(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】食品トレー
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20240702BHJP
B65D 1/36 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D1/36
(21)【出願番号】P 2021052877
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】奥野 智之
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-006474(JP,A)
【文献】特開2020-128247(JP,A)
【文献】特表2002-506777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0011758(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 1/34-1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部の周縁から立設された立壁部に設けられ、前記周縁において前記底面部のうち前記周縁に囲繞される主領域において一方向に沿って延在する第一折曲領域を挟んで対向する
前記周縁上の二つの第一基点のそれぞれまで前記立壁部において前記周縁とは離間した上縁部から窪む一対の第一凹部と、
前記立壁部において前記第一凹部とは異なる箇所に設けられ、前記主領域において前記一方向とは異なる他方向に沿って延在する第二折曲領域を挟んで対向する
前記周縁上の二つの第二基点のそれぞれまで前記立壁部において前記上縁部から窪む一対の第二凹部と、を備えた
ことを特徴とする食品トレー。
【請求項2】
前記第一折曲領域と前記第二折曲領域とは、前記主領域で互いに交差する
ことを特徴とする請求項1に記載の食品トレー。
【請求項3】
前記第一折曲領域において、前記一方向に沿って延在しつつ前記立壁部が立設する方向である立設方向に向かって突出するように屈曲形成された第一リブ部と、
前記第二折曲領域において、前記他方向に沿って延在しつつ前記立設方向に向かって突出するように屈曲形成された第二リブ部と、を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の食品トレー。
【請求項4】
前記第一リブ部と前記第二リブ部とは、いずれも前記立設方向に同じ高さまで突出するとともに、前記第一折曲領域と前記第二折曲領域とが互いに交差する交差領域にも設けられている
ことを特徴とする請求項2に従属する請求項3に記載の食品トレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
食品トレーには、成形された形状のまま使用されるトレーのほか、折り曲げられて使用されるトレーも知られている。
たとえば、折曲線を介して一方の半部と他方の半部とが連設された食品トレーが提案されている。この食品トレーは、一方の半部に対して他方の半部が折曲線で折り曲げることができる。このように半部の揺動可能な食品トレーによれば、トレーに載せられた状態の食品を食べやすくしたり食品をトレーから取り出しやすくしたりすることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように二分された半部どうしの間に設けられた折曲線で揺動する食品トレーでは、揺動する方向が二分された半部どうしの間に延在する折曲線を揺動軸にした方向に制限される。そのため、トレーに載せられた食品を食べ始める箇所や取り出される食品の把持可能な箇所も制限される。よって、食品トレーの利便性を高めるうえで改善の余地がある。
【0005】
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、食品トレーの利便性を高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示する食品トレーは、底面部の周縁から立設された立壁部に設けられ、前記周縁において前記底面部のうち前記周縁に囲繞される主領域において一方向に沿って延在する第一折曲領域を挟んで対向する二つの第一基点のそれぞれまで前記立壁部において前記周縁とは離間した上縁部から窪む一対の第一凹部と、前記立壁部において前記第一凹部とは異なる箇所に設けられ、前記主領域において前記一方向とは異なる他方向に沿って延在する第二折曲領域を挟んで対向する二つの第二基点のそれぞれまで前記立壁部において前記上縁部から窪む一対の第二凹部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の食品トレーによれば、食品トレーの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の食品トレーを左斜め上側から見た模式図である。
【
図2】
図1の食品トレーを上側から見た模式図である。
【
図4】
図1の食品トレーの前側部分を折り曲げた状態を示す模式図である。
【
図5】実施形態の変形例に係る食品トレーを上側から見た模式図である。
【
図6】実施形態の他の変形例に係る食品トレーを左斜め上側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態としての食品トレーについて説明する。この実施形態はあくまでも例示にすぎず、下記の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0010】
以下に述べる一実施形態では、項目[1]で構成を説明し、その後の項目[2]で項目[1]の構成による作用および効果を説明し、項目[3]で項目[1],[2]の変形例を述べる。
【0011】
[1.構成]
図1に示すように、本実施形態の食品トレー1は、食品が載置される底面部10と、
図1に二点鎖線で示す底面部10の周縁11から立設された立壁部20とを有する。以下の説明では、立設壁20が立設される方向を立設方向とよび、周縁11から立設壁20が立設される側を上側とよび、その反対側を下側とよぶ。食品トレー1に載置される食品は、底面部10の上側に載せられる。
【0012】
この食品トレー1は、底面部10の周縁11に囲繞される主領域Rのうちの一部が折り曲げられて使用されるトレーである。底面部10の一部が折り曲げられて使用されることで、食品トレー1に載せられた状態の食品を食べやすくしたり食品を食品トレー1から取り出しやすくしたりすることができる。
【0013】
なお、本実施形態では、樹脂シートを熱成型することで底面部10と立壁部20とが一体に成形された食品トレー1を例示するが、底面部10と立壁部20とが別々の部材であってもよい。また、食品トレー1の材質は樹脂シートに限らず、紙などが用いられてもよい。樹脂シートに用いられる材質としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)などの熱可塑性樹脂シートが挙げられる。
【0014】
底面部10は、周縁11に囲繞された載置面を有する部分である。ここでは、二つの長辺11aと二つの短辺11bとを有する略長方形の周縁11を例示する。以下、長辺11aの延在方向のうち一側を前側とよび、他側を後側とよぶ。また、前側を基準として、短辺11bの延在方向の一側を右側とよび、他側を左側とよぶ。
【0015】
底面部10には、底面部10の一部を揺動させて折り曲げる際の軸として機能する線状の領域が規定されている。具体的には、主領域Rにおいて一方向に沿って延在する第一折曲領域RB1(
図1において短い破線で囲まれた領域)と、主領域Rにおいて第一折曲領域RB1が延在する方向とは異なる他方向に沿って延在する第二折曲領域RB2(
図1において長い破線で囲まれた領域)とが規定されている。ここで、「第一折曲領域RB1が延在する方向とは異なる他方向」とは、第一折曲領域RB1が延在する方向と平行ではない方向を意味する。
【0016】
図1では、一方向として左右方向を例示するとともに他方向として前後方向を例示する。また、主領域Rにおける前後方向の中央位置に設けられた第一折曲領域RB1と、左右方向の中央位置に設けられた第二折曲領域RB2とを例示する。この例では、第一折曲領域RB1と第二折曲領域RB2とは、主領域Rの略中央で互いに交差する。以下、第一折曲領域RB1と第二折曲領域RB2とが互いに交差する領域を交差領域とよぶ。
【0017】
周縁11には、第一折曲領域RB1を挟んで対向する二つの第一基点11paと、第二折曲領域RB2を挟んで対向する二つの第二基点11pbとが規定されている。ここでは、上述の第一折曲領域RB1の配置に対応して、第一基点11paが、二つの長辺11aそれぞれの中央に位置する。また、上述の第二折曲領域RB2の配置に対応して、第二基点11pbは、二つの短辺11bそれぞれの中央に位置する。
【0018】
係る構成により、底面部10は、第一折曲領域RB1および第二折曲領域RB2により、
図2に示すように、以下に列挙する四つの領域R1,R2,R3,R4に区画される。
<第一領域R1>
第一折曲領域RB1よりも前側かつ第二折曲領域RB2よりも右側の領域
<第二領域R2>
第一折曲領域RB1よりも後側かつ第二折曲領域RB2よりも右側の領域
<第三領域R3>
第一折曲領域RB1よりも前側かつ第二折曲領域RB2よりも左側の領域
<第四領域R4>
第一折曲領域RB1よりも後側かつ第二折曲領域RB2よりも左側の領域
【0019】
図1および
図3に示すように、第一折曲領域RB1には、左右方向に沿って延在しつつ上側に向かって突出するように底面部10が屈曲形成された第一リブ部12が設けられる。同様に、第二折曲領域RB2にも、前後方向に沿って延在しつつ上側に向かって突出するように屈曲形成された第二リブ部13が設けられる。
【0020】
本実施形態において、第一リブ部12は、第一折曲領域RB1の左右方向全域に設けられ、第二リブ部13は、第二折曲領域RB2の前後方向全域に設けられる。また、第一リブ部12と第二リブ部13とは、いずれも立設方向の同じ高さまで突出し、交差領域において突出高さが一様な十字状の凸部を形成する。
【0021】
立壁部20は、後述する二つの第一凹部24と二つの第二凹部25とが設けられる箇所を除く底面部10の周縁11から上側に延出する内壁部21と、周縁11とは離隔した位置において内壁部21に接続する上縁部22とを有する。ここで、立設方向に垂直な面において底面部10へ向かう側を内側とし、反対側を外側とする。上縁部22は、内壁部21の上縁に接続して、外側に向かって底面部10の延在する面と平行に延出する。
【0022】
本実施形態の立壁部20は、上縁部22の外側の端縁から下側に延出する外壁部23をさらに有する。外壁部23は、立設方向で底面部10が設けられる位置と同位置まで延出する。言い換えれば、外壁部23の下側の端縁は、底面部10の延在する面と同一の平面上に位置する。
【0023】
内壁部21,上縁部22および外壁部23により、本実施形態の立壁部20は、
図3に示すように、下側から上側に向かって突条をなす。このような、食品トレー1は、立壁部20が上側に向かって突条をなしていることから雄型、あるいは、上縁部22の端縁から下側に向かって袴のような外壁部23が設けられることから袴型ともよばれる。このような雄型あるいは袴型の食品トレーは、食品トレーの形状が熱成型されたあと、切断される部分が同一平面上に位置するため、その後の切断工程を容易にすることができる。
【0024】
図1に示すように、立壁部20には、上縁部22から二つの第一基点11paのそれぞれまで窪む一対の第一凹部24と、上縁部22から第一凹部24とは異なる箇所に設けられて二つの第二基点11pbのそれぞれまで窪む一対の第二凹部25とが設けられる。第一凹部24および第二凹部25のそれぞれは、第一折曲領域RB1または第二折線領域RB2を介した底面部10の一部の折り曲げを容易にするために設けられる。
ここでは、上述の第一基点11paおよび第二基点11pbが規定される位置に対応して、底面部10の左側および右側のそれぞれに設けられた一対の第一凹部24と、底面部10の前側および後側のそれぞれに設けられた一対の第二凹部25とを例示する。
【0025】
第一凹部24のうち最も下側に窪む最下部24aは、内壁部21を介することなく底面部10に接続する。このように最下部24aが直接底面部10に接続することで、第一折曲領域RB1を介した底面部10の一部の揺動が内壁部21により阻害されにくくなる。
逆に言えば、第一折曲領域RB1は、一対の第一凹部24により、底面部10の一部を揺動させて折り曲げる際の軸として機能する領域となっているとも言える。すなわち、第一折曲領域RB1は、第一凹部24の最下部24aに隣接する周縁11上の二つの第一基点11paに挟まれる領域として規定されているとも言える。
さらに、
図1に示すように、第一凹部24の最下部24aには、上側に向かって突出するように屈曲形成されたリブ部が設けられている。最下部24aのこのリブ部は、上述の第一リブ部12に接続するとともに第一リブ部12と同じ高さまで突出する。すなわち、最下部24aのリブ部は、第一リブ部12を外側に延出させるように設けられる。これにより、第一折曲領域RB1を介して底面部10の一部が下側に折れ曲がる際に、第一リブ部12とともに最下部24aのリブ部が変形するため、第一折曲領域RB1を介した底面部10の一部の折り曲げをより容易にすることができる。
【0026】
同様に、第二凹部25の最も下側に窪む最下部25aも、内壁部21を介することなく底面部10に接続する。このように最下部25aが直接底面部10に接続することで、第二折曲領域RB2を介した底面部10の一部の揺動が内壁部21により阻害されにくくなる。
逆に言えば、第二折曲領域RB2は、一対の第二凹部25により、底面部10の一部を揺動させて折り曲げる際の軸として機能する領域となっているとも言える。すなわち、第二折曲領域RB2は、第二凹部25の最下部25aに隣接する周縁11上の二つの第二基点11pbに挟まれる領域として規定されているとも言える。
さらに、第二凹部25の最下部25aには、上側に向かって突出するように屈曲形成されたリブ部が設けられている。最下部25aのこのリブ部は、上述の第二リブ部13に接続するとともに第二リブ部13と同じ高さまで突出する。すなわち、最下部25aのリブ部は、第二リブ部13を外側に延出させるように設けられる。これにより、第二折曲領域RB2を介して底面部10の一部が下側に折れ曲がる際に、第二リブ部12とともに最下部25aのリブ部が変形するため、第二折曲領域RB2を介した底面部10の一部の折り曲げをより容易にすることができる。
【0027】
[2.作用および効果]
本実施形態の食品トレー1は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
【0028】
第一折曲領域RB1を介した折り曲げにより、食品トレー1は、第一折曲領域RB1よりも前側の領域R1,R3(
図2参照)が揺動される方向と、第一折曲領域RB1よりも後側の領域R2,R4(
図2参照)が揺動される方向との二方向(第一の二方向)に折り曲げることができる。
図4には、第一折曲領域RB1よりも前側の領域R1,R3が下側に揺動される方向へ折り曲げられた例を示す。
また、第二折曲領域RB2を介した折り曲げにより、食品トレー1は、第二折曲領域RB2よりも右側の領域R1,R2(
図2参照)が揺動される方向と、第二折曲領域RB2よりも左側の領域R3,R4(
図2参照)が揺動される方向との二方向(第二の二方向)に折り曲げることができる。
【0029】
このように、本実施形態の食品トレー1では、第一の二方向の折り曲げを実現する一対の第一凹部24と第二の二方向の折り曲げを実現する一対の第二凹部25とが設けられることで、四方向への折り曲げを実現することができる。このため、食品トレー1に載せられた食品を食べ始める箇所や取り出される食品の把持可能な箇所を自由に選択することができる。したがって、食品トレー1の利便性を高めることができる。
【0030】
左右方向に沿ってかつ立設方向に向かって突出するように屈曲形成された第一リブ部12により、底面部10の下側の面には、左右方向に沿って下側から上側に向かって凹む部分が第一折曲領域RB1に形成される。このため、第一折曲領域RB1を介して底面部10の一部を下側に折り曲げる際に、底面部10を潰すことなく折り曲げることができる。
同様に、第二リブ部13により、底面部10の下側の面には、前後方向に沿って下側から上側に向かって凹む部分が第二折曲領域RB2に形成される。このため、第二折曲領域RB2を介して底面部10の一部を下側に折り曲げる際に、底面部10を潰すことなく折り曲げることができる。
さらに、第一リブ部12および第二リブ部13が屈曲形成されていることで底面部10の一部の折り曲がりに追従して変形できる変形代が確保されることから、第一折曲領域RB1または第二折曲領域RB2を介した折り曲げをより容易にすることができる。したがって、使用時により折り曲げやすい食品トレー1を提供することができる。
【0031】
第一リブ部12と第二リブ部13とは、いずれも立設方向に同じ高さまで突出するとともに、第一折曲領域RB1と第二折曲領域RB2とが互いに交差する交差領域にも設けられている。このように、交差領域に突出高さが一様な十字状のリブ部が形成されることで、第一折曲領域RB1および第二折曲領域RB2のいずれかを介した折り曲げが交差領域で抑制されることなく、使用時により折り曲げやすい食品トレー1を提供することができる。
【0032】
[3.変形例]
上述の食品トレー1は一例である。上述の食品トレー1では、左右方向に沿って延在する第一折曲領域RB1を挟んで対向する二つの第一基点11paまで窪む一対の第一凹部24と、前後方向に沿って延在する第二折曲領域RB2を挟んで対向する二つの第二基点11pbまで窪む一対の第二凹部25とを例示したが、一対の第一凹部および一対の第二凹部が設けられる位置はこれに限らない。
例えば、略長方形の周縁11の対角に位置する二つの点を第一基点、当該対角とは異なる対角に位置する二つの点を第二基点として、二つの第一基点まで窪む一対の第一凹部と二つの第二基点まで窪む一対の第二凹部とが設けられていてもよい。すなわち、上述の食品トレー1のような略矩形の食品トレーの角部に一対の第一凹部および一対の第二凹部が設けられていてもよい。
【0033】
また、上述の食品トレー1では、主領域Rに第一折曲領域RB1と第二折曲領域RB2とが一つずつ設けられ、これに対応して合計四つの凹部24,25が立壁部20に設けられている例を示したが、第一折曲領域および第二折曲領域のそれぞれが複数設けられていてもよい。
図5に示すように、食品トレー1′には、主領域R′の左右方向に沿って延在する二つの第一折曲領域RB1′と、前後方向に沿って延在する二つの第二折曲領域RB2′とが規定されていてもよい。この場合、第一折曲領域RB1′を挟んで対向する二つの第一基点11pa′の対が二対設けられ、第二折曲領域RB2′を挟んで対向する二つの第二基点11pb′の対が二対設けられる。立壁部20′には、四つの第一凹部24′と四つの第二凹部25′との合計八つの凹部24′,25′が設けられる。この変形例では、底面部10′が九つの領域に区画されるため、食品トレー1′の利便性をより高めることができる。
また、食品トレーは、第一折曲領域および第二折曲領域のそれぞれの延在方向とも異なる延在方向に沿って延在する他の折曲領域を挟んで対向する二つの基点まで窪む一対の別の凹部をさらに備えていてもよい。例えば、食品トレーには、三つ以上の折曲領域が底面部の中央から放射状に延在するように規定されていてもよい。
【0034】
上述の食品トレー1では、主領域Rにおいて第一折曲領域RB1と第二折曲領域RB2とが交差する場合を例示したが、第一折曲領域および第二折曲領域は互いに異なる方向に延在していればよく、主領域で互いに交差していなくてもよい。この場合でも、底面部10が少なくとも三つの領域に区画されるため、上述の効果を得ることができる。
立壁部の上縁部は、上述の底面部10の延在する面と平行に延設される構成に限らず、少なくとも周縁から離間した位置にあればよい。
【0035】
上述の食品トレー1では、外面部23を有する雄型の食品トレーを例示したが、外面部23は省略されてもよい。すなわち、
図6に示すような、立壁部20″が内壁部21″および内壁部21″の上縁から外側に延出する上縁部22″のみを有する食品トレー1″であってもよい。このような食品トレー1″は、食品トレーの形状が熱成型されたあと、切断される部分が同一平面上にないため、樹脂シートから立体的に切り出される。このような、切り出し方法は、立体切りともよばれる。立体切りにより成形される食品トレー1″は、雄型の食品トレーと比べて、樹脂シートにおいて順次成型される食品トレー同士の間隔を狭くとることができるため、生産性の向上を図ることができる。
【0036】
なお、底面部に一つの折曲領域(折線)しか設けられていない従来の食品トレーが、上述の立体切りにより成形されてもよい。立体切りにより成形される食品トレーは、上述の効果に加えて、雄型の食品トレーでは実現できない形状に成形されうることから、食品トレーのデザイン性の向上にも寄与することができる。
【符号の説明】
【0037】
1,1′,1″ 食品トレー
10,10′ 底面部
11 周縁
11a 長辺
11b 短辺
11pa,11pa′ 第一基点
11pb,11pb′ 第二基点
12 第一リブ部
13 第二リブ部
20,20′,20″ 立壁部
21,21″ 内壁部
22,22″ 上縁部
23 外壁部
24,24′ 第一凹部
24a 最下部
25,25′ 第二凹部
25a 最下部
R,R′ 主領域
R1 第一領域
R2 第二領域
R3 第三領域
R4 第四領域
RB1,RB1′ 第一折曲領域
RB2,RB2′ 第二折曲領域