(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】投影処理装置、投影システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240702BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2021207207
(22)【出願日】2021-12-21
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2021153329
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】小林 正樹
(72)【発明者】
【氏名】尾田 潔
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】井上 聖
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/103560(WO,A1)
【文献】特開2013-149205(JP,A)
【文献】特開2016-122182(JP,A)
【文献】特開2014-175011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、
取得された前記投影位置情報に基づいて、投影機に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する、処理部
と、
前記投影機が光を出射又は画像を投影する方向において障害物を検出する検出部とを備え、
前記処理部は、前記検出部による前記障害物の検出に基づいて複数の前記投影機のうちの少なくとも1つの前記投影機を決定する、投影処理装置。
【請求項2】
前記投影位置情報は、前記投影機を可動させるための可動情報と対応付けて記憶されている、請求項1に記載の投影処理装置。
【請求項3】
前記可動情報に基づいて、前記投影機を、鉛直方向に対して直交する水平方向に回転、及び前記鉛直方向に対して平行な垂直方向に傾斜させるように制御する、
請求項2に記載の投影処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記入力情報を受け付けたタイミングに基づいて決定される明るさで、前記投影機に光の出射又は画像の投影を指示する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の投影処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記特定空間内における環境情報に基づいて、前記投影機が光を出射又は画像を投影する際の照度を決定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の投影処理装置。
【請求項6】
ユーザが提示する入力情報を受け付ける入力端末と、
投影機と、
前記入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、取得された前記投影位置情報に基づいて、前記投影機に、特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する処理部を有する投影処理装置と、
を備える投影システム。
【請求項7】
前記処理部は、
前記入力情報に対応付けられた前記投影位置情報に基づいて複数の前記投影機のうちの少なくとも2つの前記投影機を決定し、
決定した少なくとも1つの前記投影機に光の出射又は画像の投影を指示する、請求項1に記載の投影処理装置。
【請求項8】
複数の前記投影機が連携する光の出射又は画像の投影を指示する、
請求項7に記載の投影処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、
決定された前記投影機の一方に前記特定空間内における座席位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示し、
決定された前記投影機の他方に前記特定空間内における前記座席位置までの経路を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する、
請求項7又は8に記載の投影処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、
取得された前記投影位置情報に基づいて、投影機に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示
し、
前記投影機が光を出射又は画像を投影する方向において障害物を検出し、
前記投影機に、前記ユーザが前記特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する工程は、前記障害物の検出に基づいて複数の前記投影機のうちの少なくとも1つの前記投影機を決定する工程を含む、方法。
【請求項11】
コンピュータが、
入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、
取得された前記投影位置情報に基づいて、投影機に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示
し、
前記投影機が光を出射又は画像を投影する方向において障害物を検出し、
前記投影機に、前記ユーザが前記特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する処理は、前記障害物の検出に基づいて複数の前記投影機のうちの少なくとも1つの前記投影機を決定する処理を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影処理装置、投影システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、劇場、映画館、スタジアム等のような多くの座席を有する施設において、座席が指定されている場合、ユーザは、自分の座席の位置に辿り着くために、チケット等に記載されている座席番号から座席の段及び列を把握し、実際の座席の段及び列を確認しながら移動する必要があった。このような課題を解決するために、例えば、特許文献1のような技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術の場合、座席位置までの案内を携帯端末で行うため、携帯端末に表示される情報と実際の座席とを見比べながら移動しなくてはならず、ユーザは、自分の座席の位置を一目で把握することが難しいといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザが自分の座席等の特定空間内における位置を容易に把握することができる投影処理装置、投影システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の投影処理装置は、入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、取得された前記投影位置情報に基づいて、投影機に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する、処理部と、前記投影機が光を出射又は画像を投影する方向において障害物を検出する検出部とを備え、前記処理部は、前記検出部による前記障害物の検出に基づいて複数の前記投影機のうちの少なくとも1つの前記投影機を決定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが自分の座席等の特定空間内における位置を容易に把握することができる投影処理装置、投影システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る投影システムを示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る投影機の概要を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る入力端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る投影機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る投影処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る投影処理装置の機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る可動情報テーブルを示す図である。
【
図8】本実施形態に係るチケットに表示されている投影位置情報の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の投影処理装置が実行する投影処理の流れを説明するフローチャートの一例である。
【
図10】
図9に示すフローチャートにおけるモード判定処理について示すフローチャートである。
【
図11】
図9に示すフローチャートにおける明暗調整処理について示すフローチャートである。
【
図12】他の実施形態に係る投影システムを示す模式図である。
【
図13】更に別の実施形態に係る投影システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<投影システム>
図1は、本発明の一実施形態に係る投影システム1を示す模式図である。本実施形態に係る投影システム1は、劇場、映画館、スタジアム、鉄道、バス、航空機、船舶等のような特定空間5内において、ユーザが座席の位置を識別可能な映像情報を投影することを目的とする。
【0010】
投影システム1は、入力端末2と、投影機3と、投影処理装置4と、を備える。入力端末2は、ユーザが所有する例えばチケット6に表示されている入力情報を受け付け、読み取るための端末装置である。入力端末2は、投影処理装置4と有線又は無線通信可能に構成される。
【0011】
投影機3は、特定空間5内に画像(例えば、静止画像及び動画像の少なくとも一方)を投影する装置である。投影機3は、投影処理装置4と有線又は無線通信可能に構成される。
【0012】
投影処理装置4は、入力端末2及び投影機3と有線又は無線通信可能に構成され、入力端末2及び投影機3を制御する装置である。投影処理装置4は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のコンピュータである。しかし、これに限らず、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータでもよい。
【0013】
また、複数の座席7は、特定空間5内に配置され、チケット6には、複数の座席7のうちのいずれかの座席の位置が指定されている。なお、チケット6は、後述の入力情報を入力端末2へ入力可能であればよく、例えば、チケット6に代えて、携帯端末やRFIDチップが組み込まれた記録媒体等であってもよい。
【0014】
<投影機の概要>
図2は、本実施形態に係る投影機3の概要を示す図である。
図2に示すように、投影機3は、特定空間5の天井等に設置され、特定空間5内に静止画像及び動画像を投影する。また、投影機3は、回転機構や傾斜機構等を有する可動機構311を備える。可動機構311は、投影機3を鉛直方向に対して直交する水平方向(例えば、0度から360度)へ回転させる回転機構、及び投影機3を鉛直方向に対して平行な垂直方向(例えば、0度から90度)へ傾斜させる傾斜機構を有する。
【0015】
<入力端末>
次に、上記投影システム1を実現する入力端末2の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る入力端末2のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、入力端末2は、プロセッサ201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、入力部204と、表示部205と、記憶部206と、通信部207と、読み取り部208と、報知部209と、電源部210と、バス211と、入出力インターフェース212と、を備える。
【0016】
プロセッサ201は、入力端末2の動作に必要な演算及び制御等の処理を行うコンピュータの中枢部分であり、各種演算及び処理等を行う。プロセッサ201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、SoC(System on a Chip)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等である。或いは、プロセッサ201は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサ201は、これらにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものあってもよい。
【0017】
プロセッサ201は、ROM202又はRAM203等に記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等のプログラムに基づいて、入力端末2の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ201は、プログラムに基づく後述の処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ201の回路内に組み込まれていてもよい。
【0018】
プロセッサ201、ROM202及びRAM203は、バス211を介して相互に接続されている。このバス211にはまた、入出力インターフェース212も接続されている。入出力インターフェース212には、入力部204、表示部205、記憶部206、通信部207、読み取り部208、報知部209及び電源部210等が接続される。
【0019】
入力部204及び表示部205は、有線又は無線により電気的に入出力インターフェース19に接続されるユーザインターフェースである。入力部204は、例えばキーボードやマウス、各種のボタン、マイク等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。表示部205は、例えば画像を表示するディスプレイ等で構成され、画像を出力する。
【0020】
記憶部206は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種のデータ等を記憶する。
【0021】
通信部207は、インターネットを含むネットワークを介して投影機3や投影処理装置4や他の装置(図示せず)との間で通信を行うための装置である。
【0022】
読み取り部208は、例えば、カメラ又はスキャナ等で構成され、チケット6に表示されている入力情報を受け付ける。入力情報は、例えば、一次元コード、二次元コード、RFID向けのコード等であってもよい。入力情報が二次元コードである場合、二次元コードは、例えば、QRコード(登録商標)であってもよい。
【0023】
報知部209は、例えば、発光装置、音出力装置等のような特定の光及び/音を出力することによってユーザに報知を行うための装置である。
【0024】
バッテリ210は、入力端末2に電力を供給する。例えば、バッテリ210は、リチウムイオン電池によって構成される。なお、入力端末2がデスクトップ型パーソナルコンピュータである場合は、バッテリ210は、外部電源に接続されることによって入力端末2に電力を供給可能であってもよい。
【0025】
<投影機>
次に、上記投影システム1を実現する投影機3の構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る投影機3のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4に示すように、投影機3は、プロセッサ301と、ROM302と、RAM303と、画像入力部304と、操作部305と、通信部306と、音声処理部307と、スピーカ308と、投影部309と、電源部310と、可動機構311と、環境センサ312と、バス313と、入出力インターフェース314と、を備える。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称をつけて詳細な説明を省略する場合がある。
【0026】
画像入力部304は、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、D-sub15タイプのRGB入力端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子、USB端子等により構成される。
【0027】
操作部305は、例えば各種のボタン等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。また、操作部305は、キーボード、マウス、リモートコントローラ等であってもよい。
【0028】
通信部306は、インターネットを含むネットワークを介して入力端末2や投影処理装置4や他の装置(図示せず)との間で通信を行うための装置である。
【0029】
音声処理部307は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声信号をアナログ化し、スピーカ308へ出力する。
スピーカ308は、音声処理部307から出力された音声信号を用いて音を出力する。
【0030】
投影部309は、投影画像処理部、マイクロミラー素子、光源、ミラー及び投影レンズ等を含んで構成される。例えば、投影機3に画像信号が入力されると、各種規格のアナログ又はデジタルの画像信号は、画像入力部304で必要に応じてデジタル化される。投影部309の投影画像処理部は、画像信号に応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレートによりマイクロミラー素子を駆動する。一方で、光源部から時分割でR,G,Bの原色光が循環的に出射される。光源部からの原色光は、ミラーで全反射してマイクロミラー素子に照射される。マイクロミラー素子での反射光によって光像が形成され、形成された光像が投影レンズを介し、外部に投影される。
【0031】
電源部310は、外部電源に接続されることによって投影機3に電力を供給する。
【0032】
可動機構311は、回転機構や傾斜機構等を有し、投影処理装置4から出力される制御信号に基づいて、投影機3を可動させる。具体的には、可動機構311は、制御信号に含まれる可動情報に基づいて、投影機3を鉛直方向に対して直交する水平方向への回転させる回転機構、及び/又は投影機3を鉛直方向に対して平行な垂直方向に傾斜させる傾斜機構等を有する。
【0033】
環境センサ312は、例えば、照度センサ、カメラ等で構成され、投影機3の周囲環境の情報を取得する。例えば、環境センサ312は、投影機3の周囲環境(環境情報)として、特定空間5内の照度を取得する。
【0034】
<投影処理装置>
次に、上記投影システム1を実現する投影処理装置4の構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る投影処理装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5に示すように、投影処理装置4は、プロセッサ401と、ROM402と、RAM403と、入力部404と、表示部405と、記憶部406と、通信部407と、電源部408と、バス409と、入出力インターフェース410と、を備える。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称をつけて詳細な説明を省略する。
【0035】
次に、投影処理装置4の機能的構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る投影処理装置4の機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。投影処理装置4の各種の制御を行う処理部420は、演算処理を実行するプロセッサ401によって実現される。本実施形態の処理部420は、投影制御部421と、可動制御部422と、モード切替部423と、を備える。
【0036】
投影制御部421は、入力端末2が入力情報を受け付けると、入力情報に含まれる投影位置情報に基づいて、ユーザが座席の位置を識別可能な映像情報を投影機3に投影させる。
【0037】
ここで、投影位置情報は、特定空間内に配置される座席の位置を示し、投影位置情報は、可動情報テーブル4061において、投影機3を可動させるための可動情報と対応付けて記憶される。可動情報テーブル4061は、記憶部406に記憶される。
【0038】
また、投影機3は、特定空間内に配置される全ての座席に映像情報を投影可能であり、投影制御部421は、映像情報を特定空間内の特定の座席位置に投影させる。例えば、投影制御部421は、映像情報を特定空間内のユーザの座席位置の上部に投影させる。これにより、ユーザは、多数の座席が存在する特定空間内において自分の座席の位置を容易に把握することができる。
【0039】
また、投影制御部421は、投影機3の環境センサ312によって取得された周囲環境の情報に基づいて、映像情報を投影する際の照度を投影機3に調整させる。例えば、投影制御部421は、環境センサ312によって取得された特定空間内の照度が一定条件(例えば、標準的な室内の照度)以上の場合、映像情報を投影する際の照度を大きくするように投影機3を制御する。また、投影制御部421は、環境センサ312によって取得された特定空間内の照度が一定条件未満の場合、映像情報を投影する際の照度を変更しない(維持する)ように投影機3を制御する。
【0040】
可動制御部422は、入力情報に含まれる投影位置情報と対応付けられた可動情報に基づいて、可動機構311を制御するための制御信号を生成し、可動機構311へ出力する。具体的には、可動制御部422は、入力情報に含まれる投影位置情報と対応付けられた可動情報を可動情報テーブル4061から読み出し、読みだした可動情報に基づいて、可動機構311を制御するための制御信号を生成し、可動機構311へ出力する。
【0041】
モード切替部423は、投影機3が映像情報を特定空間内の特定の座席位置に投影する座席指示モードと、座席指示モード以外の他のモード(例えば、待機モード)とを切り替え可能である。ここで、待機モードは、例えば、特定空間内の座席とは別の特定の場所(舞台幕であったり、前方スクリーン等あったりしてもよい)に広告を含む所定の静止画像及び動画像等を投影するモードである。また、モード切替部423は、他のモードとして待機モード以外のモードに切り替え可能であってもよい。
【0042】
図7は、本実施形態に係る可動情報テーブル4061を示す図である。
図7に示すように、可動情報テーブル4061は、特定空間内に配置される座席の位置を示す投影位置情報と、投影機3を可動させるための可動情報とを対応付けて記憶する。これにより、投影システム1は、座席ごとに映像情報を投影することが可能になる。
【0043】
図8は、本実施形態に係るチケット6に表示されている投影位置情報の一例を示す図である。
図8に示すように、チケット6には、ユーザが視認するための文字情報としての投影位置情報61と、入力端末2に入力される(読み取られる)入力情報62とが印刷されている。
【0044】
なお、
図8に示す例では、入力情報62は、QRコードで構成されているが、入力情報62は、これに限定されない。また、入力情報62が表示される媒体は、チケット6に限定されず、例えば、携帯端末のディスプレイに入力情報62が表示されてもよく、又は、RFIDに記憶された入力情報62を入力端末2によって読み出してもよい。
【0045】
<投影処理>
次に、
図9~
図11を参照し、投影処理の一例を説明する。
図9~
図11は、本実施形態の投影処理装置4が実行する投影処理の流れを説明するフローチャートの一例である。まず、モード切替部423は、入力端末2から入力情報を受け付けるために、モード判定処理を実行する(ステップS1)。
【0046】
次に、投影制御部421は、入力端末2から入力情報を受け付けると、可動情報テーブル4061にアクセスし、入力情報に含まれる投影位置情報に対応付けられた可動情報を読み出す(ステップS2)。次に、可動制御部422は、読みだした可動情報に基づいて、可動機構311を制御するための制御信号を生成し、可動機構311へ出力する(ステップS3)。
【0047】
次に、投影制御部421は、投影機3の環境センサ312によって取得された周囲環境の情報に基づいて、映像情報を投影する際の照度を投影機3に調整させる明暗調整処理を実行する(ステップS4)。
【0048】
次に、投影制御部421は、入力情報に含まれる投影位置情報及び明暗調整処理で調整された照度に基づいて、ユーザが座席の位置を識別可能な映像情報を投影機3に投影させる。これにより、投影機3は、制御信号に含まれる可動情報に基づいて可動機構311を可動すると共に、投影位置情報に基づいて映像情報を投影する(ステップS5)。
【0049】
図10は、
図9に示すフローチャートにおけるモード判定処理について示すフローチャートである。まず、モード切替部423は、デフォルト状態として、投影機3が映像情報を特定空間内の特定の座席位置に投影する座席指示モードに移行する(ステップS11)。
【0050】
次に、モード切替部423は、入力情報を受け付けたか否かを判定する(ステップS12)。モード切替部423は、入力情報を受け付けた場合(ステップS12:YES)、
図9のフローチャートにおけるステップS2へ移る(ステップS13)。
【0051】
モード切替部423は、入力情報を受け付けなかった場合(ステップS12:NO)、一定期間内に入力情報の受け付けがないか否かを判定する(ステップS14)。モード切替部423は、一定期間内に入力情報の受け付けがない場合(ステップS14:YES)、待機モードへ移行する(ステップS15)。
【0052】
モード切替部423は、一定期間内に入力情報が受け付けられた場合(ステップS14:NO)、座席指示モードに移行する(ステップS11)。モード切替部423は、待機モード中に入力情報以外の任意の入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS16)。待機モードを終了させるための任意の入力(入力端末からの入力情報の受付等を含む)を受け付けた場合(ステップS16:YES)、座席指示モードに移行する(ステップS11)。モード切替部423は、任意の入力を受け付けなかった場合(ステップS16:NO)、再度ステップS15へ戻る。
【0053】
図11は、
図9に示すフローチャートにおける明暗調整処理について示すフローチャートである。まず、環境センサ312は、特定空間内の照度を取得する(ステップS41)。
【0054】
次に、投影制御部421は、取得された特定空間内の照度が一定条件以上であるか否かを判定する(ステップS42)。照度が一定条件以上である場合(ステップS42:YES)、投影制御部421は、映像情報を投影する際の照度を大きくするように投影機3を制御する(ステップS43)。照度が一定条件未満である場合(ステップS42:NO)、投影制御部421は、映像情報を投影する際の照度を変更しない(維持する)ように投影機3を制御する(ステップS44)。
【0055】
上述したように、本実施形態によれば、投影システム1は、入力情報を受け付ける入力端末2と、特定空間5内に画像を投影する投影機3と、入力端末2及び投影機3と通信可能に構成され、入力端末2及び投影機3を制御する投影処理装置4と、を備える。投影処理装置4は、入力端末2からの入力情報の受け付けに応じて、入力情報に対応づけられた投影位置情報を取得し、取得された投影位置情報に基づいて、投影機3に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する投影制御部421を有する。これにより、投影システム1は、ユーザが座席の位置を識別可能な映像情報を投影することができるため、ユーザは、特定空間内における自分の座席の位置を容易に把握することができる。
【0056】
また、投影位置情報は、特定空間5内に配置される座席の位置を示し、投影位置情報は、投影機3を可動させるための可動情報と対応付けて記憶されている。投影機3は、投影位置情報に対応付けられた可動情報に基づいて投影機3を可動させる可動機構311を有する。これにより、投影システム1は、可動機構311によって投影機3を適切な位置へ移動させて映像情報を投影することができる。
【0057】
また、可動機構311は、投影処理装置4により、可動情報に基づいて、投影機3を鉛直方向に対して直交する水平方向に回転させる、及び投影機3を鉛直方向に対して平行な垂直方向に傾斜させるように制御される。これにより、投影システム1は、投影機3を、映像情報を投影するために適切な位置へ移動させることができる。
【0058】
また、投影機3は、特定空間5内に配置される全ての座席に映像情報を投影可能であり、投影制御部421は、映像情報を特定空間5内の特定の座席の位置に投影させる。これにより、投影システム1は、特定空間5内のユーザが指定した座席に映像情報を適切に投影することができる。
【0059】
また、投影機3は、周囲環境の情報を取得する環境センサ312を有し、投影制御部421は、環境センサ312によって取得された特定空間内における周囲環境を示す環境情報に基づいて、投影機3が光を出射又は画像を投影する際の照度を決定する。これにより、例えば、特定空間が映画館であり、映画館内の照度が低い場合、投影システム1は、映像情報の照度を変更せず、映画館内の照度が十分大きい場合、映像情報をユーザが視認しやすいように、映像情報の照度を大きくすることができる。
【0060】
また、投影システム1は、投影機3が映像情報を特定空間5内の特定の座席の位置に投影する座席指示モードと、座席指示モード以外の他のモードとを切り替え可能なモード切替部423を有する。これにより、投影システム1は、例えば、特定空間が映画館の場合、投影機3によって映画に関する情報等を投影することができ、映像情報を投影する以外の処理を実行可能となる。
【0061】
また、モード切替部423は、上記実施形態の待機モードとは異なる投影を行うモードに切り替えてもよい。例えば、舞台やショー等の照明として投影機3が機能するモードとしてもよい。この場合、投影機3は、舞台側に設置してもよい。
【0062】
<変形例>
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0063】
例えば、可動機構311は、可動情報に基づいて、投影機3を鉛直方向に対して直交する水平方向に移動させるレール機構を有してもよい。これにより、投影システム1は、投影機3を適切な位置へ移動させて映像情報を投影することができる。
【0064】
また、投影機3は、映像情報を投影する角度を調整する反射鏡を有してもよい。これにより、投影システム1は、調整された適切な角度から映像情報を投影することができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、入力端末2が一箇所に設置されている場合について説明したが、特定空間が広い面積を有する場合、入力端末2は、複数設置されてもよい。しかし、この場合、複数の入力端末2において同時に入力情報の受け付けが行われると、投影機3は、映像情報の投影が複数生じるため、ユーザは、映像情報を区別することが困難になる。
【0066】
そこで、入力端末2が複数存在する場合、投影制御部421は、映像情報が投影される投影位置又は入力情報を受け付けたタイミングに基づいて決定される明るさで、投影機3に光の出射又は画像の投影を指示する。即ち、投影制御部421は、映像情報を投影する際の態様を投影機3に変更させるように制御を行う。更に、入力端末2は、音及び/又は光による所定の態様で報知を行う報知部209を有し、報知部209は、投影機3による映像情報の投影に連動して、所定の態様で報知を行う。
【0067】
具体的には、投影制御部421は、入力端末2のそれぞれに対応する複数の異なる点滅パターンを設定し、映像情報が投影される投影位置又は入力情報を受け付けたタイミングに基づいて、複数の異なる点滅パターンを用いて映像情報を投影する。更に、報知部209は、投影機3による映像情報の投影に連動(同期)して、光及び/又は音を出力する。
【0068】
また、複数の異なる点滅パターンに代えて、投影制御部421は、入力端末2のそれぞれに対応する複数の異なる色を設定し、複数の色を用いて映像情報を投影してもよい。これにより、投影システム1は、複数の入力端末2が設置される場合であっても、ユーザが自分の座席の位置を識別可能な映像情報を投影することができる。
【0069】
また、投影制御部421は、例えば、プロジェクションマッピングのように映像情報を、特定空間内の投影位置情報に対応する座席に三次元的に投影させてもよい。これにより、ユーザは、自分の座席の位置をより明確に識別することが可能となる。
【0070】
また、投影制御部421は、ユーザが投影位置情報を識別可能とするための文字情報を、映像情報として投影機3に投影させてもよい。具体的には、投影制御部421は、文字情報として、座席番号、氏名、ハンドルネーム等を映像情報として投影機3に投影させてもよい。これにより、ユーザは、自分の座席の位置をより明確に識別することが可能となる。
【0071】
また、上述した実施形態では、投影機3が一箇所に設置される場合について説明したが、投影機3は、複数台設置されてもよい。また、投影制御部421は、映像情報を投影した後に、一定期間経過後に投影情報の投影を終了するように投影機3を制御してもよい。また、入力端末2は、入力情報を受け付ける前に、顔認証等を用いてユーザの認証を行ってもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、投影制御部421は、座席の位置を識別可能な映像情報を投影機3に投影するように制御したが、映像情報は、座席の位置に限定されず、例えば、特定空間が博物館や美術館等の場合、ユーザの立ち位置や、ユーザが閲覧を所望する展示物の位置を識別可能な情報であってもよい。
【0073】
また、特定空間が病院の待合室等の場合、投影制御部421は、一定範囲内の座席をユーザに案内するために、一定範囲内に存在する複数の座席に対して映像情報を投影するように投影機3を制御してもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、投影制御部421は、投影位置情報に基づいて、投影機に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な画像を特定の座席に投影させたが、映像情報を投影する場所は、座席に限定されない。例えば、投影制御部421は、映像情報をユーザが移動する移動先の位置に投影させるように投影機3を制御してもよい。また、投影機3は、映像情報として、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光を出射するスポットライトであってもよい。また、投影制御部421は、特定空間内における位置として、特定空間内において紹介される美術品の位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を投影機3に指示してもよい。
【0075】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、
図6の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が投影処理装置4に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図6の例に限定されない。
【0076】
<他の実施形態>
図12は、他の実施形態に係る投影システム1Aを示す模式図である。
図12に示すように、投影システム1Aは、入力端末2Aと、入力端末2Bと、投影機3Aと、投影機3Bと、投影処理装置4Aと、投影処理装置4Bと、を備える。すなわち、投影システム1Aは、2つの投影機3A及び3Bを制御する点で上述した実施形態とは異なる。なお、投影システム1Aの他の構成は、上述した投影システム1の構成と同様である。なお、投影処理装置4A及び投影処理装置4Bは、相互に通信可能であり、投影処理装置4A及び投影処理装置4Bの両方によって投影機3A及び投影機3Bを制御してもよい。また、投影処理装置4A又は投影処理装置4Bによって投影機3A及び投影機3Bを制御してもよい。
【0077】
投影システム1Aにおいて、入力端末2Aは、チケット6Aから入力情報を取得し、投影処理装置4Aの投影制御部421は、入力端末2Aから入力情報を受け付けると、入力情報に含まれる投影位置情報に基づいて、2つの投影機3A及び3Bを使用することを決定する。投影制御部421は、決定した2つの投影機3A及び3Bに、ユーザが座席の位置を識別可能な映像情報を投影又は出射させる。
【0078】
具体的には、
図12に示すように、投影制御部421は、投影位置情報に基づいて、チケット6Aから入力情報を受け付けた入力端末2Aから近い投影機3B、すなわちチケット6Aを有するユーザの座席位置から遠い投影機3Bを、座席位置までの経路を識別可能な画像M1及び/又はM2を投影させる投影機として決定する。また、投影制御部421は、投影位置情報に基づいて、チケット6Aから入力情報を受け付けた入力端末2Aから遠い投影機3Aであって、座席位置に近い投影機3Aを、座席位置を識別可能な光L1を出射させる投影機として決定する。なお、投影制御部421は、他の方法を用いて、座席位置までの経路を識別可能な画像M1及び/又はM2を投影させる投影機と、座席位置を識別可能な光L1を出射させる投影機とを決定してもよい。
【0079】
そして、投影制御部421は、決定された投影機3Bに、特定空間5A内における座席位置までの経路を識別可能な画像M1及び/又はM2を投影させ、決定された投影機3Aに特定空間5A内における座席位置を識別可能な光L1を出射させる。
【0080】
ここで、投影制御部421は、入力端末2Aから入力情報を受け付けると、初めに、投影機3Bに、入力端末2Aから近い位置の通路に画像M1を投影させる。画像M1は、入力端末2Aの位置から座席位置までの経路を示し、矢印形状を有する画像である。
【0081】
次に、可動制御部422は、投影位置情報に対応付けられた可動情報に基づいて、可動機構311による投影位置を変更するための制御信号を生成し、可動機構311へ出力する。投影制御部421は、投影機3Bに、画像M1に代えて、座席位置に近い位置の通路に画像M2を投影させる。画像M2は、通路から座席位置までの経路を示し、矢印形状を有する画像である。画像M1を画像M2に切り替えるタイミングは、投影処理装置4Aに内蔵されるタイマを用いて決定されてもよく、各種センサやカメラ等のような検出部を用いて決定されてもよい。
【0082】
次に、投影制御部421は、投影機3Bに画像M1の投影を停止させ、投影機3Aに座席位置を識別可能な光L1を出射させる。このような構成によって、投影システム1Aは、座席位置及び座席位置までの経路の両方の座席情報を提供することによって、チケット6Aを有するユーザは、特定空間5A内において迷うことなく、自分の座席に到達することができる。また、特定空間5A内における座席位置までの経路を識別可能な画像M1及び/又はM2を投影させるタイミングは、特定空間5A内における座席位置を識別可能な光L1を出射させるタイミングと同時であってもよい。また、上述した実施形態では、投影システム1Aは、2つの投影機3A及び3Bを用いて画像M1及び/又はM2ならびに光L1を投影及び出射したが、投影機3A及び3Bのいずれか一方を用いて画像M1及び/又はM2ならびに光L1を投影及び出射するように構成してもよい。
【0083】
また、投影制御部421は、入力情報を、異なる2つの入力端末2A及び2Bから受け付け、入力情報を受け付けた2つの入力端末2A及び2Bの位置に基づいて、2つの投影機3A及び3Bを使用することを決定し、決定した2つの投影機3A及び3Bに、ユーザが座席の位置を識別可能な映像情報を投影させてもよい。
【0084】
具体的には、入力端末2A及び2Bの投影制御部421は、それぞれ、入力情報を受け付けた2つの入力端末2A及び2Bの位置に基づいて、入力情報を受け付けた入力端末2A及び2Bの位置から近い距離に存在する1つの投影機を決定し、決定された投影機にユーザが座席の位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示してもよい。
【0085】
例えば、投影制御部421は、入力端末2A及び2Bの両方から入力情報を受け付けた場合、入力端末2Aの位置から近い投影機3Bに、入力端末2Aを使用したユーザへの映像情報を投影させることを決定し、入力端末2Bの位置から近い投影機3Aに、入力端末2Bを使用したユーザへの映像情報を投影させることを決定する。そして、投影制御部421は、投影機3Bに、入力端末2Aを使用したユーザ(すなわち、チケット6Aを有するユーザ)への映像情報を投影させ、投影機3Aに、入力端末2Bを使用したユーザ(すなわち、チケット6Bを有するユーザ)への映像情報を投影させる。
【0086】
このような構成によって、投影システム1Aは、チケットから入力情報を受け付けた入力端末の位置に応じて複数の投影機を連動して制御することによって、特定空間5A内において効率良くユーザに座席位置を提示することができる。
【0087】
また、投影制御部421は、例えば、入力端末2Aの位置から近い投影機3Bに映像情報を投影させている間に、入力端末2Bの位置から近い投影機3Aに、ユーザの待機を促す情報(例えば、文字「しばらくお待ち下さい」を示す画像又は進入禁止を示す標識の画像)を入力端末2B付近に投影させてもよい。
【0088】
また、
図12に示す例では、投影制御部421は、投影機3Bに、ユーザが座席の位置を識別可能な映像情報として、画像M1、画像M2及び光L1を投影及び出射させたが、他の画像及び/又は光を投影及び/又は出射させてもよい。
【0089】
例えば、入力端末2Aがチケット6Aの入力情報を受け付け、入力情報に含まれる座席位置情報に対応する座席が、複数の座席7Aに存在しない場合、投影制御部421は、進入禁止を示す画像を入力端末2A付近に投影させてもよい。このような画像を投影することによって、投影システム1Aは、入力端末2A付近の入り口は間違っていることをユーザに示唆し、別の入力端末(別の入り口)への移動をユーザに促すことができる。
【0090】
また、
図12に示す例では、投影制御部421は、投影機3A及び3Bに映像情報を投影及び/又は出射させたが、投影制御部421は、更に、入力端末2A及び2Bに音を出力させてもよい。
【0091】
例えば、入力端末2Aが入力情報を受け付けると、投影制御部421は、入力端末2Aに第1の音色で音を出力させる。更に、投影制御部421は、第1の音色の出力と同期して、投影機3Bに、第1のパターンで光の点滅を投影させる。
【0092】
同様に、入力端末2Bが入力情報を受け付けると、投影制御部421は、入力端末2Bに第1の音色とは異なる第2の音色で音を出力させる。更に、投影制御部421は、第2の音色の出力と同期して、投影機3Bに、第1のパターンとは異なる第2のパターンで光の点滅を投影させる。
【0093】
このような構成によって、投影システム1Aは、ユーザに対して、投影機3A及び3Bによる光の点滅だけでなく、入力端末2A及び2Bによる音も用いて座席位置を報知する。よって、ユーザは、入力端末2A又は2Bによる音の出力と、投影機3A又は3Bによる光の点滅とが一致する(同期する)座席を確認することによって、特定空間5A内において迷うことなく、自分の座席に到達することができる。
【0094】
また、上述した投影システム1Aは、入力端末2A又は2Bによる音の出力と、投影機3A又は3Bによる光の点滅とを同期させることによって、他の音の出力及び他の光の点滅との識別を可能にしたが、別の方法を用いてもよい。
【0095】
例えば、投影制御部421は、入力端末2A及び2Bの表示部205に特定の色を表示させ、入力端末2A又は2Bの表示部205に表示される色と、投影機3A及び3Bによる投影される画像の色とを一致させてもよい。これにより、ユーザは、入力端末2A又は2Bによる色と、投影機3A又は3Bによる画像の色とが一致する座席を確認することによって、特定空間5A内において迷うことなく、自分の座席に到達することができる。
【0096】
また、
図12に示す例では、投影システム1Aは、2つの投影機3A及び3Bを用いたが、特定空間5A内に3以上の投影機を配置し、3以上の投影機のうちの少なくとも2つの投影機を決定するような構成としてもよい。
【0097】
また、2以上の投影機は、それぞれ、特定空間5A内に光の出射又は画像の投影のための投影範囲を有してもよく、各投影範囲は、特定空間5A内を完全に区分していてもよく、特定空間5A内において投影範囲の一部が重複してもよい。
【0098】
図13は、更に別の実施形態に係る投影システム1Bを示す模式図である。
図13に示すように、投影システム1Bは、入力端末2と、投影機3Aと、投影機3Bと、投影処理装置4と、カメラ8と、を備える。
【0099】
すなわち、投影システム1Bは、投影機3A及び投影機3Bが光を出射又は画像を投影する方向において障害物を検出する検出部として、カメラ8を備える点で上述した実施形態とは異なる。なお、投影システム1Bの他の構成は、上述した投影システム1及び1Aの構成と同様である。そして、投影処理装置4の投影制御部421は、カメラ8による障害物の検出に基づいて、2つの投影機3A又は3Bを使用することを決定する。
【0100】
具体的には、カメラ8は、特定空間5B内における複数の座席7B全体を撮像する。投影制御部421は、座席位置から近い投影機3Aに、入力端末2を使用したユーザ9Aが座席位置を識別可能な光L2を出射させることを決定する。そして、投影制御部421は、投影機3Aに、光L2を座席「C12」へ出射させる。
【0101】
ここで、投影制御部421は、カメラ8によって撮像された画像に基づいて、複数の座席7Bのうちのどの座席に他のユーザ(障害物)が存在するかを判定する。更に、投影制御部421は、他のユーザが存在する座席の情報に基づいて、投影機3Aによる光の出射の際に、他のユーザが投影の妨げになるかを判定する。
【0102】
図13に示す例では、投影制御部421は、カメラ8によって撮像された画像に基づいて、座席「C12」の隣に着座するユーザ9Bが、投影機3Aによる光の出射を妨げると判定する。この場合、投影制御部421は、投影機3Aに代えて、投影機3Bに、光L3を座席「C12」へ出射させる。このような構成によって、投影システム1Bは、映像情報の投影又は出射が妨げられる投影機3Aの使用を回避し、投影機3Bによる映像情報の投影又は出射に切り替えることができる。
【0103】
また、
図13に示す例では、投影システム1Bは、2つの投影機3A及び3Bを用いたが、より多くの投影機を配置し、どの座席に人が存在しても、画像の投影の妨げにならない少なくとも1つの投影機が存在するような構成としてもよい。
【0104】
また、投影システム1Bは、上述したように、可動機構311は、投影機3を鉛直方向に対して直交する水平方向に移動させるレール機構や、映像情報を投影する角度を調整する反射鏡等用いて、画像の投影角度を調整し、他のユーザが画像の投影を妨げないように制御してもよい。
【0105】
また、投影システム1Bは、カメラ8に代えて、予め設定されたテーブル等の設定に基づいて、画像の投影の妨げにならない少なくとも1つの投影機を判定してもよい。例えば、予め設定されたテーブルは、入力端末2と画像の投影の妨げにならない投影機とを対応付けて記憶してもよい。そして、投影制御部421は、入力端末2から入力情報を受け付けると、予め設定されたテーブルを参照し、入力端末2と対応付けられた投影機を、画像の投影の妨げにならない少なくとも1つの投影機として判定してもよい。
【0106】
更に、座席の位置関係と受付済みの座席との関係から投影の妨げにならない少なくとも1つの投影機を判定してもよい。例えば、投影制御部421が、入力端末2が既にチケット6を受け付けた受付済み座席位置を取得する。そして、投影制御部421が、新たに受け付けた新規座席位置と、受付済み座席位置と、を比較して投影機を選択する。投影機を選択する基準は、新規座席位置と受付済み座席位置の位置関係に応じて予め設定されるものである。換言すれば、この構成では投影制御部421が障害物を検出する検出部として機能し、カメラ8が無くても
図13と同様の制御を実行できるのである。
【0107】
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成しても良いし、ソフトウェア単体で構成しても良いし、それらの組み合わせで構成しても良い。本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路が組み合わせられたものを含む。
【0108】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであっても良い。
【0109】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図3のROM202や、
図3の記憶部206に含まれるハードディスク等で構成される。
【0110】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。投影処理装置は、入力端末内に含まれていてもよい。また、投影処理装置は、投影機内に含まれていてもよい。
【0111】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0112】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、
取得された前記投影位置情報に基づいて、投影機に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する、処理部を有する
投影処理装置。
[付記2]
前記投影位置情報は、前記投影機を可動させるための可動情報と対応付けて記憶されている、付記1に記載の投影処理装置。
[付記3]
前記可動情報に基づいて、前記投影機を、鉛直方向に対して直交する水平方向に回転、及び前記鉛直方向に対して平行な垂直方向に傾斜させるように制御する、
付記2に記載の投影処理装置。
[付記4]
前記処理部は、
前記入力情報を受け付けたタイミングに基づいて決定される明るさで、前記投影機に光の出射又は画像の投影を指示する、
付記1から3のいずれか一項に記載の投影処理装置。
[付記5]
前記処理部は、
前記特定空間内における環境情報に基づいて、前記投影機が光を出射又は画像を投影する際の照度を決定する、付記1から4のいずれか一項に記載の投影処理装置。
[付記6]
ユーザが提示する入力情報を受け付ける入力端末と、
投影機と、
前記入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、取得された前記投影位置情報に基づいて、前記投影機に、特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する処理部を有する投影処理装置と、
を備える投影システム。
[付記7]
前記処理部は、
前記入力情報に対応付けられた前記投影位置情報に基づいて複数の前記投影機のうちの少なくとも2つの前記投影機を決定し、
決定した少なくとも1つの前記投影機に光の出射又は画像の投影を指示する、付記1に記載の投影処理装置。
[付記8]
複数の前記投影機が連携する光の出射又は画像の投影を指示する、
付記7に記載の投影処理装置。
[付記9]
前記処理部は、
決定された前記投影機の一方に前記特定空間内における座席位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示し、
決定された前記投影機の他方に前記特定空間内における前記座席位置までの経路を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する、
付記7又は8に記載の投影処理装置。
[付記10]
前記投影機が光を出射又は画像を投影する方向において障害物を検出する検出部を更に備え、
前記処理部は、
前記検出部による前記障害物の検出に基づいて複数の前記投影機のうちの少なくとも2つの前記投影機を決定する、
付記1から5のいずれかに記載の投影処理装置。
[付記11]
コンピュータが、
入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、
取得された前記投影位置情報に基づいて、投影機に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する、
方法。
[付記12]
コンピュータが、
入力情報の受け付けに応じて、前記入力情報に対応付けられた投影位置情報を取得し、
取得された前記投影位置情報に基づいて、投影機に、ユーザが特定空間内における位置を識別可能な光の出射又は画像の投影を指示する、
プログラム。
【符号の説明】
【0113】
1 投影システム
2 入力端末
3 投影機
4 投影処理装置
5 特定空間
6 チケット
421 投影制御部
422 可動制御部
423 モード切替部