IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両運転支援装置 図1
  • 特許-車両運転支援装置 図2
  • 特許-車両運転支援装置 図3
  • 特許-車両運転支援装置 図4
  • 特許-車両運転支援装置 図5
  • 特許-車両運転支援装置 図6
  • 特許-車両運転支援装置 図7
  • 特許-車両運転支援装置 図8
  • 特許-車両運転支援装置 図9
  • 特許-車両運転支援装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】車両運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
G08G1/09 P
G08G1/09 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021125729
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023020395
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 真央
(72)【発明者】
【氏名】和田 陽介
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094947(JP,A)
【文献】特開2015-028738(JP,A)
【文献】特開2006-275690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方を撮像して前記自車両の前方の状況に関する情報を車両前方情報として取得する車両前方情報取得装置と、
前記自車両にその時点で適用される制限速度の表示装置での表示を制御する制御装置と、
を備えた車両運転支援装置であって、
前記制御装置は、
前記車両前方情報から道路標識に表示されている制限速度を標識制限速度として取得するとともに、制限速度を記憶してあるデータベースから前記自車両にその時点で適用される制限速度をデータベース制限速度として取得し、
工事区間における制限速度を表示している工事区間道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記工事区間道路標識に表示されている制限速度を工事区間標識制限速度として取得して該取得した工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示し、
前記データベース制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が所定表示変更許可距離よりも短い場合、前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示せずに前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を継続する、
ように構成されている、
車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記工事区間以外の道路における制限速度を表示している一般道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記一般道路標識に表示されている制限速度を一般標識制限速度として取得し、
前記一般標識制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が前記所定表示変更許可距離よりも短い場合でも、前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を終了して前記取得した一般標識制限速度を前記表示装置に表示する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項2】
自車両の前方を撮像して前記自車両の前方の状況に関する情報を車両前方情報として取得する車両前方情報取得装置と、
前記自車両にその時点で適用される制限速度の表示装置での表示を制御する制御装置と、
を備えた車両運転支援装置であって、
前記制御装置は、
前記車両前方情報から道路標識に表示されている制限速度を標識制限速度として取得するとともに、制限速度を記憶してあるデータベースから前記自車両にその時点で適用される制限速度をデータベース制限速度として取得し、
工事区間における制限速度を表示している工事区間道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記工事区間道路標識に表示されている制限速度を工事区間標識制限速度として取得して該取得した工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示し、
前記データベース制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が所定表示変更許可距離よりも短い場合、前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示せずに前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を継続する、
ように構成されている、
車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記工事区間以外の道路における制限速度を表示している一般道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記一般道路標識に表示されている制限速度を一般標識制限速度として取得し、
前記一般標識制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が前記所定表示変更許可距離以上である場合、前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を終了して前記取得した一般標識制限速度を前記表示装置に表示する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項3】
自車両の前方を撮像して前記自車両の前方の状況に関する情報を車両前方情報として取得する車両前方情報取得装置と、
前記自車両にその時点で適用される制限速度の表示装置での表示を制御する制御装置と、
を備えた車両運転支援装置であって、
前記制御装置は、
前記車両前方情報から道路標識に表示されている制限速度を標識制限速度として取得するとともに、制限速度を記憶してあるデータベースから前記自車両にその時点で適用される制限速度をデータベース制限速度として取得し、
工事区間における制限速度を表示している工事区間道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記工事区間道路標識に表示されている制限速度を工事区間標識制限速度として取得して該取得した工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示し、
前記データベース制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が所定表示変更許可距離よりも短い場合、前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示せずに前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を継続する、
ように構成されている、
車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記工事区間以外の道路における制限速度を表示している一般道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記一般道路標識に表示されている制限速度を一般標識制限速度として取得し、
前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示していないときに前記一般標識制限速度を取得した場合、該取得した一般標識制限速度を前記表示装置に表示する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項4】
自車両の前方を撮像して前記自車両の前方の状況に関する情報を車両前方情報として取得する車両前方情報取得装置と、
前記自車両にその時点で適用される制限速度の表示装置での表示を制御する制御装置と、
を備えた車両運転支援装置であって、
前記制御装置は、
前記車両前方情報から道路標識に表示されている制限速度を標識制限速度として取得するとともに、制限速度を記憶してあるデータベースから前記自車両にその時点で適用される制限速度をデータベース制限速度として取得し、
工事区間における制限速度を表示している工事区間道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記工事区間道路標識に表示されている制限速度を工事区間標識制限速度として取得して該取得した工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示し、
前記データベース制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が所定表示変更許可距離よりも短い場合、前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示せずに前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を継続する、
ように構成されている、
車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記工事区間以外の道路における制限速度を表示している一般道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記一般道路標識に表示されている制限速度を一般標識制限速度として取得し、
前記データベース制限速度を前記表示装置に表示しているときに前記一般標識制限速度を取得した場合、前記表示装置における前記データベース制限速度の表示を終了して前記取得した一般標識制限速度を前記表示装置に表示し、
前記一般標識制限速度を前記表示装置に表示しているときに前記データベース制限速度を取得した場合、前記表示装置における前記一般標識制限速度の表示を終了して前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記データベース制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が前記所定表示変更許可距離以上である場合、前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を終了して前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が前記所定表示変更許可距離よりも長い所定表示終了距離に達したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合、前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を終了するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示していないときに前記データベース制限速度を取得した場合、該取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示するように構成されている、
車両運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両に適用される制限速度を自車両に設けられたディスプレイ等の表示装置に表示する車両運転支援装置が知られている。こうした車両運転支援装置として、カメラにより撮像して取得した画像情報から道路標識を認識し、その道路標識で指定されている制限速度を取得するとともに、データベースから制限速度を取得し、これら取得した制限速度のうち、何れかの制限速度を適宜選択して表示装置に表示するようにした車両運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-45194号公報
【発明の概要】
【0004】
工事が行われている道路に通常の制限速度とは異なる制限速度を指定するための道路標識が設置されることがある。従って、工事が行われている道路の区間(工事区間)を自車両が走行しているときにデータベースや通常設置されている道路標識から取得した制限速度を表示装置に表示してしまうと、その表示した制限速度が工事区間を走行中の自車両に適用されるべき制限速度とは異なることがある。
【0005】
本発明の目的は、自車両に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置に表示することができる車両運転支援装置を提供することにある。
【0006】
本発明に係る車両運転支援装置は、自車両の前方を撮像して前記自車両の前方の状況に関する情報を車両前方情報として取得する車両前方情報取得装置と、前記自車両にその時点で適用される制限速度の表示装置での表示を制御する制御装置と、を備えている。
【0007】
そして、前記制御装置は、前記車両前方情報から道路標識に表示されている制限速度を標識制限速度として取得するとともに、制限速度を記憶してあるデータベースから前記自車両にその時点で適用される制限速度をデータベース制限速度として取得し、工事区間における制限速度を表示している事区間道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記工事区間道路標識に表示されている制限速度を工事区間標識制限速度として取得して該取得した工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示するように構成されている。
【0008】
更に、前記制御装置は、前記データベース制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が所定表示変更許可距離よりも短い場合、前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示せずに前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を継続するように構成されている。
そして、本発明に係る車両運転支援装置の1つにおいて、前記制御装置は、前記工事区間以外の道路における制限速度を表示している一般道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記一般道路標識に表示されている制限速度を一般標識制限速度として取得し、前記一般標識制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が前記所定表示変更許可距離よりも短い場合でも、前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を終了して前記取得した一般標識制限速度を前記表示装置に表示するように構成されている。
【0009】
工事区間標識制限速度を取得した場合、それを取得してから一定の距離を自車両が走行するまでの間は、データベース制限速度を取得したとしても、自車両に適用される制限速度は、工事区間標識制限速度である可能性が高い。従って、こうした状況下、データベース制限速度を取得したからといって、そのデータベース制限速度を表示装置に表示してしまうと、誤った制限速度を表示装置に表示していることになる可能性がある。
【0010】
本発明によれば、工事区間標識制限速度を取得した場合、それを取得してから一定の距離(所定表示変更許可距離)を自車両が走行するまでの間は、データベース制限速度を取得したとしても、工事区間表示制限速度を表示装置に表示し続ける。このため、自車両に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置に表示することができる。
又、工事区間標識制限速度を取得した場合、それを取得してから一定の距離を自車両が走行するまでの間に一般標識制限速度を取得した場合、自車両に適用される制限速度は、一般標識制限速度である可能性が高い。従って、こうした状況においては、一般標識制限速度を表示装置に表示することが好ましい。
本発明によれば、工事区間標識制限速度を取得した場合、それを取得してから一定の距離(所定表示変更許可距離)を自車両が走行するまでの間に一般標識制限速度を取得した場合、一般標識制限速度を表示する。このため、自車両に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置に表示することができる。
或いは、本発明に係る車両運転支援装置の別の1つにおいて、前記制御装置は、前記工事区間以外の道路における制限速度を表示している一般道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記一般道路標識に表示されている制限速度を一般標識制限速度として取得し、前記一般標識制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が前記所定表示変更許可距離以上である場合、前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を終了して前記取得した一般標識制限速度を前記表示装置に表示するように構成されている。
工事区間標識制限速度を取得してから一定の距離を自車両が走行した後、一般標識制限速度を取得した場合、自車両に適用される制限速度は、工事区間標識制限速度ではなく、一般標識制限速度である可能性が高い。従って、こうした状況下、取得した一般標識制限速度を表示装置に表示せずに、工事区間標識制限速度を表示装置に表示し続けると、誤った制限速度を表示装置に表示していることになる可能性がある。
本発明によれば、工事区間標識制限速度を取得してから一定の距離(所定表示変更許可距離)を自車両が走行した後は、一般標識制限速度を取得した場合、その一般標識制限速度を表示装置に表示する。このため、自車両に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置に表示することができる。
或いは、本発明に係る車両運転支援装置の更に別の1つにおいて、前記制御装置は、前記工事区間以外の道路における制限速度を表示している一般道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記一般道路標識に表示されている制限速度を一般標識制限速度として取得し、前記制御装置は、前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示していないときに前記一般標識制限速度を取得した場合、該取得した一般標識制限速度を前記表示装置に表示するように構成されている。
表示装置に工事区間標識制限速度を表示していない場合、自車両が工事区間を走行している可能性は低い。従って、こうした状況下、一般標識制限速度を取得した場合、その一般標識制限速度が自車両に適用される制限速度である可能性が高い。
本発明によれば、工事区間標識制限速度を表示装置に表示していないときに一般標識制限速度を取得した場合、取得した一般標識制限速度を表示装置に表示する。このため、自車両に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置に表示することができる。
或いは、本発明に係る車両運転支援装置の更に別の1つにおいて、前記制御装置は、前記工事区間以外の道路における制限速度を表示している一般道路標識に関する情報が前記車両前方情報に含まれている場合、該車両前方情報から前記一般道路標識に表示されている制限速度を一般標識制限速度として取得し、前記データベース制限速度を前記表示装置に表示しているときに前記一般標識制限速度を取得した場合、前記表示装置における前記データベース制限速度の表示を終了して前記取得した一般標識制限速度を前記表示装置に表示し、前記一般標識制限速度を前記表示装置に表示しているときに前記データベース制限速度を取得した場合、前記表示装置における前記一般標識制限速度の表示を終了して前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示するように構成されている。
本発明によれば、データベース制限速度を表示装置に表示しているときに一般標識制限速度を取得した場合、表示装置における制限速度の表示が一般標識制限速度に切り替えられ、一般標識制限速度を表示装置に表示しているときにデータベース制限速度を取得した場合、表示装置における制限速度の表示がデータベース制限速度に切り替えられる。このため、最新の制限速度を表示装置に表示することができる。
【0011】
尚、本発明の1つの態様においては、前記制御装置は、前記データベース制限速度を取得したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合において、該表示装置に表示している工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が前記所定表示変更許可距離以上である場合、前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を終了して前記取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示するように構成される。
【0012】
工事区間標識制限速度を取得してから一定の距離を自車両が走行した後、データベース制限速度を取得した場合、自車両に適用される制限速度は、工事区間標識制限速度ではなく、データベース制限速度である可能性が高い。従って、こうした状況下、取得したデータベース制限速度を表示装置に表示せずに、工事区間標識制限速度を表示装置に表示し続けると、誤った制限速度を表示装置に表示していることになる可能性がある。
【0013】
この態様によれば、工事区間標識制限速度を取得してから一定の距離(所定表示変更許可距離)を自車両が走行した後は、データベース制限速度を取得した場合、そのデータベース制限速度を表示装置に表示する。このため、自車両に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置に表示することができる。
【0020】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記工事区間標識制限速度を取得してから前記自車両が走行した距離が前記所定表示変更許可距離よりも長い所定表示終了距離に達したときに前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示している場合、前記表示装置における前記工事区間標識制限速度の表示を終了するように構成される。
【0021】
一般に、工事区間は、一定の長さの区間に限られる。従って、工事区間標識制限速度を取得してから比較的長い距離を自車両が走行した場合、自車両に適用される制限速度は、工事区間標識制限速度ではなくなっている可能性が高い。従って、こうした状況下、工事区間標識制限速度を表示装置に表示し続けると、誤った制限速度を表示装置に表示していることになる可能性がある。
【0022】
この態様によれば、工事区間標識制限速度を取得してから比較的長い距離(所定表示終了距離)を自車両が走行したときに表示装置における工事区間標識制限速度の表示を終了する。このため、自車両に適用される制限速度として適切でない制限速度を表示装置に表示してしまうことを回避することができる。
【0023】
又、本発明の別の態様においては、前記制御装置は、前記工事区間標識制限速度を前記表示装置に表示していないときに前記データベース制限速度を取得した場合、該取得したデータベース制限速度を前記表示装置に表示するように構成される。
【0024】
表示装置に工事区間標識制限速度を表示していない場合、自車両が工事区間を走行している可能性は低い。従って、こうした状況下、データベース制限速度を取得した場合、そのデータベース制限速度が自車両に適用される制限速度である可能性が高い。
【0025】
この態様によれば、工事区間標識制限速度を表示装置に表示していないときにデータベース制限速度を取得した場合、取得したデータベース制限速度を表示装置に表示する。このため、自車両に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置に表示することができる。
【0031】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置及びその車両運転支援装置が搭載される車両を示した図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置による制限速度の表示パターンの1つを示した図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置による制限速度の表示パターンの別の1つを示した図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置による制限速度の表示パターンの更に別の1つを示した図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置による制限速度の表示パターンの更に別の1つを示した図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置による制限速度の表示パターンの更に別の1つを示した図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置について説明する。図1に示したように、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置10は、車両(自車両100)に搭載される。
【0034】
車両運転支援装置10は、制御装置としてのECU90を備えている。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。ECU90は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。
【0035】
<ウインカー>
又、自車両100には、ウインカー21が搭載されている。ウインカー21は、自車両100が旋回する方向を自車両100の外の人に示すための装置である。ウインカー21は、自車両100の右前方のコーナー部分、左前方のコーナー部分、右後方のコーナー部分及び左後方のコーナー部分に設けられている。ウインカー21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、後述するウインカーレバー31に対する操作に応じてウインカー21を作動させる。
【0036】
<表示装置>
更に、自車両100には、表示装置22が搭載されている。表示装置22は、自車両100の運転者DRが自車両100の運転中に視認することができるように各種画像を表示する装置であり、例えば、コンビネーションメータやヘッドアップディスプレイ(HUD)等のディスプレイである。表示装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、表示装置22に各種画像を表示させることができる。
【0037】
<センサ等>
更に、自車両100には、ウインカーレバー31、ウインカーレバーセンサ32、車速検出装置41、ヨーレートセンサ51、車両前方情報取得装置60及びデータベース情報取得装置70が搭載されている。
【0038】
<ウインカーレバーセンサ>
ウインカーレバーセンサ32は、ウインカーレバー31の作動位置を検出するセンサである。ウインカーレバー31は、ウインカー21を作動させるために運転者DRにより操作される機器である。ウインカーレバーセンサ32は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、ウインカーレバーセンサ32からウインカーレバー31が時計回りに操作されたことを示す信号を受信した場合、右前方のコーナー部分及び右後方のコーナー部分に設けられたウインカー21をそれぞれ点滅させる。一方、ECU90は、ウインカーレバーセンサ32からウインカーレバー31が反時計回りに操作されたことを示す信号を受信した場合、左前方のコーナー部分及び左後方のコーナー部分に設けられたウインカー21をそれぞれ点滅させる。
【0039】
<車速検出装置>
車速検出装置41は、自車両100の走行速度を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置41は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置41は、検出した自車両100の走行速度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の走行速度(自車速V100)を取得する。
【0040】
<ヨーレートセンサ>
ヨーレートセンサ51は、自車両100のヨーレートYRを検出するセンサである。ヨーレートセンサ51は、ECU90に電気的に接続されている。ヨーレートセンサ51は、検出した自車両100のヨーレートYRの情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100のヨーレートYRを取得する。
【0041】
<車両前方情報取得装置>
車両前方情報取得装置60は、自車両100の前方の状況を検出する装置であり、本例においては、画像センサ61を備えている。
【0042】
<画像センサ>
画像センサ61は、自車両100の前方を撮像するセンサであり、例えば、カメラである。画像センサ61は、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ61は、自車両100の前方を撮像し、撮像した画像の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(画像情報IC又は画像データ)に基づいて自車両100の前方の状況に関する情報(車両前方情報IF)を取得することができる。
【0043】
<データベース情報取得装置>
データベース情報取得装置70は、GPS装置71、データベース72及び受信装置73を備えている。
【0044】
<GPS装置>
GPS装置71は、いわゆるGPS信号を受信するための装置である。GPS装置71は、ECU90に電気的に接続されている。GPS装置71は、受信したGPS信号をECU90に送信する。ECU90は、GPS信号に基づいて自車両100の現在位置を取得する。
【0045】
<データベース>
データベース72は、各種情報を記憶しておく装置であり、本例においては、各種情報として、地図情報IM及び道路情報IRを記憶している。尚、車両運転支援装置10は、地図情報IM又は道路情報IRを自車両100の外部のデータベースから無線で取得するように構成されてもよい。
【0046】
データベース72は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、自車両100の現在位置をデータベース72に記憶されている地図情報IMと照合し、自車両100が現在走行している地図上の地点を特定し、その地点に基づいて自車両100が走行している道路を特定し、その道路に関する各種情報(データベース情報ID)を道路情報IRから取得する。本例において、道路情報IRには、少なくとも、車両に適用される制限速度に関する情報が含まれている。従って、ECU90は、道路情報IRから制限速度に関する情報(データベース情報ID)を取得することができる。
【0047】
<受信装置>
受信装置73は、道路に設置されている路側機等の送信機から発信される情報を示す無線信号を受信する装置である。この無線信号が示す情報には、少なくとも、車両に適用される制限速度に関する情報が含まれている。受信装置73は、ECU90に電気的に接続されている。受信装置73は、受信した無線信号をECU90に送信する。ECU90は、その無線信号が示す制限速度に関する情報(データベース情報ID)を取得することができる。
【0048】
<車両運転支援装置の作動の概要>
次に、車両運転支援装置10の作動について説明する。
【0049】
車両運転支援装置10は、自車両100の走行中、道路に通常設置されている道路標識(一般道路標識200G)に関する情報が車両前方情報IFに含まれている場合、その情報に基づいて一般道路標識200Gに表示されている制限速度を一般標識制限速度VGとして取得する処理を行っている。
【0050】
又、車両運転支援装置10は、自車両100の走行中、自車両100の現在位置をデータベース72に記憶されている地図情報IMと照合してその時点で自車両100に適用される制限速度の情報を取得することができた場合、その制限速度をデータベース制限速度VDとして取得する処理を行っている。
【0051】
更に、車両運転支援装置10は、自車両100の走行中、道路の工事区間に設置されている道路標識であってその工事区間おける制限速度を表示している道路標識(工事区間道路標識200C)に関する情報が車両前方情報IFに含まれている場合、その情報に基づいてその工事区間道路標識200Cに表示されている制限速度を工事区間標識制限速度VCとして取得する処理を行っている。
【0052】
車両運転支援装置10は、一般標識制限速度VG、データベース制限速度VD又は工事区間標識制限速度VCを取得した場合、そのときの表示装置22における制限速度の表示状況に応じて、表示装置22における制限速度の表示を以下のように行う。
【0053】
車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないときに一般標識制限速度VGを取得した場合、取得した一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0054】
又、車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示しているが、その工事区間標識制限速度VCを取得してから自車両100が走行した距離(自車走行距離Dmove)が所定の距離(所定表示変更許可距離Dth_1)以上であるときに一般標識制限速度VGを取得した場合、工事区間標識制限速度VCに代えて、取得した一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0055】
車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを取得してから経過した時間及び自車速V100等に基づいて自車走行距離Dmoveを取得する。
【0056】
所定表示変更許可距離Dth_1は、「工事区間道路標識200Cに表示されている制限速度が適用される工事区間の長さ」に設定され、或いは、「工事区間道路標識200Cに表示されている制限速度が適用される工事区間の長さとして推定される長さ」に設定される。或いは、所定表示変更許可距離Dth_1は、「工事区間道路標識200Cに表示されている制限速度が適用される工事区間の一般的な長さ」に設定されてもよい。又、所定表示変更許可距離Dth_1は、自車両100が走行している国毎の距離に設定されてもよい。
【0057】
尚、車両運転支援装置10は、このように一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する場合において、データベース制限速度VD又は一般標識制限速度VGを表示装置22に表示しているときには、それらデータベース制限速度VD又は一般標識制限速度VGに代えて、新たに取得した一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0058】
同様に、車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないときにデータベース制限速度VDを取得した場合、取得したデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する。
【0059】
又、車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示しているが、その工事区間標識制限速度VCを取得してから自車両100が走行した距離(自車走行距離Dmove)が所定の距離(所定表示変更許可距離Dth_1)以上であるときにデータベース制限速度VDを取得した場合、工事区間標識制限速度VCに代えて、取得したデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する。
【0060】
尚、車両運転支援装置10は、このようにデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する場合において、一般標識制限速度VG又はデータベース制限速度VDを表示装置22に表示しているときには、それら一般標識制限速度VG又はデータベース制限速度VDに代えて、新たに取得したデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する。
【0061】
一方、車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを取得した場合、表示装置22に制限速度を表示していないときにはもちろん、取得した工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示するが、表示装置22に一般標識制限速度VG又はデータベース制限速度VDを表示しているときにも、それら一般標識制限速度VG又はデータベース制限速度VDに代えて、取得した工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示する。
【0062】
又、車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示しているときに工事区間標識制限速度VCを新たに取得した場合も、新たに取得した工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示する。
【0063】
又、車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを取得してから自車両100が走行した距離(自車走行距離Dmove)が所定表示変更許可距離Dth_1よりも短い間に一般標識制限速度VGを取得した場合には、表示装置22における工事区間標識制限速度VCの表示を終了して、取得した一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0064】
一方、車両運転支援装置10は、工事区間標識制限速度VCを取得してから自車両100が走行した距離(自車走行距離Dmove)が所定表示変更許可距離Dth_1よりも短い間は、データベース制限速度VDを取得しても、そのデータベース制限速度VDを表示装置22に表示せずに、工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示し続ける。
【0065】
そして、車両運転支援装置10は、先に述べたように、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1以上になった後に一般標識制限速度VG又はデータベース制限速度VDを取得した場合には、工事区間標識制限速度VCに代えて、取得した一般標識制限速度VG又はデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する。
【0066】
又、車両運転支援装置10は、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1以上になった後、一般標識制限速度VG、データベース制限速度VD及び新たな工事区間標識制限速度VCの何れも取得しないまま、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1よりも長い所定の距離(所定表示終了距離Dth_2)に達した場合、表示装置22における工事区間標識制限速度VCの表示を終了する。
【0067】
これにより、車両運転支援装置10は、以下のように表示装置22に制限速度を表示することになる。
【0068】
例えば、車両運転支援装置10は、図2に示したように、時刻t20にて、車両前方情報IFに基づいて一般道路標識200Gに表示されている時速40キロメートルの制限速度(一般標識制限速度VG)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないので、取得した時速40キロメートルの一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0069】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t21にて、データベース情報IDに基づいて時速60キロメートルの制限速度(データベース制限速度VD)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないので、その時点で表示装置22に表示されている時速40キロメートルの一般標識制限速度VGに代えて、取得した時速60キロメートルのデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する。
【0070】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t22にて、車両前方情報IFに基づいて一般道路標識200Gに表示されている時速40キロメートルの制限速度(一般標識制限速度VG)を新たに取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないので、その時点で表示装置22に表示されている時速60キロメートルのデータベース制限速度VDに代えて、新たに取得した時速40キロメートルの一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0071】
又、車両運転支援装置10は、図3に示したように、時刻t30にて、車両前方情報IFに基づいて一般道路標識200Gに表示されている時速40キロメートルの制限速度(一般標識制限速度VG)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないので、取得した時速40キロメートルの一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0072】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t31にて、車両前方情報IFに基づいて工事区間道路標識200Cに表示されている時速30キロメートルの制限速度(工事区間標識制限速度VC)を取得した場合、その時点で表示装置22に表示されている時速40キロメートルの一般標識制限速度VGに代えて、取得した時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示する。
【0073】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t32にて、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1を超え、その後、時刻t33にて、データベース情報IDに基づいて時速60キロメートルの制限速度(データベース制限速度VD)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示しているが、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1以上となっているので、その時点で表示装置22に表示されている時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCに代えて、取得した時速60キロメートルのデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する。
【0074】
又、車両運転支援装置10は、図4に示したように、時刻t40にて、車両前方情報IFに基づいて一般道路標識200Gに表示されている時速40キロメートルの制限速度(一般標識制限速度VG)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないので、取得した時速40キロメートルの一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0075】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t41にて、車両前方情報IFに基づいて工事区間道路標識200Cに表示されている時速30キロメートルの制限速度(工事区間標識制限速度VC)を取得した場合、その時点で表示装置22に表示されている時速40キロメートルの一般標識制限速度VGに代えて、取得した時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示する。
【0076】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t42にて、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1を超え、その後、時刻t43にて、車両前方情報IFに基づいて一般道路標識200Gに表示されている時速60キロメートルの制限速度(一般標識制限速度VG)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示しているが、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1以上となっているので、その時点で表示装置22に表示されている時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCに代えて、取得した時速60キロメートルの一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0077】
又、車両運転支援装置10は、図5に示したように、時刻t50にて、車両前方情報IFに基づいて一般道路標識200Gに表示されている時速40キロメートルの制限速度(一般標識制限速度VG)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないので、取得した時速40キロメートルの一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0078】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t51にて、車両前方情報IFに基づいて工事区間道路標識200Cに表示されている時速30キロメートルの制限速度(工事区間標識制限速度VC)を取得した場合、その時点で表示装置22に表示されている時速40キロメートルの一般標識制限速度VGに代えて、取得した時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示する。
【0079】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t52にて、データベース情報IDに基づいて時速60キロメートルの制限速度(データベース制限速度VD)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示しており且つ自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1よりも短いので、取得した速60キロメートルのデータベース制限速度VDを表示装置22に表示せずに、時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示し続ける。
【0080】
尚、図5に示した例においては、時刻t53にて、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1を超え、その後、一般標識制限速度VGもデータベース制限速度VDも工事区間標識制限速度VCも取得されないまま、時刻tt54にて、自車走行距離Dmoveが所定表示終了距離Dth_2に達している。従って、車両運転支援装置10は、時刻t54にて、表示装置22における制限速度の表示(図5に示した例においては、時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCの表示)を終了する。
【0081】
又、車両運転支援装置10は、図6に示したように、時刻t60にて、車両前方情報IFに基づいて一般道路標識200Gに表示されている時速40キロメートルの制限速度(一般標識制限速度VG)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示していないので、取得した時速40キロメートルの一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0082】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t61にて、車両前方情報IFに基づいて工事区間道路標識200Cに表示されている時速30キロメートルの制限速度(工事区間標識制限速度VC)を取得した場合、その時点で表示装置22に表示されている時速40キロメートルの一般標識制限速度VGに代えて、取得した時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示する。
【0083】
その後、車両運転支援装置10は、時刻t62にて、車両前方情報IFに基づいて時速60キロメートルの制限速度(一般標識制限速度VG)を取得した場合、その時点で工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示しており且つ自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1よりも短くても、表示装置22における時速30キロメートルの工事区間標識制限速度VCを終了して、取得した速60キロメートルの一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。
【0084】
尚、表示装置22に工事区間標識制限速度VCが表示されている間に自車両100が右左折することもあり得る。車両運転支援装置10は、表示装置22に工事区間標識制限速度VCが表示されている間に自車両100が右左折した場合、表示装置22における工事区間標識制限速度VCの表示を終了する。車両運転支援装置10は、ウインカー21の作動状態及び自車両100のヨーレートYRに基づいて自車両100が右左折したか否かを判定する。車両運転支援装置10は、ウインカー21が点滅され且つヨーレートYRが右左折判定値YRth以上となった場合、自車両100が右折又は左折したと判定する。
【0085】
又、工事区間道路標識200Cが一般道路標識200Gの直ぐ後に設置されていることがあり、この場合において、車両前方情報IFに基づいて一般道路標識200Gに表示されている制限速度(一般標識制限速度VG)を取得した時点でその一般標識制限速度VGを表示装置22に表示し、車両前方情報IFに基づいて工事区間道路標識200Cに表示されている制限速度(工事区間標識制限速度VC)を取得した時点でその工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示すると、表示装置22における制限速度の表示が短時間で切り替わる現象が生じ、運転者DRが表示装置22に表示された制限速度を認識しづらくなる可能性がある。
【0086】
そこで、車両運転支援装置10は、車両前方情報IFに基づいて一般標識制限速度VG又は工事区間標識制限速度VCを取得した場合、それら一般標識制限速度VG又は工事区間標識制限速度VCを取得してから自車両100が走行した距離が一定の距離に達したときにそれら一般標識制限速度VG又は工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示するように構成されてもよい。この場合、上記一定の距離は、運転者DRが認識しづらいような表示装置22における制限速度の表示の切り替わりを回避するのに十分な距離に設定される。従って、上記一定の距離は、所定表示変更許可距離Dth_1よりも相当に短い距離に設定される。
【0087】
<効果>
工事区間標識制限速度VCを取得した場合、それを取得してから一定の距離を自車両100が走行するまでの間は、データベース制限速度VDを取得したとしても、自車両100に適用される制限速度は、工事区間標識制限速度VCである可能性が高い。従って、こうした状況下、データベース制限速度VDを取得したからといって、そのデータベース制限速度VDを表示装置22に表示してしまうと、誤った制限速度を表示装置22に表示していることになる可能性がある。
【0088】
車両運転支援装置10によれば、工事区間標識制限速度VCを取得した場合、それを取得してから一定の距離(所定表示変更許可距離Dth_1)を自車両100が走行するまでの間は、データベース制限速度VDを取得したとしても、工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示し続ける。このため、自車両100に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置22に表示することができる。
【0089】
一方、工事区間標識制限速度VCを取得してから一定の距離を自車両100が走行するまでの間に一般標識制限速度VGを取得した場合、自車両100に適用される制限速度は、一般標識制限速度VGである可能性が高い。従って、こうした状況において、工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示してしまうと、誤った制限速度を表示装置22に表示していることになる可能性がある。
【0090】
車両運転支援装置10によれば、工事区間標識制限速度VCを取得してから一定の距離(所定表示変更許可距離Dth_1)を自車両100が走行するまでの間に一般標識制限速度VGを取得した場合、表示装置22における工事区間標識制限速度VCの表示を終了して、一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。このため、自車両100に適用される制限速度として適切な制限速度を表示装置22に表示することができる。
【0091】
<車両運転支援装置の具体的な作動>
次に、車両運転支援装置10の具体的な作動について説明する。車両運転支援装置10のECU90のCPUは、図7に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図7のステップ700から処理を開始し、その処理をステップ705に進め、工事区間標識制限速度VCを取得したか否かを判定する。
【0092】
CPUは、ステップ705にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ710に進め、取得した工事区間標識制限速度VCを表示装置22に表示する。次いで、CPUは、処理をステップ795に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0093】
一方、CPUは、ステップ705にて「No」と判定した場合、処理をステップ715に進め、一般標識制限速度VGを取得したか否かを判定する。
【0094】
CPUは、ステップ715にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ720に進め、取得した一般標識制限速度VGを表示装置22に表示する。次いで、CPUは、ステップ795に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0095】
一方、ステップ715にて「No」と判定した場合、処理をステップ725に進め、データベース制限速度VDを取得したか否かを判定する。
【0096】
CPUは、ステップ725にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ730に進め、図8に示したルーチンを実行する。従って、CPUは、処理をステップ730に進めると、図8のステップ800から処理を開始し、その処理をステップ805に進め、工事区間標識制限速度VCの表示中であるか否かを判定する。
【0097】
CPUは、ステップ805にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ810に進め、自車走行距離Dmoveが所定表示変更許可距離Dth_1以上であるか否かを判定する。
【0098】
CPUは、ステップ810にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ815に進め、取得したデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する。次いで、CPUは、ステップ895を経由して図7のステップ795に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0099】
一方、CPUは、ステップ810にて「No」と判定した場合、ステップ895を経由して図7のステップ795に処理を直接進め、本ルーチンを一旦終了する。この場合、表示装置22における工事区間標識制限速度VCの表示が継続される。
【0100】
又、CPUは、ステップ805にて「No」と判定した場合、処理をステップ820に進め、取得したデータベース制限速度VDを表示装置22に表示する。次いで、CPUは、ステップ895を経由して図7のステップ795に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0101】
又、CPUは、図7のステップ730にて「No」と判定した場合、処理をステップ795に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0102】
更に、CPUは、図9に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図9のステップ900から処理を開始し、その処理をステップ905に進め、工事区間標識制限速度VCの表示中であるか否かを判定する。
【0103】
CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ910に進め、自車走行距離Dmoveが所定表示終了距離Dth_2以上であるか否かを判定する。
【0104】
CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ915に進め、表示装置22における工事区間標識制限速度VCの表示を終了する。次いで、CPUは、ステップ995に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0105】
一方、CPUは、ステップ910にて「No」と判定した場合、処理をステップ995に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0106】
又、CPUは、ステップ905にて「No」と判定した場合も、処理をステップ995に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0107】
更に、CPUは、図10に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図10のステップ1000から処理を開始し、その処理をステップ1005に進め、工事区間標識制限速度VCの表示中であるか否かを判定する。
【0108】
CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1010に進め、自車両100が右折又は左折したか否かを判定する。
【0109】
CPUは、ステップ1010にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1015に進め、表示装置22における工事区間標識制限速度VCの表示を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ1095に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0110】
一方、CPUは、ステップ1010にて「No」と判定した場合、処理をステップ1095に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0111】
又、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定した場合も、処理をステップ1095に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0112】
以上が車両運転支援装置10の具体的な作動である。
【0113】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0114】
10…車両運転支援装置、22…表示装置、41…車速検出装置、60…車両前方情報取得装置、61…画像センサ、70…データベース情報取得装置、71…GPS装置、72…データベース、73…受信装置、90…ECU、100…自車両、200G…一般道路標識、200C…工事区間道路標識

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10