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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】無人航空機
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240702BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240702BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021095088
(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公開番号】P2022187198
(43)【公開日】2022-12-19
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 広之
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-73478(JP,A)
【文献】特開2014-107062(JP,A)
【文献】特開2020-77479(JP,A)
【文献】特開2018-181576(JP,A)
【文献】特開2003-331893(JP,A)
【文献】特開2007-122912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムが搭載された無人航空機であって、
前記燃料電池システムは、
前記無人航空機の動力源となる燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックにエアを供給する供給経路と、
前記供給経路に設けられ前記燃料電池スタックにエアを圧送するコンプレッサと、
前記燃料電池スタックから排出されたエアを含むオフガスを大気に排出する排出経路と、
前記燃料電池スタックと前記コンプレッサとの間の前記供給経路から分岐して前記排出経路に合流するバイパス経路と、
前記バイパス経路の前記排出経路との接続部に形成されたオリフィスと、を備え
前記オリフィスは、前記接続部の流路断面積が前記接続部よりも上流側の前記バイパス経路の流路断面積よりも小さくなるように前記接続部の流路に設置された、前記排出経路に沿って延びる板状部材によって形成され、
前記排出経路は、前記接続部に形成された前記オリフィスよりも上流側に絞り部を有し、
前記絞り部は、前記板状部材に対向する前記排出経路の内壁面から前記板状部材に向かって突出して形成され、前記絞り部を通過した前記オフガスと前記オリフィスを通過して前記排出経路に流入する前記エアとの流速差を小さくする
ことを特徴とする無人航空機
【請求項2】
前記バイパス経路は、前記排出経路を流れる前記オフガスの流れ方向に対して鋭角に傾斜して前記排出経路に合流する
ことを特徴とする請求項に記載の無人航空機
【請求項3】
前記供給経路は、前記コンプレッサにより圧送されたエアを前記燃料電池スタックに直接供給する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の無人航空機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム及びこれを搭載する無人航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムを搭載する無人航空機が知られている(例えば、特許文献1)。この種の燃料電池システムには、酸化剤ガスであるエアを大気から吸引し、燃料電池スタックに圧送するエアコンプレッサが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-181576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアコンプレッサ、特にターボ形のエアコンプレッサでは、エアの流量と圧力とが周期的に激しく変動する現象であるサージングを回避することが重要である。サージングは、エアコンプレッサを流れるエアの流量が比較的少ない場合に発生し易い。サージングを回避するべくエアコンプレッサを流れるエアの流量を多くすると、燃料電池スタックに供給されるエアの流量が過剰になる場合がある。そこで、エアコンプレッサにより圧縮されたエアの一部を迂回させて、大気に排出することが考えられる。しかし、迂回させたエアを大気に排出することは、エアコンプレッサの消費電力を増加させることであり、無人飛行機の燃費の悪化に繋がっていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、エアコンプレッサの消費電力を抑制することが可能な燃料電池システム及びこれを搭載する無人飛行機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックにエアを供給する供給経路と、前記供給経路に設けられ前記燃料電池スタックにエアを圧送するコンプレッサと、前記燃料電池スタックから排出されたエアを含むオフガスを大気に排出する排出経路と、前記燃料電池スタックと前記コンプレッサとの間の前記供給経路から分岐して前記排出経路に合流するバイパス経路と、前記バイパス経路の前記排出経路との接続部に形成されたオリフィスと、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成により、オリフィスが形成された接続部を通過するエアの流速は、接続部よりも上流側のバイパス経路を流れるエアの流速よりも速くなる。オリフィスが形成された接続部を通過するエアの圧力は、接続部よりも上流側のバイパス経路を流れるエアの圧力よりも低下する。接続部を通過して圧力が低下したエアが、排出経路を流れるオフガスに合流することにより、接続部付近の排出経路の圧力は、オリフィスが形成されていない場合よりも低下する。よって、接続部にオリフィスが形成されている場合、接続部よりも上流側の排出経路を流れるオフガスが、接続部付近に向かって吸引され易くなる。これにより、排出経路に連通する燃料電池スタックを流れるエアの流量が増加し得る。コンプレッサの出力を高めなくても、燃料電池スタックに供給されるエアの流量が増加し得る。燃料電池システムは、コンプレッサの出力を抑制したとしても、所望流量のエアを燃料電池スタックに供給することができる。したがって、燃料電池システムは、コンプレッサの消費電力を抑制することができる。
【0008】
更に好ましい態様として、前記排出経路は、前記接続部よりも上流側の位置に絞り部を有する。
【0009】
このような態様により、絞り部を通過するオフガスの流速は、絞り部よりも上流側の排出経路を流れるオフガスの流速よりも速くなる。絞り部を通過して接続部付近の排出経路を流れるオフガスと、接続部を通過して排出経路に流入するエアとの流速差は小さくなり得る。接続部付近の排出経路を流れるオフガスと、接続部を通過したエアとの合流損失は小さくなり得る。したがって、燃料電池システムは、所望流量のエアを燃料電池スタックに供給するために必要なコンプレッサの出力を更に抑制することができ、コンプレッサの消費電力を更に抑制することができる。
【0010】
更に好ましい態様として、前記バイパス経路は、前記排出経路を流れる前記オフガスの流れ方向に対して鋭角に傾斜して前記排出経路に合流する前記排出経路に対して鋭角に傾斜して合流する。
【0011】
このような態様により、接続部付近の排出経路を流れるオフガスと、接続部を通過したエアとの合流損失は小さくなり得る。燃料電池システムは、必要なコンプレッサの出力を更に抑制することができ、コンプレッサの消費電力を更に抑制することができる。
【0012】
更に好ましい態様として、前記供給経路は、前記コンプレッサにより圧送されたエアを前記燃料電池スタックに直接供給する。例えば、前記供給経路は、インタークーラを介さずに、前記コンプレッサから圧送されたエアを前記燃料電池に直接供給する。
【0013】
このような態様により、燃料電池システムは小型化及び軽量化を図ることができる。また、燃料電池システムは、コンプレッサにより圧送されたエアを燃料電池スタックに直接供給しても燃料電池スタックが適切に発電できる程度の圧力比を実現する回転数でコンプレッサを動作させれば十分である。燃料電池システムは、コンプレッサの消費電力を更に抑制することができる。
【0014】
また、本発明の無人航空機は、前記燃料電池システムを搭載することを特徴とする。
【0015】
このような構成により、燃料電池スタックからコンプレッサへの電力供給量を抑制できるので、燃料電池スタックから無人航空機の駆動装置への電力供給量を増加させることができる。したがって、無人航空機は、燃費を向上させることができ、例えば航続距離や航続時間を長くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エアコンプレッサの消費電力を抑制することが可能な燃料電池システム及びこれを搭載する無人飛行機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の無人航空機を模式的に示す斜視図。
図2図1に示す無人航空機の上面図。
図3図1に示す無人航空機の側面図。
図4図1に示す無人航空機に搭載された燃料電池システムの系統図。
図5図2に示す各エア経路の構成を示す図。
図6図5に示すVI-VI線の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態の無人航空機1を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す無人航空機1の上面図である。図3は、図1に示す無人航空機1の側面図である。なお、図2及び図3では、アーム4及びプロペラ装置5の図示を省略している。
【0020】
無人航空機1は、燃料電池システム10の燃料電池スタック11を動力源として搭載する無人航空機である。無人航空機1は、燃料電池スタック11の発電電力によりブレード7を回転させることによって、上昇、下降、旋回、前進、後進又はホバリング等の様々な飛行形態で飛行することができる。無人航空機1は、自律的又は遠隔操作によって飛行することができる。無人航空機1は、マルチコプタ型のドローンによって構成されてもよい。
【0021】
無人航空機1は、箱状のフレーム3を備える機体2と、当該フレーム3の前部及び後部のそれぞれから左右に突出するアーム4と、各アーム4の先端部に取り付けられたプロペラ装置5とを備える。
【0022】
機体2は、燃料電池システム10と、無人航空機1の動作を制御する不図示の制御装置と、無人航空機1の外部と無線通信を行う不図示の通信機と、無人航空機1の周辺環境を認識するための不図示のセンサとを備える。機体2は、燃料電池システム10の各構成要素、制御装置、通信機及びセンサが、フレーム3の内部又は外面に取り付けられることによって構成される。例えば、燃料電池システム10の後述する、燃料電池スタック11、二次バッテリ12、エア供給経路21及びエアコンプレッサ22等は、フレーム3の内部に取り付けられる。燃料電池システム10の後述するラジエータ62は、フレーム3の前側の外面において前方に傾斜した姿勢で取り付けられる。燃料電池システム10の後述する水素ガスタンク41は、フレーム3の上側の外面において、円筒状の水素ガスタンク41の軸線が前後方向に沿うように取り付けられる。
【0023】
プロペラ装置5は、燃料電池スタック11の発電電力によって駆動するモータ6と、モータ6の駆動によって回転するブレード7とを備える。
【0024】
図4は、図1に示す無人航空機1に搭載された燃料電池システム10の系統図である。
【0025】
燃料電池システム10は、膜電極接合体(MEA)等から成る燃料電池セルを複数積層することによって構成された燃料電池スタック11と、二次バッテリ12とを備える。燃料電池スタック11の発電電力は、二次バッテリ12に蓄えられる。燃料電池スタック11の発電電力は、二次バッテリ12に蓄えられずに、プロペラ装置5のモータ6等の負荷に直接供給されてもよい。更に、燃料電池システム10は、燃料電池スタック11にエアを供給するエア供給系20と、燃料電池スタック11に燃料ガスである水素ガスを供給する水素ガス供給系40と、燃料電池スタック11を冷却する冷却系60とを備える。
【0026】
エア供給系20は、燃料電池スタック11にエアを供給すると共に、燃料電池スタック11での電気化学反応に用いられなかったエアを含むオフガスを燃料電池スタック11から排出する系統である。
【0027】
エア供給系20は、燃料電池スタック11にエアを供給するエア供給経路21と、エア供給経路21に設けられ、大気から導入されたエアに含まれる塵埃を除去するエアクリーナ23とを備える。エア供給系20は、エア供給経路21に設けられ、エアクリーナ23を通過したエアを燃料電池スタック11に圧送するエアコンプレッサ22を備える。エアコンプレッサ22は、ターボ形のエアコンプレッサによって構成される。エアコンプレッサ22は、燃料電池スタック11の発電電力によって駆動するモータ22aによって駆動し、吸引したエアを圧縮する。
【0028】
エア供給系20は、燃料電池スタック11から排出されたエアを含むオフガスを大気に排出するエア排出経路24を備える。エア供給系20は、燃料電池スタック11とエアコンプレッサ22との間のエア供給経路21から分岐してエア排出経路24に合流するエアバイパス経路25を備える。すなわち、エアバイパス経路25は、エア供給経路21から分岐する分岐部26と、エア排出経路24に合流するためにエア排出経路24に接続する接続部27とを有する。エアバイパス経路25は、エアコンプレッサ22により圧送されたエアの一部をエア排出経路24に迂回させる。
【0029】
エア供給系20は、エアの圧力及び温度をそれぞれ計測する圧力センサ28及び温度センサ29と、エアの流量を計測するエアフローメータ30とを備える。圧力センサ28は、エア供給経路21のエア導入口付近や、エアコンプレッサ22と分岐部26との間のエア供給経路21に設けられてもよい。温度センサ29は、エアクリーナ23に設けられてもよい。エアフローメータ30は、エアクリーナ23の出口付近のエア供給経路21に設けられてもよい。
【0030】
なお、エア供給系20は、エアコンプレッサ22から圧送されたエアを冷却するインタークーラを備えていなくてもよい。すなわち、エア供給系20のエア供給経路21は、エアコンプレッサ22により圧送されたエアを燃料電池スタック11に直接供給してもよい。これにより、燃料電池システム10は、部品点数を減らすことができ、小型化及び軽量化を図ることができる。無人航空機1は、小型化及び軽量化を図ることができる。また、燃料電池システム10は、エアコンプレッサ22により圧送されたエアを燃料電池スタック11に直接供給しても燃料電池スタック11が適切に発電できる程度の圧力比を実現する回転数でエアコンプレッサ22を動作させれば十分である。燃料電池システム10は、エアコンプレッサ22の消費電力を抑制することができる。燃料電池システム10は、これを搭載する無人航空機1の燃費を更に向上させることができる。
【0031】
水素ガス供給系40は、燃料電池スタック11に水素ガスを供給すると共に、燃料電池スタック11での電気化学反応に用いられなかった水素ガスを含むオフガスを燃料電池スタック11から排出する系統である。
【0032】
水素ガス供給系40は、高圧の水素ガスが充填された水素ガスタンク41と、燃料電池スタック11に水素ガスを供給する水素ガス供給経路42とを備える。水素ガス供給系40は、水素ガス供給経路42の水素ガスタンク41の出口付近に設けられ、水素ガスタンク41に充填された水素ガスの水素ガス供給経路42への導入と導入停止とを切り替える主止弁43を備える。水素ガス供給系40は、水素ガス供給経路42に設けられ、水素ガスタンク41から導入された水素ガスの圧力を調整するレギュレータ44を備える。水素ガス供給系40は、レギュレータ44と燃料電池スタック11との間の水素ガス供給経路42に設けられ、レギュレータ44により圧力が調整された水素ガスを燃料電池スタック11に放射するエジェクタ45を備える。水素ガス供給系40は、レギュレータ44の出口付近の水素ガス供給経路42において発生し得る過大圧力を開放するリリーフ弁46と、エジェクタ45の出口付近の水素ガス供給経路42において発生し得る過大圧力を開放するリリーフ弁47とを備える。
【0033】
水素ガス供給系40は、燃料電池スタック11から排出されたオフガスを、エア排出経路24に排出する水素ガス排出経路48を備える。水素ガス供給系40は、水素ガス排出経路48に設けられ、燃料電池スタック11から排出されたオフガスから生成水を分離する気液分離器49を備える。水素ガス供給系40は、気液分離器49を通過したオフガスに含まれる水素ガスをエジェクタ45(又は水素ガス供給経路42)に循環させる水素ガス循環経路50を備える。なお、水素ガス循環経路50には、気液分離器49を通過した水素ガスをエジェクタ45(又は水素ガス供給経路42)に圧送する水素ガスポンプが設けられてもよい。水素ガス供給系40は、気液分離器49の出口付近(気液分離器49とエア排出経路24との間)の水素ガス排出経路48に設けられ、気液分離器49を通過したオフガス及び生成水のエア排出経路24への排出と排出停止とを切り替える排気排水弁51を備える。
【0034】
水素ガス供給系40は、水素ガスの圧力を計測する圧力センサ52を備える。圧力センサ52は、水素ガスタンク41の出口付近の水素ガス供給経路42や、リリーフ弁46とエジェクタ45との間の水素ガス供給経路42や、リリーフ弁47と燃料電池スタック11との間の水素ガス供給経路42に設けられてもよい。
【0035】
冷却系60は、冷却水を循環させて燃料電池スタック11を冷却する系統である。
【0036】
冷却系60は、燃料電池スタック11とラジエータ62との間において冷却水を循環させる冷却水循環経路61と、燃料電池スタック11から排出された冷却水を冷却するラジエータ62とを備える。冷却系60は、ラジエータ62により冷却された冷却水を燃料電池スタック11に圧送するウォータポンプ63を備える。ウォータポンプ63は、燃料電池スタック11の発電電力によって駆動するモータ63aによって駆動する。予備の冷却水を貯留し冷却水の圧力を調整するリザーバタンク64と、ラジエータ62を冷却するファン65とを備える。
【0037】
冷却系60は、冷却水循環経路61を流れる冷却水をエアコンプレッサ22に分流させてエアコンプレッサ22を冷却するコンプレッサ冷却経路66を備える。コンプレッサ冷却経路66は、ウォータポンプ63から圧送された冷却水の一部をエアコンプレッサ22に供給し、エアコンプレッサ22から排出された冷却水をラジエータ62に排出する。
【0038】
冷却系60は、冷却水の温度を計測する温度センサ67を備える。温度センサ67は、燃料電池スタック11の出口付近の冷却水循環経路61に設けられてもよい。なお、冷却系60は、ラジエータ62と並列して冷却水循環経路61に設けられ、冷却水からイオンを除去するイオン交換器を備えてもよい。
【0039】
図5は、図2に示す各エア経路の構成を示す図である。図6は、図5に示すVI-VI線の断面図である。図5及び図6において、黒色矢印はエアコンプレッサ22により圧送されたエアの流れを示し、白抜き矢印は燃料電池スタック11から排出されたオフガスの流れを示す。
【0040】
エアバイパス経路25は、図5に示すように、燃料電池スタック11とエアコンプレッサ22との間のエア供給経路21から分岐する分岐部26を有する。エアバイパス経路25は、図5及び図6に示すように、オフガスを大気に排出するエア排出経路24の排出口24aと燃料電池スタック11との間のエア排出経路24に合流するために当該エア排出経路24に接続する接続部27を有する。
【0041】
接続部27には、図6に示すように、オリフィス31が形成される。オリフィス31は、接続部27に形成された開口である。オリフィス31は、接続部27よりも上流側のエアバイパス経路25の流路断面積よりも小さい流路断面積を形成する形状を有する。すなわち、オリフィス31が形成された接続部27の流路断面積は、接続部27よりも上流側のエアバイパス経路25の流路断面積よりも小さい。オリフィス31は、接続部27付近のエア排出経路24に沿って延びる板状部材31aを、接続部27に設置することによって形成されてもよい。
【0042】
オリフィス31が形成された接続部27を通過するエアの流速は、接続部27よりも上流側のエアバイパス経路25を流れるエアの流速よりも速くなる。オリフィス31が形成された接続部27を通過するエアの圧力は、接続部27よりも上流側のエアバイパス経路25を流れるエアの圧力よりも低下する。接続部27を通過して圧力が低下したエアが、エア排出経路24を流れるオフガスに合流することにより、接続部27付近のエア排出経路24の圧力は、オリフィス31が形成されていない場合よりも低下する。よって、接続部27にオリフィス31が形成されている場合、接続部27よりも上流側のエア排出経路24を流れるオフガスが、接続部27付近に向かって吸引され易くなる。
【0043】
これにより、エア排出経路24に連通する燃料電池スタック11を流れるエアの流量が増加し得る。すなわち、この場合、エアコンプレッサ22の出力を高めなくても、燃料電池スタック11に供給されるエアの流量が増加し得る。燃料電池システム10は、オリフィス31が接続部27に形成されることによって、エアコンプレッサ22の出力を従来よりも抑制したとしても、所望流量のエアを燃料電池スタック11に供給することができる。したがって、燃料電池システム10は、エアコンプレッサ22の消費電力を抑制することができる。
【0044】
エアコンプレッサ22の消費電力を抑制できると、燃料電池スタック11からエアコンプレッサ22への電力供給量を抑制できるので、燃料電池スタック11からプロペラ装置5への電力供給量が増加し得る。よって、燃料電池システム10は、これを搭載する無人航空機1の燃費を向上させることができ、例えば航続距離や航続時間を長くすることができる。
【0045】
更に、図6に示すように、エア排出経路24は、接続部27よりも上流側の位置に絞り部32を有する。絞り部32における流路断面積は、絞り部32よりも上流側のエア排出経路24の流路断面積よりも小さい。
【0046】
絞り部32を通過するオフガスの流速は、絞り部32よりも上流側のエア排出経路24を流れるオフガスの流速よりも速くなる。絞り部32を通過して接続部27付近のエア排出経路24を流れるオフガスと、接続部27を通過してエア排出経路24に流入するエアとの流速差は小さくなり得る。接続部27付近のエア排出経路24を流れるオフガスと、接続部27を通過したエアとの合流損失は小さくなり得る。これにより、燃料電池システム10は、所望流量のエアを燃料電池スタック11に供給するために必要なエアコンプレッサ22の出力を更に抑制することができる。燃料電池システム10は、エアコンプレッサ22の消費電力を更に抑制することができる。燃料電池システム10は、これを搭載する無人航空機1の燃費を更に向上させることができる。
【0047】
更に、図6に示すように、エアバイパス経路25は、エア排出経路24を流れるオフガスの流れ方向に対して鋭角θに傾斜した姿勢でエア排出経路24に合流する。接続部27付近のエア排出経路24を流れるオフガスと、接続部27を通過したエアとの合流損失は小さくなり得る。これにより、燃料電池システム10は、所望流量のエアを燃料電池スタック11に供給するために必要なエアコンプレッサ22の出力を更に抑制することができる。燃料電池システム10は、エアコンプレッサ22の消費電力を更に抑制することができる。燃料電池システム10は、これを搭載する無人航空機1の燃費を更に向上させることができる。
【0048】
なお、上記の実施形態において説明されたエア供給経路21は、特許請求の範囲に記載された「供給経路」の一例である。エアコンプレッサ22は、特許請求の範囲に記載された「コンプレッサ」の一例である。エア排出経路24は、特許請求の範囲に記載された「排出経路」の一例である。エアバイパス経路25は、特許請求の範囲に記載された「バイパス経路」の一例である。
【0049】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…無人航空機、2…機体、3…フレーム、4…アーム、5…プロペラ装置、6…モータ、7…ブレード、10…燃料電池システム、11…燃料電池スタック、12…二次バッテリ、20…エア供給系、21…エア供給経路(供給回路)、22…エアコンプレッサ(コンプレッサ)、22a…モータ、23…エアクリーナ、24…エア排出経路(排出回路)、24a…排出口、25…エアバイパス経路(バイパス経路)、26…分岐部、27…接続部、28…圧力センサ、29…温度センサ、30…エアフローメータ、31…オリフィス、31a…板状部材、32…絞り部、40…水素ガス供給系、41…水素ガスタンク、42…水素ガス供給経路、43…主止弁、44…レギュレータ、45…エジェクタ、46…リリーフ弁、47…リリーフ弁、48…水素ガス排出経路、49…気液分離器、50…水素ガス循環経路、51…排気排水弁、52…圧力センサ、60…冷却系、61…冷却水循環経路、62…ラジエータ、63…ウォータポンプ、63a…モータ、64…リザーバタンク、65…ファン、66…コンプレッサ冷却経路、67…温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6