(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】仮想化リソース配備装置、仮想化リソース配備方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/084 20230101AFI20240702BHJP
H04W 16/04 20090101ALI20240702BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20240702BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20240702BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20240702BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20240702BHJP
H04L 41/0895 20220101ALI20240702BHJP
【FI】
H04W28/084
H04W16/04
H04W24/08
H04W88/08
H04W88/18
H04W24/02
H04L41/0895
(21)【出願番号】P 2022530487
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2021020851
(87)【国際公開番号】W WO2021251212
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2020102204
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】吉川 直哉
【審査官】伊藤 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0310437(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0042365(US,A1)
【文献】特開2004-120622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04L 41/0895
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得する取得手段と、
前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定する決定手段と、
前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備する配備手段と、
を備える、仮想化リソース配備装置。
【請求項2】
前記仮想基地局を実行する実行基盤のレイテンシを計測する計測手段をさらに備え、
前記決定手段は、前記計測したレイテンシに基づいて前記仮想化リソース配備方式を決定する、
請求項1に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項3】
前記レイテンシは、エッジデータセンターとセントラルデータセンターとの間の遅延時間である、
請求項2に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記セクター密度及び前記レイテンシと、前記仮想化リソース配備方式とを関連付けたロジックテーブルに基づいて、前記仮想化リソース配備方式を決定する、
請求項2または3に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項5】
前記ロジックテーブルは、前記セクター密度及び前記レイテンシと、前記仮想化リソース配備方式及び仮想化リソース配備ロケーションとを関連付けている、
請求項4に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項6】
前記仮想化リソース配備方式は、Baremetal方式、Hyper Converged Cluster方式、またはDistributed Cluster方式を含む、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記セクター密度が第1の閾値よりも低い場合、Baremetal方式またはDistributed Cluster方式を選択する、
請求項6に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも低く、かつ、前記仮想基地局を実行する実行基盤のレイテンシが第2の閾値よりも悪い場合、Baremetal方式を選択し、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも低く、かつ、前記レイテンシが前記第2の閾値よりも良い場合、Distributed Cluster方式を選択する、
請求項7に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも高い場合、Hyper Converged Cluster方式またはDistributed Cluster方式を選択する、
請求項7または8に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項10】
前記決定手段は、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも高く、かつ、前記レイテンシが前記第2の閾値よりも悪い場合、Hyper Converged Cluster方式を選択し、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも高く、かつ、前記レイテンシが前記第2の閾値よりも良い場合、Distributed Cluster方式を選択する、
請求項8に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項11】
前記取得手段は、RIU(Radio Interface Unit)を管理するEMS(Element Management System)から、前記セクター密度を取得する、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項12】
前記取得手段は、前記RIUにアンテナが増設された場合、前記EMSから前記セクター密度を取得する、
請求項11に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項13】
前記配備手段は、前記仮想基地局を構成するvDU(virtualized Distributed Unit)の仮想化リソースを配備する、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の仮想化リソース配備装置。
【請求項14】
仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得し、
前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定し、
前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備する、
仮想化リソース配備方法。
【請求項15】
前記仮想基地局を実行する実行基盤のレイテンシをさらに計測し、
前記決定では、前記計測したレイテンシに基づいて前記仮想化リソース配備方式を決定する、
請求項14に記載の仮想化リソース配備方法。
【請求項16】
仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得し、
前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定し、
前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラ
ム。
【請求項17】
前記仮想基地局を実行する実行基盤のレイテンシをさらに計測し、
前記決定では、前記計測したレイテンシに基づいて前記仮想化リソース配備方式を決定する、
請求項16に記載の
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想化リソース配備装置、仮想化リソース配備方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の無線通信システムに向けて、CU(Central Unit:集約ユニット)が複数のDU(Distributed Unit:分散ユニット)を制御するC-RAN(Centralized-Radio Access Network)構成の基地局システムが開発されている。特に、5Gでは多様なサービスの要求を満たすネットワークの構築が必要となるため、汎用サーバ等の物理マシン上のソフトウェアにより柔軟に効率よく基地局の機能を実現する基地局仮想化の検討が進められている。
【0003】
関連する技術として、例えば、特許文献1や2が知られている。特許文献1には、仮想機器システムのサーバ選択システムにおいて、性能要件及び機能要件に基づいて、物理マシンのハイパーバイザー上で動作する仮想マシン、仮想化オーバーヘッドがより小さいコンテナ型仮想サーバ、または、仮想化を行わないベアメタルサーバを選択することが記載されている。特許文献2には、C-RANの通信システムにおいて、無線部と仮想マシンとの間のデータ転送遅延時間及び仮想マシンの信号処理性能に基づいて、仮想マシンを再生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6291134号公報
【文献】特開2018-125573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、関連する技術によれば、性能要件等に基づいてサーバを選択することや、遅延時間等に基づいて仮想マシンを生成することが可能となる。しかしながら、関連する技術では、基地局仮想化において、適切に仮想化リソースを配備することは困難であるという問題がある。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、適切に仮想化リソースを配備することが可能な仮想化リソース配備装置、仮想化リソース配備方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る仮想化リソース配備装置は、仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得する取得部と、前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定する決定部と、前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備する配備部と、を備えるものである。
【0008】
本開示に係る仮想化リソース配備方法は、仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得し、前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定し、前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備するものである。
【0009】
本開示に係るプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体は、仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得し、前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定し、前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、適切に仮想化リソースを配備することが可能な仮想化リソース配備装置、仮想化リソース配備方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る仮想化リソース配備装置の概要を示す構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るRANシステムの構成例を示す構成図である。
【
図3】実施の形態1に係る基地局仮想化リソース配備装置の構成例を示す構成図である。
【
図4】実施の形態1に係るロジックテーブルの具体例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係るHyper Converged Cluster方式の概要を説明するための図である。
【
図6】実施の形態1に係るDistributed Cluster方式の概要を説明するための図である。
【
図7】実施の形態1に係るRANシステムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態の概要)
図1は、実施の形態に係る仮想化リソース配備装置の概要を示している。
図1に示すように、実施の形態に係る仮想化リソース配備装置10は、取得部11、決定部12、配備部13を備えている。
【0013】
取得部11は、仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得する。決定部12は、取得部11が取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定する。配備部13は、決定部12が決定した仮想化リソース配備方式により仮想基地局の仮想化リソースを配備する。
【0014】
実施の形態適用前の関連する仮想化リソーススケジューリング技術では、仮想化リソース配備方式(Baremetal方式やHyper Converged Cluster方式、Distributed Cluster方式等)を判定する際にセクター密度が考慮されていなかったため、セクター密度(及びレイテンシ)に応じて仮想化リソース配備方式を判定及びプロビジョニング(配備)することができなかった。すなわち、関連する技術では、実際に構築するRANの密度やその必要処理能力に関わらず、クラウドコントローラを含むある程度大きな構成を配備することを想定していたため、リソースや収容スペースを最大限に有効活用できないという課題があった。
【0015】
そこで、実施の形態では、セクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定することで、適切に仮想化リソースを配備することができ、基地局仮想化のユースケースでリソースを有効活用することが可能となる。
【0016】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。本実施の形態は、関連する技術において基地局機能を仮想化した場合に発生する、リソース配備の課題を解決するものである。特に、BBU(Base Band Unit)は、仮想化技術によりvDU(virtualized Distributed Unit)とvCU(virtualized Central Unit)に機能が分解され、vDUに関しては非常にセンシティブなレイテンシ要件が求められる。関連する仮想化リソースオーケストレーション技術では、vDUの要件を満たすことは困難であり、本実施の形態では、このような課題を解決し得る解決策を提供する。
【0017】
図2は、本実施の形態に係るRANシステムの構成例を示している。
図2に示すように、本実施の形態に係るRANシステム1は、基地局仮想化リソース配備装置100、EMS(Element Management System)200、vRAN(Virtual Radio Access Network)300を備える。vRAN300は、複数のRIU(Radio Interface Unit)310、仮想基地局(vBBU:virtualized Baseband Unit)320を備える。さらに仮想基地局320は、vDU321及びvCU322を備える。
【0018】
基地局仮想化リソース配備装置100は、仮想基地局320に必要な仮想化リソースを配備(プロビジョニング)する。基地局仮想化リソース配備装置100は、EMS200からセクター密度を取得するとともに、レイテンシ(伝送遅延)を計測して、セクター密度及びレイテンシに基づいて仮想化リソース配備方式を決定し、仮想化リソースを配備する。なお、セクターとは、基地局のセルの範囲をアンテナごとに分割した単位であり、セクター密度とは、(仮想)基地局当たりのセクター数(アンテナ数)である。本実施の形態では、EMS200が管理するRIU310のアンテナの数をセクター密度として、仮想基地局の仮想化リソース配備方式の決定の際に使用する。
【0019】
EMS200は、RIU310等のネットワーク機器を管理する管理装置である。EMS200は、RIU310からアンテナ増設通知を受けた場合、増設された新規アンテナの情報(セクター密度)を基地局仮想化リソース配備装置100に通知する。
【0020】
RIU310は、仮想基地局の無線装置(アンテナ部)であり、アンテナを設置するためのインタフェースである。RIU310(またはRIM(Radio Interface Manager))は、例えば電源ONやアンテナの増設時など、使用可能なアンテナ(セクター)が変化した場合に、EMS200に対しそのイベントを通知する。
【0021】
vDU321は、仮想基地局の無線信号処理部であり、収容する複数のRIU310(アンテナ部)の無線信号(ビーム)を制御する。vCU322は、仮想基地局のデータ処理部であり、収容する複数のvDU321を介したデータ送受信を制御する。vDU321及びvCU322は、実行基盤400上に仮想化された仮想化リソース(仮想マシン等)により実行(実現)される。
【0022】
実行基盤400は、Far Edge410、Edge DC(Data Center)420、Central DC430を含む。Far Edge410、Edge DC420、Central DC430は、それぞれ任意の数のコンピュータ(物理サーバ等)を備えたコンピュータシステムである。
【0023】
Far Edge410は、ネットワーク(RANやコアネットワークを含むモバイルネットワーク)のエッジよりもさらにユーザ側(アンテナサイト)に配置されたコンピュータシステムであり、RIU310と通信可能に接続されている。Edge DC420は、ネットワークのエッジ(ローカルサイト)に配置されたデータセンターであり、Far Edge410とCentral DC430の間でそれぞれ通信可能に接続されている。Central DC430は、ネットワークの中央側(中央サイト)に配置されたデータセンターであり、コアネットワークと通信可能に接続されている。
【0024】
図3は、本実施の形態に係る基地局仮想化リソース配備装置の構成例を示している。
図3に示すように、本実施の形態に係る基地局仮想化リソース配備装置100は、取得部101、計測部102、決定部103、ロジックテーブル104、配備部105を備える。
【0025】
取得部101は、RIU310を管理するEMS200から、RIU310のアンテナ情報であるセクター密度を取得する。例えば、RIU310にアンテナが増設された場合に、新規アンテナを含むセクター密度をEMS200から取得する。増設された新規アンテナの情報(アンテナ数)のみを取得してもよいし、新規アンテナを含む使用可能なアンテナの情報を取得してもよい。
【0026】
計測部102は、仮想基地局320を実行する実行基盤400のレイテンシを計測する。具体的には、計測部102は、Edge DC420とCentral DC430間のレイテンシを計測する。例えば、基地局仮想化リソース配備装置100が備えるエージェント機能を用いてレイテンシを計測する。なお、計測部102は、他の装置が計測したレイテンシを取得してもよい。
【0027】
決定部103は、ロジックテーブル104を参照し、セクター密度及びレイテンシに基づき、仮想化リソース配備方式(及びリソース配備ロケーション)を決定する。なお、ロジックテーブル104と同様のロジックにより仮想化リソース配備方式を決定できれば、ロジックテーブル104に限らずその他の方法を用いてもよい。
【0028】
図4は、ロジックテーブル104の具体例を示している。
図4に示すように、ロジックテーブル(ロジック記憶部)104は、セクター密度及びレイテンシと、リソース配備方式(Resource Allocation Model)とを関連付けている。この例では、ロジックテーブル104は、セクター密度及びレイテンシと、リソース配備ロケーション(Resource Allocation Location)及びリソース配備方式とを関連付けている。例えば、セクター密度は、Low/Highを含み、レイテンシは、Bad/Goodを含み、リソース配備ロケーションは、Far Edge/Edge(Edge DC)を含む。セクター密度及びレイテンシは、さらに複数のレベルに分かれてもよいし、リソース配備ロケーションは、さらに複数のローケーション(Central DCなど)を含んでもよい。
【0029】
リソース配備方式は、例えば、Baremetal方式/Hyper Converged Cluster方式/Distributed Cluster方式を含む。リソース配備方式は、これらの方式のうちの任意の方式を含んでもよいし、さらに他の方式を含んでもよい。例えば、Baremetal方式と仮想化クラスタ方式としてもよい。Baremetal方式は、リソース配備ロケーションの物理マシン(物理サーバ等)に対し、vDU321に必要な機能をプロビジョニングする方式である。
【0030】
図5は、Hyper Converged Cluster方式のプロビジョニングイメージを示している。
図5に示すように、Hyper Converged Cluster方式では、リソース配備ロケーションの個々の仮想マシン(ノード)に対し、クラウドコントローラ(Computeコントローラ及びストレージコントローラ)とComputeリソースをまとめてプロビジョニングする。Hyper Converged Cluster方式は、理想的ではないレイテンシ領域のMEC(Mobile Edge Computing)に適している。Hyper Converged Cluster方式では、エッジサービスに接続された非常に小さいスタンドアロンにデプロイするため、フットプリントが中程度となり、レイテンシの悪い環境でも動作可能である。
【0031】
図6は、Distributed Cluster方式のプロビジョニングイメージを示している。
図6に示すように、Distributed Cluster方式では、リソース配備ロケーションの複数の仮想マシン(ノード)に対し、クラウドコントローラ(Computeコントローラ)とComputeリソースを分散してプロビジョニングする方式である。Distributed Cluster方式は、理想的なレイテンシ領域のMECに適している。Distributed Cluster方式では、リモートサイトにリソースノードのみをデプロイするため、最小のフットプリントとなるが、サイト間のセンシティブなレイテンシが要求され、サイト間のレイテンシは良好でなければならない。
【0032】
配備部105は、決定された仮想化リソース配備方式を用いて、vDU321の仮想化リソースをプロビジョニングする。なお、vDU321に限らず、同様の方法により、vCU322の仮想化リソースをプロビジョニングしてもよい。
【0033】
図7は、本実施の形態に係るRANシステムの動作例(仮想化リソース配備方法)を示している。
図7に示すように、RIU310(またはRIM)は、電源がONになると、EMS200に対し電源ONを通知する(S101)。次に、RIU310は、アンテナが増設されると、EMS200に対しアンテナ増設を通知し、さらに、EMS200は、基地局仮想化リソース配備装置100に対し、アンテナ増設(新規アンテナ設備)を通知する(S102)。
【0034】
次に、基地局仮想化リソース配備装置100は、仮想化リソース配備方式の判定に必要となるセクター密度の情報をEMS200から取得する(S103)。アンテナが増設された場合に、セクター密度を取得してもよいし、任意のタイミング(アンテナの増/減時、RIU電源ON/OFF時、アンテナ故障時、定期的なタイミング等)に取得してもよい。また、基地局仮想化リソース配備装置100は、自身のエージェント機能を用いて、Edge DC420とCentral DC430間のレイテンシを計測する(S104)。セクター密度を取得した場合に、レイテンシを計測してもよいし、任意のタイミング(構成変更時、障害発生時、定期的なタイミング等)に計測してもよい。
【0035】
次に、基地局仮想化リソース配備装置100は、収集したセクター密度とレイテンシの情報に基づき、ロジックテーブル104に従い、仮想化リソース配備方式を決定する(S105)。例えば、セクター数(セクター密度)が第1の閾値(例えば数個)以下の場合、セクター密度=Lowと判定し、セクター数が第1の閾値よりも大きい場合、セクター密度=Highと判定する。Edge DC420とCentral DC430間のRound trip timeが第2の閾値(例えば100msec)以下の場合、レイテンシ=Goodと判定し、Round trip timeが第2の閾値より大きい場合、レイテンシ=Badと判定する。
【0036】
図4のロジックテーブル104の例では、セクター密度=Lowの場合、Far EdgeのロケーションでBaremetal方式またはDistributed Cluster方式を選択する。特に、セクター密度=Low、かつ、レイテンシ=Badの場合、Baremetal方式を選択し、セクター密度=Low、かつ、レイテンシ=Goodの場合、Distributed Cluster方式を選択する。また、セクター密度=Highの場合、EdgeのロケーションでHyper Converged Cluster方式またはDistributed Cluster方式を選択する。特に、セクター密度=High、かつ、レイテンシ=Badの場合、Hyper Converged Cluster方式を選択し、セクター密度=High、かつ、レイテンシ=Goodの場合、Distributed Cluster方式を選択する。
【0037】
次に、基地局仮想化リソース配備装置100は、決定した仮想化リソース配備方式により、vDU321の仮想化リソースを実際に配備(プロビジョニング)する(S106)。例えば、Baremetal方式の場合は、(Far Edgeの)物理サーバに対して、OS(Operating System)をインストールするベアメタルプロビジョニング機能を用いる。Hyper Converged Cluster方式の場合は、クラウドコントローラをフルスタックでエッジに配備し、Computeリソースをスケーリングさせる。Distributed Cluster方式の場合は、クラウドコントローラのManagement機能を中央に集約させて、Computeリソースのみエッジ(またはFar Edg)に配備し、リソース利用効率と、集約効率を最大化させる。
【0038】
Hyper Converged Cluster方式とDistributed Cluster方式は、ある程度多くのセルを収容管理することを想定しているが、Ruralエリアのようなセクター密度が低いエリア(例えばセルのセクターが数個程度)では、最低限のvDU/vCUしか必要としない。このため、セクター密度が低い場合、Hyper Converged ClusterやDistributed Clusterの際に必要となるクラウドのコントローラ機能をも必要としないBaremetal構成としてプロビジョニングすることで、そのリソース収容効率をさらに最大化する。このように、レイテンシだけでなく、セクター密度(セクター数)も考慮することで、収容効率を意識したリソース配備モデルを選択できるため、短期~中期的な構成変更が発生した場合でも、柔軟に構成変更を行い、最適なリソース配備モデルを展開することができる。
【0039】
また、セクター密度はアンテナ増設によってある程度変化する動的な値であるため、初期のアンテナ稼働時には最適だったリソース配備形態がその後の他のアンテナ増設によって最適でなくなる可能性が生じる。そのような一時的なイベントや、中長期的な計画的処理能力向上が求められるケースで、動的に最適な配備モデルを計算してリソース配備モデルを再構成することも有効である。例えば、セクター密度が非常に低いRuralエリアでイベントもしくは増設によりリソースの最適構成を変更してもよい。
【0040】
以上のように、本実施の形態を適用することにより、セクター密度及びレイテンシに基づいて仮想化リソース配備方式を決定することで、仮想化技術の恩恵であるリソースの集約効果と柔軟な配備を基地局サービスのきめ細かな要件に合わせて対応することが可能となる。特に、エッジサイトは一般的に構築コストや運用コストが非常に高価になる傾向がある(敷地コスト、新設コスト、分散されることによる多数の小型DCを運用するための各種コスト等)。そのため、単純にレイテンシが良い場所だけで配置場所を決めるのではなく、本実施の形態のようにセクター密度を考慮して収容配置することを選択するロジックがコストを最適化するために非常に重要となる。
【0041】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0042】
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置の機能(処理)を、CPUやメモリ等を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、記憶装置に実施形態における方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納されたプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0043】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0044】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得する取得部と、
前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定する決定部と、
前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備する配備部と、
を備える、仮想化リソース配備装置。
(付記2)
前記仮想基地局を実行する実行基盤のレイテンシを計測する計測部をさらに備え、
前記決定部は、前記計測したレイテンシに基づいて前記仮想化リソース配備方式を決定する、
付記1に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記3)
前記レイテンシは、エッジデータセンターとセントラルデータセンターとの間の遅延時間である、
付記2に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記4)
前記決定部は、前記セクター密度及び前記レイテンシと、前記仮想化リソース配備方式とを関連付けたロジックテーブルに基づいて、前記仮想化リソース配備方式を決定する、
付記2または3に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記5)
前記ロジックテーブルは、前記セクター密度及び前記レイテンシと、前記仮想化リソース配備方式及び仮想化リソース配備ロケーションとを関連付けている、
付記4に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記6)
前記仮想化リソース配備方式は、Baremetal方式、Hyper Converged Cluster方式、またはDistributed Cluster方式を含む、
付記2乃至5のいずれかに記載の仮想化リソース配備装置。
(付記7)
前記決定部は、前記セクター密度が第1の閾値よりも低い場合、Baremetal方式またはDistributed Cluster方式を選択する、
付記6に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記8)
前記決定部は、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも低く、かつ、前記レイテンシが第2の閾値よりも悪い場合、Baremetal方式を選択し、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも低く、かつ、前記レイテンシが前記第2の閾値よりも良い場合、Distributed Cluster方式を選択する、
付記7に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記9)
前記決定部は、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも高い場合、Hyper Converged Cluster方式またはDistributed Cluster方式を選択する、
付記7または8に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記10)
前記決定部は、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも高く、かつ、前記レイテンシが前記第2の閾値よりも悪い場合、Hyper Converged Cluster方式を選択し、前記セクター密度が前記第1の閾値よりも高く、かつ、前記レイテンシが前記第2の閾値よりも良い場合、Distributed Cluster方式を選択する、
付記9に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記11)
前記取得部は、RIU(Radio Interface Unit)を管理するEMS(Element Management System)から、前記セクター密度を取得する、
付記1乃至10のいずれかに記載の仮想化リソース配備装置。
(付記12)
前記取得部は、前記RIUにアンテナが増設された場合、前記EMSから前記セクター密度を取得する、
付記11に記載の仮想化リソース配備装置。
(付記13)
前記配備部は、前記仮想基地局を構成するvDU(virtualized Distributed Unit)の仮想化リソースを配備する、
付記1乃至12のいずれかに記載の仮想化リソース配備装置。
(付記14)
仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得し、
前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定し、
前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備する、
仮想化リソース配備方法。
(付記15)
前記仮想基地局を実行する実行基盤のレイテンシをさらに計測し、
前記決定では、前記計測したレイテンシに基づいて前記仮想化リソース配備方式を決定する、
付記14に記載の仮想化リソース配備方法。
(付記16)
仮想基地局が使用するセクターのセクター密度を取得し、
前記取得したセクター密度に基づいて仮想化リソース配備方式を決定し、
前記決定した仮想化リソース配備方式に基づいて前記仮想基地局の仮想化リソースを配備する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記17)
前記仮想基地局を実行する実行基盤のレイテンシをさらに計測し、
前記決定では、前記計測したレイテンシに基づいて前記仮想化リソース配備方式を決定する、
付記16に記載のプログラム。
【0045】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0046】
この出願は、2020年6月12日に出願された日本出願特願2020-102204を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0047】
1 RANシステム
10 仮想化リソース配備装置
11 取得部
12 決定部
13 配備部
100 基地局仮想化リソース配備装置
101 取得部
102 計測部
103 決定部
104 ロジックテーブル
105 配備部
200 EMS
300 vRAN
310 RIU
320 仮想基地局
321 vDU
322 vCU
400 実行基盤
410 Far Edge
420 Edge DC
430 Central DC