(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】通知システム、通知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240702BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20240702BHJP
B60W 40/09 20120101ALI20240702BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240702BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W40/08
B60W40/09
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2022550287
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2020035446
(87)【国際公開番号】W WO2022059164
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】久保田 七海
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-130178(JP,A)
【文献】特開2007-170232(JP,A)
【文献】特開2018-106530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得する運転特徴情報取得手段と、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定する状態推定手段と、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出す
るイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行する検出手段と、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知手段と、
を有する通知システム。
【請求項2】
前記通知情報では、前記検出す
るイベントとして、移動体に搭載されたセンサで収集された所定の計測値が基準範囲を逸脱するイベントが定義されており、前記基準範囲の上限値又は下限値が前記運転特徴毎に異なる請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記通知情報では、前記検出す
るイベントとして、移動体に搭
載されたセンサで収集された所定の計測値が基準範囲を逸脱するイベントが定義されており、前記基準範囲の上限値又は下限値が前記ドライバの状態毎に異なる請求項1又は2に記載の通知システム。
【請求項4】
前記運転特徴情報取得手段は、前記運転レベルを含む前記運転特徴を示す前記運転特徴情報を取得し、
前記通知情報で定義されている前記検出す
るイベントの数は、前記運転レベルが低いほど多い請求項1から3のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項5】
前記運転特徴情報取得手段は、前記運転レベルを含む前記運転特徴を示す前記運転特徴情報を取得し、
前記検出手段は、前記運転特徴情報で示される
前記運転レベルが基準値以下の場合、所定のトラブルなしで所定の運転操作が行えたことを第1のイベントとして検出し、
前記通知手段は、前記第1のイベントの検出に応じて、前記運転操作が上手かった旨を前記ドライバに通知する請求項1から4のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項6】
前記運転特徴情報取得手段は、前記運転レベルを含む前記運転特徴を示す前記運転特徴情報を取得し、
前記通知手段は、前記運転特徴情報で示される
前記運転レベルが過去に取得した前記運転特徴情報で示される
前記運転レベルから向上した場合、その旨を前記ドライバに通知する請求項1から5のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項7】
前記運転特徴情報は、前記ドライバの過去の運転時に移動体に搭載されたセンサで収集されたデータに基づき生成される請求項1から6のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項8】
前記ドライバの状態は、前記ドライバの感情を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の通知システム。
【請求項9】
コンピュータが、
ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得し、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定し、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出す
るイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行し、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知方法。
【請求項10】
コンピュータを、
ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得する運転特徴情報取得手段、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定する状態推定手段、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出す
るイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行する検出手段、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知システム、通知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1及び2に開示されている。特許文献1は、報知した後のドライバの感情を検出し、検出結果に応じて報知条件を変更する技術を開示している。また、特許文献1は、ドライバが不安を感じているか否かを判断し、不安を感じている時には報知を実施することを決定し、不安を感じていない時には報知を実施しないことを決定する技術を開示している。また、特許文献2は、ドライバの苦手なカーブを予め特定しておき、苦手なカーブを走行する際に警告を行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-179704号公報
【文献】特開2007-171154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライバに各種通知を行うことで事故回避等を実現できる。しかし、不必要かつ過度な通知により、通知の信憑性低下や、ドライバが通知機能を切るといった不都合に繋がる恐れがある。そこで、適切な頻度で適切な通知を行う技術が望まれている。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、通知の仕方の調整において、その時々で変化し得るドライバの感情を考慮しているものの、ドライバの運転レベルや運転傾向等の本質的な特徴は考慮してない。一方、特許文献2は、通知の仕方の調整において、得手不得手というドライバの本質的な特徴を考慮しているものの、その時々で変化し得るドライバの状態を考慮していない。このため、特許文献1及び2に記載の技術は、不必要かつ過度な通知を十分に回避できない場合がある。
【0006】
本発明の課題は、ドライバに対して適切な頻度で適切な通知を行う技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得する運転特徴情報取得手段と、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定する状態推定手段と、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行する検出手段と、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知手段と、
を有する通知システムが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得し、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定し、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行し、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得する運転特徴情報取得手段、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定する状態推定手段、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行する検出手段、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドライバに対して適切な頻度で適切な通知を行う技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の通知システムのハードウエア構成図の一例である。
【
図2】本実施形態の通知システムの実現例を示す機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態の通知システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態の通知システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図5】本実施形態の通知システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態の通知システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態の通知システムの実現例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
「概要」
本実施形態の通知システムは、ドライバの本質的な特徴(運転レベルや運転傾向等)と、その時のドライバの状態(感情、眠気、注意散漫等)とに基づき、ドライバへの通知の仕方を調整する。具体的には、予め、ドライバの特徴毎かつドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及び各イベント検出時にドライバに通知する内容が定められている。そして、通知システムは、ドライバの本質的な特徴とその時のドライバの状態に基づき検出すべきイベント、及び各イベント検出時にドライバに通知する内容を決定する。
【0014】
「構成」
次に、通知システムの構成を説明する。まず、通知システムのハードウエア構成の一例を説明する。通知システムの各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0015】
図1は、通知システムのハードウエア構成を例示するブロック図である。
図1に示すように、通知システムは、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。通知システムは周辺回路4Aを有さなくてもよい。
【0016】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0017】
通知システムは物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。後者の場合、複数の装置各々が
図1に示すようなハードウエア構成を備えることができる。
【0018】
次に、通知システム10の機能構成を説明する。
図2に示すように、通知システム10は、移動体搭載装置1で構成される。移動体搭載装置1は、移動体に搭載される装置である。移動体は、ドライバの操作に基づき移動する物体であり、自動車、二輪車、トラック、電車等の車両や、航空機、船舶等が挙げられる。
【0019】
図3に示すように、通知システム10は、運転特徴情報取得部11と、状態推定部12と、検出部13と、通知部14と、記憶部15とを有する。
【0020】
運転特徴情報取得部11は、ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得する。予め、記憶部15に運転特徴情報が記憶されている。そして、運転特徴情報取得部11は、記憶部15に記憶されている運転特徴情報を読み出すことで、運転特徴情報の取得を実現する。
【0021】
なお、複数のドライバ(ユーザ)各々の運転特徴情報がドライバ識別情報に紐付けて記憶部15に記憶できるように構成されていてもよい。この場合、運転特徴情報取得部11はドライバ識別情報を取得し、取得したドライバ識別情報に紐付く運転特徴情報を読み出す。ドライバ識別情報は、生体情報(指紋情報、顔情報(顔の外観の特徴量)、声紋情報、虹彩情報等)であってもよいし、氏名やニックネームであってもよいし、その他の文字や数字の組み合わせであってもよいし、その他であってもよい。通知システム10は、これらのドライバ識別情報の入力を受付ける入力装置を備えており、当該入力装置を介してドライバ識別情報の入力を受付ける。
【0022】
その他、通知システム10と通信可能に構成されたサーバに、複数のドライバ各々の運転特徴情報がドライバ識別情報に紐付けて記憶されていてもよい。この場合、運転特徴情報取得部11は、上記と同様にしてドライバ識別情報を取得すると、取得したドライバ識別情報に紐付く運転特徴情報をサーバに要求し、サーバから所定の運転特徴情報を取得する。
【0023】
運転特徴情報取得部11が運転特徴情報を取得するタイミングは特段制限されないが、移動体の電源がONになった後、かつ、移動体の移動が開始する前のタイミングとすることが好ましい。
【0024】
次に、記憶部15に記憶されている運転特徴情報を生成する処理の例を説明する。
【0025】
「生成処理例1」
運転特徴情報は、ドライバの過去の運転時に移動体に搭載されたセンサで収集されたデータに基づき生成されてもよい。移動体に搭載されたセンサの種類は特段制限されず、広く知られたあらゆるセンサを含むことができる。例えば、移動体に搭載されたセンサは、ハンドル、アクセル、ブレーキ、ウインカー、ライト等のドライバにより操作されるあらゆる操作対象に対する操作内容を検出するセンサや、移動体の速度を検出するセンサや、移動体の外部の状況を検出するセンサ(カメラ、マイク、測距センサ、物体検出センサ等)や、移動体の内部の状況を検出するセンサ(カメラ、マイク、ドライバのバイタル情報(心拍数、呼吸、血圧、体温等)を検出するセンサ等)や、移動体の位置を検出するセンサ等を含んでもよい。バイタル情報を取得するセンサは、移動体のハンドル部分に設置されてもよい。例えば、ECU(electronic control unit)からこれらのセンサが生成したデータを取得してもよい。
【0026】
これらのセンサが生成したデータに基づきドライバの運転レベルや運転傾向を算出するアルゴリズムは設計的事項であり、周知のあらゆる技術を採用できる。また、これらのセンサが生成したデータに基づきドライバの運転レベルや運転傾向を算出する処理は、通知システム10が行ってもよいし、通知システム10と通信可能に構成されたサーバが行ってもよいし、その他の装置が行ってもよい。
【0027】
なお、運転レベルは、運転技術の習熟度を示し、例えばレベル1~5のように複数段階に分かれた指標で示されてもよいし、100点満点のスコアで示されてもよいし、その他の手法で示されてもよい。
【0028】
運転傾向は、予め定義された複数の運転操作各々におけるドライバの運転の仕方の傾向を示す。例えば、運転傾向は、前方車両との車間距離の傾向(例:基準値より近い危険距離、基準値より遠い安全距離)、車線変更・右左折時の周辺車両との距離の傾向(例:基準値より近い危険距離、基準値より遠い安全距離)、歩行者・自転車・二輪車等の横を通り過ぎる時のそれらとの距離の傾向(例:基準値より近い危険距離、基準値より遠い安全距離)、法定速度超過傾向(例:超過傾向あり、超過傾向なし)、信号の遵守傾向(例:赤信号や黄信号時に停止する安全運転、赤信号や黄信号時に進行する危険運転)、ブレーキタイミング傾向(例:赤信号検知後にブレーキ、黄信号時にブレーキ)、走行レーン内の走行位置の傾向(例:走行レーンを区切る左右のラインとの距離がばらつく不安定運転、当該距離がばらつかない安定運転)、ウインカーを出すタイミングの傾向(例:右左折時の直前にウインカーを出す、右左折のM秒前にウインカーを出す)、車線変更の得手不得手(例:他の車両の運転を妨げない車線変更(他の車両による減速や車線変更等が不要)ができる(得意)、他の車両の運転を妨げる傾向(苦手))等が例示される。
【0029】
「生成処理例2」
運転特徴情報は、ドライバの申告内容に基づき生成されてもよい。例えば、運転に関する各種質問(運転歴、運転頻度、運転傾向等)を含むアンケートが各ドライバに対して実施されてもよい。そして、所定のアルゴリズムで、そのアンケートの回答結果から運転レベルや運転傾向が算出されてもよい。アンケートの回答の入力の受付や、アンケートの回答結果から運転レベルや運転傾向を算出する処理は、通知システム10が行ってもよいし、通知システム10と通信可能に構成されたサーバが行ってもよいし、その他の装置が行ってもよい。
【0030】
状態推定部12は、ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、ドライバの状態を推定する。バイタル情報は、心拍数、呼吸、血圧、体温等である。外観画像は、少なくともドライバの顔を含む画像である。当該外観画像により、ドライバの表情や視線方向が検出できる。発話データは、ドライバの発話内容を録音した音声データである。当該発話データにより、ドライバの発話内容や声の大きさ等が検出できる。
【0031】
推定するドライバの状態は、ドライバの感情、ドライバの眠気の有無及びドライバの注意状態(注意散漫、集中等)の中の少なくとも1つを含む。感情は、平常心(平常状態、平常時)、焦り、イライラ、不安、安心、怒り、緊張、リラックス等であるが、これらに限定されない。状態推定部12は、バイタル情報(心拍数、呼吸、血圧、体温等)の時間変化や、予め登録されている平常時のバイタル情報との比較結果や、ドライバの表情や、ドライバの表情の時間変化や、予め登録されている平常時のドライバの表情との比較結果や、ドライバの視線方向や、ドライバの視線方向の時間変化や、ドライバの発話内容や、ドライバの声の大きさや、ドライバの声の大きさの時間変化や、予め登録されている平常時のドライバの声の大きさとの比較結果等に基づき、上述のような状態を推定することができる。これらのデータから上記状態を推定するアルゴリズムは設計的事項であり、あらゆる技術を採用できる。
【0032】
状態推定部12は、ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つを繰り返し取得し、ドライバの最新の状態を繰り返し推定する。例えば、移動体の電源がONになっている間、状態推定部12は当該処理を継続してもよい。
【0033】
記憶部15は、運転特徴毎かつドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及びイベント検出時にドライバに通知する内容を定めた通知情報を記憶している。
【0034】
図4に通知情報の一例を示す。図示する例では、運転レベル毎かつドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及びイベント検出時にドライバに通知する内容が定められている。
【0035】
検出すべきイベントは、各運転レベルのドライバが各状態の時に生じた場合にドライバに通知することが好ましいイベントであり、その内容は運転レベルやドライバの状態に応じて異なる。運転レベルが低いほど、検出して通知すべきイベントの数は多くなる。また、状態が不安定(イライラ、不安、焦り、眠気、注意散漫等)である方が、状態が安定(平常心等)している場合よりも、検出して通知すべきイベントの数は多くなる。
【0036】
また、検出すべきイベントとして、移動体に搭載されたセンサで収集された所定の計測値が基準範囲を逸脱するイベントが定義されてもよい。計測値は、周辺物体との距離や、左右の走行レーンまでの距離や、移動体の速度等であるが、これらに限定されない。そして、基準範囲の上限値又は下限値は運転特徴毎(運転レベル、運転傾向)に異なってもよい。また、基準範囲の上限値又は下限値はドライバの状態毎に異なってもよい。
【0037】
また、通知される情報の量(通知される内容の量)は、運転レベルやドライバの状態に応じて異なってもよい。運転レベルが低いほど、通知される情報の量は多くなる。また、状態が不安定(イライラ、不安、焦り、眠気、注意散漫等)である方が、状態が安定(平常心等)している場合よりも、通知される情報の量は多くなる。
【0038】
図5に通知情報の他の一例を示す。図示する例では、運転傾向毎かつドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及びイベント検出時にドライバに通知する内容が定められている。図示する例では、一例として以下の内容が定義されている。
【0039】
「運転傾向:車線変更が苦手」かつ「状態:焦り」であるドライバに対し、車線変更が上手くできたとき(例:他の車両の運転を妨げずに(他の車両による減速や車線変更等が不要)車線変更ができたとき)に、うまく車線変更できた旨をドライバに通知する。この場合、他の車両の運転を妨げずに車線変更ができたことが、検出すべきイベントとなる。
【0040】
「運転傾向:車線変更が得意(スムーズ)」かつ「状態:焦り」であるドライバに対し、車線変更先のレーンにおいて後方から急接近中の車両(例:所定速度以上で移動中、かつ、距離が閾値未満の車両)を検出した場合に、その旨を通知する。なお、当該通知は、「運転傾向:車線変更が苦手」かつ「状態:焦り」であるドライバに対して行ってもよい。この場合、車線変更先のレーンにおいて後方から急接近中の車両の存在が、検出すべきイベントとなる。
【0041】
「運転傾向:法定速度超過傾向あり」かつ「状態:焦り」であるドライバに対し、予め(法定速度が超過する前に)速度に関する注意喚起を行う。通知のタイミングは任意である。所定時間おきに繰り返し速度に関する注意喚起を行ってもよい。この場合、予め定められた通知のタイミングの到来が、検出すべきイベントとなる。
【0042】
「運転傾向:法定速度超過傾向なし(法定速度付近)」かつ「状態:焦り」であるドライバに対し、予め定められた落ち着く音楽をかけたり、予め定められた落ち着くにおいを移動体内に放出したりする。音楽をかけたり、においを放出したりするタイミングは任意である。なお、当該処理は、「運転傾向:法定速度超過傾向あり」かつ「状態:焦り」であるドライバに対して行ってもよい。この場合、予め定められた音楽をかけたり、においを放出したりするタイミングの到来が、検出すべきイベントとなる。
【0043】
「運転傾向:走行位置が不安定」かつ「状態:焦り」であるドライバ、及び、「運転傾向:走行位置が安定」かつ「状態:焦り」であるドライバに対し、走行レーンを区切る左右のラインとの距離が閾値以下になったタイミングでその旨を通知する。そして、この閾値を平常時よりも大きくし、通知の頻度を高める。この場合、走行レーンを区切る左右のラインとの距離が閾値以下になったことが、検出すべきイベントとなる。
【0044】
「運転傾向:法定速度超過傾向あり」かつ「状態:イライラ」であるドライバに対し、予め(法定速度が超過する前に)速度に関する注意喚起を行う。通知のタイミングは任意である。所定時間おきに繰り返し速度に関する注意喚起を行ってもよい。この場合、予め定められた通知のタイミングの到来が、検出すべきイベントとなる。
【0045】
「運転傾向:法定速度超過傾向なし(法定速度付近)」かつ「状態:イライラ」であるドライバに対し、予め定められた落ち着く音楽をかけたり、予め定められた落ち着くにおいを移動体内に放出したりする。音楽をかけたり、においを放出したりするタイミングは任意である。なお、当該処理は、「運転傾向:法定速度超過傾向あり」かつ「状態:イライラ」であるドライバに対して行ってもよい。この場合、予め定められた音楽をかけたり、においを放出したりするタイミングの到来が、検出すべきイベントとなる。
【0046】
「運転傾向:走行位置が不安定」かつ「状態:イライラ」であるドライバ、及び、「運転傾向:走行位置が安定」かつ「状態:イライラ」であるドライバに対し、走行レーンを区切る左右のラインとの距離が閾値以下になったタイミングでその旨を通知する。そして、この閾値を平常時よりも大きくし、通知の頻度を高める。この場合、走行レーンを区切る左右のラインとの距離が閾値以下になったことが、検出すべきイベントとなる。
【0047】
「運転傾向:車間距離が近い」かつ「状態:イライラ」であるドライバに対し、他の車両との間の車間距離が閾値以下になったタイミングでその旨を通知する。そして、この閾値を平常時よりも大きくし、通知の頻度を高める。この場合、他の車両との車間距離が閾値以下になったことが、検出すべきイベントとなる。
【0048】
「運転傾向:車間距離が安全距離」かつ「状態:イライラ」であるドライバに対し、他の車両との間の車間距離が閾値以下になったタイミングでその旨を通知する。そして、この閾値を平常時と同じ値にする。この場合、他の車両との車間距離が閾値以下になったことが、検出すべきイベントとなる。
【0049】
「運転傾向:車線変更が苦手」かつ「状態:不安」であるドライバに対し、車線変更のためのウインカーを出した時に車線変更するタイミングを案内する。例えば、通知システム10は、車線変更先のレーンにおける走行車両の状況を検出し、検出結果に基づき車線変更するタイミングを算出し、ドライバに通知する。この場合、車線変更のためのウインカーを出したこと(例:右左折時以外の場所、かつ、2車線以上の道路でウインカーを出したこと)が、検出すべきイベントとなる。
【0050】
「運転傾向:車線変更が得意(スムーズ)」かつ「状態:不安」であるドライバに対し、車線変更先のレーンにおいて後方から急接近中の車両(例:所定速度以上で移動中、かつ、距離が閾値未満)を検出した場合に、その旨を通知する。この場合、車線変更先のレーンにおいて後方から急接近中の車両の存在が、検出すべきイベントとなる。
【0051】
「運転傾向:赤信号検知後にブレーキ(赤信号のギリギリ)」かつ「状態:眠気あり」であるドライバ、及び、「運転傾向:黄信号時にブレーキ(余裕をもって止まる)」かつ「状態:眠気あり」であるドライバに対し、移動体の進行方向前方で黄信号を検知した時点でその旨を通知する。例えば、ハンドルを振動することでその旨を通知する。この場合、移動体の進行方向前方における黄信号の存在が、検出すべきイベントとなる。
【0052】
「運転傾向:走行位置が不安定」かつ「状態:眠気あり」であるドライバ、及び、「運転傾向:走行位置が安定」かつ「状態:眠気あり」であるドライバに対し、走行レーンを区切る左右のラインとの距離が閾値以下になったタイミングでその旨を通知する。例えば、ハンドルを振動することでその旨を通知する。なお、この閾値を平常時よりも大きくし、通知の頻度を高めてもよい。この場合、走行レーンを区切る左右のラインとの距離が閾値以下になったことが、検出すべきイベントとなる。
【0053】
「運転傾向:車間距離が近い」かつ「状態:眠気あり」であるドライバに対し、眠気ありと検知したタイミングでその旨を通知する。例えば、ハンドルを振動することでその旨を通知する。
【0054】
「運転傾向:車間距離が安全距離」かつ「状態:眠気あり」であるドライバに対し、他の車両との間の車間距離が閾値以下になったタイミングでその旨を通知する。例えば、ハンドルを振動することでその旨を通知する。なお、この閾値を平常時よりも大きくし、通知の頻度を高めてもよい。この場合、他の車両との車間距離が閾値以下になったことが、検出すべきイベントとなる。
【0055】
「運転傾向:法定速度超過傾向あり」かつ「状態:注意散漫」であるドライバに対し、移動体の速度が閾値を超えたタイミングで注意喚起を行う。この閾値は、例えば法定速度である。この場合、移動体の速度が閾値を超えたことが、検出すべきイベントとなる。
【0056】
「運転傾向:法定速度超過傾向なし(法定速度付近)」かつ「状態:注意散漫」であるドライバに対し、法定速度を超えた状態の継続時間が閾値を超えたタイミングで注意喚起を行う。この場合、移動体の速度が法定速度を超えた状態の継続時間が閾値を超えたことが、検出すべきイベントとなる。
【0057】
「運転傾向:赤信号検知後にブレーキ(赤信号のギリギリ)」かつ「状態:注意散漫」であるドライバに対し、移動体の進行方向前方で黄信号を検知した時点でその旨を通知する。この場合、移動体の進行方向前方における黄信号の存在が、検出すべきイベントとなる。
【0058】
「運転傾向:黄信号時にブレーキ(余裕をもって止まる)」かつ「状態:注意散漫」であるドライバに対し、移動体の進行方向前方で黄信号を検知した後、その時点から所定時間以内に移動体の減速を検出できない場合に、前方信号が黄信号である旨を通知する。この場合、移動体の進行方向前方で黄信号を検知した後、その時点から所定時間以内に移動体の減速を検出できないことが、検出すべきイベントとなる。
【0059】
「運転傾向:走行位置が不安定」かつ「状態:注意散漫」であるドライバに対し、走行レーンを区切る左右のラインとの距離が閾値以下になったタイミングでその旨を通知する。この場合、走行レーンを区切る左右のラインとの距離が閾値以下になったことが、検出すべきイベントとなる。
【0060】
「運転傾向:走行位置が安定」かつ「状態:注意散漫」であるドライバに対し、走行レーンを区切る左右のラインを移動体が超えたタイミングでその旨を通知する。この場合、走行レーンを区切る左右のラインを移動体が超えたことが、検出すべきイベントとなる。
【0061】
図3に戻り、検出部13は、記憶部15に記憶された通知情報(
図4や
図5参照)に基づき、運転特徴情報取得部11により取得された運転特徴情報と、状態推定部12により推定されたドライバの状態とに紐付く「検出すべきイベント」を特定する。そして、検出部13は、移動体に搭載されたセンサで収集されたデータに基づき、その特定したイベントを検出する処理を実行する。
【0062】
通知部14は、検出部13によるイベントの検出に応じて、ドライバに対する通知を実行する。通知部14は、記憶部15に記憶された通知情報に基づき、各イベント検出時にドライバに通知する内容を決定し、決定した内容を通知する。通知部14による通知は、ディスプレイ、スピーカ、投影装置、バイブレータ、ランプ等を介して実現される。
【0063】
次に、
図6のフローチャートを用いて、通知システム10の処理の流れの一例を説明する。
【0064】
まず、運転特徴情報取得部11はドライバの運転特徴情報を取得する(S10)。
【0065】
例えば、運転特徴情報取得部11は、移動体の電源がONになった後、かつ、移動体の移動が開始する前の任意のタイミングで、ドライバ識別情報を取得する。ドライバ識別情報の取得は、運転席に座ったドライバを撮影する位置及び向きで設置されたカメラや、電源ボタンに設置された指紋センサなどを利用して、ドライバによるドライバ識別情報入力のための操作なしで実現されてもよい。その他、ドライバ識別情報の取得は、タッチパネルや操作ボタンやマイクや指紋センサ等の入力装置を利用して、ドライバによるドライバ識別情報入力のための操作に基づき実現されてもよい。
【0066】
運転特徴情報取得部11は、ドライバ識別情報を取得した後、例えばそのドライバ識別情報に紐付けられた運転特徴情報を記憶部15から読み出すことで、運転特徴情報の取得を実現する。
【0067】
また、状態推定部12は、ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、ドライバの状態を推定する処理を開始する(S11)。そして、状態推定部12は、当該処理を継続し、ドライバの状態を繰り返し推定する。
【0068】
次いで、検出部13は、記憶部15に記憶された通知情報(
図4や
図5参照)に基づき、S10で取得された運転特徴情報と、S11で推定された最新のドライバの状態とに紐付く「検出すべきイベント」を特定する(S12)。そして、検出部13は、移動体に搭載されたセンサで収集されたデータに基づき、その特定したイベントを検出する処理を実行する。
【0069】
検出部13がそのイベントを検出した場合(S13のYes)、通知部14は、検出に応じて、ドライバに対する通知を実行する(S14)。通知部14は、記憶部15に記憶された通知情報に基づき、そのイベント検出時にドライバに通知する内容を決定し、決定した内容を通知する。
【0070】
その後、S12以降に繰り返し推定されているドライバの状態がそれまでの状態から変化した場合(S16Yes)、検出部13は、記憶部15に記憶された通知情報(
図4や
図5参照)に基づき、S10で取得された運転特徴情報と、最新のドライバの状態とに紐付く「検出すべきイベント」を特定する(S12)。そして、検出部13は、移動体に搭載されたセンサで収集されたデータに基づき、その特定したイベントを検出する処理を実行する。
【0071】
「変形例」
次に、通知システム10の変形例を説明する。
【0072】
-変形例1-
当該変形例では、
図7に示すように、移動体搭載装置1とサーバ2とで通知システム10が構成される。移動体搭載装置1とサーバ2とは、有線及び/又は無線で通信可能になっている。
図3に示す複数の機能部の中の一部は移動体搭載装置1で実現され、残りはサーバ2で実現される。
【0073】
-変形例2-
検出部13は、運転特徴情報で示される運転レベルが基準値以下の場合、所定のトラブルなしで所定の運転操作が行えたことを第1のイベントとして検出する。例えば、他の車両の運転を妨げるトラブル(他の車両による減速や車線変更等)なしで車線変更できたことを第1のイベントとして検出してもよい。
【0074】
そして、通知部14は、第1のイベントの検出に応じて、その所定の運転操作が上手かった旨をドライバに通知する。
【0075】
-変形例3-
通知部14は、運転特徴情報で示される運転レベルが過去に取得した運転特徴情報で示される運転レベルから向上した場合、その旨をドライバに通知する。
【0076】
上述の通り、一例では、運転特徴情報は、ドライバの過去の運転時に移動体に搭載されたセンサで収集されたデータに基づき生成される。この場合、新たに当該データが収集されると、それに応じて運転特徴情報が更新される。例えば、運転特徴情報が更新され、運転レベルが過去の運転レベルから向上した場合、その旨を示す情報がその運転特徴情報に登録されてもよい。そして、通知部14は、運転特徴情報取得部11により新たに取得された運転特徴情報の中に、過去の運転レベルから向上した旨が登録されている場合、運転レベルから向上した旨をドライバに通知してもよい。
【0077】
なお、この通知は、運転特徴情報で示される運転レベルが基準値以下のドライバに対してのみ行ってもよいし、すべてのドライバに対して行ってもよい。
【0078】
-変形例4-
検出部13は、移動体の周辺の障害物が絡んだ危険(イベント)を検出する。例えば、検出部13は、周辺の障害物との接近(距離が閾値以下)を検出する。
【0079】
通知部14は、当該イベントが検出された場合、移動体に搭載されたセンサで収集されたデータに基づき、そのイベントにおけるドライバの落ち度を判定する。例えば、走行レーン内の走行位置や信号の状況に基づき、ドライバがルールに従わない運転を行っていたか(例:赤信号時に進行、走行レーンをはみ出して走行等)等を判定する。そして、ドライバの落ち度がないと判定した場合、通知部14はその旨をドライバに通知する。この通知により、ドライバは安心し、平常心を保つことができる。
【0080】
なお、この通知は、運転特徴情報で示される運転レベルが基準値以下のドライバに対してのみ行ってもよいし、すべてのドライバに対して行ってもよい。また、検出した危険の種類に応じて、通知するドライバの運転レベルを決定してもよい。当然、運転レベルが低いほど、通知の頻度は高くなるように設定される。
【0081】
「作用効果」
本実施形態の通知システム10によれば、ドライバの本質的な特徴(運転レベルや運転傾向等)と、その時のドライバの状態(感情、眠気、注意散漫等)とに基づき、ドライバへの通知の仕方を調整することができる。このため、各ドライバに対し、各ドライバのその時の状態にあった適切な頻度で適切な通知を行うことができる。
【0082】
また、本実施形態の通知システム10によれば、運転レベルが低いドライバが所定のトラブルなしで所定の運転操作を行えた場合、その運転操作が上手かった旨をドライバに通知することができる。当該通知により、ドライバは自分の運転に自信を持つことができる。なお、運転レベルが高いドライバにとっては、当該通知は煩わしく感じる可能性が高い。このため、運転レベルが高いドライバに対しては、当該通知を行わない。このように、通知システム10によれば、各ドライバに対し、各ドライバにあった適切な通知を行うことができる。
【0083】
また、本実施形態の通知システム10によれば、運転レベルが上がった旨をドライバに通知することができる。当該通知により、ドライバは自分の運転に自信を持つことができる。
【0084】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0085】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
1. ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得する運転特徴情報取得手段と、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定する状態推定手段と、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行する検出手段と、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知手段と、
を有する通知システム。
2. 前記通知情報では、前記検出すべきイベントとして、移動体に搭載されたセンサで収集された所定の計測値が基準範囲を逸脱するイベントが定義されており、前記基準範囲の上限値又は下限値が前記運転特徴毎に異なる1に記載の通知システム。
3. 前記通知情報では、前記検出すべきイベントとして、移動体に塔体されたセンサで収集された所定の計測値が基準範囲を逸脱するイベントが定義されており、前記基準範囲の上限値又は下限値が前記ドライバの状態毎に異なる1又は2に記載の知システム。
4. 前記通知情報で定義されている前記検出すべきイベントの数は、前記運転レベルが低いほど多い1から3のいずれかに通知システム。
5. 前記検出手段は、前記運転特徴情報で示される運転レベルが基準値以下の場合、所定のトラブルなしで所定の運転操作が行えたことを第1のイベントとして検出し、
前記通知手段は、前記第1のイベントの検出に応じて、前記運転操作が上手かった旨を前記ドライバに通知する1から4のいずれかに記載の通知システム。
6. 前記通知手段は、前記運転特徴情報で示される運転レベルが過去に取得した前記運転特徴情報で示される運転レベルから向上した場合、その旨を前記ドライバに通知する1から5のいずれかに記載の通知システム。
7. 前記運転特徴情報は、前記ドライバの過去の運転時に移動体に搭載されたセンサで収集されたデータに基づき生成される1から6のいずれかに記載の通知システム。
8. 前記ドライバの状態は、前記ドライバの感情を含む1から7のいずれかに記載の通知システム。
9. コンピュータが、
ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得し、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定し、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行し、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知方法。
10. コンピュータを、
ドライバの運転レベル及び運転傾向の少なくとも一方を含む運転特徴を示す運転特徴情報を取得する運転特徴情報取得手段、
前記ドライバのバイタル情報、外観画像及び発話データの中の少なくとも1つに基づき、前記ドライバの状態を推定する状態推定手段、
前記運転特徴毎かつ前記ドライバの状態毎に、検出すべきイベント、及び前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を定めた通知情報に基づき、前記取得された運転特徴情報及び前記推定された状態に紐付く前記イベントを特定し、特定した前記イベントを検出する処理を実行する検出手段、
前記イベント検出時に前記ドライバに通知する内容を前記通知情報に基づき決定し、決定した内容を通知する通知手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0086】
10 通知システム
11 運転特徴情報取得部
12 状態推定部
13 検出部
14 通知部
15 記憶部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス