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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】送信装置及び送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/077 20130101AFI20240702BHJP
   H04B 10/291 20130101ALI20240702BHJP
【FI】
H04B10/077 170
H04B10/291
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022572254
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2021046476
(87)【国際公開番号】W WO2022138431
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2020210946
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 上総
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-197788(JP,A)
【文献】特開2003-60592(JP,A)
【文献】特開2003-32190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0318926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/077
H04B 10/291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出する第1検出部と、
前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、自送信装置が備えられる光海底装置である自光海底装置以外の光海底装置である第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出する第2検出部と、
第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳する、第1重畳部と、
前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する第1更新部と、
を備える、送信装置。
【請求項2】
前記第1更新部は、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出が完了するたびに、前記第1の段階に対して、1段階の、第1の増減を行い、
前記第1更新部は、前記第1応答信号の検出が完了するたびに、前記第1の段階に対して、前記1段階の、前記第1の増減とは逆向きの増減を行う、
請求項1に記載された送信装置。
【請求項3】
前記第1更新部は、前記第1コマンド信号の直近の検出が完了した時刻からの経過時間が第1閾値を超えた場合に、前記第1の段階を前記第1設定段階にする、
請求項1又は請求項2に記載された送信装置。
【請求項4】
前記第1光信号の周波数帯と前記第1コマンド信号の周波数帯とは重ならず、前記第2光信号の周波数帯と前記第1応答信号の周波数帯とは重ならない、
請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一に記載された送信装置。
【請求項5】
前記第1他光海底装置は、前記光海底装置から、前記第1光信号の進行方向にある光海底装置である、
請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一に記載された送信装置。
【請求項6】
前記第1検出部は、受信した前記第1コマンド信号に含まれる前記第1他光海底装置の識別子から、前記第1コマンド信号の宛先が、前記第1他光海底装置か否かを識別する、
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一に記載された送信装置。
【請求項7】
前記第2光信号に重畳された第2コマンド信号を検出する第3検出部と、
前記第2光信号に、前記自光海底装置以外の光海底装置である第2他光海底装置により重畳された、前記第2コマンド信号に対する応答信号である第2応答信号を検出する第4検出部と、
第2送信許可情報の段階である第2の段階が第2設定段階の場合に、前記宛先を前記自光海底装置とする前記第2コマンド信号に対する応答信号である第2応答信号を、前記第1光信号に重畳する、第2重畳部と、
前記第2の段階を、前記宛先を前記第2他光海底装置とする前記第2コマンド信号の検出完了回数と、前記第2応答信号の検出完了回数と、から更新する第2更新部と、
を備える、
請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一に記載された送信装置。
【請求項8】
前記第2更新部は、前記宛先を前記第2他光海底装置とする前記第2コマンド信号の検出が完了するたびに、前記第2の段階に対して、1段階の、第1の増減を行い、
前記第1更新部は、前記第1応答信号の検出が完了するたびに、前記第2の段階に対して、前記1段階の、前記第1の増減とは逆向きの増減を行う、
請求項7に記載された送信装置。
【請求項9】
前記第2更新部は、前記第2コマンド信号の直近の検出が完了した時刻からの経過時間が第2閾値を超えた場合に、前記第2の段階を前記第2設定段階にする、
請求項7又は請求項8に記載された送信装置。
【請求項10】
光海底ケーブルを通じた光通信を行う光海底ケーブルシステムに備えられる光海底装置における送信方法であって、
前記光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出し、
前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、自光海底装置以外の光海底装置である第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出し、
第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳し、
前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する、
送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸上端局装置からのコマンド信号に応答する光海底装置における、送信装置、送信方法及び送信プログラムの記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光海底ケーブルシステムが備える光海底装置において、陸上端局装置から送信されるコマンド信号に対し、そのコマンド信号の送信元の陸上端局装置に向けて応答信号を送信する機能が求められている。この機能により、光海底装置の設定情報や各種アラーム、モニタ値といった様々な情報をその陸上端局装置から取得することが可能になる。
【0003】
ここで、特許文献1は、主信号と制御信号とを含む第1の光信号から制御情報を含む信号を出力し、制御情報に基づいて制御を実行し、主信号とは異なる波長帯の応答信号を制御に応じて出力する光伝送装置を開示する。
【0004】
また、特許文献2は、光伝送装置が出力した光信号を処理する光コンポーネントと、光コンポーネントを制御する制御部と、光信号と制御信号とを受信し、制御信号を電気信号に変換して制御部に出力する受信部と、を備える海底光伝送装置を開示する。
【0005】
また、特許文献3は、端局が変調された第1の副信号を主信号に重畳して送信し、光中継器が応答信号で変調された第1の副信号と異なる周波数の第2の副信号を主信号に重畳して端局に返送する光中継器の監視方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2020/137821号
【文献】国際公開第2019/116776号
【文献】特開平08-298486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光海底ケーブルシステムが、背景技術の項で説明した応答信号を送信する機能を備える場合、一本の光ファイバを通じて応答信号を送信する光海底装置の数が増えると、各光海底装置から陸上端局装置への応答信号の混線が懸念される。
【0008】
この混線を避ける方法として、陸上端局装置からある光海底装置へコマンド信号を送信した後、陸上端局装置がそのコマンド信号に対する応答信号を受信するまでの間は、他のコマンド信号を送信しない方法が考えられる。しかしながら、この方法は、陸上端局が複数のコマンド信号を連続で送信することができず、さらに、陸上端局装置での煩雑なコマンド信号の送信タイミングの制御が要求される。
【0009】
この問題を避けるために、応答信号用の波長帯を光海底装置ごとに設定する方法が考えられる。しかしながら、この方法を適用すると、応答信号用の波長帯の幅が大きくなる。そのため、通信用光信号に割り当てられる波長帯の数が減り、通信容量が低下する。ここで、本明細書において、「通信用光信号」は、陸上端局装置間で行われる光通信に用いられる光信号をいう。
【0010】
この問題を避けるために、通信用光信号に対して光海底装置ごとに設定される異なる周波数帯により、通信用光信号を変調することで、応答信号を送信する方法が考えられる。しかしながら、この方法は、通信用光信号が変調される複数の周波数が混在していることによる復調の煩雑さが問題となる。
【0011】
本発明は、陸上端局装置でのコマンド信号の送信タイミングの制御及び応答信号の復調が容易であり、通信用により広い周波数帯を確保できる送信装置等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の送信装置は、光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出する第1検出部と、前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、自送信装置が備えられる光海底装置である自光海底装置以外の光海底装置である第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出する第2検出部と、第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳する、第1重畳部と、前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する第1更新部と、を備える。
【0013】
本発明の送信方法は、光海底ケーブルを通じた光通信を行う光海底ケーブルシステムに備えられる光海底装置における送信方法であって、前記光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出し、前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、自光海底装置以外の光海底装置である第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出し、第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳し、前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する、手順を含む。
【0014】
本発明の送信プログラムの記録媒体は、光海底ケーブルを通じた光通信を行う光海底ケーブルシステムに備えられる光海底装置が備えるコンピュータに、前記光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出する処理と、前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、自光海底装置以外の光海底装置である第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出する処理と、第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳する処理と、前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する処理と、をコンピュータに実行させるプログラムを記録した、記録媒体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の、送信装置等は、陸上端局装置でのコマンド信号の送信タイミングの制御及び応答信号の復調が容易であり、通信用により広い周波数帯を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の光海底ケーブルシステムの構成例を表す概念図である。
図2】第1実施形態の光海底装置の構成例を表す概念図である。
図3】第1応答情報の格納処理の例を表す概念図である。
図4】第1応答信号の送信処理の例を表す概念図である。
図5】第1送信許可値の更新処理の例を表す概念図である。
図6】各動作等のタイミングチャートの具体例を表す概念図である。
図7】第1送信許可値の更新処理(第2実施形態における追加分)の例を表す概念図である。
図8】第3実施形態の光海底装置の構成例を表す概念図である。
図9】第4実施形態の光海底装置の構成例を表す概念図である。
図10】実施形態の送信装置の最小限の構成を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
本実施形態の光海底ケーブルシステムにおいては、一方の陸上端局装置が、光海底装置へコマンド信号(第1コマンド信号)を送信する。そして、その光海底装置は、第1コマンド信号に対する応答信号(第1応答信号)をその陸上端局装置へ送信する。
[構成と動作]
図1は、本実施形態の光海底ケーブルシステムの例である光海底ケーブルシステム10の構成を表す概念図である。光海底ケーブルシステム10は、陸上端局装置11及び12と、光海底装置21乃至2nとを備える。光海底ケーブルシステム10は、陸上端局装置11と陸上端局装置12との間で、光ファイバF1及びF2を備える海底光ケーブルを通じて、双方向の光通信を行うためのものである。
【0018】
陸上端局装置11から陸上端局装置12への光通信は光ファイバF1を進行する光信号S1により行われる。一方、陸上端局装置12から陸上端局装置11への光通信は、光ファイバF2を進行する光信号S2により行われる。光ファイバF1及びF2の各々は、一本又は複数本の光ファイバである。
【0019】
光海底装置21乃至2nのn台の光海底装置は、陸上端局装置11が光信号S1に重畳して送信する第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、光信号S2に重畳して陸上端局装置11へ送信する光海底装置である。ここで、nは、2以上の整数である。また、nが2の時は、光海底装置2nは図1からは削除される。
【0020】
第1コマンド信号の周波数帯は、光信号S1に含まれる通信用光信号の周波数帯とは重ならないように設定されている。第1コマンド信号の周波数帯は、例えば、光信号S1に含まれる通信用光信号の周波数帯より、低く設定される。
【0021】
また、第1応答信号の周波数帯は、光信号S2に含まれる通信用光信号の周波数帯とは重ならないように設定されている。第2応答信号の周波数帯は、例えば、光信号S2に含まれる通信用光信号の周波数帯より、低く設定される。第1コマンド信号の周波数帯が、第1応答信号の周波数帯と重なるか否かについては任意である。
【0022】
以下、陸上端局装置11が光信号S1に重畳して送信する第1コマンド信号に対し、第1応答信号を光信号S2に重畳して陸上端局装置11へ送信する光海底装置を「第1対象光海底装置」ということにする。光海底装置は、例えば、光中継装置や分岐装置等である。
【0023】
陸上端局装置11と光海底装置21との間、隣り合う2台の第1対象光海底装置の間、又は、光海底装置2nと陸上端局装置12との間に、第1対象光海底装置ではない光海底装置が設置されていても構わない。
【0024】
図2は、図1の光海底装置21乃至2nの各々の例である光海底装置20の構成を表す概念図である。光海底装置20は、受信回路R1及びR2と、制御部CTと、記憶部MMと、送信回路T1と、光カプラC1及びC2とを備える。
【0025】
光ファイバF1を通じて陸上端局装置11から送信された光信号S1の一部は、光カプラC1により分離され、受信回路R1に入力される。光信号S1には、陸上端局装置11からいずれかの第1対象光海底装置へ送信される第1コマンド信号が重畳される時間帯がある。
【0026】
一方、光ファイバF2を通じて陸上端局装置12から送信された光信号S2の一部は、光カプラC2により分離され、受信回路R2に入力される。光信号S2には、陸上端局装置12と光海底装置20との間の第1対象光海底装置からの第1応答信号が重畳されている時間帯がある。第1応答信号は第1コマンド信号への応答信号である。
【0027】
受信回路R1は、入力された光信号S1に重畳された第1コマンド信号を受信する。第1コマンド信号には、光海底装置20宛のものと他の第1対象光海底装置宛のものとがある。受信回路R1は、第1コマンド信号が光海底装置20宛のものであるか他の第1対象光海底装置宛のものであるかによらず、第1コマンド信号の受信信号を、制御部CTへ送付する。
【0028】
受信回路R2は、入力された光信号S2に第1応答信号が重畳されている場合には、その第1応答信号を受信する。当該受信は、必ずしも、第1応答信号の送信元や内容を認識するレベルのものである必要はない。当該受信は、例えば、第1応答信号であることが認識できる程度の検出であっても構わない。
【0029】
受信回路R2により受信される第1応答信号は、光海底装置20と陸上端局装置12との間の第1対象光海底装置からのものである。受信回路R2は、第1応答信号の受信情報を、制御部CTへ送付する。
【0030】
制御部CTは、受信回路R1から、第1コマンド信号の受信信号の送付を受けた場合は、その第1コマンド信号の送信先が光海底装置20であるかについて判定する。第1コマンド信号には、陸上端局装置11が第1コマンド信号の送信先として指定した第1対象光海底装置の識別子が含まれている。そして、記憶部MMは、光海底装置20の識別子を保持している。そのため、制御部CTは、第1コマンド信号に含まれる送信先を表す識別子と、記憶部MMが保持する光海底装置20の識別子とにより、当該判定を行うことができる。
【0031】
制御部CTは、陸上端局装置1から光海底装置20宛の第1コマンド信号の送信を受けた場合は、その第1コマンド信号の指示内容についての第1応答情報を作成し、作成した第1応答情報を記憶部MMに格納する。そして、制御部CTは、記憶部MMが保持する第1送信許可値が0であるかについての判定を行う。第1送信許可値は、その値が0である場合に、第1応答情報の陸上端局装置11への送信が可能である旨を意味し、その値が0以外の場合に第1応答情報の陸上端局装置11への送信が不可能である旨を意味する、0以上の整数である。
【0032】
制御部CTは、第1送信許可値が0の場合は、記憶部MMに保持させている第1応答情報の陸上端局装置11への送信を、送信回路T1に行わせる。一方、制御部CTは、第1送信許可値が0以外の場合は、第1送信許可値が0になるまで待ってから、第1応答情報の陸上端局装置11への送信を、送信回路T1に行わせる。
【0033】
制御部CTは、また、次に説明する動作により、第1送信許可値の更新を行う。
【0034】
制御部CTは、第1送信許可値の初期値を0に設定する。制御部CTは、受信回路R1が第1コマンド信号の受信を完了した場合は、その第1コマンド信号の送信先が、光海底装置20と陸上端局装置12との間の第1対象光海底装置であるかについての判定を行う。第1対象装置の定義は前述のとおりである。以下、光海底装置20と陸上端局装置12との間の第1対象光海底装置を、「監視対象の第1対象光海底装置」ということにする。「監視対象の第1対象光海底装置」は、陸上端局装置11からの光ケーブル距離が、光海底装置20よりも長い、第1対象光海底装置である。ここで、光ケーブル距離は、光ケーブルをたどった長さである。「監視対象の第1対象光海底装置」は、光海底装置20よりも、光信号S1の進行の向きにある第1対象光装置でもある。
【0035】
記憶部MMは、監視対象の第1対象光海底装置の識別子を保持している。そのため、制御部CTは、第1コマンド信号に含まれる送信先を表す識別子と、記憶部MMが保持する監視対象の第1対象光海底装置の識別子とにより、当該判定を行うことができる。制御部CTは、受信が完了した第1コマンド信号の送信先が監視対象の第1対象光海底装置の場合は、第1送信許可値の値を一つ増やす。
【0036】
制御部CTは、また、受信回路R2が、光信号S2に重畳されている第1応答信号の受信を完了した場合には、第1送信許可値の値を一つ減らす。
【0037】
第1送信許可値が0であることは、それまでに監視対象の第1対象光海底装置へ送信された第1コマンド信号への、それらの第1対象光海底装置から陸上端局装置11への第1応答信号の送信が、すべて完了していることを意味する。従い、光海底装置20が、陸上端局装置11への光信号S2に対し光海底装置20からの第1応答信号を重畳させたとしても、光信号S2に、他の第1対象光海底装置からの第1応答信号は重畳されていない。そのため、制御部CTは上記動作により、光信号S2に第1応答信号が多重に重畳されなくすることができる。そのため、光海底装置20は、光信号S2に第1応答信号が多重に重畳されることによる、陸上端局装置11における第1応答信号の復調の困難さの問題を回避することができる。
【0038】
なお、図2の記憶部MMは、非一時的に記録情報を保持することが可能な記録媒体を備える。当該記録媒体には、予め、制御部CTが上記動作を行うために必要なプログラムや情報が記録されている。記憶部MMは、制御部CTが指示する情報を格納する。また、記憶部MMは、制御部CTが指示する情報を、制御部CTに送付する。
【0039】
また、送信回路T1は、制御部CTから指示された情報や信号を、光信号S2に重畳することにより、陸上端局装置11へ送信する。
【0040】
次に、制御部CTが行う以上説明した動作に対応する処理の具体例を、フローチャートを参照して、説明する。
【0041】
図3は、第1コマンド信号の送信を受けて制御部CTが行う第1応答情報の格納処理の例を表す概念図である。制御部CTは、例えば、外部からの開始信号の入力により図3の処理を開始する。
【0042】
そして、制御部CTは、まず、S11の処理として、光海底装置20宛の第1コマンド信号を、受信回路R1が受信完了したかについての判定を行う。制御部CTは、S11の処理による判定結果がyesの場合は、S12の処理を行う。一方、制御部CTは、S11の処理による判定結果がnoの場合は、S11の処理を再度行い、新たな第1コマンド信号の受信完了を待つ。
【0043】
制御部CTは、S12の処理を行う場合は、同処理として、受信した第1コマンド信号に含まれる指示情報に対する第1応答情報を作成し、作成した第1応答情報を、記憶部MMに保持させる。当該指示情報の内容は任意である。当該指示情報は、例えば、光海底装置20の所定の位置の温度センサが検出した温度の情報の送付であったとする。その場合、制御部CTは、その温度センサから温度の情報を取得し、その温度の情報を含む第1応答情報を作成し、記憶部MMに保持させる。
【0044】
そして、制御部CTは、S13の処理として、図3の処理を終了するかについての判定を行う。制御部CTは、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。
【0045】
制御部CTは、S13の処理による判定結果がyesの場合は、図3の処理を終了する。一方、制御部CTは、S13の処理による判定結果がnoの場合は、S11の処理を再度行う。
【0046】
図4は、制御部CTが行う、第一応答信号の送信処理の例を表す概念図である。制御部CTは、例えば、外部からの開始信号の入力により図4の処理を開始する。
【0047】
そして、制御部CTは、まず、S15の処理として、記憶部MMが保持する直近の第1送信許可値が0であるかについての判定を行う。制御部CTは、S15の処理による判定結果がyesの場合は、S16の処理を行う。一方、制御部CTは、S15の処理による判定結果がnoの場合は、S15の処理を再度行い、第1送信許可値が0になるのを待つ。
【0048】
制御部CTは、S16の処理を行う場合は、同処理として、記憶部MMは、第1応答情報を保持しているかについての判定を行う。制御部CTは、S16の処理による判定結果がyesの場合は、S17の処理を行う。一方、制御部CTは、S16の処理による判定結果がnoの場合は、S19の処理を行う。
【0049】
制御部CTは、S17の処理を行う場合は、同処理として、記憶部MMが保持している第1応答情報を一つ選択する。そして、制御部CTは、S18の処理として、選択した第1応答情報に係る第1応答信号の送信を、送信回路T1に指示する。
【0050】
そして、制御部CTは、S19の処理として、図4の処理を終了するかについての判定を行う。制御部CTは、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。
【0051】
制御部CTは、S19の処理による判定結果がyesの場合は、図4の処理を終了する。一方、制御部CTは、S19の処理による判定結果がnoの場合は、S15の処理を再度行う。
【0052】
図5は、制御部CTが行う、第1送信許可値の更新処理の例を表す概念図である。図5の処理は、図3の処理と並行して行われる。制御部CTは、例えば、外部からの開始信号の入力により図5の処理を開始する。そして、制御部CTは、まず、S21の処理として、第1送信許可値を0に設定する。
【0053】
次に、制御部CTは、S22の処理として、受信回路R1が、監視対象の第1対象光海底装置宛の第1コマンド信号を受信したかについての判定を行う。
【0054】
制御部CTは、S22の処理による判定結果がyesの場合は、S23の処理を行う。一方、制御部CTは、S22の処理による判定結果がnoの場合は、S23の処理をスキップして、S24の処理を行う。制御部CTは、S23の処理を行う場合は、同処理として、第1送信許可値を一つ増やす。そして、制御部CTは、S24の処理を行う。
【0055】
制御部CTは、S24の処理を行う場合は、同処理として、受信回路R2が、第1応答信号を受信したかについての判定を行う。制御部CTは、S24の処理による判定結果がyesの場合は、S25の処理を行う。一方、制御部CTは、S24の処理による判定結果がnoの場合は、S25の処理をスキップして、S26の処理を行う。制御部CTは、S25の処理を行う場合は、同処理として、第1送信許可値を一つ減らす。そして、制御部CTは、S26の処理を行う。
【0056】
制御部CTは、S26の処理を行う場合は、同処理として、図5の処理を終了するかについての判定を行う。制御部CTは、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。
【0057】
制御部CTは、S26の処理による判定結果がyesの場合は、図5の処理を終了する。一方、制御部CTは、S26の処理による判定結果がnoの場合は、S22の処理を再度行う。
【0058】
図6は、図1の光海底装置21、22及び2nにおける、各動作等のタイミングチャートの具体例を表す概念図である。当該各動作等は、第1コマンド信号の受信動作、コマンド実行動作、第1送信許可値、第1コマンド信号の受信完了時と第1応答信号の送信開始時の第1送信許可値、第1応答信号の受信動作である。
【0059】
なお、図6において、第1コマンド信号の各光海底装置における受信順、受信タイミング、受信期間、コマンド実行動作に要する時間、及び、第1応答信号の送信時間等は、単に、図6のために仮定されたものである。図6においては、第1コマンド信号は、各光海底装置において、光海底装置2n宛のもの、光海底装置22宛のもの、及び、光海底装置21宛のもの順番で受信されることが想定されている。
【0060】
時刻t0においては、光海底装置21、22及び2nのいずれも、いずれの第1対象光海底装置宛の第1コマンド信号も受信していない。そのため、いずれの対象光海底装置の保持する第1送信許可値も0である。
【0061】
時刻t1において、光海底装置21、22及び2nは、光海底装置2n宛の第1コマンド信号の受信動作を完了する。ここで、各光海底装置間の、光ファイバF1中の光の伝搬距離の違いによる光信号S1の到達時間の違いは無視できるものとしている。
【0062】
当該第1コマンド信号の受信動作の完了を受けて、光海底装置2nは、図3のS11の処理によりyesを判定し、S12の処理を行う。そして、光海底装置2nは、図4のS15の処理でyesを判定し、S16、S17及びS18の処理を行う。これにより、光海底装置2nは、第1応答信号の送信動作を、時刻t2に開始する。当該送信動作は、時刻t6まで続く。
【0063】
一方、光海底装置21及び22は、時刻t1に、図5のS22の処理によりyesを判定し、S23の処理により第1送信許可値を1にする。
【0064】
時刻t6より前の時刻t3において、各光海底装置による、光海底装置22宛の第1コマンド信号の受信動作が完了する。光海底装置22は、当該第1コマンド信号の受信動作の完了を受けて、図3のS11の処理によりyesを判定し、S12の処理を行う。そして、光海底装置22は、図4のS15の処理によりnoを判定し、S15の処理を繰り返し、第1送信許可値が0になるのを待つ。
【0065】
一方、光海底装置21は、時刻t3において、図5のS22の処理によりyesを判定し、S23の処理により、第1送信許可値を2にする。また、光海底装置2nは、時刻t3において、コマンド信号の宛先である光海底装置22宛が監視対象の第1対象光海底装置ではないことから図5のS22の処理によりnoを判定する。そして、光海底装置2nは、S23の処理をスキップし、第1送信許可値の0を維持する。
【0066】
その後、時刻t5及びt6より前の時刻t4で、光海底装置22によるコマンド実行動作(図3のS12)が完了する。時刻t4における光海底装置22の第1送信許可値は1である。そのため、光海底装置22は、図3のS13の処理でnoを判定し、第1送信許可値が0になるまでS13の処理を繰り返し、第1送信許可値が0になるのを待つ。
【0067】
その後、時刻t5で、光海底装置21、22及び2nにおける、光海底装置21宛の第1コマンド信号の受信動作が完了する。これを受けて、光海底装置21は、時刻t5で、図3のS11の処理によりyesを判定し、S12の処理を行う。そして、光海底装置21は、図4のS15の処理によりnoを判定し、S15の処理を繰り返し、第1送信許可値が0になるのを待つ。
【0068】
一方、光海底装置22は、時刻t5で、受信動作が完了した第1コマンド信号の宛先が監視対象の第1対象光海底装置ではないことから、図5のS22の処理によりnoを判定する。そして、光海底装置22は、S23の処理をスキップし、第1送信許可値の1を維持する。
【0069】
また、光海底装置2nは、時刻t5で、受信動作が完了した第1コマンド信号の宛先が監視対象の第1対象光海底装置ではないことから、図5のS22の処理によりnoを判定する。そして、光海底装置2nは、S23の処理をスキップし、第1送信許可値の0を維持する。
【0070】
そして、時刻t6において、光海底装置2nは、第1応答信号の送信動作を完了する。すると、光海底装置21及び22は、当該第1応答信号の受信動作を完了する。当該受信動作の完了を受けて、光海底装置21は、時刻t6において、図5のS24の処理によりyesを判定する。そして、光海底装置21は、S25の処理により、第1送信許可値を1にする。
【0071】
また、光海底装置22は、時刻t6において、図5のS24の処理によりyesを判定する。そして、光海底装置22は、S25の処理により、第1送信許可値を0にする。
【0072】
光海底装置22は、第1送信許可値が0になったのを受けて、図4のS16の処理による判定結果をyesとする。そして、光海底装置22は、図4のS17及びS18の処理により、第1応答情報を含む第1応答信号の送信動作を開始する。当該送信は、時刻t8まで続く。
【0073】
時刻t8より前の時刻t7で、光海底装置21によるコマンド実行動作(図3のS12の処理)が完了する。時刻t7における、光海底装置21の第1送信許可値は1である。そのため、光海底装置21は、図4のS15の処理を繰り返し、第1送信許可値が0になるのを待つ。
【0074】
その後、時刻t8で、光海底装置22は、第1応答信号の送信動作を完了する。これを受けて、光海底装置21は、時刻t8で、その第1応答信号の受信動作を完了する。すると、光海底装置21は、図5のS24の処理による判定結果をyesとし、S25の処理により第1送信許可値を0にする。
【0075】
光海底装置21は、時刻t8で、第1送信許可値が0になったのを受けて、図4のS15の判定結果をyesとする。そして、光海底装置21は、S16の処理によりyesを判定し、S17及びS18の処理により、第1応答信号の送信動作を開始する。当該送信動作は、時刻t9まで続く。
[効果]
本実施形態の光海底装置は、保持する第1送信許可値が0の場合のみ、受信完了した自光海底装置宛の第1コマンド信号に対する第1応答信号を送信する。当該光海底装置は、また、第1コマンド信号を送信する陸上端局装置からの光ケーブル距離が自光海底装置より遠い光海底装置(監視対象の第1対象光海底装置)宛の第1コマンド信号の受信を完了すると、第1送信許可値を一つ増やす。当該光海底装置は、また、第1応答信号の受信を完了すると、第1送信許可値を一つ減らす。
【0076】
第1送信許可値が0であることは、それまでに監視対象の光海底装置へ送信された第1コマンド信号への、それらの第1対象光海底装置からの第1応答信号の送信が、すべて完了していることを意味する。従い、光海底装置が、第1応答信号を光信号に重畳したとしても、その光信号に、他の第1対象光海底装置からの第1応答信号が重畳されていることはない。
【0077】
すなわち本実施形態の光海底装置は、他の第1対象光海底装置からの第1応答信号の光海底ケーブルを通過する期間と、本実施形態の光海底装置が送信する前記第1応答信号が前記光海底ケーブルを通過する期間とが、重なることを防ぐことができる。そのため、本実施形態の光海底装置は、各第1対象光海底装置の各々の第1応答信号の周波数帯を同じにすることができる。そのため、本実施形態の光海底装置は、陸上端局装置でのコマンド信号の送信タイミングの制御及び応答信号の復調を容易にし、通信用により広い周波数帯を確保することを可能にする。
<第2実施形態>
第1実施形態の光海底装置は、第1送信許可値の更新のために、第1コマンド信号の宛先が第1コマンド信号を送信する陸上端局装置からの光ケーブル距離が自光海底装置より遠い光海底装置であるか否かを判定する処理を必要とする。第1実施形態の光海底装置は、その分、実行する処理が複雑である。本実施形態の光海底装置は、この課題を解決するものである。
[構成と動作]
本実施形態の光海底ケーブルシステムの構成例は図1の光海底ケーブルシステム10の構成である。また、本実施形態の光海底装置の構成例は図2の光海底装置20の構成である。
【0078】
本実施形態の光海底装置20は、以下の動作が、第1実施形態のものと異なる。以下、本実施形態の光海底装置20が行う動作のうち、第1実施形態のものと異なる部分を主に説明する。
【0079】
図2に表される本実施形態の光海底装置20の制御部CTは、受信回路R1が光海底装置20以外を宛先とする第1コマンド信号を検出すると、その第1コマンド信号の宛先によらず、第1送信許可値を一つ増やす。そして、制御部CTは、受信回路R2が第1応答信号を検出すると、第1送信許可値を一つ減らす。さらに、制御部CTは、光海底装置20以外を宛先とする直近の第1コマンド信号への第1応答信号の受信完了時刻から、予め定められた閾値時間(タイムリミット)が経過した場合には、第1送信許可値を0にする。当該閾値時間(タイムリミット)には、例えば、第1コマンド信号に対する第1応答信号の送信が当然に完了することが経験等により理解されている値が用いられる。
【0080】
本実施形態の制御部CTが行う、第1応答情報の格納処理の処理例は、図3に表されるものである。また、本実施形態の制御部CTが行う、第1応答信号の送信処理の例は、図4に表されるものである。
【0081】
また、本実施形態の制御部CTは、図5の処理を行うが、図5の処理と並行して、図7の処理も行う。図7は、本実施形態の制御部CTが行う、第1送信許可値の更新処理(本実施形態における追加分)の例を表す概念図である。
【0082】
制御部CTは、例えば、外部からの開始情報の入力により、図7の処理を開始する。そして、制御部CTは、まず、S31の処理として、自光海底装置宛以外の直近の第1コマンド信号の受信完了時刻を特定する。そして、制御部CTは、S32の処理として、S31で特定した時刻からの経過時間が閾値時間(タイムリミット)を超えたかについての判定を行う。当該閾値時間は、第1コマンド信号の受信が完了してから、その閾値時間を超えた時間が経過した場合には、第1応答信号の送信が当然に完了していることが想定されるものとして設定された時間である。
【0083】
制御部CTは、S32の処理による判定結果がyesの場合は、S34の処理を行う。一方、制御部CTは、S32の処理による判定結果がnoの場合は、S33の処理として、第1送信許可値をゼロに設定する。そして、制御部CTは、S34の処理として、図7の処理を終了するかについての判定を行う。制御部CTは、当該判定を、例えば、外部からの終了情報の入力の有無を判定することにより行う。
【0084】
制御部CTは、S34の処理による判定結果がyesの場合は、図7の処理を終了する。一方、制御部CTは、S34の処理による判定結果がnoの場合は、S31の処理を再度行う。
[効果]
本実施形態の光海底装置は、他の光海底装置宛の第1コマンド信号の直近の受信完了時刻から、第1コマンド信号に対する応答が当然に完了していることが想定される時間が経過した場合は、第1送信許可値を0にする。当該動作は、検出した第1コマンド信号の数が検出した第1応答信号の数より多い場合に行われるものである。検出した第1コマンド信号の数が検出した第1応答信号の数より多い場合には、第1コマンド信号の送信元の陸上端局装置からの光ケーブル距離が、本実施形態の光海底装置よりも短い場合が含まれる。本実施形態の光海底装置は、そのような場合でも、第1送信許可値を0にすることができる。
【0085】
そのため、本実施形態の光海底装置は、第1送信許可値の更新のための、第1コマンド信号の宛先が第1コマンド信号を送信する陸上端局装置からの光ケーブル距離が自光海底装置より遠い光海底装置であるか否かを判定する処理を必要としない。その分、本実施形態の光海底装置は、第1実施形態の光海底装置と比較して、実行する処理を簡略化することができる。
<第三実施形態>
本実施形態は、陸上端局装置の双方ともが、光海底装置へコマンド信号を送信し、その光海底装置が応答信号を返す、光海底ケーブルシステムに関する実施形態である。
[構成と動作]
本実施形態の光海底ケーブルシステムの構成例は、図1の光海底ケーブルシステム10である。本実施形態の光海底ケーブルシステム10は、以下の点が、第1実施形態の光海底ケーブルシステム10と異なる。以下、本実施形態の光海底ケーブルシステム10の第1実施形態の光海底ケーブルシステム10と異なる点を、主に説明する。
【0086】
本実施形態の、図1の光海底ケーブルシステム10が備える陸上端局装置11は、第1実施形態の場合と同様に、第1コマンド信号を、光海底装置21乃至2nの各々宛へ送信する。光海底装置21乃至2nの各々は、第1実施形態の場合と同様に、自光海底装置宛の第1コマンド信号への第1応答信号を陸上端局装置11へ送信する。
【0087】
陸上端局装置12は、第1実施形態の場合と異なり、コマンド信号(第2コマンド信号)を、光海底装置21乃至2nの各々宛へ送信する。光海底装置21乃至2nの各々は、自光海底装置宛のコマンド信号への応答信号(第2応答信号)を陸上端局装置12へ送信する。
【0088】
陸上端局装置11が光ファイバF1を通じて送信する第1コマンド信号の周波数帯と、光海底装置21乃至2nの各々が光ファイバF1を通じて送信する第2応答信号の周波数帯とは、互いに重ならないように設定されている。その理由は、第1コマンド信号と第2応答信号は、同じ時間帯の光信号S1に重畳される可能性があり、その場合、周波数帯が重なると、陸上端局装置12による第2応答信号の復調が困難になるためである。
【0089】
また、陸上端局装置12が光ファイバF2を通じて送信する第2コマンド信号の周波数帯と、光海底装置21乃至2nの各々が光ファイバF2を通じて送信する第1応答信号の周波数帯とは、互いに重ならないように設定されている。その理由は、第2コマンド信号と第1応答信号は、同じ時間帯の光信号S2に重畳される可能性があり、その場合、周波数帯が重なると、陸上端局装置11による第1応答信号の復調が困難になるためである。
【0090】
図8は、本実施形態の光海底装置の例である光海底装置20の構成を表す概念図である。図8の光海底装置20は、図2の光海底装置20が備える構成に加えて、送信回路T2を備える。
【0091】
図8の、受信回路R1及びR2、送信回路T1、制御部CT及び記憶部MMは、まず、第1実施形態の図2の同じ符号を付された構成と同じ動作を行う。図8の、受信回路R1及びR2、送信回路T2、制御部CT及び記憶部MMは、第2コマンド信号に対して、以下に説明される動作も行う。
【0092】
光信号S2には、陸上端局装置12がいずれかの光海底装置へ送信する第2コマンド信号が重畳される時間帯がある。また、光信号S2には、陸上端局装置11と光海底装置20との間の対象光海底装置からの第2応答信号が重畳されている時間帯がある。当該第2応答信号は、第2コマンド信号への応答信号である。
【0093】
受信回路R2は、第2コマンド信号を受信する。受信回路R2により受信される第2コマンド信号には、光海底装置20宛のものと他の第2対象光海底装置宛のものとが含まれる。ここで、第2対象光海底装置は、送信された第2コマンド信号に対する第2応答信号を送信(返信)する光海底装置をいう。受信回路R2は、第2コマンド信号の受信信号を、制御部CTへ送付する。
【0094】
受信回路R1は、入力された光信号S1に、第2応答信号が重畳されている場合には、その第2応答信号を受信する。受信回路R1は、第2応答信号の受信信号を、制御部CTへ送付する。
【0095】
制御部CTは、受信回路R2から、第2コマンド信号の受信信号の送付を受けた場合は、その第2コマンド信号の送信先が、光海底装置20であるかについて判定する。第2コマンド信号には、陸上端局装置12が第2コマンド信号の送信先として指定した第2対象光海底装置の識別子が含まれている。そして、記憶部MMは、光海底装置20の識別子を保持している。そのため、制御部CTは、第2コマンド信号に含まれる送信先を表す識別子と、記憶部MMが保持する光海底装置20の識別子とにより、当該判定を行うことができる。
【0096】
制御部CTは、陸上端局装置1から光海底装置20宛の第2コマンド信号の送信を受けた場合は、その第2コマンド信号の指示内容についての応答情報(第2応答情報)を作成し、作成した第2応答情報を記憶部MMに格納する。そして、制御部CTは、記憶部MMが保持する第2送信許可値が0であるかについての判定を行う。第2送信許可値は、その値が0である場合に、第2応答情報の陸上端局装置12への送信が可能である旨を意味し、その値が0以外の場合に第2応答情報の陸上端局装置12への送信が不可能である旨を意味する、0以上の整数である。
【0097】
制御部CTは、第2送信許可値が0の場合は、記憶部MMに保持させている第2応答情報の陸上端局装置12への送信を、送信回路T2に行わせる。一方、制御部CTは、第2送信許可値が0以外の場合は、第2送信許可値が0になるまで待ってから、第2応答情報の陸上端局装置11への送信を、送信回路T1に行わせる。
【0098】
制御部CTは、また、次に説明する動作により、第2送信許可値の更新を行う。
【0099】
制御部CTは、第2送信許可値の初期値を0とする。制御部CTは、受信回路R2が第2コマンド信号の受信を完了した場合は、その第2コマンド信号の送信先が、光海底装置20と陸上端局装置11との間の第2対象光海底装置であるかについての判定を行う。以下、光海底装置20と陸上端局装置11との間の第2対象光海底装置を、「監視対象の第2対象光海底装置」ということにする。「監視対象の第2対象光海底装置」は、陸上端局装置12からの光ケーブル距離が、光海底装置20よりも長い、第2対象光海底装置である。ここで、光ケーブル距離は、前述のように、光ケーブルをたどった長さである。監視対象の第2対象光海底装置は、光海底装置20よりも、光信号S2の進行の向きにある第2対象光海底装置でもある。
【0100】
記憶部MMは、監視対象の第2対象光海底装置の識別子を保持している。そのため、制御部CTは、第2コマンド信号に含まれる送信先を表す識別子と、記憶部MMが保持する監視対象の第2対象光海底装置の識別子とにより、当該判定を行うことができる。制御部CTは、受信が完了した第2コマンド信号の送信先が監視対象の第2対象光海底装置の場合は、第2送信許可値の値を一つ増やす。
【0101】
制御部CTは、また、受信回路R1が、光信号S1に重畳されている第2応答信号を受信した場合には、第2送信許可値の値を一つ減らす。
【0102】
第2送信許可値が0であることは、それまでに監視対象の第2対象光海底装置へ送信された第2コマンド信号への、監視対象の第2対象光海底装置から陸上端局装置12への第2応答信号の送信が、すべて完了していることを意味する。従い、光海底装置20が、陸上端局装置11への光信号S1に第2応答信号を重畳させたとしても、光信号S1に、他の第2対象光海底装置からの第2応答信号が重畳されていない。そのため、制御部CTは上記動作により、光信号S1に第2応答信号が多重に重畳されなくすることができる。
【0103】
すなわち図8の光海底装置20は、監視対象の第2対象光海底装置からの第2応答信号の光海底ケーブルを通過する期間と、光海底装置20が送信する第2応答信号が光海底ケーブルを通過する期間とが、重なることを防ぐことができる。そのため、図8の光海底装置20は、第2対象光海底装置の各々の第2応答信号の周波数帯を同じにすることができる。そのため、図8の光海底装置20は、陸上端局装置12での第2コマンド信号の送信タイミングの制御及び応答信号の復調を容易にし、通信用により広い周波数帯を確保することを可能にする。
[効果]
本実施形態の光海底装置は、双方の陸上端局装置から送信されるコマンド信号に対し、第1実施形態の光海底装置と同様の動作を行う。本実施形態の光海底ケーブルシステムにおいては、各コマンド信号の周波数帯と、同じ光ファイバを進行する他方の各コマンド信号への応答信号の周波数帯とが、重ならないように設定されている。これらにより、本実施形態の光海底ケーブルシステムは、双方の陸上端局装置から送信されるコマンド信号を両立させつつ、各陸上端局装置における応答信号の復調の困難さの問題を回避することができる。
【0104】
なお、本実施形態の光海底装置は、第1コマンド信号及び第2コマンド信号に対して、共に、第2実施形態の光海底装置の動作を行うものであっても構わない。その場合、本実施形態の光海底ケーブルシステムは、上記本実施形態の光海底ケーブルシステムの奏する効果に加えて、第2実施形態の光海底ケーブルシステムの奏する効果を奏する。
【0105】
また、以上の説明では第1対象光海底装置と第2対象光海底装置とが一致する例を説明したが、必ずしもその限りではない。本実施形態の光海底ケーブルシステムが、第2対象光海底装置ではない第1対象光海底装置を備えても良いし、第1対象光海底装置ではない第2対象光海底装置を備えても良い。
<第4実施形態>
第3実施形態の光海底ケーブルシステムにおいては、各コマンド信号の周波数帯と、同じ光ファイバを進行する他方の各コマンド信号への応答信号の周波数帯とが、重ならないように設定されている。そのため、コマンド信号に割り当てる周波数帯と応答信号に割り当てる周波数帯とが、光通信に使えなくなり、その分通信容量が低下するという課題がある。本実施形態は、各コマンド信号の周波数帯と、他方の各コマンド信号への応答信号の周波数帯とを、重なるように設定することができる、光海底ケーブルシステムに関する実施形態である。
[構成と動作]
本実施形態の光海底ケーブルシステムの構成例は、図1の光海底ケーブルシステム10である。本実施形態の光海底ケーブルシステム10は、以下が、第3実施形態の光海底ケーブルシステム10と異なる。以下、本実施形態の光海底ケーブルシステム10の第3実施形態の光海底ケーブルシステム10と異なる点を、主に説明する。
【0106】
陸上端局装置11が送信する第1コマンド信号の周波数帯と、光海底装置21乃至2nの各々が送信する第2応答信号の周波数帯とは、重なっていても構わない。また、陸上端局装置12が送信する第2コマンド信号の周波数帯と、光海底装置21乃至2nの各々が送信する第1応答信号の周波数帯とは、重なっていても構わない。
【0107】
図9は、本実施形態の光海底装置21乃至2nの各々の例である光海底装置20の構成例を表す概念図である。図9の光海底装置20は、図8の光海底装置20が備える構成に加えて、フィルタFL1およびFL2を備える。フィルタFL1は、光信号S1に重畳された第1コマンド信号の周波数帯の光を遮断する。そのため、第1コマンド信号は、フィルタFL1を通過しない。フィルタFL2は、光信号S2に重畳された第2コマンド信号の周波数帯の光を遮断する。そのため、第2コマンド信号は、フィルタFL2を通過しない。
【0108】
図9の光海底装置20が行う動作は、以下が、図8の光海底装置20が行う動作と異なる。以下、図9の光海底装置20が行う動作のうち、図8の光海底装置20が行う動作と異なる点について、主に説明する。
【0109】
制御部CTは、受信回路R1が第1コマンド信号を受信すると、その第1コマンド信号に対応する第1コマンド情報を、記憶部MMに保持させる。制御部CTは、また、受信回路R2が第2コマンド信号を受信すると、その第2コマンド信号に対応する第2コマンド情報を、記憶部MMに保持させる。
【0110】
制御部CTは、第1応答許可情報が0であるかどうかを、逐次、判定する。そして、制御部CTは、第一応答許可情報が0であることを判定すると記憶部MMが第2コマンド情報を保持しているかについての判定を行う。制御部CTは、記憶部MMが第2コマンド情報を保持していることを判定すると、送信回路T1に、その第2コマンド情報に対応する第2コマンド信号を、光信号S2に重畳して、光ファイバF2に送信させる。制御部CTは、第2コマンド信号の送信を送信回路T1に行わせると、その第2コマンド信号に係る第2コマンド情報を記憶部MMに削除させる。制御部CTは、記憶部MMが複数の第2コマンド情報を保持している場合には、記憶部MMが保持するすべての第2コマンド情報についての第2コマンド信号の送信を、送信回路T1に行わせる。
【0111】
制御部CTは、記憶部MMが保持する第2コマンド情報がない場合には、記憶部MMが第1応答情報を保持しているかについての判定を行う。制御部CTは、記憶部MMが第1応答情報を保持していることを判定した場合は、その第1応答情報に対応する第1応答信号の送信を送信回路T1に行わせる。制御部CTは、第1応答信号の送信を送信回路T1に行わせると、その第1応答信号に係る第1応答情報を記憶部MMに削除させる。制御部CTは、記憶部MMが複数の第1応答情報を保持している場合には、記憶部MMが保持するすべての第1応答情報についての第1応答信号の送信を、送信回路T1に行わせる。
【0112】
制御部CTは、以上説明した、第2コマンド信号及び第1応答信号について送信回路T1に行わせる送信処理と同様の送信処理を、第1コマンド信号と第2応答信号について、送信回路T2に行わせる。
【0113】
以上により、制御部CTは、第2コマンド信号と第1応答信号とで、第1信号に重畳される時間帯が重ならないようにするとともに、第1コマンド信号と第2応答信号とで、第2信号に重畳される時間帯も重ならないようにする。そのため、制御部CTの上記動作は、各コマンド信号の周波数帯と、他方の各コマンド信号への応答信号の周波数帯とが重なることを許容する。
[効果]
本実施形態の光海底装置は、第3実施形態の光海底装置が奏する効果に加えて、各コマンド信号の周波数帯と、他方の各コマンド信号への応答信号の周波数帯とが重なることを許容する効果を奏する。
【0114】
以上、実施形態では、送信許可情報に、0以上の整数からなる送信許可値を用いる例について説明した、しかしながら、送信許可情報は、必ずしも、送信許可値である必要はない。送信許可情報は、その段階を表す情報から構成されるものであれば構わない。送信許可情報は、例えば、序列が定められた文字、数字、記号、又は、これらの組合せであっても構わない。
【0115】
図10は、実施形態の光海底装置の最小限の構成である送信装置20xの構成を表す概念図である。送信装置20xは、第1検出部R1xと、第2検出部R2xと、第1重畳部T1xと、第1更新部CTxと、を備える。
【0116】
第1検出部R1xは、光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出する。第2検出部R2xは、前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出する。ここで、第1他光海底装置は、自送信装置が備えられる光海底装置である自光海底装置以外の光海底装置である。
【0117】
第1重畳部T1xは、第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳する。第1更新部CTxは、前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する。
【0118】
送信装置20xは、上記構成により、前記他光海底装置からの前記第1応答信号の前記光海底ケーブルを通過する期間と、前記自光海底装置が送信する前記第1応答信号が前記光海底ケーブルを通過する期間とが、重なることを防ぐことができる。そのため、送信装置20xは、まず、前記光海底装置の各々の応答信号の周波数帯を同じにすることができる。そのため、送信装置20xは、陸上端局装置でのコマンド信号の送信タイミングの制御及び応答信号の復調を容易にし、通信用により広い周波数帯を確保することを可能にする。
【0119】
そのため、送信装置20xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0120】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0121】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出する第1検出部と、
前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、自送信装置が備えられる光海底装置である自光海底装置以外の光海底装置である第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出する第2検出部と、
第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳する、第1重畳部と、
前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する第1更新部と、
を備える、送信装置。
(付記2)
前記第1更新部は、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出が完了するたびに、前記第1の段階に対して、1段階の、第1の増減を行い、
前記第1更新部は、前記第1応答信号の検出が完了するたびに、前記第1の段階に対して、前記1段階の、前記第1の増減とは逆向きの増減を行う、
付記1に記載された送信装置。
(付記3)
前記第1更新部は、前記第1コマンド信号の直近の検出が完了した時刻からの経過時間が第1閾値を超えた場合に、前記第1の段階を前記第1設定段階にする、
付記1又は付記2に記載された送信装置。
(付記4)
前記第1光信号の周波数帯と前記第1コマンド信号の周波数帯とは重ならず、前記第2光信号の周波数帯と前記第1応答信号の周波数帯とは重ならない、
付記1乃至付記3のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記5)
前記第1他光海底装置は、前記光海底装置から、前記第1光信号の進行方向にある光海底装置である、
付記1乃至付記4のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記6)
前記第1検出部は、受信した前記第1コマンド信号に含まれる前記第1他光海底装置の識別子から、前記第1コマンド信号の宛先が、前記第1他光海底装置か否かを識別する、
付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記7)
前記第2光信号に重畳された第2コマンド信号を検出する第3検出部と、
前記第2光信号に、前記自光海底装置以外の光海底装置である第2他光海底装置により重畳された、前記第2コマンド信号に対する応答信号である第2応答信号を検出する第4検出部と、
第2送信許可情報の段階である第2の段階が第2設定段階の場合に、前記宛先を前記自光海底装置とする前記第2コマンド信号に対する応答信号である第2応答信号を、前記第1光信号に重畳する、第2重畳部と、
前記第2の段階を、前記宛先を前記第2他光海底装置とする前記第2コマンド信号の検出完了回数と、前記第2応答信号の検出完了回数と、から更新する第2更新部と、
を備える、
付記1乃至付記6のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記8)
前記第2更新部は、前記宛先を前記第2他光海底装置とする前記第2コマンド信号の検出が完了するたびに、前記第2の段階に対して、1段階の、第1の増減を行い、
前記第1更新部は、前記第1応答信号の検出が完了するたびに、前記第2の段階に対して、前記1段階の、前記第1の増減とは逆向きの増減を行う、
付記7に記載された送信装置。
(付記9)
前記第2更新部は、前記第2コマンド信号の直近の検出が完了した時刻からの経過時間が第2閾値を超えた場合に、前記第2の段階を前記第2設定段階にする、
付記7又は付記8に記載された送信装置。
(付記10)
前記第2光信号の周波数帯と前記第2コマンド信号の周波数帯とは重ならず、前記第1光信号の周波数帯と前記第2応答信号の周波数帯とは重ならない、
付記7乃至付記9のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記11)
前記第2他光海底装置は、前記光海底装置から、前記第2光信号の進行方向にある光海底装置である、
付記7乃至付記10のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記12)
前記第2検出部は、受信した前記第2コマンド信号に含まれる前記第2他光海底装置の識別子から、前記第2コマンド信号の宛先が、前記第2他光海底装置か否かを識別する、
付記7乃至付記11のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記13)
前記第1コマンド信号の周波数帯は前記第2応答信号の周波数帯と重ならず、前記第2コマンド信号の周波数帯は前記第1応答信号の周波数帯と重ならない、
付記7乃至付記12のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記14)
前記第1検出部は前記第4検出部と共通であり、前記第2検出部は前記第3検出部と共通である、
付記7乃至付記13のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記15)
前記第1光信号から前記第1コマンド信号を除去する第1除去部と、
前記第2光信号から前記第2コマンド信号を除去する第2除去部と、
前記第1除去部により前記第1コマンド信号が除去された前記第1光信号に、前記第2送信許可情報の段階が前記第2設定段階の場合に、受信した前記第1コマンド信号に含まれるコマンド情報を含むコマンド信号を重畳する第3重畳部と、
前記第2除去部により前記第2コマンド信号が除去された前記第2光信号に、前記第1送信許可情報の段階が前記第1設定段階の場合に、受信した前記第2コマンド信号に含まれるコマンド情報を含むコマンド信号を重畳する第4重畳部と、
をさらに備え、
前記第1光信号への重畳を行なっていない前記第1コマンド信号である未重畳第1コマンド信号の前記第1光信号への重畳の期間と、前記第1光信号への重畳が行われていない前記第2応答信号である未重畳第2応答信号の前記第1光信号への重畳の期間とを、重ならないように制御する第1制御部と、
前記第2光信号への重畳を行っていない前記第2コマンド信号である未重畳第2コマンド信号の前記第2光信号への重畳の期間と、前記第2光信号への重畳が行われていない前記第1応答信号である未重畳第1応答信号の前記第2光信号への重畳の期間とを、重ならないように制御する第2制御部と、
をさらに備える、
付記7乃至付記14のうちのいずれか一に記載された送信装置。
(付記16)
前記未重畳第1コマンド信号を受信しており、かつ、前記未重畳第2応答信号がある場合には、前記未重畳第1コマンド信号を前記未重畳第2応答信号より先に、前記第1光信号に重畳するように制御し、
前記第2制御部は、前記未重畳第2コマンド信号を受信しており、かつ、前記未重畳第1応答信号がある場合には、前記未重畳第2コマンド信号を前記未重畳第1応答信号より先に、前記第2光信号に重畳するように制御する、
付記15に記載された送信装置。
(付記17)
光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出し、
前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、自光海底装置以外の光海底装置である第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出し、
第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳し、
前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する、
送信方法。
(付記18)
光海底ケーブルを第1の向きに進行する第1光信号に重畳された第1コマンド信号を検出する処理と、
前記光海底ケーブルを第2の向きに進行する第2光信号に、自光海底装置以外の光海底装置である第1他光海底装置により重畳された、前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を検出する処理と、
第1送信許可情報の段階である第1の段階が第1設定段階の場合に、宛先を前記自光海底装置とする前記第1コマンド信号に対する応答信号である第1応答信号を、前記第2光信号に重畳する処理と、
前記第1の段階を、前記宛先を前記第1他光海底装置とする前記第1コマンド信号の検出完了回数と、前記第1応答信号の検出完了回数と、から更新する処理と、
をコンピュータに実行させる、送信プログラム。
ここで、上述の付記における「光海底ケーブル」は、例えば、図1の光ファイバF1及びF2を備える光海底ケーブルである。
また、「第1光信号」は、例えば、図1図2図8図9の光信号S1である。
また、「第1検出部」は、例えば、図2図8図9の受信回路R1、又は、図10の第1検出部R1x、のうち、前記第1コマンド信号を検出する部分である。
また、「第2光信号」は、例えば、図1図2図8図9の光信号S2である。
また、「第1他光海底装置」は、例えば、図1の光海底装置21乃至2nのうち、前記自光海底装置以外のものである。
また、「第2検出部」は、例えば、図2図8図9の受信回路R2、又は、図10の第2検出部R2x、のうち、前記第1応答信号を検出する部分である。
また、「第1の段階」は、例えば、前述の第1送信許可値を構成する0以上の整数で表される段階である。
また、「第1設定段階」は、例えば、前述の第1送信許可値が0であることで表される段階である。
また、「第1重畳部」は、例えば、図2図8図9の送信回路T1、又は、図10の第1重畳部T1x、のうち、前記第1応答情報の送信を行う部分である。
また、「第1更新部」は、例えば、図2図8図9の制御部CTの図5の処理を行う部分、又は、図10の第1更新部CTxである。
また、「送信装置」は、例えば、図2図8図9の光海底装置20、又は、図10の送信装置20xである。
また、「第3検出部」は、例えば、図8図9の受信回路R2、のうち、前記第2コマンド信号を受信する部分である。
また、「第4検出部」は、例えば、例えば、図8図9の受信回路R1、のうち、前記第2応答信号を検出する部分である。
また、「第2重畳部」は、例えば、図8図9の送信回路T2のうち、前記第2応答信号の重畳を行う部分である。
また、「第2更新部」は、例えば、図2図8図9の制御部CTのうち、前記第2送信許可情報の更新を行う部分である。
また、「第2他光海底装置」は、例えば、第3実施形態又は第4実施形態における図1の光海底装置21乃至2nのうち、前記自光海底装置以外のものである。
また、「第1除去部」は、例えば、図9のフィルタFL1である。
また、「第2除去部」は、例えば、図9のフィルタFL2である。
また、「第3重畳部」は、例えば、図8図9の送信回路T2のうち、前記第1コマンド信号の重畳を行う部分である。
また、「第4重畳部」は、例えば、図8図9の送信回路T1のうち、前記第2コマンド信号の重畳を行う部分である。
また、「第1制御部」は、例えば、図8の制御部CTのうち、前記未重畳第1コマンド信号の前記第1光信号への重畳の期間と、前記未重畳第2応答信号の前記第1光信号への重畳の期間とを、重ならないように制御する部分である。
また、「第2制御部」は、例えば、図8の制御部CTのうち、未重畳第2コマンド信号の前記第2光信号への重畳の期間と、前記未重畳第1応答信号の前記第2光信号への重畳の期間とを、重ならないように制御する部分である。
また、「コンピュータ、」は、例えば、図2図7図8の制御部CTが備えるか、図2図7図8の制御部CTに備えられる、コンピュータである。
また、「プログラム」は、例えば、図2図7図8の記憶部MMが保持する、前記コンピュータに処理を実行させるプログラムである。
【0122】
この出願は、2020年12月21日に出願された日本出願特願2020-210946を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0123】
10 光海底ケーブルシステム
11、12 陸上端局装置
20、21、22、2n 光海底装置
20x 送信装置
C1、C2 光カプラ
CT 制御部
CTx 第1更新部
F1、F2 光ファイバ
FL1、FL2 フィルタ
MM 記憶部
R1、R2 受信回路
R1x 第1検出部
R2x 第2検出部
S1、S2 光信号
T1、T2 送信回路
T1x 第1重畳部
t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9 時刻
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10