(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】車両管理装置、車両管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240702BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240702BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240702BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20240702BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2022212281
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2020571153の分割
【原出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2019018090
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-062691(JP,A)
【文献】特開2004-094780(JP,A)
【文献】特開2013-045233(JP,A)
【文献】特開2016-146013(JP,A)
【文献】特開2018-180643(JP,A)
【文献】国際公開第2018/111177(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の車両の隊列走行の申請情報を受け付ける申請情報受付手段と、
前記隊列走行が実施される道路の、前記申請情報に関わる交通状況情報を取得する取得手段と、
取得された前記申請情報に関わる交通状況情報に基づいて前記隊列走行に関する基準を設定する設定手段と、
前記申請情報と設定された前記基準に含まれる前記隊列走行の長さとに基づいて、隊列走行の実施可否を判定する実施可否判定手段と、
前記実施可否の判定結果に基づいて、前記隊列走行の実施を許可する実施許可手段と、
を備える車両管理装置。
【請求項2】
前記取得手段は前記隊列走行が実施される道路の、前記申請情報に関わる混雑度を取得し、
前記設定手段は、取得された前記混雑度に基づいて隊列走行を成す車両台数または隊列走行の長さの基準を設定する、
請求項1に記載の車両管理装置。
【請求項3】
前記実施許可手段は、前記実施可否の判定の結果、前記隊列走行の実施可と判定された場合に、前記隊列走行の実施に際し必要な情報を前記車両に対して送信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両管理装置。
【請求項4】
前記実施許可手段は、前記実施可否の判定の結果、前記隊列走行の実施可と判定された場合に、前記車両に備わる隊列走行制御機能を活性化する情報を前記車両に対して送信する、
請求項3に記載の車両管理装置。
【請求項5】
前記実施許可手段は、前記隊列走行の実施に際し必要な情報であって、隊列走行区間の車線に関する情報を前記車両に対して送信する
請求項3または請求項4に記載の車両管理装置。
【請求項6】
前記実施許可手段は、前記隊列走行の実施に際し必要な情報であって、隊列走行区間の道路に所定間隔で埋め込まれたマーカの情報を前記車両に対して送信する
請求項3または請求項4に記載の車両管理装置。
【請求項7】
前記隊列走行する前記複数台の車両の少なくとも何れか一つの車載器から取得した前記車両に関する識別子の数またはその順序に基づいて、前記申請情報に基づいて許可した隊列走行が実施されているかを判定する隊列走行判定手段と、
を備える請求項1から請求項5の何れか一項に記載の車両管理装置。
【請求項8】
車両管理装置が、
複数台の車両の隊列走行の申請情報を受け付け、
前記隊列走行が実施される道路の、前記申請情報に関わる交通状況情報を取得し、
取得された前記申請情報に関わる交通状況情報に基づいて前記隊列走行に関する基準を設定し、
前記申請情報と設定された前記基準に含まれる前記隊列走行の長さとに基づいて、隊列走行の実施可否を判定し、
前記実施可否の判定結果に基づいて、前記隊列走行の実施を許可する
車両管理方法。
【請求項9】
車両管理装置のコンピュータに、
複数台の車両の隊列走行の申請情報を受け付け、
前記隊列走行が実施される道路の、前記申請情報に関わる交通状況情報を取得し、
取得された前記申請情報に関わる交通状況情報に基づいて前記隊列走行に関する基準を設定し、
前記申請情報と設定された前記基準に含まれる前記隊列走行の長さとに基づいて、隊列走行の実施可否を判定し、
前記実施可否の判定結果に基づいて、前記隊列走行の実施を許可する
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理装置、車両管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、隊列を組んで車両を走行させる技術が検討されている。隊列を組んで車両を走行させることにより、車両の燃費向上、輸送量の増加等の効果が見込まれる。複数の車両が隊列走行する道路では、隊列を組まない車両が車線へ進入することが困難となる可能性がある。例えば、道路の本線を隊列走行する車列が長い場合、当該隊列走行の最後尾の車両が通過するまで、進入路から本線へ進入する他の車両はその進入を行うことができず、進入路と本線との合流地点で一時停止しなければならない。そうすると進入路から本線へ進入する車両の数が多い場合、本線と進入路の合流地点で渋滞が発生する。従って、隊列走行する車列の長さや道路区間などの適切な管理が必要となる。
【0003】
特許文献1には複数台の車両がグループで走行するグループ走行の実現を可能とするための技術が開示されている。また特許文献1には、グループ走行に参加する車両と、それら車両の発着点、希望時刻を含む予約申請を走行管理センタが受け付けて登録すること、走行計画を立案すること、及びグループ走行の実施状況を監視することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように車両が隊列走行する場合、隊列走行が実施される道路の状況等に基づいて車両の隊列走行の実施を管理する必要がある。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する車両管理装置、車両管理方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の第1の態様によれば、車両管理装置は、複数台の車両の隊列走行の申請情報を受け付ける申請情報受付手段と、前記申請情報に基づく隊列走行の実施可否を判定する実施可否判定手段と、前記実施可否の判定結果に基づいて、前記隊列走行の実施を許可する実施許可手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
発明の第2の態様によれば、車両管理方法は、複数台の車両の隊列走行の申請情報を受け付け、前記申請情報に基づく隊列走行の実施可否を判定し、前記実施可否の判定結果に基づいて、前記隊列走行の実施を許可することを特徴とする。
【0009】
発明の第3の態様によれば、プログラムは、車両管理装置のコンピュータに、複数台の車両の隊列走行の申請情報を受け付け、前記申請情報に基づく隊列走行の実施可否を判定し、前記実施可否の判定結果に基づいて、前記隊列走行の実施を許可する、処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両が隊列走行する道路の状況に基づいて、その実施可否を適切に判断して当該隊列走行を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による車両管理システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による車両管理装置のハードウェア構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態による車両管理装置の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態による監視部の機能ブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態による車両管理装置の処理フローを示す第一の図である。
【
図6】本発明の一実施形態による車両管理装置の処理フローを示す第二の図である。
【
図7】本発明の一実施形態による車両管理装置の最小構成を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による車両管理装置の最小構成に対応するフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による車両管理装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による車両管理装置を備えた車両管理システムの構成を示す図である。
図1で示すように車両管理システム100は、一例としては、車両管理装置1、路側機2、及び端末3を含んで構成される。
車両管理装置1は路側機2及び端末3と通信接続する。
路側機2は隊列走行する道路の路肩等に設置されている。路側機2は車両4が通過したことを検知する通過検知機能と、車両4に搭載された車載器40や車両管理装置1と通信する通信機能とを有する。路側機2は、車載器40との通信接続に基づいて車載器40から受信した情報を、車両管理装置1へ送信する。また路側機2は、車両管理装置1から受信した情報を車載器40へ送信することができる。
なお車載器40は、本実施形態においては、隊列走行を実施するための機能を有するものとする。例えば車載器40は、自車の一つ前の位置で隊列走行に参加する車両(前方車両)4を追尾走行するために前方車両との距離や位置を検出する機能、当該検出を行うためのレーダの送受信を制御する機能、当該検出結果に基づいて車両の速度や進行方向を制御する機能を備えてよい。また車載器40は、車両管理装置1から受信した情報に基づいて隊列走行を実施するための各処理を行うための機能を有してよい。なお車載器40が、隊列走行を実施するための処理は公知の技術を用いるものとする。
【0013】
端末3は、隊列を組んで走行する車両4を管理すると共に当該車両4の隊列走行を申請する申請者が、利用する。申請者は端末3を用いて複数の車両4が隊列を組んで走行する隊列走行の実施の申請を行う。端末3は申請者の操作に基づいて隊列走行の実施の申請情報を生成して車両管理装置1へ送信する。端末3は、一例としては、パーソナルコンピュータや携帯端末である。
【0014】
図2は車両管理装置のハードウェア構成図である。
この図が示すように車両管理装置1はCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、データベース104、通信モジュール105等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。
【0015】
図3は車両管理装置の機能ブロック図である。
車両管理装置1は電源が投入されると起動し、予め記憶する管理プログラムを実行する。これにより車両管理装置1は、制御部11、申請情報受付部12、交通状況取得部13、基準設定部14、実施可否判定部15、実施許可部16、監視部17、及び通行料金算出部18、の各機能を実行する。
【0016】
制御部11は車両管理装置1の各機能部を制御する。
申請情報受付部12は、複数台の車両4の隊列走行の申請情報を受け付ける。
交通状況取得部13は、隊列走行が実施される道路に関わる交通状況情報を取得する。
基準設定部14は、交通状況情報に基づいて隊列走行に関する基準を設定する。
実施可否判定部15は、申請情報に基づく隊列走行の実施可否を判定する。
実施許可部16は、実施可否の判定結果に基づいて隊列走行の実施を許可する。
監視部17は、車両4の隊列走行の実施状況が、申請情報に含まれる隊列態様と一致するか否かを監視する。
通行料金算出部18は、車両4の隊列走行の実施状況が申請情報に含まれる隊列態様と一致する場合に、割引の通行料金を算出する。
【0017】
上述のような車両管理システム100において、車両管理装置1は、複数台の車両の隊列走行の申請情報を受け付ける。また車両管理装置1は申請情報に基づく隊列走行の実施可否を判定する。車両管理装置1は、隊列走行の実施可否の判定結果に基づいて、隊列走行の実施を許可する。
【0018】
隊列走行の実施可否を判定において、車両管理装置1は、隊列走行が実施される道路の、申請情報に関わる交通状況情報を取得し、取得された交通状況情報に基づいて隊列走行に関する基準を設定する。そして、車両管理装置1は、その設定された基準に基づいて隊列走行の実施可否を判定する。
【0019】
これにより、車両管理装置1は、車両の隊列走行の実施を管理することができる。
【0020】
図4は監視部の機能ブロック図である。
図4で示すように監視部17は、さらに隊列車両検出部171、隊列走行判定部172、注意喚起部173、及び実績記録部174の機能を実行する。
隊列車両検出部171は、隊列走行を実施している車両4を検出する。
隊列走行判定部172は、申請情報で示される隊列走行の実施可否を判定する。
注意喚起部173は、車両4の隊列走行の実施状況が、申請情報に基づく隊列走行に基づいた実施でないと判定された場合に、それら隊列走行を成す車両4や、それら車両4を管理する申請者の利用する端末3に注意喚起を示す情報を送信する。
実績記録部174は、隊列走行判定部172の判定結果を記録する。
【0021】
図5は車両管理装置の処理フローを示す第一の図である。
次に、車両管理装置1による処理を説明する。
まず申請者は自身が管理する複数の車両4に隊列走行を行わせる場合、端末3を用いて隊列走行の申請を行う。なお隊列走行には他の申請者が管理する車両4が含まれてもよい。この申請を行うにあたり、申請者は、端末3を車両管理装置1にアクセスさせる。車両管理装置1の申請情報受付部12は、端末3によるアクセスを検知し、申請登録ウェブページに関する情報を端末3へ送信する(ステップS101)。つまり申請情報受付部12はウェブサーバの機能を有し、当該機能により申請登録ウェブページに関する情報を端末3へ送信する。
申請登録ウェブページには、申請者番号、隊列走行を成す車両を識別するための車載器ID、ナンバープレートに記載のナンバー、隊列走行区間、隊列走行を実施する時間、隊列走行台数、隊列走行を構成した場合の各車両4の隊列における順序、などの入力欄が設けられる。
【0022】
端末3は、申請登録ウェブページに関する情報を受信する。端末3は申請登録ウェブページをモニタに出力する。申請者は、マウスやキーボード等の入力装置を用いて、申請者番号、隊列走行を成す車両を識別するための車載器ID、ナンバープレートに記載のナンバー、隊列走行区間、隊列走行を実施する時間、隊列走行台数、各車両4の隊列における順序などの入力欄に各情報を入力する。また申請者は、申請登録ウェブページに設けられた登録ボタンを押下操作する。
すると端末3は入力欄に入力された各種情報を含む隊列走行の申請情報を生成する。端末3は申請情報を車両管理装置1へ送信する。申請情報に含まれる隊列走行区間の情報には、道路を特定するための道路IDや、その道路における隊列走行区間を示す隊列走行開始座標、隊列走行終了座標などが含まれてよい。
【0023】
車両管理装置1は申請情報を受信する(ステップS102)。車両管理装置1の申請情報受付部12は申請情報を、データベース104の記憶する申請テーブルに書き込む(ステップS103)。また申請情報受付部12は、実施可否判定部15に申請情報に含まれる各情報に基づく隊列走行の実施可否判定の開始を指示する。
すると実施可否判定部15は、申請情報に含まれる隊列走行区間に基づいて、隊列走行区間に含まれる道路IDと、その道路における隊列走行の隊列走行開始座標と、隊列走行終了座標とを検出する。実施可否判定部15は、検出したそれら情報と、隊列走行を実施する時間とを交通状況取得部13へ出力する。また実施可否判定部15は、申請情報に含まれる隊列走行区間と、隊列走行を実施する時間とを少なくとも含む情報を基準設定部14に対して出力し、実施可否の判定基準を示す基準情報の生成を基準設定部14に対して指示する。
【0024】
交通状況取得部13は、隊列走行区間に含まれる道路IDと、その道路における隊列走行の隊列走行開始座標と、隊列走行終了座標と、隊列走行を実施する時間とを取得する。交通状況取得部13は、道路ID、その道路における隊列走行の隊列走行開始座標、隊列走行終了座標、及び隊列走行を実施する時間を含む交通状況配信要求を生成する。交通状況取得部13は、車両管理装置1と通信接続された交通状況配信サーバへ、交通状況配信要求を送信する。なお、交通状況配信サーバは、
図1に図示していないが、車両管理システム100外に存在し、車両管理装置1に通信接続されているものとする。
交通状況配信サーバは、交通状況配信要求に含まれる道路ID、その道路における隊列走行の隊列走行開始座標、隊列走行終了座標、及び隊列走行を実施する時間を取得する。交通状況配信サーバは、それら道路ID、その道路における隊列走行の隊列走行開始座標、隊列走行終了座標、及び隊列走行を実施する時間に紐づいてデータベース等に記録されている交通状況情報を取得する。
交通状況情報は、例えば予想した混雑度(単位時間当たりの走行台数など)、予想した渋滞有無などを含んでよい。交通状況情報には路面の状態や、道路の形状(分岐有り・無し、進入路有り・無し)などの情報が含まれていてもよい。交通状況情報には、道路ID、その道路における隊列走行の隊列走行開始座標、隊列走行終了座標、及び隊列走行を実施する時間によって特定される地域や時間に応じた天気情報(晴れ、曇り、雨、雪、台風などを示す情報)が含まれてもよい。
これら、混雑度、渋滞有無、道路の形状、及び天気情報は、交通状況配信サーバが予め、他の装置から取得した情報、または予め各種センサから得た情報に基づいて算出し、自装置に登録された情報であってよい。交通状況情報には、道路ID、隊列走行開始座標、隊列走行終了座標などで特定される道路について予め設定されている隊列走行可能な車両の数(隊列可能数)が含まれてもよい。
【0025】
交通状況配信サーバは、取得した交通状況情報を車両管理装置1へ送信する。車両管理装置1は交通状況情報を受信する。車両管理装置1の交通状況取得部13は、交通状況情報を取得する(ステップS104)。
なお交通状況配信サーバの機能を、車両管理装置1が備えてもよい。つまり車両管理装置1が交通状況情報を予め取得して記憶しておいてもよいし、交通状況情報を算出してもよい。交通状況取得部13は交通状況情報と、隊列走行区間と、隊列走行を実施する時間と、を基準設定部14へ出力する。
基準設定部14は交通状況情報に含まれる、混雑度、渋滞有無、道路の形状、天気情報、隊列可能数などの情報を取得する。基準設定部14は、混雑度、渋滞有無、道路の形状、天気情報、及び隊列可能数の少なくとも一つの情報を用いて、隊列走行の基準情報を生成する(ステップS105)。基準設定部14は、混雑度、渋滞有無、道路の形状、天気情報、及び隊列可能数の少なくとも一つの情報と、隊列走行区間と隊列走行を実施する時間との少なくとも一つの情報と、を用いて隊列走行の基準情報を生成してもよい。
隊列走行の基準情報は、隊列走行を許可できるか否かを示す値、隊列走行を許可することのできる隊列走行を成す車両台数(隊列可能数)、隊列走行を許可することのできる隊列走行の長さ、などを示す。
より具体的には、一例として基準設定部14は、機械学習等により生成された基準情報生成モデルに、混雑度、渋滞有無、道路の形状、天気情報、隊列走行区間、及び隊列走行を実施する時間のうち基準情報を生成するために利用する情報を入力し、基準情報を出力する。または基準設定部14は、混雑度、渋滞有無、道路の形状、天気情報、隊列走行区間、及び隊列走行を実施する時間のうち基準情報を生成するために利用する情報と、基準情報との対応関係を示すデータテーブルに基づいて、基準情報を生成するために利用する情報に応じた、基準情報を特定してもよい。実施可否判定部15は、基準設定部14から基準情報を取得する。
【0026】
なお、上述の交通状況取得部13と、基準設定部14の処理は、予め行われていてもよい。例えば交通状況取得部13は、全国の各道路の所定区間ごと、将来の時間帯ごとに予測された交通状況情報を順次取得する。そして基準設定部14は、交通状況取得部13が取得した、全国の各道路の所定区間ごと、将来の時間帯ごとに予測された各交通状況情報について、基準情報を特定する。この基準情報は予め、全国の各道路の所定区間ごと、将来の時間帯ごとに基準情報データベースに記録される。
そして実施可否判定部15は、申請情報に含まれる隊列走行区間と、隊列走行を実施する時間とに紐づいて基準情報データベースに記録されている基準情報を読み取り、隊列走行の実施可否の判定の処理を開始してもよい。基準設定部14は基準情報を実施可否判定部15へ出力する。
【0027】
実施可否判定部15は、基準設定部14から基準情報を取得する。実施可否判定部15は、基準情報と、ステップS102で受信した隊列走行の申請情報に含まれる比較対象項目とを比較して、隊列走行が実施可能であるか否かを判定する(ステップS106)。
例えば、基準情報には、隊列走行を許可できるか否かを示す値と、隊列走行を許可することのできる隊列走行を成す車両台数とが含まれているとする。また申請情報に含まれる比較対象項目が隊列走行台数であるとする。この場合、実施可否判定部15は、基準情報に含まれる隊列走行を許可できるか否かを示す値が許可できることを示し、且つ、申請情報に含まれる比較対象項目の隊列走行台数が、基準情報に含まれる隊列走行を許可することのできる隊列走行の成す車両台数以上であれば、その申請についての隊列走行が実施可であると判定する。実施可否判定部15は、申請情報で特定される隊列走行を実施可と判定した場合、実施許可部16に処理を指示する。
【0028】
実施許可部16は、申請情報で特定される隊列走行を実施可と判定した場合、申請テーブルに記録される当該申請情報を、実施予定テーブルに記録し、その申請情報を申請テーブルから削除する(ステップS107)。これにより実施許可部16は、隊列走行の実施を許可することができる。実施許可部16は、申請情報で特定される隊列走行を実施可と判定したか、又は、実施不可と判定したかを示す判定結果を端末3へ送信するよう申請情報受付部12に指示する。申請情報受付部12は判定結果を示す判定結果ページに関する情報を端末3へ送信する(ステップS108)。
【0029】
端末3は判定結果ページをモニタに表示する。申請情報の送信を指示した申請者は、判定結果ページに記載された判定結果が実施不可である場合には、申請内容を修正し、再申請ボタンを押下操作することができる。すると端末3は、申請登録ウェブページの再送要求を車両管理装置1へ送信する。車両管理装置1の申請情報受付部12は、申請登録ウェブページを端末3へ再送する。以降、申請者は上記と同様に、内容を変更した申請情報を、端末3を用いて車両管理装置1へ送信することができる。
【0030】
以上の処理により、車両管理装置1は端末3から受信した申請情報に基づいて、申請者が要求する隊列走行の実施可否を判定することができる。車両管理装置1は、この実施可否の判定を、隊列走行が行われる隊列走行区間や時間に応じた交通状況に基づいて行うため、車両の隊列走行の実施可否を適切に判断して隊列走行を管理することができる。つまり、車両管理装置1は、交通状況に応じた隊列走行の実施の制限を行い、事故の発生や、渋滞の悪化を回避することに貢献することができる。
【0031】
図6は車両管理装置の処理フローを示す第二の図である。
次に、車両管理装置1による隊列走行の監視処理について説明する。
一例として本実施形態は、高速道路のサービスエリア等に設けられた所定の専用エリアにおいて複数の車両4が隊列を組む場合の例を用いて説明する。例えば複数の車両4それぞれは、異なる入口から高速道路に進入し、所定のサービスエリアの専用エリアに到着する。
【0032】
各車両4のドライバは専用エリアにおいて、自身の担当車両4を運転し、当該車両4が申請情報で特定される隊列走行を実施するための当該隊列の位置(隊列における所定の順序に基づく位置)に車両4を移動させる。ドライバは車両4に備わる車載器40を操作して隊列走行を実施するための処理の開始を指示する。この時、車載器40は、車両管理装置1からの制御の下、隊列走行の開始制御を始動する。この場合、車載器40は、隊列を特定するための、申請者番号、車載器ID、車両4のナンバープレートに記載のナンバー、隊列走行区間、隊列走行を実施する時間、隊列走行台数、隊列における順序などの情報を含む、隊列走行制御のアクティベーション要求を車両管理装置1へ送信する。
【0033】
車両管理装置1はアクティベーション要求を受信する(ステップS201)。車両管理装置1の実施許可部16は、アクティベーション要求を取得すると、当該アクティベーション要求に含まれる各情報に基づいて、データベース104に記憶される実施予定テーブルから隊列走行の申請情報を特定する。
実施許可部16は、隊列走行の申請情報に基づいて隊列走行区間を検知する(ステップS202)。実施許可部16は検知した隊列走行区間の車線地図情報や、ラインマーカ情報を、データベース104から取得する。車線地図情報は、例えば、標識など道路の設置物の位置、道路中心線の位置、位置に応じた、車線数やカーブの曲率といった道路の設計に基づく情報を含む。ラインマーカ情報は、例えば、隊列走行区間の道路に所定間隔で埋め込まれた多数のマーカの各IDや位置情報を保持する情報である。
そして実施許可部16は、車線地図情報、ラインマーカ情報を含む隊列走行開始指示を、アクティベーション要求の送信元の車載器40へ送信する(ステップS203)。車載器40は隊列走行を実施する際に、車線地図情報やラインマーカ情報を用いて、隊列走行区間を検出するようにしてよい。この処理は、実施許可部16が、実施可否の判定の結果、隊列走行の実施可と判定された場合に、車両に備わる隊列走行制御機能を活性化する情報を車両4に対して送信する処理の一態様である。車載器40は隊列走行開始指示を受信し、その指示に基づいて隊列走行の制御を開始する。
【0034】
そして、隊列走行の先頭に位置する車両4にはドライバが乗り込み、手動または自動で運転を行い、後続の車両4は当該隊列における直前に位置する車両4との間隔を維持して走行する。また車載器40は隊列走行中に路側機2を通過する際、路側機2から発信される信号を受信する。車載器40は路側機2から発信される信号の受信に基づいて、路側機2または車両管理装置1と通信接続を行う。
【0035】
なお、車載器40は、事前に、または隊列を組み終えた後のドライバの操作により、車両管理装置1から申請情報を受信していてもよい。車両管理装置1の実施許可部16は、申請情報を車載器40に送信する前に、車載器40から申請情報送信要求を受信する。この申請情報送信要求には、隊列を特定するための、申請者番号、車載器ID、車両4のナンバー、隊列走行区間、隊列走行を実施する時間、隊列走行台数、隊列における順序などの情報が含まれる。
実施許可部16は、これらの情報を含む申請情報が、データベース104に記憶する実施予定テーブルに含まれるか否かを判定する。実施許可部16は、申請情報送信要求に含まれる情報の組を保持する申請情報が実施予定テーブルに含まれる場合、その申請情報を車載器40へ送信する。これにより車載器40は申請情報を記憶することができる。
【0036】
隊列走行の先頭を走行する車両4以外の後続の車両4には、ドライバは乗車してもよいし、乗車しなくてもよい。しかしながら、先頭の車両4以外の後続の車両4にドライバが乗車しない場合には、隊列走行を行う走行区間の終点を示す隊列を解除する専用エリアには、隊列走行において乗車しないドライバの代わりとなる他のドライバが待ち受けているものとする。隊列走行を構成する各車両4は、異なる出口から高速道路を退出して異なる目的地まで走行してよい。
【0037】
ここで隊列を組み終わり、隊列走行が開始したとする。そして高速道路の路側に設置されている路側機2の信号を車載器40が受信すると、当該車載器40は、路側機2と通信接続を行う。車載器40は車載器IDを含む隊列走行実施情報を路側機2へ送信する。隊列走行する各車両4が路側機2の前を通過すると、路側機2は各車両4の車載器40から順次、隊列走行実施情報を取得することができる。
隊列走行実施情報には、隊列において前方を走行する車両4に搭載された他の車載器40から、車車間通信により車載器40が受信した、当該前方を走行する車両4の車載器40の車載器IDが含まれてもよい。隊列走行実施情報には車載器40が当該情報を送信した際の時刻情報や、路側機2が車載器IDを受信した時刻情報が含まれてよい。路側機2は隊列走行実施情報を車両管理装置1へ送信する。隊列走行実施情報は車載器40の搭載する車両4が隊列走行していることを車両管理装置1へ伝えるための情報である。
【0038】
車両管理装置1は隊列走行実施情報を路側機2から受信する(ステップS204)。車両管理装置1の監視部17は、隊列走行する各車両の車載器40の送信した隊列走行実施情報を、順次、取得する。隊列車両検出部171は各隊列走行実施情報に含まれる車両IDや時刻情報を隊列走行判定部172へ出力する。
隊列走行判定部172は車両IDに基づいて、データベース104の実施予定テーブルに含まれる実施予定テーブルから、当該車両IDを含む申請情報を取得する。隊列走行判定部172は取得した申請情報に含まれる各車載器IDと、取得した複数の隊列走行実施情報それぞれに含まれる車載器IDとが一致するか否かを判定する。また隊列走行判定部172は、申請情報から特定した複数の車載器IDそれぞれを含む各隊列走行実施情報を、隊列走行が路側機2の前を通過するために要すると予測される所定の時間内に路側機2で受信できたか否かを判定する。
隊列走行判定部172は、それらの判定に基づいて、申請情報によって許可した隊列走行が実施されているか否かを判定する(ステップS205)。
【0039】
隊列走行判定部172は、隊列走行実施情報と申請情報との比較において、各情報に含まれる各車載器ID及び数が一致し、且つ、各隊列走行実施情報を所定の時間内に路側機2で受信できた場合、申請情報によって許可した隊列走行が実施されていると判定する。
隊列走行判定部172は、取得した隊列走行実施情報に含まれる各車載器IDと、取得した複数の隊列走行実施情報それぞれに含まれる車載器IDとの全てが一致しなくても、隊列走行が実施されていると判定してもよい。
また隊列走行判定部172は、隊列走行実施情報に含まれる、前を走行する車両4の車載器40の車載器IDに基づいて、隊列走行の順序を判定する。そして、隊列走行判定部172は、隊列走行が申請情報に示される順序通りに組まれているか否かを判定し、順序通りに組まれている場合に、申請情報によって許可した隊列走行が実施されていると判定してもよい。
【0040】
隊列走行判定部172は、申請情報に含まれる隊列走行区間内の全ての路側機2から取得した隊列走行実施情報に基づいて、同様に申請情報によって許可した隊列走行が実施されているか否かを判定する。
隊列走行判定部172は、隊列走行区間内の全ての路側機2から取得した隊列走行実施情報に基づいて、申請情報によって許可した隊列走行が実施されていると判定した場合には、次の処理を行う。すなわち、隊列走行判定部172は、申請情報と、その申請通りに隊列走行が実施されたことを示す情報とを実績記録部174へ出力する。
隊列走行判定部172は、隊列走行区間内の全ての路側機2から取得した隊列走行実施情報のうち、ある路側機2から取得した隊列走行実施情報に基づいて、申請情報によって許可した隊列走行が実施されていないと判定した場合には、次の処理を行う。すなわち、隊列走行判定部172は、申請情報と、その申請通りに隊列走行が実施されていないことを示す情報とを実績記録部174へ出力する。
実績記録部174は、申請情報と、申請通りに隊列走行が実施されたか、実施されていないかを示す情報とを紐づけて、データベース104の実績記録テーブルに書き込む(ステップS206)。これにより、申請情報に含まれる隊列走行が実施されたか否かを記録することができる。
【0041】
隊列走行判定部172は、申請通りに隊列走行が実施されていないと判定した隊列走行を特定する申請情報を注意喚起部173へ出力する。注意喚起部173は、申請通りの隊列走行が実施されていないと判定された場合、その隊列走行の申請情報を送信した端末3へ、隊列走行の実施がされていないことによる注意喚起を促す情報を送信する(ステップS207)。端末3は注意喚起を促す情報をモニタ等に出力する。これにより、申請者は隊列走行が申請通りに実施されていないことを検知することができる。
また注意喚起部173は、申請通りに実施されていない隊列走行を特定する申請情報に基づいて、その隊列走行の先頭の車両4の車載器IDを検出する。注意喚起部173は当該検出した車載器IDで示される車載器40に注意喚起情報を送信してもよい。これにより、隊列走行を構成する車両4のドライバに、申請通りの隊列走行が実施されていないことを通知することができる。
なお車両管理装置1と車載器40とはインターネットや携帯電話回線などの公衆通信ネットワークを介して接続することができ、車両管理装置1は車載器40に直接、情報を送信することができてよい。
【0042】
隊列走行判定部172は、隊列走行の順序を検出するために順序判定情報を路側機2から受信して、隊列走行の順序が申請通りか否かを判定してもよい。
例えば、路側機2は所定の順序検知信号を、隊列走行を構成する車両の車載器40のうち、最初に通信接続できた車載器40に送信する。車載器40は順序検知信号に自装置を特定するための車載器IDを格納して、直後を走行する車両4の車載器40へ車車間通信により送信する。後続の車両4の車載器40も同様に自装置を特定するための車載器IDを、順序検知信号における既に書き込まれている車載器IDの次の記憶領域に格納する。その後の車両4の車載器40も同様に処理を行う。
そして隊列走行を構成する車両4のうち最後尾の車両4の車載器40は、同様に自装置の車載器IDを順序検知信号に同様に格納した後、路側機2へ送信する。路側機2は受信した順序検知信号から車載器IDを格納された順番で取得し、その順番を変えることなく各車載器IDを保持した順序判定情報を生成する。路側機2は車両管理装置1へ順序判定情報を送信する。
車両管理装置1は順序判定情報を受信する。そして、車両管理装置1の隊列走行判定部172は、車載器IDとその格納の順序が、申請情報に含まれる車載器IDとその順序である場合に、申請通りの隊列走行が実施されていることを判定する。
【0043】
通行料金算出部18は、実績記録テーブルに書き込まれた申請通りに隊列走行が実施されたことを示す情報に紐づく申請情報を取得する。通行料金算出部18は、隊列走行の申請通りに実施がされたことに基づく通行料金を算出する(ステップS208)。当該通行料金は、通常の料金と比較して割り引かれた値であってよい。通行料金算出部18は、算出した通行料金に応じた請求情報を生成し、端末3に送信してよい。申請者は、算出された通行料金に基づく支払を行う。
【0044】
上述の処理によれば、車両管理装置1は、申請通りの隊列走行が実施されているか否かを確認することができる。また車両管理装置1は、隊列走行の実施に基づく割引の通行料金を算出することができる。
【0045】
図7は車両管理装置の最小構成を示す図である。
図8は車両管理装置の最小構成に対応するフローチャートを示す図である。
車両管理装置1は、少なくとも申請情報受付部(申請情報受付手段)12、実施可否判定部(実施可否判定手段)15、及び実施許可部(実施許可手段)16の機能を実行する。
そして車両管理装置1は、複数台の車両の隊列走行の申請情報を受け付ける(ステップS301)。また車両管理装置1は、申請情報に基づく隊列走行の実施可否を判定する(ステップS302)。そして車両管理装置1は、実施可否の判定結果に基づいて、隊列走行の実施を許可する(ステップS303)。
【0046】
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0047】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0048】
この出願は、2019年2月4日に日本出願された特願2019-018090号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、車両が隊列走行する道路の状況に基づいて、その実施可否を適切に判断して当該隊列走行を管理することができる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・車両管理装置
2・・・路側機
3・・・端末
4・・・車両
11・・・制御部
12・・・申請情報受付部
13・・・交通状況取得部
14・・・基準設定部
15・・・実施可否判定部
16・・・実施許可部
17・・・監視部
18・・・通行料金算出部
40・・・車載器