールは、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0038】
取得部1011は、後述するカメラ105によって読み取られた二次元コードをデコードし、得られた情報に基づいて、車両の電子マニュアルをユーザに提供する。詳細な動作については後述する。本実施形態では、取得部1011は、車両1の製造者によって提供されるアプリケーションプログラム(サポートソフトウェア)によってその機能を実現する。
【0039】
記憶部102は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部102には、制御部101にて実行される各種プログラム、当該プログラムが利用するデータ等が記憶される。また、記憶部102は、ネットワークからダウンロードした、車両1の電子マニュアルを記憶する。
【0040】
通信部103は、ユーザ端末100を移動体通信ネットワークに接続するためのインタ
フェースである。通信部103は、例えば、移動体通信網、無線LAN、Bluetooth(登録商標)などを利用して、広域ネットワーク(例えば、インターネット)と通信することができる。
【0041】
入出力部104は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示する手段である。具体的には、タッチパネルとその制御手段、液晶ディスプレイとその制御手段から構成される。タッチパネルおよび液晶ディスプレイは、本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。また、入出力部104は、音声を出力するためのスピーカ等を有していてもよい。
カメラ105は、画像を取得するための画像センサを含む光学ユニットである。
【0042】
次に、車両1に貼付された二次元コードの詳細と、当該二次元コードを読み取ったユーザ端末100の動作について説明する。
図5は、パワーアウトレット16の近傍に貼付される二次元コードにエンコードされた情報を説明する図である。図示したように、当該二次元コードは、以下の3種類の文字列をエンコードして得られたものである。
(1)車両1のモデルを識別する文字列(モデル識別子)
(2)車両1に対応する電子マニュアルの所在を示す文字列(ロケータ)
(3)電子マニュアル中において、外部給電方法を説明している箇所を示す文字列(ポインタ)
【0043】
モデル識別子は、車両のモデルを一意に識別する識別子である。モデル識別子は、例えば、ユーザ端末100に電子マニュアルが記憶されているか否かを識別するために利用される。
ロケータは、例えば、インターネット上における電子マニュアルの所在を表す文字列であって、典型的にはURL(Uniform Resource Locator)やURI(Uniform Resource Identifier)等である。例えば、電子マニュアルが文書ファイルとして提供されている場
合、ロケータは、当該文書の所在を示すネットワークアドレスであってもよい。また、電子マニュアルがソフトウェアとして提供されている場合、ロケータは、当該ソフトウェアの配布場所(例えば、アプリストア)の識別子やネットワークアドレスであってもよい。
【0044】
ポインタは、車両1の電子マニュアル中において、パワーアウトレット16の使用法(すなわち、外部給電方法)を説明している箇所を示すデータである。ポインタは、電子マニュアルのページ番号であってもよいし、セクション番号などであってもよい。また、電子マニュアルに複数のブックマークが定義されている場合、対応するブックマークの識別子であってもよい。
【0045】
斯様な二次元コードを読み取ったユーザ端末100(取得部1011)は、以下の動作を行う。
(1)まず、モデル識別子によって示された車両の電子マニュアルをダウンロード済みであるか否かを判定する。ここで、該当する電子マニュアルが未取得であった場合、ロケータに従って、ネットワーク上に配置されている電子マニュアルを取得する。
(2)該当する電子マニュアルを取得済みであった場合、当該電子マニュアルを開く。例えば、電子マニュアルがアプリケーションプログラムである場合、当該アプリケーションプログラムを起動する。また、電子マニュアルが文書ファイルである場合、文書ファイルに関連付いたリーダーを起動し、当該文書ファイルを読み込む。
(3)さらに、電子マニュアルが有する複数のページの中から、ポインタが指し示している所定の箇所を表示させる。
これらの動作を続けて行うことで、ユーザは、二次元コードを読み取る操作を行うだけで、電子マニュアルの必要な箇所を参照することができる。
図6は、ユーザ端末100によって表示される、車両1の電子マニュアルの一例である。
【0046】
図7は、ユーザ端末100(制御部101)が実行する処理のフローチャートである。当該処理は、ユーザが二次元コードの読み取り操作を行った場合に、取得部1011によって開始される。
まず、ステップS11で、カメラ105を介して、二次元コードを読み取る。読み取った二次元コードは、所定の手順によってデコードされ、文字列に変換される。
次に、ステップS12で、変換によって得られた文字列から、モデル識別子、ロケータ、およびポインタを抽出する。
【0047】
次に、ステップS13で、モデル識別子によって示された車両の電子マニュアルを既にダウンロード済みであるか否かを判定する。ここで、ダウンロードが未だ行われていない場合、処理はステップS16へ遷移し、ロケータに従って、電子マニュアルのダウンロードを行う。なお、ユーザによる操作(例えば、アプリケーションプログラムをインストールする操作など)が必要である場合、当該操作を促す案内を出力してもよい。
【0048】
ステップS13において、電子マニュアルを既にダウンロード済みである場合、処理はステップS14に遷移し、当該電子マニュアルをオープンする。例えば、電子マニュアルがアプリケーションプログラムである場合、当該アプリケーションプログラムを起動する。また、電子マニュアルが文書ファイルである場合、当該文書ファイルに関連付いたリーダーを起動し、当該文書ファイルを読み込む。
【0049】
そして、ステップS15で、ポインタに従って、電子マニュアル中の目的のページを表示させる。なお、電子マニュアルの起動時にページの指定が行える場合、ステップS14とS15の処理を一度に実行してもよい。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る車両システムでは、車両1が有するインタフェース装置の近傍に、当該インタフェース装置の利用方法をユーザに案内するための二次元コードが貼付される。インタフェース装置を目視したユーザは、二次元コードを必然的に目視するため、コードを読み取ることによって電子マニュアルが参照できることを認識することができる。さらに、二次元コードを読み取ったユーザ端末100は、「電子マニュアルの取得」「電子マニュアルの起動」「必要なページへのアクセス」といった複数の動作を行う。これにより、煩雑な操作を行うことなく、インタフェース装置の解説をユーザに対して提供することが可能になる。
【0051】
(第一の実施形態の変形例)
第一の実施形態では、図3に示したように、プラグの差し込み口の隣に二次元コードを貼付したが、二次元コードの貼付位置は、当該位置に限られない。
例えば、図8(A)に示したように、プラグの差し込み口に設けられた保護蓋の裏面に二次元コードを貼付してもよいし、図8(B)に示したように、プラグの差し込み口を囲うように二次元コードを配置してもよい。なお、後者の方法を採用する場合、二次元コードの誤り訂正レベルを一定以上に引き上げる必要がある点に留意が必要である。
このような方法によると、ユーザに対してより明確に二次元コードの存在を伝えることができる。
【0052】
また、第一の実施形態では、パワーアウトレットに対応する二次元コードのみを例示したが、車両1が有する複数のインタフェース装置に、それぞれ対応する二次元コードが貼付されていてもよい。複数のインタフェース装置は、例えば、車載装置(ナビゲーション装置やエアコン)のコントロールパネル、ステアリングに設けられた集中型スイッチ、パ
ワーインレット(充電口)などであってもよい。
【0053】
また、第一の実施形態では、図5に示した3種類のデータをエンコードした二次元コードを例示したが、ユーザ端末100が扱う車両のモデルが一種類である場合、モデル識別子は必須ではない。また、二次元コードが含むデータは、ロケータおよびポインタ、または、そのいずれかとしてもよい。例えば、ユーザ端末100に、所定の車種に対応する電子マニュアルが記憶されていることが予め分かっている場合、ポインタのみを含む二次元コードを利用してもよい。また、ユーザに対して、電子マニュアルの配布場所のみを案内する場合、モデル識別子やロケータのみを含む二次元コードを利用してもよい。
また、例えば、図8(C)のように、ロケータのみを含む二次元コードと、ポインタのみを含む二次元コードを別々に配置してもよい。この場合、前者を車内の一箇所に配置し、後者を、対応するインタフェースの近傍にそれぞれ配置してもよい。
【0054】
(第二の実施形態)
二次元コードは、一般的に、スマートフォン等にプレインストールされたアプリケーションソフトウェアによって読み取ることができる。例えば、一般的なスマートフォンのOS(オペレーションシステム)は、カメラ画像から二次元コードを検出した場合に、デコードしたURLをブラウザに引き渡す機能を有している。
【0055】
しかし、図5に示したような、複数の情報を含む二次元コードは、専用のアプリケーションソフトウェアでないと読み取ることができない。すなわち、対応するアプリケーションソフトウェアがインストールされていない携帯端末では、第一の実施形態に係るシステムを利用することができない。
【0056】
そこで、第二の実施形態では、前述した3種類のデータをURLに埋め込むことでこの問題を解決する。図9は、第二の実施形態で二次元コードにエンコードされる情報の例である。第二の実施形態では、モデル識別子、ロケータ、およびポインタが、一つのURLとしてエンコードされる。図示した例では、符号901がロケータ、符号902がモデル識別子、符号903がポインタを表す。すなわち、モデル識別子およびポインタは、クエリパラメータとして記述される。
【0057】
ユーザ端末100は、デコードされた当該URLに、ブラウザ経由でアクセスする。また、送信されたクエリパラメータを受け取ったWebサーバ(すなわち、電子マニュアルの配布を行うサーバ)は、以下のうちのいずれかの動作を行う。
【0058】
(1)クエリパラメータを解釈し、対応する車種の電子マニュアルの、対応するページを出力する
例えば、図9の例の場合、「V001」というモデルに対応する電子マニュアルの28ページ目を出力する。これによりユーザは、ユーザ端末100上で、電子マニュアルの対応するページを参照することができる。この方法を採用する場合、ユーザ端末100には、電子マニュアルがページ単位でダウンロードされる。
【0059】
(2)クエリパラメータを解釈せず、電子マニュアルのみを提供する
Webサーバは、URLに付加されたクエリをダミーとして扱い、ロケータ部分のみを認識する。これにより、ユーザ端末100は、ロケータに記述された電子マニュアルの全体をダウンロードすることができる。なお、本例では、電子マニュアルはサポートソフトウェアとして提供されるものとする。
その後、ユーザがサポートソフトウェアを起動し、同じ二次元コードを再度読み取る。二次元コードを読み取ったサポートソフトウェアは、URLに含まれるモデル識別子およびポインタを識別し、記憶された電子マニュアルのうち、該当する情報を出力する。例え
ば、図9の例の場合、「V001」というモデルに対応する電子マニュアルの28ページ目を出力する。この場合、サポートソフトウェアは、URLに含まれるクエリパラメータ部分のみを解釈する。
【0060】
なお、上記(2)の方法を採用する場合、ユーザは二次元コードを二回読み取る必要がある。そこで、手順を案内する文章を二次元コードの近傍に記載してもよい。例えば、図10に示したような情報を記載することで、二次元コードの使用方法をユーザに伝達することができる。
【0061】
以上説明したように、第二の実施形態では、必要な情報をURLに埋め込み、二次元コードとしてエンコードする。かかる構成によると、「電子マニュアルの取得」と、「電子マニュアル中における必要な部分の提示」という二つの動作を、事前準備なしで行うことが可能になる。
【0062】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0063】
また、実施形態の説明では、二次元コードによってユーザを電子マニュアルに誘導する構成を例示したが、車両の説明文そのものをエンコードした二次元コードを生成してもよい。
【0064】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0065】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0066】
1・・・車両
100・・・ユーザ端末
101・・・制御部
102・・・記憶部
103・・・通信部
104・・・入出力部
105・・・カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10