(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ステータとその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20240702BHJP
H02K 15/085 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K15/085
(21)【出願番号】P 2021093205
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 航平
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅志
(72)【発明者】
【氏名】稲野 宏
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-048277(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146499(WO,A1)
【文献】特開2016-187245(JP,A)
【文献】特開2018-164374(JP,A)
【文献】特開2021-083153(JP,A)
【文献】特開2015-023771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040859(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02325980(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015225585(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102020205448(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
H02K 15/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータであって、
円筒形状を有するステータコアと、
前記ステータコアに固定されたコイルと、
を有し、
前記ステータコアが、前記ステータコアの軸方向の両側に配置された第1端面及び第2端面を有し、
前記ステータコアが、第1部分と、前記第1部分よりも前記第2端面に近い位置に配置された第2部分と、前記軸方向において前記第1部分と前記第2部分の間に挟まれている第1中間部分、を有し、
前記ステータコアの内周面に、前記軸方向に沿って前記第1部分と前記第1中間部分と前記第2部分に跨って伸びるスロットが設けられており、
前記スロットが、第1側面と、前記ステータコアの周方向において前記第1側面に対向する第2側面を有し、
前記コイルが、第1セグメント導体と第2セグメント導体とを有し、
前記第1セグメント導体が、前記第1端面から前記スロット内に挿入されており、
前記第1セグメント導体が、前記第1部分の範囲内から前記第1中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びており、
前記第1セグメント導体の先端が、前記スロット内に位置しており、
前記第2セグメント導体が、前記第2端面から前記スロット内に挿入されており、
前記第2セグメント導体が、前記第2部分の範囲内から前記第1中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びており、
前記第2セグメント導体の先端が、前記スロット内に位置しており、
前記第1中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が前記ステータコアの周方向に重なっており、
前記第1側面に前記第1中間部分が前記第1部分及び前記第2部分に対して突出する第1凸部が設けられており、
前記第1凸部と前記第2側面によって挟まれることによって前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が互いに接続されている、
ステータ。
【請求項2】
前記第2側面に前記第1中間部分が前記第1部分及び前記第2部分に対して凹んでいる凹部が設けられている、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記第1セグメント導体が、第1厚板部と、前記第1厚板部よりも薄い第1薄板部を有し、
前記第1薄板部が、前記第1セグメント導体の側面のうちの前記第1セグメント導体の前記先端を含む範囲に設けられた窪み部分によって形成されており、
前記第2セグメント導体が、第2厚板部と、前記第2厚板部よりも薄い第2薄板部を有し、
前記第2薄板部が、前記第2セグメント導体の側面のうちの前記第2セグメント導体の前記先端を含む範囲に設けられた窪み部分によって形成されており、
前記第1中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第1セグメント導体の前記窪み部分と前記第2セグメント導体の前記窪み部分とが対向した状態で前記第1薄板部と前記第2薄板部が前記ステータコアの周方向に重なっている、
請求項1または2に記載のステータ。
【請求項4】
前記第1凸部が、前記第1厚板部及び前記第2厚板部に接していない、請求項3に記載のステータ。
【請求項5】
前記第1凸部が、前記第1薄板部と前記第2薄板部の一方に接しており、
前記第1部分の範囲内の前記第2側面と前記第2部分の範囲内の前記第2側面の両方が、前記第1薄板部と前記第2薄板部の他方に接している、
請求項3または4に記載のステータ。
【請求項6】
前記ステータコアが、前記第2部分よりも前記第2端面に近い位置に配置された第3部分と、前記軸方向において前記第2部分と前記第3部分の間に挟まれている第2中間部分、を有し、
前記スロットが、前記軸方向に沿って前記第1部分、前記第1中間部分、前記第2部分、前記第2中間部分、及び、前記第3部分に跨って伸びており、
前記コイルが、第3セグメント導体と第4セグメント導体とを有し、
前記第3セグメント導体が、前記第1セグメント導体に対して前記ステータコアの径方向にずれた位置で前記第1端面から前記スロット内に挿入されており、
前記第3セグメント導体が、前記第2部分の範囲内から前記第2中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びており、
前記第3セグメント導体の先端が、前記スロット内に位置しており、
前記第4セグメント導体が、前記第2セグメント導体に対して前記ステータコアの前記径方向にずれた位置で前記第2端面から前記スロット内に挿入されており、
前記第4セグメント導体が、前記第3部分の範囲内から前記第2中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びており、
前記第4セグメント導体の先端が、前記スロット内に位置しており、
前記第2中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第3セグメント導体と前記第4セグメント導体が前記ステータコアの周方向に重なっており、
前記第1側面に前記第2中間部分が前記第2部分及び前記第3部分に対して突出する第2凸部が設けられており、
前記第2凸部と前記第2側面によって挟まれることによって、前記第3セグメント導体と前記第4セグメント導体が互いに接続されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載のステータ。
【請求項7】
ステータの製造方法であって、
円筒形状を有するステータコアにコイルを固定する工程を有し、
前記ステータコアが、前記ステータコアの軸方向の両側に配置された第1端面及び第2端面を有し、
前記ステータコアが、第1部分と、前記第1部分よりも前記第2端面に近い位置に配置された第2部分と、前記軸方向において前記第1部分と前記第2部分の間に挟まれている第1中間部分、を有し、
前記ステータコアの内周面に、前記軸方向に沿って前記第1部分と前記第1中間部分と前記第2部分に跨って伸びるスロットが設けられており、
前記スロットが、第1側面と、前記ステータコアの周方向において前記第1側面に対向する第2側面を有し、
前記コイルが、第1セグメント導体と第2セグメント導体とを有し、
前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、
前記第1セグメント導体を前記第1端面から前記スロット内に挿入する工程と、
前記第2セグメント導体を前記第2端面から前記スロット内に挿入する工程と、
前記第1中間部分を前記第1部分及び前記第2部分に対して回転させる工程と、
を有し、
前記第1セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第1セグメント導体が前記第1部分の範囲内から前記第1中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸び、前記第1セグメント導体の先端が前記スロット内に位置するように実施され、
前記第2セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第2セグメント導体が前記第2部分の範囲内から前記第1中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びており、前記第2セグメント導体の先端が前記スロット内に位置するように実施され、
前記第1セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程及び前記第2セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第1中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が前記ステータコアの周方向に重なるように実施され、
前記第1中間部分を回転させる前記工程では、前記第1側面において前記第1中間部分が前記第1部分及び前記第2部分に対して突出することによって第1凸部が形成され、前記第1凸部と前記第2側面に挟まれることによって前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が互いに接続される、
製造方法。
【請求項8】
前記第1中間部分を回転させる前記工程では、前記第2側面において前記第1中間部分が前記第1部分及び前記第2部分に対して凹んでいる凹部が形成される、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1セグメント導体が、第1厚板部と、前記第1厚板部よりも薄い第1薄板部を有し、
前記第1薄板部が、前記第1セグメント導体の側面のうちの前記第1セグメント導体の前記先端を含む範囲に設けられた窪み部分によって形成されており、
前記第2セグメント導体が、第2厚板部と、前記第2厚板部よりも薄い第2薄板部を有し、
前記第2薄板部が、前記第2セグメント導体の側面のうちの前記第2セグメント導体の前記先端を含む範囲に設けられた窪み部分によって形成されており、
前記第1セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程及び前記第2セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第1中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第1セグメント導体の前記窪み部分と前記第2セグメント導体の前記窪み部分とが対向した状態で前記第1薄板部と前記第2薄板部が前記ステータコアの周方向に重なるように実施される、
請求項7または8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1中間部分を回転させる前記工程が、前記第1凸部が前記第1厚板部及び前記第2厚板部に接しないように実施される、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第1中間部分を回転させる前記工程が、前記第1凸部が前記第1薄板部と前記第2薄板部の一方に接し、前記第1部分の範囲内の前記第2側面と前記第2部分の範囲内の前記第2側面の両方が前記第1薄板部と前記第2薄板部の他方に接するように実施される、請求項9または10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ステータコアが、前記第2部分よりも前記第2端面に近い位置に配置された第3部分と、前記軸方向において前記第2部分と前記第3部分の間に挟まれている第2中間部分、を有し、
前記スロットが、前記軸方向に沿って前記第1部分、前記第1中間部分、前記第2部分、前記第2中間部分、及び、前記第3部分に跨って伸びており、
前記コイルが、第3セグメント導体と第4セグメント導体とを有し、
前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、
前記第3セグメント導体を、前記第1セグメント導体に対して前記ステータコアの径方向にずれた位置で前記第1端面から前記スロット内に挿入する工程と、
前記第4セグメント導体を、前記第2セグメント導体に対して前記ステータコアの前記径方向にずれた位置で前記第2端面から前記スロット内に挿入する工程と、
前記第2中間部分を前記第2部分及び前記第3部分に対して回転させる工程と、
を有し、
前記第3セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第3セグメント導体が前記第2部分の範囲内から前記第2中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸び、前記第3セグメント導体の先端が前記スロット内に位置するように実施され、
前記第4セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第4セグメント導体が前記第3部分の範囲内から前記第2中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸び、前記第4セグメント導体の先端が前記スロット内に位置するように実施され、
前記第3セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程及び前記第4セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第2中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第3セグメント導体と前記第4セグメント導体が前記ステータコアの周方向に重なるように実施され、
前記第2中間部分を回転させる前記工程では、前記第1側面において前記第2中間部分が前記第2部分及び前記第3部分に対して突出することによって第2凸部が形成され、前記第2凸部と前記第2側面によって挟まれることによって前記第3セグメント導体と前記第4セグメント導体が互いに接続される、
請求項7~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、ステータとその製造方法に関する。
【0002】
特許文献1には、モータのステータが開示されている。ステータは、円筒形状のステータコアを有する。ステータコアの内周面に、複数のスロットが周方向に間隔を開けて設けられている。ステータコアには、コイルが固定されている。コイルは、U字形状を有する複数のセグメント導体によって構成されている。セグメント導体の一部は、ステータの一方の端部(以下、第1端部という)から対応するスロットに挿入されている。残りのセグメント導体は、ステータの他方の端部(以下、第2端部という)から対応するスロットに挿入されている。各スロット内において、第1端部からスロットに挿入されているセグメント導体の先端部と、第2端部からスロットに挿入されているセグメント導体の先端部とが、ステータコアの径方向に重なった状態で電気的に接続されている。このように、互いに電気的に接続されたセグメント導体によって、コイルが構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1のステータでは、各スロット内において、セグメント導体の先端部どうしがステータコアの径方向に重なった状態で接続されている。したがって、ステータの製造工程において、各スロット内においてセグメント導体の先端部をステータコアの径方向に積層し、その積層部をステータコアの径方向に加圧することで、セグメント導体の先端部どうしを接続する必要がある。このため、セグメント導体の先端部の積層部を加圧するための治具や部材が必要であった。本明細書では、各スロット内においてセグメント導体どうしを容易に接続することが可能なステータを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するステータは、円筒形状を有するステータコアと、前記ステータコアに固定されたコイルと、を有する。前記ステータコアが、前記ステータコアの軸方向の両側に配置された第1端面及び第2端面を有する。前記ステータコアが、第1部分と、前記第1部分よりも前記第2端面に近い位置に配置された第2部分と、前記軸方向において前記第1部分と前記第2部分の間に挟まれている第1中間部分、を有する。前記ステータコアの内周面に、前記軸方向に沿って前記第1部分と前記第1中間部分と前記第2部分に跨って伸びるスロットが設けられている。前記スロットが、第1側面と、前記ステータコアの周方向において前記第1側面に対向する第2側面を有する。前記コイルが、第1セグメント導体と第2セグメント導体とを有する。前記第1セグメント導体が、前記第1端面から前記スロット内に挿入されている。前記第1セグメント導体が、前記第1部分の範囲内から前記第1中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びている。前記第1セグメント導体の先端が、前記スロット内に位置している。前記第2セグメント導体が、前記第2端面から前記スロット内に挿入されている。前記第2セグメント導体が、前記第2部分の範囲内から前記第1中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びている。前記第2セグメント導体の先端が、前記スロット内に位置している。前記第1中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が前記ステータコアの周方向に重なっている。前記第1側面に前記第1中間部分が前記第1部分及び前記第2部分に対して突出する第1凸部が設けられている。前記第1凸部と前記第2側面によって挟まれることによって前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が互いに接続されている。
【0006】
このステータの製造工程では、第1セグメント導体を第1端面からスロット内に挿入するとともに第2セグメント導体を第2端面からスロット内に挿入した後に、第1中間部分を第1部分及び第2部分に対して回転させることができる。第1中間部分を第1部分及び第2部分に対して回転させると、第1側面において第1中間部分が第1部分及び第2部分から突出する。突出した第1中間部分によって第1凸部が形成される。第1側面に第1凸部が形成されると、第1セグメント導体と第2セグメント導体が第1凸部と第2側面によって挟まれる。第1中間部分の範囲内のスロット内では、第1セグメント導体と第2セグメント導体がステータコアの周方向に重なっている。したがって、第1凸部が形成されると、第1セグメント導体と第2セグメント導体がこれらの積層方向(すなわち、ステータコアの周方向)に加圧される。これによって、第1セグメント導体と第2セグメント導体とが接続される。このように、このステータでは、ステータコアの一部である第1中間部分を回転させることで、第1セグメント導体と第2セグメント導体を容易に接続することができる。
【0007】
また、本明細書は、ステータの製造方法を開示する。本明細書が開示するステータの製造方法は、円筒形状を有するステータコアにコイルを固定する工程を有する。前記ステータコアが、前記ステータコアの軸方向の両側に配置された第1端面及び第2端面を有する。前記ステータコアが、第1部分と、前記第1部分よりも前記第2端面に近い位置に配置された第2部分と、前記軸方向において前記第1部分と前記第2部分の間に挟まれている第1中間部分、を有する。前記ステータコアの内周面に、前記軸方向に沿って前記第1部分と前記第1中間部分と前記第2部分に跨って伸びるスロットが設けられている。前記スロットが、第1側面と、前記ステータコアの周方向において前記第1側面に対向する第2側面を有する。前記コイルが、第1セグメント導体と第2セグメント導体とを有する。前記ステータコアに前記コイルを固定する前記工程が、前記第1セグメント導体を前記第1端面から前記スロット内に挿入する工程と、前記第2セグメント導体を前記第2端面から前記スロット内に挿入する工程と、前記第1中間部分を前記第1部分及び前記第2部分に対して回転させる工程と、を有する。前記第1セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第1セグメント導体が前記第1部分の範囲内から前記第1中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸び、前記第1セグメント導体の先端が前記スロット内に位置するように実施される。前記第2セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第2セグメント導体が前記第2部分の範囲内から前記第1中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びており、前記第2セグメント導体の先端が前記スロット内に位置するように実施される。前記第1セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程及び前記第2セグメント導体を前記スロット内に挿入する前記工程が、前記第1中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が前記ステータコアの周方向に重なるように実施される。前記第1中間部分を回転させる前記工程では、前記第1側面において前記第1中間部分が前記第1部分及び前記第2部分に対して突出することによって第1凸部が形成され、前記第1凸部と前記第2側面に挟まれることによって前記第1セグメント導体と前記第2セグメント導体が互いに接続される。
【0008】
この製造方法によれば、ステータコアの一部である第1中間部分を回転させることで、第1セグメント導体と第2セグメント導体を容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】軸Z1に対して直交する平面におけるステータコアの断面図。
【
図6】ステータコアに取り付けられたコイル線材42aを示す図。
【
図9】軸Z1に対して直交する平面におけるスロット及びコイル線材の断面図。
【
図10】ステータコアに取り付けられたコイル線材42bを示す図。
【
図12】径方向と軸方向に沿う平面におけるスロット内の複数のコイル線材の配置を示す図。
【
図13】凸部38a、39aが形成されていない状態における中間部分の位置を示す断面図。
【
図14】凸部38a、39aが形成されていない状態における中間部分の位置を示す平面図。
【
図15】凸部38a、39aが形成されている状態における中間部分の位置を示す断面図。
【
図16】凸部38a、39aが形成されている状態における中間部分の位置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書が開示する一例のステータでは、前記第2側面に前記第1中間部分が前記第1部分及び前記第2部分に対して凹んでいる凹部が設けられていてもよい。
【0011】
本明細書が開示する一例のステータでは、前記第1セグメント導体が、第1厚板部と、前記第1厚板部よりも薄い第1薄板部を有していてもよい。前記第1薄板部が、前記第1セグメント導体の側面のうちの前記第1セグメント導体の前記先端を含む範囲に設けられた窪み部分によって形成されていてもよい。前記第2セグメント導体が、第2厚板部と、前記第2厚板部よりも薄い第2薄板部を有していてもよい。前記第2薄板部が、前記第2セグメント導体の側面のうちの前記第2セグメント導体の前記先端を含む範囲に設けられた窪み部分によって形成されていてもよい。前記第1中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第1セグメント導体の前記窪み部分と前記第2セグメント導体の前記窪み部分とが対向した状態で第1薄板部と前記第2薄板部が前記ステータコアの周方向に重なっていてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1セグメント導体と第2セグメント導体をより強く接続することができる。
【0013】
本明細書が開示する一例のステータでは、前記第1凸部が、前記第1厚板部及び前記第2厚板部に接していなくてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1セグメント導体の薄板部と第2セグメント導体の薄板部をより強く加圧することができる。
【0015】
本明細書が開示する一例のステータでは、前記第1凸部が、前記第1薄板部と前記第2薄板部の一方に接していてもよい。前記第1部分の範囲内の前記第2側面と前記第2部分の範囲内の前記第2側面の両方が、前記第1薄板部と前記第2薄板部の他方に接していてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1セグメント導体の薄板部と第2セグメント導体の薄板部をより強く加圧することができる。
【0017】
本明細書が開示する一例のステータでは、前記ステータコアが、前記第2部分よりも前記第2端面に近い位置に配置された第3部分と、前記軸方向において前記第2部分と前記第3部分の間に挟まれている第2中間部分、を有していてもよい。前記スロットが、前記軸方向に沿って前記第1部分、前記第1中間部分、前記第2部分、前記第2中間部分、及び、前記第3部分に跨って伸びていてもよい。前記コイルが、第3セグメント導体と第4セグメント導体とを有していてもよい。前記第3セグメント導体が、前記第1セグメント導体に対して前記ステータコアの径方向にずれた位置で前記第1端面から前記スロット内に挿入されていてもよい。前記第3セグメント導体が、前記第2部分の範囲内から前記第2中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びていてもよい。前記第3セグメント導体の先端が、前記スロット内に位置していてもよい。前記第4セグメント導体が、前記第2セグメント導体に対して前記ステータコアの前記径方向にずれた位置で前記第2端面から前記スロット内に挿入されていてもよい。前記第4セグメント導体が、前記第3部分の範囲内から前記第2中間部分の範囲内まで前記スロット内を伸びていてもよい。前記第4セグメント導体の先端が、前記スロット内に位置していてもよい。前記第2中間部分の範囲内の前記スロット内において、前記第3セグメント導体と前記第4セグメント導体が前記ステータコアの周方向に重なっていてもよい。前記第1側面に前記第2中間部分が前記第2部分及び前記第3部分に対して突出する第2凸部が設けられていてもよい。前記第2凸部と前記第2側面によって挟まれることによって、前記第3セグメント導体と前記第4セグメント導体が互いに接続されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、スロット内において、第3セグメント導体と第4セグメント導体との接続部が、第1セグメント導体と第3セグメント導体との接続部に対してスロットの長手方向にずれた位置に配置される。したがって、各接続部の間での漏れ電流の発生を抑制できる。
【実施例1】
【0019】
図1に示す実施例1のステータ10は、モータの一部を構成する。ステータ10は、ステータコア20とコイル40を有している。コイル40は、ステータコア20に固定されている。
【0020】
図2に示すように、ステータコア20は、軸Z1を中心軸とする円筒形状を有している。ステータコア20は、軸Z1に沿う方向(以下、軸方向という)の両側に端面20aと端面20bを有している。
【0021】
ステータコア20は、軸方向において複数に分割されている。ステータコア20は、第1部分21、第1中間部分26、第2部分22、第2中間部分28、及び、第3部分23を有している。端面20aから端面20bに向かって、第1部分21、第1中間部分26、第2部分22、第2中間部分28、及び、第3部分23の順にこれらの部分が配列されている。第1中間部分26と第2中間部分28の軸方向における厚さは、第1部分21、第2部分22、及び、第3部分23の軸方向における厚さよりも薄い。第1部分21は、第1端面20aを含む部分である。第1中間部分26は、第1部分21に対して第2端面20bに近い側に配置されている。第2部分22は、第1中間部分26に対して第2端面20bに近い側に配置されている。第2中間部分28は、第2部分22に対して第2端面20bに近い側に配置されている。第3部分23は、第2中間部分28に対して第2端面20bに近い側に配置されている。第3部分23は、第2端面20bを含む部分である。第1中間部分26は、軸方向において第1部分21と第2部分22の間に配置されている。第2中間部分28は、軸方向において第2部分22と第3部分23の間に配置されている。ステータコア20を構成する各部分の間の界面は、軸Z1に対して垂直な平面に沿って伸びている。ステータコア20の外周部には、3つの締結孔29が設けられている。各締結孔29は、軸方向に沿って、第1部分21、第1中間部分26、第2部分22、第2中間部分28、及び、第3部分23を貫通している。図示していないが、各締結孔29に締結部材(例えば、ボルトとナット)が取り付けられている。各締結孔29に設けられた締結部材によって、第1部分21、第1中間部分26、第2部分22、第2中間部分28、及び、第3部分23が互いに固定されている。
【0022】
ステータコア20の内周面24に複数のスロット30が設けられている。各スロット30は、内周面24に設けられた溝である。各スロット30は、軸方向に沿って端面20aから端面20bまで伸びている。したがって、各スロット30は、軸方向に沿って第1部分21、第1中間部分26、第2部分22、第2中間部分28、及び、第3部分23に跨って伸びている。
図3に示すように、軸Z1に垂直な断面において、各スロット30は、ステータコア20の径方向に沿って伸びている。軸Z1に垂直な断面において、各スロット30は、2つの側面34a、34bを有している。側面34a、34bは、周方向において互いに対向している。スロット30の幅は、スロット30の内周側の端部において狭くなっている。
【0023】
図1に示すように、コイル40は、ステータコア20の各スロット30内を通るようにステータコア20に固定されている。コイル40は、複数のコイル線材42によって構成されている。
図4は、1つのコイル線材42を示している。
図4に示すように、コイル線材42は、波形状を有している。より詳細には、コイル線材42は、軸方向に波打ちながら周方向に沿って伸びている。コイル線材42は、
図5に示すセグメント導体50が複数個接続されることによって構成されている。
図5に示すように、セグメント導体50は、U字形状を有している。すなわち、セグメント導体50は、2つの線状部51と、連結部54を有している。2つの線状部51は、略直線状に伸びている。2つの線状部51は、略平行に伸びている。連結部54は、2つの線状部51を連結している。各線状部51には、凹部51cが形成されている。凹部51cは、線状部51の内側の側面に形成されている。凹部51cは、線状部51の先端を含む範囲に設けられている。したがって、線状部51の先端を含む範囲に、厚みが薄い薄板部51aが形成されている。また、以下では、線状部51のうちの薄板部51a以外の部分を厚板部51bという。薄板部51aは厚板部51bよりも厚みが薄い。
図5の斜線は、絶縁被膜を示している。セグメント導体50の表面は、薄板部51aを除いて、絶縁被膜によって覆われている。
図4に示すように、U字形状の複数のセグメント導体50が互いに接続されることで、波形状のコイル線材42が構成されている。
【0024】
図6は、ステータコア20に固定された状態の1つのコイル線材42aを、ステータコア20の中心側から見た平面図である。
図6の左右方向はステータコア20の周方向であり、
図6の上下方向はステータコア20の軸方向である。
図6に示すように、コイル線材42aを構成するセグメント導体50のうちの一部のセグメント導体50aは、端面20aからスロット30内に挿入されている。各セグメント導体50aの先端は、スロット30内に位置している。コイル線材42aを構成する残りのセグメント導体50bは、端面20bからスロット30内に挿入されている。各セグメント導体50bの先端は、スロット30内に位置している。なお、コイル線材42aでは、セグメント導体50aの各線状部51は、セグメント導体50bの各線状部51よりも短い。セグメント導体50aの線状部51は、第1部分21の範囲から第1中間部分26の範囲を介して第2部分22の範囲までスロット30内を伸びている。セグメント導体50aの線状部51の先端は、第2部分22の範囲のスロット30内に位置している。セグメント導体50bの線状部51は、第3部分23の範囲から第2中間部分28の範囲、第2部分22の範囲及び第1中間部分26の範囲を介して第1部分21の範囲までスロット30内を伸びている。セグメント導体50bの線状部51の先端は、第1部分21の範囲のスロット30内に位置している。第1中間部分26の範囲のスロット30内において、セグメント導体50aの線状部51とセグメント導体50bの線状部51が周方向に重なっている。
図6の範囲A、B等に示すように、第1中間部分26の範囲のスロット30内に位置する接続部49において、セグメント導体50aの線状部51とセグメント導体50bの線状部51が接続されている。
【0025】
図7は、
図6の範囲A内に位置する接続部49aを示している。
図7に示すように、範囲A内のスロット30内では、セグメント導体50aの凹部51cとセグメント導体50bの凹部51cとが対向した状態で、セグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aとがステータコア20の周方向に重なっている。セグメント導体50aの薄板部51aは、スロット30内において、第1部分21の範囲から第1中間部分26の範囲を経由して第2部分22の範囲まで伸びている。セグメント導体50bの薄板部51aは、スロット30内において、第2部分22の範囲から第1中間部分26の範囲を経由して第1部分21の範囲まで伸びている。したがって、第1中間部分26の範囲とその周辺において、セグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aとが周方向に重なっている。セグメント導体50aの薄板部51aは、セグメント導体50bの薄板部51aよりも側面34aに近い位置に配置されている。
【0026】
図7に示すように、側面34aにおいて、第1中間部分26は、第1部分21及び第2部分22よりも突出している。以下では、側面34aにおいて第1中間部分26が突出している部分を、凸部38aという。凸部38aは、セグメント導体50aの薄板部51aに接している。凸部38aは、セグメント導体50aの厚板部51bには接していない。また、凸部38aは、セグメント導体50bに接していない。第1部分21の範囲内の側面34aとセグメント導体50aの間には、隙間が存在している。但し、第1部分21の範囲内の側面34aが、部分的にセグメント導体50aに接していてもよい。第2部分22の範囲内の側面34aとセグメント導体50aの間には、隙間が存在している。第2部分22の範囲内の側面34aとセグメント導体50bの間には、隙間が存在している。但し、第2部分22の範囲内の側面34aが、部分的にセグメント導体50bに接していてもよい。側面34bにおいては、第1中間部分26は、第1部分21及び第2部分22に対して凹んでいる。以下では、側面34bにおいて第1中間部分26が凹んでいる部分を、凹部38bという。凹部38bは、セグメント導体50a及び50bに接していない。第1部分21の範囲内の側面34bは、セグメント導体50aの厚板部51bと、セグメント導体50bの薄板部51aの先端に接している。第2部分22の範囲内の側面34bは、セグメント導体50bの厚板部51bと、セグメント導体50bの薄板部51aの基部に接している。
【0027】
セグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aは、凸部38aと側面34b(より詳細には、第1部分21の範囲内の側面34bと第2部分22の範囲内の側面34b)によって挟まれることによって、互いに接続されている。すなわち、凸部38aがセグメント導体50aの薄板部51aを第2セグメント導体50bの薄板部51aに向かって加圧している。また、第1部分21の範囲内の側面34bと第2部分22の範囲内の側面34bは、第2セグメント導体50bの薄板部51aを、凸部38aの反対側から支持している。したがって、セグメント導体50aの凹部51cの表面はセグメント導体50bの凹部51cの表面に加圧された状態で接している。すなわち、凸部38aと側面34bによって加えられる圧力によって、セグメント導体50aの薄板部51aと第2セグメント導体50bの薄板部51aが互いに接続されている。上述したように、各薄板部51aは絶縁保護膜に覆われていない。したがって、
図7に示す接続部49aにおいて、セグメント導体50aとセグメント導体50bが電気的に接続されている。
【0028】
また、
図8は、
図6の範囲B内に位置する接続部49bを示している。接続部49bでは、セグメント導体50bの薄板部51aがセグメント導体50aの薄板部51aよりも側面34aに近い位置に配置されている。接続部49bのその他の構成は、接続部49aと等しい。接続部49bでも、セグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aが、凸部38aと側面34bによって挟まれることによって接続されている。
【0029】
このように、コイル線材42aのセグメント導体50a、50bは、凸部38aと側面34bによって挟まれることによって互いに固定されている。したがって、セグメント導体50aとセグメント導体50bとの接触界面47には、接合材が設けられていない。すなわち、接触界面47は、接合材なしで物理的及び電気的に接続されている。同様の構成によって、コイル線材42aを構成するすべてのセグメント導体50が互いに接続されている。また、他のコイル線材42のセグメント導体50も、コイル線材42aのセグメント導体50と同様の接続構造によって接続されている。
【0030】
図9に示すように、1つのスロット30内に複数のコイル線材42が挿入されている。1つのスロット30内では、複数のコイル線材42がステータコア20の径方向に積層されている。
図9に示すように、コイル線材42aの隣には、コイル線材42bが配置されている。
図10は、ステータコア20に固定された状態のコイル線材42bを、ステータコア20の中心側から見た平面図である。
図10に示すように、コイル線材42bでは、セグメント導体50aの各線状部51が、セグメント導体50bの各線状部51よりも長い。
図10に示すように、セグメント導体50aの線状部51は、第1部分21の範囲から第1中間部分26の範囲、第2部分22の範囲及び第2中間部分28の範囲を介して第3部分23の範囲までスロット30内を伸びている。
図10に示すように、セグメント導体50aの線状部51の先端は、第3部分23の範囲のスロット30内に位置している。
図10に示すように、セグメント導体50bの線状部51は、第3部分23の範囲から第2中間部分28の範囲を介して第2部分22の範囲までスロット30内を伸びている。
図10に示すように、セグメント導体50bの線状部51の先端は、第2部分22の範囲のスロット30内に位置している。
図10に示すように、第2中間部分28の範囲のスロット30内において、セグメント導体50aの線状部51とセグメント導体50bの線状部51が周方向に重なっている。
図10の範囲C、D等に示すように、第2中間部分28の範囲のスロット30内に位置する接続部49において、セグメント導体50aの線状部51とセグメント導体50bの線状部51が接続されている。範囲C内の接続部49cは、範囲A内の接続部49aと略同様の構成を有している。すなわち、
図11に示すように、範囲C内では、側面34aに、第2中間部分28が第2部分22及び第3部分23よりも突出している凸部39aが形成されている。接続部49cでは、セグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aが、凸部39aと側面34bによって挟まれることで、物理的及び電気的に接続されている。
図12は、接続部49aと接続部49cの軸方向における位置関係を示している。
図12に示すように、コイル線材42bのセグメント導体50aは、コイル線材42aのセグメント導体50aに対して径方向にずれた位置でスロット30内に挿入されている。コイル線材42bのセグメント導体50bは、コイル線材42aのセグメント導体50bに対して径方向にずれた位置でスロット30内に挿入されている。
図12に示すように、隣接するコイル線材42a、42bの間で、接続部49aと接続部49cの軸方向の位置が異なっている。上述したように、各セグメント導体50の薄板部51aは、絶縁被膜に覆われていない。したがって、隣接するコイル線材42a、42bの間で接続部49a、49cの位置が軸方向において重複していると、接続部49a、49cの間で漏れ電流が生じる。
図12のように接続部49a、49cの軸方向の位置が異なっていることで、漏れ電流を防止することができる。なお、コイル線材42a、42bを含む全てのコイル線材42において、隣接するコイル線材42の間で接続部49の位置が重複しないように各接続部49が配置されている。
【0031】
図10の範囲D内の接続部49dでは、セグメント導体50bの薄板部51aがセグメント導体50aの薄板部51aよりも側面34aに近い位置に配置されている。接続部49dのその他の構成は、接続部49cと等しい。接続部49b、49dは、
図12に示す接続部49a、49cと同様に、隣接するコイル線材42の間で位置が重複しないように配置されている。したがって、接続部49bと接続部49dの間における漏れ電流の発生が防止される。
【0032】
次に、ステータ10の製造方法について説明する。コイル40を固定する前のステータコア20においては、第1中間部分26及び第2中間部分28が、第1部分21、第2部分22、及び、第3部分23に対して、軸Z1の周りに相対回転することができる。中間部分26、28は、
図13、14に示す位置と
図15、16に示す位置との間で部分21~23に対して回転することができる。
図13、14では、スロット30の側面34a、34bのいずれにも凸部が形成されない。また、この位置では、
図14に示すように、ステータコア20の外周面において、中間部分26、28と部分21~23の位置にずれが生じる。また、この位置では、締結孔29の内周面においても、中間部分26、28と部分21~23の位置にずれが生じる。したがって、この位置では、締結孔29に締結部材を取り付けることができない。
図13、14に示す位置から中間部分26、28を反時計回りに回転させると、
図15、16に示す位置まで中間部分26、28が移動する。この状態では、スロット30の側面34aに凸部38a、39aが形成される。この位置では、
図16に示すように、ステータコア20の外周面において、中間部分26、28と部分21~23の位置が一致する。また、この位置では、締結孔29の内周面においても、中間部分26、28と部分21~23の位置が一致する。したがって、この位置では、締結孔29に締結部材を取り付けることができる。
【0033】
ステータ10の製造方法は、ステータコア20にコイル40を固定する工程を有する。ステータコア20にコイル40を固定する工程は、スロット30にセグメント導体50a、50bを挿入する工程と、中間部分26、28を回転させる工程を有する。
【0034】
スロット30にセグメント導体50a、50bを挿入する工程では、最初に、中間部分26、28の角度を
図13、14に示す角度に調整する。したがって、スロット30にセグメント導体50a、50bを挿入する工程は、スロット30の側面34aに凸部38aが存在しない状態で実施される。次に、コイル40を構成するすべてのセグメント導体50を、対応するスロット30に挿入する。各セグメント導体50aは、端面20a側から対応するスロット30に挿入され、各セグメント導体50bは、端面20bから対応するスロット30に挿入される。各スロット30内に凸部38aが形成されていないので、各セグメント導体50をスロット30に容易に挿入することができる。
図6に示すように、コイル線材42aを構成するセグメント導体50a、50bを対応するスロット30に挿入すると、第1中間部分26の範囲内でセグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aが周方向に重なる。
図10に示すように、コイル線材42bを構成するセグメント導体50a、50bを対応するスロット30に挿入すると、第2中間部分28の範囲内でセグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aが周方向に重なる。このようにして、コイル40を構成するすべてのセグメント導体50を、対応するスロット30に挿入する。
【0035】
次に、中間部分26、28を部分21~23に対して回転させる。ここでは、中間部分26、28を
図15、16に示す位置まで回転させる。すると、スロット30の側面34aにおいて中間部分26、28が突出し、凸部38a、39aが形成される。その結果、
図7、8、11に示すように、各接続部49が凸部38a、39aによって加圧される。すなわち、セグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aとが凸部38aと側面34b(より詳細には、部分21~23の範囲内の側面34b)によって挟まれて加圧される。これによって、セグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aとが、物理的及び電気的に接続される。
図7に示す接続部49aでは、凸部38aは、セグメント導体50の薄板部51aに接する一方で、セグメント導体50aの厚板部51b及びセグメント導体50bの厚板部51bに接しない。したがって、凸部38aは、セグメント導体50の薄板部51aを効果的に加圧することができる。また、接続部49aでは、第1部分21の範囲内の側面34bは、セグメント導体50bの薄板部51aの先端に接している。また、第2部分22の範囲内の側面34bは、セグメント導体50bの薄板部51aの基端に接している。したがって、セグメント導体50bの薄板部51aの両端が、第1部分21の範囲内の側面34bと第2部分22の範囲内の側面34bによって支持される。したがって、セグメント導体50aの薄板部51aとセグメント導体50bの薄板部51aとの積層体を効果的に加圧することができる。このように、凸部38a及び側面34bによって積層体を効率的に加圧することができるので、セグメント導体50aとセグメント導体50bを強固に接続することができるとともに、セグメント導体50aとセグメント導体50bを低い抵抗で接続することができる。なお、他の接続部49でも同様にして、セグメント導体50aとセグメント導体50bが接続される。各セグメント導体50が互いに接続されることで、
図1に示すコイル40が形成される。すなわち、ステータコア20にコイル40が固定された状態が得られる。中間部分26、28を
図15、16に示す位置まで回転させたら、締結孔29に締結部材を取り付けることで、中間部分26、28と部分21~23を互いに固定する。これによって、
図1に示すステータ10が完成する。
【0036】
このように、この製造方法では、各セグメント導体50を各スロット30に挿入し、その後、中間部分26、28を部分21~23に対して回転させることで、各セグメント導体50を互いに接続することができる。各セグメント導体50を容易に接続することができ、ステータコア20にコイル40を容易に固定することができる。また、各スロット30内で各セグメント導体50を治具によって加圧する必要がないため、加圧用治具が不要である。したがって、ステータコア20の形状が異なる複数種類のステータを製造する場合であっても、加圧用治具の変更が不要であり、効率的に複数種類のステータを製造することができる。また、この製造方法では、凸部38aと側面34bで挟むことによって各セグメント導体50を互いに接続するので、各セグメント導体50の接触界面に接合材が不要である。したがって、ステータ10をより効率的に製造できる。また、このように各セグメント導体50をスロット30内で接続することで、スロット30の外部の各セグメント導体の接続部を無くすことができる。これによって、コイル40を小型化、軽量化できるとともに、コイル40で生じる銅損を低減できる。なお、他の実施例においては、各セグメント導体の接触界面に接合材が設けられていてもよい。
【0037】
また、上述した実施例では、スロット30の側面34aに凸部38a、39aが形成されたが、側面34aの代わりに側面34bに中間部分26、28が突出する凸部が形成されてもよい。
【0038】
また、上述した実施例では、コイル40が波型であった。しかしながら、重ね巻き型のコイルに本明細書に開示の技術を適用してもよい。なお、重ね巻き型のコイルとは、共通のスロットにコイル線材が複数回挿通されるようにステータコアに巻回されているコイルである。
【0039】
上述した実施例の端面20aは、第1端面の一例である。上述した実施例の端面20bは、第2端面の一例である。上述した実施例の側面34aは、第1側面の一例である。上述した実施例の側面34bは、第2側面の一例である。上述した実施例のセグメント導体50aは、第1セグメント導体及び第3セグメント導体の一例である。上述した実施例のセグメント導体50bは、第2セグメント導体及び第4セグメント導体の一例である。上述した実施例の凸部38aは、第1凸部の一例である。上述した実施例の凸部39aは、第2凸部の一例である。上述した実施例のセグメント導体50aの薄板部51aは、第1薄板部の一例である。上述した実施例のセグメント導体50aの厚板部51bは、第1厚板部の一例である。上述した実施例のセグメント導体50bの薄板部51aは、第2薄板部の一例である。上述した実施例のセグメント導体50bの薄板部51aは、第2厚板部の一例である。上述した実施例の凹部51cは、窪み部分の一例である。
【0040】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0041】
10:ステータ
20:ステータコア
20a、20b:端面
21~23:部分
26、28:中間部分
30:スロット
34a、34b:側面
38a、39a:凸部
40:コイル
42:コイル線材
49:接続部
50:セグメント導体
51:線状部
51a:薄板部
51b:厚板部
51c:凹部