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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】自動運転車両管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0645 20230101AFI20240702BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20240702BHJP
【FI】
G06Q30/0645
G06Q10/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021027050
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022128692
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜田 伸
(72)【発明者】
【氏名】星 克也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩章
(72)【発明者】
【氏名】澤田 昌久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】瀬木 真琴
(72)【発明者】
【氏名】服部 博生
【審査官】前田 侑香
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197505(JP,A)
【文献】特開2007-071694(JP,A)
【文献】特開2009-048357(JP,A)
【文献】特開2020-135534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の自動運転車両に付与された識別情報と、前記自動運転車両を優先的に使用可能な優先使用者の情報とを関連付けて記憶する、優先使用者情報記憶部と、
前記優先使用者による優先使用要求に応じて、前記自動運転車両の優先使用時間帯を設定する、優先使用者スケジュール管理部と、
前記優先使用者とは異なる一般使用者から、前記優先使用時間帯を除く時間帯が指定された、前記自動運転車両に対する一般使用要求を受信したときに、前記一般使用要求にて指定された時間帯を一般使用時間帯に設定する、一般使用者スケジュール管理部と、
前記一般使用者に対して、前記一般使用時間帯の予約確認情報を送信する送受信部と、
を備え
前記一般使用者スケジュール管理部は、前記予約確認情報の送信後に、前記一般使用時間帯に少なくとも一部が含まれる時間帯が指定された前記優先使用要求を受けたときに、前記一般使用時間帯の設定を取り消し、
前記一般使用者に対して、取り消された前記一般使用時間帯に使用可能な、前記自動運転車両とは異なる前記自動運転車両を配車予約する配車部を備え、
前記優先使用者情報記憶部には、一般使用者を特定の人間に制限する制限設定の有無と、前記制限設定有りの場合について前記特定の人間に関する情報が、前記自動運転車両別に、前記識別情報と関連付けて記憶され、
前記配車部は、前記制限設定が無効設定されている前記自動運転車両と、前記一般使用時間帯の設定が取り消された前記一般使用者の前記情報が、前記特定の人間に関する情報に含まれる、前記自動運転車両の中から、配車予約の可能な車両を探索する、
自動運転車両管理装置。
【請求項2】
請求項に記載の、自動運転車両管理装置であって、
前記優先使用者スケジュール管理部は、前記一般使用時間帯を少なくとも一部含む時間帯を指定する前記優先使用要求の入力を、当該一般使用時間帯の開始時刻の所定時間前から当該開始時刻までの期間は禁止する、自動運転車両管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動運転車両管理装置であって、
前記優先使用時間帯の開始時刻前の前記一般使用時間帯において、前記優先使用時間帯の開始時刻に応じて、前記一般使用者に使用される前記自動運転車両の移動可能範囲を定める地図作成部を備える、自動運転車両管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、自動運転車両管理装置が開示される。
【背景技術】
【0002】
運転者による運転に代わって自動運転(自律運転とも呼ばれる)を行う自動運転車両が従来から知られている。例えば特許文献1,2では、この自動運転車両が、タクシー及びレンタカー等の、一時使用車両として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-077385号公報
【文献】特開2016-210417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動運転車両の使用形態として、リース契約による使用が考えられる。リース契約とは、例えば1年間や5年間等の比較的長期に亘る賃貸借契約を指し、レンタル契約等の、時間単位または日数単位での比較的短期の賃貸借契約とは区別される。
【0005】
本明細書では、リース契約者が自動運転車両を使用しない時間帯(遊休時間帯)における当該車両の有効活用が可能な、自動運転車両管理装置が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される自動運転車両管理装置は、優先使用者情報記憶部、優先使用者スケジュール管理部、一般使用者スケジュール管理部、及び送受信部を備える。優先使用者情報記憶部は、所定の自動運転車両に付与された識別情報と、上記自動運転車両を優先的に使用可能な優先使用者の情報とを関連付けて記憶する。優先使用者スケジュール管理部は、優先使用者による優先使用要求に応じて、上記自動運転車両の優先使用時間帯を設定する。一般使用者スケジュール管理部は、優先使用者とは異なる一般使用者から、優先使用時間帯を除く時間帯が指定された、上記自動運転車両に対する一般使用要求を受信したときに、一般使用要求にて指定された時間帯を一般使用時間帯に設定する。送受信部は、一般使用者に対して、一般使用時間帯の予約確認情報を送信する。
【0007】
上記構成によれば、リース契約者等の優先使用者が自動運転車両を使用しない時間帯において、レンタルユーザ等の一般使用者の当該車両の使用が可能になる。
【0008】
また上記構成において、一般使用者スケジュール管理部は、予約確認情報の送信後に、一般使用時間帯に少なくとも一部が含まれる時間帯が指定された優先使用要求を受けたときに、当該一般使用時間帯の設定を取り消してもよい。また自動運転車両管理装置は、配車部を備える。配車部は、一般使用者に対して、取り消された一般使用時間帯に使用可能な、上記自動運転車両とは異なる自動運転車両を配車予約する。
【0009】
上記構成によれば、優先使用者による自動運転車両の使用(優先使用)が確保可能になるとともに、一般使用者に対しては代車が配車予約されることで、一般使用者の利便性も確保可能となる。
【0010】
また上記構成において、優先使用者スケジュール管理部は、一般使用時間帯を少なくとも一部含む時間帯を指定する優先使用要求の入力を、当該一般使用時間帯の開始時刻の所定時間前から当該開始時刻までの期間は禁止してもよい。
【0011】
上記構成によれば、自動運転車両の一般使用が直前でキャンセルされることが回避可能となる。
【0012】
また上記構成において、自動運転車両管理装置は地図作成部を備えてもよい。地図作成部は、優先使用時間帯の開始時刻前の一般使用時間帯において、優先使用時間帯の開始時刻に応じて、一般使用者に使用される自動運転車両の移動可能範囲を定める。
【0013】
上記構成によれば、自動運転車両の返却時刻が一般使用時間帯を超過してそれにより優先使用の開始が遅延するといった事態の発生が抑制される。
【発明の効果】
【0014】
本明細書で開示される自動運転車両管理装置によれば、リース契約者が契約対象の自動運転車両を使用しない時間帯における、当該車両の有効活用が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る自動運転車両管理装置を含む、自動運転車両管理システムを例示するハードウェア構成図である。
図2】本実施形態に係る自動運転車両を例示する斜視図である。
図3】本実施形態に係る自動運転車両管理システムを例示する機能ブロック図である。
図4】リース契約者情報記憶部に記憶された、リース契約者情報テーブルを例示する図である。
図5】レンタルユーザ情報記憶部に記憶された、レンタルユーザ情報テーブルを例示する図である。
図6】リース契約者用アプリケーションを実行中の画像であって、自動運転車両の使用スケジュール画像を例示する図である。
図7】リース契約者用アプリケーションを実行中の画像であって、スケジュール設定ボックスが表示されたときの例を示す図である。
図8】リース契約者用アプリケーションを実行中の画像であって、優先使用時間帯の修正または削除を行うときの例を示す図である。
図9】自動運転車両のレンタル予約フローを例示する図である。
図10】レンタルユーザ用アプリケーションを実行中の画像であって、一般使用時間帯の入力フォームが表示されたときの例を示す図である。
図11】レンタルユーザ用アプリケーションを実行中の画像であって、一般使用可能な車両を選択する(広域選択)ときの例を示す図である。
図12】レンタルユーザ用アプリケーションを実行中の画像であって、一般使用可能な車両を選択する(絞り込み選択)ときの例を示す図である。
図13】レンタルユーザ用アプリケーションを実行中の画像であって、予約確認情報が表示されたときの例を示す図である。
図14】一般使用時間帯が設定された使用スケジュールを例示する図である。
図15】使用時間帯の重複解消フローを例示する図である。
図16】リース契約者用アプリケーションを実行中の画像であって、優先使用時間帯の入力フォームに使用日時が入力されたときの例を示す図である。
図17】レンタルユーザ用アプリケーションを実行中の画像であって、一般使用可能な代替車両の候補が表示されたときの例を示す図である。
図18】レンタルユーザ用アプリケーションを実行中の画像であって、自動運転車両の移動可能範囲を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態が図面を用いて説明される。以下で説明する形状、材料、個数、及び数値は、説明のための例示であって、自動運転車両管理装置及び自動運転車両管理システムの仕様に応じて適宜変更することができる。また以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号が付される。
【0017】
図1には、本実施形態に係る自動運転車両の管理システムのハードウェア構成が例示され、図3には上記システムの一部に機能ブロックを含めた図が例示される。本実施形態に係る自動運転車両の管理システムは、自動運転車両10、リース契約者端末30、自動運転車両管理装置50、及びレンタルユーザ端末80を含んで構成される。
【0018】
ここで、図3では、特に、リース契約者及びレンタルユーザによる、自動運転車両10の使用予約を行うために必要なブロックが例示される。例えば実際には自動運転車両10の乗車に当たり、目的地の入力機能や地図機能が、自動運転車両10、リース契約者端末30、自動運転車両管理装置50、及びレンタルユーザ端末80に実装される。しかしながら以下では、図示及び説明を簡略化するために、自動運転車両10の使用予約との関係性が薄い実装機能については適宜説明が省略される。
【0019】
自動運転車両10、リース契約者端末30、自動運転車両管理装置50、及びレンタルユーザ端末80は、インターネット200(図3参照)等の通信手段を介して互いに通信可能となっている。自動運転車両10は自動運転走行により移動可能であり、また、リース契約者端末30及びレンタルユーザ端末80はそれぞれリース契約者やレンタルユーザに携行される。このことから、移動体である自動運転車両10、リース契約者端末30及びレンタルユーザ端末80は無線通信によって自動運転車両管理装置50と通信可能となっている。
【0020】
<自動運転車両>
図2には、自動運転車両10の外観が例示される。例えば自動運転車両10は、パーソナルモビリティまたは超小型モビリティとも呼ばれ、定員が1名または2名の小型車両である。
【0021】
自動運転車両10は、例えば米国の自動車技術会(SAE)が定める自動運転レベルのうち、レベル4またはレベル5での自動運転が可能となっている。また、乗車中のユーザによる手動運転が可能となるように、ステアリング等の操舵機器が車内に設けられていてもよい。
【0022】
本実施形態に係る自動運転車両の管理システムでは、このパーソナルモビリティである自動運転車両10が、リース契約及びレンタル契約における賃貸借契約の対象物となる。なお、リース契約とは、例えば1年間や5年間等の比較的長期に亘る賃貸借契約を指す。一方レンタル契約とは、時間単位または日数単位での比較的短期の賃貸借契約を指す。後述されるように、リース契約期間中の自動運転車両10は、リース契約者が当該車両を使用しないいわゆる遊休期間に、リース契約を結んでいない一般使用者であるレンタルユーザに転貸借(又貸し)される。
【0023】
運転者による運転が必要な車両と比較して、自動運転車両10の運転は、車両自体が自律的に運転走行をすることから、乗員における運転の巧拙に関係なく、均質な運転が可能となる。したがって、運転に自信の無い、高齢者や普段運転をしないいわゆるペーパードライバー等を含む幅広い層がリース契約者やレンタルユーザとなり得る。
【0024】
図1図2を参照して、自動運転車両10は、回転電機17(モータ)を駆動源とし、図示しないバッテリを電源とする電動車両である。上述のように、自動運転車両10は定員が1名または2名の小型車両であることから、その車両サイズに起因してバッテリスペースが限られ、したがって航続距離も限られたものとなる。そこで例えば自動運転車両10は、主に市街地内における短距離移動手段として利用される。
【0025】
自動運転車両10は、走行制御機構として、車輪16を操舵する操舵機構15及び車輪16を制動させるブレーキ機構14を備える。操舵機構15は、例えば操舵用の車輪16を回動させるタイロッド(図示せず)、及びタイロッドを車幅方向に移動可能なステアリングモータ(図示せず)を含む。またブレーキ機構14は、例えばディスクブレーキ機構(図示せず)と、当該ディスクブレーキ機構内のブレーキオイルの油圧(つまりブレーキパッドのブレーキディスクへの押し当て圧)を調整するモータポンプ(図示せず)とを含む。また自動運転車両10は、回転電機17の出力を制御するインバータ18を備える。
【0026】
また、自動運転車両10は、自動運転走行(自律走行とも呼ばれる)を可能とするための機構が搭載されている。具体的には、自動運転走行を可能とするための機構として、自動運転車両10は、カメラ11A、ライダーユニット11B、近接センサ12、測位部13、及び制御部20を備える。
【0027】
図2を参照して、自動運転車両10には、その前面、後面、及び両側面に、センサユニット11が設けられる。センサユニット11は、カメラ11A(図1参照)及びライダーユニット11Bを含んで構成される。
【0028】
ライダーユニット11Bは、自動運転走行用のセンサユニットであり、ライダー(LiDAR、Light Detection and Ranging)、すなわちレーザー光を用いて周辺物体との距離を測定する技術が用いられる。ライダーユニット11Bは、赤外線のレーザー光を車外に向かって照射するエミッタと、その反射光を受光するレシーバ、ならびにエミッタ及びレシーバを回転させるモータを含んで構成される。
【0029】
例えば、エミッタは車外に向かって赤外線のレーザー光を照射する。エミッタから照射されたレーザー光が自動運転車両10の周辺の物体に当たると、その反射光がレシーバに受信される。エミッタの照射からレシーバの受光までに係る時間に基づいて、反射点とレシーバとの距離が求められる。またエミッタ及びレシーバがモータにより回動させられることで、水平方向及び鉛直方向にレーザー光線が走査され、これにより、自動運転車両10の周辺環境についての3次元点群データを得ることが出来る。
【0030】
図1に戻り、カメラ11Aは、ライダーユニット11Bと同様の視野を撮像する。カメラ11Aは、例えばCMOSセンサやCCDセンサ等のイメージセンサを備える。近接センサ12は、例えば赤外線センサであって、図2に例示されるように、車両の前面、後面、及び両側面に設けられる。例えば自動運転車両10が乗車地に到着する際に、近接センサ12が歩道の縁石等の突出物を検出する。この検出により、自動運転車両10を縁石に近接させて停車させる正着制御が可能となる。
【0031】
測位部13は人工衛星によって測位を行うシステムであって、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)が用いられる。測位部13を用いることで、人工衛星の測位誤差範囲内の精度で、自車位置(緯度及び経度)の推定が可能となる。
【0032】
制御部20は、例えば自動運転車両10の電子コントロールユニット(ECU)であってよく、コンピュータ(電子計算機)から構成される。制御部20は、そのハードウェア構成として、データの入出力を制御する入出力コントローラ21を備える。また制御部20は、演算装置として、CPU22、GPU23(Graphics Processing Unit)、及びDLA24(Deep Learning Accelerators)を備える。また制御部20は、記憶部として、ROM25、RAM26、及びハードディスクドライブ27(HDD)を備える。なお、ハードディスクドライブ27の代わりに、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置が用いられてもよい。これらの構成部品は内部バス28に接続される。
【0033】
記憶装置であるROM25及びハードディスクドライブ27の少なくとも一方には、自動運転車両10の自動運転制御を行うためのプログラムが記憶される。上記プログラムが制御部20のCPU22等により実行されることで、制御部20は、自動運転走行を制御する自律走行制御部として機能する。
【0034】
例えば制御部20は、カメラ11Aが撮像した撮像画像を取得する。次に制御部20は、取得した撮像画像に対して、教師有り学習を用いたSSD(Single Shot Multibox Detector)やYOLO(You Only Look Once)といった既知のディープラーニング手法を利用した画像認識を行う。この画像認識により、撮像画像内の物体検出とその属性(車両、通行人、構造物等)認識が行われる。
【0035】
また制御部20は、ライダーユニット11Bから3次元点群データを取得し、この3次元点群を複数のクラスタに分けるクラスタリングを実行する。さらに制御部20は、画像認識済みの撮像画像とクラスタリング済みの3次元点群データの座標を重ね合わせた周辺データを作成する。この周辺データにより、どのような属性の物体が、自動運転車両10からどれだけ離隔しているかを検出することが出来る。
【0036】
また制御部20は、測位部13から自己位置情報(緯度及び経度)を取得する。例えば制御部20は人工衛星から自己位置情報を取得する。また制御部20には、自動運転車両管理装置50から緯度-経度座標系を有する案内地図データが送信される。制御部20は、カメラ画像及び3次元点群データからなる周辺データ、案内地図データ、及び自己位置情報(自車位置情報)に基づいて、自動運転車両10の走行制御を行う。
【0037】
例えば、自己位置と、案内地図データに含まれる走行経路とに沿って、大域的な進路が定められる。さらに周辺データに基づいて、前方の障害物を避ける等の、局所的な進路が定められる。制御部20は、これらの進路に従って、ブレーキ機構14、操舵機構15、及びインバータ18を制御する。
【0038】
なお、自動運転車両10のリースサービス及びレンタルサービスに当たり、例えば使用終了時(返却時)には当該車両は予め定められた場所(例えば駐車場)に戻される規定となっている。このような規定に基づいて、例えば目的地に到着した自動運転車両10は、走行経路に沿って出発地(つまり返却地)まで自動運転走行により帰還する。
【0039】
<リース契約者端末>
リース契約者端末30は、自動運転車両管理装置50を備えるリース会社等と、自動運転車両10のリース契約を締結した者(リース契約者)が所有する通信端末機器である。リース契約者端末30は、例えばスマートフォンであってよい。図1には、リース契約者端末30のハードウェア構成が例示される。リース契約者端末30は、入出力コントローラ31、CPU32、入力部33、表示部34、及び測位部38を備える。またリース契約者端末30は、記憶部として、ROM35、RAM36、及びストレージデバイス37を備える。これらの構成部品は内部バス39に接続される。
【0040】
入力部33及び表示部34は、タッチパネルとして一体的に形成されてよい。後述されるように、入力部33は、自動運転車両10の使用予約(優先使用予約)に当たり、使用日、使用開始時刻、使用終了時刻を入力可能となっている。
【0041】
また測位部38は、自身の現在位置である端末位置を取得可能となっている。例えば測位部38は、自動運転車両10の測位部13と同様に、人工衛星によって測位を行うシステムであって、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)が用いられる。
【0042】
記憶装置であるROM35及びストレージデバイス37の少なくとも一方には、自動運転車両10の使用予約サービスを利用するためのプログラムが記憶される。このプログラムがリース契約者端末30のCPU32等により実行されることで、リース契約者端末30には、図3に示されるような機能ブロックが形成される。また、DVD等の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された上記プログラムをCPU32が実行することによっても、図3に示されるような機能ブロックが形成される。すなわちリース契約者端末30は、機能ブロックとして、送受信部40及びリース契約者用アプリケーション42を備える。
【0043】
後述されるように、リース契約者用アプリケーション42は、表示部34の表示画像を制御するとともに、入力部33から入力された情報の処理を行う。リース契約者用アプリケーション42は、表示部34に、図6,7,8,14,16等に例示されるような、使用スケジュール画面を(タッチパネルである)表示部34に表示させる。リース契約者は、入力部33を兼ねるこの使用スケジュール画面の任意の領域をタップ操作等して、自動運転車両10の使用予約を行う。
【0044】
リース契約者は、リース契約対象の自動運転車両10を優先的に使用できる優先使用者である。例えばリース契約者の使用予約をした時間帯は優先使用予約時間帯として扱われる。優先使用者による使用予約、つまり優先使用予約は、転貸借(又貸し)の相手であるレンタルユーザ(一般使用者)による使用予約、つまり一般使用予約に対して優先する。具体的には後述されるように、レンタルユーザ(一般使用者)により一般使用予約時間帯が設定された後に、リース契約者(優先使用者)は、同じ時間帯に重複して優先使用予約を設定することが出来る。このような場合に、先に設定され優先使用予約時間帯と重複する一般使用予約時間帯が削除される。
【0045】
<レンタルユーザ端末>
レンタルユーザ端末80は、自動運転車両管理装置50を備えるリース会社等と、自動運転車両10のレンタル契約を締結した者、つまりレンタルユーザが所有する通信端末機器である。レンタルユーザ端末80は、例えばスマートフォンであってよい。
【0046】
図1には、レンタルユーザ端末80のハードウェア構成が例示される。レンタルユーザ端末80は、リース契約者端末30と同様にして、入出力コントローラ81、CPU82、入力部83、表示部84、及び測位部88を備える。またレンタルユーザ端末80は、記憶部として、ROM85、RAM86、及びストレージデバイス87を備える。これらの構成部品は内部バス89に接続される。
【0047】
入力部83及び表示部84は、タッチパネルとして一体的に形成されてよい。後述されるように、レンタルユーザは、自動運転車両10の使用予約(一般使用予約)に当たり、使用日、使用開始時刻、使用終了時刻を入力部83から入力可能となっている。
【0048】
また測位部88は、自身の現在位置である端末位置を取得可能となっている。例えば測位部88は、自動運転車両10の測位部13と同様に、人工衛星によって測位を行うシステムであって、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)が用いられる。
【0049】
記憶装置であるROM85及びストレージデバイス87の少なくとも一方には、自動運転車両10の使用予約サービスを利用するためのプログラムが記憶される。このプログラムがレンタルユーザ端末80のCPU82等により実行されることで、レンタルユーザ端末80には、図3に示されるような機能ブロックが形成される。また、DVD等の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された上記プログラムをCPU82が実行することによっても、図3に示されるような機能ブロックが形成される。レンタルユーザ端末80は、機能ブロックとして、送受信部90及びレンタルユーザ用アプリケーション92を備える。
【0050】
レンタルユーザ用アプリケーション92は、表示部84の表示画像を制御するとともに、入力部83から入力された情報処理を行う。後述されるように、レンタルユーザ用アプリケーション92は、図10~13,17,18等に例示されるような、一般使用予約画面を(タッチパネルである)表示部84に表示させる。レンタルユーザは、入力部83を兼ねるこの一般使用予約画面の任意の領域をタップ操作等して、自動運転車両10の使用予約(一般使用予約)を行う。
【0051】
リース契約者は、リース契約対象の自動運転車両10を、レンタルユーザに転貸借(又貸し)可能となっている。具体的には後述されるように、リース契約者(優先使用者)により設定された優先使用時間帯と重複しない空き時間に、レンタルユーザである一般使用者は、自動運転車両10の使用予約を設定することが出来る。レンタルユーザによって設定された使用予約時間帯は、一般使用時間帯と呼ばれる。
【0052】
このように、遊休状態の自動運転車両10をレンタルユーザに転貸借することで、自動運転車両10の有効活用が図られる。また例えば一般使用時間帯に応じたレンタル料金をリース契約者が受け取るか、またはリース料金からレンタル料金を差し引くことで、リース契約者の料金負担が軽減される。
【0053】
<自動運転車両管理装置>
自動運転車両管理装置50は、例えば自動運転車両10のリースサービス及びレンタルサービスを提供する会社に設置される。なお以下では適宜、自動運転車両管理装置50はその略称である「車両管理装置50」とも記載される。
【0054】
車両管理装置50は、例えばコンピュータ(電子計算機)から構成される。図1を参照して、車両管理装置50は、そのハードウェア構成として、入出力コントローラ51、CPU52、入力部53、表示部54を備える。また車両管理装置50は、記憶部として、ROM55、RAM56、及びハードディスクドライブ57(HDD)を備える。これらの構成部品は内部バス58に接続される。
【0055】
記憶装置であるROM55及びハードディスクドライブ57の少なくとも一方には、自動運転車両10の使用スケジュールを設定、調整するためのプログラムが記憶される。このプログラムが車両管理装置50のCPU52等により実行されることで、車両管理装置50には、図3に示されるような機能ブロックが形成される。また、DVD等の非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された上記プログラムをCPU52が実行することによっても、図3に示されるような機能ブロックが形成される。
【0056】
すなわち車両管理装置50は、機能ブロックとして、使用スケジュール管理部60、送受信部63、案内地図作成部64、時計65、レンタル料金算出部66、リース料金算出部67、配車部68、使用スケジュール記憶部69、リース契約者情報記憶部70、レンタルユーザ情報記憶部71、及び地図情報記憶部72を備える。
【0057】
リース契約者情報記憶部70は、優先使用者情報記憶部とも呼ばれる。リース契約者情報記憶部70(優先使用者情報記憶部)は、所定の自動運転車両10に付与された識別情報と、その車両を優先的に使用可能なリース契約者(すなわち優先使用者)とを関連付けて記憶する。図4には、リース契約者情報記憶部70に記憶されたリース契約者情報テーブルが例示される。
【0058】
リース契約者情報テーブルには、契約管理番号、リース契約者名、アカウント名、リース車両情報、車両ナンバー、リース期間、転貸借サービスアカウント制限の有無情報、及び転貸借許可アカウント欄が設けられる。これらの項目の他に、リース契約者の住所、連絡先や免許証番号、クレジットカード番号、リース契約対象の自動運転車両10の返却地、及びリース契約者用アプリケーション42にログインするためのパスワード等の項目が設けられていてもよい。
【0059】
アカウント名は、例えばリース契約者用アプリケーション42を利用する際に、リース契約者を特定するための名称(会員名)である。例えばアカウント名として、リース契約者のメールアドレスが用いられる。またリース車両情報は、リース契約対象の車両情報が記憶される。車両情報は、型番、年式、走行距離等が含まれる。
【0060】
転貸借サービスアカウント制限の有無情報欄には、アカウント制限の有無が記憶される。自動運転車両10のレンタルサービス(又貸しサービス)を行うに当たり、例えば家族や社員等、特定の人間にレンタルを許可する場合には、アカウント制限が有効(あり)に設定される。また転貸借許可アカウント欄には、自動運転車両10のレンタルを許可するレンタルユーザのアカウントが記憶される。
【0061】
レンタルユーザ情報記憶部71は、一般使用者情報記憶部とも呼ばれる。レンタルユーザ情報記憶部71(一般使用者情報記憶部)には、レンタルユーザに関連する情報が記憶される。図5には、レンタルユーザ情報記憶部71に記憶されたレンタルユーザ情報テーブルが例示される。
【0062】
レンタルユーザ情報テーブルには、契約管理番号、レンタルユーザ名、アカウント名、当月総使用時間、及び当月使用履歴の項目が設けられる。これらの項目の他に、レンタルユーザの住所、連絡先や免許証番号、クレジットカード番号、及び、レンタルユーザ用アプリケーション92にログインするためのパスワード等の項目が設けられていてもよい。
【0063】
リース契約者情報テーブルと同様に、アカウント名は、例えばレンタルユーザ用アプリケーション92を利用する際に、レンタルユーザを特定するための名称(会員名)である。例えばアカウント名として、レンタルユーザのメールアドレスが用いられる。
【0064】
図3を参照して、地図情報記憶部72には、地図データであるダイナミックマップデータが記憶される。ダイナミックマップは、3次元地図であって、例えば車道の位置及び形状(3次元形状)が記憶される。車道の3次元形状とは、例えば勾配や幅員等が含まれる。また車道に引かれた車線、横断歩道、停止線等の位置もダイナミックマップに記憶される。加えて、道路周辺の建物や信号機等の構造物の位置及び形状(3次元形状)もダイナミックマップに記憶される。さらに、駐車場の位置及び形状もダイナミックマップに記憶される。
【0065】
例えばダイナミックマップでは、緯度及び経度を含む地理座標系が用いられる。自動運転車両10が自動運転走行する際には、出発地と目的地とを結ぶ走行経路が含まれるダイナミックマップデータが、地図情報記憶部72から自動運転車両10に送信される。
【0066】
またダイナミックマップデータは、案内地図作成部64により加工される。後述される図10のように、レンタルユーザ用アプリケーション92が起動された際に、端末位置151及びその周辺を含む平面地図画像である地図画像150が、案内地図作成部64により作成される。
【0067】
図3を参照して、リース料金算出部67は、リース契約者に対して請求するリース料金を算出する。例えばリース料金算出部67は、月単位でリース料金を算出する。このリース料金の算出に当たり、リース料金算出部67は、例えば月単位の定額基本料金から、レンタルユーザによる自動運転車両10の使用実績に応じた金額を差し引いた額を求め、当該金額をリース契約者に請求する。
【0068】
レンタル料金算出部66は、レンタルユーザに対して請求するレンタル料金を算出する。例えばレンタル料金算出部66は、一回のレンタル利用の度に、レンタル料金を算出する。レンタル料金算出部66は、例えば使用スケジュール記憶部69に記憶された使用開始時刻から使用終了時刻までの時間に応じたレンタル料金を求めるとともに、当該料金を、自動運転車両10のレンタル使用後に速やかにレンタルユーザに請求する。
【0069】
使用スケジュール記憶部69には、図14に例示されるような自動運転車両10の優先使用時間帯102A~102G及び一般使用時間帯105A,105Bが、自動運転車両10別に記憶される。使用スケジュール記憶部69には、複数台に及ぶ自動運転車両10の使用スケジュールが当該車両別に記憶される。
【0070】
図3を参照して、使用スケジュール管理部60は、リース契約者スケジュール管理部61及びレンタルユーザスケジュール管理部62を備える。リース契約者スケジュール管理部61は、優先使用者スケジュール管理部とも呼ばれる。またレンタルユーザスケジュール管理部62は、一般使用者スケジュール管理部とも呼ばれる。
【0071】
リース契約者スケジュール管理部61(優先使用者スケジュール管理部)は、リース契約者端末30のリース契約者用アプリケーション42が起動しているときに、車両管理装置50側の窓口となる。例えば後述されるように、リース契約者スケジュール管理部61は、リース契約者用アプリケーション42から送受信部40,63を介して受信した入力情報を受けて使用スケジュールを更新する。この具体的な処理内容は後述される。
【0072】
レンタルユーザスケジュール管理部62(一般使用者スケジュール管理部)は、レンタルユーザ端末80のレンタルユーザ用アプリケーション92が起動しているときに、車両管理装置50側の窓口となる。例えば後述されるように、レンタルユーザスケジュール管理部62は、レンタルユーザ用アプリケーション92から送受信部63,90を介して受信した入力情報を受けて使用スケジュールを更新する。この具体的な処理内容は後述される。
【0073】
配車部68は、後述されるような、一般使用時間帯と優先使用時間帯との重複が生じた際に、この重複時間帯に使用可能な代替車両としての自動運転車両10をレンタルユーザのために配車予約する。この具体的な内容は後述される。
【0074】
<リース契約者による使用予約>
リース契約者端末30に実装されたリース契約者用アプリケーション42をリース契約者(優先使用者)が起動させると、表示部34には、アカウントやパスワードを入力する入力フォーム(図示せず)が表示される。入力されたアカウントやパスワードの情報は、送受信部40,63を介してリース契約者スケジュール管理部61に送信される。
【0075】
リース契約者スケジュール管理部61(優先使用者スケジュール管理部)は、受信したアカウントやパスワードの情報をリース契約者情報記憶部70(優先使用者情報記憶部)に記憶されたそれぞれの情報と照合する。照合が正常に行われると、リース契約者スケジュール管理部61は、受信したアカウントに関連付けられた自動運転車両10の使用スケジュールの情報を、使用スケジュール記憶部69から抽出して、送受信部40,63を介してリース契約者端末30に送信する。
【0076】
リース契約者端末30の表示部34には、図6に例示される使用スケジュール画面が表示される。使用スケジュール画面には、リース契約者の名前またはアカウントと、リース車両情報及びその車両ナンバーが示されたIDボックス100が表示される。また使用スケジュール画面には、各種設定操作を行うためのメニューボタン101が表示される。さらに使用スケジュール画面には、リース契約者がリース契約を結んだ自動運転車両10の使用スケジュールが表示される。
【0077】
この使用スケジュール画面には、既に設定された、優先使用時間帯102A~102Gが表示される。またメニューボタンから使用時間設定の項目(図示せず)を選択すると、図7に例示されるように、使用スケジュール画面に、スケジュール設定ボックス103が重畳表示される。
【0078】
スケジュール設定ボックス103には、リース契約者による優先使用を行う使用日、使用開始時刻、及び使用終了時刻が入力可能となっている。これらの項目が入力されると、これらの入力情報を含む優先使用要求指令がリース契約者用アプリケーション42から送受信部40,63を介してリース契約者スケジュール管理部61に送信される。
【0079】
リース契約者スケジュール管理部61は、優先使用要求指令に含まれる使用日、使用開始時刻、及び使用終了時刻に応じて、当該使用日における使用開始時刻から使用終了時刻までの時間帯を優先使用時間帯として使用スケジュールに設定する。設定された優先使用時間帯の情報は使用スケジュール記憶部69に記憶される。
【0080】
また図8に例示されるように、既に使用スケジュール画面に表示された、設定済みの優先使用時間帯102A~102G(図8では優先使用時間帯102D)をリース契約者がタップ操作等により指定することで、編集ボックス104が表示される。編集ボックス104には、優先使用時間帯102Dに対する修正ボタン104A及び削除ボタン104Bが含まれる。
【0081】
リース契約者が修正ボタン104Aをタップ操作等により指定することで、既に設定された優先使用時間帯102Dの使用開始時刻及び使用終了時刻を変更可能となる。またリース契約者が削除ボタン104Bをタップ操作等により指定することで、既に設定された優先使用時間帯102Dを削除可能となる。これらの操作情報は送受信部40,63を介してリース契約者スケジュール管理部61に送信される。さらにリース契約者スケジュール管理部61は使用スケジュール記憶部69が記憶する使用スケジュールを更新する。
【0082】
<レンタルユーザによる使用予約>
図9図13には、レンタルユーザつまり一般使用者による、自動運転車両10のレンタル使用予約(一般使用予約)のプロセスが例示される。なお、図9には、レンタル使用予約のフローチャートが例示されており、このフローチャートには、各ステップの主体が示される。例えば(R)はレンタルユーザ端末80による処理であり、(C)は車両管理装置50による処理を指す。
【0083】
レンタルユーザ端末80のレンタルユーザ用アプリケーション92をレンタルユーザが起動させると、表示部84には、アカウントやパスワードを入力するための入力フォーム(図示せず)が表示される。入力されたアカウントやパスワードの情報は、車両管理装置50の送受信部63を介してレンタルユーザスケジュール管理部62(一般利用者スケジュール管理部)に送信される。
【0084】
レンタルユーザスケジュール管理部62は、受信したアカウントやパスワードの情報をレンタルユーザ情報記憶部71に記憶されたそれぞれの情報と照合する。照合が正常に行われると、レンタルユーザスケジュール管理部62は、送受信部63,90を介してレンタルユーザ端末80の測位部88から端末位置を取得する。さらに案内地図作成部64は、図10に例示されるように、端末位置151を含む地図画像150データを作成して、送受信部63,90を介してレンタルユーザ用アプリケーション92に送信する。レンタルユーザ用アプリケーション92は、表示部84に地図画像150を表示させる。
【0085】
地図画像150には、スケジュール設定ボックス153が表示される。スケジュール設定ボックス153には、レンタルユーザによる使用(一般使用)を行う使用日、使用開始時刻、及び使用終了時刻が入力可能となっている。これらの項目が入力される(図9S10)と、これらの入力情報が一般使用要求としてレンタルユーザ用アプリケーション92から送受信部63,90を介して、レンタルユーザスケジュール管理部62に送信される。
【0086】
レンタルユーザスケジュール管理部62は、使用スケジュール記憶部69を参照して、当該記憶部に記憶された、全ての自動運転車両10の使用スケジュールから、入力された一般使用時間帯が空き時間帯である車両を探索する。言い換えると、レンタルユーザスケジュール管理部62は、レンタルユーザによって入力された使用開始時刻から使用終了時刻までの時間帯に、使用予約が設定されていない車両を探索する(S12)。
【0087】
さらにレンタルユーザスケジュール管理部62は入力された一般使用時間帯を予約可能な自動運転車両10があるか否かを判定する(S14)。レンタルユーザに入力された一般使用時間帯を予約可能な自動運転車両10が見つからなかった場合には、レンタルユーザスケジュール管理部62は、送受信部63,90を介して、レンタルユーザ用アプリケーション92に、レンタル使用可能な自動運転車両10が無い旨のメッセージを送信する(S16)。当該メッセージは表示部84に表示される。
【0088】
一方、ステップS14にて、レンタルユーザに入力された一般使用時間帯を予約可能な自動運転車両10が見つかった場合には、レンタルユーザスケジュール管理部62は、予約可能な自動運転車両10の情報を抽出する。案内地図作成部64は、リース契約者情報記憶部70を参照して、予約可能な自動運転車両10の返却地を取得する。返却地とは使用終了時に自動運転車両10を戻す場所を指し、例えば図10に例示された駐車場152A~152C等が設定される。
【0089】
さらに案内地図作成部64は、予約可能な自動運転車両10の情報を、その返却地情報とともに、送受信部63,90を介してレンタルユーザ用アプリケーション92に送信する。表示部84には、図11に例示されるように、駐車場152A~152Cごとに、予約可能な自動運転車両10の台数が示されたメッセージボックス154A~154Cが表示される。
【0090】
図11における予約可能車両の選択画像は、いわば広域での選択であり、駐車場152A~152Cのいずれかがレンタルユーザのタップ操作等により選択されると、図12のような絞り込みのための画像が表示される。すなわちレンタルユーザ用アプリケーション92は、選択された駐車場(図12では駐車場152A)における予約可能車両の車両情報が示されたメッセージボックス154Dを、地図画像150上に表示させる。このメッセージボックス154Dでは、予約可能車両の車両情報の表示領域がそのまま選択ボタン155A~155Eとして機能する。
【0091】
レンタルユーザによるタップ操作等により、選択ボタン155A~155Eのいずれかが選択される(図9S18)。これを受けてレンタルユーザ用アプリケーション92から送受信部63,90を介して、レンタルユーザスケジュール管理部62に、選択された自動運転車両10の識別記号等の車両情報が送信される。
【0092】
レンタルユーザスケジュール管理部62は、使用スケジュール記憶部69を参照して、使用スケジュールを更新する(S20)。例えばレンタルユーザスケジュール管理部62は、図14に例示されるように、S10にて一般使用要求として入力された時間帯を、一般使用時間帯105A,105Bとして使用スケジュールに設定する。
【0093】
使用スケジュールが更新されると、送受信部63は、送受信部90を介して、予約確認情報をレンタルユーザ用アプリケーション92に送信する(S22)。表示部84には、図13に例示されるメッセージボックス154Eが地図画像150上に表示される。メッセージボックス154Eには、予約確認情報に含まれる一般使用時間帯、車両情報や出発地及び返却地の情報が表示される。
【0094】
このように、一般使用予約のプロセスでは、リース契約者(優先使用者)とは異なるレンタルユーザ(一般使用者)からレンタルユーザスケジュール管理部62に、所定の自動運転車両10に対する使用要求(一般使用要求)が送信される。ここで、上述のように、一般使用要求にて指定された一般使用時間帯105A,105Bは、当該所定の自動運転車両10に対して設定された優先使用時間帯102A~102Gを除く時間帯が指定される。つまり一般使用予約のプロセスでは、優先使用時間帯と一般使用時間帯の重複が避けられる。
【0095】
<重複予約時の処理>
図9のステップS22において、送受信部63が予約確認情報をレンタルユーザ用アプリケーション92に送信した後に、優先使用予約が設定される場合がある。この場合、例えば図16のように、新たに設定しようとする優先使用時間帯102Hの少なくとも一部が、既に設定された一般使用時間帯105Bに含まれる(重複する)場合がある。このような使用スケジュールの重複を解消するための処理フローが、図15に例示される。
【0096】
上述のように、リース契約者による優先使用はレンタルユーザによる一般使用に優先する。したがって、既に設定された一般使用時間帯とこれから設定しようとする優先使用時間帯とが少なくとも一部重複する場合に、事後に設定される優先使用時間帯が優先され、それよりも前に設定された一般使用時間帯が取り消される。
【0097】
このような場合において、一般使用者の利便性低下を抑制するために、本実施形態に係る自動運転車両管理装置50では、代車の配車予約が行われる。具体的には以下に説明されるように、自動運転車両管理装置50の配車部68が、取り消された一般使用時間帯が空き時間帯である他の自動運転車両10を探索して、これを代車として一般使用者に配車予約可能としている。
【0098】
図3図15図16を参照して、リース契約者(優先使用者)により、リース契約者端末30のリース契約者用アプリケーション42が起動され、上述のようにアカウント及びパスワードが入力される。
【0099】
リース契約者スケジュール管理部61(優先使用者スケジュール管理部)は、上述のように受信したアカウントやパスワードの情報を、リース契約者情報記憶部70(優先使用者情報記憶部)に記憶されたそれぞれの情報と照合する。照合が正常に行われると、リース契約者スケジュール管理部61は、受信したアカウントに関連付けられた自動運転車両10の使用スケジュールの情報を、使用スケジュール記憶部69から抽出する。さらにリース契約者スケジュール管理部61は、抽出された使用スケジュールの情報を、送受信部40,63を介してリース契約者端末30に送信する(S30)。
【0100】
リース契約者端末30の表示部34には、図16に例示される使用スケジュール画面が表示される。さらにリース契約者によりスケジュール設定ボックス103に使用日、使用開始時刻、及び使用終了時刻が入力される(S32)。さらに入力された使用日、使用開始時刻、及び使用終了時刻を含む優先使用要求指令がリース契約者用アプリケーション42からリース契約者スケジュール管理部61(優先使用者スケジュール管理部)に送信される。
【0101】
リース契約者スケジュール管理部61は、優先使用要求指令を受けて、同指令に含まれる使用日、使用開始時刻、及び使用終了時刻によって指定された優先使用時間帯102Hと重複する、設定済みの一般使用時間帯105A,105Bがあるか否かを判定する(S34)。優先使用時間帯102Hと重複する一般使用時間帯105A,105Bが無い場合には、そのまま優先使用時間帯102Hが使用スケジュールに設定されるように、同スケジュールが更新される(S56)。
【0102】
一方、優先使用時間帯102Hと重複する一般使用時間帯105A,105Bがある場合(図16の例では一般使用時間帯105B)、当該一般使用時間帯105Bが取り消される。具体的には、リース契約者スケジュール管理部61は、レンタルユーザスケジュール管理部62(一般使用者スケジュール管理部)に対して、優先使用時間帯102Hと重複する一般使用時間帯105Bを削除させる(S36)。
【0103】
これを受けて配車部68は、削除された一般使用時間帯を設定したレンタルユーザ(一般使用者)のアカウントを要代車アカウントとして抽出する(S38)。さらに配車部68は、リース契約者情報記憶部70に記憶された、リース契約者情報テーブル(図4)を参照して、要代車アカウントによるレンタルサービスを許可している自動運転車両10を抽出する。
【0104】
ここで、要代車アカウントによるレンタルサービスを許可している自動運転車両10とは、転貸借サービスアカウント制限が無効設定(「なし」に設定)されているものを含む。加えて、転貸借サービスアカウント制限が有効設定(「あり」に設定)され、かつ、転貸借許可アカウントに要代車アカウントが含まれているものも、当該車両に含まれる。
【0105】
配車部68は、要代車アカウントによるレンタルサービスを許可している、全ての自動運転車両10のうち、ステップS36にて削除された時間帯が空き時間帯である、つまり削除された時間帯に優先時間帯及び一般時間帯が設定されていない自動運転車両10を、予約可能車両として探索する(S40)。
【0106】
予約可能車両が探索されなかった場合(S42)、配車部68は、レンタルユーザスケジュール管理部62を介して、レンタルユーザ端末80のレンタルユーザ用アプリケーション92を起動させる(S44)。そして、配車部68は、一般使用時間帯105Bが取り消された旨のメッセージ及び今後のレンタル使用を促すためのクーポンを表示部84に表示させる(S46)。このクーポンは例えばレンタル料金の割引サービスを提供するものであってよい。
【0107】
ステップS42に戻り、予約可能車両が探索されると、配車部68は、レンタルユーザスケジュール管理部62を介して、レンタルユーザ端末80のレンタルユーザ用アプリケーション92を起動させる(S48)。加えて配車部68は、レンタルユーザスケジュール管理部62を介して、予約可能車両のデータをレンタルユーザ用アプリケーション92に送信する(S50)。予約可能車両のデータとは、当該車両の識別記号、型番、外観、及び返却地の情報を含む。
【0108】
レンタルユーザ用アプリケーション92には、予約可能車両データの他、案内地図作成部64から、図17に例示されるように、端末位置151周辺の地図画像150データが送信される。これらのデータを受けて、表示部84には、端末位置151が含まれる地図画像150に加えて、レンタル予約が取り消されたこと、及び代車となる自動運転車両10を表示する旨のメッセージボックス154Iが表示される。さらに表示部84には、各駐車場152A~152Cにおける予約可能車両を示すメッセージボックス154F~154Hが表示される。
【0109】
レンタルユーザによるタップ操作等により、予約可能車両の中からレンタル車両が選択される(S52)。これを受けてレンタルユーザ用アプリケーション92は、送受信部63,90を介して、レンタルユーザスケジュール管理部62に、選択された自動運転車両10の識別記号等の車両情報を送信する。
【0110】
さらにこれを受けて送受信部63は、送受信部90を介して、予約確認情報をレンタルユーザ用アプリケーション92に送信する(S54)。表示部84には、上述した図13のメッセージボックス154Eが地図画像150上に表示される。またレンタルユーザスケジュール管理部62は、使用スケジュール記憶部69を参照して、使用スケジュールを更新する(S56)。
【0111】
<重複予約の制限>
自動運転車両10のリース契約においては、リース契約者が優先使用者として、一般利用者であるレンタルユーザよりも自動運転車両10の使用が優先されるが、この優先的な立場が過度に保護されると、レンタルユーザの過度な不利益に繋がるおそれがある。
【0112】
例えば一般利用時間帯の開始時刻の直前に、同時間帯に優先利用時間帯が設定されると、重複された一般利用時間帯が削除される。開始時刻が直前であると、キャンセルされたレンタルユーザ(一般使用者)の代車である予約可能車両の手配が困難となり、レンタルユーザの過度な不利益に繋がるおそれがある。
【0113】
そこでリース契約者スケジュール管理部61(優先使用者スケジュール管理部)は、一般使用時間帯を少なくとも一部含む時間帯を指定する優先使用要求の入力を、所定期間禁止するような制限を掛けてもよい。ここで所定期間とは、例えば当該一般使用時間帯の開始時刻の所定時間前から当該開始時刻までの期間であってよい。
【0114】
例えば図16を例にとると、2月3日において一般使用時間帯105Bの開始時刻は11:00となっている。リース契約者スケジュール管理部61は、開始時刻11:00の一時間前の10:00から11:00までの間は、一般使用時間帯105Bと少なくとも一部重複するような時間帯を指定する優先使用要求の入力を禁止してもよい。そしてリース契約者スケジュール管理部61は、時計65(図3)を参照して、現在時刻が上記期間(10:00~11:00)に含まれる場合に、上記入力禁止設定を有効にする。
【0115】
また、優先使用者による、レンタル使用中の取り消しが、リース契約者スケジュール管理部61によって禁止されてよい。例えば現在時刻が一般使用時間帯に含まれるときに、一般使用されている自動運転車両10に対して優先使用予約を設定することが、リース契約者スケジュール管理部61によって禁止されてよい。
【0116】
<移動可能範囲表示>
優先使用時間帯の開始時刻においてリース契約者(優先使用者)が確実に自動運転車両10に乗車できるように、その前のレンタル使用(一般使用)に対して制限が加えられてもよい。例えば図16を参照して、2月2日の一般使用時間帯105Aは優先使用時間帯102Dの直前に設けられる。また一般使用時間帯105Aは短期間に設定され、駐車場152A(図18参照)を出て駐車場152Aに自動運転車両10を返却するまでの移動距離は限定される。
【0117】
そこで、図18に例示されるように、優先使用時間帯の開始時刻前の一般使用時間帯において、自動運転車両10の移動可能範囲160が示された地図画像150が表示されてもよい。
【0118】
例えばこの移動可能範囲160は、自動運転車両10の目的地を設定する際に表示される。またこの地図画像150には、移動可能範囲160内での目的地設定を指示するメッセージボックス154Jが表示されてもよい。このような地図画像150は、車両管理装置50の案内地図作成部64により作成され、レンタルユーザ端末80の表示部84に表示される。移動可能範囲160は、自動運転車両の設定速度及び周辺の渋滞状況と、現在時刻とその後の優先使用時間帯の開始時刻との時間とに応じて、レンタルユーザスケジュール管理部62により設定される。
【符号の説明】
【0119】
10 自動運転車両、30 リース契約者端末、42 リース契約者用アプリケーション、50 自動運転車両管理装置、60 使用スケジュール管理部、61 リース契約者スケジュール管理部(優先使用者スケジュール管理部)、62 レンタルユーザスケジュール管理部(一般使用者スケジュール管理部)、63 送受信部、64 案内地図作成部(地図作成部)、66 レンタル料金算出部、67 リース料金算出部、68 配車部、69 使用スケジュール記憶部、70 リース契約者情報記憶部(優先使用者情報記憶部)、71 レンタルユーザ情報記憶部(一般使用者情報記憶部)、72 地図情報記憶部、80 レンタルユーザ端末、92 レンタルユーザ用アプリケーション、102A~102H 優先使用時間帯、105A,105B 一般使用時間帯、150 地図画像、151 端末位置、160 移動可能範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18