(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/15 20060101AFI20240702BHJP
H02K 11/22 20160101ALI20240702BHJP
【FI】
H02K5/15
H02K11/22
(21)【出願番号】P 2021030354
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正幸
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108768010(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107147263(CN,A)
【文献】特開2012-249519(JP,A)
【文献】特開2008-215510(JP,A)
【文献】特開2020-129951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0076972(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0343780(US,A1)
【文献】特開2014-075879(JP,A)
【文献】中国実用新案第213185802(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113315305(CN,A)
【文献】中国実用新案第201199664(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/15
H02K 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸の軸回りの周方向に沿って設けられる回転不能なモータステータと、
前記モータステータの外周側に位置する回転可能なモータロータと、
前記モータロータに連結される外輪と前記モータステータに連結される内輪と前記外輪および前記内輪の間に設けられる転動体とを有し、前記モータロータを前記モータステータに対して回転可能に支持し、且つ、前記モータロータおよび前記モータステータの軸方向の一方側に位置する軸受と、
前記モータステータに連結される検出用ステータと、前記検出用ステータに対して前記中心軸の軸方向に対向配置され、且つ、前記モータロータに連結されて回転可能な検出用ロータと、前記検出用ステータに設けられる検出部と、を有し、
且つ、前記軸受に対して前記軸方向の一方側に設けられる位置検出器と、
前記モータロータ、前記軸受および前記位置検出器を外周側から覆う回転可能なハウジングと、
前記軸受の軸方向の一方側に配置され、前記中心軸の軸回りの周方向に沿って延び、且つ、前記内輪を軸方向で押さえる押さえ部材と、
を備え、
前記押さえ部材は、
前記内輪に接する内側部と、
前記内側部から径方向外側に延び、軸方向から見た場合に前記外輪の少なくとも一部と重なり、且つ、前記外輪に対して軸方向の一方側に離隔する外側部と、を有し、
前記検出部は、前記軸受の前記内輪の径方向外側端よりも径方向内側に位置する、
モータ。
【請求項2】
前記押さえ部材は、
前記外側部から軸方向の一方側に向けて前記位置検出器の外周側まで延びる第1円筒部と、
前記第1円筒部の軸方向の一方側の端から径方向内側に延びる環状部材と、を更に備え、
前記ハウジングは、
前記モータロータおよび前記軸受の径方向外側に設けられる筒状のロアハウジングと、
前記ロアハウジングの軸方向の一方側に設けられ、且つ、前記押さえ部材の前記第1円筒部の径方向外側に位置する筒状のアッパハウジングと、
前記アッパハウジングの軸方向の一方側の端部から径方向内側に向けて延び、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材を軸方向の一方側から覆う蓋部材と、を備え、
前記蓋部材は、
前記アッパハウジングの軸方向の一方側の端部から径方向内側に延びる外側部と、
前記外側部の径方向内側の端から軸方向の一方側に延び、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材の径方向外側に対向して配置される第2円筒部と、
前記第2円筒部の軸方向の一方側の端から径方向内側に延び、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材の軸方向の一方側を覆う天板部と、を有し、
前記第2円筒部の内周面と前記環状部材の外周面との径方向距離は、前記アッパハウジングの内周面と前記第1円筒部の外周面との径方向距離よりも小さい、
請求項
1に記載のモータ。
【請求項3】
前記蓋部材は、
前記天板部の径方向内側端から軸方向の他方側に延び、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材の径方向内側を覆う第3円筒部を更に備え、
前記検出用ロータは、
前記第3円筒部に取り付けられる取付部と、
前記取付部から径方向外側に向けて延び、且つ、前記中心軸の軸回りの周方向に沿うリング部と、を有し、
前記検出用ステータは、
前記リング部の径方向外側に設けられ、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材から軸方向の他方側に延びる筒状部と、
前記筒状部から径方向内側に延び、且つ、前記リング部に軸方向で対向配置される基板と、を有し、前記基板に前記検出部が設けられ、
前記検出用ロータの前記リング部の外周面と、前記検出用ステータの前記筒状部の内周面との径方向距離は、前記第3円筒部の外周面と前記環状部材の内周面との径方向距離よりも小さい、
請求項
2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記モータロータおよび前記軸受の径方向外側に設けられる筒状のロアハウジングと、
前記ロアハウジングの軸方向の一方側に設けられる筒状のアッパハウジングと、
前記アッパハウジングの軸方向の一方側の端部から径方向内側に向けて延び、且つ、前記位置検出器を軸方向の一方側から覆う蓋部材と、を備え、
前記蓋部材の径方向内側の端部における軸方向の他方側の面には、軸方向の他方側に突出する位置検出器用取付部材が固定され、
前記位置検出器用取付部材は、前記蓋部材の径方向内側の端部における軸方向の他方側の面に固定されるフランジと、前記フランジの径方向内側の端から軸方向の他方側に向けて延びる脚部と、を有し、
前記検出用ロータは、
前記脚部に取り付けられる取付部と、
前記取付部から径方向外側に向けて延び、且つ、前記中心軸の軸回りの周方向に沿うリング部と、を有し、
前記検出用ステータは、
前記押さえ部材に固定され、且つ、前記押さえ部材から軸方向の一方側に延びる筒状部と、
前記筒状部から径方向内側に延び、且つ、前記リング部に軸方向で対向配置される基板と、を有し、前記基板に前記検出部が設けられ、
前記検出用ステータの前記基板と、前記検出用ステータの前記筒状部と、前記押さえ部材とは、締結部材を介して固定され、
前記締結部材の径方向中心は、前記位置検出器用取付部材の前記フランジの径方向外側端よりも、径方向外側に位置する、
請求項
3に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のモータでは、回転シャフトの外周側にロータが配置され、ロータの外周側にステータが配置される。ステータは、コイル(巻線)を有する。回転シャフトは、軸受を介して回転可能に設けられる。軸受は、例えば外輪と内輪と転動体とを有し、外輪および内輪と転動体との間には、グリースや油(オイル)などの潤滑剤が介在する。従って、内輪に対して外輪が回転する場合、外輪と内輪との間から潤滑剤が径方向外側に向けて飛散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータが例えば回転センサ等の位置検出器を有する場合、位置検出器の検出部に潤滑剤が付着すると、検出部の検出能力が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、位置検出器を有するアウターロータ型のモータであって、位置検出器の検出部に潤滑剤が付着することが抑制可能なモータが提供されることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、一態様に係るモータは、中心軸の軸回りの周方向に沿って設けられる回転不能なモータステータと、前記モータステータの外周側に位置する回転可能なモータロータと、前記モータロータに連結される外輪と前記モータステータに連結される内輪と前記外輪および前記内輪の間に設けられる転動体とを有し、前記モータロータを前記モータステータに対して回転可能に支持し、且つ、前記モータロータおよび前記モータステータの軸方向の一方側に位置する軸受と、前記モータステータに連結される検出用ステータと、前記検出用ステータに対して前記中心軸の軸方向に対向配置され、且つ、前記モータロータに連結されて回転可能な検出用ロータと、前記検出用ステータに設けられる検出部と、を有し、且つ、前記軸受に対して前記軸方向の一方側に設けられる位置検出器と、前記モータロータ、前記軸受および前記位置検出器を外周側から覆う回転可能なハウジングと、を備え、前記検出部は、前記軸受の前記内輪の径方向外側端よりも径方向内側に位置する。
【0007】
軸受において、転動体と外輪および内輪との間には、グリースや油(オイル)などの潤滑剤が介在する。固定側の内輪に対して外輪が回転する場合、外輪と内輪との間から潤滑剤が径方向外側に向けて飛散しやすい。従って、検出部を、軸受の内輪の径方向外側端よりも径方向内側に位置させることによって、軸受から飛散する潤滑剤が検出部に付着することが抑制され、ひいては、検出部の検出能力の低下を抑えることが可能となる。
【0008】
望ましい態様として、前記軸受の軸方向の一方側に配置され、前記中心軸の軸回りの周方向に沿って延び、且つ、前記内輪を軸方向で押さえる押さえ部材を備え、前記押さえ部材は、前記内輪に接する内側部と、前記内側部から径方向外側に延び、軸方向から見た場合に前記外輪の少なくとも一部と重なり、且つ、前記外輪に対して軸方向の一方側に離隔する外側部と、を有する。
【0009】
これによれば、押さえ部材の外側部と軸受の外輪との間の隙間によって、ラビリンス構造が形成される。従って、軸受から飛散した潤滑剤は、押さえ部材の外側部に当たったのち、軸方向の一方側に移動する。これにより、軸受から飛散した潤滑剤の移動が妨げられ、潤滑剤が検出部に付着することがより抑制される。
【0010】
望ましい態様として、前記押さえ部材は、前記外周部から軸方向の一方側に向けて前記位置検出器の外周側まで延びる第1円筒部と、前記第1円筒部の軸方向の一方側の端から径方向内側に延びる環状部材と、を更に備え、前記ハウジングは、前記モータロータおよび前記軸受の径方向外側に設けられる筒状のロアハウジングと、前記ロアハウジングの軸方向の一方側に設けられ、且つ、前記押さえ部材の前記第1円筒部の径方向外側に位置する筒状のアッパハウジングと、前記アッパハウジングの軸方向の一方側の端部から径方向内側に向けて延び、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材を軸方向の一方側から覆う蓋部材と、を備え、前記蓋部材は、前記アッパハウジングの軸方向の一方側の端部から径方向内側に延びる外側部と、前記外側部の径方向内側の端から軸方向の一方側に延び、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材の径方向外側に対向して配置される第2円筒部と、前記第2円筒部の軸方向の一方側の端から径方向内側に延び、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材の軸方向の一方側を覆う天板部と、を有し、前記第2円筒部の内周面と前記環状部材の外周面との径方向距離は、前記アッパハウジングの内周面と前記第1円筒部の外周面との径方向距離よりも小さい。
【0011】
従って、潤滑剤は、第1円筒部とアッパハウジングとの大きな隙間を軸方向の一方側に向けて移動したのち、第2円筒部と環状部材との小さな隙間を通過するため、潤滑剤の移動が妨げられ、潤滑剤が検出部に付着することがより抑制される。また、アッパハウジングと第1円筒部との隙間と、第2円筒部と環状部材との隙間と、天板部と環状部材との隙間とによって、ラビリンス構造が形成される。従って、潤滑剤は、第1円筒部とアッパハウジングとの隙間を軸方向の一方側に向けて移動したとしても、第2円筒部と環状部材との隙間を移動しにくい。さらに、第2円筒部と環状部材との隙間を移動したとしても、天板部に当たって移動しにくくなる。これによって、潤滑剤の移動が妨げられ、潤滑剤が検出部に付着することがより抑制される。
【0012】
望ましい態様として、前記蓋部材は、前記天板部の径方向内側端から軸方向の他方側に延び、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材の径方向内側を覆う第3円筒部を更に備え、前記検出用ロータは、前記第3円筒部に取り付けられる取付部と、前記取付部から径方向外側に向けて延び、且つ、前記中心軸の軸回りの周方向に沿うリング部と、を有し、前記検出用ステータは、前記リング部の径方向外側に設けられ、且つ、前記押さえ部材の前記環状部材から軸方向の他方側に延びる筒状部と、前記筒状部から径方向内側に延び、且つ、前記リング部に軸方向で対向配置される基板と、を有し、前記基板に前記検出部が設けられ、前記検出用ロータの前記リング部の外周面と、前記検出用ステータの前記筒状部の内周面との径方向距離は、前記第3円筒部の外周面と前記環状部材の内周面との径方向距離よりも小さい。
【0013】
従って、潤滑剤は、第3円筒部と環状部材との大きな隙間を軸方向の他方側に向けて移動したのち、リング部と検出用ステータの筒状部との小さな隙間を通過するため、潤滑剤の移動が妨げられ、潤滑剤が検出部に付着することがより抑制される。さらに、リング部と筒状部との隙間と、リング部と筒状部との隙間と、リング部と基板との隙間によって、ラビリンス構造が形成される。よって、このラビリンス構造によっても、潤滑剤の移動が妨げられ、潤滑剤が検出部に付着することがより抑制される。
【0014】
望ましい態様として、前記ハウジングは、前記モータロータおよび前記軸受の径方向外側に設けられる筒状のロアハウジングと、前記ロアハウジングの軸方向の一方側に設けられる筒状のアッパハウジングと、前記アッパハウジングの軸方向の一方側の端部から径方向内側に向けて延び、且つ、前記押さえ部材を軸方向の一方側から覆う蓋部材と、を備え、前記蓋部材の径方向内側の端部における軸方向の他方側の面には、軸方向の他方側に突出する位置検出器用取付部材が固定され、前記位置検出器用取付部材は、前記蓋部材の径方向内側の端部における軸方向の他方側の面に固定されるフランジと、前記フランジの径方向内側の端から軸方向の他方側に向けて延びる脚部と、を有し、前記検出用ロータは、前記脚部に取り付けられる取付部と、前記取付部から径方向外側に向けて延び、且つ、前記中心軸の軸回りの周方向に沿うリング部と、を有し、前記検出用ステータは、前記押さえ部材に固定され、且つ、前記押さえ部材から軸方向の一方側に延びる筒状部と、前記筒状部から径方向内側に延び、且つ、前記リング部に軸方向で対向配置される基板と、を有し、前記基板に前記検出部が設けられ、前記検出用ステータの前記基板と、前記検出用ステータの前記筒状部と、前記押さえ部材とは、締結部材を介して固定され、前記締結部材の径方向中心は、前記位置検出器用取付部材の前記フランジの径方向外側端よりも、径方向外側に位置する。
【0015】
従って、締結用工具を挿入する際に、位置検出器用取付部材のフランジと締結用工具とが干渉しない。以下に具体的に説明する。モータの組立の手順において、位置検出器用取付部材、検出用ロータおよび基板をアッパハウジングの径方向内側に下降させる。このとき、リング部は押さえ部材の上に載置され、基板は筒状部の軸方向の一方側に載置される。そして、基板を筒状部に載置した状態で、基板と、筒状部と、押さえ部材とを締結部材を介して固定する。締結部材は、基板の軸方向の一方側から挿入するため、締結用工具も軸方向の一方側からから挿入して、締結する。そのとき、締結用工具を挿入する際に、位置検出器用取付部材のフランジと締結用工具とが干渉することが抑制される。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、位置検出器を有するアウターロータ型のモータであって、位置検出器の検出部に潤滑剤が付着することが抑制可能なモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るモータの全体構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係るモータの全体構成を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係るモータの全体構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、同一構造の部位には同一符号を付けて、説明を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係るモータの全体構成を模式的に示す断面図である。
図2は、
図1の一部を拡大した模式図である。
【0020】
図1に示すように、実施形態に係るモータ1は、減速機構(例えば、減速ギヤ、伝動ベルトなど)を介在させることなくロータに回転力をダイレクトに伝達し、当該ロータを回転させることができる。本実施形態では、アウターロータ型のモータ1を適用する。
【0021】
図1に示すように、モータ1は、ハウジング2と、モータステータ3と、位置検出器4と、軸受5と、モータロータ6と、を備える。モータ1は、中心軸Axを中心とする円環状の形状を有する。実施形態では、中心軸Axに沿った軸方向の一方側を上側として図面ではUPと示す。また、軸方向の他方側を下側として図面ではLWと示す。また、径方向外側をOUTと示し、径方向内側をINRと示す。ただし、モータ1は、中心軸Axが上下方向に沿って配置される態様に限定されない。
【0022】
ハウジング2は、ロアハウジング21と、アッパハウジング22と、蓋部材23と、底部材25と、を備える。
【0023】
ロアハウジング21は、第1円筒部211と、第2円筒部212と、を有する。第1円筒部211には、径方向位置側に突出する突出部213が設けられる。第1円筒部211の内周面211aと突出部213の上面とが軸受5の外輪51に接している。
【0024】
第2円筒部212は、第1円筒部211の下側に位置する。第2円筒部212の内周には、後述のモータ磁石61が固定されている。第2円筒部212は、第1円筒部211から下方に延びる。第2円筒部212は、第1円筒部211よりも径方向の厚さが薄い。即ち、中心軸Axを含む断面において、第2円筒部212の外周面は、第1円筒部211の外周面と、径方向の位置が同じであり、第2円筒部212の内周面は、第1円筒部211の内周面211aよりも径方向外側に位置する。
【0025】
アッパハウジング22は、本体部221と、屈曲部222と、を有する。本体部221は、上下方向に延びる円筒部材である。屈曲部222は、本体部221の下端部から径方向内側に延びる環状部材である。アッパハウジング22の下面22bは、第1円筒部211の上面に接する。アッパハウジング22は、図示しないボルトを介してロアハウジング21に固定されている。また、アッパハウジング22の屈曲部222の下面と、ロアハウジング21の突出部213の上面とで、軸受5の外輪51を上下から挟んで固定している。
【0026】
蓋部材23は、外側部231と、本体部232と、内側部233と、を有する。外側部231は、蓋部材23における最も径方向外側に位置する。外側部231は、アッパハウジング22の本体部221にボルトを介して固定されている。従って、外側部231は、アッパハウジング22の上面22aに接する。本体部232は、外側部231の内周側に位置する。本体部232の厚さは、外側部231の厚さよりも厚い。従って、本体部232の上面は、外側部231の上面よりも上側に位置する。内側部233は、本体部232の径方向内側の端部から下方に延びる筒状部材である。
【0027】
底部材25は、モータステータ3およびモータロータ6の下側を覆う。底部材25は、第2円筒部212の下端部からステータコア保持部材26の外周面まで径方向に沿って延びる。
【0028】
ステータコア保持部材26は、後述のステータコア31を固定する。ステータコア保持部材26は、切欠部26aを有し、切欠部26aは切欠部底面26bを有する。
【0029】
モータステータ3は、ステータコア(鉄心)31と、モータコイル32と、を有する。ステータコア31は、例えば、打ち抜き加工により成形された1枚の円環状の電磁鋼板、冷間圧延鋼板等の薄板を軸方向に複数に重ねて構成される。モータコイル32は、ステータコア31に巻回されている。ステータコア31とモータ磁石61とは、軸方向の位置が略同一である。ステータコア31は、モータ磁石61と径方向で対向して配置される。なお、モータロータ6は、モータ磁石61を含む。
【0030】
位置検出器4は、検出用ステータ41と、検出用ロータ42と、を有する。検出用ステータ41は、基板411と、検出部412と、を有する。検出用ロータ42には、中心軸Axの軸回りの周方向に沿って図外のスリットが複数設けられる。位置検出器4は、本実施形態では、例えば、光学式の回転センサである。従って、図外の発光素子から発せられた光が検出用ロータ42のスリット423(
図6参照)を通過する場合と通過しない場合とで光パルスが生成され、この光パルスを検出用ステータ41の検出部412で検出し、電気信号に変換して出力する。以下、位置検出器4の構成を詳細に説明する。
【0031】
位置検出器4は、中心軸Axの軸回りの周方向に沿って形成されている。検出用ステータ41の基板411は、円環状の形状を有し、押さえ部材24の上にボルトを介して固定されている。基板411の上には、検出部412が設けられる。検出用ロータ42には、前述のように、中心軸Axの軸回りの周方向に沿ってスリットが複数設けられる。検出用ロータ42は、蓋部材23の内側部233の下面に固定される。従って、検出用ロータ42は、蓋部材23と共に回転可能である。検出用ロータ42は、検出部412の上側に対向配置される。即ち、検出用ロータ42は、検出部412に対して軸方向で対向して配置される。検出用ロータ42は、内側部233の下端に固定されている。
【0032】
軸受5は、外輪51と、内輪52と、転動体53と、を有する深溝玉軸受である。内輪52と外輪51とは、球状の転動体53を介して、相対回転が可能である。
図2の断面図は、球状の転動体53の中心Cを通る断面を示す。内輪52の各部位において最も径方向の外側に位置する径方向外側端52aは、外輪51の径方向内側端51aに対して、径方向で対向して配置されている。
【0033】
押さえ部材24は、ステータコア保持部材26の上側に位置し、ステータコア保持部材26にボルトを介して固定される。押さえ部材24は、中心軸Axの軸回り方向に沿って延び、且つ、内輪52を軸方向で押さえる。押さえ部材24は、径方向内側に位置する内側部24aと、径方向外側に位置する外側部24bと、を有する。押さえ部材24は、上面241と、下面242、243、244と、連結面245、246と、内周面247と、外周面248と、を有する。押さえ部材24の部位のうち、連結面246よりも径方向内側の部位が内側部24aであり、連結面246よりも径方向外側の部位が外側部24bである。上面241は、アッパハウジング22の屈曲部222の上面と軸方向位置が略同一である。内周面247は、上面241の径方向内側端から下側に延びる。外周面248は、上面241の径方向外側端から軸方向に沿って下側に延びる。押さえ部材24の下面は、下面242と、下面243と、下面244とを有する。下面242は、ステータコア保持部材26の上面に接する。下面243は、下面244よりも上側に位置する。下面242と下面243とは、連結面245で連結される。下面243は、軸受5の内輪52の上面に接する。連結面245は、軸受5の内輪52の内周面に接する。軸受5の内輪52は、押さえ部材24の下面243と、ステータコア保持部材26の切欠部底面26bとによって上下から挟持される。下面244は、下面243よりも上側に位置する。下面244と下面243とは、連結面246で連結される。下面244は、軸受5の内輪52の上面および外輪51の上面よりも上側に離隔して対向位置される。即ち、下面244と、軸受5の内輪52および外輪51との間には、上下方向(軸方向)に隙間が形成され、当該隙間は、径方向に延びている。外周面248は、アッパハウジング22の屈曲部222の内周面222aに対して径方向で離隔されている。つまり、外周面248と内周面222aとは、径方向に対向している。これにより、外周面248と内周面222aとの間には、隙間が形成される。
【0034】
なお、
図2に示すように、検出用ステータ41の検出部412の径方向外側端412aは、内輪52の径方向外側端52aよりも径方向内側に位置する。検出用ステータ41の径方向外側端412aと、内輪52の径方向外側端52aとは、径方向距離D1だけ離隔している。
【0035】
さらに、軸受5の潤滑剤100は、破線で示す経路を通らなければ、軸受5の上側(軸方向の一方側)へ飛散することはない。即ち、当該経路は、第1経路と、第2経路とを備える。第1経路は、押さえ部材24の下面244と、軸受5の内輪52および外輪51との間の隙間である。第2経路は、押さえ部材24の外周面248とアッパハウジング22の内周面222aとの間の隙間である。
図2の破線で示すように、軸受5の潤滑剤100は、第1経路を径方向外側に向けて移動することはあっても、第2経路から上側に移動しにくい。このように、押さえ部材24の下面244と軸受5の内輪52および外輪51との間の隙間と、押さえ部材24の外周面248とアッパハウジング22の内周面222aとの間の隙間とによって、ラビリンス構造が形成される。
【0036】
以上説明したように、モータ1は、回転不能なモータステータ3と、回転可能なモータロータ6と、軸受5と、位置検出器4と、ハウジング2と、を備える。軸受5は、モータロータ6に連結される外輪51と、モータステータ3に連結される内輪52と、転動体53と、を有し、且つ、モータロータ6およびモータステータ3の上側(軸方向の一方側)に位置する。位置検出器4は、モータステータ3に連結される検出用ステータ41と、モータロータ6に連結されて回転可能な検出用ロータ42と、検出部412とを有する。検出部412は、軸受5の内輪52の径方向外側端よりも径方向内側に位置する。
【0037】
軸受5において、転動体53と外輪51および内輪52との間には、グリースなどの潤滑剤、即ち、油(オイル)などの潤滑剤100が介在する。固定側の内輪52に対して外輪51が回転する場合、外輪51と内輪52との間から潤滑剤100が径方向外側に向けて飛散する。
【0038】
ここで、モータ1が位置検出器4を有する場合、位置検出器4の検出部412に潤滑剤100が付着すると、検出部412の検出能力が低下する可能性がある。従って、検出部412を、軸受5の内輪52の径方向外側端よりも径方向内側に位置させることによって、軸受5から飛散する潤滑剤100が検出部412に付着することが抑制され、ひいては、検出部412の検出能力の低下を抑えることが可能となる。
【0039】
モータ1は、押さえ部材24を備える。押さえ部材24は、内輪52に接する内側部24aと、内側部24aから径方向外側に延びる外側部24bと、を有する。外側部24bは、軸方向から見た場合に外輪51の少なくとも一部と重なり、且つ、外輪51に対して上側(軸方向の一方側)に離隔する。
【0040】
本実施形態では、押さえ部材24の下面244と軸受5の内輪52および外輪51との間の隙間と、押さえ部材24の外周面248とアッパハウジング22の内周面222aとの間の隙間とによって、ラビリンス構造が形成される。従って、
図2に破線で示すように、軸受5の潤滑剤100は、押さえ部材24の下面244で遮蔽され、飛散しにくくなる。潤滑剤100は、押さえ部材24の下面244と軸受5の内輪52および外輪51との間の隙間である第1経路を径方向に移動すると運動エネルギーを失いやすく、さらに、押さえ部材24の外周面248とアッパハウジング22の内周面222aとの間の隙間である第2経路を上側に向けて移動する潤滑剤100は、少なくなる。
【0041】
このように、軸受5の上側にラビリンス構造が形成されることにより、潤滑剤100の移動が妨げられ、潤滑剤100が検出部412に付着することがより抑制される。
【0042】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して、蓋部材23A、押さえ部材24Aおよび位置検出器4Aの形状および構造が相違する。従って、第2実施形態では、これらの構成について重点的に説明する。
図3は、第2実施形態に係るモータの全体構成を模式的に示す断面図である。
図4は、
図3の一部を拡大した模式図である。
図5は、
図3の一部を拡大した模式図である。
図6は、位置検出器の分解斜視部である。
【0043】
図3に示すように、ハウジング2Aの蓋部材23Aは、外側部231Aと、第2円筒部234Aと、天板部232Aと、第3円筒部233Aと、を備える。外側部231Aは、ハウジング2Aのアッパハウジング22の本体部221の上端から径方向内側に延びる。第2円筒部234Aは、外側部231Aの径方向内側端から上側に延び、且つ、押さえ部材24Aの環状部材243Aの径方向外側に対向して配置される。天板部232Aは、第2円筒部234Aの上端から径方向内側に延び、且つ、押さえ部材24Aの環状部材243Aの上側を覆う。第3円筒部233Aは、天板部232Aの径方向内側端から下側に延び、且つ、位置検出器4Aの径方向内側を覆う。
【0044】
図3および
図4に示すように、押さえ部材24Aは、第1実施形態の押さえ部材24における内側部24aおよび外側部24bに加えて、第1円筒部242Aと、環状部材243Aと、を更に備える。
【0045】
図3および
図4に示すように、第1円筒部242Aは、外側部24bから上側に向けて位置検出器4Aの外周側まで延びる。環状部材243Aは、第1円筒部242Aの上端から径方向内側に延びる。
【0046】
図5および
図6に示すように、位置検出器4Aは、検出用ステータ41Aと、検出用ロータ42Aと、を有する。
【0047】
図5および
図6に示すように、検出用ロータ42Aは、取付部421と、リング部422と、を有する。取付部421は、第3円筒部233Aに取り付けられる円筒部材である。取付部421には、貫通孔424が周方向に沿って複数設けられる。貫通孔424には、イモネジ等の固定部材が貫通可能である。リング部422は、取付部421から径方向外側に向けて延び、且つ、中心軸Axの軸回りの周方向に沿う環状の部材である。リング部422には、スリット423が貫通して設けられる。スリット423は、周方向に沿って等間隔に配置される。スリット423は、図外の発光素子から発せられた光が通過可能である。検出用ステータ41Aは、基板413と、筒状部414と、を有する。筒状部414は、リング部422の径方向外側に設けられ、且つ、環状部材243Aから下側に延びる。基板413は、筒状部414の下端から径方向内側に延び、且つ、リング部422の下側に軸方向で対向配置される。基板413の上に検出部412が設けられる。検出用ロータ42Aのリング部422の外周面と、検出用ステータ41Aの筒状部414の内周面との径方向距離D5は、第3円筒部233Aの外周面と環状部材243Aの内周面との径方向距離D4よりも小さい。
【0048】
なお、
図4に示すように、第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との径方向距離D2は、アッパハウジング22の本体部221の内周面と第1円筒部242Aの外周面との径方向距離D3よりも小さい。
【0049】
次に、潤滑剤100の流れ(移動)およびラビリンス構造について説明する。
図4の破線で示すように、軸受5から飛散した潤滑剤100が検出部412に到達するには、アッパハウジング22の本体部221の内周面と第1円筒部242Aの外周面との隙間を上側に向けて移動したのち、第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との隙間を移動し、天板部232Aに当たって向きを径方向内側に変え、天板部232Aと環状部材243Aとの隙間を径方向内側に向けて移動する必要がある。しかし、アッパハウジング22の本体部221の内周面と第1円筒部242Aの外周面との隙間と、第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との隙間と、天板部232Aと環状部材243Aとの隙間とによって、ラビリンス構造が形成される。従って、潤滑剤100は、アッパハウジング22の本体部221の内周面と第1円筒部242Aの外周面との隙間を移動したとしても、第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との隙間を移動しにくくなる。また、潤滑剤100は、第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との隙間を移動したとしても、天板部232Aと環状部材243Aとの隙間を移動しにくくなる。
【0050】
また、
図5の破線で示すように、軸受5から飛散した潤滑剤100は、天板部232Aと環状部材243Aとの隙間を径方向外側に向けて移動したとしても、第3円筒部233Aの外周面と環状部材243Aの内周面との隙間を移動しにくくなる。さらに、第3円筒部233Aの外周面と環状部材243Aの内周面との隙間を移動したとしても、リング部422の外周面と筒状部414の内周面との隙間を下側に向けて移動しにくくなり、さらに、リング部422と基板413との隙間を移動しにくくなる。このように、リング部422の外周面と筒状部414の内周面との隙間と、リング部422の外周面と筒状部414の内周面との隙間と、リング部422と基板413との隙間によって、ラビリンス構造が形成される。
【0051】
以上説明したように、第2実施形態に係るモータ1Aにおいて、蓋部材23Aは、アッパハウジング22の上側に端部から径方向内側に延びる外側部231Aと、環状部材243Aの径方向外側に対向して配置される第2円筒部234Aと、環状部材243Aの上側を覆う天板部232Aと、を有する。第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との径方向距離D2は、アッパハウジング22の本体部221の内周面と第1円筒部242Aの外周面との径方向距離D3よりも小さい。
【0052】
従って、潤滑剤100は、第1円筒部242Aとアッパハウジング22の本体部221との大きな隙間を上側に向けて移動したのち、第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との小さな隙間を通過するため、潤滑剤100の移動が妨げられ、潤滑剤100が検出部412に付着することがより抑制される。
【0053】
また、アッパハウジング22の本体部221の内周面と第1円筒部242Aの外周面との隙間と、第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との隙間と、天板部232Aと環状部材243Aとの隙間とによって、ラビリンス構造が形成される。従って、
図4の破線で示すように、潤滑剤100は、第1円筒部242Aとアッパハウジング22の本体部221との隙間を上側に向けて移動したのち、第2円筒部234Aの内周面と環状部材243Aの外周面との隙間を移動する。このラビリンス構造によっても、潤滑剤100の移動が妨げられ、潤滑剤100が検出部412に付着することがより抑制される。
【0054】
また、蓋部材23Aは、環状部材243Aの径方向内側を覆う第3円筒部233Aを更に備える。検出用ロータ42Aは、第3円筒部233Aに取り付けられる取付部421と、取付部421から径方向外側に向けて延びるリング部422と、を有する。検出用ステータ41Aは、環状部材243Aから下側に延びる筒状部414と、リング部422に軸方向で対向配置される基板413と、を有する。検出用ロータ42Aのリング部422の外周面と、検出用ステータ41Aの筒状部414の内周面との径方向距離D5は、第3円筒部233Aの外周面と環状部材243Aの内周面との径方向距離D4よりも小さい。
【0055】
従って、
図5の破線で示すように、潤滑剤100は、第3円筒部233Aの外周面と環状部材243Aの内周面との大きな隙間を下側に向けて移動したのち、リング部422の外周面と検出用ステータ41Aの筒状部414の内周面との小さな隙間を通過するため、潤滑剤100の移動が妨げられ、潤滑剤100が検出部412に付着することがより抑制される。
さらに、リング部422の外周面と筒状部414の内周面との隙間と、リング部422の外周面と筒状部414の内周面との隙間と、リング部422と基板413との隙間によって、ラビリンス構造が形成される。よって、このラビリンス構造によっても、潤滑剤100の移動が妨げられ、潤滑剤100が検出部412に付着することがより抑制される。
【0056】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、蓋部材23Bの形状が異なり、位置検出器用取付部材24Bが新たに追加される。また、位置検出器4Aの上下位置が第2実施形態の反対になっている。
図7は、第3実施形態に係るモータの全体構成を模式的に示す断面図である。
【0057】
図7に示すように、第3実施形態のモータ1Bにおいて、ハウジング2Bは、筒状のロアハウジング21と、ロアハウジング21の上側に設けられる筒状のアッパハウジング22と、蓋部材23Bと、を備える。
【0058】
蓋部材23Bは、外側部231と、本体部232と、内側部(径方向内側の端部)233Bと、を有する。外側部231は、蓋部材23における最も径方向外側に位置する。外側部231は、アッパハウジング22の本体部221にボルトを介して固定されている。従って、外側部231は、アッパハウジング22の上面22aに接する。本体部232は、外側部231の内周側に位置する。本体部232の厚さは、外側部231の厚さよりも厚い。従って、本体部232の上面は、外側部231の上面よりも上側に位置する。内側部(径方向内側の端部)233Bは、本体部232の径方向内側に位置する。内側部(径方向内側の端部)233Bの上面は、外側部231の上面と軸方向高さが同じである。
【0059】
蓋部材23Bの径方向内側の端部における下側の面には、下方に突出する位置検出器用取付部材24Bが固定される。
【0060】
位置検出器用取付部材24Bは、フランジ241Bと、脚部242Bと、を有する。フランジ241Bは、蓋部材23Bの内側部233Bの下面に、図外のボルトで固定される。フランジ241Bは、径方向に沿って延びる環状の形状を有する。脚部242Bは、フランジ241Bの径方向内側の端から下側に向けて延びる筒状部材である。脚部242Bの下端は、押さえ部材24の上面と軸方向高さが略同一である。
【0061】
位置検出器4Aは、第2実施形態の位置検出器4Aと構成が同じである。ただし、第2実施形態の位置検出器4Aに対して、第3実施形態では、上下反対にして配置している。即ち、下側に検出用ロータ42Aを配置し、上側に検出用ステータ41Aを配置している。
【0062】
検出用ロータ42Aは、取付部421と、リング部422と、を有する。取付部421は、位置検出器用取付部材24Bの脚部242Bにイモネジ等の固定部材を介して固定される。具体的には、取付部421の貫通孔424と脚部242Bの貫通孔とに固定部材を挿入して締結している。リング部422は、取付部421の下端から径方向外側に向けて延び、且つ、中心軸Axの軸回りの周方向に沿う。
【0063】
検出用ステータ41Aは、基板413と、筒状部414と、を有する。筒状部414は、押さえ部材24に固定され、且つ、押さえ部材24から上側に延びる。基板413は、筒状部414の上端に固定部材で固定される。基板413は、筒状部414の上端から径方向内側に延び、且つ、リング部422の上側に軸方向で対向配置される。基板413の下に検出部412が設けられる。なお、基板413と、筒状部414と、押さえ部材24とをボルト等の締結部材を介して固定される。締結部材の軸心200は、位置検出器用取付部材24Bのフランジ241Bの径方向外側端よりも、径方向外側に位置する。
【0064】
次に、第3実施形態のモータ1Bの組立の手順を簡単に説明する。
【0065】
まず、軸受5の内輪52をステータコア保持部材26と押さえ部材24とで上下から挟み込んだ状態で、ステータコア保持部材26の上に押さえ部材24をボルトで固定する。モータステータ3は、予めステータコア保持部材26に固定されている。次に、ロアハウジング21とアッパハウジング22とで軸受5の外輪51を上下から挟み込んだ状態で、ロアハウジング21の上にアッパハウジング22をボルトで固定する。次いで、基板413の径方向内側に位置検出器用取付部材24Bの脚部242Bを挿入し、基板413と脚部242Bとの間に検出用ロータ42Aを挿入する。この状態で、検出用ロータ42Aの取付部421と位置検出器用取付部材24Bの脚部242Bとを固定部材で固定する。次に、位置検出器用取付部材24B、検出用ロータ42Aおよび基板413をアッパハウジング22の径方向内側に下降させる。
【0066】
このとき、リング部422は押さえ部材24の上に載置され、基板413は筒状部414の上に載置される。そして、基板413を筒状部414の上に載置した状態で、基板413と、筒状部414と、押さえ部材24とをボルト等の締結部材を介して固定する。締結部材は、基板413の上側から挿入するため、締結用工具も上から挿入して、締結する。
【0067】
以上説明したように、第3実施形態においては、基板413と、筒状部414と、押さえ部材24とをボルト等の締結部材を介して固定される。締結部材の軸心200は、位置検出器用取付部材24Bのフランジ241Bの径方向外側端よりも、径方向外側に位置する。従って、締結用工具を挿入する際に、位置検出器用取付部材24Bのフランジ241Bと締結用工具とが干渉しない。以下に具体的に説明する。
【0068】
モータ1Bの組立の手順において、位置検出器用取付部材24B、検出用ロータ42Aおよび基板413をアッパハウジング22の径方向内側に下降させる。このとき、リング部422は押さえ部材24の上に載置され、基板413は筒状部414の上に載置される。そして、基板413を筒状部414の上に載置した状態で、基板413と、筒状部414と、押さえ部材24とをボルト等の締結部材を介して固定する。締結部材は、基板413の上側から挿入するため、締結用工具も上から挿入して、締結する。そのとき、締結用工具を挿入する際に、位置検出器用取付部材24Bのフランジ241Bと締結用工具とが干渉することが抑制される。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、1B モータ
2、2A、2B ハウジング
21 ロアハウジング(ハウジング)
211 第1円筒部
211a 内周面
212 第2円筒部
213 突出部
22 アッパハウジング(ハウジング)
22a 上面
22b 下面
221 本体部
222 屈曲部
222a 内周面
23、23A、23B 蓋部材(ハウジング)
231、231A 外側部
232 本体部
232A 天板部
233 内側部
233A 第3円筒部
234A 第2円筒部
24 押さえ部材
24A 押さえ部材
24B 位置検出器用取付部材
24a 内側部
24b 外側部
241 上面
241B フランジ
242 下面
242A 第1円筒部
242B 脚部
243 下面
243A 環状部材
244 下面
245 連結面
246 連結面
247 内周面
248 外周面
25 底部材(ハウジング)
26 ステータコア保持部材
26a 切欠部
26b 切欠部底面
3 モータステータ
31 ステータコア(鉄心)
32 モータコイル
4 位置検出器
4A 位置検出器
41 検出用ステータ
41A 検出用ステータ
411 基板
412 検出部
412a 径方向外側端
413 基板
414 筒状部
42 検出用ロータ
42A 検出用ロータ
421 取付部
422 リング部
5 軸受
51 外輪
51a 径方向内側端
52 内輪
52a 径方向外側端
53 転動体
6 モータロータ
61 モータ磁石