(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/71 20060101AFI20240702BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20240702BHJP
H01R 13/533 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01R13/71
H01R13/6581
H01R13/533 D
(21)【出願番号】P 2021137381
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康弘
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216178(JP,A)
【文献】特開2012-234744(JP,A)
【文献】国際公開第2020/070797(WO,A1)
【文献】特開2017-045572(JP,A)
【文献】国際公開第2012/176786(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/235175(WO,A1)
【文献】特開2017-126512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/71
H01R 13/6581
H01R 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象に電気的に接続されるコネクタであって、
互いに並列する複数の接続端子と、
前記複数の接続端子にそれぞれ接続される複数の電線と、
前記複数の接続端子の端部が露出する開口が設けられた筒状部を有するコネクタハウジングと、
前記筒状部に挿入されて前記開口を覆うカバーと、
前記筒状部の内部に設けられ、前記コネクタハウジングに対する前記カバーの着脱を電気的に検知するインターロックコネクタと、を備え、
前記複数の接続端子の各々の端部には、前記筒状部の軸線方向に貫通するとともにボルトが挿入される貫通孔が設けられており、
前記カバーは、カバー端子と、前記カバー端子が配置される収容部と、を有しており、
前記インターロックコネクタは、
前記カバー端子に電気的に接続される複数の第1端子と、
前記接続対象に設けられた待ち受け端子に電気的に接続される複数の第2端子と、
可撓性を有し、前記複数の第1端子と前記複数の第2端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の可撓電線と、
前記複数の第1端子を保持する第1ハウジングと、
前記複数の第2端子を保持する第2ハウジングと、
前記第1ハウジングを前記軸線方向に直交する面方向に移動可能に保持するとともに、前記複数の可撓電線を覆うホルダと、を有しており、
前記複数の可撓電線の各々は、前記ホルダに対する前記第1ハウジングの前記面方向における移動を許容する余長部を有しており、
前記収容部は、前記第1ハウジングを収容するとともに前記面方向における前記第1ハウジングの移動を規制しており、
前記コネクタハウジングは、前記筒状部の内部において前記ホルダを固定する固定部を有している、
コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングは、前記軸線方向において前記筒状部の内部を仕切る仕切り壁を有しており、
前記仕切り壁は、前記インターロックコネクタが挿入される挿入孔を有しており、
前記固定部は、前記軸線方向において前記仕切り壁から片持ち状に延びるとともに弾性変形可能に構成された係合片を有しており、
前記係合片は、前記ホルダに係合される係合爪を有している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングは、前記筒状部の内部において前記第1ハウジングに対して前記面方向に対向する移動規制部を有しており、
前記移動規制部は、前記第1ハウジングが前記面方向に移動した際に、前記第1ハウジングに接触することで前記面方向における前記第1ハウジングの移動を規制する、
請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1ハウジングは、前記筒状部の内壁に向かって突出する突起と、前記筒状部の内壁に向かって開口する凹部と、を有しており、
前記移動規制部は、前記突起を収容する規制凹部と、前記凹部に収容される規制突部と、を有しており、
前記第1ハウジングが前記面方向に移動した際に、前記突起の外面が前記規制凹部の内面に接触するとともに前記凹部の内面が前記規制突部の外面に接触することによって、前記面方向における前記第1ハウジングの移動が規制されている、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記インターロックコネクタは、前記第1ハウジングの外周面に取り付けられ、前記収容部の内周面に接触する弾性部材を有している、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとは、前記軸線方向において並んで設けられている、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ホルダは、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのそれぞれを前記面方向に移動可能に保持している、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタハウジングの外周を覆う金属製のシールドシェルを備え、
前記シールドシェルは、前記筒状部が挿入される開口を有するとともに前記筒状部の外周を覆う第1シェルと、前記カバーに対して遊動可能に取り付けられるとともに前記第1シェルに対して固定され、前記第1シェルの開口を覆う第2シェルと、を有しており、
前記カバーは、前記第2シェルに向かって突出する支持突部を有しており、
前記第1シェルは、前記第2シェルに向かって突出する位置決め突部と、前記第2シェルに対向するねじ孔と、を有しており、
前記第2シェルは、前記支持突部が挿入される支持孔と、前記位置決め突部が挿入される位置決め孔と、前記ねじ孔にねじ込まれるボルトが挿入されるボルト孔と、を有しており、前記位置決め孔に前記位置決め突部が挿入されることで、前記軸線方向において前記ボルト孔が前記ねじ孔の全体に重なる位置に位置決めされている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用の機器等に接続されるコネクタとして、電線側端子の端部が露出する開口部を有するハウジングを備え、当該開口部がサービスカバー(以下、カバーという)によって覆われるものが知られている。
【0003】
電線側端子は、機器に設けられた機器側端子に対して、ハウジングの開口部を通じたボルト締結によって電気的に接続される。同開口部は、上記ボルト締結の後にカバーによって閉塞される。
【0004】
同コネクタは、ハウジングに対するカバーの着脱と、機器に対するコネクタの着脱とを電気的に検知するインターロック回路を構成している。インターロック回路は、機器に設けられ機器側検知部と、ハウジングの内部に設けられたコネクタ側検知部と、カバーに設けられたカバー側検知部とを備えている。コネクタ側検知部を介して機器側検知部とカバー側検知部とが接続されることにより、インターロック回路が閉じられる。これにより、機器とコネクタとが通電可能な状態となる。
【0005】
機器側検知部は、機器に対して固定されている。コネクタ側検知部は、ハウジングに対してコネクタの嵌合方向と直交する面方向に移動可能に保持されている。カバー側検知部は、カバーに対して上記面方向に移動可能に保持されている。
【0006】
カバー側検知部は、2つのカバー側検知端子と、2つのカバー側検知端子を互いに接続する電線と、各カバー側検知端子及び電線を収容するカバー側収容部とを有している。カバー側収容部は、カバーに設けられた支持レールによって、面方向に移動可能に保持されている。
【0007】
こうしたコネクタを機器に対して接続する際、コネクタ側検知部及びカバー側検知部のそれぞれが上記面方向に移動することによって、各検知部の芯ずれが吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に記載のカバーには、カバー側収容部を面方向に移動可能に保持するための支持レールが設けられている。このため、カバーの構成が複雑化するおそれがある。
【0010】
本開示の目的は、カバーの構成が複雑化することを抑制できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のコネクタは、接続対象に電気的に接続されるコネクタであって、互いに並列する複数の接続端子と、前記複数の接続端子にそれぞれ接続される複数の電線と、前記複数の接続端子の端部が露出する開口が設けられた筒状部を有するコネクタハウジングと、前記筒状部に挿入されて前記開口を覆うカバーと、前記筒状部の内部に設けられ、前記コネクタハウジングに対する前記カバーの着脱を電気的に検知するインターロックコネクタと、を備え、前記複数の接続端子の各々の端部には、前記筒状部の軸線方向に貫通するとともにボルトが挿入される貫通孔が設けられており、前記カバーは、カバー端子と、前記カバー端子が配置される収容部とを有しており、前記インターロックコネクタは、前記カバー端子に電気的に接続される複数の第1端子と、前記接続対象に設けられた待ち受け端子に電気的に接続される複数の第2端子と、可撓性を有し、前記複数の第1端子と前記複数の第2端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の可撓電線と、前記複数の第1端子を保持する第1ハウジングと、前記複数の第2端子を保持する第2ハウジングと、前記第1ハウジングを前記軸線方向に直交する面方向に移動可能に保持するとともに、前記複数の可撓電線を覆うホルダと、を有しており、前記複数の可撓電線の各々は、前記ホルダに対する前記第1ハウジングの前記面方向における移動を許容する余長部を有しており、前記収容部は、前記第1ハウジングを収容するとともに前記面方向における前記第1ハウジングの移動を規制しており、前記コネクタハウジングは、前記筒状部の内部において前記ホルダを固定する固定部を有している。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、カバーの構成が複雑化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態のコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のコネクタの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のコネクタの断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のハウジングの底面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のハウジングの斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態のインターロックコネクタの斜視図である。
【
図8】
図8は、一実施形態のインターロックコネクタの断面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態のインターロックコネクタの分解斜視図である。
【
図10】
図10は、一実施形態のインターロックコネクタの斜視図である。
【
図11】
図11は、一実施形態のインターロックコネクタの断面図である。
【
図22】
図22は、変更例のインターロックコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のコネクタは、接続対象に電気的に接続されるコネクタであって、互いに並列する複数の接続端子と、前記複数の接続端子にそれぞれ接続される複数の電線と、前記複数の接続端子の端部が露出する開口が設けられた筒状部を有するコネクタハウジングと、前記筒状部に挿入されて前記開口を覆うカバーと、前記筒状部の内部に設けられ、前記コネクタハウジングに対する前記カバーの着脱を電気的に検知するインターロックコネクタと、を備え、前記複数の接続端子の各々の端部には、前記筒状部の軸線方向に貫通するとともにボルトが挿入される貫通孔が設けられており、前記カバーは、カバー端子と、前記カバー端子が配置される収容部とを有しており、前記インターロックコネクタは、前記カバー端子に電気的に接続される複数の第1端子と、前記接続対象に設けられた待ち受け端子に電気的に接続される複数の第2端子と、可撓性を有し、前記複数の第1端子と前記複数の第2端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の可撓電線と、前記複数の第1端子を保持する第1ハウジングと、前記複数の第2端子を保持する第2ハウジングと、前記第1ハウジングを前記軸線方向に直交する面方向に移動可能に保持するとともに、前記複数の可撓電線を覆うホルダと、を有しており、前記複数の可撓電線の各々は、前記ホルダに対する前記第1ハウジングの前記面方向における移動を許容する余長部を有しており、前記収容部は、前記第1ハウジングを収容するとともに前記面方向における前記第1ハウジングの移動を規制しており、前記コネクタハウジングは、前記筒状部の内部において前記ホルダを固定する固定部を有している。
【0015】
同構成によれば、固定部によってコネクタハウジングに固定されたホルダに対して、第1ハウジングが上記面方向において移動する。こうした第1ハウジングが収容部に収容されることで、第1ハウジングの上記面方向における移動が規制されるため、カバー端子と第1端子との位置合わせが行われる。このため、上記位置合わせを行う上で、カバーに収容部を設けるといった簡単な構成を採用することができる。したがって、カバーの構成が複雑化することを抑制できる。
【0016】
[2]前記コネクタハウジングは、前記軸線方向において前記筒状部の内部を仕切る仕切り壁を有しており、前記仕切り壁は、前記インターロックコネクタが挿入される挿入孔を有しており、前記固定部は、前記軸線方向において前記仕切り壁から片持ち状に延びるとともに弾性変形可能に構成された係合片を有しており、前記係合片は、前記ホルダに係合される係合爪を有していることが好ましい。
【0017】
同構成によれば、インターロックコネクタを挿入孔に挿入するとともに、ホルダを係合片によって固定することで、インターロックコネクタを筒状部の内部に配置することができる。したがって、固定部を容易に具体化できる。
【0018】
[3]前記コネクタハウジングは、前記筒状部の内部において前記第1ハウジングに対して前記面方向に対向する移動規制部を有しており、前記移動規制部は、前記第1ハウジングが前記面方向に移動した際に、前記第1ハウジングに接触することで前記面方向における前記第1ハウジングの移動を規制することが好ましい。
【0019】
同構成によれば、第1ハウジングと移動規制部とが接触することによって、第1ハウジングの移動が規制される。このため、第1ハウジングがホルダに対して過度に移動することが抑制される。したがって、カバー端子と第1端子との位置合わせを容易に行うことができる。
【0020】
[4]前記第1ハウジングは、前記筒状部の内壁に向かって突出する突起と、前記筒状部の内壁に向かって開口する凹部と、を有しており、前記移動規制部は、前記突起を収容する規制凹部と、前記凹部に収容される規制突部と、を有しており、前記第1ハウジングが前記面方向に移動した際に、前記突起の外面が前記規制凹部の内面に接触するとともに前記凹部の内面が前記規制突部の外面に接触することによって、前記面方向における前記第1ハウジングの移動が規制されていることが好ましい。
【0021】
同構成によれば、移動規制部の構成を容易に具体化できる。
[5]前記インターロックコネクタは、前記第1ハウジングの外周面に取り付けられ、前記収容部の内周面に接触する弾性部材を有していることが好ましい。
【0022】
同構成によれば、弾性部材が収容部の内面に接触するため、第1ハウジングが収容部に対して振動することを抑制できる。これにより、例えばコネクタが振動した際に、当該振動によってカバー端子と第1端子とが摺動して摩耗することを抑制できる。
【0023】
[6]前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとは、前記軸線方向において並んで設けられていることが好ましい。
同構成によれば、インターロックコネクタのサイズが面方向において増大することを抑制できる。したがって、インターロックコネクタのサイズ、ひいてはコネクタのサイズの増大を抑制できる。
【0024】
[7]前記ホルダは、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのそれぞれを前記面方向に移動可能に保持していることが好ましい。
同構成によれば、固定部によってコネクタハウジングに固定されたホルダに対して、第1ハウジング及び第2ハウジングのそれぞれが上記面方向において互いに独立して移動する。このため、カバー端子と第1端子との位置合わせ、及び待ち受け端子と第2端子との位置合わせが個別に行われる。これにより、第2ハウジングが移動して待ち受け端子と第2端子との位置合わせが行われた場合であっても、第1ハウジングは当該位置合わせに伴って移動しない。その結果、作業者は、第2端子の位置を考慮することなく、カバー端子と第1端子とを接続することができる。したがって、コネクタハウジングに対してカバーを容易に取り付けることができる。
【0025】
[8]前記コネクタハウジングの外周を覆う金属製のシールドシェルを備え、前記シールドシェルは、前記筒状部が挿入される開口を有するとともに前記筒状部の外周を覆う第1シェルと、前記カバーに対して遊動可能に取り付けられるとともに前記第1シェルに対して固定され、前記第1シェルの開口を覆う第2シェルと、を有しており、前記カバーは、前記第2シェルに向かって突出する支持突部を有しており、前記第1シェルは、前記第2シェルに向かって突出する位置決め突部と、前記第2シェルに対向するねじ孔と、を有しており、前記第2シェルは、前記支持突部が挿入される支持孔と、前記位置決め突部が挿入される位置決め孔と、前記ねじ孔にねじ込まれるボルトが挿入されるボルト孔と、を有しており、前記位置決め孔に前記位置決め突部が挿入されることで、前記軸線方向において前記ボルト孔が前記ねじ孔の全体に重なる位置に位置決めされていることが好ましい。
【0026】
同構成によれば、位置決め孔に位置決め突部が挿入されることで、筒状部の軸線方向においてボルト孔とねじ孔の全体とが重なる。これにより、作業者は、位置決め孔に位置決め突部を挿入することで、ボルト孔とねじ孔との位置合わせを容易に行うことができる。したがって、コネクタの製造時における作業性を向上させることができる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「直交」は厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。
【0028】
(コネクタCの構成)
図1に示すように、コネクタCは、例えば、モータやインバータなどの車両用の電気機器Mに電気的に接続されるものである。コネクタCは、電気機器Mのケース300に設けられた挿入孔301に対して一部が挿入された状態でケース300に取り付けられている。電気機器Mは、「接続対象」に相当する。
【0029】
図2及び
図3に示すように、コネクタCは、複数の接続端子10、複数の電線20、コネクタハウジング30、インターロックコネクタ200、カバー70、及びシールドシェル120を備えている。複数の接続端子10は、互いに並列している。複数の電線20は、複数の接続端子10にそれぞれ電気的に接続されている。コネクタハウジング30は、複数の接続端子10及び複数の電線20を保持している。インターロックコネクタ200は、コネクタハウジング30の内部に設けられている。カバー70は、コネクタハウジング30の一部を覆っている。シールドシェル120は、カバー70とコネクタハウジング30の一部とを覆っている。
【0030】
コネクタCは、例えば、接続端子10及び電線20を2つずつ備えている。なお、コネクタCは、接続端子10及び電線20を3つ以上ずつ備えるものであってもよい。
各図のXYZ軸におけるX軸は、2つの接続端子10の並列方向に延びている。Y軸は、電線20の長手方向に延びている。Z軸は、電気機器Mのケース300とコネクタCとの取付方向に延びている。X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交している。以降において、X軸に沿う方向をX軸方向と称し、Y軸に沿う方向をY軸方向と称し、Z軸に沿う方向をZ軸方向と称する。また、Z軸方向に直交する面方向を単に面方向と称する。
【0031】
コネクタCは、例えば、X軸方向と鉛直方向とが一致する姿勢にてケース300に取り付けられている。なお、各図における紙面の上下方向は、鉛直方向とは必ずしも一致していない。
【0032】
(接続端子10の構成)
図3に示すように、接続端子10は、第1延在部11と、第2延在部12と、第3延在部13とを有している。接続端子10は、例えば、板状をなしている。接続端子10の材料としては、例えば、鉄系または銅系またはアルミニウム系などの金属材料が挙げられる。
【0033】
第1延在部11は、Y軸方向に延びている。第1延在部11は、電線20に電気的に接続される電線接続部14を有している。電線接続部14は、第1延在部11のY軸方向における端部に設けられている。
【0034】
第2延在部12は、第1延在部11における電線接続部14とは反対側の端部からZ軸方向においてケース300に向かって延びている。
第3延在部13は、第2延在部12における第1延在部11とは反対側の端部から、第1延在部11の延在方向、すなわちY軸方向において第1延在部11とは反対側に延びている。第3延在部13は、コネクタハウジング30の外部に位置している。
【0035】
第3延在部13には、Z軸方向に貫通する貫通孔13aが設けられている。第3延在部13は、貫通孔13aに挿入された図示しないボルトによって、ケース300の内部に設けられた相手端子310に電気的に接続されている。
【0036】
(電線20の構成)
電線20は、芯線21と、芯線21の外周を被覆する絶縁被覆22とを有している。芯線21の材料としては、例えば、銅系またはアルミニウム系などの金属材料が挙げられる。絶縁被覆22の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンまたは架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂材料が挙げられる。
【0037】
芯線21は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線である。芯線21の長さ方向に直交する断面形状は、例えば、円形状をなしている。
芯線21は、電線20の端部において絶縁被覆22から露出している。絶縁被覆22から露出した芯線21は、例えば圧着によって接続端子10の電線接続部14に電気的に接続されている。
【0038】
(コネクタハウジング30の構成)
コネクタハウジング30は、筒状部31と、保持部47とを有している。コネクタハウジング30の材料としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(PA)などの樹脂材料が挙げられる。
【0039】
(筒状部31の構成)
図4に示すように、筒状部31は、2つの接続端子10が露出する開口32を有している。開口32は、筒状部31をZ軸方向に貫通している。筒状部31の軸線方向は、Z軸方向と一致している。筒状部31の開口縁は、Z軸方向から視てX軸方向に長い長円状をなしている。
【0040】
筒状部31の内部には、インターロックコネクタ200が、X軸方向において2つの接続端子10と並列して設けられている。
図3に示すように、筒状部31は、Z軸方向において互いに反対側に位置する第1端部31aと第2端部31bとを有している。第1端部31aは、筒状部31におけるカバー70が取り付けられる側の部分である。第2端部31bは、筒状部31における挿入孔301に挿入される側の部分である。
【0041】
図4~
図6に示すように、筒状部31は、第1仕切り壁33と、第2仕切り壁34とを有している。第2仕切り壁34は、「仕切り壁」に相当する。
第1仕切り壁33は、2つの接続端子10とインターロックコネクタ200との間において筒状部31の内部を仕切るものである。筒状部31の内部は、第1仕切り壁33によって、2つの接続端子10が位置する空間と、インターロックコネクタ200が位置する空間とに仕切られている。第1仕切り壁33は、Z軸方向に延びている。第1仕切り壁33は、筒状部31の内壁のうちY軸方向において互いに対向する部分同士を連結している。
【0042】
図6に示すように、第2仕切り壁34は、上記インターロックコネクタ200が位置する空間をZ軸方向において仕切るものである。上記インターロックコネクタ200が位置する空間は、第2仕切り壁34によって、カバー70に対向する第1空間S1と、ケース300に対向する第2空間S2とに仕切られている。第2仕切り壁34は、面方向に延びている。第2仕切り壁34は、筒状部31の周壁と第1仕切り壁33とを連結している。
【0043】
第2仕切り壁34は、インターロックコネクタ200が挿入される挿入孔34aを有している。挿入孔34aは、第2仕切り壁34をZ軸方向に貫通している。
図5に示すように、コネクタハウジング30は、固定部35と、移動規制部40とを有している。固定部35及び移動規制部40は、第2空間S2に設けられている。固定部35は、筒状部31の内部において、後述するインターロックコネクタ200のホルダ260を固定するものである。移動規制部40は、筒状部31の内部において、後述するインターロックコネクタ200の第1ハウジング240及び第2ハウジング250の移動を規制するものである。
【0044】
固定部35は、2つの係合片36を有している。各係合片36は、Z軸方向において第2仕切り壁34から第2端部31bが位置する側に向かって片持ち状に延びている。
2つの係合片36は、Y軸方向において挿入孔34aを挟んで互いに対向している。2つの係合片36は、Y軸方向において互いに離れる方向に弾性変形可能に構成されている。
【0045】
各係合片36の先端部には、係合爪37が設けられている。2つの係合片36の係合爪37は、Y軸方向において互いに対向している。
移動規制部40は、Z軸方向において第2仕切り壁34から第2端部31bが位置する側に向かって延びる規制突部41を有している。規制突部41は、第2仕切り壁34のうちX軸方向における挿入孔34aと第1仕切り壁33との間の部分から延びている。規制突部41は、Z軸方向の全体にわたって第1仕切り壁33に連結されている。規制突部41のZ軸方向に直交する断面形状は、例えば、四角形状をなしている。同断面形状は、Z軸方向における規制突部41の全体にわたって同一である。
【0046】
移動規制部40は、X軸方向において挿入孔34aを挟んで規制突部41に対向するリブ42を有している。リブ42は、Z軸方向において第2仕切り壁34から第2端部31bが位置する側に向かって延びている。リブ42は、Z軸方向の全体にわたって筒状部31の周壁に連結されている。
【0047】
リブ42は、規制突部41に対向する規制凹部43を有している。規制凹部43は、Z軸方向におけるリブ42の全体にわたって延びる溝状をなしている。規制凹部43のZ軸方向に直交する断面形状は、例えば、四角形状をなしている。同断面形状は、Z軸方向におけるリブ42の全体にわたって同一である。
【0048】
図3に示すように、筒状部31のうち挿入孔301に挿入される部分の外周面には、第1収容溝44が全周にわたって設けられている。第1収容溝44には、環状の第1シール部材50が収容されている。第1シール部材50によって、筒状部31の外周面と挿入孔301の内周面との間の部分が止水されている。
【0049】
図4に示すように、筒状部31は、筒状部31の外周側に突出する2つのフランジ45を有している。2つのフランジ45は、面方向におけるX軸及びY軸の双方に交差する方向において互いに反対側に突出している。各フランジ45には、筒状をなす金属製のカラー46が設けられている。各カラー46は、Z軸方向に貫通している。
【0050】
(保持部47の構成)
図3に示すように、保持部47は、筒状部31の第1端部31aから、筒状部31の外周側、より詳しくは、Y軸方向の一方に突出している。保持部47は、2つの接続端子10及び2つの電線20を保持している。電線20の端部、電線接続部14、及び第1延在部11の一部は、保持部47に埋設されている。2つの接続端子10、2つの電線20、及びコネクタハウジング30はインサート成形によって一体化されている。各電線20は、保持部47からY軸方向の一方に引き出されている。
【0051】
保持部47の外周面には、第2収容溝48が全周にわたって設けられている。第2収容溝48には、環状の第2シール部材60が収容されている。第2シール部材60によって、保持部47の外周面と後述する第3シェル150の内周面との間の部分が止水されている。
【0052】
(インターロックコネクタ200の構成)
図6に示すように、インターロックコネクタ200は、後述するカバー70のカバー端子92と、ケース300の内部に設けられた待ち受けコネクタ320の待ち受け端子330とを電気的に接続している。
【0053】
インターロックコネクタ200は、ケース300に対するコネクタハウジング30の着脱と、コネクタハウジング30に対するカバー70の着脱とを電気的に検知するものである。カバー端子92、インターロックコネクタ200、及び待ち受け端子330によってインターロック回路が構成されている。カバー端子92と待ち受け端子330とが、インターロックコネクタ200を介して電気的に接続されると、すなわちインターロック回路が閉じられると、コネクタCと電気機器Mとが通電可能な状態となる。
【0054】
図7に示すように、インターロックコネクタ200は、複数の第1端子210、複数の第2端子220、複数の可撓電線230、第1ハウジング240、第2ハウジング250、及びホルダ260を備えている。
【0055】
インターロックコネクタ200は、例えば、2つの第1端子210、2つの第2端子220、及び2つの可撓電線230を備えている。なお、インターロックコネクタ200は、第1端子210、第2端子220、及び可撓電線230を3つ以上ずつ備えるものであってもよい。
【0056】
2つの可撓電線230は、2つの第1端子210と2つの第2端子220とをそれぞれ電気的に接続している。第1ハウジング240は、Y軸方向に並列する2つの第1端子210を保持している。第2ハウジング250は、Y軸方向に並列する2つの第2端子220を保持している。ホルダ260は、第1ハウジング240及び第2ハウジング250のそれぞれを面方向に移動可能に保持している。
【0057】
(第1端子210の構成)
図8に示すように、第1端子210は、Z軸方向に延びる長尺状の雌端子である。第1端子210は、Z軸方向における基端部及び先端部を有している。第1端子210の基端部は、可撓電線230に電気的に接続されている。第1端子210の先端部は、カバー端子92に電気的に接続されている(
図13参照)。2つの第1端子210は、カバー端子92によって短絡されている。
【0058】
第1端子210の材料としては、例えば、鉄系または銅系またはアルミニウム系などの金属材料が挙げられる。
(第2端子220の構成)
第2端子220は、第1端子210と同一の形状及び大きさを有している。
【0059】
第2端子220の基端部は、可撓電線230に電気的に接続されている。第2端子220の先端部は、待ち受け端子330に電気的に接続されている(
図13参照)。
第2端子220の材料としては、例えば、鉄系または銅系またはアルミニウム系などの金属材料が挙げられる。
【0060】
(第1ハウジング240の構成)
第1ハウジング240は、ホルダ260に対して着脱可能に設けられている。第1ハウジング240の材料としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂材料が挙げられる。
【0061】
第1ハウジング240は、端子収容部241と第1被保持部242とを有している。端子収容部241には、第1端子210と可撓電線230の一部とが収容されている。第1被保持部242は、ホルダ260に対して摺動可能に保持されている。
【0062】
端子収容部241は、Z軸方向に延びる筒状をなしている。端子収容部241の内部には、第1端子210に係合するランスが設けられている。同ランスが第1端子210に係合することによって、第1端子210が端子収容部241の内部に保持されている。
【0063】
端子収容部241の外周面には、収容溝241aが全周にわたって設けられている。収容溝241aには、環状の弾性部材290が収容されている。弾性部材290は、後述するカバー70の収容部91の内周面に接触している(
図6参照)。弾性部材290によって、収容部91に対する第1ハウジング240の振動が抑制されている。
【0064】
図9に示すように、第1被保持部242は、端子収容部241からX軸方向の一方に突出する部分と、当該部分からY軸方向の両側に延びる部分とを有している。第1被保持部242は、端子収容部241のうち第1端子210を収容する端部とは反対側の端部から延びている。第1被保持部242は、面方向に延びる板状をなしている。
【0065】
第1被保持部242のY軸方向における両端部には、Y軸方向に延びる突条243がそれぞれ設けられている。各突条243は、X軸方向の両側において当該突条243に隣接する2つの窪み244によって形成されている。
【0066】
第1ハウジング240は、端子収容部241からX軸方向の一方に突出する規制リブ245を有している。規制リブ245は、第1仕切り壁33に向かって突出している(
図6参照)。規制リブ245は、XZ平面に延びる板状をなしている。規制リブ245は、Y軸方向における第1被保持部242の中央部に連結されている。規制リブ245によって、第1被保持部242に対する端子収容部241の倒れが規制されている。
【0067】
X軸方向における第1被保持部242の突端には、第1凹部246が設けられている。第1凹部246は、筒状部31の内壁の一部である第1仕切り壁33に向かって開口している(
図14参照)。第1凹部246は、第1被保持部242をZ軸方向に貫通している。第1凹部246は、第1被保持部242の突端が切り欠かれた形状をなしている。第1凹部246は、X軸方向において端子収容部241と並ぶ位置に設けられている。第1凹部246の内面は、X軸方向における規制リブ245の端面に連なっている。第1凹部246は、「凹部」に相当する。
【0068】
X軸方向における第1被保持部242の突端には、2つの規制壁247が設けられている。各規制壁247は、同突端からZ軸方向において端子収容部241とは反対側に突出するとともにY軸方向に延びている。2つの規制壁247は、Y軸方向において第1凹部246を挟んで互いに反対側に設けられている。
【0069】
図8及び
図9に示すように、第1ハウジング240は、端子収容部241からX軸方向において規制リブ245とは反対側に突出する第1突起248を有している。第1突起248は、筒状部31の周壁に向かって突出している(
図6参照)。第1突起248は、XZ平面に延びる板状をなしている。第1突起248は、「突起」に相当する。
【0070】
図6に示すように、第1ハウジング240は、第2仕切り壁34の挿入孔34aに挿入されている。第1ハウジング240のうち弾性部材290が設けられている部分は、第1空間S1に位置している。第1ハウジング240のうち規制リブ245及び第1突起248が設けられている部分は、第2空間S2に位置している。
【0071】
(第2ハウジング250の構成)
図8及び
図9に示すように、第2ハウジング250は、第1ハウジング240と同一の形状をなしている。第2ハウジング250の大きさは、第1ハウジング240の大きさと同一である。
【0072】
以降において、第2ハウジング250の構成については、第1ハウジング240の構成を示す符号「24*」に「10」を加算した符号「25*」を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。なお、「*」は、0を含む正の整数である。
【0073】
第2ハウジング250の材料としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂材料が挙げられる。
第2ハウジング250は、第1ハウジング240とZ軸方向において並んで設けられている。第1ハウジング240と第2ハウジング250とは、Z軸方向において互いに逆向きに設けられている。第2ハウジング250の姿勢は、第1ハウジング240がZ軸方向において反転された姿勢と同一である。
【0074】
図9に示すように、第2ハウジング250は、第2突起258を有している。第2突起258の突出方向は、第1突起248の突出方向と同一である。
図6に示すように、第2ハウジング250のうち弾性部材290が設けられている部分は、第2空間S2の外部に位置している。第2ハウジング250のうち規制リブ255及び第2突起258が設けられている部分は、第2空間S2に位置している。
【0075】
(ホルダ260の構成)
図7及び
図8に示すように、ホルダ260は、2つの可撓電線230のうち第1ハウジング240及び第2ハウジング250から露出した部分を覆っている。ホルダ260の材料としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂材料が挙げられる。
【0076】
図9及び
図10に示すように、ホルダ260は、基部261、仕切り部262、2つの第1保持部270、及び2つの第2保持部280を有している。ホルダ260は、Z軸方向におけるホルダ260の中心を含むとともに面方向に延びる仮想平面に対して面対称である。また、ホルダ260は、Y軸方向におけるホルダ260の中心を含むとともにXZ平面に延びる仮想平面に対して面対称である。
【0077】
以降では、ホルダ260の構成のうち同一の構成については、同一の符号を付すことで重複した説明を省略する場合がある。
(基部261の構成)
基部261は、YZ平面に延びるとともにZ軸方向に長い長方形板状をなしている。
【0078】
基部261は、第1ハウジング240及び第2ハウジング250を第1突起248及び第2突起258が位置する側から覆っている。
図10に示すように、基部261は、X軸方向において基部261を貫通する第1規制孔261aと第2規制孔261bとを有している。第1規制孔261aと第2規制孔261bとは、Z軸方向に互いに間隔をおいて設けられている。第1規制孔261aと第2規制孔261bとは、Z軸方向に長い長方形状をなしている。第1規制孔261aと第2規制孔261bとは、互いに同一の形状及び同一の大きさである。
【0079】
第1規制孔261aには、第1ハウジング240の第1突起248が挿入されている。第2規制孔261bには、第2ハウジング250の第2突起258が挿入されている。
Y軸方向における第1規制孔261aの幅は、Y軸方向における第1突起248の幅よりも大きい。Y軸方向における第2規制孔261bの幅は、Y軸方向における第2突起258の幅よりも大きい。
【0080】
(仕切り部262の構成)
図7~
図9に示すように、仕切り部262は、基部261からX軸方向の一方に突出している。仕切り部262は、Z軸方向において第1ハウジング240と第2ハウジング250との間を仕切るものである。仕切り部262は、例えば、ブロック状をなしている。
【0081】
仕切り部262は、Z軸方向において第1ハウジング240の第1被保持部242に接触している。
仕切り部262は、各ハウジング240,250から引き出された可撓電線230を逃がす2つの逃がし凹部263を有している。各逃がし凹部263は、Y軸方向における仕切り部262の中央に設けられている。各逃がし凹部263は、Z軸方向において各ハウジング240,250に対向している。
【0082】
仕切り部262は、2つの可撓電線230に沿って延びるとともに2つの可撓電線230が配索される経路を規制する経路規制部264を有している。経路規制部264は、Z軸方向における仕切り部262の中央に設けられている。経路規制部264は、面方向に延びる板状をなしている。経路規制部264は、各可撓電線230をZ軸方向において仕切っている。
【0083】
図8に示すように、経路規制部264は、仕切り部262におけるその他の部分よりもX軸方向の一方に突出している。経路規制部264は、X軸方向において各ハウジング240,250の規制壁247,257を越えて突出している。
【0084】
図9に示すように、X軸方向における経路規制部264の突端は、Y軸方向において仕切り部262の全体にわたって延びている。Y軸方向における同突端の中央には、切り欠き265が設けられている。切り欠き265は、経路規制部264をZ軸方向に貫通している。切り欠き265は、第1ハウジング240の第1凹部246及び第2ハウジング250の第2凹部256にZ軸方向において並んでいる。
【0085】
図9及び
図10に示すように、仕切り部262は、Z軸方向における経路規制部264の両側に位置するとともにX軸方向の一方に張り出した複数の張り出し部266を有している。Z軸方向における経路規制部264の両側には、2つの張り出し部266がY軸方向において逃がし凹部263を挟んで互いに反対側に設けられている。したがって、仕切り部262は、都合4つの張り出し部266を有している。
【0086】
図8に示すように、各張り出し部266は、可撓電線230を挟んで経路規制部264とは互いに反対側に位置している。X軸方向における各張り出し部266の端部には、傾斜面が設けられている。同傾斜面は、X軸方向において基部261に近付くほどZ軸方向において経路規制部264に近付くように傾斜している。各張り出し部266の上記端部と、各ハウジング240,250の規制壁247,257との間には、X軸方向において隙間が設けられている。
【0087】
経路規制部264、各張り出し部266、及び各規制壁247,257によって、可撓電線230がY軸方向に配索される空間が区画されている。
(第1保持部270及び第2保持部280の構成)
図11及び
図12に示すように、第1保持部270及び第2保持部280は同一の形状を有している。
【0088】
以降において、第2保持部280の構成については、第1保持部270の構成を示す符号「27*」に「10」を加算した符号「28*」を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。なお、「*」は、0を含む正の整数である。
【0089】
各第1保持部270は、Z軸方向における仕切り部262の端部においてX軸方向の一方に突出している。各第1保持部270は、Z軸方向において張り出し部266に対向している。各第1保持部270は、第1ハウジング240の第1被保持部242に対して、Z軸方向において仕切り部262とは反対側から接触している。したがって、仕切り部262と第1保持部270とによって第1被保持部242が挟持されている。
【0090】
第1被保持部242は、仕切り部262と第1保持部270とに対して面方向に摺動可能に設けられている。したがって、第1ハウジング240は、ホルダ260によって、Z軸方向における移動が規制される一方、面方向における移動が許容されている。
【0091】
第1保持部270の突端には、ホルダ260からの第1ハウジング240の脱離を規制する規制爪271が設けられている。規制爪271は、第1被保持部242の窪み244の内部に位置している。
【0092】
図11に示すように、各規制爪271は、Y軸方向において窪み244の内面に対向している。このため、第1ハウジング240がホルダ260に対してY軸方向に移動した際に、規制爪271が窪み244の内面に接触する。
【0093】
図12に示すように、各規制爪271は、X軸方向において突条243に対向している。このため、第1ハウジング240がホルダ260に対してX軸方向に移動した際に、規制爪271が突条243に接触する。
【0094】
以上のことから、各規制爪271によって、ホルダ260からの第1ハウジング240の脱離が規制されるとともに、ホルダ260に対する第1ハウジング240の移動範囲が規制されている。同様に、各規制爪281によって、ホルダ260からの第2ハウジング250の脱離が規制されるとともに、ホルダ260に対する第2ハウジング250の移動範囲が規制されている。
【0095】
図13に示すように、ホルダ260は、筒状部31の内部において各係合片36によって固定されている。
インターロックコネクタ200が、第2空間S2を通じて筒状部31の内部に挿入される際、ホルダ260が2つの係合片36に接触することで、2つの係合片36が互いに離れる方向に弾性変形する。その後、ホルダ260が第2仕切り壁34に接触する位置まで移動すると、2つの係合片36が弾性復帰することで、ホルダ260が筒状部31の内部において固定される。このとき、各係合片36の係合爪37は、ホルダ260の第2保持部280の外面にZ軸方向において係合している。
【0096】
(可撓電線230の構成)
図8に示すように、可撓電線230は、芯線231と、芯線231の外周を被覆する絶縁被覆232とを有している。可撓電線230は、可撓性を有している。芯線231の材料としては、例えば、銅系またはアルミニウム系などの金属材料が挙げられる。絶縁被覆232の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンまたは架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂材料が挙げられる。
【0097】
芯線231は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線である。芯線231の長さ方向に直交する断面形状は、例えば、円形状をなしている。
芯線231は、可撓電線230の両端部において絶縁被覆232から露出している。絶縁被覆232から露出した芯線231の両端部は、例えば圧着によって第1端子210及び第2端子220のそれぞれに電気的に接続されている。
【0098】
各可撓電線230は、第1ハウジング240及び第2ハウジング250から引き出された余長部230aを有している。余長部230aは、可撓電線230のうち第1ハウジング240及び第2ハウジング250から露出した部分である。
【0099】
余長部230aの長さは、第1ハウジング240と第2ハウジング250とのZ軸方向における最短距離よりも長い。可撓性を有する余長部230aによって、ホルダ260に対する第1ハウジング240及び第2ハウジング250の面方向における移動が許容されている。
【0100】
図8及び
図11に示すように、2つの余長部230aは、経路規制部264に沿って延びている。第1ハウジング240から引き出された2つの余長部230aは、規制壁247に向かって延びる部分と、当該部分からホルダ260の外部に向かってY軸方向において互いに反対側に延びる部分とを有している。同様に、第2ハウジング250から引き出された2つの余長部230aは、規制壁257に向かって延びる部分と、当該部分からホルダ260の外部に向かってY軸方向において互いに反対側に延びる部分とを有している。各余長部230aは、ホルダ260からY軸方向においてホルダ260の外部に引き出されるとともに経路規制部264を挟んで反対側に折り返されている。
【0101】
このように、各余長部230aが経路規制部264に沿って配索されることで、各可撓電線230が配索される経路が規制されている。
(インターロックコネクタ200の移動態様)
次に、コネクタハウジング30に取り付けられたインターロックコネクタ200における第1ハウジング240の移動態様について説明する。第2ハウジング250の移動態様は、第1ハウジング240の移動態様と同一であるため、説明を省略する。
【0102】
図14に示すように、コネクタハウジング30の規制突部41は、第1ハウジング240の第1凹部246及びホルダ260の切り欠き265の内部に位置している。規制突部41と第1凹部246との間には、面方向において隙間が設けられている。同隙間の大きさは、第1ハウジング240が面方向に移動した際に、第1ハウジング240がホルダ260に接触するよりも前に第1凹部246の内面が規制突部41の外面に接触する大きさに設定されている。
【0103】
第1ハウジング240の第1突起248は、コネクタハウジング30の規制凹部43の内部に位置している。第1突起248と規制凹部43との間には、面方向において隙間が設けられている。同隙間の大きさは、第1ハウジング240が面方向に移動した際に、第1ハウジング240がホルダ260に接触するよりも前に第1突起248の外面が規制凹部43の内面に接触する大きさに設定されている。
【0104】
以上のことから、第1ハウジング240及び第2ハウジング250が面方向においてコネクタハウジング30に接触することによって、第1ハウジング240及び第2ハウジング250の移動範囲が制限されている。なお、単体のインターロックコネクタ200においては、上述したように、第1ハウジング240及び第2ハウジング250が面方向においてホルダ260に接触することによって、第1ハウジング240及び第2ハウジング250の移動範囲が制限されている。
【0105】
(カバー70の構成)
図6に示すように、カバー70は、筒状部31に対して第1端部31aから挿入されることで、筒状部31の開口32を覆っている。
【0106】
図15に示すように、カバー70は、カバー本体80と、通気膜100とを有している。カバー本体80の材料としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂材料が挙げられる。通気膜100の材料としては、例えば、多孔質体の樹脂材料などが挙げられる。
【0107】
カバー本体80は、筒状部31の開口32を覆う蓋部81を有している。蓋部81は、Z軸方向から視てX軸方向に長い長円状をなしている。
蓋部81の外周面には、第3収容溝82が全周にわたって設けられている。第3収容溝82には、環状の第3シール部材110が収容されている。第3シール部材110によって、カバー本体80とコネクタハウジング30との間の部分が止水されている(
図6参照)。
【0108】
蓋部81は、蓋部81をZ軸方向に貫通する通気孔81aを有している。通気孔81aは、蓋部81の中央部からX軸方向の一方に偏倚した位置に設けられている。
通気膜100は、Z軸方向において2つの接続端子10とは反対側から通気孔81aを覆っている(
図6参照)。通気膜100は、Z軸方向から視て円形状をなしている。通気膜100の直径は、通気孔81aの直径よりも大きい。通気膜100は、例えば、蓋部81に溶着されることで固定されている。
【0109】
通気膜100は、空気などの気体の通過を許容し、且つ水などの液体の通過を阻止するように構成されている。通気膜100によって、筒状部31の内外の圧力差が緩和されている。
【0110】
通気孔81aには、通気孔81aをX字状に仕切る仕切り部81bが設けられている。通気孔81aの仕切り部81bによって、作業者の手指が通気孔81aを通じて通気膜100に触れることが抑制されている。
【0111】
図2に示すように、蓋部81は、後述する第2シェル140に向かって突出するボス83を有している。ボス83は、蓋部81のX軸方向及びY軸方向の双方における中央部から突出している。ボス83は、一端が閉塞された円筒状をなしている。ボス83には、ネジ170がねじ込まれる締結穴が設けられている。締結穴は、Z軸方向において2つの接続端子10とは反対側に開口している。ネジ170は、座金を有するタップねじである。
【0112】
蓋部81は、第1支持突部84と、第2支持突部85とを有している。各支持突部84,85は、後述する第2シェル140に向かって突出している。第1支持突部84及び第2支持突部85は、面方向におけるX軸及びY軸の双方に交差する方向において、ボス83を挟んで互いに反対側に位置している。第1支持突部84は、Y軸方向においてボス83から視て保持部47が位置する側に位置している。
【0113】
各支持突部84,85は、円柱状をなしている。第1支持突部84の直径は、第2支持突部85の直径よりも小さい。
図15に示すように、蓋部81は、Z軸方向にそれぞれ突出した内壁86と外壁89とを有している。内壁86は、通気膜100の外周を取り囲んでいる。外壁89は、内壁86の外周側に位置するとともにカバー本体80の外周縁を形成している。すなわち、外壁89は、カバー本体80の外周縁を含んでいる。
【0114】
内壁86と外壁89とのZ軸方向における端面同士は、面一である。なお、上述したボス83、第1支持突部84、及び第2支持突部85は、内壁86と外壁89とのZ軸方向における端面を超えて突出している。
【0115】
外壁89の外周縁は、筒状部31の開口32よりも外周側に位置している。外壁89は、Z軸方向における第1端部31aの端面を覆っている(
図6参照)。
内壁86は、Z軸方向に直交する方向において内壁86の内外を連通する内側排出口88を有している。外壁89は、Z軸方向に直交する方向において外壁89の内外を連通する外側排出口90を有している。内側排出口88と外側排出口90とは互いに異なる方向を指向している。内側排出口88の全体は、外壁89の内周面に対向している。外側排出口90の全体は、内壁86の外周面に対向している。
【0116】
以降において、内側排出口88の連通方向に延びる仮想軸線を第1仮想軸線L1と称し、外側排出口90の連通方向に延びる仮想軸線を第2仮想軸線L2と称する。また、第1仮想軸線L1と第2仮想軸線L2との交点を交点Pと称する。
【0117】
図16に示すように、第2仮想軸線L2は、X軸方向に延びている。第1仮想軸線L1は、面方向において第2仮想軸線L2に対して傾斜して延びている。第1仮想軸線L1と第2仮想軸線L2とのなす角度αは、鋭角である。
【0118】
内側排出口88の全体は、第2仮想軸線L2の軸線方向、すなわちX軸方向において、交点Pよりも外側排出口90が位置する側に設けられている。換言すると、内側排出口88の全体は、Y軸方向に延びるとともに交点Pを通過する第3仮想軸線L3よりも外側排出口90が位置する側に位置している。
【0119】
外側排出口90が時計の6時の方向を指向しているとすると、内側排出口88は、例えば、時計回りにおいて時計の3時から9時までの間の領域を指向していることが好ましい。ただし、内側排出口88の全体が外壁89の内周面に対向しない場合は除かれる。
【0120】
内壁86は、内側排出口88を形成する第1端縁86a及び第2端縁86bを有している。第1端縁86aは、第2端縁86bよりも外側排出口90の近くに位置している。
内壁86には、第1端縁86aを含んで延びる第1延在部87aと、第2端縁86bを含んで延びる第2延在部87bとが設けられている。第1延在部87aと第2延在部87bとは対向している。
【0121】
内壁86のうち、第1延在部87a及び第2延在部87bを除く部分は、例えば、通気膜100の外周縁に沿う円弧状をなしている。第1延在部87a及び第2延在部87bは、例えば、直線状に延びている。第1延在部87a及び第2延在部87bは、内側排出口88に向かうほど互いに近付くように延びている。
【0122】
第1延在部87aは、第1端縁86aに向かうほど第2仮想軸線L2の軸線方向、すなわちX軸方向において外側排出口90に近付くように第2仮想軸線L2に対して傾斜して延びている。
【0123】
図6及び
図13に示すように、カバー70は、蓋部81から筒状部31の内部に突出するとともに第1ハウジング240の端子収容部241を収容する収容部91を有している。収容部91は、一端が閉塞された円筒状をなしている。
【0124】
収容部91は、端子収容部241の外周面に全周にわたって接触することで、第1ハウジング240の面方向における移動を規制している。
図13に示すように、収容部91の内部には、金属板製のカバー端子92が設けられている。カバー端子92は、2つの第1端子210のそれぞれに挿入される2つの突起を有している。カバー端子92は、例えば、収容部91の内部に圧入されている。
【0125】
(シールドシェル120の構成)
図1及び
図2に示すように、シールドシェル120は、第1シェル130と、第2シェル140と、第3シェル150とを有している。各シェル130,140,150の材料としては、例えば、鉄系またはアルミニウム系の金属材料が挙げられる。
【0126】
(第1シェル130の構成)
図2に示すように、第1シェル130は、第1部分131と第2部分135とを有している。第1部分131は、筒状部31のうち第1端部31aを含む部分の外周を覆っている。第2部分135は、保持部47の一部の外周を覆っている。第1部分131及び第2部分135は、Z軸方向においてケース300に向かって開口している。
【0127】
第1部分131は、筒状部31が挿入される開口132を有している。開口132は、Z軸方向から視てX軸方向に長い長円状をなしている。
第1部分131は、開口132の外周側に突出する2つの固定突起133を有している。一方の固定突起133は、Y軸方向において開口132を挟んで第2部分135とは反対側に位置している。他方の固定突起133は、面方向におけるX軸及びY軸の双方に交差する方向において、開口132を挟んで一方の固定突起133とは反対側に位置している。各固定突起133には、Z軸方向に貫通するねじ孔133aが設けられている。
【0128】
第1部分131は、開口132の外周側に突出する2つのフランジ134を有している。2つのフランジ134は、コネクタハウジング30の2つのフランジ45のそれぞれに対応する位置に設けられている。各フランジ134には、Z軸方向に貫通する貫通孔134aが設けられている。貫通孔134aは、フランジ45に設けられたカラー46に連通している。
図1に示すように、フランジ134及びカラー46に挿入された図示しないボルトが、ケース300に設けられたねじ孔302に締結されることによって、コネクタCがケース300に固定されている。
【0129】
図2に示すように、第2部分135は、Z軸方向において保持部47とは反対側に突出した突出部136を有している。突出部136には、Y軸方向に貫通するねじ孔136aが設けられている。
【0130】
第1シェル130は、Z軸方向における端面から第2シェル140に向かって突出する2つの位置決め突部137A,137Bを有している。位置決め突部137Aは、第2部分135から突出している。位置決め突部137Bは、第1部分131のうち上述した他方の固定突起133に隣り合う部分から突出している。各位置決め突部137A,137Bは、円柱状をなしている。
【0131】
各位置決め突部137A,137Bは、Z軸方向に延びる円柱部と、円柱部の端部に連なる円錐台部とを有している。円柱部のZ軸方向に直交する断面積は、Z軸方向の全体にわたって一定である。円錐台部は、Z軸方向において円柱部から離れるほど断面積が徐々に小さくなっている。したがって、各位置決め突部137A,137Bの突出方向における先端部は、先細状をなしている。また、各位置決め突部137A,137Bは、面方向に延びる円形状の先端面を有している。
【0132】
(第2シェル140の構成)
第2シェル140は、面方向に延びる平板状をなしている。第2シェル140は、筒状部31の開口32及び第1シェル130の開口132を覆っている。すなわち、カバー70は、Z軸方向においてケース300とは反対側から第2シェル140によって覆われる。
【0133】
図6に示すように、第2シェル140は、カバー本体80の内壁86及び外壁89のZ軸方向における端面に接触している。
図2に示すように、第2シェル140は、第1シェル130の2つのねじ孔133aにそれぞれ連通する2つのボルト孔141を有している。各ボルト孔141に挿入されたボルト180によって、第2シェル140が第1シェル130に固定されている。
【0134】
第2シェル140は、カバー70のボス83が挿入されるボス挿入孔142を有している。ボス挿入孔142の直径は、ボス83の直径よりも大きい。ボス挿入孔142の直径は、上述したネジ170の座金の直径よりも小さい。なお、
図3に示すように、同座金と第2シェル140との間には、Z軸方向において隙間が設けられている。第2シェル140は、同座金によって、カバー70から抜け止めされている。
【0135】
図2に示すように、第2シェル140は、第1支持突部84及び第2支持突部85がそれぞれ挿入される第1支持孔143及び第2支持孔144を有している。第1支持孔143の直径は、第1支持突部84の直径よりも大きい。第2支持孔144の直径は、第2支持突部85の直径よりも大きい。
【0136】
第2シェル140は、2つの位置決め突部137A,137Bがそれぞれ挿入される2つの位置決め孔145A,145Bを有している。位置決め孔145Aの直径は、位置決め突部137Aの円柱部の直径よりも大きい。位置決め孔145Bの直径は、位置決め突部137Bの円柱部の直径よりも大きい。
【0137】
第2シェル140は、位置決め孔145A,145Bに位置決め突部137A,137Bがそれぞれ挿入されることで、Z軸方向においてボルト孔141がねじ孔133aの全体に重なる位置に位置決めされている。
【0138】
以上のことから、
図17に示すように、ボス83の外面とボス挿入孔142の内面との間には、ボス83の全周にわたって隙間が設けられている。第1支持突部84の外面と第1支持孔143の内面との間には、第1支持突部84の全周にわたって隙間が設けられている。第2支持突部85の外面と第2支持孔144の内面との間には、第2支持突部85の全周にわたって隙間が設けられている。位置決め突部137Aの外面と位置決め孔145Aの内面との間には、位置決め突部137Aの全周にわたって隙間が設けられている。位置決め突部137Bの外面と位置決め孔145Bの内面との間には、位置決め突部137Bの全周にわたって隙間が設けられている。したがって、第2シェル140は、第1シェル130に固定されていない状態では、これらの隙間の範囲内において、カバー70に対して面方向に遊動可能に取り付けられている。
【0139】
(第2シェル140の挙動)
ところで、コネクタCにおいては、第2シェル140が取り付けられた状態のカバー70が、第2シェル140と共にコネクタハウジング30に対して着脱されることがある。
【0140】
次に、
図18~
図21を参照して、カバー70に取り付けられているとともに第1シェル130に固定されていない状態における第2シェル140の挙動について説明する。
図18~
図21においては、便宜上、ネジ170の図示が省略されている。
【0141】
図18及び
図19では、位置決め孔145A,145Bに位置決め突部137A,137Bがそれぞれ挿入された状態における第2シェル140が図示されている。
図20及び
図21では、位置決め孔145A,145Bに位置決め突部137A,137Bがそれぞれ挿入される直前の状態における第2シェル140が図示されている。なお、
図20及び
図21におけるカバー70の面方向における位置は、コネクタハウジング30に対する正規の位置、すなわち筒状部31に挿入され得る位置である。
【0142】
以降では、Y軸方向において位置決め突部137Aから視て第2支持突部85が位置する方向を時計の12時の方向として説明する。
図18に示すように、第2シェル140が回転中心R1を中心として時計回りに回転した場合、位置決め突部137A,137Bの外面と、位置決め孔145A,145Bの内面とがそれぞれ接触することで、第2シェル140が回り止めされる。回転中心R1は、時計の12時の位置における位置決め突部137Bの外面と位置決め孔145Bの内面との接触点である。このように第2シェル140が回り止めされた状態において、ボス83の外周、第1支持突部84の外周、及び第2支持突部85の外周には、上述した隙間がそれぞれ設けられている。したがって、第2シェル140は、面方向においてカバー70に接触していない。このとき、各ボルト孔141は、Z軸方向においてねじ孔133aの全体に重なっている。このため、ボルト孔141及びねじ孔133aにボルト180を挿入することができる。
【0143】
図19に示すように、第2シェル140が回転中心R2を中心として時計回りに回転した場合、位置決め突部137A,137Bの外面と、位置決め孔145A,145Bの内面とがそれぞれ接触することで、第2シェル140が回り止めされる。回転中心R2は、時計の6時の位置における位置決め突部137Aの外面と位置決め孔145Aの内面との接触点である。このように第2シェル140が回り止めされた状態において、ボス83の外周、第1支持突部84の外周、及び第2支持突部85の外周には、上述した隙間がそれぞれ設けられている。したがって、第2シェル140は、面方向においてカバー70に接触していない。このとき、各ボルト孔141は、Z軸方向においてねじ孔133aの全体に重なっている。このため、ボルト孔141及びねじ孔133aにボルト180を挿入することができる。
【0144】
図示は省略するが、第2シェル140が回転中心R1,R2を中心として反時計回りに回転した場合であっても、第2シェル140は、面方向においてカバー70に接触しない。このことは、第2シェル140がカバー70に対して面方向に平行移動した場合についても同様である。
【0145】
図20に示すように、位置決め孔145A,145Bに位置決め突部137A,137Bがそれぞれ挿入されていない状態においては、第2シェル140がカバー70に対して面方向に遊動する。第2シェル140が、ボス83の軸線を中心として時計回りに回転した場合、各支持突部84,85の外面と、各支持孔143,144の内面とがそれぞれ接触することで、第2シェル140が回り止めされる。このように第2シェル140が回り止めされた状態において、位置決め孔145A,145Bは、Z軸方向において位置決め突部137A,137Bの先端面の全体にそれぞれ重なっている。このため、位置決め突部137A,137Bの円錐台部によって、位置決め突部137A,137Bの位置決め孔145A,145Bへの挿入が案内される。
【0146】
図21に示すように、第2シェル140が、ボス83の軸線を中心として反時計回りに回転して回り止めされた状態であっても、位置決め孔145A,145Bは、Z軸方向において位置決め突部137A,137Bの先端面の全体にそれぞれ重なっている。このため、位置決め突部137A,137Bの円錐台部によって、位置決め突部137A,137Bの位置決め孔145A,145Bへの挿入が案内される。
【0147】
(第3シェル150の構成)
図2に示すように、第3シェル150は、Y軸方向に延びる筒状をなしている。第3シェル150は、保持部47のうち第2部分135により覆われていない部分の外周を覆っている。
【0148】
第3シェル150は、Z軸方向において保持部47とは反対側に突出した突出部151を有している。突出部151には、Y軸方向に貫通する貫通孔151aが設けられている。貫通孔151aに挿入されたボルト160が第1シェル130のねじ孔136aに締結されることによって、第3シェル150が第1シェル130に固定されている。
【0149】
図示は省略するが、第3シェル150の外周面には、かしめリングによって、2つの電線20を一括して覆う金属製の編組部材が取り付けられている。
本実施形態の作用について説明する。
【0150】
固定部35によってコネクタハウジング30に固定されたホルダ260に対して、第1ハウジング240が面方向において移動する。こうした第1ハウジング240が収容部91に収容されることで、第1ハウジング240の面方向における移動が規制されるため、カバー端子92と第1端子210との位置合わせが行われる。このため、上記位置合わせを行う上で、カバー70のカバー本体80に収容部91を設けるといった簡単な構成を採用することができる。
【0151】
本実施形態の効果について説明する。
(1)コネクタCは、2つの接続端子10と、2つの電線20と、コネクタハウジング30と、カバー70と、インターロックコネクタ200とを備える。カバー70は、カバー端子92と、カバー端子92が配置される収容部91とを有している。インターロックコネクタ200は、2つの第1端子210と、2つの第2端子220と、2つの可撓電線230と、第1ハウジング240と、第2ハウジング250と、ホルダ260とを有している。ホルダ260は、第1ハウジング240及び第2ハウジング250のそれぞれを面方向に移動可能に保持している。2つの可撓電線230の各々は、第1ハウジング240及び第2ハウジング250の面方向における移動を許容する余長部230aを有している。コネクタハウジング30は、筒状部31の内部においてホルダ260を固定する固定部35を有している。
【0152】
こうした構成によれば、上述した作用を奏するため、カバー70の構成が複雑化することを抑制できる。
また、上記構成によれば、固定部35によってコネクタハウジング30に固定されたホルダ260に対して、第1ハウジング240及び第2ハウジング250のそれぞれが面方向において互いに独立して移動する。このため、カバー端子92と第1端子210との位置合わせ、及び待ち受け端子330と第2端子220との位置合わせが個別に行われる。これにより、第2ハウジング250が移動して待ち受け端子330と第2端子220との位置合わせが行われた場合であっても、第1ハウジング240は当該位置合わせに伴って移動しない。その結果、作業者は、第2端子220の位置を考慮することなく、カバー端子92と第1端子210とを接続することができる。したがって、コネクタハウジング30に対してカバー70を容易に取り付けることができる。
【0153】
(2)コネクタハウジング30は、Z軸方向において筒状部31の内部を仕切る第2仕切り壁34を有している。第2仕切り壁34は、インターロックコネクタ200の第1ハウジング240が挿入される挿入孔34aを有している。固定部35は、Z軸方向において第2仕切り壁34から片持ち状に延びるとともに弾性変形可能に構成された係合片36を有している。係合片36は、ホルダ260に係合される係合爪37を有している。
【0154】
こうした構成によれば、インターロックコネクタ200を挿入孔34aに挿入するとともに、ホルダ260を係合片36によって固定することで、インターロックコネクタ200を筒状部31の内部に配置することができる。したがって、固定部35を容易に具体化できる。
【0155】
(3)移動規制部40は、第1ハウジング240及び第2ハウジング250が面方向に移動した際に、第1ハウジング240及び第2ハウジング250に接触することで面方向における第1ハウジング240及び第2ハウジング250の移動を規制する。
【0156】
こうした構成によれば、各ハウジング240,250と移動規制部40とが接触することによって、各ハウジング240,250の移動が規制される。このため、各ハウジング240,250がホルダ260に対して過度に移動することが抑制される。したがって、カバー端子92と第1端子210との位置合わせ、及び待ち受け端子330と第2端子220との位置合わせを容易に行うことができる。
【0157】
(4)第1ハウジング240が面方向に移動した際に、第1突起248の外面が規制凹部43の内面に接触するとともに第1凹部246の内面が規制突部41の外面に接触することによって、面方向における第1ハウジング240の移動が規制されている。第2ハウジング250が面方向に移動した際に、第2突起258の外面が規制凹部43の内面に接触するとともに第2凹部256の内面が規制突部41の外面に接触することによって、面方向における第2ハウジング250の移動が規制されている。
【0158】
こうした構成によれば、移動規制部40の構成を容易に具体化できる。
(5)インターロックコネクタ200は、第1ハウジング240の外周面に取り付けられ、収容部91の内周面に接触する弾性部材290を有している。
【0159】
こうした構成によれば、弾性部材290が収容部91の内面に接触するため、第1ハウジング240が収容部91に対して振動することを抑制できる。これにより、例えばコネクタCが振動した際に、当該振動によってカバー端子92と第1端子210とが摺動して摩耗することを抑制できる。
【0160】
(6)第1ハウジング240と第2ハウジング250とは、Z軸方向において並んで設けられている。
こうした構成によれば、インターロックコネクタ200のサイズが面方向において増大することを抑制できる。したがって、インターロックコネクタ200のサイズ、ひいてはコネクタCのサイズの増大を抑制できる。
【0161】
(8)コネクタCは、シールドシェル120を備える。シールドシェル120は、第1シェル130と、第2シェル140とを有している。カバー70は、第1支持突部84及び第2支持突部85を有している。第1シェル130は、位置決め突部137A,137Bと、ねじ孔133aとを有している。第2シェル140は、第1支持孔143及び第2支持孔144と、位置決め孔145A,145Bと、ボルト孔141とを有している。第2シェル140は、位置決め孔145A,145Bに位置決め突部137A,137Bが挿入されることで、Z軸方向においてボルト孔141がねじ孔133aの全体に重なる位置に位置決めされている。
【0162】
こうした構成によれば、位置決め孔145A,145Bに位置決め突部137A,137Bがそれぞれ挿入されることで、Z軸方向においてボルト孔141とねじ孔133aの全体とが重なる。これにより、作業者は、位置決め孔145A,145Bに位置決め突部137A,137Bをそれぞれ挿入することで、ボルト孔141とねじ孔133aとの位置合わせを容易に行うことができる。したがって、コネクタCの製造時における作業性を向上させることができる。
【0163】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0164】
・コネクタCからシールドシェル120が省略されてもよい。
・ホルダ260は、第1ハウジング240のみを面方向に移動可能に保持するものであってもよい。すなわち、第2ハウジング250は、ホルダ260に対して移動不能に固定されていてもよい。
【0165】
・第1ハウジング240と第2ハウジング250とは、Z軸方向において互いに異なる位置に設けられていてもよい。この場合、ホルダ260の形状は、面対称でなくてもよい。
【0166】
・インターロックコネクタ200から弾性部材290が省略されてもよい。
・第1ハウジング240から第1突起248及び第1凹部246のどちらか一方が省略されるとともに、コネクタハウジング30から対応する規制凹部43及び規制突部41が省略されてもよい。この変更例は、第2ハウジング250についても同様にして適用できる。
【0167】
・コネクタハウジング30からリブ42が省略されてもよい。この場合、規制凹部43は、筒状部31の内壁に設けられた溝により形成されていてもよい。
・コネクタハウジング30から移動規制部40が省略されてもよい。この場合であっても、第1突起248の外面がホルダ260の第1規制孔261aの内面に接触することによって、面方向における第1ハウジング240の移動が規制される。このことは、第2ハウジング250についても同様である。
【0168】
・固定部35は、1つの係合片36を有していてもよいし、3つ以上の係合片36を有していてもよい。
・
図22及び
図23に示すように、ホルダ260は、各第1保持部270からZ軸方向に突出するとともに第2仕切り壁34を貫通する一対の爪部272を有していてもよい。この変更例では、第2仕切り壁34に一対の爪部272が係合する係合突起34bが設けられている。一対の爪部272が係合突起34bに係合することによって、ホルダ260がコネクタハウジング30に固定されている。係合突起34bは、「固定部」に相当する。この場合、コネクタハウジング30から係合片36が省略されてもよい。
【0169】
・余長部230aは、ホルダ260からホルダ260の外部に引き出されていなくてもよい。この場合、余長部230aは、ホルダ260と各ハウジング240,250との間の空間に収容されていればよい。このとき、余長部230aは、Z軸方向における第1端子210と第2端子220との最短距離よりも長いことが好ましい。
【0170】
・各端子210,220は、雄端子であってもよい。この場合、カバー端子92及び待ち受け端子330がそれぞれ雌端子であればよい。
【符号の説明】
【0171】
α 角度
C コネクタ
L1 第1仮想軸線
L2 第2仮想軸線
L3 第3仮想軸線
M 電気機器(接続対象)
P 交点
R1 回転中心
R2 回転中心
S1 第1空間
S2 第2空間
10 接続端子
11 第1延在部
12 第2延在部
13 第3延在部
13a 貫通孔
14 電線接続部
20 電線
21 芯線
22 絶縁被覆
30 コネクタハウジング
31 筒状部
31a 第1端部
31b 第2端部
32 開口
33 第1仕切り壁
34 第2仕切り壁(仕切り壁)
34a 挿入孔
34b 係合突起
35 固定部
36 係合片
37 係合爪
40 移動規制部
41 規制突部
42 リブ
43 規制凹部
44 第1収容溝
45 フランジ
46 カラー
47 保持部
48 第2収容溝
50 第1シール部材
60 第2シール部材
70 カバー
80 カバー本体
81 蓋部
81a 通気孔
81b 仕切り部
82 第3収容溝
83 ボス
84 第1支持突部
85 第2支持突部
86 内壁
86a 第1端縁
86b 第2端縁
87a 第1延在部
87b 第2延在部
88 内側排出口
89 外壁
90 外側排出口
91 収容部
92 カバー端子
100 通気膜
110 第3シール部材
120 シールドシェル
130 第1シェル
131 第1部分
132 開口
133 固定突起
133a ねじ孔
134 フランジ
134a 貫通孔
135 第2部分
136 突出部
136a ねじ孔
137A 位置決め突部
137B 位置決め突部
140 第2シェル
141 ボルト孔
142 ボス挿入孔
143 第1支持孔
144 第2支持孔
145A 位置決め孔
145B 位置決め孔
150 シェル
150 第3シェル
151 突出部
151a 貫通孔
160 ボルト
170 ネジ
180 ボルト
200 インターロックコネクタ
210 第1端子
220 第2端子
230 可撓電線
230a 余長部
231 芯線
232 絶縁被覆
240 第1ハウジング
241 端子収容部
241a 収容溝
242 第1被保持部
243 突条
244 窪み
245 規制リブ
246 第1凹部(凹部)
247 規制壁
248 第1突起(突起)
250 第2ハウジング
251 端子収容部
251a 収容溝
252 第2被保持部
253 突条
254 窪み
255 規制リブ
256 第2凹部
257 規制壁
258 第2突起
260 ホルダ
261 基部
261a 第1規制孔
261b 第2規制孔
262 仕切り部
263 逃がし凹部
264 経路規制部
265 切り欠き
266 張り出し部
270 第1保持部
271 規制爪
272 爪部
280 第2保持部
281 規制爪
290 弾性部材
300 ケース
301 挿入孔
302 ねじ孔
310 相手端子
320 待ち受けコネクタ
330 待ち受け端子