(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20240702BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240702BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20240702BHJP
H01G 11/76 20130101ALI20240702BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240702BHJP
【FI】
H01M50/503
H01G4/228 J
H01G11/10
H01G11/76
H01M50/209
H01M50/516
H01M50/55 101
(21)【出願番号】P 2021501745
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 JP2020002274
(87)【国際公開番号】W WO2020174954
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2019034461
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴瑛
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018634(JP,A)
【文献】特開2014-186803(JP,A)
【文献】特開2017-130287(JP,A)
【文献】特開2018-152238(JP,A)
【文献】特開2016-091800(JP,A)
【文献】特開2012-243689(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130259(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/502 - 526
H01M 50/209
H01G 11/10
H01G 11/76
H01G 4/228
H01M 50/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子と第一バスバーとを備える蓄電装置であって、
前記複数の蓄電素子は、第一方向及び前記第一方向と直交する第二方向において2行2列で配列され、かつ、前記第一方向に長側面を向けて配置された4つの蓄電素子を含み、
前記4つの蓄電素子のそれぞれは、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向の端部に電極端子を有し、
前記第一バスバーは、
前記4つの蓄電素子のそれぞれの電極端子と接続された4つの接続部と、
前記第一方向における、前記4つの接続部のうちの前記第一方向に並ぶ2つの接続部の間の位置に配置され、前記第二方向に延設された湾曲部と、
前記4つの接続部のうちの前記第二方向に並ぶ2つの接続部の間に配置され、前記第一バスバーの、前記第一方向の端縁から前記第一方向に沿って延設された切欠部と、を有する、
蓄電装置。
【請求項2】
前記切欠部は、前記第一バスバーの、前記第一方向の端縁から、前記湾曲部の手前の位置まで延設されている、
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記湾曲部は、前記第一バスバーにおいて、前記第二方向の一端から他端まで連続して設けられている、
請求項1または2記載の蓄電装置。
【請求項4】
さらに、前記4つの蓄電素子のうちの前記第一方向に並ぶ2つの蓄電素子それぞれの他の電極端子に接続された第二バスバーを備え、
前記第一バスバーの、導通路における断面積の最小値は、前記第二バスバーの、導通路における断面積の最小値以上である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第一バスバーにおける前記4つの接続部のそれぞれは、前記第一バスバーと、前記4つの蓄電素子のそれぞれの電極端子とが溶接されることで形成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記第一バスバーは、前記第二方向の端縁に、前記第三方向から見た場合において当該端縁から内側に凹んだ凹部を有しており、前記凹部は、前記湾曲部の端に位置する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を接続するバスバーとを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バスバーに弾性的に接触する端子部と、端子部を介してバスバーに電気的に接続される電圧検出部とを備える電池モジュールが開示されている。特許文献1には、上記構成により、電池モジュールが振動を受けた場合であっても、端子部とバスバーとの接続部分に損傷が生じにくい旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置が自動車等に搭載されて使用される場合、振動または衝撃等の、外部から与えられる力に起因する問題だけでなく、内部の蓄電素子の膨張及び収縮に起因する問題も生じる。例えば、複数の蓄電素子を電気的及び機械的に接続するバスバーは、各蓄電素子が膨張または収縮した場合、各蓄電素子の電極端子との接続部に不具合が生じる可能性がある。また、例えば複数の蓄電素子それぞれの上部に位置する電極端子の高さ位置が一致していない場合もある。この場合は、例えば、バスバーと各電極端子とを精度よく溶接することが困難となる等の問題が生じる。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、信頼性の高い蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子と第一バスバーとを備える蓄電装置であって、前記複数の蓄電素子は、第一方向及び前記第一方向と直交する第二方向において2行2列で配列され、かつ、前記第一方向に長側面を向けて配置された4つの蓄電素子を含み、前記4つの蓄電素子のそれぞれは、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向の端部に電極端子を有し、前記第一バスバーは、前記4つの蓄電素子のそれぞれの電極端子と接続された4つの接続部と、前記第一方向における、前記4つの接続部のうちの前記第一方向に並ぶ2つの接続部の間の位置に配置され、前記第二方向に延設された湾曲部と、前記4つの接続部のうちの前記第二方向に並ぶ2つの接続部の間に配置され、前記第一バスバーの、前記第一方向の端縁から前記第一方向に沿って延設された切欠部と、を有する。
【0007】
この構成によれば、蓄電装置には、2行2列で配列された4つの蓄電素子に接続された第一バスバーが備えられる。この第一バスバーには、第一方向に並ぶ2つの蓄電素子の間の位置に対応して湾曲部が設けられており、また、第二方向に並ぶ2つの蓄電素子の間の位置に対応して切欠部が設けられている。そのため、これら4つの蓄電素子の電極端子の第三方向における位置の違いを吸収しながら第一バスバーを接続することができる。
【0008】
また、第一方向に並ぶ2つの蓄電素子のそれぞれは、互いの長側面が対向するように配置されているため、2つの蓄電素子の少なくとも一方の内圧が上昇することで当該一方の長側面が膨れた場合、2つの蓄電素子の電極端子は互いに離れる方向に移動しようとする。この点に関し、本態様に係る第一バスバーは、第二方向に延設された湾曲部を有するため、この2つの電極端子間の距離の増加に追随して変形しやすい。従って、例えば第一バスバーの接続部の緩みまたは剥がれ等の不具合の発生が抑制される。
【0009】
このように、本態様に係る蓄電装置は、信頼性の高い蓄電装置である。
【0010】
また、前記切欠部は、前記第一バスバーの、前記第一方向の端縁から、前記湾曲部の手前の位置まで延設されている、としてもよい。
【0011】
このように、切欠部の長さを、湾曲部に至らない長さにすることで、第一バスバーの、切欠部を有することによる変形能を確保しつつ、導通路における断面積の減少を抑制することができる。そのため、第一バスバーの強度の低下、または、充放電時におけるバスバーの発熱等の問題が生じ難い。このことは蓄電装置の信頼性の向上に寄与する。
【0012】
また、前記湾曲部は、前記第一バスバーにおいて、前記第二方向の一端から他端まで連続して設けられている、としてもよい。
【0013】
この構成によれば、湾曲部は、延設方向の途中に貫通孔等を設けることなく、一連に形成されるため、例えば、変形が繰り返された場合であっても、金属疲労による破損等が生じ難い。このことは蓄電装置の信頼性の向上に寄与する。
【0014】
また、蓄電装置はさらに、前記4つの蓄電素子のうちの前記第一方向に並ぶ2つの蓄電素子それぞれの他の電極端子に接続された第二バスバーを備え、前記第一バスバーの、導通路における断面積の最小値は、前記第二バスバーの、導通路における断面積の最小値以上である、としてもよい。
【0015】
この構成によれば、第一バスバーに、第一バスバーの変形能を向上させるための切欠部を持たせながら、蓄電装置の充放電時の導通の妨げとならないための断面積を確保することができる。このことは蓄電装置の信頼性の向上に寄与する。
【0016】
また、前記第一バスバーにおける前記4つの接続部のそれぞれは、前記第一バスバーと、前記4つの蓄電素子のそれぞれの電極端子とが溶接されることで形成されている、としてもよい。
【0017】
この構成によれば、例えば、第一バスバーは、4つの蓄電素子のそれぞれの電極端子と溶接する際に、各電極端子に当接させやすいため、第一バスバーと各電極端子とを精度よく溶接することができる。つまり、第一バスバーが有する4つの接続部それぞれにおける、電極端子との電気的及び機械的な接続について、高い信頼性を獲得することができる。このことは蓄電装置の信頼性の向上に寄与する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、信頼性の高い蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置において外装ケースの本体と蓋とを分離して外装ケースの内方を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る蓄電装置において外装ケースの内方の構成を分解して示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る、2行2列で配列された4つの蓄電素子と接続されるバスバーの構成を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る蓄電素子の電極端子と接続される各種のバスバーの構成を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態の変形例に係るバスバーの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0021】
また、以下の説明及び図面中において、外装ケースの長手方向(外装ケースの短側面の対向方向)、中間ケースの長手方向(中間ケースの短側面の対向方向)、中間ケースと制御回路基板との並び方向、蓄電素子の容器の蓋の長手方向(容器の短側面の対向方向)、または、1つの蓄電素子における一対の電極端子の並び方向をX軸方向と定義する。また、中間ケースの本体と蓋体との並び方向(中間ケースの底面と蓋体との対向方向)、または、蓄電素子の容器の本体と蓋との並び方向(容器の底面と蓋との対向方向)をY軸方向と定義する。また、外装ケースの本体と蓋との並び方向(外装ケースの底面と蓋との対向方向)、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0022】
(実施の形態)
[1.蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置10において外装ケース100の本体と蓋とを分離して外装ケース100の内方を示す斜視図である。
図3は、実施の形態に係る蓄電装置10において外装ケース100の内方の構成を分解して示す分解斜視図である。なお、
図3では、中間ケース200の側壁部211dの外側に配置されている電気機器500の図示は省略されている。
【0023】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途や電源用途等に使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械等の移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
【0024】
図1~
図3に示すように、蓄電装置10は、外装ケース100、外装ケース100に収容される中間ケース200、バスバー400等の複数のバスバー、電気機器500、及び制御回路基板700を備えている。中間ケース200には複数の蓄電素子300が収容されている。
【0025】
外装ケース100は、蓄電装置10の外装体を構成する箱形(直方体形状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装ケース100は、複数の蓄電素子300、複数のバスバー400及び制御回路基板700等を収容し、これら蓄電素子300等を外部からの衝撃等から保護する。外装ケース100は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))またはABS樹脂等の絶縁部材により形成されている。これにより、外装ケース100は、内部の蓄電素子300等が外部の金属等の導電部材に電気的に接続されるのを回避する。なお、蓄電素子300等との間における絶縁性が保たれる構成であれば、外装ケース100は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0026】
外装ケース100は、外装ケース100の本体を構成する外装ケース本体110と、外装ケース100の蓋体(蓄電装置10の外蓋)を構成する外装ケース蓋体120とを有している。外装ケース本体110は、Z軸方向プラス側に開口110aが形成された有底矩形筒状のハウジングである。外装ケース蓋体120は、外装ケース本体110のZ軸方向プラス側に配置され、外装ケース本体110と接続されて外装ケース本体110の開口110aを塞ぐ扁平な矩形状の蓋である。なお、外装ケース本体110及び外装ケース蓋体120は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもよい。
【0027】
また、外装ケース蓋体120には、X軸方向プラス側の端部に、正極側及び負極側の一対のモジュール端子(総端子)である外部端子130及び131が配置されている。外部端子130及び131は、複数の蓄電素子300と電気的に接続されており、蓄電装置10は、この外部端子130及び131を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。なお、外部端子130及び131は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属製の導電部材で形成されている。なお、本実施の形態では、外部端子130は正極側の外部端子であり、外部端子131は、負極側の外部端子である。
【0028】
中間ケース200は、蓄電装置10の内箱を構成する箱形(直方体形状)の容器である。具体的には、中間ケース200は、複数の蓄電素子300を収容するとともに、複数バスバー400及び制御回路基板700等が取り付けられることで、外装ケース100に収容する構成部品を一体的に保持する。中間ケース200は、どのような材質の部材で形成されていてもよいが、絶縁性確保の観点からは、樹脂等の絶縁部材により形成されるのが好ましく、強度確保の観点からは、金属等の強度の高い部材により形成されるのが好ましい。絶縁部材としては、外装ケース100と同様に、例えば、PC、PP、PE、PPS、PBT、PPE(変性PPEを含む)またはABS樹脂等が挙げられる。金属としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等が挙げられる。
【0029】
中間ケース200は、中間ケース200の本体を構成する中間ケース本体210と、中間ケース200の蓋体(蓄電装置10の内蓋)を構成する中間ケース蓋体220とを有している。中間ケース本体210は、Y軸方向マイナス側に開口が形成された有底矩形筒状のハウジングである。中間ケース本体210は、複数の蓄電素子300を囲む壁部として、4つの側壁部211a、211b、211c、及び211dと、中間ケース蓋体220に対向する位置にある底壁部211eとを有している。
【0030】
中間ケース蓋体220は、中間ケース本体210のY軸方向マイナス側に配置され、中間ケース本体210と接続されて中間ケース本体210の開口を塞ぐ扁平な矩形状の蓋である。つまり、中間ケース蓋体220は、外装ケース本体110の側壁部に対向して配置されている。また、中間ケース蓋体220は、蓄電素子300のY軸方向マイナス側に配置され、かつ、バスバー400、420、430、及び440(以下、バスバー400等)を保持してバスバー400等の位置規制等を行うバスバーフレーム(バスバープレート)としての機能も有している。
【0031】
また、中間ケース200は、外装ケース100に接着されて固定されている。本実施の形態では、中間ケース本体210が外装ケース本体110に接着剤等で接着されることで、中間ケース200が外装ケース100に固定されている。なお、中間ケース本体210及び中間ケース蓋体220は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもよい。
【0032】
蓄電素子300は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。なお、本実施の形態では、8個の蓄電素子300のそれぞれを区別するために、
図3に示すように、各蓄電素子300に互い異なる符号(300a~300h)を付している。
【0033】
蓄電素子300は、扁平な角形(直方体形状)の形状を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子300が横置き(横倒し)にされた状態で、X軸方向及びZ軸方向に配列されている。つまり、複数の蓄電素子300が行列状に配列されている。具体的には、蓄電素子300a~300dがZ軸方向に積層(平積み)され、かつ、蓄電素子300e~300hがZ軸方向に積層(平積み)されて、蓄電素子300a~300dと蓄電素子300e~300hとがX軸方向に並んで配列されている。
【0034】
言い換えれば、複数の蓄電素子300のそれぞれは、長側面(
図3に示す長側面301a)が、Z軸方向(第一方向の一例)に向く姿勢で配置されている。なお、各蓄電素子300は、Z軸方向の両側(プラス側及びマイナス側)のそれぞれに長側面301aを有している。また、Z軸方向と直交するX軸方向(第二方向の一例)に2つの蓄電素子300が並んで配置されている。さらに、複数の蓄電素子300のそれぞれは、Z軸方向及びX軸方向と直交するY軸方向(第三方向の一例)の端部に電極端子302を有している。本実施の形態では、8つの蓄電素子300は、Y軸方向マイナス側の端部に一対の電極端子302が位置する姿勢で中間ケース200に収容されている。
【0035】
例えば、蓄電素子300a及び蓄電素子300eは、長側面301aがZ軸方向に向く姿勢で、かつX軸方向に並んで配置されている。また、蓄電素子300a及び蓄電素子300eはY軸方向マイナス側の端部に一対の電極端子302を有している。
【0036】
なお、蓄電素子300の個数は特に限定されず、何個の蓄電素子300がZ軸方向に積層(平積み)されていてもよいし、何個の蓄電素子300がX軸方向に配列されていてもよい。また、蓄電素子300の形状は、上記角形には限定されず、それ以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円柱形状等であってもよいし、蓄電素子300はラミネート型の蓄電素子であってもよい。また、蓄電素子300は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子300は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子300は、固体電解質を用いた電池であってもよい。
【0037】
本実施の形態では、蓄電素子300は、容器301を備え、容器301の蓋部分には、上述のように一対の電極端子302が配置されている。なお、一対の電極端子302のうち、
図3において中央に円形が描かれた電極端子302が負極端子であり、他方の電極端子302が正極端子である。例えば蓄電素子300aにおいて、X軸方向プラス側の電極端子302が負極端子であり、X軸方向マイナス側の電極端子302が正極端子である。マイナス側の電極端子302に描かれた円形は端子本体(容器301の外部に配置された部分)から露出した軸部の端部を表している。なお、マイナス側の電極端子302において軸部の端部が端子本体から露出することは必須ではなく、マイナス側の電極端子302において、軸部の端部は端子本体に覆われていてもよい。この場合、端子本体の上面(Y軸方向マイナス側の面)は平坦であってもよい。
【0038】
また、容器301の内方には、電極体、集電体(正極集電体及び負極集電体)、及び電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。なお、当該電解液としては、蓄電素子300の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。また、容器301の側面には、図示しない絶縁シートが配置されており、これにより、隣り合う蓄電素子300の間の絶縁性が確保されている。
【0039】
容器301は、角形(直方体形状)の容器であり、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板等の金属製の部材で形成されている。電極端子302は、容器301の蓋部分から、中間ケース蓋体220に向けて(Y軸方向マイナス側に向けて)突出して配置された金属製の一対の端子(正極端子及び負極端子)である。つまり、電極端子302は、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続され、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子300の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子300の内部空間に電気を導入する。なお、電極端子302は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で形成されている。
【0040】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。ここで、電極体が有する正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。また、負極板は、銅または銅合金等の金属からなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。また、正極活物質層に用いられる正極活物質、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。また、集電体は、電極端子302と電極体とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材(正極集電体及び負極集電体)である。なお、正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0041】
バスバー400等(400、420、430、及び440)は、複数の蓄電素子300のY軸方向マイナス側に配置され、2つまたは4つの蓄電素子300の電極端子302同士を電気的及び機械的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー400等は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。本実施の形態では、バスバー400等が電極端子302に溶接されることで、バスバー400等と電極端子302とが接続される。この溶接の手法としては、例えばレーザー溶接が用いられるが、他の手法が用いられてもよい。
【0042】
なお、本実施の形態では、上述のように、負極側の電極端子302では、軸部の端部が端子本体から露出しているため、バスバー400等は、軸部の端部との干渉を避けるための2つまたは4つの開口部(干渉回避用開口部)が設けられており、干渉回避用開口部の周囲が電極端子302と接合(溶接)されている。
【0043】
また、本実施の形態では、並列に接続された2つの蓄電素子300が、4つ直列に接続されている。具体的には、蓄電素子300g及び300h、蓄電素子300c及び300d、蓄電素子300a及び300b、並びに、蓄電素子300e及び300fのそれぞれが並列に接続される。これにより得られた4つの蓄電素子300の組が直列に接続される。
【0044】
より詳細には、蓄電素子300g及び300hそれぞれの正極側の電極端子302にバスバー440が接合される。蓄電素子300g及び300hそれぞれの負極側の電極端子302と、蓄電素子300c及び300dそれぞれの正極側の電極端子302とに、バスバー400が接合される。蓄電素子300c及び300dそれぞれの負極側の電極端子302と、蓄電素子300a及び300bそれぞれの正極側の電極端子302とに、バスバー420が接合される。蓄電素子300a及び300bそれぞれの負極側の電極端子302と、蓄電素子300e及び300fそれぞれの正極側の電極端子302とに、バスバー400が接合される。さらに、蓄電素子300e及び300fそれぞれの負極側の電極端子302にバスバー430が接合される。つまり、8個の蓄電素子300からなる蓄電素子群の総プラス端子がバスバー440であり、当該蓄電素子群の総マイナス端子がバスバー430である。バスバー440は、バスバー530、電気機器500、及びバスバー510等を介して外部端子130(
図1参照)に接続される。バスバー430は、バスバー540、制御回路基板700、及びバスバー520等を介して外部端子131(
図1参照)に接続される。
【0045】
なお、電気機器500は、リレー及びコネクタ等の制御用部品を有する機器であり、制御回路基板700は、CPU(CentralProcessingUnit)及び抵抗素子等の各蓄電素子300の充放電を制御するための制御装置である。制御回路基板700は、例えばBMU(BatteryManagementUnit)とも呼ばれる。蓄電装置10は、図示しないサーミスタ及び電圧検出のための配線等を有し、制御回路基板700は、検出した温度及び電圧値等に基づいて各蓄電素子300の充放電を制御する。なお、
図3では、制御回路基板700が有するCPU及び抵抗素子等の電子部品の図示は省略されている。制御回路基板700は、回路カバー600に覆われた状態で、中間ケース200に取り付けられている。回路カバー600は、中間ケース200と同じく、PCまたはPP等の樹脂で形成されており、バスバー510及びバスバー530を保持する役目も有している。
【0046】
[2.バスバー400の構成]
上記のように構成された蓄電装置10において、バスバー400は、Y軸方向マイナス側から見て2行2列で配列された4つの蓄電素子300それぞれの電極端子302と接合されている。このバスバー400の構成について
図4及び
図5を用いて説明する。なお、バスバー400は、第一バスバーの一例である。
【0047】
図4は、実施の形態に係るバスバー400の構成を示す斜視図である。なお、
図4では、蓄電装置10が備える2つのバスバー400のうち、蓄電素子300a、300b、300e、及び300fに接合されるバスバー400に着目し、その周辺のみを図示している。また、
図4では、バスバー400と電極端子302との接続部410の位置が、点線の円によって模式的に表されている。
図5は、実施の形態に係る蓄電素子300の電極端子302と接続される各種のバスバー(バスバー400、420及び430)の構成を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、
図3に示すように、バスバー440はバスバー430と同一形状であるため、
図5では、バスバー440の図示は省略されている。
【0048】
図2~
図4に示すように、実施の形態に係る蓄電装置10は、複数の蓄電素子300と、第一バスバーの一例であるバスバー400とを備える。複数の蓄電素子300は、Z軸方向及びX軸方向において2行2列で配列され、かつ、Z軸方向に長側面301aを向けて配置された4つの蓄電素子300(
図4では、蓄電素子300a、300b、300e、及び300f)を含んでいる。当該4つの蓄電素子300のそれぞれは、Y軸方向の端部に電極端子302を有している。
【0049】
バスバー400は、当該4つの蓄電素子300のそれぞれの電極端子302と接続された4つの接続部410と、X軸方向に延設された湾曲部401と、Z軸方向の端縁からZ軸方向に沿って延設された切欠部402とを有している。湾曲部401は、Z軸方向における、4つの接続部410のうちのZ軸方向に並ぶ2つの接続部410の間の位置に配置されている。
【0050】
このように、本実施の形態に係る蓄電装置10には、2行2列で配置された4つの蓄電素子300に接続されたバスバー400が備えられる。このバスバー400には、Z軸方向に並ぶ2つの蓄電素子300の間の位置に対応して湾曲部401が設けられている。バスバー400にはさらに、X軸方向に並ぶ2つの蓄電素子300の間の位置に対応して切欠部402が設けられている。つまり、バスバー400には、2行2列で配置された4つの蓄電素子300における行間及び列間のそれぞれに対応する位置に、バスバー400を変形し易くさせる(変形能を向上させる)部位が設けられる。これにより、4つの接続部410のそれぞれのY軸方向の位置の調整が容易になる。そのため、これら4つの蓄電素子300の電極端子302のY軸方向の位置の違いを吸収しながらバスバー400を接続することができる。
【0051】
また、Z軸方向に並ぶ2つの蓄電素子300のそれぞれは、互いの長側面301aが対向するように配置されているため、2つの蓄電素子300の少なくとも一方の内圧が上昇することで当該一方の長側面301aが膨れた場合、2つの蓄電素子300の電極端子302は互いに離れる方向に変位する。例えば
図4において、蓄電素子300aの、蓄電素子300bに対向する長側面301aが膨れた場合、蓄電素子300aの電極端子302と、蓄電素子300bの電極端子302とは、互いに離れる方向に移動しようとする。この場合において、本態様に係るバスバー400は、X軸方向に延設された湾曲部401を有するため、この2つの電極端子302間の距離の増加に追随して変形しやすい。従って、例えばバスバー400における接続部410の緩みまたは剥がれ等の不具合の発生が抑制される。
【0052】
なお、本実施の形態では、より詳細には、バスバー400は、2組の、X軸方向に並ぶ2つの蓄電素子300(蓄電素子300a及び300eの組、並びに、蓄電素子300b及び300fの組)に対応して分離された2つの切欠部402を有している。また、Z軸方向に並ぶ2つの切欠部402の間に、X軸方向に延設された湾曲部401が配置されている。
【0053】
ここで、仮に、湾曲部401の位置に、湾曲部401に換えて切欠部を設けた場合、バスバー400を、Z軸方向に並ぶ2つの電極端子302間の距離の増加に追随して変形させることは可能である。しかしながら、例えば蓄電素子300が膨張と収縮とを繰り返すことで、切欠部が開閉を繰り返した場合、切欠部の、バスバー400の中央寄りの端部に応力が集中し、その結果、当該端部に金属疲労による損傷が生じることも考えられる。この点に関し、本実施の形態に係るバスバー400では、蓄電素子300が膨張と収縮とを繰り返すことで、湾曲部401が変形を繰り返した場合、湾曲部401に生じる応力は、その延設方向(X軸方向)で分散されるため、応力集中が生じ難い。つまり、蓄電素子300が膨張と収縮とを繰り返すことを考慮すると、互いの長側面301aを対向させて並ぶ2つの蓄電素子300の間に対応する位置に湾曲部401を設けることに優位性がある。このように、本実施に係る蓄電装置10は信頼性の高い蓄電装置である。
【0054】
また、本実施の形態において、バスバー400が有する切欠部402は、バスバー400の、Z軸方向の端縁から、湾曲部401の手前の位置まで延設されている。
【0055】
このように、切欠部402の長さを、湾曲部401に至らない長さにすることで、バスバー400の、切欠部402を有することによる変形能を確保しつつ、導通路における断面積の減少を抑制することができる。そのため、バスバー400の強度の低下、または、充放電時におけるバスバー400の発熱等の問題が生じ難い。このことは蓄電装置10の信頼性の向上に寄与する。
【0056】
また、本実施の形態において、バスバー400が有する湾曲部401は、バスバー400において、X軸方向の一端から他端まで連続して設けられている。
【0057】
つまり、本実施の形態において、湾曲部401は、延設方向の途中に貫通孔等を設けることなく、一連に形成されるため、例えば、蓄電素子300の膨張及び収縮により、変形が繰り返された場合であっても、金属疲労による破損等が生じ難い。このことは蓄電装置10の信頼性の向上に寄与する。
【0058】
また、本実施の形態では、バスバー400における4つの接続部410のそれぞれは、上述のように、バスバー400と、4つの蓄電素子300のそれぞれの電極端子302とが溶接されることで形成されている。
【0059】
つまり、本実施の形態に係るバスバー400は、互いに直交する方向に延設された湾曲部401と切欠部402とを有することで変形能が高いため、4つの蓄電素子300のそれぞれの電極端子302と溶接する際に、各電極端子302に当接させやすい。従って、バスバー400と各電極端子302とを精度よく溶接することができる。つまりバスバー400が有する4つの接続部410それぞれにおける、電極端子302との電気的及び機械的な接続について、高い信頼性を獲得することができる。このことは蓄電装置10の信頼性の向上に寄与する。
【0060】
なお、
図4では、バスバー400が有する4つの接続部410の位置が、点線の円で模式的に表されているが、接続部410の位置及び形状はこれに限定されない。接続部410は、バスバー400における、電極端子302との溶接が可能な位置に形成されていればよい。例えば、1つの電極端子302に対応する接続部410が、平面視において、分離された複数の領域で構成されていてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、
図5に示すように、Z軸方向に並ぶ4つの電極端子302と接合されるバスバー420、及び、Z軸方向に並ぶ2つの電極端子302と接合されるバスバー430も、バスバー400と同様に湾曲部を有している。具体的には、バスバー420は3つの湾曲部421を有し、バスバー430は、1つの湾曲部431を有している。また、バスバー430と同形状のバスバー440(
図3参照)も、1つの湾曲部を有している。つまり、本実施の形態では、2以上の蓄電素子300を接続するバスバー400等は、Z軸方向で隣り合う2つの蓄電素子300の間の位置に対応して、1つの湾曲部を有している。そのため、バスバー400等のそれぞれは、1以上の蓄電素子300が膨張した場合において、その膨張に起因する電極端子302の変位に追随して変形することができる。従って、バスバー400等における電極端子との接続部の不具合の発生が抑制される。
【0062】
また、本実施の形態において、Z軸方向に並ぶ2つの蓄電素子300の電極端子302に接続されるバスバー400の、導通路における最小断面積は、
図5に示すように、Z軸方向に分離された切欠部402の間の部分の断面積であり、その値はSaである。このSaは、当該2つの蓄電素子300の他の電極端子302に接続されるバスバーの、導通路における断面積の最小値以上である。
【0063】
具体的には、バスバー420の、導通路における断面積の最小値をSbとし、バスバー430の、導通路における断面積の最小値をScとした場合、Sa≧Sbであり、かつ、Sa≧Scである。
【0064】
つまり、本実施の形態では、バスバー400に、バスバー400の変形能を向上させるための切欠部402を持たせながら、蓄電装置10の充放電時の導通の妨げとならないための断面積を確保することができる。このことは蓄電装置10の信頼性の向上に寄与する。
【0065】
以上、実施の形態に係る蓄電装置10について説明したが、蓄電装置10は、2行2列で配列された4つの蓄電素子300に接続されたバスバーであって、
図2~
図5に示すバスバー400と異なるバスバーを備えてもよい。そこで、以下に、バスバー400についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0066】
(変形例)
図6は、実施の形態の変形例に係るバスバー480の構成を示す平面図である。なお、
図6において、バスバー480が有する接続部490については、おおよその配置領域がドットを付した領域で表されている。また、バスバー480に隠される電極端子302は、おおよその外形が点線で表されている。
【0067】
図6に示す本変形例に係るバスバー480は、Z軸方向及びX軸方向において2行2列で配列された4つの蓄電素子300それぞれの電極端子302と接続されている。バスバー480は、X軸方向に延設された湾曲部481と、Z軸方向の端縁からZ軸方向に沿って延設された切欠部482とを有している。これらの構成は、実施の形態に係るバスバー400と共通する。なお、
図6には表されていないが、湾曲部481は、実施の形態に係る湾曲部401と同じく、Y軸方向マイナス側に凸の湾曲形状を有している。
【0068】
しかし、本変形例に係るバスバー480は、電極端子302の軸部の端部との干渉を避けるための開口部(干渉回避用開口部)を有していない。つまり、本変形例では、バスバー480が接続される4つ全ての電極端子302が、軸部の端部が露出しない構造を有している。この場合、バスバー480は、電極端子302と接続される部分において干渉回避用開口部を有する必要がないため、バスバー480に、比較的に大きな面積の接続部490を形成することができる。なお、この場合であっても、例えば、バスバー480と、電極端子302との溶接を行う前に、バスバー480の電極端子302に対する位置を確認するための開口部(検査用開口部)は設けられていてもよい。この場合であっても、検査用開口部の平面視における大きさは比較的に小さいため、接続部490として比較的に大きな面積を確保することができる。
【0069】
また、バスバー480は、X軸方向の端縁に、平面視において当該端縁から内側に凹んだ凹部483を有しており、凹部483は、湾曲部481の端に位置している。
【0070】
これにより、例えば、湾曲部481を変形しやすくすることができ、その結果、バスバー480の、蓄電素子300が膨張することによる電極端子302の変位への追従性が向上する。また、凹部483は、実質的に、バスバー480における導通路に影響を与えない位置に配置されるため、例えば、凹部483を設けることによる抵抗の上昇は生じない。
【0071】
また、バスバー480における湾曲部481は、Z軸方向における、凹部483が配置された位置において、X軸方向の一端から他端まで連続して設けられている。つまり、湾曲部481の途中に、貫通孔等の湾曲部481の連続性を途切れさせる要素がない。そのため、バスバー480は、蓄電素子300の膨張及び収縮により変形が繰り返された場合であっても、金属疲労による破損等が生じ難い。
【0072】
なお、
図6では、バスバー480のX軸方向の両端に凹部483が配置されているが、凹部483はX軸方向の一端のみに配置されていてもよい。また、凹部483は、実施の形態に係るバスバー400に設けられてもよい。
【0073】
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0074】
例えば、実施の形態に係るバスバー400が有する湾曲部401は、Y軸方向マイナス側に凸の湾曲形状を有している。しかし、例えば、電極端子302の上面(バスバー400との接続面)の位置が容器301から離れている場合などにおいて、湾曲部401はY軸方向プラス側(蓄電素子300側)に凸の湾曲形状であってもよい。これにより、バスバー400における、蓄電素子300とは反対側に突出した部分がなくなり、これにより、例えば、バスバー400の、蓄電素子300とは反対側の空間を、配線等のための領域として利用することができる。
【0075】
また、バスバー400と、4つの蓄電素子300それぞれの電極端子302とは溶接により接続されるとしたが、バスバー400と電極端子302との接続の手法に特に限定はない。当該接続の手法として、ボルト及びナットによる締結が用いられてもよく、リベットをかしめる等の塑性接合が用いられてもよい。例えば、電極端子302としてボルト端子が採用された場合、バスバー400が有する4つの干渉回避用開口部のそれぞれを、ボルト端子の軸部が貫通する貫通孔として利用してもよい。また、電極端子302の端子本体に、外部に向けて突設されたリベットが設けられている場合、バスバー400が有する4つの干渉回避用開口部のそれぞれを、リベットを貫通させてかしめるための貫通孔として利用してもよい。
【0076】
また、バスバー400が有する切欠部402の、延設方向と直交する方向の幅(X軸方向の幅)は、例えば
図4に図示する幅には限定されず、当該幅より大きくてもよく、また、当該幅より小さくてもよい。つまり、切欠部402は、バスバー400において、切欠部402を挟む両側の部分の物理的な連続性を断つことができればよい。これにより、切欠部402を挟む両側の部分のそれぞれは、他方の部分から独立して変位することができる。従って、切欠部402の、延設方向と直交する方向の幅は、例えば、視認できない程度小さくてもよく、また、接続部410に影響を与えない程度に大きくてもよい。なお。切欠部402の、湾曲部401側の端部は、例えば応力集中の緩和の観点から、平面視において湾曲状に形成されていることが好ましい。
【0077】
また、蓄電装置10は、複数の蓄電素子300を収容する中間ケース200と、中間ケース200を収容する外装ケース100とを備えているが、このように2重構造の収容体は必須ではない。例えば、複数の蓄電素子300が、外装ケースに直接的に収容される場合、または、何等かのケースに収容されない場合であっても、バスバー400が有する変形能に実質的な影響はない。
【0078】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0080】
10 蓄電装置
300、300a、300b、300c、300d、300e、300f、300g 蓄電素子
301a 長側面
302 電極端子
400、420、430、440、480、510、520、530、540 バスバー
401、421、431、481 湾曲部
402、482 切欠部
410、490 接続部