(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】洗浄制御装置、洗浄制御方法、及び洗浄制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B60S1/62 110A
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
B60S1/62 110B
B60S1/62 110C
(21)【出願番号】P 2021172579
(22)【出願日】2021-10-21
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2020187513
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一樹
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210653351(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0097265(US,A1)
【文献】特開昭63-279952(JP,A)
【文献】実開平02-076562(JP,U)
【文献】実開平04-093250(JP,U)
【文献】実開平04-118850(JP,U)
【文献】実開平06-029958(JP,U)
【文献】特開2001-301582(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0003895(US,A1)
【文献】特開2020-078998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、を搭載する前記車両における前記洗浄装置を制御する洗浄制御装置であって、
前記洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定部(120)と、
前記外界センサに最も近い前記窓の前記開度が許容範囲外であるか否かを判定する開度判定部(140)と、
前記洗浄処理が必要であると判定され、且つ前記開度が前記許容範囲外であると判定された場合に、前記調節装置に前記開度を前記許容範囲内に変更させる変更部(150)と、
前記開度が前記許容範囲外であると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行し、前記開度が許容範囲内に変更されると、前記洗浄処理の制限を解除する実行制御部(160)と、
を備え、
前記変更部は、前記外界センサに最も近い前記窓の前記開度を前記許容範囲内に変更させる洗浄制御装置。
【請求項2】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、を搭載する前記車両における前記洗浄装置を制御する洗浄制御装置であって、
前記洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定部(120)と、
前記車両における両側面に設けられた前記窓のうち、前記外界センサに近い側面に設けられた前記窓の前記開度が許容範囲外であるか否かを判定する開度判定部(140)と、
前記洗浄処理が必要であると判定され、且つ前記開度が前記許容範囲外であると判定された場合に、前記調節装置に前記開度を前記許容範囲内に変更させる変更部(150)と、
前記開度が前記許容範囲外であると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行し、前記開度が許容範囲内に変更されると、前記洗浄処理の制限を解除する実行制御部(160)と、
を備え、
前記変更部は、前記車両における
前記両側面に設けられた前記窓のうち、前記外界センサに近い
前記側面に設けられた前記窓の前記開度を前記許容範囲内に変更させる洗浄制御装置。
【請求項3】
前記洗浄処理の実行タイミングが、前記車両のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かを判定する期間判定部(135)をさらに備え、
前記実行制御部は、前記実行タイミングが前記制限期間内であると判定された場合に、前記洗浄処理の制限を実行する請求項1
又は請求項2に記載の洗浄制御装置。
【請求項4】
前記車両は、車室内に向けて通知を行う通知装置(7)を搭載しており、
前記変更部は、前記開度の変更を前記通知装置に通知させる請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の洗浄制御装置。
【請求項5】
前記車両は、前記開度の変更の拒否操作を受け付け可能な受付装置(9)を搭載しており、
前記変更部は、前記受付装置から前記拒否操作の受付情報を取得した場合に、前記開度の変更を禁止する請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の洗浄制御装置。
【請求項6】
前記変更部は、前記洗浄処理の終了から待機時間の間、前記開度の前記許容範囲外への変更を禁止する請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の洗浄制御装置。
【請求項7】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行する洗浄装置(6)と、を搭載する車両(2)における前記洗浄装置を制御する洗浄制御装置であって、
前記洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定部(120)と、
前記洗浄処理の実行タイミングが、前記車両のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かを判定する期間判定部(135,140)と、
前記実行タイミングが前記制限期間内となると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行し、前記制限期間外になると、前記洗浄処理の制限を解除する実行制御部(160)と、
を備える洗浄制御装置。
【請求項8】
前記期間判定部は、前記車両におけるドアの開度が許容範囲外である期間を、前記制限期間とする請求項
7に記載の洗浄制御装置。
【請求項9】
前記期間判定部は、乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される地点を含む禁止領域を前記車両が走行中である期間を、前記制限期間とする請求項
7に記載の洗浄制御装置。
【請求項10】
前記期間判定部は、前記車両の挙動情報に基づいて、前記実行タイミングが前記制限期間内であるか否かを判定する請求項
7に記載の洗浄制御装置。
【請求項11】
移動体が前記車両の周辺における制限範囲内に存在するか否かを判定する移動体判定部(130)をさらに備え、
前記実行制御部は、前記移動体が前記制限範囲内に存在すると判定された場合に、前記洗浄処理の制限を実行する請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の洗浄制御装置。
【請求項12】
前記実行制御部は、前記洗浄処理の実行の禁止を、前記洗浄処理の制限に含む請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載の洗浄制御装置。
【請求項13】
前記実行制御部は、制限が解除されている場合よりも飛散物の発生を抑制する洗浄態様での前記洗浄処理の実行を、前記洗浄処理の制限に含む請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載の洗浄制御装置。
【請求項14】
前記洗浄態様は、制限が解除されている場合よりも前記入射面における洗浄範囲を限定することを含む請求項
13に記載の洗浄制御装置。
【請求項15】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、を搭載する前記車両における前記洗浄装置を制御するために、プロセッサ(12)により実行される洗浄制御方法であって、
前記洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定プロセス(S105)と、
前記外界センサに最も近い前記窓の前記開度が許容範囲外であるか否かを判定する開度判定プロセス(S120,S125)と、
前記洗浄処理が必要であると判定され、且つ前記開度が前記許容範囲外であると判定された場合に、前記調節装置に前記開度を前記許容範囲内に変更させる変更プロセス(S135)と、
前記開度が前記許容範囲外であると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行し、前記開度が許容範囲内に変更されると、前記洗浄処理の制限を解除する実行制御プロセス(S129,S140)と、
を含み、
前記変更プロセスでは、前記外界センサに最も近い前記窓の前記開度を前記許容範囲内に変更させる洗浄制御方法。
【請求項16】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、を搭載する前記車両における前記洗浄装置を制御するために、プロセッサ(12)により実行される洗浄制御方法であって、
前記洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定プロセス(S105)と、
前記車両における両側面に設けられた前記窓のうち、前記外界センサに近い側面に設けられた前記窓の前記開度が許容範囲外であるか否かを判定する開度判定プロセス(S120,S125)と、
前記洗浄処理が必要であると判定され、且つ前記開度が前記許容範囲外であると判定された場合に、前記調節装置に前記開度を前記許容範囲内に変更させる変更プロセス(S135)と、
前記開度が前記許容範囲外であると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行し、前記開度が許容範囲内に変更されると、前記洗浄処理の制限を解除する実行制御プロセス(S129,S140)と、
を含み、
前記変更プロセスでは、前記車両における
前記両側面に設けられた前記窓のうち、前記外界センサに近い
前記側面に設けられた前記窓の前記開度を前記許容範囲内に変更させる洗浄制御方法。
【請求項17】
前記洗浄処理の実行タイミングが、前記車両のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かを判定する期間判定プロセス(S111)をさらに含み、
前記実行制御プロセスでは、前記実行タイミングが前記制限期間内であると判定された場合に、前記洗浄処理の制限を実行する請求項
15又は請求項16に記載の洗浄制御方法。
【請求項18】
前記車両は、車室内に向けて通知を行う通知装置(7)を搭載しており、
前記変更プロセスでは、前記開度の変更を前記通知装置に通知させる請求項
15から請求項
17のいずれか1項に記載の洗浄制御方法。
【請求項19】
前記車両は、前記開度の変更の拒否操作を受け付け可能な受付装置(9)を搭載しており、
前記変更プロセスでは、前記受付装置から前記拒否操作の受付情報を取得した場合に、前記開度の変更を禁止する請求項
15から請求項
18のいずれか1項に記載の洗浄制御方法。
【請求項20】
前記変更プロセスでは、前記洗浄処理の終了から待機時間の間、前記開度の前記許容範囲外への変更を禁止する請求項
15から請求項
19のいずれか1項に記載の洗浄制御方法。
【請求項21】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行する洗浄装置(6)と、を搭載する車両(2)における前記洗浄装置を制御するために、プロセッサ(12)により実行される洗浄制御方法であって、
前記洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定プロセス(S105)と、
前記洗浄処理の実行タイミングが、前記車両のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かを判定する期間判定プロセス(S121,S126;S127)と、
前記実行タイミングが前記制限期間内となると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行し、前記制限期間外になると、前記洗浄処理の制限を解除する実行制御プロセス(S141,S142)と、
を含む洗浄制御方法。
【請求項22】
前記期間判定プロセスでは、前記車両におけるドアの開度が許容範囲外である期間を、前記制限期間とする請求項
21に記載の洗浄制御方法。
【請求項23】
前記期間判定プロセスでは、乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される地点を含む禁止領域を前記車両が走行中である期間を、前記制限期間とする請求項
21に記載の洗浄制御方法。
【請求項24】
前記期間判定プロセスでは、前記車両の挙動情報に基づいて、前記実行タイミングが前記制限期間内であるか否かを判定する請求項
21に記載の洗浄制御方法。
【請求項25】
移動体が前記車両の周辺における制限範囲内に存在するか否かを判定する移動体判定プロセス(S110)をさらに備え、
前記実行制御プロセスでは、前記移動体が前記制限範囲内に存在すると判定された場合に、前記洗浄処理の制限を実行する請求項
15から請求項
24のいずれか1項に記載の洗浄制御方法。
【請求項26】
前記実行制御プロセスでは、前記洗浄処理の実行の禁止を、前記洗浄処理の制限に含む請求項
15から請求項
25のいずれか1項に記載の洗浄制御方法。
【請求項27】
前記実行制御プロセスでは、制限が解除されている場合よりも飛散物の発生を抑制する洗浄態様での前記洗浄処理の実行を、前記洗浄処理の制限に含む請求項
15から請求項
26のいずれか1項に記載の洗浄制御方法。
【請求項28】
前記洗浄態様は、制限が解除されている場合よりも前記入射面における洗浄範囲を限定することを含む請求項
27に記載の洗浄制御方法。
【請求項29】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、
前記洗浄装置を制御するプロセッサ(12)とを搭載する前記車両にお
いて前記プロセッ
サに実行させる
ための命令を含む洗浄制御プログラムであって、
前記命令は、
前記洗浄処理が必要か否かを判定させる洗浄判定プロセス(S105)と、
前記外界センサに最も近い前記窓の前記開度が許容範囲外であるか否かを判定させる開度判定プロセス(S120,S125)と、
前記洗浄処理が必要であると判定され、且つ前記開度が前記許容範囲外であると判定された場合に、前記調節装置に前記開度を前記許容範囲内に変更させる変更プロセス(S135)と、
前記開度が前記許容範囲外であると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行させ、前記開度が許容範囲内に変更されると、前記洗浄処理の制限を解除させる実行制御プロセス(S129,S140)と、
を含み、
前記変更プロセスでは、前記外界センサに最も近い前記窓の前記開度を前記許容範囲内に変更させる洗浄制御プログラム。
【請求項30】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、
前記洗浄装置を制御するプロセッサ(12)とを搭載する前記車両にお
いて前記プロセッ
サに実行させる
ための命令を含む洗浄制御プログラムであって、
前記命令は、
前記洗浄処理が必要か否かを判定させる洗浄判定プロセス(S105)と、
前記車両における両側面に設けられた前記窓のうち、前記外界センサに近い側面に設けられた前記窓の前記開度が許容範囲外であるか否かを判定させる開度判定プロセス(S120,S125)と、
前記洗浄処理が必要であると判定され、且つ前記開度が前記許容範囲外であると判定された場合に、前記調節装置に前記開度を前記許容範囲内に変更させる変更プロセス(S135)と、
前記開度が前記許容範囲外であると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行させ、前記開度が許容範囲内に変更されると、前記洗浄処理の制限を解除させる実行制御プロセス(S129,S140)と、
を含み、
前記変更プロセスでは、前記車両における
前記両側面に設けられた前記窓のうち、前記外界センサに近い
前記側面に設けられた前記窓の前記開度を前記許容範囲内に変更させる洗浄制御プログラム。
【請求項31】
外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、前記外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行する洗浄装置(6)と、
前記洗浄装置を制御するプロセッサ(12)とを搭載する車両(2)にお
いて前記プロセッ
サに実行させる
ための命令を含む洗浄制御プログラムであって、
前記命令は、
前記洗浄処理が必要か否かを判定させる洗浄判定プロセス(S105)と、
前記洗浄処理の実行タイミングが、前記車両のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かを判定させる期間判定プロセス(S121,S126;S127)と、
前記実行タイミングが前記制限期間内となると判定されると、前記洗浄処理の制限を実行させ、前記制限期間外になると、前記洗浄処理の制限を解除させる実行制御プロセス(S141,S142)と、
を含む洗浄制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、車載センサの検出媒体が入射する入射面に付着した汚れを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車載カメラのレンズに付着した付着物を除去する装置が開示されている。この装置は、圧縮空気若しくは洗浄液の噴射、又はワイパによる払拭により、付着物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術のように、付着物の除去を実施した場合、除去処理に伴って飛散物が生じ得る。この飛散物が車室内に進入すると、車室内の設備又は乗員に付着する虞がある。
【0005】
開示される目的は、洗浄により発生する飛散物の車室内への進入を抑制可能な洗浄制御装置、洗浄制御方法、及び洗浄制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された洗浄制御装置のひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、を搭載する車両における洗浄装置を制御する洗浄制御装置であって、
洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定部(120)と、
外界センサに最も近い窓の開度が許容範囲外であるか否かを判定する開度判定部(140)と、
洗浄処理が必要であると判定され、且つ開度が許容範囲外であると判定された場合に、調節装置に開度を許容範囲内に変更させる変更部(150)と、
開度が許容範囲外であると判定されると、洗浄処理の制限を実行し、開度が許容範囲内に変更されると、洗浄処理の制限を解除する実行制御部(160)と、
を備え、
変更部は、外界センサに最も近い窓の開度を許容範囲内に変更させる。
開示された洗浄制御装置のひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、を搭載する車両における洗浄装置を制御する洗浄制御装置であって、
洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定部(120)と、
車両における両側面に設けられた窓のうち、外界センサに近い側面に設けられた窓の開度が許容範囲外であるか否かを判定する開度判定部(140)と、
洗浄処理が必要であると判定され、且つ開度が許容範囲外であると判定された場合に、調節装置に開度を許容範囲内に変更させる変更部(150)と、
開度が許容範囲外であると判定されると、洗浄処理の制限を実行し、開度が許容範囲内に変更されると、洗浄処理の制限を解除する実行制御部(160)と、
を備え、
変更部は、車両における両側面に設けられた窓のうち、外界センサに近い側面に設けられた窓の開度を許容範囲内に変更させる。
【0008】
開示された洗浄制御方法のひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、を搭載する車両における洗浄装置を制御するために、プロセッサ(12)により実行される洗浄制御方法であって、
洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定プロセス(S105)と、
外界センサに最も近い窓の開度が許容範囲外であるか否かを判定する開度判定プロセス(S120,S125)と、
洗浄処理が必要であると判定され、且つ開度が許容範囲外であると判定された場合に、調節装置に開度を許容範囲内に変更させる変更プロセス(S135)と、
開度が許容範囲外であると判定されると、洗浄処理の制限を実行し、開度が許容範囲内に変更されると、洗浄処理の制限を解除する実行制御プロセス(S129,S140)と、
を含み、
変更プロセスでは、外界センサに最も近い窓の開度を許容範囲内に変更させる。
開示された洗浄制御方法のひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、を搭載する車両における洗浄装置を制御するために、プロセッサ(12)により実行される洗浄制御方法であって、
洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定プロセス(S105)と、
車両における両側面に設けられた窓のうち、外界センサに近い側面に設けられた窓の開度が許容範囲外であるか否かを判定する開度判定プロセス(S120,S125)と、
洗浄処理が必要であると判定され、且つ開度が許容範囲外であると判定された場合に、調節装置に開度を許容範囲内に変更させる変更プロセス(S135)と、
開度が許容範囲外であると判定されると、洗浄処理の制限を実行し、開度が許容範囲内に変更されると、洗浄処理の制限を解除する実行制御プロセス(S129,S140)と、
を含み、
変更プロセスでは、車両における両側面に設けられた窓のうち、外界センサに近い側面に設けられた窓の開度を許容範囲内に変更させる。
【0009】
開示された洗浄制御プログラムのひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、洗浄装置を制御するプロセッサ(12)とを搭載する車両においてプロセッサに実行させるための命令を含む洗浄制御プログラムであって、
命令は、
洗浄処理が必要か否かを判定させる洗浄判定プロセス(S105)と、
外界センサに最も近い窓の開度が許容範囲外であるか否かを判定させる開度判定プロセス(S120,S125)と、
洗浄処理が必要であると判定され、且つ開度が許容範囲外であると判定された場合に、調節装置に開度を許容範囲内に変更させる変更プロセス(S135)と、
開度が許容範囲外であると判定されると、洗浄処理の制限を実行させ、開度が許容範囲内に変更されると、洗浄処理の制限を解除させる実行制御プロセス(S129,S140)と、
を含み、
変更プロセスでは、外界センサに最も近い窓の開度を許容範囲内に変更させる。
開示された洗浄制御プログラムのひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行可能な洗浄装置(6)と、車両(2)における開閉可能な窓(21)の開度を調節可能な調節装置(24)と、洗浄装置を制御するプロセッサ(12)とを搭載する車両においてプロセッサに実行させるための命令を含む洗浄制御プログラムであって、
命令は、
洗浄処理が必要か否かを判定させる洗浄判定プロセス(S105)と、
車両における両側面に設けられた窓のうち、外界センサに近い側面に設けられた窓の開度が許容範囲外であるか否かを判定させる開度判定プロセス(S120,S125)と、
洗浄処理が必要であると判定され、且つ開度が許容範囲外であると判定された場合に、調節装置に開度を許容範囲内に変更させる変更プロセス(S135)と、
開度が許容範囲外であると判定されると、洗浄処理の制限を実行させ、開度が許容範囲内に変更されると、洗浄処理の制限を解除させる実行制御プロセス(S129,S140)と、
を含み、
変更プロセスでは、車両における両側面に設けられた窓のうち、外界センサに近い側面に設けられた窓の開度を許容範囲内に変更させる。
【0010】
これらの開示によれば、洗浄処理が必要であると判定され、且つ窓の開度が許容範囲外であると判定された場合に、洗浄処理の制限が実行される。そして、当該開度が許容範囲内に変更されると洗浄処理の制限が解除される。故に、窓の開度が許容範囲外から許容範囲内になるまで、洗浄処理が制限される。これにより、洗浄処理により生じた飛散物が、開度が許容範囲外の窓から車室内に進入することを抑制し得る。以上により、洗浄により発生する飛散物の車室内への進入を抑制可能な洗浄制御装置、洗浄制御方法、及び洗浄制御プログラムが提供され得る。
【0011】
開示された洗浄制御装置のひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行する洗浄装置(6)と、を搭載する車両(2)における洗浄装置を制御する洗浄制御装置であって、
洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定部(120)と、
洗浄処理の実行タイミングが、車両のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かを判定する期間判定部(135,140)と、
実行タイミングが制限期間内となると判定されると、洗浄処理の実行を禁止し、制限期間外になると、洗浄処理の実行を許可する実行制御部(160)と、
を備える。
【0012】
開示された洗浄制御方法のひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行する洗浄装置(6)と、を搭載する車両(2)における洗浄装置を制御するために、プロセッサ(12)により実行される洗浄制御方法であって、
洗浄処理が必要か否かを判定する洗浄判定プロセス(S105)と、
洗浄処理の実行タイミングが、車両のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かを判定する期間判定プロセス(S121,S126;S127)と、
実行タイミングが制限期間内となると判定されると、洗浄処理の制限を実行し、制限期間外になると、洗浄処理の制限を解除する実行制御プロセス(S141,S142)と、
を含む。
【0013】
開示された洗浄制御プログラムのひとつは、外界の認識対象物を検出可能な外界センサ(4)と、外界センサの検出媒体が入射する入射面に対する洗浄処理を実行する洗浄装置(6)と、洗浄装置を制御するプロセッサ(12)とを搭載する車両(2)においてプロセッサに実行させるための命令を含む洗浄制御プログラムであって、
命令は、
洗浄処理が必要か否かを判定させる洗浄判定プロセス(S105)と、
洗浄処理の実行タイミングが、車両のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かを判定させる期間判定プロセス(S121,S126;S127)と、
実行タイミングが制限期間内となると判定されると、洗浄処理の制限を実行させ、制限期間外になると、洗浄処理の制限を解除させる実行制御プロセス(S141,S142)と、
を含む。
【0014】
これらの開示によれば、洗浄処理の実行タイミングが当該制限期間内となると判定された場合に、洗浄処理が制限され、制限期間外となると判定されると、洗浄処理の制限が解除される。故に、洗浄処理により生じた飛散物が、ユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方によって解放された車両のドアから車室内に進入することを抑制し得る。以上により、洗浄により発生する飛散物の車室内への進入を抑制可能な洗浄制御装置、洗浄制御方法、及び洗浄制御プログラムが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態における外界センサの車両への搭載状態を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図5】第2実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第3実施形態における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図7】第3実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第4実施形態における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図9】第4実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第5実施形態における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図11】第5実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12】制限モードにおける洗浄態様の一例を説明するための模式図である。
【
図13】第6実施形態における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図14】第6実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図15】第7実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図16】第8実施形態における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図17】第8実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図18】第9実施形態における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図19】変形例における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図20】変形例における洗浄制御装置が有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図21】変形例における洗浄制御装置が実行する洗浄制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態の洗浄制御装置1について、
図1~
図3を参照しながら説明する。第1実施形態において、洗浄制御装置1は、外界センサ4に搭載された電子制御装置である。洗浄制御装置1は、例えばLAN(Local Area Network)、ワイヤハーネス及び内部バス等のうち、少なくとも一種類を介して、洗浄装置6、通知装置7、窓開度センサ23、窓開閉制御部24と接続されている。洗浄制御装置1が搭載された外界センサ4は、
図1に示すように、車両2に搭載される自動運転ユニットADU、又は車体に設置されている。車両2は、自律運転制御又は高度運転支援制御による自動運転モードにおいて、定常的若しくは一時的に自動走行可能となっている。尚、以下の説明において、前、後、左、右、上及び下とは、水平面上の車両2を基準に定義されている。
【0017】
自動運転ユニットADUは、ハウジング3と、当該ハウジング3に収容された外界センサ4、洗浄装置6及び自動運転ECU30を含んで構成されている。ハウジング3は、例えば金属等により中空状の扁平箱形に形成されている。ハウジング3は、車両2のルーフ20上に設置されている。ハウジング3には、外界センサ4の検出媒体が入射する入射面が形成されている。入射面は、例えば、ハウジング3に開口するセンサ窓を覆う、板状の透光カバーの外面により構成される。
【0018】
なお、車体に設置された外界センサ4における入射面は、上述と同様に当該センサ4を収容するハウジング3によって形成されていてもよいし、外界センサ4自体に設けられていてもよい。
【0019】
洗浄装置6は、外界センサ4の検出媒体が入射する入射面を洗浄する。洗浄装置6は、複数の外界センサ4に対応する複数の入射面毎に設けられている。各洗浄装置6は、入射面を洗浄するための気体としての洗浄流体として、洗浄ガスを入射面へ噴射する、洗浄ノズルを有していてもよい。各洗浄装置6は、入射面を洗浄するための液体としての洗浄流体として、洗浄液を入射面へ噴射する、洗浄ノズルを有していてもよい。各洗浄装置6は、複数種類の洗浄流体を噴射可能であってもよい。各洗浄装置6は、入射面を払拭により洗浄する、洗浄ワイパを有していてもよい。
【0020】
通知装置7は、車室内に対して通知を行う車載デバイスである。通知装置7は、表示により視覚的な通知を行う表示デバイスであってもよい。通知装置7は、音情報により聴覚的な通知を行うスピーカデバイスであってもよい。通知装置7は、振動等により触覚的な通知を行う触覚デバイスであってもよい。通知装置7は、以上のデバイスのうち2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0021】
窓開度センサ23は、車両2における開閉可能な複数の窓21の開度を検出する複数のセンサである。窓開閉制御部24は、窓21の開度を調節可能な制御装置である。窓開閉制御部24は、図示しないパワーウィンドウモータと電気的に接続されており、当該モータを制御することで窓21の開度を制御する。窓開閉制御部24は、「調節装置」の一例である。
【0022】
外界センサ4は、検出媒体により検出範囲の周辺環境をセンシング可能な車載センサである。外界センサ4は、複数搭載される。外界センサ4は、例えば、周辺監視カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)、ミリ波レーダのうち少なくとも1種類である。
【0023】
周辺監視カメラは、外光を検出媒体として検出し、検出範囲を撮像した画像データを出力する。LiDARは、光照射に対する反射光を検出媒体として検出し、反射物の点群データを出力する。ミリ波レーダは、ミリ波または準ミリ波の照射に対する反射波を検出媒体として受信し、検出データを生成、出力する。
【0024】
外界センサ4は、検出素子10と、洗浄制御装置1とによって構成されている。周辺監視カメラの場合、検出素子10は、例えばCMOS等の外光を検出する撮像素子である。又、LiDARの場合、検出素子10は、光照射を行う発光素子及び反射光を含む外光を検出するSPAD(Single Photon Avalanche Diode)等の撮像素子である。ミリ波レーダの場合、ミリ波又は準ミリ波の照射素子及び反射波を検出する受信素子である。
【0025】
図1,2に示す洗浄制御装置1は、少なくとも1つの専用コンピュータを含んで構成される。洗浄制御装置1は、こうした専用コンピュータを含んで構成されることで、メモリ11及びプロセッサ12を少なくとも1つずつ有している。メモリ11は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。プロセッサ12は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及びRISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含む。
【0026】
プロセッサ12は、メモリ11に記憶された洗浄制御プログラムに含まれる複数の命令を、実行する。これにより洗浄制御装置1は、洗浄装置6を制御するための機能部(即ち、機能ブロック)を、複数構築する。このように洗浄制御装置1では、洗浄装置6を制御するためにメモリ11に記憶された洗浄制御プログラムが複数の命令をプロセッサ12に実行させることで、複数の機能部が構築される。洗浄制御装置1により構築される複数の機能部には、
図2に示すようにデータ取得部110、汚れ判定部120、移動体判定部130、開度判定部140、変更部150及び実行制御部160が含まれる。
【0027】
データ取得部110は、検出素子10にて検出された検出データを取得する。汚れ判定部120は、検出データに基づいて、入射面の洗浄処理を実行するか否か判定する。具体的には、汚れ判定部120は、入射面に汚れが付着していると判断した場合に洗浄処理の実行判定を下し、汚れが付着していないと判断した場合に、洗浄処理の禁止判定を下す。ここで、汚れとは、入射面に付着することで外界センサ4による他の車両や歩行者等の認識対象物の検出を阻害するものであり、例えば水滴、泥、雪、落ち葉、虫等を含む。
【0028】
例えば、汚れ判定部120は、周辺監視カメラにおいて所定の期間又は所定数のフレームにわたり、物体が認識されなかった領域が存在する場合、当該領域に汚れが付着していると判断する。又は、汚れ判定部120は、LiDAR及びミリ波レーダにおいて、閾値未満又は以下の距離に反射物が検出される領域が存在する場合、当該領域に汚れが付着していると判断する。以上により、汚れ判定部120は、自身にて洗浄処理の実行許否を判定することで、当該洗浄処理の必要判定又は不必要判定を下すことになる。また、汚れ判定部120は、汚れの付着判定が下されてからの時間(付着時間)が許容時間内であるか否かをさらに判定する。付着時間は、洗浄処理の必要判定が下されてからの時間であると言い換えることもできる。許容時間は、時間閾値以下、又は当該時間閾値未満となる時間範囲に規定される。汚れ判定部120は、「洗浄判定部」の一例である。
【0029】
外界センサ4の洗浄処理が必要であると判定されると、移動体判定部130は、データ取得部110から取得した検出データに基づき、移動体を検出する。これにより、移動体判定部130は、車両2から移動体までの距離を少なくとも含む移動体情報を取得する。移動体情報には、移動体の車両2に対する相対方位、相対速度、属性情報等が含まれていてもよい。移動体判定部130は、他の外界センサ4又は他の車載ECU等にて検出された移動体情報を取得してもよい。移動体判定部130は、移動体情報に基づいて、移動体が車両2の周辺における制限範囲内に存在するか否かを判定する。制限範囲は、車両2から移動体までの距離に関する閾値以下、又は当該閾値未満となる距離範囲に規定される。なお、制限範囲を規定する閾値は、車両2に対する方向に応じて変更するように設定されていてもよい。
【0030】
洗浄処理の実行判定が下され、且つ移動体が制限範囲内に存在しないと判定されると、開度判定部140が、車両2に設置された窓21の開度についての開度判定を実行する。または、開度判定部140は、移動体が制限範囲内に存在すると判定され、且つ汚れの付着時間が許容時間外であると判定された場合にも、開度判定を実行する。開度判定において、開度判定部140は、複数の窓開度センサ23のうち、洗浄処理の実行が決定された外界センサ4に最も近い窓(最近傍窓)21の開度を検出する窓開度センサ23からの開度情報を取得する。開度判定において、開度判定部140は、最近傍窓の開度が、許容範囲内であるか否かを判定する。許容範囲は、窓21の開度に関する閾値以下、又は当該閾値未満となる数値範囲に規定される。
【0031】
変更部150は、開度判定部140にて最近傍窓の開度が許容範囲外であると判定されると、当該最近傍窓の開度を減少させる変更指令を、送信する。変更部150は、開度を少なくとも許容範囲内まで減少させる。一例として、変更部150は、開度を実質ゼロとする変更指令、すなわち窓21を閉じる変更指令を送信する。
【0032】
加えて、変更部150は、窓21の開度変更を車室内に通知する通知指令を、通知装置7へと送信する。これを受けて、通知装置7は、車室内に窓21の開度が変更される旨の通知を実行する。
【0033】
また、変更部150は、洗浄処理が終了してから所定の待機時間が経過するまで、開度の許容範囲外への変更を禁止させる。すなわち、開度が許容範囲内の状態が維持される。洗浄処理の終了から待機時間経過すると、変更部150は、開度判定前の開度に復元する。ここで洗浄処理の終了したタイミングは、洗浄装置6から洗浄流体の噴射、又はワイパによる払拭の完了情報を取得したタイミングとすればよい。待機時間は、予め設定された時間とすればよい。
【0034】
実行制御部160は、開度判定部140の判定結果に基づいて、洗浄処理の実行開始、又は洗浄処理の実行禁止を決定する。具体的には、実行制御部160は、開度判定部140にて開度が許容範囲内であるとの判定が下されると、洗浄処理の実行を許可する。このとき、実行制御部160は、洗浄処理の実行指令を生成し、洗浄装置6へと送信する。
【0035】
一方で、実行制御部160は、開度判定部140にて開度が許容範囲外であるとの判定が下されると、洗浄処理の実行を禁止する。このとき、実行制御部160は、実行指令を洗浄装置6へと送信しない状態を維持する。または、実行制御部160は、洗浄処理の実行を待機する旨の待機指令を洗浄装置6へと送信してもよい。実行制御部160は、変更部150から送信された開度の変更指令が実行されると、洗浄処理の実行開始を決定し、実行指令の生成及び送信を行う。洗浄処理の実行の禁止は、「洗浄処理の制限」の一例である。
【0036】
このような機能部の共同により、洗浄制御装置1が洗浄装置6を制御する洗浄制御方法のフローを、
図3に従って以下に説明する。尚、本フローにおける各「S」は、洗浄制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味する。
【0037】
まず、
図3のS100においてデータ取得部110は、検出素子10から検出データを取得する。次に、S105では、汚れ判定部120が、入射面に汚れが付着しているか否かを判定する。入射面に汚れが付着していないと判定されると、本フローが終了する。一方で、入射面に汚れが付着していると判定されると、S110にて、移動体判定部130が、制限範囲内に移動体が存在するか否かを判定する。
【0038】
S110にて移動体が存在すると判定されると、本フローがS115へと移行する。S115では、汚れ判定部120が、汚れの付着時間が許容時間内であるか否かを判定する。許容時間内であると判定されると、本フローがS110へと戻る。一方で、許容時間外であると判定されると、本フローがS120へと移行する。また、S110にて移動体が存在しないと判定された場合も、本フローがS120へと移行する。
【0039】
S120では、開度判定部140が、最近傍窓の開度情報を窓開度センサ23から取得する。続くS125では、開度判定部140が、取得した窓21の開度が許容範囲内であるか否かを判定する。許容範囲内であると判定されると、本フローがS140へと移行する。一方で、許容範囲外であると判定されると、本フローがS129へと移行する。S129では、実行制御部160が、洗浄処理の実行を禁止する。
【0040】
続くS130では、変更部150が通知装置7に窓21の開度変更の通知を実行させる。次に、S135では、変更部150が、窓21の開度を許容範囲内に変更する。なお、S130とS135の処理は並行して実行されてもよい。続くS140では、実行制御部160が、洗浄装置6に入射面の洗浄を実行させる。
【0041】
次に、S145では、変更部150が、洗浄終了から待機時間経過したか否かを判定する。待機時間経過するまで、S145の処理は繰り返される。待機時間経過したと判定すると、S150にて、変更部150が、窓21の開度を開度判定前へと復元する。なお、S125から直接S140に本フローが移行した場合、S150の時点での開度は開度判定前と変わっていないため、S150では単に開度が維持されることになる。
【0042】
なお、上述のS105が「洗浄判定プロセス」、S110,S115が、「移動体判定プロセス」、S120,S125が、「開度判定プロセス」、S130,S135が「変更プロセス」、S129,S140が「実行制御プロセス」の一例である。
【0043】
以上の第1実施形態によれば、洗浄処理が必要であると判定され、且つ窓21の開度が許容範囲外であると判定された場合に、洗浄処理の実行が禁止される。そして、当該開度が許容範囲内に変更されると洗浄処理の実行が許可される。
【0044】
故に、窓21の開度が許容範囲外から許容範囲内になるまで、洗浄処理の実行が延期される。これにより、洗浄処理により生じた飛散物が、開度が許容範囲外の窓21から車室内に進入することを抑制し得る。以上により、洗浄により発生する飛散物の車室内への進入を抑制可能となり得る。
【0045】
なお、ここでの飛散物は、入射面から除去された汚れ、及び洗浄流体のうち少なくとも一種類である。
【0046】
また、第1実施形態によれば、外界センサ4に最も近い窓21の開度が許容範囲内に変更される。これによれば、飛散物が進入する可能性の比較的高い窓21からの、飛散物の進入を、より確実に防ぎ得る。
【0047】
さらに、第1実施形態によれば、開度の変更を通知装置7に通知させる。これによれば、乗員が、開度の変更タイミングを把握することが可能となる。したがって、乗員の利便性が向上され得る。
【0048】
また、第1実施形態によれば、洗浄処理の制限において、洗浄処理の実行が禁止される。これによれば、洗浄処理の実行自体が禁止されるため、飛散物の車室内への進入を、より確実に防ぎ得る。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態における洗浄制御装置1の変形例について説明する。
図4及び
図5において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0050】
第2実施形態において、洗浄制御装置1は、洗浄制御プログラムの実行により、移動体判定部130の代わりに、乗降判定部135を機能部として構築する。乗降判定部135は、洗浄の実行タイミングが、車両2のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む禁止期間であるか否かを判定する。なお、禁止期間は、「制限期間」の一例である。
【0051】
乗降判定部135は、例えば、現在時刻を洗浄の実行タイミングとすればよい。乗降判定部135は、ナビゲーション装置8からの情報に基づいて、実行タイミングが禁止期間に含まれるか否かを判定する。例えば、乗降判定部135は、車両2の目的地情報及び自己位置情報に基づき、車両2の目的地までの距離が閾距離以下又は閾距離未満であると判断した期間を、禁止期間とする。又は、乗降判定部135は、地図情報及び自己位置情報に基づき、車両2が駐車場内を走行中であると判断した期間を、禁止期間としてもよい。又は、乗降判定部135は、地図情報及び自己位置情報に基づき、車両2が道路端に幅寄せしていると判断した期間を、禁止期間としてもよい。又は、乗降判定部135は、ドア22の開度がドア許容範囲外である期間を、禁止期間としてもよい。ドア許容範囲は、ドア22の開度に関する閾値以下又は当該閾値未満の数値範囲とすればよい。
【0052】
また、乗降判定部135は、実行タイミングが禁止期間に含まれると判定し、且つ汚れの付着時間が許容時間内であると判定されている場合、期間判定を繰り返し実施する。なお、ここでの許容時間は、第1実施形態における許容時間と同じでもよいし、異なっていてもよい。一方で、実行タイミングが禁止期間に含まれないと判定された場合、または実行タイミングが禁止期間に含まれ且つ付着時間が許容期間外であると判定された場合には、乗降判定部135は、期間判定を中断する。この場合、開度判定部140における開度判定が開始される。乗降判定部135は、「期間判定部」の一例である。
【0053】
次に、このような機能部の共同により、洗浄制御装置1が洗浄装置6を制御する洗浄制御方法のフローを、
図5に従って以下に説明する。
図5のフローの各ステップのうち、
図3のフローと同様の符号を付したステップについては、第1実施形態の説明を援用する。
【0054】
図5のS105にて入射面に汚れが付着しているとの判定が下された場合、本フローはS111へと移行する。S111では、乗降判定部135が、洗浄処理の実行タイミングが禁止期間に含まれるか否かを判定する。実行タイミングが禁止期間に含まれないと判定されると、本フローがS120へと移行する。一方で、実行タイミングが禁止期間に含まれると判定されると、本フローがS116へと移行する。S116では、汚れ判定部120が、汚れの付着時間が許容時間内であるか否かを判定する。許容時間内であると判定されると、本フローがS111へと戻る。一方で、付着時間が許容時間外であると判定されると、本フローがS120へと移行する。上述のS111,S116が、「期間判定プロセス」の一例である。
【0055】
以上の第2実施形態によれば、洗浄処理の実行タイミングが禁止期間内であると判定された場合に、洗浄処理の実行が禁止される。故に、ユーザの乗車及び降車の少なくとも一方が発生する際に、洗浄処理を実行することを回避し得る。したがって、ユーザに飛散物が付着することを抑制できる。
【0056】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態における洗浄制御装置1の変形例について説明する。
図6及び
図7において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0057】
第3実施形態における洗浄制御装置1は、例えばLAN、ワイヤハーネス及び内部バス等のうち、少なくとも一種類を介して受付装置9と接続されている。受付装置9は、乗員による開度の変更の拒否操作を受け付ける車載装置である。受付装置9は、例えば、タッチディスプレイである。又は、受付装置9は、物理スイッチであってもよいし、音声認識装置であってもよい。受付装置9は、受け付けた拒否操作に関する情報を、拒否情報として変更部150へと提供する。
【0058】
変更部150は、拒否情報に基づき、開度判定の結果に基づく開度変更を実行するか中断するかを判定する。すなわち、変更部150は、拒否情報が取得されると、開度変更を中断する。この場合、開度判定時点の窓21の開度が維持されることになる。そして、変更部150は、通知の開始から拒否情報が所定の期間取得されなかった場合に、開度変更を実行する。
【0059】
また、変更部150にて開度変更が中断されている間、実行制御部160は、洗浄処理の実行を禁止する。ただし、変更部150は、汚れの付着時間が許容時間外であると判定された場合、強制的に開度変更を実行する。なお、ここでの許容時間は、第1実施形態及び第2実施形態における許容時間と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0060】
次に、このような機能部の共同により、洗浄制御装置1が洗浄装置6を制御する洗浄制御方法のフローを、
図7に従って以下に説明する。
図7のフローの各ステップのうち、
図3のフローと同様の符号を付したステップについては、第1実施形態の説明を援用する。
【0061】
図7のS130にて通知が実行されると、本フローがS131へと移行する。S131では、乗降判定部135が、拒否情報に基づき、開度判定の結果に基づく開度変更を実行するか中断するかを判定する。開度変更を実行すると判定されると、本フローがS135へと移行する。一方で、開度変更を禁止すると判定されると、本フローがS132へと移行する。S132では、汚れ判定部120が、汚れの付着時間が許容時間内であるか否かを判定する。許容時間内であると判定されると、本フローはS131へと戻る。一方で、許容時間外であると判定されると、本フローがS135へと移行する。
【0062】
以上の第3実施形態によれば、受付装置9から拒否操作の受付情報を取得した場合に、開度の変更が禁止される。これによれば、乗員が開度の変更を希望しない場合に、変更制御を中断できる。したがって、乗員の利便性が一層向上され得る。
【0063】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態における洗浄制御装置1の変形例について説明する。
図8及び
図9において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0064】
第4実施形態における洗浄制御装置1は、例えばLAN、ワイヤハーネス及び内部バス等のうち、少なくとも一種類を介してナビゲーション装置8、ドア開度センサ25及び洗浄装置6と接続されている。ドア開度センサ25は、車両2に設置されたドア22の開度を検出する車載センサである。
【0065】
また、洗浄制御装置1は、洗浄制御プログラムの実行により、機能部としてデータ取得部110、汚れ判定部120、移動体判定部130、開度判定部140及び実行制御部160を構築する。
【0066】
第4実施形態における開度判定部140は、洗浄処理の必要判定が下され且つ移動体が制限範囲内に存在しないと判定された場合、車両2に設置されたドア22の開度についての開度判定(ドア開度判定)を実行する。また、開度判定部140は、洗浄処理の必要判定が下され且つ汚れの付着時間が許容時間外となったと判定された場合にも、ドア開度判定を実行する。ドア開度判定において、開度判定部140は、複数のドア開度センサ25のうち、洗浄処理の実行が決定された外界センサ4に最も近いドア(最近傍ドア)22の開度を検出するドア開度センサ25からの開度情報を取得する。開度判定において、開度判定部140は、最近傍ドアの開度が、許容範囲内であるか否かを判定する。許容範囲は、ドア22の開度に関する閾値以下、又は当該閾値未満となる数値範囲に規定される。閾値は、例えばゼロに設定される。この場合、開度判定部140は、最近傍ドアが実質的に閉じているか否かを判定することになる。第4実施形態の開度判定部140は、「期間判定部」の一例であり、ドア開度判定は、洗浄処理の実行タイミングが、車両2のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む制限期間内となるか否かの判定の一例である。
【0067】
ドア開度判定の結果を取得した実行制御部160は、当該結果に基づいて洗浄処理が決定された外界センサ4に対する洗浄処理の実行開始、又は洗浄処理の実行中止を決定する。具体的には、実行制御部160は、開度判定部140にて開度が許容範囲内であるとの判定が下されると、洗浄処理の実行開始を決定する。このとき、実行制御部160は、洗浄処理の実行指令を生成し、洗浄装置6へと送信する。
【0068】
一方で、実行制御部160は、開度判定部140にてドア22の開度が許容範囲外であるとの判定が下されると、洗浄処理の実行中止を決定する。このとき、実行制御部160は、実行指令を洗浄装置6へと送信しない状態を維持する。または、実行制御部160は、待機指令を洗浄装置6へと送信してもよい。実行制御部160は、開度が許容範囲内に変更されると、洗浄処理の実行開始を決定し、実行指令の生成及び送信を行う。
【0069】
次に、このような機能部の共同により、洗浄制御装置1が洗浄装置6を制御する洗浄制御方法のフローを、
図9に従って以下に説明する。
図9のフローの各ステップのうち、
図3のフローと同様の符号を付したステップについては、第1実施形態の説明を援用する。
【0070】
図9のS110にて周辺移動体が存在しない、又はS115にて付着時間が許容時間内であると判定されると、本フローがS121へと移行する。S121では、開度判定部140が、ドア開度センサ25から最近傍ドアのドア開度情報を取得する。次に、S126では、開度判定部140が、ドア開度が許容範囲内であるか否かを判定する。ドア開度が許容範囲内であると判定されると、本フローがS141へと移行する。S141では、実行制御部160が洗浄処理の実行を許可する。一方で、ドア開度が許容範囲外であると判定されると、本フローがS142へと移行する。S142では、実行制御部160が、洗浄処理の実行を禁止する。そして、本フローがS126へと戻る。これにより、ドア開度が許容範囲内となるまで、洗浄処理の実行が延期される。なお、以上においては、S121,S126が「期間判定プロセス」の一例であり、S141,S142が「実行制御プロセス」の一例である。
【0071】
以上の第4実施形態によれば、洗浄処理の実行タイミングが制限期間内となると判定された場合に、洗浄処理が禁止され、制限期間外となると判定されると、洗浄処理が許可される。故に、洗浄処理により生じた飛散物が、ユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方によって解放された車両2のドア22から車室内に進入することを抑制し得る。以上により、洗浄により発生する飛散物の車室内への進入を抑制可能となり得る。
【0072】
(第5実施形態)
第5実施形態では、第1実施形態における洗浄制御装置1の変形例について説明する。
図10,11,12において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0073】
第5実施形態において、実行制御部160は、洗浄処理の制限において、窓21の開度が許容範囲内である場合よりも飛散物の発生を抑制する洗浄態様での洗浄処理を実行する。以下において、当該態様での洗浄処理を、制限モードと表記する場合がある。さらに、以下において、制限を解除された洗浄処理を、通常モードと表記する場合がある。
【0074】
制限モードでは、例えば、通常モードよりも洗浄範囲を限定した洗浄処理が実行される。制限モードにおいて、洗浄装置6は、入射面のうち予め設定された優先範囲Rを洗浄する。優先範囲Rは、例えば、車両2の進行方向に近い側の領域とされる。具体的には、
図12に示すように、車両2の側方を指向する外界センサ4のレンズを入射面とする場合、優先範囲Rは、レンズのうち車両2の進行方向(紙面上方向)側の端部から所定の範囲とされる。この場合、外界センサ4が進行方向前方を指向するセンサであった場合、優先範囲Rは、入射面の中央領域とされる。尚、全ての外界センサ4について、単に入射面の中央領域が優先範囲Rに設定されてもよい。
【0075】
洗浄装置6にて実施される制限モードの具体例について、説明する。例えば、洗浄流体の射出方向を変更可能な可動部が設けられたノズルを有する洗浄装置6の場合、可動部の可動範囲を限定することで、優先範囲Rに限定して洗浄可能となる。又は、それぞれ異なる洗浄範囲を設定された複数ノズルを有する洗浄装置6の場合、優先範囲Rを割り当てられたノズルのみから洗浄することで、優先範囲Rに限定して洗浄可能となる。又は、洗浄ワイパを有する洗浄装置6の場合、払拭角度範囲を優先範囲Rに限定することで、制限モードでの洗浄が可能となる。
【0076】
なお、制限モードでの洗浄処理が実行された場合、自動運転ECU30は、通常の自動運転よりも車両2の挙動を制限した自動運転を、実行してもよい。例えば、自動運転ECU30は、制限モードでの洗浄処理が実行された場合に、車両2の走行速度を通常よりも低下させた自動運転を実行してもよい。
【0077】
次に、このような機能部の共同により、洗浄制御装置1が洗浄装置6を制御する洗浄制御方法のフローを、
図11に従って以下に説明する。
【0078】
図11におけるS500,S505の処理は、それぞれ
図3のS100,S105の処理と同様である。S505にて入射面に汚れが付着していないと判定されると、
図3と同様に本フローが終了する。一方で、S505にて入射面に汚れが付着していると判定されると、本フローがS510へと移行する。S510及びそれに続くS515は、
図3におけるS120及びそれに続くS125の処理と同様である。
【0079】
S515にて、窓21の開度が許容範囲内であると判定されると、本フローがS545へと移行する。S545では、実行制御部160が、通常モードでの洗浄処理の実行を洗浄装置6に許可する。
【0080】
一方で、S515にて窓21の開度が許容範囲外であると判定されると、本フローがS525へと移行する。S525では、汚れ判定部120が、汚れの付着時間が許容時間内であるか否かを判定する。許容時間内であると判定されると、本フローがS510へと戻る。一方で、許容時間外であると判定されると、本フローがS530へと移行する。
【0081】
S530では、実行制御部160が、制限モードでの洗浄処理の実行を許可する。S530に続くS535及びS540は、
図3のS130及びS135の処理と同様である。S540にて窓21の開度が許容範囲内に変更されると、本フローがS545へと移行し、通常モードでの洗浄処理の実行が許可される。S545に続くS550及びS555は、
図3のS145及びS150の処理と同様である。
【0082】
以上の第5実施形態によれば、洗浄処理の制限により、開度が許容範囲内である場合よりも飛散物の発生を抑制する態様での洗浄処理の実行が含まれる。これによれば、飛散物の発生を抑制しつつも、洗浄処理自体は実行できるため、汚れによって外界センサ4の検出情報を利用できなくなることが、回避され得る。
【0083】
(第6実施形態)
第6実施形態では、第1実施形態における洗浄制御装置1の変形例について説明する。
図13において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0084】
第6実施形態において、汚れ判定部120は、センシング領域が少なくとも一部重複する他の外界センサ4(以下、他センサと表記する)における汚れ判定の結果、すなわち他センサにおける汚れの付着有無の情報を取得する。例えば、汚れ判定部120は、
図13に示すように、他センサに設けられた洗浄制御装置1から情報を取得すればよい。この情報の取得により、汚れ判定部120は、当該情報の取得により、他センサにも汚れが付着しているか否かを判定可能である(
図14のS526参照)。
図14に示す例では、この処理は、S525にて付着時間が許容時間外であると判定された場合に実行される。
【0085】
そして、実行制御部160は、他センサにおける汚れの付着有無に応じて、窓21の開度が許容範囲外である場合の処理を変更する。具体的には、実行制御部160は、他センサに汚れが付着している場合には、制限モードでの洗浄処理の実行を許可する(
図14のS530参照)。一方で、実行制御部160は、他センサに汚れが付着していない場合には、洗浄処理の実行を禁止する(
図14のS527参照)。S527又はS530の処理を実行すると、本フローはS535へと移行する。
【0086】
(第7実施形態)
第7実施形態では、第1実施形態における洗浄制御装置1の変形例について説明する。
図15において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0087】
第7実施形態において、実行制御部160は、ドア開度が許容範囲内であると判定されると、通常モードでの洗浄処理の実行を許可する(
図15のS143参照)。一方で、実行制御部160は、ドア開度が許容範囲内であると判定されると、制限モードでの洗浄処理の実行を許可する(
図15のS144参照)。
【0088】
尚、
図15の処理において、S105にて汚れ判定部120が汚れありと判定した場合に、S110をスキップしてS115に移行してもよい。
【0089】
(第8実施形態)
第8実施形態では、第1実施形態における洗浄制御装置1の変形例について説明する。
図16,17において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0090】
第8実施形態において、汚れ判定部120は、第6実施形態と同様に、センシング領域が少なくとも一部重複する他センサにおける汚れ判定の結果を取得する(
図16参照)。汚れ判定部120は、当該情報の取得により、他センサにも汚れが付着しているか否かを判定可能である(
図17のS128参照)。
【0091】
そして、実行制御部160は、他センサにおける汚れの付着有無に応じて、ドア22の開度が許容範囲外である場合の処理を変更する。具体的には、実行制御部160は、他センサに汚れが付着している場合には、制限モードでの洗浄処理の実行を許可する(
図17のS144参照)。一方で、実行制御部160は、他センサに汚れが付着していない場合には、洗浄処理の実行を禁止する(
図17のS142参照)。S142又はS144の処理を実行すると、本フローはS126へと戻る。
【0092】
(第9実施形態)
第9実施形態では、第5実施形態における洗浄制御装置1の変形例について説明する。
図18において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0093】
第9実施形態において、洗浄制御装置1は、第1実施形態と同様に移動体判定部130を機能ブロックとして備えている。すなわち、洗浄制御装置1は、制限モードを実行する場合においても、移動体が制限範囲内にあるか否かの判定を実行してもよい。
【0094】
具体的には、
図18のように、S505にて汚れ有りと判定された後に、S506へと移行し、移動体判定部130が、移動体が制限範囲内にあるか否かを判定すればよい。そして、移動体が制限範囲内に無いと判定された場合に、本フローがS510へと移行する。
【0095】
一方で、移動体が制限範囲内に有ると判定された場合には、本フローがS507へと移行し、汚れ判定部120が、付着時間が許容時間内か否かを判定する。許容時間内であると判定されると、本フローがS506へと戻り、許容時間外であると判定されると、本フローがS510へと移行する。
【0096】
(他の実施形態)
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品及び/又は要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品及び/又は要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品及び/又は要素の置き換え、又は組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0097】
第1~第3実施形態の変形例として、開度判定部140は、車両2における両側面に設けられた窓21のうち、少なくとも外界センサ4に近い側面に設けられた窓21について開度判定を行う。そして、変更部150は、開度が許容範囲外であると判定された、外界センサ4に近い側面に設けられた窓21について、当該開度を許容範囲内に変更させる。これによれば、飛散物が、外界センサ4に近い側面に設けられた窓21から車室内に進入することを回避し得る。なお、この変形例において、変更部150は、開度が許容範囲外である窓21のうち、前方領域に設けられた窓21について、当該開度の変更を中止してもよい。ここで前方領域とは、外界センサ4よりも前の領域、又は車体の中央よりも前の領域等とすればよい。
【0098】
第1~第3実施形態の変形例として、洗浄制御装置1は、機能部として、移動体判定部130と乗降判定部135の両方を構築してもよい。この場合、移動体が制限範囲内に存在しないと判定され、且つ洗浄の実行タイミングが禁止期間外であると判定された場合に、開度判定部140が開度判定を実行する。
【0099】
第2実施形態の変形例として、乗降判定部135は、
図19に示す挙動センサ40の情報に基づいて、洗浄処理の実行タイミングが禁止期間であるか否かを判定してもよい。ここで、挙動センサ40は、車両2の挙動を検出する車載センサであり、例えば、速度センサ及び慣性センサ等を含む。例えば、乗降判定部135は、車両2の速度が閾値以下又は未満である場合に、禁止期間であると判定すればよい。又は、乗降判定部135は、車両2のヨーレートが閾値以下又は未満の場合に、禁止期間であると判定すればよい。
【0100】
第4実施形態の変形例として、洗浄制御装置1は、
図20に示すように、開度判定部140の代わりに乗降判定部135を機能部として構築する。乗降判定部135は、洗浄の実行タイミングが、乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される地点を含む禁止領域を車両2が走行中である期間としての禁止期間内であるか否かを判定する(
図21のS127参照)。この変形例の場合、乗降判定部135が、「期間判定部」の一例であり、以上の判定が、洗浄処理の実行タイミングが、車両2のユーザによる乗車及び降車の少なくとも一方が発生すると推定される期間を含む禁止期間内となるか否かの判定の一例である。又は、乗降判定部135は、上述における第2実施形態の変形例と同様に、車両2の挙動情報に基づいて、実行タイミングが禁止期間内であるか否かを判定してもよい。これらの場合、実行制御部160は、洗浄処理の実行タイミングが禁止期間外であると判定された場合に、洗浄処理の実行を許可し、禁止期間内である判定された場合に、洗浄処理の実行を禁止する。
【0101】
上述の第4実施形態において、変更部150にて開度変更が中断されている間、実行制御部160が洗浄処理の実行を禁止するとした。そして、変更部150は、汚れの付着時間が許容時間外であると判定された場合、強制的に開度変更を実行するとした。これに代えて、付着時間が許容時間外であると判定された場合に、実行制御部160が、窓21の開度にかかわらず洗浄処理の実行を許可してもよい。
【0102】
第5~第9実施形態の変形例として、制限モードは、通常モードよりも短い洗浄時間での洗浄処理の実行により、飛散物の発生を抑制する態様であってもよい。又は、制限モードは、通常モードよりも小さい射出圧での洗浄流体の射出により、飛散物の発生を抑制する態様であってもよい。又は、制限モードは、上述の複数の態様を組み合わされたものであってもよい。
【0103】
上述の実施形態において、洗浄制御装置1を構成する専用コンピュータは、対応する外界センサ4を制御する電子制御装置であるとした。これに代えて、洗浄制御装置1を構成する専用コンピュータは、運転制御ECUであってもよいし、アクチュエータECUであってもよい。又は、洗浄制御装置1を構成する専用コンピュータは、ロケータECUであってもよいし、ナビゲーションECUであってもよい。又は、洗浄制御装置1を構成する専用コンピュータは、HCU(HMI(Human Machine Interface) Control Unit)であってもよい。
【0104】
上述の実施形態において、自動運転ユニットADUに搭載された外界センサ4における入射面は、ハウジング3に設けられた透光カバーにより構成されるとした。これに代えて、入射面は、対応する外界センサ4に設けられていてもよい。例えば、入射面は、周辺監視カメラ又はLiDARにおけるレンズ等の光学部材により、形成されていてもよい。
【0105】
洗浄制御装置1は、デジタル回路及びアナログ回路のうち少なくとも一方をプロセッサとして含んで構成される、専用のコンピュータであってもよい。ここで特にデジタル回路とは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを格納したメモリを、備えていてもよい。
【0106】
洗浄制御装置1は、1つのコンピュータ、又はデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供され得る。例えば、上述の実施形態における洗浄制御装置1の提供する機能の一部は、他のECUによって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 洗浄制御装置、 2 車両、 4 外界センサ、 6 洗浄装置、 7 通知装置、 9 受付装置、 12 プロセッサ、 21 窓、 24 窓開閉制御部(調節装置)、 120 汚れ判定部(洗浄判定部)、 130 移動体判定部、 135 乗降判定部(期間判定部)、 140 開度判定部(期間判定部)、 150 変更部、 160 実行制御部。