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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/00 20060101AFI20240702BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20240702BHJP
   F02D 35/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F02B37/00 301G
F02B39/00 D
F02D35/00 368E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021048980
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147648
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】波多野 高斗
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-247560(JP,A)
【文献】特開2012-225297(JP,A)
【文献】特開2012-241545(JP,A)
【文献】特開2014-227930(JP,A)
【文献】特開2016-173041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/00
F02B 39/00
F02D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させるための気筒と、
前記気筒からの排気の流通空間を区画する排気通路と、
前記排気の流れを利用して過給するターボチャージャと、
前記排気通路における前記ターボチャージャから視て下流側に位置しており、前記排気を浄化する触媒と、
前記排気の空燃比を検出する空燃比センサと、
を備えている内燃機関であって、
前記ターボチャージャは、
前記排気通路の一部を構成するタービンハウジングと、
前記タービンハウジング内に位置しており、前記排気の流通により回転するタービンホイールと、を備え、
前記空燃比センサは、前記タービンホイール及び前記触媒の間に位置しており、
前記排気通路は、
通路本体と、
前記通路本体の内壁面のうち、前記タービンホイール及び前記空燃比センサの間の位置から突出するガイドと、を備え、
前記通路本体の内壁面を、前記タービンホイールの回転軸線から視て前記空燃比センサに近い第1領域と前記回転軸線から視て前記空燃比センサから遠い第2領域とに二分したとき、前記ガイドは、前記第1領域内に位置しており、
前記回転軸線に沿う方向から視たときに、前記ガイドの長手方向の第1端と前記回転軸線との距離は、前記第1端とは反対側の第2端と前記回転軸線との距離よりも短く、且つ、前記第1端と前記空燃比センサとの距離は、前記第2端と前記空燃比センサとの距離よりも長い
内燃機関。
【請求項2】
前記回転軸線に沿う方向において、前記第2端と前記空燃比センサとの間には隙間があり、
前記回転軸線に沿う方向から視たときに、前記回転軸線と前記空燃比センサとを結ぶ最短の線分を仮想線分としたとき、
前記第2端は、前記仮想線分から視て、前記タービンホイールの回転方向とは反対側に位置している
請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
複数の前記気筒を備えている
請求項1又は請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記空燃比センサは、前記排気の空燃比を検出するセンサ本体と、前記センサ本体を収容するカバーと、を備え、
前記カバーは、当該カバーを貫通する貫通孔を備える
請求項1~3の何れか一項に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記ガイドの延設方向に直交する断面視で、前記ガイドの外縁は、湾曲している
請求項1~4の何れか一項に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の内燃機関は、気筒と、排気通路と、ターボチャージャと、触媒と、空燃比センサと、を備えている。気筒は、燃料を燃焼させる空間である。排気通路は、気筒からの排気の流通空間を区画している。ターボチャージャは、タービンハウジングと、タービンホイールと、を備えている。タービンハウジングは、排気通路の一部である。すなわち、タービンハウジングは、排気の流通空間の一部を区画している。タービンホイールは、タービンハウジング内に位置している。タービンホイールは、排気の流通により回転する。触媒は、排気通路の途中に位置している。触媒は、タービンホイールから視て下流側に位置している。触媒は、排気通路を流通する排気を浄化する。空燃比センサは、排気通路におけるタービンホイール及び触媒の間に位置している。空燃比センサは、排気通路を流通する排気の空燃比を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-227930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような内燃機関では、空燃比センサの位置によっては、タービンホイールを流通した排気が空燃比センサの近傍へと至りにくい。この場合、空燃比センサの近傍において排気の流れが滞るので、排気の空燃比の変化が、空燃比センサの近傍に反映されにくい。したがって、空燃比センサによって検出される空燃比が、排気の実際の空燃比に対してずれてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための内燃機関は、燃料を燃焼させるための気筒と、前記気筒からの排気の流通空間を区画する排気通路と、前記排気の流れを利用して過給するターボチャージャと、前記排気通路における前記ターボチャージャから視て下流側に位置しており、前記排気を浄化する触媒と、前記排気の空燃比を検出する空燃比センサと、を備えている内燃機関であって、前記ターボチャージャは、前記排気通路の一部を構成するタービンハウジングと、前記タービンハウジング内に位置しており、前記排気の流通により回転するタービンホイールと、を備え、前記空燃比センサは、前記タービンホイール及び前記触媒の間に位置しており、前記排気通路は、通路本体と、前記通路本体の内壁面のうち、前記タービンホイール及び前記空燃比センサの間の位置から突出するガイドと、を備え、前記通路本体の内壁面を、前記タービンホイールの回転軸線から視て前記空燃比センサに近い第1領域と前記回転軸線から視て前記空燃比センサから遠い第2領域とに二分したとき、前記ガイドは、前記第1領域内に位置しており、前記回転軸線に沿う方向から視たときに、前記ガイドの長手方向の第1端と前記回転軸線との距離は、前記第1端とは反対側の第2端と前記回転軸線との距離よりも短く、且つ、前記第1端と前記空燃比センサとの距離は、前記第2端と前記空燃比センサとの距離よりも長い。
【0006】
上記構成では、ガイドは、概ねタービンホイール側から空燃比センサ側へと延びている。したがって、排気通路の内壁面に沿って流れる排気が、空燃比センサの近傍へと導かれ、空燃比センサの近傍の排気が撹拌される。その結果、排気の空燃比が変化したときに空燃比センサの検出値が追従しやすく、空燃比センサの検出値と排気の実際の空燃比とのずれが小さくなる。
【0007】
上記構成において、前記回転軸線に沿う方向において、前記第2端と前記空燃比センサとの間には隙間があり、前記回転軸線に沿う方向から視たときに、前記回転軸線と前記空燃比センサとを結ぶ最短の線分を仮想線分としたとき、前記第2端は、前記仮想線分から視て、前記タービンホイールの回転方向とは反対側に位置していてもよい。
【0008】
上記構成においては、ガイドの第2端と空燃比センサとの間には隙間があるため、ガイドに沿って流れた排気は、上記隙間においてタービンホイールの回転方向に流れる。上記構成によれば、上記の隙間において排気がタービンホイールの回転方向に流れることを見越してガイドの第2端の位置が設定されている。したがって、排気を効率よく空燃比センサの近傍に案内できる。
【0009】
上記構成において、複数の前記気筒を備えていてもよい。
上記構成において、気筒毎の空燃比を適切に検出するためには、タービンホイールを流通した排気を速やかに空燃比センサに案内することが求められる。したがって、上記構成においてガイドに関する技術を適用することは特に好ましい。
【0010】
上記構成において、前記空燃比センサは、前記排気の空燃比を検出するセンサ本体と、前記センサ本体を収容するカバーと、を備え、前記カバーは、当該カバーを貫通する貫通孔を備えていてもよい。
【0011】
上記構成においては、カバーに排気が衝突すると、貫通孔を介してカバーの内部に排気が導入される。ここで、カバーに衝突する排気の流速が低い場合には、貫通孔を介してカバーの内部に導入される排気の量が少なくなる。これに起因して、カバーの内部の排気の流れが滞る。この点、上記ガイドが設けられていれば、ガイドに沿って多くの排気が空燃比センサの近傍に流れるため、カバーに衝突する排気の流速が高くなる。その結果、貫通孔を介してカバーの内部に導入される排気の量が多くなることにより、カバーの内部の排気の流れが滞ることを抑制できる。
【0012】
上記構成において、前記ガイドの延設方向に直交する断面視で、前記ガイドの外縁は、湾曲していてもよい。
上記構成によれば、ガイドの表面を排気が滑らかに流れる。したがって、ガイドによって排気の流れが過度に妨げられることは防げる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】内燃機関の概略構成図。
図2】タービンハウジングの周辺構成を示す断面図。
図3図2における3-3線での断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<内燃機関の概略構成>
以下、本発明の実施形態を図1図3にしたがって説明する。本発明が適用された車両の内燃機関100の概略構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、内燃機関100は、吸気管11、吸気マニホールド12、複数の気筒20、排気マニホールド31、排気管32、及びターボチャージャ50を備えている。吸気管11は、内燃機関100の外部からの吸気を導入する。吸気マニホールド12は、後述するターボチャージャ50のコンプレッサハウジング51を介して、吸気管11に接続している。したがって、本実施形態において、吸気管11、コンプレッサハウジング51、及び吸気マニホールド12は、吸気の流通空間を区画する吸気通路を構成している。
【0016】
各気筒20は、吸気マニホールド12に接続している。各気筒20は、燃料と吸気とを混合して燃焼させるための空間である。本実施形態において、内燃機関100は、気筒20を4つ備えている。なお、図1では、4つの気筒20のうち、1つのみを図示している。
【0017】
排気マニホールド31は、各気筒20に接続している。排気管32は、後述するターボチャージャ50のタービンハウジング60を介して、排気マニホールド31に接続している。排気管32は、気筒20からの排気を内燃機関100の外部に排出する。したがって、本実施形態において、排気マニホールド31、タービンハウジング60、及び排気管32は、排気の流通空間を区画する排気通路を構成している。
【0018】
ターボチャージャ50は、コンプレッサハウジング51、ベアリングハウジング52、タービンハウジング60、タービンホイール91、連結シャフト92、及びコンプレッサホイール93を備えている。
【0019】
上述したように、コンプレッサハウジング51は、吸気管11及び吸気マニホールド12の間に位置している。また、タービンハウジング60は、排気マニホールド31及び排気管32の間に位置している。ベアリングハウジング52は、コンプレッサハウジング51及びタービンハウジング60に連結している。したがって、ベアリングハウジング52は、コンプレッサハウジング51及びタービンハウジング60を接続している。
【0020】
タービンハウジング60は、タービンホイール91を収容している。ベアリングハウジング52は、連結シャフト92を収容している。ベアリングハウジング52は、図示しないベアリングを介して回転可能に連結シャフト92を支持している。連結シャフト92の第1端は、タービンホイール91に接続している。コンプレッサハウジング51は、コンプレッサホイール93を収容している。コンプレッサホイール93は、連結シャフト92の第2端に接続している。すなわち、コンプレッサホイール93は、連結シャフト92を介してタービンホイール91に連結している。
【0021】
タービンホイール91がタービンハウジング60内の排気の流通により回転すると、連結シャフト92を介してコンプレッサホイール93が共に回転する。そして、コンプレッサホイール93が回転することにより、コンプレッサハウジング51内の吸気が圧縮される。したがって、ターボチャージャ50は、排気の流れを利用して過給する。なお、排気の流通により回転するタービンホイール91の方向が、タービンホイール91の回転方向である。具体的には、タービンホイール91の回転方向は、図3において時計回り方向である。
【0022】
図1に示すように、内燃機関100は、触媒49、及び空燃比センサ40を備えている。触媒49は、排気管32内に位置している。すなわち、触媒49は、ターボチャージャ50から視て下流側に位置している。触媒49は、排気管32内を流通する排気を浄化する。
【0023】
図1に示すように、空燃比センサ40は、排気管32のうち、触媒49から視て上流側に位置している。すなわち、空燃比センサ40は、タービンホイール91及び触媒49の間に位置している。また、図2に示すように、空燃比センサ40は、排気管32の上流端の近傍に位置している。
【0024】
図3に示すように、空燃比センサ40は、センサ本体41、及びカバー42を備えている。センサ本体41は、略棒状である。図示は省略するが、センサ本体41は、酸素濃度を検出するための各種の素子等を内蔵している。カバー42は、周壁43、及び端壁44を備えている。周壁43の形状は、略円筒形状である。周壁43は、排気管32の壁部を貫通している。したがって、周壁43の一部分は、排気管32内に位置している。周壁43は、8つの貫通孔43Aを備えている。各貫通孔43Aは、周壁43のうち、排気管32内に位置する部分を貫通している。8つの貫通孔43Aは、周壁43の周方向において等間隔に位置している。端壁44は、周壁43のうち、排気管32内に位置する端を閉塞している。カバー42は、センサ本体41を収容している。センサ本体41は、貫通孔43Aを介してカバー42の内部に導入された排気の酸素濃度を、排気の空燃比として検出する。
【0025】
<タービンハウジングの周辺構成>
図2に示すように、タービンハウジング60は、ハウジング本体70を備えている。ハウジング本体70は、排気の流通空間として、スクロール空間71、収容空間72、及び排出空間73を備えている。スクロール空間71は、タービンホイール91を取り囲むように円弧状に延びている。スクロール空間71の上流端は、排気マニホールド31における流通空間に接続している。収容空間72は、スクロール空間71の下流端に接続している。収容空間72は、タービンホイール91が位置する空間である。排出空間73の上流端は、収容空間72に接続している。排出空間73の下流端は、排気管32における流通空間に接続している。なお、本実施形態において、ハウジング本体70は、排気通路の通路本体の一例である。
【0026】
図2に示すように、タービンハウジング60は、ガイド65を備えている。ガイド65は、ハウジング本体70の内壁面75から突出している。ガイド65は、内壁面75のうち、タービンホイール91及び空燃比センサ40の間に位置している。換言すると、ガイド65は、タービンホイール91から視て下流側であって、空燃比センサ40から視て上流側に位置している。
【0027】
ここで、図3に示すように、タービンホイール91の回転軸線91Aに沿う方向から視たときに、回転軸線91Aと空燃比センサ40とを結ぶ最短の線分を仮想線分Aとする。また、回転軸線91Aを通り仮想線分Aに直交する直線を仮想直線Bとする。さらに、内壁面75のうち、タービンホイール91の回転軸線91Aから視て空燃比センサ40に近い領域を第1領域76とする。すなわち、第1領域76は、仮想直線Bで二分される内壁面75の領域のうち、空燃比センサ40側の領域である。そして、内壁面75のうち、タービンホイール91の回転軸線91Aから視て空燃比センサ40から遠い領域を第2領域77とする。すなわち、第2領域77は、仮想直線Bで二分される内壁面75の領域のうち、空燃比センサ40とは反対側の領域である。ガイド65は、第1領域76内に位置している。ガイド65は、内壁面75上を直線的に延びている。
【0028】
図3に示すように、回転軸線91Aに沿う方向から視たときに、ガイド65の長手方向の第1端66と回転軸線91Aとの距離は、ガイド65の第1端66とは反対側の第2端67と回転軸線91Aとの距離よりも短い。また、回転軸線91Aに沿う方向から視たときに、ガイド65の第1端66と空燃比センサ40との距離は、ガイド65の第2端67と空燃比センサ40との距離よりも長い。このように、回転軸線91Aに沿う方向から視たときに、ガイド65は、概ねタービンホイール91から空燃比センサ40に向かうように、直線的に延びている。
【0029】
図2に示すように、ガイド65は、内壁面75のうち、排出空間73の上流端から下流端にまで延びている。換言すると、ガイド65の第1端66は、内壁面75のうち、排出空間73の上流端と同じ箇所に位置している。また、ガイド65の第2端67は、内壁面75のうち、排出空間73の下流端と同じ箇所に位置している。上述したように、空燃比センサ40は、排気管32の上流端近傍に位置している。したがって、回転軸線91Aに沿う方向において、ガイド65の第2端67と空燃比センサ40との間には隙間がある。
【0030】
図3に示すように、ガイド65の第1端66及び第2端67は、いずれも仮想線分Aから視て、タービンホイール91の回転方向とは反対側、すなわち図3において反時計回り方向に位置している。本実施形態では、回転軸線91Aに沿う方向から視たときに、ガイド65の延びる向きは、仮想線分Aと平行である。
【0031】
ガイド65の延設方向に直交する断面視において、ガイド65の断面形状は、略半円形状である。したがって、ガイド65の延設方向に直交する断面視において、図3に示すように、ガイド65の外縁65Aは、湾曲している。ここで、ガイド65の外縁65Aとは、ガイド65の縁のうち、内壁面75から遠い側の面である。
【0032】
本実施形態において、タービンハウジング60は、ガイド65及びハウジング本体70が一体成形された一体成形物である。なお、タービンハウジング60は、例えば鋳造による一体成形物である。
【0033】
<本実施形態の作用>
図3において二点鎖線矢印で示すように、タービンホイール91を流通した排気は、タービンホイール91の回転方向、すなわち図3において時計回り方向に流れる。このとき、タービンハウジング60の内壁面75の近傍を流れる排気がガイド65に衝突すると、その排気がガイド65に沿ってタービンホイール91側から空燃比センサ40側へと流れる。そして、排気が空燃比センサ40の近傍へと導かれると、空燃比センサ40の近傍の排気が撹拌される。
【0034】
<本実施形態の効果>
(1)上述のとおり、空燃比センサ40の近傍に排気が導かれ、空燃比センサ40の近傍の排気が撹拌される。そのため、タービンホイール91を流通した排気の空燃比が変化したときに、空燃比センサ40の検出値が追従しやすい。その結果、空燃比センサ40の検出値と実際の排気の空燃比とのずれを小さくできる。
【0035】
(2)空燃比センサ40の近傍へと導かれる排気は、カバー42に衝突すると、貫通孔43Aを介してカバー42の内部に導入される。このとき、仮に、カバー42に衝突する排気の流速が低い場合には、貫通孔43Aを介してカバー42の内部に導入される排気の量が少なくなる。その結果、カバー42の内部の排気の流れが滞ることがある。
【0036】
この点、本実施形態では、ガイド65に沿って多くの排気が空燃比センサ40の近傍に流れるため、カバー42に衝突する排気の流速が高くなる。これにより、貫通孔43Aを介してカバー42の内部に導入される排気の量が多くなる。その結果、カバー42の内部の排気の流れが滞ることを抑制できる。
【0037】
(3)図2に示すように、回転軸線91Aに沿う方向において、ガイド65の第2端67と空燃比センサ40との間には隙間がある。そのため、ガイド65に沿って流れた排気は、上記の隙間においてタービンホイール91の回転方向に流れる。
【0038】
この点、本実施形態では、ガイド65の第2端67は、仮想線分Aから視て、タービンホイール91の回転方向とは反対側、すなわち図3において反時計回り方向に位置している。すなわち、上記の隙間においてタービンホイール91の回転方向に排気が流れることを見越してガイド65の第2端67が設定されている。これにより、上記の隙間が存在したとしても、空燃比センサ40の近傍に排気を効率よく案内できる。
【0039】
(4)仮に、仮想線分Aから視て、ガイド65の第2端67がタービンホイール91の回転方向とは反対側、すなわち図3において反時計回り方向に位置する一方、ガイド65の第1端66がタービンホイール91の回転方向、すなわち図3において時計回り方向に位置していたとする。この場合、図3において時計回り方向に流れる排気がガイド65に衝突したときに、相当量の排気がガイド65に沿って当該ガイド65の第1端66に向かって流れる。すなわち、ガイド65に沿って空燃比センサ40とは反対側に導かれる排気が存在する。
【0040】
この点、本実施形態では、ガイド65の第1端66及び第2端67は、いずれも仮想線分Aから視て、タービンホイール91の回転方向とは反対側、すなわち図3において反時計回り方向に位置している。そのため、上記の仮の構成に比べて、図3において時計回り方向に流れる排気がガイド65に衝突したときに、その排気がガイド65に沿って当該ガイド65の第1端66に向かって流れることを抑制できる。
【0041】
(5)内燃機関100は、気筒20を4つ備えている。このような内燃機関100では、各気筒20からの排気が順番にタービンホイール91へと流れる。このとき、各気筒20に供給される燃料の量等のばらつきに起因して、気筒20毎の排気の空燃比がばらつくことがある。そのため、内燃機関100では、タービンホイール91へと流れる気筒20毎の排気の空燃比を検出したい場合がある。そして、タービンホイール91へと流れる気筒20毎の排気の空燃比を検出するためには、タービンホイール91を流通した排気を速やかに空燃比センサ40に案内することが求められる。したがって、複数の気筒20を備える内燃機関100では、本実施形態のようにガイド65に関する技術を適用することが特に好ましい。
【0042】
(6)図3に示すように、タービンホイール91を流通した排気が図3において時計回り方向に流れる際には、タービンハウジング60の内壁面75の近傍を流れる排気がガイド65に衝突する一方、それよりも回転軸線91Aに近い部分を流れる排気はガイド65に衝突せずにガイド65の近傍を流通する。ここで、仮に、ガイド65の延設方向に直交する断面視において、ガイド65の断面形状が四角形状になっていると、ガイド65の外縁には角部が存在する。この場合、排気がガイド65の近傍を流通する際に、ガイド65の角部で排気の流れが乱れることに起因して、下流に向かう排気の流れが妨げられることがある。
【0043】
この点、ガイド65の延設方向に直交する断面視において、ガイド65の外縁65Aは、湾曲している。そのため、排気がガイド65の近傍を流通する際には、ガイド65の外縁65Aの表面を排気が滑らかに流れる。したがって、ガイド65によって排気の流れが過度に妨げることを抑制できる。
【0044】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0045】
・上記実施形態において、空燃比センサ40の位置は変更してもよい。例えば、空燃比センサ40は、上記実施形態の位置に比べて、下流に位置していたり、上流に位置していたりしてもよい。また、空燃比センサ40を上流に位置させる場合には、空燃比センサ40がタービンハウジング60の壁部を貫通していてもよい。すなわち、空燃比センサ40は、タービンホイール91及び触媒49の間に位置していれば、適宜変更できる。
【0046】
なお、タービンホイール91からはある程度の指向性をもって排気が排出される。したがって、空燃比センサ40とタービンホイール91との距離が短いほど、空燃比センサ40の近傍の排気が撹拌されにくい。そのため、空燃比センサ40とタービンホイール91との距離が短い構造において上記ガイド65に関する技術を適用することが好適である。
【0047】
・上記実施形態において、空燃比センサ40の構成は変更してもよい。例えば、空燃比センサ40は、センサ本体41及びカバー42を備える構造に限らない。例えば、カバー42を省略して、センサ本体41が排気管32内に直接露出する構造であってもよい。
【0048】
・上記実施形態において、ガイド65の位置は変更してもよい。例えば、ガイド65は、ハウジング本体70の内壁面75に代えて、又は加えて、排気管32の内壁面から突出していてもよい。すなわち、ガイド65は、タービンホイール91及び空燃比センサ40の間に位置していれば、適宜変更できる。
【0049】
・例えば、ガイド65の第1端66は、仮想線分Aから視て、タービンホイール91の回転方向、すなわち図3において時計回り方向に位置していてもよい。
・また、例えば、ガイド65の第2端67は、仮想線分Aから視て、タービンホイール91の回転方向、すなわち図3において時計回り方向に位置していてもよい。この構成においても、例えば、ガイド65によって排気が遮られ、ガイド65の近傍の排気が撹拌されるので、空燃比センサ40の近傍の排気も撹拌される。
【0050】
・例えば、ガイド65の第1端66は、内壁面75のうち、排出空間73の上流端と同じ箇所に位置していなくてもよく、排出空間73の上流端から視て下流側に位置していてもよい。
【0051】
・また、例えば、ガイド65の第2端67は、内壁面75のうち、排出空間73の下流端と同じ箇所に位置していなくてもよく、排出空間73の下流端から視て上流側に位置していてもよい。さらに、ガイド65の第2端67は、排気管32における空燃比センサ40から視て下流側に位置していてもよい。なお、この構成においては、ガイド65の第2端67は、仮想線分Aから視て、タービンホイール91の回転方向、すなわち図3において時計回り方向に位置していることが好ましい。この構成によれば、タービンホイール91を流通した排気がガイド65に衝突し、ガイド65の第2端67に向かって流れる際に、その排気が空燃比センサ40の近傍を流通しやすい。
【0052】
・上記実施形態において、ガイド65の形状は変更してもよい。例えば、回転軸線91Aに沿う方向から視たときに、ガイド65は、直線的に延びていなくてもよく、湾曲していてもよいし蛇行していてもよい。
【0053】
・例えば、ガイド65の延設方向に直交する断面視において、ガイド65の外縁65Aは、湾曲していなくてもよい。具体的には、ガイド65の延設方向に直交する断面視において、ガイド65の断面形状は、略半円形状に限らず、三角形状などのような多角形状であってもよい。
【0054】
・上記実施形態において、タービンホイール91の回転方向は、図3において時計回り方向でなくてもよく、図3において反時計回り方向であってもよい。この場合、タービンホイール91の回転方向に合わせてガイド65に関する構成を適宜変更すればよい。
【0055】
・上記実施形態において、内燃機関100のその他の構成を変更してもよい。例えば、内燃機関100は、3つ以下の気筒20を備えていたり、5つ以上の気筒20を備えていたりしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
A…仮想線分
B…仮想直線
11…吸気管
12…吸気マニホールド
20…気筒
31…排気マニホールド
32…排気管
40…空燃比センサ
49…触媒
50…ターボチャージャ
51…コンプレッサハウジング
52…ベアリングハウジング
60…タービンハウジング
65…ガイド
66…第1端
67…第2端
70…ハウジング本体
71…スクロール空間
72…収容空間
73…排出空間
75…内壁面
76…第1領域
77…第2領域
91…タービンホイール
91A…回転軸線
92…連結シャフト
93…コンプレッサホイール
100…内燃機関
図1
図2
図3