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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240702BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/175 503
B41J2/18
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022531333
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024892
(87)【国際公開番号】W WO2021260862
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉持 裕介
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-088435(JP,A)
【文献】特開2008-260206(JP,A)
【文献】特開平07-145872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0109267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドとの間で流通を行うインクを貯留するインク貯留部と、
前記インク貯留部と連通し、前記インク貯留部の内部の気圧が第1圧力となるように、前記第1圧力を発生する圧力発生部と、
前記インク貯留部の内部の気圧が前記第1圧力と異なる第2圧力となるように、前記インク貯留部と前記圧力発生部との連通路を流れる流体に抵抗を与える第1流体抵抗部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記インク貯留部に接続され、大気と連通可能な大気連通路と、
前記大気連通路を開閉する開閉部と、
を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記インク貯留部に接続され、大気と連通可能な大気連通路と、
前記大気連通路を流れる流体に抵抗を与える第2流体抵抗部と、
を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1流体抵抗部は、前記インク貯留部が大気開放されている場合、前記第1圧力と前記インク貯留部の内部の気圧との差が所定圧力以上となるように、前記連通路を流れる流体に抵抗を与える、
請求項1~3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記インクジェットヘッドは、第1インクジェットヘッドと、第2インクジェットヘッドとを有し、
前記インク貯留部は、前記第1インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留する第1供給タンクと、前記第1インクジェットヘッドから回収されるインクを貯留する第1回収タンクと、前記第2インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留する第2供給タンクと、前記第2インクジェットヘッドから回収されるインクを貯留する第2回収タンクとを有し、
前記第1供給タンクと前記第1回収タンクとの間の内部の気圧差は、前記第2供給タンクと前記第2回収タンクとの間の内部の気圧差と同じである、
請求項1~4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記インクジェットヘッドは、第1インクジェットヘッドと、第2インクジェットヘッドとを有し、
前記インク貯留部は、前記第1インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留する第1供給タンクと、前記第1インクジェットヘッドから回収されるインクを貯留する第1回収タンクと、前記第2インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留する第2供給タンクと、前記第2インクジェットヘッドから回収されるインクを貯留する第2回収タンクとを有し、
前記第1供給タンクと前記第1回収タンクとの間の内部の気圧差は、前記第2供給タンクと前記第2回収タンクとの間の内部の気圧差と異なる、
請求項1~4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
インクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドとの間で流通を行うインクを貯留するインク貯留部と、
前記インク貯留部と連通し、前記インク貯留部の内部圧力が第1圧力となるように、前記第1圧力を発生する圧力発生部と、
前記インク貯留部の内部圧力が前記第1圧力と異なる第2圧力となるように、前記インク貯留部と前記圧力発生部との連通路を流れる流体に抵抗を与える第1流体抵抗部と、
前記インク貯留部に接続され、大気と連通可能な大気連通路と、
前記大気連通路を開閉する開閉部と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
前記インク貯留部に接続され、大気と連通可能な大気連通路と、
前記大気連通路を流れる流体に抵抗を与える第2流体抵抗部と、
を備える請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1流体抵抗部は、前記インク貯留部が大気開放されている場合、前記第1圧力と前記インク貯留部の内部圧力との差が所定圧力以上となるように、前記連通路を流れる流体に抵抗を与える、
請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記インクジェットヘッドは、第1インクジェットヘッドと、第2インクジェットヘッドとを有し、
前記インク貯留部は、前記第1インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留する第1供給タンクと、前記第1インクジェットヘッドから回収されるインクを貯留する第1回収タンクと、前記第2インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留する第2供給タンクと、前記第2インクジェットヘッドから回収されるインクを貯留する第2回収タンクとを有し、
前記第1供給タンクと前記第1回収タンクとの間の内部圧力差は、前記第2供給タンクと前記第2回収タンクとの間の内部圧力差と同じである、
請求項7~9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記インクジェットヘッドは、第1インクジェットヘッドと、第2インクジェットヘッドとを有し、
前記インク貯留部は、前記第1インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留する第1供給タンクと、前記第1インクジェットヘッドから回収されるインクを貯留する第1回収タンクと、前記第2インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留する第2供給タンクと、前記第2インクジェットヘッドから回収されるインクを貯留する第2回収タンクとを有し、
前記第1供給タンクと前記第1回収タンクとの間の内部圧力差は、前記第2供給タンクと前記第2回収タンクとの間の内部圧力差と異なる、
請求項7~9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送装置により搬送される記録媒体に対し、インクジェットヘッドに設けられた複数のノズルからインクを吐出することにより記録媒体に画像を形成(記録)するインクジェット画像形成装置(以下、画像形成装置という)が知られている。
【0003】
画像形成装置の中には、インクを供給する供給タンクと、インクジェットヘッドと、インクを回収する回収タンクとの間でインクを循環させつつ、インクジェットヘッドに対してインクを供給するインク供給機構を備えるものがある(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0004】
上記インク供給機構においては、インクジェットヘッドに対してインクを供給する供給タンクが、当該インクジェットヘッドの上方に配置される。供給タンクとインクジェットヘッドとは、インク供給路を介して接続されている。
【0005】
供給タンクには負圧(メニスカス用負圧)がかけられており、この負圧によって、インクジェットヘッドの吐出口に適切なメニスカス圧が形成される。メニスカス圧を適切に制御することによって、インクジェットヘッドの吐出口に適切な形状のメニスカスを形成することができる。
【0006】
また、上記インク供給機構においては、インクジェットヘッドからインクを回収する回収タンクが、当該インクジェットヘッドの上方、かつ、供給タンクよりも低い位置に配置される。この回収タンクにも、供給タンクと同じ大きさの負圧がかけられており、供給タンクと回収タンクとの高低差(水頭差)によって、インクジェットヘッドに供給されたインクがインク回収路を介して回収タンクへ導かれる。インクジェットヘッドに流れるインクの流量は、供給タンクと回収タンクとの間の高低差によって調整される。
【0007】
ここで、供給タンクおよび回収タンクに同じ大きさの負圧をかける構成について説明する。供給タンクおよび回収タンクは、所定容量の気体を収容可能に構成されている減圧タンク(バッファータンク)に連通している。減圧タンクには、真空路を介して真空ポンプが接続される。そして、真空ポンプの駆動制御によって、減圧タンク内の圧力が所定圧力に減圧されることによって、減圧タンクに連通している供給タンクおよび回収タンク内の気圧も所定圧力に減圧される(負圧がかけられる)。
【0008】
なお、回収タンクと供給タンクとは、ポンプが設けられている循環路を介して互いに接続されている。供給タンク内に配置されたレベルセンサーが、供給タンク内のインクレベルが所定レベルを下回ったことを検知すると、このポンプが駆動され、回収タンクに回収されたインクが循環路を介して供給タンクに戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008-962号公報
【文献】特開2009-285845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記インク供給機構において、インクジェットヘッドに流れるインクの流量を多くする場合、供給タンクと回収タンクとの間の高低差を大きくすることで対応可能であるが、当該高低差を大きくするために供給タンクの高さ位置と回収タンクの高さ位置とを大きく離す必要があり、装置サイズの増大を招いてしまうという問題があった。
【0011】
この問題に対して、供給タンクと回収タンクとの間の高低差をなくし、供給タンクおよび回収タンクにそれぞれ異なる大きさの負圧をかけ、供給タンクと回収タンクとの間の圧力差(気圧差)によって、インクジェットヘッドに供給されたインクを回収タンクへ導く構成が考えられる。しかし、複数のインクジェットヘッドのそれぞれに対応して、複数の供給タンクおよび回収タンクを設ける場合、複数のインクジェットヘッドひいては複数の供給タンクおよび回収タンクの数だけ、負圧発生源(減圧タンクおよび真空ポンプ)を用意する必要があり、装置コストの増大を招いてしまうという別の問題があった。
【0012】
本発明の目的は、装置コストの増大を招くことなく、複数のインクジェットヘッドに流れるインクの流量を任意に調整することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、
インクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドとの間で流通を行うインクを貯留するインク貯留部と、
前記インク貯留部と連通し、前記インク貯留部の内部の気圧が第1圧力となるように、前記第1圧力を発生する圧力発生部と、
前記インク貯留部の内部の気圧が前記第1圧力と異なる第2圧力となるように、前記インク貯留部と前記圧力発生部との連通路を流れる流体に抵抗を与える第1流体抵抗部と、
を備える。
また、本発明に係る画像形成装置は、
インクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドとの間で流通を行うインクを貯留するインク貯留部と、
前記インク貯留部と連通し、前記インク貯留部の内部圧力が第1圧力となるように、前記第1圧力を発生する圧力発生部と、
前記インク貯留部の内部圧力が前記第1圧力と異なる第2圧力となるように、前記インク貯留部と前記圧力発生部との連通路を流れる流体に抵抗を与える第1流体抵抗部と、
前記インク貯留部に接続され、大気と連通可能な大気連通路と、
前記大気連通路を開閉する開閉部と、
を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置コストの増大を招くことなく、複数のインクジェットヘッドに流れるインクの流量を任意に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】インクジェット画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】ヘッドユニットの構成を示す模式図である。
図3】インクジェット画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図4】インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、インクジェット画像形成装置1の概略構成を示す図である。インクジェット画像形成装置1は、給紙部10と、画像形成部20と、排紙部30と、制御部40(図3を参照)とを備える。
【0017】
インクジェット画像形成装置1(本発明の「画像形成装置」として機能)は、制御部40による制御下で、給紙部10に格納された記録媒体Pを画像形成部20に搬送し、画像形成部20で記録媒体Pに画像を形成し、画像が形成された記録媒体Pを排紙部30に搬送する。記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛またはシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
【0018】
給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレイ11と、給紙トレイ11から画像形成部20に記録媒体Pを搬送して供給する媒体供給部12とを有する。媒体供給部12は、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを備え、このベルト上に記録媒体Pを載置した状態でローラーを回転させることで記録媒体Pを給紙トレイ11から画像形成部20へ搬送する。
【0019】
画像形成部20は、搬送部21と、受け渡しユニット22と、加熱部23と、ヘッドユニット24と、定着部25と、デリバリー部28などを有する。
【0020】
搬送部21は、円筒状の搬送ドラム211の搬送面211a(載置面)の上に載置された記録媒体Pを保持し、搬送ドラム211がX方向(図1の紙面垂直方向)に延びた回転軸(円筒軸)を中心に回転して周回移動することで当該搬送ドラム211上の記録媒体Pを搬送方向(Y方向)に搬送する搬送動作を行う。
【0021】
搬送ドラム211は、その搬送面211a上で記録媒体Pを保持するための図示しない爪部および吸気部を備える。記録媒体Pは、爪部により端部が押さえられ、かつ吸気部により搬送面211aに吸い寄せられることで搬送面211aに保持される。搬送部21は、搬送ドラム211を回転させるための搬送ドラムモーター(図示せず)に接続されている。搬送ドラム211は、搬送ドラムモーターの回転量に比例した角度だけ回転する。
【0022】
受け渡しユニット22は、給紙部10の媒体供給部12により搬送された記録媒体Pを搬送部21に引き渡す。受け渡しユニット22は、給紙部10の媒体供給部12と搬送部21との間の位置に設けられ、媒体供給部12から搬送された記録媒体Pの一端をスイングアーム部221で保持して取り上げ、受け渡しドラム222を介して搬送部21に引き渡す。
【0023】
加熱部23は、受け渡しドラム222の配置位置とヘッドユニット24の配置位置との間に設けられ、搬送部21により搬送される記録媒体Pが所定の温度範囲内の温度となるように当該記録媒体Pを加熱する。加熱部23は、例えば、赤外線ヒーター等を有し、制御部40(図3を参照)から供給される制御信号に基づいて赤外線ヒーターに通電して当該赤外線ヒーターを発熱させる。
【0024】
ヘッドユニット24は、記録媒体Pが保持された搬送ドラム211の回転に応じた適切なタイミングで、搬送ドラム211の搬送面211aに対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から記録媒体Pに対してインクを吐出して画像を形成する。ヘッドユニット24は、インク吐出面と搬送面211aとが所定の距離だけ離隔されるように配置される。
【0025】
本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1では、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット24が記録媒体Pの搬送方向上流側からW,Y,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
【0026】
図2は、ヘッドユニット24の構成を示す模式図である。ここでは、ヘッドユニット24のうち搬送ドラム211の搬送面211aと対向する面が示されている。
【0027】
ヘッドユニット24は、取り付け部材244に取り付けられた4つのインクジェットヘッド242を備える。インクジェットヘッド242の各々には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズル243とを各々有する複数の画像形成素子(記録素子)が設けられている。この画像形成素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
【0028】
インクジェットヘッド242では、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向(本実施の形態では、搬送方向と直交する方向、すなわちX方向)に等間隔に配列されたノズル243からなる2つのノズル列が形成されている。これら2つのノズル列は、ノズル243の配置位置が、各ノズル列におけるノズル243の配置間隔の2分の1だけX方向について互いにずれるように設けられている。
【0029】
4つのインクジェットヘッド242は、ノズル列のX方向についての配置範囲が切れ目なく繋がるように千鳥格子状に配置されている。ヘッドユニット24に含まれるノズル243のX方向についての配置範囲は、搬送部21により搬送される記録媒体Pのうち画像が形成される領域のX方向の幅をカバーしており、ヘッドユニット24の位置は、画像の形成時には搬送ドラム211の回転軸に対して固定されて用いられる。すなわち、ヘッドユニット24は、記録媒体Pに対するX方向についての画像形成可能幅に亘ってインクを吐出可能なラインヘッドを有しており、インクジェット画像形成装置1は、シングルパス形式のインクジェット画像形成装置である。
【0030】
なお、インクジェットヘッド242が有するノズル列の数は、2つではなく、1つまたは3つ以上であっても良い。また、ヘッドユニット24が有するインクジェットヘッド242の数は、4つでなく、3つ以下または5つ以上であっても良い。
【0031】
画像形成素子のノズル243から吐出されるインクとしては、顔料を含有するインクであって、例えば二酸化チタンなどを顔料として含有させた白インクが用いられる。また、画像形成素子のノズル243から吐出されるインクとしては、ゲル化剤を含有して、温度によってゲル状またはゾル状に相変化し、紫外線等のエネルギー線を照射することにより硬化する性質を有するゲルインクが用いられる。本実施の形態では、画像形成素子のノズル243から吐出されるインクとして、ゲルインクが用いられる。
【0032】
ヘッドユニット24は、ヘッドユニット24内に貯留されるインクを加熱するインク加熱部(図示せず)を備える。インク加熱部は、制御部40による制御下で動作し、ゾル状となる温度にインクを加熱する。
【0033】
インクジェットヘッド242は、加熱されてゾル状となったインクを吐出する。このゾル状のインクが記録媒体Pに吐出されると、インク滴が記録媒体Pに着弾した後、自然冷却されることで速やかにインクがゲル状となって記録媒体P上で凝固する。
【0034】
定着部25は、搬送部21のX方向の幅に亘って配置された発光部を有し、搬送部21に載置された記録媒体Pに対して当該発光部から紫外線等のエネルギー線を照射して記録媒体P上に吐出されたインク(ゲルインク)を硬化させて定着させる。定着部25の発光部は、搬送方向についてヘッドユニット24の配置位置からデリバリー部28の受け渡しドラム281の配置位置までの間において搬送面211aと対向して配置される。
【0035】
デリバリー部28は、記録媒体Pを搬送部21からベルトループ282に受け渡す円筒状の受け渡しドラム281と、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを有するベルトループ282とを有し、受け渡しドラム281により搬送部21からベルトループ282上に受け渡された記録媒体Pをベルトループ282により搬送して排紙部30に送出する。
【0036】
排紙部30は、デリバリー部28により画像形成部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレイ31を有する。
【0037】
図3は、インクジェット画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。インクジェット画像形成装置1は、加熱部23と、ヘッド駆動部241およびインクジェットヘッド242と、定着部25と、制御部40と、搬送駆動部51と、操作表示部52と、入出力インターフェース53などを備える。
【0038】
ヘッド駆動部241は、インクジェットヘッド242の画像形成素子に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給することにより、インクジェットヘッド242のノズル243から画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0039】
制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、RAM42(Random Access Memory)、ROM43(Read Only Memory)および記憶部44を有する。
【0040】
CPU41は、ROM43に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM42に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。また、CPU41は、インクジェット画像形成装置1の全体動作を統括制御する。
【0041】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM42は、不揮発性メモリーを含んでも良い。
【0042】
ROM43は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM43に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
【0043】
記憶部44には、入出力インターフェース53を介して外部装置2から入力された印刷ジョブ(画像形成命令)および当該印刷ジョブに係る画像データなどが記憶される。このうち印刷ジョブには、形成する画像に係る画像データを指定する情報の他、画像を形成する記録媒体Pの種別に係る情報(例えば、記録媒体Pの大きさおよび厚さ)が含まれる。記憶部44としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されても良い。
【0044】
搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて搬送ドラム211の搬送ドラムモーターに駆動信号を供給して搬送ドラム211を所定の速度およびタイミングで回転させる。
【0045】
また、搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて媒体供給部12、受け渡しユニット22およびデリバリー部28を動作させるためのモーターに駆動信号を供給して、記録媒体Pの搬送部21への供給および搬送部21からの排出を行わせる。
【0046】
操作表示部52は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示装置と、操作キーや、表示装置の画面に重ねられて配置されたタッチパネルといった入力装置とを備える。操作表示部52は、表示装置において各種情報を表示させ、また入力装置に対するユーザーの入力操作を操作信号に変換して制御部40に出力する。
【0047】
入出力インターフェース53は、外部装置2と制御部40との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース53は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースの何れかまたはこれらの組み合わせで構成される。
【0048】
外部装置2は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース53を介してプリントジョブおよび画像データ等を制御部40に供給する。
【0049】
次に、図4を参照して、インクジェット画像形成装置1においてインクジェットヘッド242にインクを供給するインク供給機構60の構成を説明する。インク供給機構60は、インクを供給する供給タンクと、インクジェットヘッドと、インクを回収する回収タンクとの間でインクを循環させつつ、インクジェットヘッドに対してインクを供給する。
【0050】
図4に示すように、インク供給機構60は、減圧タンク61、真空ポンプ62、開閉弁64、圧力検出部65、第1供給タンク80、開閉弁83、第1回収タンク90、開閉弁93、第2供給タンク100、開閉弁103および第2回収タンク110等を備える。
【0051】
なお、第1供給タンク80、第1回収タンク90、第2供給タンク100および第2回収タンク110は、インクジェットヘッドとの間で流通を行うインクを貯留する本発明の「インク貯留部」として機能する。また、開閉弁83,93,103は、本発明の「開閉部」として機能する。
【0052】
第1供給タンク80は、インク供給路75を介してインクジェットヘッド242A(本発明の「第1インクジェットヘッド」として機能)に供給されるインクを貯留する。本実施の形態では、第1供給タンク80は、インクジェットヘッド242Aの上方に配置される。
【0053】
図示していないが、第1供給タンク80、第1回収タンク90およびインクジェットヘッド242Aは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応して設けられている。そして、インクジェットヘッド242Aは、第1供給タンク80から供給されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)またはブラック(K)のインクを吐出する。
【0054】
第1供給タンク80には例えば-2.5kPaの負圧(メニスカス用負圧)がかけられており、この負圧によって、インクジェットヘッド242Aの吐出口に適切なメニスカス圧が形成される。メニスカス圧を適切に制御することによって、インクジェットヘッド242Aの吐出口に適切な形状のメニスカスを形成することができる。
【0055】
第1供給タンク80には、大気と連通可能な大気連通路82(大気開放パイプ)が接続されている。開閉弁83(例えば、電磁弁)は、制御部40の制御を受けて大気連通路82を開閉し、大気連通路82を介して第1供給タンク80内に吸入される大気中の空気量を調整することによって、第1供給タンク80内の圧力を大気圧に向けて調整する(上昇させる)。
【0056】
第1回収タンク90は、インク回収路76を介してインクジェットヘッド242Aから回収されるインクを貯留する。本実施の形態では、第1回収タンク90として約40リットルの容量を有した金属製の容器が用いられる。本実施の形態では、第1回収タンク90は、インクジェットヘッド242Aの上方、かつ、第1供給タンク80よりも低い位置に配置される。
【0057】
第1回収タンク90には、第1供給タンク80と同じ大きさ(例えば-2.5kPa)の負圧がかけられており、第1供給タンク80と第1回収タンク90との高低差(図4中のHで示される水頭差)によって、第1供給タンク80からインクジェットヘッド242Aに供給されたインクがインク回収路76を介して第1回収タンク90へ導かれる。インクジェットヘッド242Aに流れるインクの流量は、第1供給タンク80と第1回収タンク90との間の高低差によって調整される。
【0058】
第1回収タンク90には、大気と連通可能な大気連通路92(大気開放パイプ)が接続されている。開閉弁93(例えば、電磁弁)は、制御部40の制御を受けて大気連通路92を開閉し、大気連通路92を介して第1回収タンク90内に吸入される大気中の空気量を調整することによって、第1回収タンク90内の圧力を大気圧に向けて調整する(上昇させる)。
【0059】
なお、第1供給タンク80と第1回収タンク90とは、ポンプが設けられている循環路(図示せず)を介して互いに接続されている。第1供給タンク80内に配置されたレベルセンサーが、第1供給タンク80内のインクレベルが所定レベルを下回ったことを検知すると、このポンプが駆動され、第1回収タンク90に回収されたインクが循環路を介して第1供給タンク80に戻される。
【0060】
第2供給タンク100は、インク供給路77を介してインクジェットヘッド242B(本発明の「第2インクジェットヘッド」として機能)に供給されるインクを貯留する。本実施の形態では、第2供給タンク100は、インクジェットヘッド242Bの上方に配置される。インクジェットヘッド242Bは、第2供給タンク100から供給されたホワイト(W)のインクを吐出する。
【0061】
第2供給タンク100には例えば-2.5kPaの負圧(メニスカス用負圧)がかけられており、この負圧によって、インクジェットヘッド242Bの吐出口に適切なメニスカス圧が形成される。メニスカス圧を適切に制御することによって、インクジェットヘッド242Bの吐出口に適切な形状のメニスカスを形成することができる。
【0062】
第2供給タンク100には、大気と連通可能な大気連通路102(大気開放パイプ)が接続されている。開閉弁103(例えば、電磁弁)は、制御部40の制御を受けて大気連通路102を開閉し、大気連通路102を介して第2供給タンク100内に吸入される大気中の空気量を調整することによって、第2供給タンク100内の圧力を大気圧に向けて調整する(上昇させる)。
【0063】
第2回収タンク110は、インク回収路78を介してインクジェットヘッド242Bから回収されるインクを貯留する。本実施の形態では、第2回収タンク110として約40リットルの容量を有した金属製の容器が用いられる。本実施の形態では、第2回収タンク110は、インクジェットヘッド242Bの上方、かつ、第2供給タンク100と同じ高さの位置に配置される。
【0064】
第2回収タンク110には、第2供給タンク100と異なる大きさ(例えば-14.5kPa)の負圧がかけられており、第2供給タンク100および第2回収タンク110のそれぞれにかけられる負圧の差によって、第2供給タンク100からインクジェットヘッド242Bに供給されたインクがインク回収路78を介して第2回収タンク110へ導かれる。インクジェットヘッド242Bに流れるインクの流量は、第2供給タンク100および第2回収タンク110のそれぞれにかけられる負圧の差によって調整される。
【0065】
なお、第2供給タンク100と第2回収タンク110とは、ポンプが設けられている循環路(図示せず)を介して互いに接続されている。第2供給タンク100内に配置されたレベルセンサーが、第2供給タンク100内のインクレベルが所定レベルを下回ったことを検知すると、このポンプが駆動され、第2回収タンク110に回収されたインクが循環路を介して第2供給タンク100に戻される。
【0066】
次に、第1供給タンク80、第1回収タンク90、第2供給タンク100および第2回収タンク110に負圧をかける具体的な構成について説明する。
【0067】
第1供給タンク80は、連通路70,71を介して、減圧タンク61(バッファータンク)に連通している。また、第1回収タンク90は、連通路70,72を介して、減圧タンク61に連通している。また、第2供給タンク100は、連通路70,73を介して、減圧タンク61に連通している。また、第2回収タンク110は、連通路70,74を介して、減圧タンク61に連通している。
【0068】
減圧タンク61は、所定容量の気体を収容可能に構成されている。減圧タンク61には、真空路63を介して真空ポンプ62が接続される。真空ポンプ62は、制御部40の制御を受け、真空路63を介して減圧タンク61内の空気を吸引して減圧タンク61内の圧力(気圧)を減圧させる。圧力検出部65は、減圧タンク61内の圧力を検出して制御部40に出力する。開閉弁64(例えば、電磁弁)は、制御部40の制御下において、減圧タンク61内の圧力が所定圧力(例えば-14.5kPa)となるように圧力検出部65の検出結果に応じて、真空路63を開閉して真空ポンプ62に吸入される空気量を調整する。
【0069】
制御部40は、真空ポンプ62および開閉弁64を制御し、減圧タンク61内の圧力を所定圧力(本発明の「第1圧力」に対応)に減圧させることによって、減圧タンク61に連通している第1供給タンク80、第1回収タンク90、第2供給タンク100および第2回収タンク110に内の圧力も同様に当該所定圧力に減圧させる(負圧をかける)制御を行う。なお、制御部40、減圧タンク61、真空ポンプ62、開閉弁64および圧力検出部65は、第1供給タンク80、第1回収タンク90、第2供給タンク100および第2回収タンク110の内部圧力が第1圧力となるように第1圧力を発生する本発明の「圧力発生部」として機能する。
【0070】
ところで、従来のインク供給機構においては、インクジェットヘッドに流れるインクの流量を多くする場合、供給タンクと回収タンクとの間の高低差(水頭差)を大きくすることで対応可能であるが、当該高低差を大きくするために供給タンクの高さ位置と回収タンクの高さ位置とを大きく離す必要があり、装置サイズの増大を招いてしまうという問題があった。
【0071】
この問題に対して、供給タンクと回収タンクとの間の高低差をなくし、供給タンクおよび回収タンクにそれぞれ異なる大きさの負圧をかけ、供給タンクと回収タンクとの間の圧力差(気圧差)によって、インクジェットヘッドに供給されたインクを回収タンクへ導く構成が考えられる。しかし、複数のインクジェットヘッドのそれぞれに対応して、複数の供給タンクおよび回収タンクを設ける場合、複数のインクジェットヘッドひいては複数の供給タンクおよび回収タンクの数だけ、負圧発生源(減圧タンクおよび真空ポンプ)を用意する必要があり、装置コストの増大を招いてしまうという別の問題があった。
【0072】
そこで本実施の形態では、装置コストの増大を招くことなく、複数のインクジェットヘッドに流れるインクの流量を任意に調整可能とする構成をインク供給機構60に採用している。
【0073】
すなわち、連通路71には、第1供給タンク80の内部圧力が減圧タンク61内の圧力(例えば-14.5kPa)と異なる所望の圧力(例えば-2.5kPa、本発明の「第2圧力」に対応)となるように、連通路71を流れる流体(例えば、空気)に抵抗を与える、つまり圧力損失を発生させる第1流体抵抗部81が設けられている。より具体的には、第1流体抵抗部81は、第1供給タンク80が大気開放されている場合、減圧タンク61内の圧力と第1供給タンク80の内部圧力との差が所定圧力(例えば、1kPa)以上となるように、連通路71を流れる流体に抵抗を与える。
【0074】
本実施の形態では、第1流体抵抗部81は、真空ポンプ62および開閉弁64の制御に起因する減圧タンク61内の圧力変動に対して、第1供給タンク80内の圧力変動を抑制する要素であり、例えばオリフィスで構成される。第1流体抵抗部81の流体抵抗値は、例えばオリフィスの絞り径を調整することによって任意に調整することができる。つまり、仮に第1流体抵抗部81が設けられていない場合は、減圧タンク61内の圧力変動開始後、時間の経過に応じて、減圧タンク61内の圧力変動と同様の圧力変動が第1供給タンク80内に生じてしまうところ、第1流体抵抗部81を設けることによって、第1供給タンク80の内部圧力を所望の圧力(例えば-2.5kPa)に調整することができる。
【0075】
なお、第1流体抵抗部81だけで第1供給タンク80の内部圧力を所望の圧力に調整することが困難な場合(例えば、減圧タンク61内の圧力ひいては第1供給タンク80内にかかる負圧の値がとても大きい場合)には、制御部40は、開閉弁83を制御して大気連通路82を介して第1供給タンク80内に吸入される大気中の空気量を調整し、第1供給タンク80内の圧力を調整しても良い。
【0076】
また、連通路72には、第1回収タンク90の内部圧力が減圧タンク61内の圧力(例えば-14.5kPa)と異なる所望の圧力(例えば-2.5kPa、本発明の「第2圧力」に対応)となるように、連通路72を流れる流体(例えば、空気)に抵抗を与える、つまり圧力損失を発生させる第1流体抵抗部91が設けられている。より具体的には、第1流体抵抗部91は、第1回収タンク90が大気開放されている場合、減圧タンク61内の圧力と第1回収タンク90の内部圧力との差が所定圧力(例えば、1kPa)以上となるように、連通路72を流れる流体に抵抗を与える。
【0077】
本実施の形態では、第1流体抵抗部91は、真空ポンプ62および開閉弁64の制御に起因する減圧タンク61内の圧力変動に対して、第1回収タンク90内の圧力変動を抑制する要素であり、例えばオリフィスで構成される。第1流体抵抗部91の流体抵抗値は、例えばオリフィスの絞り径を調整することによって任意に調整することができる。つまり、仮に第1流体抵抗部91が設けられていない場合は、減圧タンク61内の圧力変動開始後、時間の経過に応じて、減圧タンク61内の圧力変動と同様の圧力変動が第1回収タンク90内に生じてしまうところ、第1流体抵抗部91を設けることによって、第1回収タンク90の内部圧力を所望の圧力(例えば-2.5kPa)に調整することができる。
【0078】
なお、第1流体抵抗部91だけで第1回収タンク90の内部圧力を所望の圧力に調整することが困難な場合(例えば、減圧タンク61内の圧力ひいては第1回収タンク90内にかかる負圧の値がとても大きい場合)には、制御部40は、開閉弁93を制御して大気連通路92を介して第1回収タンク90内に吸入される大気中の空気量を調整し、第1回収タンク90内の圧力を調整しても良い。
【0079】
また、連通路73には、第2供給タンク100の内部圧力が減圧タンク61内の圧力(例えば-14.5kPa)と異なる所望の圧力(例えば-2.5kPa、本発明の「第2圧力」に対応)となるように、連通路73を流れる流体(例えば、空気)に抵抗を与える第1流体抵抗部101が設けられている。より具体的には、第1流体抵抗部101は、第2供給タンク100が大気開放されている場合、減圧タンク61内の圧力と第2供給タンク100の内部圧力との差が所定圧力(例えば、1kPa)以上となるように、連通路73を流れる流体に抵抗を与える。
【0080】
本実施の形態では、第1流体抵抗部101は、真空ポンプ62および開閉弁64の制御に起因する減圧タンク61内の圧力変動に対して、第2供給タンク100内の圧力変動を抑制する要素であり、例えばオリフィスで構成される。第1流体抵抗部101の流体抵抗値は、例えばオリフィスの絞り径を調整することによって任意に調整することができる。つまり、仮に第1流体抵抗部101が設けられていない場合は、減圧タンク61内の圧力変動開始後、時間の経過に応じて、減圧タンク61内の圧力変動と同様の圧力変動が第2供給タンク100内に生じてしまうところ、第1流体抵抗部101を設けることによって、第2供給タンク100の内部圧力を所望の圧力(例えば-2.5kPa)に調整することができる。
【0081】
なお、第1流体抵抗部101だけで第2供給タンク100の内部圧力を所望の圧力に調整することが困難な場合(例えば、減圧タンク61内の圧力ひいては第2供給タンク100内にかかる負圧の値がとても大きい場合)には、制御部40は、開閉弁103を制御して大気連通路102を介して第2供給タンク100内に吸入される大気中の空気量を調整し、第2供給タンク100内の圧力を調整しても良い。
【0082】
なお、連通路74には、連通路74を流れる流体(例えば、空気)に抵抗を与える、つまり圧力損失を発生させる第1流体抵抗部は設けられておらず、第2回収タンク110の内部圧力は、減圧タンク61内の圧力変動開始後、時間の経過に応じて、減圧タンク61内の圧力(例えば-14.5kPa)と同じ圧力となる。
【0083】
また、大気連通路82には、第1供給タンク80の内部圧力が減圧タンク61内の圧力(例えば-14.5kPa)と異なる所望の圧力(例えば-2.5kPa)となるように、大気連通路82を流れる流体(例えば、空気)に抵抗を与える、つまり圧力損失を発生させる第2流体抵抗部84が設けられている。
【0084】
これにより、開閉弁83の開閉によって大気連通路82を介して第1供給タンク80内に吸入される大気中の空気量が調整される場合、その調整に起因する第1供給タンク80内の圧力変動を抑制し、第1供給タンク80内の圧力を調整しやすくすることができる。仮に開閉弁83が設けられておらず、第1流体抵抗部81だけで第1供給タンク80の内部圧力を所望の圧力に調整することが困難な場合(例えば、減圧タンク61内の圧力ひいては第1供給タンク80内にかかる負圧の値がとても大きい場合)には、第2流体抵抗部84を設けることによって、大気連通路82を介して第1供給タンク80内に吸入される大気中の空気量を調整し、第1供給タンク80内の圧力を所望の圧力に調整することができる。
【0085】
また、大気連通路92には、第1回収タンク90の内部圧力が減圧タンク61内の圧力(例えば-14.5kPa)と異なる所望の圧力(例えば-2.5kPa)となるように、大気連通路92を流れる流体(例えば、空気)に抵抗を与える、つまり圧力損失を発生させる第2流体抵抗部94が設けられている。
【0086】
これにより、開閉弁93の開閉によって大気連通路92を介して第1回収タンク90内に吸入される大気中の空気量が調整される場合、その調整に起因する第1回収タンク90内の圧力変動を抑制し、第1回収タンク90内の圧力を調整しやすくすることができる。仮に開閉弁93が設けられておらず、第1流体抵抗部91だけで第1回収タンク90の内部圧力を所望の圧力に調整することが困難な場合(例えば、減圧タンク61内の圧力ひいては第1回収タンク90内にかかる負圧の値がとても大きい場合)には、第2流体抵抗部94を設けることによって、大気連通路92を介して第1回収タンク90内に吸入される大気中の空気量を調整し、第1回収タンク90内の圧力を所望の圧力に調整することができる。
【0087】
また、大気連通路102には、第2供給タンク100の内部圧力が減圧タンク61内の圧力(例えば-14.5kPa)と異なる所望の圧力(例えば-2.5kPa)となるように、大気連通路102を流れる流体(例えば、空気)に抵抗を与える、つまり圧力損失を発生させる第2流体抵抗部84が設けられている。
【0088】
これにより、開閉弁103の開閉によって大気連通路102を介して第2供給タンク100内に吸入される大気中の空気量が調整される場合、その調整に起因する第2供給タンク100内の圧力変動を抑制し、第2供給タンク100内の圧力を調整しやすくすることができる。仮に開閉弁103が設けられておらず、第1流体抵抗部101だけで第2供給タンク100の内部圧力を所望の圧力に調整することが困難な場合(例えば、減圧タンク61内の圧力ひいては第2供給タンク100内にかかる負圧の値がとても大きい場合)には、第2流体抵抗部104を設けることによって、大気連通路102を介して第2供給タンク100内に吸入される大気中の空気量を調整し、第2供給タンク100内の圧力を所望の圧力に調整することができる。
【0089】
以上詳しく説明したように、インクジェット画像形成装置1(画像形成装置)は、インクジェットヘッド242A,242Bと、インクジェットヘッド242A,242Bとの間で供給または回収(流通)を行うインクを貯留する第1供給タンク80、第1回収タンク90、第2供給タンク100および第2回収タンク110(インク貯留部)と、インク貯留部と連通し、インク貯留部の内部圧力が第1圧力となるように、第1圧力を発生する圧力発生部(制御部40、減圧タンク61、真空ポンプ62、開閉弁64および圧力検出部65)と、インク貯留部の内部圧力が第1圧力と異なる第2圧力となるように、インク貯留部と圧力発生部との連通路を流れる流体に抵抗を与える第1流体抵抗部81,91,101とを備える。
【0090】
このように構成した本実施の形態によれば、第1流体抵抗部81,91,101を設け、その流体抵抗値を調整することによって、第1供給タンク80、第1回収タンク90および第2供給タンク100のそれぞれの内部圧力を、1つの負圧発生源から発生する圧力(減圧タンク61内の圧力)と異なる所望の圧力に任意に調整することができる。そのため、複数のインクジェットヘッド(インクジェットヘッド242A,242B)のそれぞれに対応して、複数の供給タンク(第1供給タンク80、第2供給タンク100)および回収タンク(第1回収タンク90、第2回収タンク110)を設ける場合、複数のインクジェットヘッドひいては複数の供給タンクおよび回収タンクの数だけ、負圧発生源(減圧タンクおよび真空ポンプ)を用意する必要がない。よって、装置コストの増大を招くことなく、複数のインクジェットヘッドのそれぞれに流れるインクの流量を任意に調整することができる。
【0091】
なお、上記実施の形態では、インク供給機構60は、第1供給タンク80と第1回収タンク90との間の内部圧力差(0kPa=-2.5-(-2.5))が、第2供給タンク100と第2回収タンク110との間の内部圧力差(12kPa=-2.5-(-14.5))と異なる、つまり供給タンクおよび回収タンク間における複数種の圧力差条件で複数のインクジェットヘッド242A、242Bを駆動する構成である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、インク供給機構60は、第1供給タンク80と第1回収タンク90との間の内部圧力差が、第2供給タンク100と第2回収タンク110との間の内部圧力差と同じ、つまり供給タンクおよび回収タンク間における1種の圧力差条件で複数のインクジェットヘッド242A、242Bを駆動する構成であっても良い。
【0092】
また、上記実施の形態では、インクを供給する供給タンクと、インクジェットヘッドと、インクを回収する回収タンクとの間でインクを循環させつつ、インクジェットヘッドに対してインクを供給するインク供給機構60に対して第1流体抵抗部を設ける例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、供給タンクと、インクジェットヘッドと、回収タンクとの間でインクを循環させず、供給タンクからインクジェットヘッドに対してインクを供給するインク供給機構に対して第1流体抵抗部を設けて供給タンクの内部圧力を1つの負圧発生源と異なる所望の圧力に任意に調整しても良い。
【0093】
また、上記実施の形態では、シングルパス形式のインクジェット画像形成装置1を例に挙げて説明したが、ヘッドユニットを走査させながら画像の記録を行うインクジェット画像形成装置に本発明を適用しても良い。また、ヘッドユニットに単一のノズルが設けられたインクジェット画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0094】
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 インクジェット画像形成装置
2 外部装置
10 給紙部
11 給紙トレイ
12 媒体供給部
20 画像形成部
21 搬送部
211 搬送ドラム
211a 搬送面
22 受け渡しユニット
23 加熱部
24 ヘッドユニット
241 ヘッド駆動部
242,242A,242B インクジェットヘッド
243 ノズル
244 取り付け部材
25 定着部
28 デリバリー部
30 排紙部
31 排紙トレイ
40 制御部
41 CPU
42 RAM
43 ROM
44 記憶部
51 搬送駆動部
52 操作表示部
53 入出力インターフェース
60 インク供給機構
61 減圧タンク
62 真空ポンプ
63 真空路
64,83,93,103 開閉弁
65 圧力検出部
70,71,72,73,74 連通路
75,77 インク供給路
76,78 インク回収路
80 第1供給タンク
81,91,101 第1流体抵抗部
82,92,102 大気連通路
84,94,104 第2流体抵抗部
90 第1回収タンク
100 第2供給タンク
110 第2回収タンク
L インク
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4