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  • 特許-カバー及び電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】カバー及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H05K5/03 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021051666
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149480
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 大典
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-157612(JP,A)
【文献】実開平4-8480(JP,U)
【文献】特開2009-112078(JP,A)
【文献】実開平2-139707(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0095656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベース部と、
前記ベース部の一方の板面に設けられた一対の爪部と、
前記ベース部の他方の板面に設けられ、互いに近接することで前記一対の爪部同士を離間させる一対の摘み部と、を備え、
前記ベース部には、前記一対の摘み部の間で破断可能な弱化部が形成されている、ことを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記弱化部は、前記ベース部を部分的に薄くするノッチである、ことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記弱化部は、前記ベース部の他方の板面に形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のカバー。
【請求項4】
少なくとも前記ベース部が、透明材料から形成されている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項5】
少なくとも前記ベース部が、不透明材料から形成されている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項6】
少なくとも前記ベース部が、導電性材料から形成されている、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項7】
一対の係合孔を有する筐体部と、
前記一対の係合孔の間に配されたインターフェース部品と、
前記一対の係合孔に係合した請求項1~6のいずれか一項に記載のカバーと、を備える、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、プリント基板を本体部と蓋体部からなる樹脂ケースにより挟み込み収納する樹脂ケース嵌合構造が開示されている。蓋体部には、本体部と嵌合するための嵌合孔が下部の開口部縁端付近に複数個設けられている。本体部には、蓋体部の嵌合孔に嵌合する嵌合爪が嵌合孔に対応する位置に嵌合孔と同数設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2837391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記蓋体部は、嵌合孔からケース外側に露出する嵌合爪をケース内側に押し込むことで嵌合を解除し、本体部から容易に取り外すことができる。つまり、蓋体部の着脱は何回でも行える。したがって、例えば、誰かが、蓋体部を取り外し、内部のプリント基板にアクセスしても、蓋体部を取り付ければ、機器の外観は変わらない。したがって、機器の外観から、設定変更等をされたか否かを判断できない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、機器に対し第三者がアクセスしたか否かを外観から判断できるカバー及び電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るカバーは、板状のベース部と、前記ベース部の一方の板面に設けられた一対の爪部と、前記ベース部の他方の板面に設けられ、互いに近接することで前記一対の爪部同士を離間させる一対の摘み部と、を備え、前記ベース部には、前記一対の摘み部の間で破断可能な弱化部が形成されている。
【0007】
また、本発明の一態様に係るカバーは、前記弱化部は、前記ベース部を部分的に薄くするノッチであってもよい。
【0008】
また、本発明の一態様に係るカバーは、前記弱化部は、前記ベース部の他方の板面に形成されていてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係るカバーは、少なくとも前記ベース部が、透明材料から形成されていてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係るカバーは、少なくとも前記ベース部が、不透明材料から形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係るカバーは、少なくとも前記ベース部が、導電性材料から形成されていてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る電子機器は、一対の係合孔を有する筐体部と、前記一対の係合孔の間に配されたインターフェース部品と、前記一対の係合孔に係合した先に記載のカバーと、を備える。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明の一態様によれば、機器に対し第三者がアクセスしたか否かを外観から判断できるカバー及び電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係るカバーを備える電子機器を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る電子機器の分解斜視図である。
図3】一実施形態に係るカバーの平面図である。
図4】一実施形態に係る筐体部からカバーを取り外す様子を示す図である。
図5】一実施形態に係るカバーが破断された様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るカバー及び電子機器について詳細に説明する。以下では、まず本発明の一実施形態の概要について説明し、続いて本発明の一実施形態の詳細について説明する。
【0016】
〔概要〕
従来の電子機器においては、人がアクセスすることができるインターフェース部品(コネクタ等)が設けられた機器の正面パネルに、カバー嵌合用スリットを設け、カバーには、スリット嵌合用爪を設け、この爪をスリットに嵌合させている。
【0017】
このようなカバーは、スリット嵌合用爪側を機器の正面パネルに向けて押し込み、スリット嵌合用爪をカバー嵌合用スリットに嵌合させることで、機器に取り付けることができる。一方、カバーを取り外す際は、例えば、カバーを手前側に引っ張り、スリット嵌合用爪とカバー嵌合用スリットの嵌合を解除することで、機器から取り外すことができる。
【0018】
従来のカバーは、機器から取り外すことができるため、カバーの脱着は、部品に擦過痕を残すことが無く何回でも行えてしまう。その結果、電子機器の設定が変更されても、カバーが装着されると機器の外観は設定変更する前と同じとなるため、外観から機器の設定変更がされたか否か判断できない、という問題がある。
【0019】
本発明の一実施形態は、カバー及び電子機器において、電子機器に取り付けたカバーを取り外す際に、カバーに加わった力によって、カバーが破断し、再度取り付けることを不可能とする。
これによって、機器に対し第三者がアクセスしたか否かを外観から判断できるようにする。
【0020】
〔実施形態〕
図1は、一実施形態に係るカバー10を備える電子機器1を示す斜視図である。図2は、一実施形態に係る電子機器1の分解斜視図である。
図1及び図2に示すように、電子機器1は、インターフェース部品2と、筐体部3と、カバー10と、を備えている。
【0021】
電子機器1は、例えば、プラントに構築されている各種システム(分散制御システム、安全計装システム、計装システム)のコントローラ、プログラマブルコントローラ、フィールド機器、その他の機器であって良い。電子機器1がフィールド機器である場合には、例えば、温度センサ、圧力センサ、流量センサ、pHセンサなどの各種センサのうち、少なくとも1種を備えている。このセンサは、筐体部3に収容されている。
【0022】
インターフェース部品2は、例えば、USB(Universal Serial Bus)などのコネクタである。筐体部3に収容されたセンサは、インターフェース部品2を介して外部機器と接続可能とされている。インターフェース部品2は、図2に示すように、筐体部3の正面パネルに形成された開口部5に配置されている。
【0023】
筐体部3は、インターフェース部品2(開口部5)の左右両側に一対の係合孔4を有している。一対の係合孔4には、カバー10が係合する。
【0024】
カバー10は、インターフェース部品2(開口部5)を覆うベース部20と、一対の係合孔4に係合する一対の爪部30(図2参照)と、一対の爪部30同士を離間させる一対の摘み部40と、を備えている。以下では、カバー10単体の構成について、詳しく説明する。
【0025】
図3は、一実施形態に係るカバー10の平面図である。なお、図3においては、カバー10の各構成部分と、筐体部3に設けられた一対の係合孔4との寸法関係を説明するため、筐体部3の正面パネルの一部断面も図示している。
カバー10は、矩形板状のベース部20を備えている。なお、カバー10は、板状であれば、円形や楕円形などであっても構わない。ベース部20の一方の板面21には、一対の爪部30が設けられている。
【0026】
一対の爪部30は、ベース部20の長手方向において距離D2をあけて設けられている。距離D2は、筐体部3の一対の係合孔4の間の距離D1と同じ、若しくは、距離D1よりも僅かに長い。
【0027】
一対の爪部30の互いに向き合う面には、係合突起31が突設されている。係合突起31には、傾斜面31aが設けられている。傾斜面31aは、爪部30の先端からベース部20に向かって、他方の爪部30に近づくように傾斜している。
【0028】
一対の係合突起31の間の距離D3は、筐体部3の一対の係合孔4の間の距離D1よりも短くなっている。このため、一対の爪部30は、傾斜面31aが係合孔4の周縁部に当接した後、互いに離間するように弾性変形してから一対の係合孔4に係合する。
【0029】
係合孔4の幅W1は、爪部30の幅W2(係合突起31を除く部分)と、係合突起31の幅W3(係合突起31の突出量)との和よりも大きい。また、幅W1、幅W2、幅W3は、以下の関係を有する。
W1-(W2+W3)>W3
つまり、係合孔4において、爪部30は、係合に必要な最小限の係合突起31の幅W3より大きな変位が可能とされている。
【0030】
ベース部20の他方の板面22には、一対の摘み部40が設けられている。一対の摘み部40は、互いに近接することで、ベース部20を曲げ、一対の爪部30同士を離間させる。
【0031】
ベース部20には、一対の摘み部40の間で破断可能な弱化部23が形成されている。本実施形態の弱化部23は、ベース部20の他方の板面22に形成され、ベース部20を部分的に薄くするノッチ(切り欠き)である。ノッチは、図3に示す平面視でV字状であり、ベース部20の幅方向に亘って形成されている。
【0032】
続いて、筐体部3に対し、上記カバー10を取り付ける方法と、筐体部3から上記カバー10を取り外す際にカバー10が破断する仕組みについて説明する。
【0033】
筐体部3にカバー10を取り付ける場合、先ず図3に示すように、一対の爪部30側を筐体部3に向け、筐体部3の一対の係合孔4に位置合わせする。その状態でカバー10を筐体部3側に押し込むと、係合孔4の周縁部に当接した傾斜面31aのガイドによって一対の爪部30が互いに離間し、必要最小限の弾性変形によって一対の爪部30が一対の係合孔4に係合する。
【0034】
図4は、一実施形態に係る筐体部3からカバー10を取り外す様子を示す図である。図5は、一実施形態に係るカバー10が破断された様子を示す図である。
筐体部3からカバー10を取り外す場合、図4に示すように、一対の摘み部40を互いに近接させることで、一対の爪部30を互いに離間させる。
【0035】
このように、一対の摘み部40に対して互いに近接させる力を加えると、一対の摘み部40の間に形成された弱化部23に応力が集中し、図5に示すように、ベース部20が割れ、カバー10が第1割れ片10Aと第2割れ片10Bとに破断する。その結果、カバー10を筐体部3に再度取り付けることが不可能になる。
【0036】
なお、係合孔4において、爪部30は、係合解除に必要以上の大きな変位が可能とされているため、ベース部20には、爪部30の係合解除に必要最小限な曲げ以上の曲げが入りやすくなっている。なお、ベース部20は、爪部30の係合解除に必要最小限な曲げでも破断するようになっている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るカバー10は、板状のベース部20と、ベース部20の一方の板面21に設けられた一対の爪部30と、ベース部20の他方の板面22に設けられ、互いに近接することで一対の爪部30同士を離間させる一対の摘み部40と、を備え、ベース部20には、一対の摘み部40の間で破断可能な弱化部23が形成されている。この構成によれば、電子機器1に取り付けたカバー10を取り外す際に、カバー10に加わった力によって、カバー10が破断し、再度取り付けることを不可能とすることができる。このため、電子機器1に対し第三者がアクセスしたか否かを外観から判断できるようになる。
【0038】
また、本実施形態に係るカバー10は、弱化部23は、ベース部20を部分的に薄くするノッチである。この構成によれば、弱化部23を起点として、ベース部20を容易に破断できるようになる。
【0039】
また、本実施形態に係るカバー10は、弱化部23は、ベース部20の他方の板面22に形成されている。この構成によれば、第三者から見える側に弱化部23があるため、第三者に対し、電子機器1に取り付けたカバー10を取り外す際に、カバー10が破断する虞があり、アクセスの痕跡が残ることについて、無言の警告を行うことができる。なお、カバー10の材料の色を指定することで、カバー10に注意喚起等の意味を持たせてもよい。
【0040】
また、本実施形態に係るカバー10は、少なくともベース部20が、透明材料から形成されていてもよい。この場合には、カバー10の装着時に中のインターフェース部品2に影響を与えたか否かが確認できる。
【0041】
また、本実施形態に係るカバー10は、少なくともベース部20が、不透明材料から形成されていてもよい。この場合には、カバー10の装着時に中のインターフェース部品2の種類を外観から認識できないように隠すことができ、コネクタの形状から、機能の予測をさせないようにすることができる。
【0042】
また、本実施形態に係るカバー10は、少なくともベース部20が、導電性材料から形成されていてもよい。この場合には、カバー10の装着時に中のインターフェース部品2に対して、電気的なシールドの効果を持たせることができる。なお、導電性材料としては、金属フィラーを含有する導電性プラスチックなどを例示できる。
【0043】
また、本実施形態に係る電子機器1は、一対の係合孔4を有する筐体部3と、一対の係合孔4の間に配されたインターフェース部品2と、一対の係合孔4に係合した先に記載のカバー10と、を備える。この構成によれば、第三者がアクセスしたか否かを外観から判断できる電子機器1が得られる。
【0044】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、弱化部23(ノッチ)は、ベース部20の他方の板面22に形成されていると説明したが、一方の板面21に形成されていてもよい。また、弱化部23(ノッチ)は、ベース部20の一方の板面21と他方の板面22の両方に形成されていてもよい。
【0046】
また、例えば、上記実施形態では、弱化部23としてノッチを例示したが、ベース部20に形成されたスリットでもよく、また、スリットが断続的に延びたミシン目などであってもよい。また、見た目上はわからないが、ベース部20において密度が低い部分があり、その部分が弱化部23となっていても構わない。
【符号の説明】
【0047】
1 電子機器
2 インターフェース部品
3 筐体部
4 係合孔
5 開口部
10 カバー
10A 第1割れ片
10B 第2割れ片
20 ベース部
21 一方の板面
22 他方の板面
23 弱化部
30 爪部
31 係合突起
31a 傾斜面
40 摘み部
D1 距離
D2 距離
D3 距離
W1 幅
W2 幅
W3 幅
図1
図2
図3
図4
図5