(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電池の製造方法、電池の製造装置、および電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/169 20210101AFI20240702BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/128 20210101ALI20240702BHJP
【FI】
H01M50/169
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/128
(21)【出願番号】P 2021169422
(22)【出願日】2021-10-15
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 悟史
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/036674(WO,A1)
【文献】特開2014-232592(JP,A)
【文献】特開2017-228381(JP,A)
【文献】特開2021-136069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 10/00-10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電極体をラミネート外装体に収納すること、
(b)前記ラミネート外装体の周縁の少なくとも一部を、第1工具と第2工具とで挟むことにより、加圧部を形成すること、および、
(c)前記加圧部に、前記第1工具および前記第2工具の少なくとも一方から、超音波振動を付与することにより、シール部を形成すること
を含み、
前記第1工具は突起部を含み、
前記第2工具は溝部を含み、
前記突起部の先端と前記溝部の底部との間に前記ラミネート外装体が挟み込まれることにより、前記ラミネート外装体に曲げ癖部が形成され、
前記曲げ癖部の両側において、前記ラミネート外装体が溶着される、
電池の製造方法。
【請求項2】
前記第1工具および前記第2工具の組は、第1領域と第2領域と第3領域とを含み、
前記第2領域は、前記突起部および前記溝部を含み、
前記第2領域は、前記第1領域と前記第3領域との間に配置されており、
前記シール部の形成時、前記第3領域は、前記第1領域に比して前記電極体に近接しており、
前記突起部が前記溝部に嵌め込まれた状態において、
前記第1領域および前記第3領域に比して、前記第2領域に広いクリアランスが形成され、
前記クリアランスは、前記第1工具と前記第2工具との間の隙間を示す、
請求項1に記載の電池の製造方法。
【請求項3】
前記第1領域において、前記第1工具と前記第2工具とが互い対向する対向部は、前記第2領域から離れる方向に向かって傾斜している、
請求項2に記載の電池の製造方法。
【請求項4】
前記第1工具および前記第2工具は、それぞれ円盤状であり、
前記突起部および前記溝部は、円周方向に連続的に形成されており、
前記第1工具および前記第2工具が回転しながら、前記超音波振動が付与される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池の製造方法。
【請求項5】
(d)前記曲げ癖部を折り目として、前記ラミネート外装体を折り曲げること
をさらに含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池の製造方法。
【請求項6】
前記シール部の形成時、前記第1工具および前記第2工具の少なくとも一方の振幅は、前記ラミネート外装体の厚さの2倍より小さい、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池の製造方法。
【請求項7】
電極体が収納されたラミネート外装体の周縁にシール部を形成するための、電池の製造装置であって、
第1工具と、
第2工具と、
加圧装置と、
超音波発生装置と、
を含み、
前記第1工具および前記第2工具は、それらの間に前記ラミネート外装体の周縁の少なくとも一部を挟むように構成されており、
前記加圧装置は、前記第1工具および前記第2工具の少なくとも一方に加圧力を付与するように構成されており、
前記超音波発生装置は、前記第1工具および前記第2工具の少なくとも一方に、超音波振動を付与するように構成されており、
前記第1工具は突起部を含み、
前記第2工具は溝部を含み、
前記電池の製造装置は、
前記突起部の先端と前記溝部の底部との間に前記ラミネート外装体を挟み込むことにより、前記ラミネート外装体に曲げ癖部を形成し、かつ
前記曲げ癖部の両側において、前記ラミネート外装体を溶着する
ように構成されている、
電池の製造装置。
【請求項8】
前記第1工具および前記第2工具の組は、第1領域と第2領域と第3領域とを含み、
前記第2領域は、前記突起部および前記溝部を含み、
前記第2領域は、前記第1領域と前記第3領域との間に配置されており、
前記シール部の形成時、前記第3領域は、前記第1領域に比して前記電極体に近接しており、
前記突起部が前記溝部に嵌め込まれた状態において、
前記第1領域および前記第3領域に比して、前記第2領域に広いクリアランスが形成され、
前記クリアランスは、前記第1工具と前記第2工具との間の隙間を示す、
請求項7に記載の電池の製造装置。
【請求項9】
前記第1領域において、前記第1工具と前記第2工具とが互い対向する対向部は、前記突起部から離れる方向に向かって傾斜している、
請求項8に記載の電池の製造装置。
【請求項10】
前記第1工具および前記第2工具は、それぞれ円盤状であり、
前記突起部および前記溝部は、円周方向に連続的に形成されており、
前記電池の製造装置は、前記第1工具および前記第2工具を、前記円周方向に回転させるように構成されている、
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電池の製造装置。
【請求項11】
折り曲げ装置をさらに含み、
前記折り曲げ装置は、1個以上のロールを含み、
前記ロールはテーパ部を含み、
前記テーパ部においては、ロール径が軸方向の端部に向かって漸減しており、
前記ロールが回転しながら、前記テーパ部が前記ラミネート外装体に押し当てられることにより、前記曲げ癖部を折り目として、前記ラミネート外装体が折り曲げられるように構成されている、
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の電池の製造装置。
【請求項12】
ラミネート外装体と、
電極体と、
を含み、
前記ラミネート外装体は、前記電極体を収納しており、
平面視において、前記ラミネート外装体は、その周縁の少なくとも一部にシール部を含み、
断面視において、前記ラミネート外装体は、第1金属層と樹脂層と第2金属層とを含み、
前記樹脂層は、前記第1金属層と前記第2金属層との間に介在しており、
前記シール部は、第1領域と第2領域と第3領域とを含み、
前記第1領域は、前記シール部の端面を含み、
前記第3領域は、前記ラミネート外装体の内壁に接続しており、
前記第2領域は、前記第1領域と前記第3領域との間に配置されており、
前記第2領域において、前記ラミネート外装体が折り曲げられており、
前記樹脂層は、前記第1領域において第1厚さを有し、前記第2領域において第2厚さを有し、前記第3領域において第3厚さを有し、
前記第2厚さは、前記第1厚さおよび前記第3厚さに比して大きい、
電池。
【請求項13】
前記第1領域および前記第3領域においては、前記ラミネート外装体がシールされており、
前記第2領域は、前記ラミネート外装体がシールされていない部分を含む、
請求項12に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池の製造方法、電池の製造装置、および電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007-200589号公報(特許文献1)は、ラミネート型電池の周縁において、シール部を折り曲げることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池の外装体としてラミネートフィルムが使用される。ラミネートフィルム製の外装体は「ラミネート外装体」と称される。ラミネート外装体を備える電池は「ラミネート型電池」と称される。
【0005】
例えば、電極体(発電要素)がラミネート外装体に収納される。ラミネート外装体の周縁において、ラミネート外装体が溶着されることによりシール部が形成される。
【0006】
電池の気密性の観点から、シール部の幅は大きいことが望ましい。しかしシール部は電池容量に寄与しない。電池の体積エネルギー密度の観点から、シール部の幅は小さいことが望ましい。
【0007】
気密性を維持しつつシール部の幅を低減するため、例えば、シール部を折り曲げることが考えられる。ただしシール部を安定して折り曲げるためには、予めシール部に曲げ癖部(折り筋等)を形成することが求められる。工数の観点から、生産性に改善の余地がある。
【0008】
本開示の目的は、生産性の向上にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本開示の技術的構成および作用効果が説明される。ただし本明細書の作用メカニズムは推定を含む。作用メカニズムは本開示の技術的範囲を限定しない。
【0010】
1.電池の製造方法は、下記(a)~(c)を含む。
(a)電極体をラミネート外装体に収納する。
(b)ラミネート外装体の周縁の少なくとも一部を、第1工具と第2工具とで挟むことにより、加圧部を形成する。
(c)加圧部に、第1工具および第2工具の少なくとも一方から、超音波振動を付与することにより、シール部を形成する。
第1工具は突起部を含む。第2工具は溝部を含む。突起部の先端と溝部の底部との間にラミネート外装体が挟み込まれることにより、ラミネート外装体に曲げ癖部が形成される。曲げ癖部の両側において、ラミネート外装体が溶着される。
【0011】
一般に超音波溶着においては、一対の超音波溶着工具が使用される。超音波溶着工具は、例えばホーンとアンビルとの組、あるいはホーンとホーンとの組を含み得る。
【0012】
本開示においては、一対の超音波溶着工具(第1工具、第2工具)が嵌め合い構造を有する。すなわち第1工具は突起部を含み、かつ第2工具は溝部を含む。ラミネート外装体の超音波溶着時、突起部の先端と溝の底部との間にラミネート外装体の一部が挟み込まれることにより、曲げ癖部が形成され得る。曲げ癖部に超音波振動が付与されることにより、曲げ癖が定着し得る。さらに曲げ癖部を挟んで、曲げ癖部の両側でラミネート外装体が溶着される。これによりシール部が形成される。
【0013】
本開示においては、シール部の形成と、曲げ癖部の形成とが同時並行して実施され得る。したがって生産性の向上が期待される。なお、曲げ癖部において、ラミネート外装体は溶着されてもよいし、溶着されなくてもよい。曲げ癖部の両側のシール部において、所望の気密性が得られることが期待される。
【0014】
2.第1工具および第2工具の組は、第1領域と第2領域と第3領域とを含んでいてもよい。第2領域は、突起部および溝部を含む。第2領域は、第1領域と第3領域との間に配置されている。シール部の形成時、第3領域は、第1領域に比して電極体に近接している。突起部が溝部に嵌め込まれた状態において、第1領域および第3領域に比して、第2領域に広いクリアランスが形成されてもよい。クリアランスは、第1工具と第2工具との間の隙間を示す。
【0015】
突起部と溝部と間のクリアランスが、その他の領域のクリアランスに比して広いことにより、超音波振動時に、突起部と溝部と間に樹脂が流入し得る。これにより、例えば、曲げ癖が定着しやすくなることが期待される。
【0016】
3.第1領域において、第1工具と第2工具とが互い対向する対向部は、第2領域から離れる方向に向かって傾斜していてもよい。
【0017】
第1領域において、第1工具と第2工具とがテーパ状になっていてもよい。これにより、第1領域において、ラミネート外装体が反ることが期待される。曲げ癖部よりも外側のラミネート外装体が反ることにより、例えば、その後の折り曲げ作業が円滑に進行することが期待される。
【0018】
4.第1工具および第2工具は、それぞれ円盤状であってもよい。突起部および溝部は、円周方向に連続的に形成されていてもよい。第1工具および第2工具が回転しながら、超音波振動が付与されてもよい。
【0019】
例えば、ロータリー方式により、超音波溶着および癖付けが実施されてもよい。ロータリー方式により、例えば、生産性の向上が期待される。
【0020】
5.電池の製造方法は、下記(d)をさらに含んでいてもよい。
曲げ癖部を折り目として、ラミネート外装体を折り曲げる。
【0021】
曲げ癖部が折り目となることにより、折り曲げ形状が安定することが期待される。ラミネート外装体は折り畳まれてもよい。
【0022】
6.シール部の形成時、第1工具および第2工具の少なくとも一方の振幅は、ラミネート外装体の厚さの2倍より小さくてもよい。
【0023】
ホーンの振幅がラミネート外装体(ラミネートフィルム)の厚さの2倍より小さいことにより、超音波振動によるラミネートフィルムへのダメージが軽減され得る。
【0024】
7.電池の製造装置は、電極体が収納されたラミネート外装体の周縁にシール部を形成し得る。電池の製造装置は、第1工具と第2工具と加圧装置と超音波発生装置とを含む。第1工具および第2工具は、それらの間にラミネート外装体の周縁の少なくとも一部を挟むように構成されている。加圧装置は、第1工具および第2工具の少なくとも一方に加圧力を付与するように構成されている。超音波発生装置は、第1工具および第2工具の少なくとも一方に、超音波振動を付与するように構成されている。
第1工具は突起部を含む。第2工具は溝部を含む。
電池の製造装置は、突起部の先端と溝部の底部との間にラミネート外装体を挟み込むことにより、ラミネート外装体に曲げ癖部を形成するように構成されている。
かつ電池の製造装置は、曲げ癖部の両側において、ラミネート外装体を溶着するように構成されている。
【0025】
上記「7」の電池の製造装置においては、上記「1」の電池の製造方法が実施され得る。
【0026】
8.第1工具および第2工具の組は、第1領域と第2領域と第3領域とを含んでいてもよい。第2領域は、突起部および溝部を含む。第2領域は、第1領域と第3領域との間に配置されている。シール部の形成時、第3領域は、第1領域に比して電極体に近接している。突起部が溝部に嵌め込まれた状態において、第1領域および第3領域に比して、第2領域に広いクリアランスが形成されてもよい。クリアランスは、第1工具と第2工具との間の隙間を示す。
【0027】
上記「8」の電池の製造装置においては、上記「2」の電池の製造方法が実施され得る。
【0028】
9.第1領域において、第1工具と第2工具とが互い対向する対向部は、突起部から離れる方向に向かって傾斜していてもよい。
【0029】
上記「9」の電池の製造装置においては、上記「3」の電池の製造方法が実施され得る。
【0030】
10.第1工具および第2工具は、それぞれ円盤状であってもよい。突起部および溝部は、円周方向に連続的に形成されていてもよい。電池の製造装置は、第1工具および第2工具を、円周方向に回転させるように構成されていてもよい。
【0031】
上記「10」の電池の製造装置においては、上記「4」の電池の製造方法が実施され得る。
【0032】
11.電池の製造装置は、折り曲げ装置をさらに含んでいてもよい。折り曲げ装置は、1個以上のロールを含んでいてもよい。ロールはテーパ部を含んでいてもよい。テーパ部においては、ロール径が軸方向の端部に向かって漸減している。ロールが回転しながら、テーパ部がラミネート外装体に押し当てられることにより、曲げ癖部を折り目として、ラミネート外装体が折り曲げられてもよい。
【0033】
上記「11」の電池の製造装置においては、上記「5」の電池の製造方法が実施され得る。
【0034】
12.電池は、ラミネート外装体と電極体とを含む。ラミネート外装体は、電極体を収納している。平面視において、ラミネート外装体は、その周縁の少なくとも一部にシール部を含む。断面視において、ラミネート外装体は、第1金属層と樹脂層と第2金属層とを含む。樹脂層は、第1金属層と第2金属層との間に介在している。
シール部は、第1領域と第2領域と第3領域とを含む。第1領域はシール部の端面を含む。第3領域は、ラミネート外装体の内壁に接続している。第2領域は、第1領域と第3領域との間に配置されている。第2領域において、ラミネート外装体が折り曲げられている。
樹脂層は、第1領域において第1厚さを有し、第2領域において第2厚さを有し、第3領域において第3厚さを有する。第2厚さは、第1厚さおよび第3厚さに比して大きい。
【0035】
「12」の電池は、例えば上記「2」の製造方法により製造され得る。第2領域は曲げ癖部を含み得る。例えば、突起部の先端と溝の底部との間のクリアランスが、その他の部分のクリアランスよりも広いことにより、第2領域(曲げ癖部)に樹脂が流入し得る。その結果、曲げ癖部において、樹脂層が厚く形成され得る。曲げ癖部の樹脂層が厚いことにより、例えば、曲げ癖が定着しやすいことが期待される。
【0036】
13.第1領域および第3領域においては、ラミネート外装体がシールされている。第2領域は、ラミネート外装体がシールされていない部分を含んでいてもよい。
【0037】
例えば、突起部の先端と溝の底部との間のクリアランスが、その他の部分のクリアランスよりも広いことにより、第2領域(曲げ癖部)において、樹脂層同士が溶着しないことがあり得る。第1領域および第3領域により、所望の気密性が得られることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本実施形態における電池の製造方法の概略フローチャートである。
【
図2】
図2は、本実施形態における電池の概略上面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における超音波溶着工具の一例を示す第1概念図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における超音波溶着工具の一例を示す第2概念図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における超音波溶着工具の一例を示す第3概念図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における電池の製造装置を示す概念図である。
【
図8】
図8は、超音波加工装置および折り曲げ装置の一例を示す概念図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における電池の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<用語の定義等>
以下、本開示の実施形態(「本実施形態」と略記され得る。)が説明される。ただし、本実施形態は、本開示の技術的範囲を限定しない。
【0040】
本明細書において、「備える」、「含む」、「有する」、および、これらの変形(例えば「から構成される」等)の記載は、オープンエンド形式である。オープンエンド形式は必須要素に加えて、追加要素をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。「からなる」との記載はクローズド形式である。ただしクローズド形式であっても、通常において付随する不純物であったり、本開示技術に無関係であったりする付加的な要素は排除されない。「実質的に…からなる」との記載はセミクローズド形式である。セミクローズド形式においては、本開示技術の基本的かつ新規な特性に実質的に影響しない要素の付加が許容される。
【0041】
本明細書において、「してもよい」、「し得る」等の表現は、義務的な意味「しなければならないという意味」ではなく、許容的な意味「する可能性を有するという意味」で使用されている。本明細書において、単数形で表現される要素は、特に断りの無い限り、複数形も含む。
【0042】
本明細書に記載される方法において、複数のステップ、動作および操作等は、特に断りのない限り、その実行順序が記載順序に限定されない。例えば、複数のステップが同時進行してもよい。例えば複数のステップが相前後してもよい。
【0043】
本明細書における幾何学的な用語(例えば「平行」、「垂直」、「直交」等)は、厳密な意味に解されるべきではない。例えば「平行」は、厳密な意味での「平行」から多少ずれていてもよい。本明細書における幾何学的な用語は、例えば、設計上、作業上、製造上等の公差、誤差等を含み得る。各図中の寸法関係は、実際の寸法関係と一致しない場合がある。本開示技術の理解を助けるために、各図中の寸法関係(長さ、幅、厚さ等)が変更されている場合がある。さらに一部の構成が省略されている場合もある。
【0044】
本明細書の「平面視」は、対象物(例えばラミネート外装体、電池等)の厚さ方向と平行な視線で、対象物を視ることを示す。本明細書の「断面視」は、対象物の厚さ方向と直交する視線で、対象物を視ることを示す。
【0045】
本明細書において、例えば「m~n%」等の数値範囲は、特に断りのない限り、上限値および下限値を含む。すなわち「m~n%」は、「m%以上n%以下」の数値範囲を示す。また「m%以上n%以下」は「m%超n%未満」を含む。さらに数値範囲内から任意に選択された数値が、新たな上限値または下限値とされてもよい。例えば、数値範囲内の数値と、本明細書中の別の部分、表中、図中等に記載された数値とが任意に組み合わされることにより、新たな数値範囲が設定されてもよい。
【0046】
本明細書において、全ての数値は用語「約」によって修飾されている。用語「約」は、例えば±5%、±3%、±1%等を意味し得る。全ての数値は、本開示技術の利用形態によって変化し得る近似値であり得る。全ての数値は有効数字で表示され得る。測定値は、複数回の測定における平均値であり得る。測定回数は、3回以上であってもよいし、5回以上であってもよいし、10回以上であってもよい。一般に測定回数が多い程、平均値の信頼性が向上することが期待される。測定値は有効数字の桁数に基づいて、四捨五入により端数処理され得る。測定値は、例えば測定装置の検出限界等に伴う誤差等を含み得る。
【0047】
本実施形態は、ラミネート外装体が使用される限り、任意の電池系に適用され得る。本実施形態は、例えば、リチウムイオン電池等に適用されてもよい。リチウムイオン電池は、液体電解質を含んでいてもよいし、ゲル電解質を含んでいてもよいし、固体電解質を含んでいてもよい。本実施形態は、例えば、ニッケル水素電池等に適用されてもよい。ニッケル水素電池は、例えばバイポーラ型であってもよい。
【0048】
本明細書において、「ワーク」は、加工対象物(例えばラミネート外装体、ラミネートフィルム等)、または加工対象部分(例えば、ラミネート外装体の一部、樹脂層等)を示す。
【0049】
<電池の製造方法>
図1は、本実施形態における電池の製造方法の概略フローチャートである。以下「本実施形態における電池の製造方法」が「本製造方法」と略記され得る。本製造方法は、「(a)収納」、「(b)加圧」、「(c)超音波振動」を含む。本製造方法は、例えば「(d)折り曲げ」等をさらに含んでいてもよい。なお
図1の順序は形式的なものである。例えば「(b)加圧」および「(c)超音波振動」が実質的に同時に実施されてもよい。
【0050】
《(a)収納》
図2は、本実施形態における電池の概略上面図である。以下「本実施形態における電池」が「本電池」と略記され得る。本製造方法は、電極体120をラミネート外装体110に収納することを含む。
【0051】
ラミネート外装体110はラミネートフィルムを含む。ラミネート外装体110は袋状である。ラミネート外装体110は、1枚のラミネートフィルムからなっていてもよい。ラミネート外装体110は、複数枚のラミネートフィルムを含んでいてもよい。
【0052】
ラミネート外装体110は、例えば、収納部119を含んでいてもよい。収納部119は、例えばトレイ状の凹みであってもよい。収納部119は、電極体120の外形に沿っていてもよい。収納部119に電極体120が収納される。さらに、例えば電解液が収納部119に注入されてもよい。
【0053】
収納部119の周縁においては、ラミネートフィルム同士が重ねられている。ラミネートフィルムは樹脂層を含む。収納部119の周縁においては、樹脂層同士の接触面が形成されている。
【0054】
《(b)加圧》
図3は、本実施形態における超音波溶着工具の一例を示す第1概念図である。本製造方法は、ラミネート外装体110の周縁の少なくとも一部を、第1工具211と第2工具212とで挟むことにより、加圧部を形成することを含む。
【0055】
加圧部は、樹脂層同士の接触面に形成される。加圧部は、圧力が加わっている部分を示す。圧力の大きさは、所望の溶着強度が得られるように、任意に調整され得る。
【0056】
第1工具211および第2工具212は、超音波振動をワークに伝達し得る。第1工具211および第2工具212は、いわゆるホーン、アンビル(受け治具)であり得る。第1工具211および第2工具212は、例えばアルミニウム(Al)合金製、チタン(Ti)合金製等であってもよい。
【0057】
本製造方法においては、第1工具211および第2工具212の少なくとも一方がホーンである。すなわち、第1工具211または第2工具212がホーンであってもよい。第1工具211または第2工具212がアンビルであってもよい。第1工具211および第2工具212の両方がホーンであってもよい。
【0058】
第1工具211および第2工具212は、任意の外形を有し得る。第1工具211および第2工具212は、例えば、バー状であってもよい。第1工具211および第2工具212は、例えば、
図3のY軸方向に直線的に延びていてもよい。
【0059】
図4は、本実施形態における超音波溶着工具の一例を示す第2概念図である。第1工具211および第2工具212は、例えば、円盤状であってもよい。第1工具211および第2工具212が円盤状であることにより、ロータリー方式の加工が可能になる。
【0060】
第1工具211と第2工具212とは、嵌め合い構造を有する。第1工具211は突起部11を含む。第2工具212は溝部12を含む。突起部11および溝部12は、互いに嵌め合う形状を有する。第1工具211および第2工具212が円盤状である時、突起部11および溝部12は、円周方向に連続的に形成されていてもよい(
図4参照)。
【0061】
図5は、突起部および溝部の拡大図である。突起部11および溝部12の寸法は、曲げ癖部、シール部の寸法に合わせて、任意に設定され得る。突起部11の幅(11W)は、例えば0.5~5mmであってもよい。溝部12の幅(12W)は、例えば0.5~5mmであってもよい。突起部11の高さ(11H)は、例えば0.5~2mmであってもよい。溝部12の深さ(12D)は、例えば0.5~2mmであってもよい。
【0062】
第1工具211と第2工具212との間に、ワークが挟み込まれる。これによりワークの一部は、突起部11の先端と、溝部12の底部とに挟まれる。これにより、曲げ癖部が形成される。平面視において、曲げ癖部は、例えば直線状に形成されてもよい。例えば、
図2の第1直線L1、第2直線L2等に沿って、曲げ癖部が形成されてもよい。
【0063】
突起部11および溝部12は、任意の断面形状を有し得る。突起部11および溝部12の断面形状は、例えば、矩形状であってもよいし、U字状であってもよい。突起部11の断面形状と、溝部12の断面形状とは、互いに相似であってもよいし、相似でなくてもよい。突起部11の先端、および溝部12の底部は、平坦であってもよいし、湾曲していてもよい。先端および底部が丸みを帯びていることにより、例えばラミネートフィルムへのダメージが軽減され得る。先端および底部は、例えば、円弧状に湾曲していてもよいし、楕円弧状に湾曲していてもよい。
【0064】
第1工具211と第2工具212との組は、例えば、第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3とを含んでいてもよい。第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3とは、シール部の幅方向に並んでいる。シール部の幅方向は、電池の内部から外部に向かう方向を示す。
図5等において、シール部の幅方向はX軸方向に相当する。第3領域R3は、第1領域R1に比して電極体120に近接している。第2領域R2は、第1領域R1と第3領域R3との間に配置されている。第2領域R2が、突起部11および溝部12を含んでいてもよい。
【0065】
突起部11が溝部12に嵌め込まれた状態において、第1領域R1および第3領域R3に比して、第2領域R2に広いクリアランスが形成されてもよい。第1領域R1および第3領域R3におけるクリアランスは実質的にゼロであってもよい。第2領域R2におけるクリアランスは、例えば0.1~1mmであってもよい。第2領域R2のクリアランスが広いことにより、超音波振動時、第2領域R2に樹脂が流入し得る。第2領域R2の樹脂層が厚くなることにより、例えば、曲げ癖が定着しやすくなることが期待される。
【0066】
図6は、本実施形態における超音波溶着工具の一例を示す第3概念図である。例えば、第1領域R1において、第1工具211および第2工具212はテーパ状であってもよい。すなわち、第1領域R1において、第1工具211と第2工具212とが互い対向する対向部14は、第2領域R2から離れる方向に向かって傾斜していてもよい。テーパ状の対向部14にワークが挟まれることにより、ワークが対向部14に沿って反ることになる。ワークの一部が反ることにより、例えば、その後の折り曲げ作業が円滑に進行することが期待される。
【0067】
《(c)超音波振動》
本製造方法は、加圧部に、第1工具211および第2工具212の少なくとも一方から、超音波振動を付与することにより、シール部を形成することを含む。ラミネート外装体110の周縁にシール部が形成されることにより、本電池100が製造され得る。シール部は全周にわたって形成されてもよいし、周縁の一部に形成されてもよい。例えば、電極タブ130に対応する部分については、本製造方法と異なる方法により、シール部が形成されてもよい。
【0068】
超音波振動の振動方向は、例えば
図3等のZ軸方向と平行であってもよい。第1工具211または第2工具212の一方が振動してもよいし、第1工具211および第2工具212の両方が振動してもよい。第1工具211および第2工具212の両方が振動する場合、第2工具212の振動は、第1工具211の振動と同期してもよい。
【0069】
第2領域R2に超音波振動が付与されることにより、曲げ癖部において、曲げ癖が定着し得る。さらに、第1領域R1および第3領域R3に超音波振動が付与されることにより、樹脂層が溶着し得る。すなわち曲げ癖部の両側において、ラミネート外装体110が溶着され得る。
【0070】
第1工具211および第2工具212が円盤状である時、ロータリー方式で超音波振動が付与され得る。すなわち、第1工具211および第2工具212が回転しながら、ワークに超音波振動が付与される。
【0071】
超音波振動の振幅(第1工具211および第2工具212の少なくとも一方の振幅)は、例えば、ラミネート外装体110の厚さの2倍より小さくなるように設定されてもよい。これにより、例えば、ラミネート外装体110へのダメージが軽減され得る。例えば、超音波振動の振幅は、ラミネート外装体110の厚さの0.5~1.8倍に設定されてもよいし、1~1.5倍に設定されてもよい。
【0072】
《(d)折り曲げ》
本製造方法は、例えば、曲げ癖部を折り目として、ラミネート外装体110を折り曲げることを含んでいてもよい。曲げ癖部が折り目となることにより、折り曲げ形状が安定することが期待される。ラミネート外装体110は、任意の方法により折り曲げられ得る。例えば、テーパロール等が使用されてもよい。折り曲げ作業は、例えば単段階で実施されてもよいし、多段階で実施されてもよい。例えば、段階的に折り曲げることにより、折り曲げ形状が安定することが期待される。
【0073】
ラミネート外装体110は、例えば90°以上折り曲げられてもよいし、135°以上折り曲げられてもよいし、180°折り曲げられてもよい。折り曲げの角度は、本電池100の主面と、折り返し面とのなす外角を示す(
図9の「θ」参照)。主面は、本電池100の外面のうち最大面積を有する面を示す。
【0074】
平面視において、本電池100が矩形状である場合、1辺以上でラミネート外装体110が折り曲げられる(
図2参照)。例えば、
図2の第1直線L1に沿って、ラミネート外装体110が折り曲げられてもよい。さらに第2直線L2に沿って、ラミネート外装体110が折り曲げられてもよい。
【0075】
<電池の製造装置>
図7は、本実施形態における電池の製造装置を示す概念図である。以下「本実施形態における電池の製造装置」が「本製造装置」と略記され得る。本製造装置200は、超音波加工装置210を含む。本製造装置200は、例えば、折り曲げ装置220等をさらに含んでいてもよい。
【0076】
本製造装置200においては、本製造方法が実施され得る。すなわち、本製造装置200は、電極体120が収納されたラミネート外装体110の周縁にシール部を形成し得る。本製造装置200は少ない工数で、ワークのシールから折り曲げまでを実施し得る。
図7中のY軸方向は、ワークの搬送方向を示す。まず超音波加工装置210がシール部と曲げ癖部とを同時に形成し得る。次いで折り曲げ装置220が曲げ癖部に沿って、ワークを折り曲げる。例えば、折り曲げ装置220が超音波加工装置210の直後に配置されることにより、装置サイズがコンパクトになり得る。
【0077】
本製造装置200は、例えば搬送装置230、制御装置(不図示)等をさらに含んでいてもよい。搬送装置230がワークを搬送してもよい。搬送装置230は、例えばベルトコンベア等を含んでいてもよい。制御装置が、例えば、各装置の個別動作、連携等を制御してもよい。
【0078】
《超音波加工装置》
超音波加工装置210は、第1工具211と第2工具212と加圧装置213と超音波発生装置214とを含む。すなわち本製造装置200が第1工具211と第2工具212と加圧装置213と超音波発生装置214とを含む。超音波加工装置210は、例えば、ステージ(不図示)、駆動装置(不図示)等をさらに含んでいてもよい。ステージは、例えばワークを支持し得る。ステージは、金属製の板等を含んでいてもよい。駆動装置は、例えば第1工具211および第2工具212の少なくとも一方を直進駆動させてもよい。例えば第1工具211および第2工具212が円盤状である場合、駆動装置が第1工具211および第2工具212の少なくとも一方を回転駆動させてもよい。
【0079】
第1工具211および第2工具212は、超音波発生装置214に取り付けられている。第1工具211および第2工具212は、付け替え可能であってもよい。第1工具211および第2工具212の詳細は前述のとおりである。超音波加工装置210において、第1工具211および第2工具212の位置関係は、任意である。第1工具211および第2工具212は、例えば、鉛直方向に隣接していてもよいし、水平方向に隣接していてもよい。鉛直方向における、第1工具211および第2工具212の位置関係も任意である。第1工具211が第2工具212に比して鉛直上方に位置していてもよいし、その逆でもよい。
【0080】
加圧装置213は、第1工具211および第2工具212の少なくとも一方に加圧力を付与する。加圧装置213は、任意の方法により加圧力を付与し得る。加圧装置213は、例えば、エアシリンダ、アクチュエータ、サーボモータ等を含んでいてもよい。
【0081】
超音波発生装置214は、第1工具211および第2工具212の少なくとも一方に、超音波振動を付与する。超音波発生装置214は、例えば発振器、振動子、ブースター等を含んでいてもよい。発振器は高周波電力を発生させ得る。振動子は、高周波電力を超音波振動に変換し得る。ブースターは、超音波振動の振幅を調整し得る。ブースターは、超音波振動を第1工具211および第2工具212の少なくとも一方に伝達し得る。
【0082】
第1工具211は突起部11を含む。第2工具212は溝部12を含む。超音波加工装置210は、突起部11の先端と溝部12の底部との間にラミネート外装体110を挟み込むことにより、ラミネート外装体110に曲げ癖部を形成し得る。さらに、超音波加工装置210は、曲げ癖部の両側において、ラミネート外装体110を溶着し得る。超音波加工装置210によって加工されたワークは、搬送装置230により、折り曲げ装置220に搬送され得る。
【0083】
《折り曲げ装置》
折り曲げ装置220は、任意の方法によりワークを折り曲げ得る。折り曲げ装置220は、例えば、ロール加工によりワークを折り曲げてもよい。すなわち、折り曲げ装置220は、例えば、1個以上のロールを含んでいてもよい。折り曲げ装置220は、例えば、複数個のロールを含んでいてもよい。複数個のロールにより、ワークが段階的に折り曲げられてもよい。折り曲げ装置220は、例えば1~10個のロールを含んでいてもよい。
【0084】
図8は、超音波加工装置および折り曲げ装置の一例を示す概念図である。折り曲げ装置220は、例えば、第1ロール対221と、第2ロール対222と、第3ロール対223と、第4ロール対224とを含んでいてもよい。各ロール対は、ワークの搬送方向(Y軸方向)に並んでいる。各ロール対は、回転軸16を中心として回転し得る。各ロール対は、少なくとも1個のテーパロールを含む。テーパロールは、テーパ部15を含む。テーパ部15においては、ロール径が軸方向の端部に向かって漸減している。
【0085】
各ロール対がテーパロールを含むことにより、ワークの誘い込みが円滑になり得る。各ロール対は、両方がテーパ―ロールであってもよいし、片方だけがテーパロールであってもよい。テーパロールの傾斜方向、傾斜角度は、例えば、ワークが徐々に折り曲げられるように、任意に調整され得る。各ロール対が回転しながら、順次、ワークに押し当てられることにより、曲げ癖部13が折り目となって、ワークが徐々に折り返される。
【0086】
さらに、上流にある超音波加工装置210において、第1工具211および第2工具212の第1領域R1がテーパ状であることにより、超音波加工後のワークが反ることになる(
図6の対向部14参照)。ワークが反っていることにより、第1ロール対221へのワークの誘い込みが円滑になり得る。
【0087】
<電池>
本電池100はラミネート型電池である。本電池100は本製造方法により製造され得る。本電池100は、例えば扁平状の外形を有し得る。本電池100は、ラミネート外装体110と電極体120とを含む(
図2参照)。本電池100は、例えば、電極タブ130、タブフィルム140等をさらに含んでいてもよい。
【0088】
《電極体》
電極体120は発電要素である。電極体120は正極と負極とを含む。電極体120はバイポーラ電極を含んでいてもよい。電極はシート状であり得る。電極体120は、例えばセパレータ、電解質等をさらに含んでいてもよい。電極体120は、任意の形態を有し得る。電極体120は、例えば巻回型であってもよいし、積層型であってもよい。
【0089】
《ラミネート外装体》
ラミネート外装体110は、電極体120を収納している。平面視(
図2)において、ラミネート外装体110は、その周縁に第1シール部115と、第2シール部116とを含む。第1シール部115においては、樹脂層同士が溶着されている。第1シール部115は直線的に延びている。第2シール部116は、第1シール部115と直交する方向に延びている。第2シール部116は、電極タブ130を横断している。
【0090】
図9は、本実施形態における電池の概略断面図である。断面視において、ラミネート外装体110は、第1金属層111と第1樹脂層113と第2金属層112とを含む。ラミネート外装体110は、第2樹脂層114をさらに含んでいてもよい。ラミネート外装体110は、全体として、例えば50~500μmの厚さを有していてもよい。
【0091】
第1樹脂層113は、第1金属層111と第2金属層112との間に介在している。第1樹脂層113は、2層の樹脂層が溶着することにより形成されている。第2樹脂層114は、ラミネート外装体110の表面を覆っている。第1樹脂層113および第2樹脂層114は、それぞれ独立に、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を含んでいてもよい。第2樹脂層114は、第1樹脂層113と同一組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。第1樹脂層113は、例えば10~200μmの厚さを有していてもよい。第2樹脂層114は、例えば5~50μmの厚さを有していてもよい。
【0092】
第1金属層111および第2金属層112は、例えば、金属箔、金属蒸着層を含んでいてもよい。第1金属層111および第2金属層112は、それぞれ独立に、例えば、Al、Al合金等を含んでいてもよい。第1金属層111および第2金属層112は、それぞれ独立に、例えば5~200μmの厚さを有していてもよい。
【0093】
第1シール部115は、第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3とを含む。第2領域R2は、第1領域R1と第3領域R3との間に配置されている。第1領域R1は、第1シール部115の端面117を含む。第3領域R3は、ラミネート外装体110の内壁に接続している。第2領域R2は、曲げ癖部を含む。第2領域において、ラミネート外装体110が折り曲げられている。
【0094】
第1樹脂層113は、第1領域R1において第1厚さ(t1)を有する。第1樹脂層113は、第2領域R2において第2厚さ(t2)を有する。第1樹脂層113は、第3領域R3において第3厚さ(t3)を有する。第2厚さ(t2)は、第1厚さ(t1)および第3厚さ(t3)に比して大きい。第1厚さ(t1)は第3厚さ(t3)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第2厚さ(t2)は、第1厚さ(t1)または第3厚さ(t3)の1.05~2倍であってもよいし、1.05~1.5倍であってもよい。
【0095】
第1領域R1および第3領域R3の合計幅(シール幅)は、例えば5~20mmであってもよい。第1領域R1および第3領域R3は、それぞれ独立に、例えば2~10mmの幅を有していてもよい。第2領域R2は、例えば0.5~5mmの幅を有していてもよい。
【0096】
第1領域R1および第3領域R3においては、ラミネート外装体110がシールされている。第1領域R1および第3領域R3において、第1樹脂層113は単一層であり得る。第2領域R2は、ラミネート外装体110がシールされていない部分を含んでいてもよい。例えば、第2領域R2において、第1樹脂層113の一部が2層に分離していてもよい。2層に分離した部分では、樹脂層同士が十分に融合していないと考えられる。
【0097】
《電極タブ》
本電池100は、電極タブ130をさらに含んでいてもよい。電極タブ130は、電極体120(正極または負極)に接続されている。電極タブ130はラミネート外装体110の外部に導出されている。電極タブ130は第2シール部116を貫通している。電極タブ130は、例えば外部端子として機能してもよい。電極タブ130に外部端子、バスバー等が接続されてもよい。電極タブ130は、例えば金属板を含んでいてもよい。電極タブ130は、例えば、Al、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等を含んでいてもよい。
【0098】
図2においては、2個の電極タブ130(正極タブ、負極タブ)が、互いに反対方向に、ラミネート外装体110から導出されている。例えば、1つの辺から、2個の電極タブ130(正極タブ、負極タブ)が、同方向に導出されていてもよい。
【0099】
《タブフィルム》
本電池100は、タブフィルム140をさらに含んでいてもよい。タブフィルム140は、電極タブ130とラミネート外装体110との間に介在している。タブフィルム140は、電極タブ130の周囲における気密性を補強し得る。タブフィルム140は、例えばPP、PET等を含んでいてもよい。
【0100】
<付記>
本明細書は、下記「13~15」の超音波溶着工具もサポートする。
13.超音波加工装置に取り付けられる超音波溶着工具であって、
第1工具と、
第2工具と、
を含み、
前記第1工具は突起部を含み、
前記第2工具は溝部を含み、
前記突起部および前記溝部は、互いに嵌め合う嵌め合い構造を有する、
超音波溶着工具。
【0101】
14.前記突起部と前記溝部とが嵌め合わされた状態において、
前記溝部の内部には、前記溝部の外部に比して広いクリアランスが形成され、
前記クリアランスは、前記第1工具と前記第2工具との間の隙間を示す、
上記「13」に記載の超音波溶着工具。
【0102】
15.前記第1工具は、前記突起部に隣接する第1傾斜部を含み、
前記第2工具は、前記溝部に隣接する第2傾斜部を含み、
前記突起部と前記溝部とが嵌め合わされた状態において、前記第1傾斜部は前記第2傾斜部と対向し、かつ前記第1傾斜部は前記第2傾斜部と平行である、
上記「13」または「14」に記載の超音波溶着工具。
【0103】
本実施形態は、全ての点で例示である。本実施形態は制限的ではない。本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内における全ての変更を包含する。例えば、本実施形態から任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも当初から予定されている。
【符号の説明】
【0104】
11 突起部、12 溝部、13 癖部、14 対向部、15 テーパ部、16 回転軸、100 本電池、110 ラミネート外装体、111 第1金属層、112 第2金属層、113 第1樹脂層、114 第2樹脂層、115 第1シール部、116 第2シール部、117 端面、119 収納部、120 電極体、130 電極タブ、140 タブフィルム、200 本製造装置、210 超音波加工装置、211 第1工具、212 第2工具、213 加圧装置、214 超音波発生装置、220 折り曲げ装置、221 第1ロール対、222 第2ロール対、223 第3ロール対、224 第4ロール対、230 搬送装置、L1 第1直線、L2 第2直線、R1 第1領域、R2 第2領域、R3 第3領域。