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  • 特許-風力発電装置 図1
  • 特許-風力発電装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 17/00 20160101AFI20240702BHJP
【FI】
F03D17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022004366
(22)【出願日】2022-01-14
(65)【公開番号】P2023103696
(43)【公開日】2023-07-27
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 国浩
(72)【発明者】
【氏名】石浦 一昭
(72)【発明者】
【氏名】森下 聡
(72)【発明者】
【氏名】神保 優
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-166391(JP,A)
【文献】特開2014-199055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0010781(US,A1)
【文献】特開2006-105956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0234304(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 17/00
F03D 9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置であって、
ブレードと、
一端が前記ブレードに接続されている主軸と、
前記主軸の他端に接続されている増速機と、
一端が前記増速機に接続されている出力軸と、
前記出力軸の他端に接続されている発電部と、
前記出力軸上に配置されている第1クラッチと、
振動センサと、
異常診断部と、
を備え、
前記発電部は、力行動作することで前記出力軸および前記主軸を回転させることが可能に構成されており、
前記異常診断部は、前記第1クラッチが切断されている状態で前記発電部が力行動作している期間中に前記振動センサによって取得されたデータに基づいて異常の有無を診断する、風力発電装置。
【請求項2】
風力発電装置であって、
ブレードと、
一端が前記ブレードに接続されている主軸と、
前記主軸の他端に接続されている増速機と、
一端が前記増速機に接続されている出力軸と、
前記出力軸の他端に接続されている発電部と、
前記主軸上に配置されている第2クラッチと、
振動センサと、
異常診断部と、
を備え、
前記発電部は、力行動作することで前記出力軸および前記主軸を回転させることが可能に構成されており、
前記異常診断部は、前記第2クラッチが切断されている状態で前記発電部が力行動作している期間中に前記振動センサによって取得されたデータに基づいて異常の有無を診断する、風力発電装置。
【請求項3】
風力発電装置であって、
ブレードと、
一端が前記ブレードに接続されている主軸と、
前記主軸の他端に接続されている増速機と、
一端が前記増速機に接続されている出力軸と、
前記出力軸の他端に接続されている発電部と、
前記出力軸上に配置されている第1クラッチ、および、前記主軸上に配置されている第2クラッチと、
振動センサと、
異常診断部と、
を備え、
前記発電部は、力行動作することで前記出力軸および前記主軸を回転させることが可能に構成されており、
前記異常診断部は、前記第1クラッチが切断されている状態で前記発電部が力行動作している期間中に前記振動センサによって取得されたデータ、および、前記第1クラッチが接続されているとともに前記第2クラッチが切断されている状態で前記発電部が力行動作している期間中に前記振動センサによって取得されたデータに基づいて異常の有無を診断する、風力発電装置。
【請求項4】
前記発電部は、複数の異なる回転数で前記出力軸および前記主軸を回転させることが可能に構成されており、
前記異常診断部は、前記複数の異なる回転数で回転している期間中の各々において前記振動センサによって取得されたデータに基づいて、異常の有無を診断する、請求項1~の何れか1項に記載の風力発電装置。
【請求項5】
バッテリと、
前記バッテリと前記発電部との接続経路上に配置されており、交流電流と直流電流との間の変換が可能に構成されている電力変換部と、
をさらに備え、
前記発電部は、前記バッテリの供給電力に基づいて力行動作することが可能に構成されている、請求項1~の何れか1項に記載の風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主軸、増速機及び発電機といった回転機器の異常を診断することが可能な風力発電装置が開示されている。具体的には、ブレードが風力によって回転する際に回転機器に発生する振動を、振動センサを用いて取得する。そして振動波形の異常を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-166391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、異常診断を行うためには、風力によってブレードを回転させる必要がある。すると、異常診断の実行の可否は、風環境の影響を大きく受けるため、例えば無風状態のときには異常診断を行うことができない。従って、所望のタイミングで自発的に異常診断を行うことが困難である。本明細書は、このような問題を解決できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する風力発電装置は、ブレードと、一端がブレードに接続されている主軸と、主軸の他端に接続されている増速機と、一端が増速機に接続されている出力軸と、出力軸の他端に接続されている発電部と、振動センサと、異常診断部と、を備える。発電部は、力行動作することで出力軸および主軸を回転させることが可能に構成されている。異常診断部は、発電部が力行動作している期間中に振動センサによって取得されたデータに基づいて異常の有無を診断する。
【0006】
上記の構成では、発電部は、力行動作することで出力軸および主軸を自発的に回転させることができる。そして、自発的な回転中に、振動センサによってデータを取得することができる。これにより、風環境の影響を受けることがない。所望のタイミングで自発的に異常診断を行うことが可能となる。
【0007】
風力発電装置は、出力軸上に配置されている第1クラッチをさらに備えていてもよい。異常診断部は、第1クラッチが切断されている状態で発電部が力行動作している期間中に振動センサによって取得されたデータに基づいて、異常の有無を診断してもよい。これにより、ブレードの影響を受けずに、発電部の異常診断を行うことができる。
【0008】
風力発電装置は、主軸上に配置されている第2クラッチをさらに備えていてもよい。異常診断部は、第2クラッチが切断されている状態で発電部が力行動作している期間中に振動センサによって取得されたデータに基づいて、異常の有無を診断してもよい。これにより、ブレードの影響を受けずに、発電部および増速機の異常診断を行うことができる。
【0009】
風力発電装置は、出力軸上に配置されている第1クラッチ、および、主軸上に配置されている第2クラッチをさらに備えていてもよい。異常診断部は、第1クラッチが切断されている状態で発電部が力行動作している期間中に振動センサによって取得されたデータ、および、第1クラッチが接続されているとともに第2クラッチが切断されている状態で発電部が力行動作している期間中に振動センサによって取得されたデータに基づいて、異常の有無を診断してもよい。これにより、発電部の異常診断および増速機の異常診断の各々を行うことができる。
【0010】
発電部は、複数の異なる回転数で出力軸および主軸を回転させることが可能に構成されていてもよい。異常診断部は、複数の異なる回転数で回転している期間中の各々において振動センサによって取得されたデータに基づいて、異常の有無を診断してもよい。これにより、検知感度を変化させて異常診断を行うことができるため、診断精度を高めることが可能となる。
【0011】
風力発電装置は、バッテリをさらに備えていてもよい。風力発電装置は、バッテリと発電部との接続経路上に配置されており、交流電流と直流電流との間の変換が可能に構成されている電力変換部をさらに備えていてもよい。発電部は、バッテリの供給電力に基づいて力行動作することが可能に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】風力発電装置1の概略構成図である。
図2】風力発電装置1の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(風力発電装置1の構成)
図1に、風力発電装置1の概略構成図を示す。風力発電装置1は、ブレード10、主軸20、増速機30、出力軸40、発電部50、第1クラッチ61、第2クラッチ62、異常診断部70、振動センサ71および72、第1電力変換部81、第2電力変換部82、DC-DCコンバータ83、バッテリ84、を備える。
【0014】
主軸20は、第1主軸20aおよび第2主軸20bを備えている。第1主軸20aの端部は、ブレード10に接続されている。第2主軸20bの端部は、増速機30に接続されている。増速機30は、ギアを用いて、ブレード10の回転を発電に必要な回転数まで増幅させる部位である。主軸20上には、第2クラッチ62が配置されている。第2クラッチ62によって、第1主軸20aおよび第2主軸20bは、接続および切断が可能に構成されている。第2クラッチ62には、様々な構成を使用可能である。
【0015】
出力軸40は、第1出力軸40aおよび第2出力軸40bを備えている。第1出力軸40aの端部は、増速機30に接続されている。第2出力軸40bの端部は、発電部50に接続されている。出力軸40上には、第1クラッチ61が配置されている。第1クラッチ61によって、第1出力軸40aおよび第2出力軸40bは、接続および切断が可能に構成されている。第1クラッチ61には、様々な構成を使用可能である。
【0016】
発電部50は、ブレード10から伝達された動力を用いた発電動作により、交流電流を出力する。また発電部50は、バッテリ84の供給電力に基づいて力行動作することで、出力軸40および主軸20を回転させることが可能に構成されている。発電部50の内部には、不図示の変速機が内蔵されている。
【0017】
振動センサ71および72は、発電部50および増速機30の各々に取り付けられている。振動センサ71は、発電部50に関連する振動データD1を取得し、異常診断部70に送信する。振動センサ72は、増速機30に関連する振動データD2を取得し、異常診断部70に送信する。振動センサ71および72の種類や構造は特に限定されず、様々なタイプのセンサを使用可能である。
【0018】
異常診断部70は、異常の有無を診断するための部位である。異常診断部70から第1クラッチ61および第2クラッチ62には、制御信号S1およびS2が入力される。制御信号S1およびS2は、第1クラッチ61および第2クラッチ62の接続および切断を制御するための信号である。異常診断部70から発電部50には、指令信号C1が入力される。指令信号C1は、発電部50に発電動作および力行動作の切り替えを指示する信号である。また指令信号C1によって、力行動作時の回転数を指示することができる。これにより発電部50は、複数の異なる回転数で出力軸40および主軸20を回転させることが可能に構成されている。
【0019】
第1電力変換部81は、DC-DCコンバータ83を介してバッテリ84に接続されている。DC-DCコンバータ83は、昇圧及び降圧が可能な装置である。第1電力変換部81は、発電動作中において、発電部50からの交流電力を直流電力に変換して、バッテリ84および第2電力変換部82へ供給することができる。また第1電力変換部81は、力行動作中において、バッテリ84からの直流電力を交流電力に変換して、発電部50へ供給することができる。
【0020】
第2電力変換部82は、第1電力変換部81およびDC-DCコンバータ83に接続されている。第2電力変換部82は、直流電力を交流電力に変換する部位である。第2電力変換部82は、外部である電力系統85へ、送電量PT1の交流電力を出力可能に構成されている。
【0021】
発電部50、第1電力変換部81、第2電力変換部82、DC-DCコンバータ83は、一体の発電ユニットPUとして構成されている。これにより、故障が発生した場合にユニットごと交換することができるため、風力発電装置1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0022】
(動作)
本実施例の風力発電装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。図2のフローチャートは、風力発電装置1の動作中において常に実行されていてもよい。ステップS10において、異常診断部70は、異常診断の実行の可否を判断する。例えば、定期的に異常診断を行ってもよい。実行しない場合(S10:NO)にはステップS10へ戻り待機し、実行する場合(S10:YES)にはステップS20へ進む。
【0023】
ステップS20~S50において、発電部50の異常診断が実行される。以下に説明する。ステップS20において異常診断部70は、切断を指示する制御信号S1を送信する。これにより第1クラッチ61が切断される。
【0024】
ステップS30において異常診断部70は、第1の力行動作を指示する指令信号C1を発電部50へ送信する。これにより第2出力軸40bは、第1の回転数で回転する。第1の回転数は、適宜定めればよい。また振動センサ71は、第2出力軸40bが第1の回転数で回転している期間中における振動データD1を取得し、異常診断部70へ送信する。
【0025】
ステップS40において異常診断部70は、第2の力行動作を指示する指令信号C1を発電部50へ送信する。これにより第2出力軸40bは、第1の回転数とは異なる第2の回転数で回転する。第2の回転数は、適宜定めればよい。また振動センサ71は、第2出力軸40bが第2の回転数で回転している期間中における振動データD1を取得し、異常診断部70へ送信する。
【0026】
ステップS50において異常診断部70は、発電部50の異常の有無を診断する。具体例を説明する。発電部50は、第2出力軸40b、第2出力軸40bの軸受ベアリング、変速機、ロータ、などの様々な回転機器を備えている。発電部50の動作に合わせて、それぞれの回転機器からは固有の振動が発生する。この振動を解析する一般的な方法として、高速フーリエ変換(FFT)解析が挙げられる。FFTのパワースペクトルによって、振動データの周波数成分を特定し定量化することができる。特定の周波数成分を特定の回転機器に関連付けることで、異常部品の診断を行うことができる。また、次数解析を行うことができる。次数とは、回転速度の正規化のことである。次数解析を用いることで、複数の異なる回転数で取得された振動データを用いてFFTのパワースペクトルを生成した場合に、それぞれの回転機器に関連するピークをより明確に示すことができる。
【0027】
本明細書の技術では、第2出力軸40bの第1の回転数における振動データD1(ステップS30)、および、第2出力軸40bの第2の回転数における振動データD1(ステップS40)を用いて、異常の有無を診断する。理由を説明する。様々な回転機器の各々は、回転数ごとに振動の状態が異なる。回転機器の各々が、固有の共振周波数を有するためである。従って、回転機器の各々の振動の検知感度は、第2出力軸40bの回転数によって変化する。すると、第2出力軸40bのある1つの回転数のみで振動データD1を取得した場合、検知感度が低い回転機器では、異常が隠れてしまう場合がある。そこで第2出力軸40bの複数の回転数の各々について振動データD1を取得し、次数解析を行っている。これにより、検知感度を変化させて異常診断を行うことができるため、診断精度を高めることが可能となる。
【0028】
ステップS60~S80において、増速機30の異常診断が実行される。以下に説明する。ステップS60において異常診断部70は、接続を指示する制御信号S1および切断を指示する制御信号S2を送信する。これにより、第1クラッチ61が接続されるとともに、第2クラッチ62が切断される。
【0029】
ステップS70において異常診断部70は、第1の力行動作を指示する指令信号C1を発電部50へ送信する。これにより、出力軸40が第1の回転数で回転するとともに、第2主軸20bが増速比で定まる第3の回転数で回転する。振動センサ71は、出力軸40が第1の回転数で回転している期間中における振動データD1を取得し、異常診断部70へ送信する。振動センサ72は、第2主軸20bが第3の回転数で回転している期間中における振動データD2を取得し、異常診断部70へ送信する。
【0030】
ステップS80において異常診断部70は、第2の力行動作を指示する指令信号C1を発電部50へ送信する。これにより、出力軸40が第2の回転数で回転するとともに、第2主軸20bが増速比で定まる第4の回転数で回転する。また振動センサ71は、出力軸40が第2の回転数で回転している期間中における振動データD1を取得し、異常診断部70へ送信する。振動センサ72は、第2主軸20bが第4の回転数で回転している期間中における振動データD2を取得し、異常診断部70へ送信する。
【0031】
ステップS90において異常診断部70は、増速機30の異常の有無を診断する。本明細書の技術では、第2主軸20bの第3の回転数における振動データD2(ステップS70)、および、第2主軸20bの第4の回転数における振動データD2(ステップS80)を用いて、異常の有無を診断する。診断方法の具体的内容は、ステップS50と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
なお、増速機30の異常診断時において、発電部50から発生する振動がノイズとなる場合がある。この場合、以下に説明する方法を用いて、ノイズを除去することができる。まず、発電部50に関するFFTのパワースペクトルを生成する。このスペクトルは、出力軸40の第1の回転数における振動データD1(ステップS70)、および、出力軸40の第2の回転数における振動データD1(ステップS80)を用いて生成することができる。次に、増速機30に関するFFTのパワースペクトルを生成する。このスペクトルは、ステップS90で上述した内容で生成することができる。そして、増速機30に関するFFTのパワースペクトルから発電部50に関するFFTのパワースペクトルを減算することで、発電部50から発生するノイズ振動成分を除去することができる。
【0033】
ステップS100において異常診断部70は、異常診断を終了するか否かを判断する。終了しない場合(S100:NO)には、ステップS20へ戻り、再度診断を実行する。一方、終了する場合(S100:YES)には、ステップS110へ進む。ステップS110において異常診断部70は、接続を指示する制御信号S2を送信する。これにより、第1クラッチ61および第2クラッチ62が接続され、ブレード10の動力を発電部50に伝達可能な状態となる。
【0034】
(効果)
比較例として、風力によってブレード10が発生する駆動力によって主軸20および出力軸40を回転させることで、振動データを取得する場合を考える。この場合、異常診断の実行の可否は、風環境の影響を大きく受けるため、所望のタイミングで自発的に異常診断を行うことは困難である。そこで本実施例の風力発電装置1では、発電部50を力行動作することで、出力軸40および主軸20を自発的に回転させる。そして、自発的な回転中に、振動センサ71および72によって振動データD1およびD2を取得する。これにより、風環境の影響を受けることがないため、所望のタイミングで自発的に異常診断を行うことが可能となる。
【0035】
比較例のように風力エネルギを回転運動に変換する場合には、風向きや風速が常に変動するため、主軸20および出力軸40の回転数が一定とならない。振動が時間変動するため、振動データの精度が低下してしまう。本実施例の風力発電装置1では、電気エネルギを発電部50によって回転運動に変換するため、主軸20および出力軸40の回転数を一定にすることができる。振動データの精度を高めることができるため、異常診断を正確に行うことが可能となる。
【0036】
本実施例の風力発電装置1では、異常診断の実行期間中において、第1クラッチ61および第2クラッチ62によって、ブレード10を切り離すことができる。これにより、ブレード10で発生する駆動力や振動などの各種のノイズが、増速機30や発電部50に伝達してしまうことを防止できる。異常診断を正確に行うことが可能となる。
【0037】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で、技術的な有用性を持つものである。
【0038】
(変形例)
風力発電装置1は、第1クラッチ61および第2クラッチ62を備えていなくてもよい。この構成においても、発電部50が力行動作することで、出力軸40および主軸20を自発的に回転させることができる。所望のタイミングで異常診断を行うことが可能となる。
【0039】
風力発電装置1は、第1クラッチ61を備えるとともに、第2クラッチ62を備えていなくてもよい。これにより、ブレード10の影響を受けずに、発電部50の異常診断を行うことができる。また風力発電装置1は、第2クラッチ62を備えるとともに、第1クラッチ61を備えていなくてもよい。これにより、ブレード10の影響を受けずに、発電部50および増速機30の異常診断を行うことができる。
【0040】
発電ユニットPUには、様々な分野で用いられるユニットを適用することが可能である。例えば、ハイブリット車で用いられる電動ユニットを流用することができる。ハイブリット車の電動ユニットは量産効果により比較的安価に調達することができるため、風力発電装置1の製造コストを削減することが可能となる。
【0041】
ステップS50およびS90で説明した異常診断方法は一例であり、様々な診断方法を用いることが可能である。また異常診断を行うタイミングは様々であってよい。例えば、振動データD1およびD2を先に取得してから、発電部50および増速機30の異常診断をまとめて行ってもよい。また、増速機30の異常診断を発電部50の異常診断よりも先に行ってもよい。
【0042】
本実施例では、2つの回転数における振動データを用いて異常診断する場合を説明したが、この形態に限られない。3つ以上の回転数を用いてもよい。
【0043】
振動センサの位置および数は限定されない。例えば、主軸20や出力軸40などに振動センサを取り付けてもよい。
【0044】
本明細書の技術は、回転機構を備える発電装置であれば何れの装置にも適用可能である。本実施例では、原動機が風力用のブレード10である場合を説明したが、この形態に限られない。水力タービン、地熱タービンなど、原動機の種類は様々であって良い。
【符号の説明】
【0045】
1:風力発電装置 10:ブレード 20:主軸 30:増速機 40:出力軸 50:発電部 61:第1クラッチ 62:第2クラッチ 70:異常診断部 71、72:振動センサ 81:第1電力変換部 82:電力変換部 83:DC-DCコンバータ 84:バッテリ
図1
図2