(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240702BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240702BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2021132071
(22)【出願日】2021-08-13
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 伊吹
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-021453(JP,A)
【文献】国際公開第2020/183554(WO,A1)
【文献】特開2018-065410(JP,A)
【文献】特開2019-131391(JP,A)
【文献】特開2020-061120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H04N 7/18
B60R 25/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視員が配達員を含む人の存在する宅配用の自動運転車両を遠隔監視
するための監視装置を備えた
前記自動運転車両に搭載された情報処理装置であって、
前記自動運転車両の停止状態において前記自動運転車両内に
前記人がいないと判定する場合に、前記監視装置の監視機能を抑制
し、前記自動運転車両に前記人がいると判定した場合に、前記監視機能の抑制を解除する制御部
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記自動運転車両のスマートキーが前記自動運転車両内に存在しないと判定する場合に、前記自動運転車両内に
前記配達員がいないと判定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記スマートキーからの電波の電界強度又は受信電力の履歴が前記スマートキーの前記自動運転車両の車内から車外への移動を示す場合に、前記スマートキーが前記自動運転車両内に存在しないと判定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記スマートキーが前記自動運転車両の車外から車内に移動したと判定する場合に、前記監視装置の監視機能の抑制を解除する
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記停止状態において前記自動運転車両内を撮像した撮像画像又はセンサの出力に基づいて前記自動運転車両内に
前記配達員がいないと判定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記監視機能の非抑制状態において前記監視装置が前記自動運転車両の監視用の画像を撮像する場合に、前記制御部は、前記監視機能の抑制状態において、前記監視用の画像の撮像範囲を前記非抑制状態における前記監視用の画像の撮像範囲よりも小さくする
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記監視機能の非抑制状態において前記監視装置が前記自動運転車両の監視用の画像を
撮像する場合に、前記制御部は、前記監視機能の抑制状態において、前記監視画像の撮像の停止、又は前記監視画像の送信を停止する
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記監視機能の抑制状態において、前記スマートキーが前記自動運転車両の車外にある状態で前記自動運転車両内に
前記人が存在すると判定する場合に、前記監視機能の抑制を解除する
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
監視員が配達員を含む人の存在する宅配用の自動運転車両を遠隔監視
するための監視装置を備えた
前記自動運転車両に搭載された情報処理装置が、
前記自動運転車両の停止状態において前記自動運転車両内に
前記人がいないと判定する場合に前記監視装置の監視機能を抑制
し、前記自動運転車両に前記人がいると判定した場合に、前記監視機能の抑制を解除すること
を実行する情報処理方法。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記自動運転車両のスマートキーが前記自動運転車両内に存在しないと判定される場合に、前記自動運転車両内に
前記配達員がいないと判定する
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記情報処理装置は、前記スマートキーからの電波の電界強度又は受信電力の履歴が前記スマートキーの前記自動運転車両の車内から車外への移動を示す場合に、前記スマートキーが前記自動運転車両内に存在しないと判定する
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記スマートキーが前記自動運転車両の車外から車内に移動したと判定する場合に、前記監視装置の監視機能の抑制を解除する
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記情報処理装置は、前記停止状態において前記自動運転車両内を撮像した撮像画像又はセンサの出力に基づいて前記自動運転車両内に
前記配達員がいないと判定する
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記監視機能の非抑制状態において前記監視装置が前記自動運転車両の監視用の画像を撮像する場合に、前記情報処理装置は、前記監視機能の抑制状態において、前記監視用の画像の撮像範囲を前記非抑制状態における前記監視用の画像の撮像範囲よりも小さくする請求項9から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記監視機能の非抑制状態において前記監視装置が前記自動運転車両の監視用の画像を撮像する場合に、前記
情報処理装置は、前記監視機能の抑制状態において、前記監視画像の撮像の停止、又は前記監視画像の送信を停止する
請求項9から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項16】
監視員が配達員を含む人の存在する宅配用の自動運転車両を遠隔監視
するための監視装置を備えた
前記自動運転車両に搭載されたコンピュータに、
前記自動運転車両の停止状態において前記自動運転車両内に
前記人がいないと判定する場合に前記監視装置の監視機能を抑制
し、前記自動運転車両に前記人がいると判定した場合に、前記監視機能の抑制を解除することを実行させるプログラム。
【請求項17】
前記プログラムは、前記自動運転車両のスマートキーが前記自動運転車両内に存在しな
いと判定される場合に、前記コンピュータに前記自動運転車両内に
前記配達員がいないと判定させる請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記プログラムは、前記スマートキーからの電波の電界強度又は受信電力の履歴が前記スマートキーの前記自動運転車両の車内から車外への移動を示す場合に、前記コンピュータに前記スマートキーが前記自動運転車両内に存在しないと判定させる
請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記プログラムは、前記スマートキーが前記自動運転車両の車外から車内に移動したと判定される場合に、前記コンピュータに前記監視装置の監視機能の抑制を解除させる請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記停止状態において前記自動運転車両内を撮像した撮像画像又はセンサの出力に基づいて前記自動運転車両内に
前記配達員がいないと判定させる請求項16に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視者の監視対象である車両から取得した車両情報に基づいて車両についての監視優先度を決定し、監視優先度に基づいて車両の監視のための提示情報を決定するものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、遠隔監視者の負担を低減可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、遠隔監視のための監視装置を備えた宅配用の自動運転車両に搭載された情報処理装置である。この情報処理装置は、自動運転車両が停止状態において自動運転車両内に配達員がいないと判定する場合に、監視装置の監視機能を抑制する制御部を含む。
【0006】
本開示は、他の態様として、上記した情報処理装置と同様の特徴を有する情報処理方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体、及び情報処理システムなどを含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、監視機能の抑制により遠隔監視者の負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した車載情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、動作例1を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、動作例2を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、動作例3を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る情報処理装置は、遠隔監視のための監視装置を備えた宅配用の自動運転車両に搭載される。また、情報処理装置は、自動運転車両が停止状態において自動運転車両内に配達員がいないと判定する場合に、監視装置の監視機能を抑制する制御部を含む。
【0010】
監視機能の抑制によって、監視員が監視を行うための情報が中断、或いは提供される監視用の情報量が低減される。これによって、監視員の監視の負担を低減することができる。
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを説明する。実施形態の構成は例示である。実施形態の構成は適宜組み合わせることができる。
【0012】
<情報処理システムの構成>
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図1において、情報処理システムは、車両2と、管制センタ4のコンピュータ(以下、「管制センタ4」と表記)とを有する。車両2には、車載情報処理システム20が搭載されており、車載情報処理システム20と管制センタ4とはネットワークNで接続され、相互に通信可能である。車載情報処理システム20は「情報処理装置」の一例である。
【0013】
ネットワークNは、有線ネットワーク、及び、無線ネットワークを含む。有線ネットワークは、例えば、コアネットワーク、バックボーン等とも呼ばれ、光ファイバ網等で例示されるブロードバンドネットワークである。無線ネットワークは、例えば、Long Term Evolution(LTE)、第5世代移動通信システム(5G)、第6世代移動通信システム(
6G)等で例示される携帯電話網を含む。
【0014】
車両2は、宅配用の自動運転車両である。本実施形態では、車両2は、完全運転自動化(自動運転レベル5)の車両(完全自動運転車)である。但し、車両2は、必ずしも完全自動運転車でなければならない訳ではなく、運転手が搭乗している場合もあり得る。車両2はエンジンで駆動されるものでもよいし、モータで駆動されるものでもよい。
【0015】
管制センタ4は、サーバマシン、パーソナルコンピュータ、或いはワークステーションなどの専用又は汎用のコンピュータを用いて構成可能である。管制センタ4は、車両2を含む管理及び監視対象の車両のそれぞれの運行、及び、保守等を管理する。管制センタ4は、例えば、定期的に運行される車両2の運行開始時刻、運行、運行終了時刻、及び、保守時間帯等の運行スケジュールを作成する。管制センタ4は、運行スケジュールを適時更新し、車両2に配布し、車両2の運行を管理する。車両2は、運行スケジュールに従った自動運転を行い、1又は2以上の配達先を巡回することができる。
【0016】
車両2内には、宅配用の荷物を収容した貨物室3があり、貨物室3には、配達対象の荷物4が収容されている。貨物室3には、荷物4を受け取り人に配達する配達員5が乗り込んでいる。配達員5は、車両2が所定の位置で停車(停止)した場合に、荷物4を持って降車し、引き渡し場所へ移動し、受け取り人に荷物4を引き渡す。
【0017】
配達員5は、スマートキー6を所持している。車載情報処理システム20は、スマートキーシステム40を含んでいる。スマートキー6は、スマートキーシステム40から送信された電波を受信すると、スマートキーシステム40向けに電波を送信する。スマートキーシステム40は、スマートキー6からの電波の電界強度又は受信電力が所定レベルより低下した場合等に、スマートキー6が車両2の外部(車外)に移動したと判定し、車両2のドアを施錠する。また、スマートキーシステム40は、車両2の駆動源(エンジン或いはモータ等)をオフにする。一方、スマートキー6からの電波の電界強度又は受信電力強度が所定レベル以上になると、ドアを開錠し、駆動源をオンにすることが可能な状態にする。これにより、配達員5は、車両2から降りて荷物4を配達するのに際してドアの解錠及び施錠動作、及び駆動源のオフを行わずに済む。なお、スマートキー6は、専用のスカートキーデバイスであってもよく、スマートキー機能が実装されたスマートデバイス(スマートフォン又はタブレット装置等)であってもよい。
【0018】
車載情報処理システム20は、自動運転に係る情報を適宜のタイミングで管制センタ4に通知する。自動運転に係る情報は、車載情報処理システム20が自動運転のために収集
して認知した情報(車両2の位置など)、認知した情報に基づく判断、及び判断の結果に基づいて行った走行機構の制御内容などを示す情報を含む。車両2の監視員11は、管制センタ4に届いた情報を参照し、車両2の自動運転に異常等がないかを監視する。上述した自動運転に係る情報の生成及び通知は、車載情報処理システム20に含まれる監視装置50(
図2)が行ってもよく、監視装置50以外で行われてもよい。
【0019】
監視装置50は、貨物室3内等を撮像する1又は2以上のカメラ55(撮像装置)の動作(オン、オフ、及び撮像範囲等)を制御する。監視装置50は、カメラ55によって撮像された監視用の撮像画像(「監視画像」と称する)に対し、管制センタ4への送信用のフォーマットに変換する等の加工を行う。加工によって得られた送信用の監視画像は、ネットワークNを介して管制センタ4に送信される。管制センタ4は、監視画像の数(静止画或いは映像ストリームの数)に合わせて、1又は2以上の表示装置(1又は2以上の画面)に監視画像を表示することができる。管制センタ4の監視員11は、監視画像を参照し、異常の有無などの監視を行うことができる。撮像画像は、静止画及び動画を含む。監視員11は遠隔監視者である。
【0020】
本実施形態において、監視装置50は、スマートキー6からの電波の受信状況等に基づいて、配達員5が車両2内に不在(車外へ移動)か否かを判定し、不在と判定する場合には、監視装置50の監視機能の抑制を行う。
【0021】
図2は、
図1に示した車載情報処理システム20の構成例を示す図である。
図2において、車両2は、Data Communication Module(DCM)21と、Central Electrical Control Unit(Central ECU)22とを含む。Central ECU22は、車内ネットワーク23(例えば車内LAN(Local Area Network)等)を介して、予防安全装置24と、自動運転システム(Automatic Driving System:ADS)25と接続されている。また、Central ECU22は、車内ネットワーク23を介して、音・映像・NAVI装置26及
び監視装置50と接続されている。
【0022】
DCM21は、ネットワークNを介して管制センタ4等と通信可能な通信装置である。DCM21は、携帯通信網を介した無線通信が可能である。Central ECU22は、車
両2内の各機器を管理する。
【0023】
Central ECU22は、例えば、プロセッサとメモリを有する。プロセッサはメモリ
上のコンピュータプログラム(以下、単に「プログラム」と称する)を実行し、Central
ECU22としての処理を実行する。
【0024】
予防安全装置24は、ECUを内蔵し、プログラムの処理により衝突回避支援処理を実行する。予防安全装置24は、レーダ、及び、カメラ等のセンサからの信号を基に、例えば、衝突の回避のサポート、車線逸脱の報知、オートマチックハイビーム、レーダークルーズコントロール等を実行する。
【0025】
ADS25は、ECUを内蔵し、プログラムの実行によって、自動運転のための情報の収集及び認知、認知に基づく判断、判断に基づく車両2の動作の制御を行う。ADS25は、Spatial Information Service(SIS)27、及び、Advanced Drive Extension(
ADX)28等が接続される。SIS27、及び、ADX28は、それぞれECUを内蔵し、プログラムの処理により高度で先進的な運転支援処理を実行する。ADS25は、例えば、Light Detection and Ranging(LiDAR)からの検出信号により車両2の周辺
の車両または立体物等を検知し、車両2自身の位置を推定し、運動制御を実行する。
【0026】
SIS27は、車両2自身の姿勢、及び、地図上の位置等をADS25に提供する。S
IS27は、global navigation satellite system(GNSS)もしくはglobal positioning system(GPS)からの位置情報、ジャイロセンサからの6軸の加速度信号、或い
はナビゲーションシステムからの経路情報または地図情報等を取得する。SIS27は、取得した情報を基に車両2自身の姿勢、及び、地図上の位置等を計算する。ADX28は、Artificial Intelligence(AI)システムを適用し、上記の様々なセンサ等からの情報
を認識し、処理し、処理結果をADS25に通知する。
【0027】
音・映像・NAVI装置26は、ECUを内蔵し、プログラムの処理により、車両2の利用者に対し、音、映像、及び、地図情報等による様々な機能を提供する。
【0028】
<監視装置の構成>
図3は、監視装置50の構成例を示す図である。監視装置50は、バス57を介して接続されたプロセッサ51、記憶装置52、通信装置53、スマートキー検出機構54、カメラ55、及びセンサ56を備える。
【0029】
記憶装置52は、非一時的記憶媒体の一例であり、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、プログラム及びデータの記憶領域、プログラムの展開領域、プログラムの作業領域、或いは通信データのバッファ領域などとして使用される。主記憶装置はRAM(Random Access Memory)、又はRAMとROM(Read Only Memory)との組み合わせで構成される。補助記憶装置は、データ及びプログラムの記憶領域として使用される。補助記憶装置として、不揮発性記憶媒体を適用することができる。不揮発性記憶媒体は、例えば、ハードディスク、Solid State Drive(SSD)、フラッシュメモリ、或いはEE
PROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などである。
【0030】
通信装置53は、通信処理を行う回路である。通信装置53は、例えば、車内ネットワーク23(車内LAN)に接続されるネットワークインタフェースカード(NIC)である。
【0031】
スマートキー検出機構54は、スマートキー6向けに電波を送信する送信機と、スマートキー6からの電波を受信する受信機とを含む。プロセッサ51は、受信機からの出力を用いて受信電波の電界強度又は受信電力を計算することができる。なお、監視装置50は、通信装置53及び車内ネットワーク23を介して、スマートキーシステム40から電界強度又は受信電力の計算結果を受信する構成を採用してもよい。この場合、スマートキー検出機構54は省略可能である。なお、本実施形態では、監視装置50を車両2に後付けする(スマートキーシステム40から独立した(依存しない)動作でスマートキーの位置推定を行うことを可能とする)場合を想定して、スマートキー検出機構54が設けられている。
【0032】
本実施形態では、2以上のカメラ55が用意されている。カメラ55の夫々は、貨物室3、配達員5の座席、及び車両2のドア付近などの、車両2の内外における所定の複数の位置を撮像可能に配置されている。また、カメラ55は、プロセッサ51等によってその画角及び撮像方向を変更可能な構成を有していてもよい。センサ56は、例えば人感センサであり、車内に存在する人(配達員5等)を検出する。人感センサによる検出方法は問わず、人感センサはフォトセンサ、或いはCDSセンサなどであってよい。もっとも、センサ56の種類、すなわち、センサ56が検出する物理量(センサ56の出力)は、監視の対象に応じて適宜変更可能である。
【0033】
プロセッサ51は、例えばCPU(Central Processing Unit)などである。プロセッ
サ51は、記憶装置52等に記憶された各種のプログラムを実行することによって、様々な処理を行う。例えば、プロセッサ51は、スマートキー検出機構54の出力からスマー
トキー6からの受信電波の電界強度又は受信電力を計算し、この計算結果から配達員5が車内にいるか否かを判定することができる。また、プロセッサ51は、カメラ55の撮像画像の解析を行い、車両2の内部に配達員5がいるか否かを判定することができる。また、プロセッサ51は、センサ56の出力から配達員5が車内にいるか否かを判定することもできる。或いは、プロセッサ51は、車内ネットワーク23を介して、スマートキーシステム40による、車両2のドアの解錠信号及び施錠信号を受信し、施錠信号を受けて配達員5が車外に出たと判定し、解錠信号を受けて配達員5が車内にいると判定してもよい。
【0034】
プロセッサ51は、配達員5が車内にいない、すなわち車外に出ていると判定する場合に、監視機能の抑制を行う。監視機能の抑制は、例えば、監視装置50の動作停止(オフ)である。監視機能の抑制は、複数のカメラ55の全てのオフ、一部のカメラ55のオフであってもよい。一部のカメラ55のオフにより、例えば、車両2のドア付近を撮像するカメラ1~数台だけの運用に変更される。配達を終えて車両2に戻ってくる配達員5をいち早く発見するためである。一部のカメラ55のオフにより、監視画像の撮影範囲(監視範囲)が非抑制時よりも小さくなる。また、監視機能の抑制は、カメラ55の撮像画像を送信用のフォーマットに変換する処理(加工)のオフ、或いは通信装置53のオフによる送信の停止、DCM21からの監視画像の送信の停止であってもよい。
【0035】
また、プロセッサ51は、スマートキー検出機構54、カメラ55、及びセンサ56の少なくとも一つの出力に基づいて配達員5が車内にいる(車内に戻った)と判定される場合、監視機能の抑制を解除する。
【0036】
<動作例>
図4は、監視装置50のプロセッサ51の処理例(動作例1)を示すフローチャートである。フローチャートの開始時点では、監視装置50の監視機能は非抑制時の状態である。
【0037】
ステップS001において、プロセッサ51は、車両2の状態情報を取得する。すなわち、プロセッサ51は、Central ECU22に対し、車両2の状態を問い合わせる。Central ECU22は、ADS25から車両の状態を示す情報を取得し、プロセッサ51に送る。このようにして、プロセッサ51は、車両2の状態を示す情報を取得する。
【0038】
ステップS002では、プロセッサ51は、車両2の状態を示す状態が車両2の停止状態を示すか否かを判定する。例えば、プロセッサ51は、車両2の状態を示す情報が車両2のパーキングブレーキがかかった状態を示す場合には、車両2が停止状態であると判定する。車両2が停止状態であると判定される場合、処理がステップS003に進み、そうでない場合には、処理がステップS001に戻る。停止状態は、パーキングブレーキがかかった状態以外であってもよい。
【0039】
ステップS003では、プロセッサ51は、スマートキー6が車外か否かを判定する。すなわち、プロセッサ51は、スマートキー検出機構54からの出力からスマートキー6からの電波の電界強度又は受信電力を計算し、計算結果が所定の閾値(記憶装置52等に記憶)以下か否か判定する。計算結果が閾値以下と判定される場合には、スマートキー6が車外に位置する(スマートキー6を所持した配達員5が車外に出ている)として扱われる。このとき、処理がステップS004に進む。
【0040】
なお、ステップS003の処理は、以下のようにしてもよい。すなわち、プロセッサ51が電界強度又は受信電力の時間的変化(履歴)を記憶装置52に記憶しておく。プロセッサ51は、履歴中の判定対象の時間帯において、電界強度又は受信電力が閾値を上回る
状態から閾値以下となる状態に変化している場合に、スマートキー6が車外に位置(存在)すると判定する。
【0041】
ステップS003において、計算結果が閾値以下であると判定される場合には、スマートキー6が車内に位置する(配達員5が車内にいる)と扱われ、処理がステップS001に戻る。なお、ステップS003において、電界強度又は受信電力が距離に換算され、距離の長さからスマートキー6が車内か車外かが判定されてもよい。
【0042】
ステップS004では、プロセッサ51は、監視機能の抑制処理を行う。すなわち、プロセッサ51は、非抑制時では複数台用いているカメラ55の使用数を所定数(例えば1台)に減らす処理を行う。このとき、カメラ55の全てをオフにしてもよく、送信用の監視画像の生成処理、及び送信用の監視画像をCentral ECU22に送る処理をオフにしてもよい。
【0043】
ステップS005では、プロセッサ51は、スマートキー6が車外か否かの判定を行う。当該処理は、ステップS003の処理と同様である。スマートキー6が車外と判定される場合には、処理がステップS006に進み、そうでない場合には、配達員5が車内に戻っている場合の処理のため、処理がステップS007に進む。
【0044】
なお、ステップS005の処理は、以下のようにしてもよい。すなわち、プロセッサ51が電界強度又は受信電力の時間的変化(履歴)を記憶装置52に記憶しておく。プロセッサ51は、履歴中の判定対象の時間帯において、電界強度又は受信電力が閾値以下の状態から閾値を上回る状態に変化している場合に、スマートキー6が車内に位置(存在)すると判定する。
【0045】
ステップS006では、プロセッサ51は、車内に人がいるか否かを判定する。すなわち、プロセッサ51は、カメラ55の撮像画像の解析、或いはセンサ56の出力の解析によって、車内に人がいるかを判定する。配達員5の不在時に、車内に不審者等が侵入した場合を検出するためである。人がいると判定される場合には処理がステップS007に進み、そうでない場合には、処理がステップS005に戻る。
【0046】
ステップS007では、プロセッサ51は、監視機能の抑制処理を解除し、非抑制時の状態に戻す。その後、処理がステップS001に戻る。なお、ステップS006の処理はオプションである。
【0047】
図5は、監視装置50のプロセッサ51の処理例(動作例2)を示すフローチャートである。フローチャートの開始時点では、監視装置50の監視機能は非抑制時の状態である。動作例1の処理(
図4)との比較において、
図5の処理は、(1)ステップS003の代わりにステップS003aが設けられている点、及び(2)ステップS005が省略されている点で
図4の処理と異なる。このため、ステップS003aについて説明し、他のステップについての説明は省略する。
【0048】
ステップS003aでは、プロセッサ51は、カメラ55の出力(撮像画像)の解析、及びセンサ56の出力の解析の少なくとも一方を行い、車内に人(配達員5)が不在か否かを判定する。このとき、撮像画像に人が写っている場合には、画像解析(服の色や模様の判別等)によって人が配達員5か否かを判定してもよい。また、複数の、又は複数種類のセンサ56の出力を組み合わせて人が配達員5か否かを判定してもよい。そして、車内に人(配達員5)がいない(不在)と判定される場合には、処理がステップS004に進み、そうでない場合には、処理がステップS001に戻る。動作例2のように、スマートキー6からの電波を用いた判定の代わりに、カメラ55及びセンサ56の少なくとも一方
の出力を用いた判定を行ってもよい。
【0049】
図6は、監視装置50のプロセッサ51の処理例(動作例3)を示すフローチャートである。フローチャートの開始時点では、監視装置50の監視機能は非抑制時の状態である。動作例1の処理(
図4)との比較において、
図6の処理は、ステップS003とステップS004との間にステップS003aが挿入されている。各ステップの詳細は動作例1及び2と同じであるので説明を省略する。動作例3のように、スマートキー6からの電波を用いた判定と、カメラ55及びセンサ56の少なくとも一方の出力を用いた判定との双方を行い、不在か否かの判定精度を上げてもよい。
【0050】
なお、動作例1~3では、プロセッサ51の動作例を示しているが、プロセッサ51が行う処理をCentral ECU22が行ってもよい。この場合、プロセッサ51は、スマー
トキー検出機構54、カメラ55、及びセンサ56から各出力をCentral ECU22に
送る。また、監視機能の抑制及びその抑制解除は、Central ECU22からの指示を受
けたプロセッサ51が行う。或いは、Central ECU22がDCM21への監視画像の
送信を停止することによって監視機能の抑制を行ってもよい。また、監視装置50による監視は、監視画像を撮像し、管制センタ4へ送ることでなされている。但し、監視が1個又は複数個のセンサ56の出力、或いは複数種類のセンサ56の出力を管制センタ4に送り、センサ56の出力から得られる情報を用いて監視員11が監視を行ってもよい。この場合、監視機能の抑制は、例えば、センサ56の出力の送信停止によって行われる。また、監視は監視画像及びセンサ出力を用いて行うことも可能であり、この場合の抑制は、監視画像及びセンサ出力の少なくとも一方の送信停止等によって行うことが可能である。
【0051】
<実施形態の作用効果>
実施形態において、車両2は、遠隔監視のための監視装置50を備えた宅配用の自動運転車両である。車両2には情報処理装置として、車載情報処理システム20が搭載されている。車載情報処理システム20に含まれるプロセッサ51(或いはCentral ECU22)は、車両2の停止状態において車両2に配達員5がいないと判定する場合に、監視装置50の監視機能を抑制する。抑制によって、監視画像が管制センタ4に送信されなくなる、又は撮像範囲が縮小された(カメラ55の数が減った)場合の監視画像が管制センタ4に送信されることになる。よって、監視員11は、配達員5が車両2にいない場合に、監視画像による監視をしなくてよくなるか、監視画面の減少した状態での監視を行えばよくなる。このように、監視員11の負担を軽減することができる。
【0052】
実施形態において、制御部としてのプロセッサ51は、車両2の停止状態において車両2のスマートキー6が車両2内に存在しないと判定する場合に、車両2の停止状態において車両2に配達員5がいないと判定することができる(
図4のS003)。すなわち、スマートキー6からの電波を用いて配達員5が車内にいるか否かを判定することができる。
【0053】
プロセッサ51は、車両2の停止状態においてスマートキー6の電波の電界強度又は受信電力の履歴がスマートキー6の車両2の車内から車外への移動を示す場合に、スマートキー6が車外にいると判定してもよい(S003)。そして、そのような判定にしたがって監視機能を抑制してもよい(S004)。1回の計算結果に基づく判定でなく、履歴からスマートキー6が車内にいるか車外にいるかを判定することで、判定精度を上げることができる。
【0054】
また、プロセッサ51は、例えば、スマートキー6の電波の電界強度又は受信電力の履歴からスマートキー6が車外から車内に移動したと判定することができる(
図4のS005)。そして、そのような判定に従って監視機能の抑制を解除することができる(S007)。
【0055】
また、プロセッサ51は、車両2の停止状態において車両2内を撮像した撮像画像及びセンサ56の出力の少なくとも一方から車両2内に配達員がいないと判定する場合に(
図5のS003a)、監視機能を抑制することができる(S004)。
【0056】
また、本実施形態では、監視機能の非抑制状態において監視装置50が車両2の監視用の画像(監視画像)を撮像する。プロセッサ51は、監視機能の抑制状態において、監視用の画像の撮像範囲を非抑制状態における監視用の画像の撮像範囲よりも小さくする。例えば、撮像を行うカメラ55の台数を減らす。これによって、監視機能の抑制(S004)を行うことができる。監視のための撮像範囲が小さくなることで、監視員11が監視画像の参照により監視を行う範囲が小さくなるため、負担が減る。撮像範囲の減少は、監視画像の画角を小さくすることで、監視画像内に映る監視の対象を少なくすることであってもよい。監視機能の抑制(S004)は、監視画像の撮像の停止であってもよく、撮像された監視画像の加工(送信用の監視画像へのサイズ又はフォーマット変換)の停止であってもよい。加工の停止によって、監視画像が正常に送信されなくなるため、管制センタ4が正常に監視画像を正常に表示できなくなる。当該状態を監視員11が監視不要時と認識し、監視を行わないことで、監視員11の負担を減らすことができる。また、監視機能の抑制は、監視画像の送信の停止であってもよい。
【0057】
また、プロセッサ51は、監視機能の抑制状態において、スマートキー6が車外にある状態で車両2内に人が存在すると判定する場合に、監視機能の抑制を解除することができる。これによって、配達員5以外のものが車内に侵入した場合に監視を再開することができる。
【0058】
<その他>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0059】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスクである。また、非一時的なコンピュータ可読媒体には、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0060】
2・・・車両
4・・・管制センタ
20・・・車載情報処理システム
21・・・DCM
22・・・Central ECU
24・・・予防安全装置
25・・・自動運転システム(ADS)
26・・・音・映像・NAVI装置
40・・・スマートキーシステム
50・・・監視装置
51・・・プロセッサ
52・・・記憶装置
53・・・通信装置
54・・・スマートキー検出機構
55・・・カメラ
56・・・センサ