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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】推定システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240702BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240702BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20240702BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240702BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240702BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20240702BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20240702BHJP
【FI】
B60L3/00 S
F02D45/00 369
B60L7/14
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/26
B60L58/27
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023124865
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】臼井 俊行
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-214294(JP,A)
【文献】特開2015-091683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
F02D 45/00
B60L 7/14
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/26
B60L 58/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関で駆動する第1車両から、電動機で駆動し、当該電動機へ電力を供給するバッテリが搭載された第2車両へ置き換えた時の電費を推定する推定システムであって、
前記第1車両の所定期間における走行距離、前記内燃機関の出力、および前記第1車両の走行速度に関する情報を取得する取得部と、
前記走行速度に関する情報に基づいて、前記第2車両が生成する回生電力を推定する推定部と、
前記内燃機関の出力および推定された前記回生電力に基づいて前記第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する特定部と、
特定された前記電力量と前記走行距離とに基づいて、前記第2車両の電費を算出する電費算出部と、を有する、
推定システム。
【請求項2】
前記第1車両は、前記内燃機関の出力により稼働する第1架装が搭載され、
前記第2車両は、前記バッテリからの電力により稼働する第2架装が搭載され、
前記取得部は、前記第1架装を稼働するための前記内燃機関の仕事量を示す情報をさらに取得し、
前記推定部は、さらに、前記内燃機関の仕事量と同じ仕事量で前記第2架装を稼働するための前記バッテリからの電力である架装稼働用の電力を推定し、
前記特定部は、さらに、推定された前記架装稼働用の電力に基づいて、前記第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する、
請求項1記載の推定システム。
【請求項3】
前記第1車両は、前記内燃機関の出力により稼働する第1冷房装置が搭載され、
前記第2車両は、前記バッテリからの電力により稼働する第2冷房装置が搭載され、
前記取得部は、前記第1車両の外気温を示す情報、および、前記第1冷房装置を稼働するための前記内燃機関の仕事量を示す情報をさらに取得し、
前記推定部は、さらに、前記内燃機関の仕事量と同じ仕事量で前記第2冷房装置を稼働するための前記バッテリからの電力である冷房用の電力を推定し、
前記特定部は、さらに、推定された前記冷房用の電力に基づいて、前記第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する、
請求項1または2記載の推定システム。
【請求項4】
前記第1車両は、前記内燃機関の出力により稼働する第1暖房装置が搭載され、
前記第2車両は、前記バッテリからの電力により稼働する第2暖房装置が搭載され、
前記取得部は、前記第1車両の外気温を示す情報、および、前記第1暖房装置を稼働するための前記内燃機関の仕事量を示す情報をさらに取得し、
前記推定部は、さらに、前記内燃機関の仕事量と同じ仕事量で前記第2暖房装置を稼働するための前記バッテリからの電力である暖房用の電力を推定し、
前記特定部は、さらに、推定された前記暖房用の電力に基づいて、前記第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する、
請求項に記載の推定システム。
【請求項5】
前記取得部は、前記第1車両の外気温を示す情報をさらに取得し、
前記推定部は、さらに、前記外気温を示す情報に基づいて、前記バッテリを保温するためのバッテリ保温用の電力を推定し、
前記特定部は、さらに、推定された前記バッテリ保温用の電力に基づいて、前記第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する、
請求項に記載の推定システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記第1車両の外気温を示す情報をさらに取得し、
前記推定部は、さらに、前記外気温を示す情報に基づいて、前記バッテリを冷却するためのバッテリ冷却用の電力を推定し、
前記特定部は、さらに、推定された前記バッテリ冷却用の電力に基づいて、前記第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する、
請求項に記載の推定システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記第1車両の外気温を示す情報をさらに取得し、
前記推定部は、さらに、前記外気温を示す情報に基づいて、前記電動機を冷却するための電動機冷却用の電力を推定し、
前記特定部は、さらに、推定された前記電動機冷却用の電力に基づいて、前記第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する、
請求項に記載の推定システム。
【請求項8】
前記第1車両と通信回線を介して通信可能なサーバをさらに備え、
前記サーバは、前記取得部を有し、
前記取得部が取得するデータは、前記第1車両から送信されたデータであって、前記所定期間における前記走行距離、前記内燃機関の出力、および前記第1車両の前記走行速度に関する情報を含む頻度データである、
請求項に記載の推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の劣化状態や健全度を表す指標としてSOH(State Of Health)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の走行パターンのそれぞれに、走行パターンで走行したときのSOHが対応づけられて記憶する記憶部と、実際の運転距離に走行パターンの割合とSOHとを乗じて、運転距離におけるSOHを導出する電池劣化度導出部と、を有する車両が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-144152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ディーゼルエンジンなどの内燃機関で駆動する車両から電動機で駆動する電動車への置き換えの需要が高まっている。電動車のリース価格や期間は、リース開始から終了までの期間のSOHの減少量から決定される。そのためSOHを精緻に予測する必要があり、予測の入力データの1つに電費(走行距離を消費電力で除した値)がある。この電費を精緻に推定することができればSOHも精緻に予測が可能になると考えられる。現状の電費推定方法は、顧客からのヒアリングデータを基に、電動車であるリース車両の電費を推定している。
【0006】
顧客からのヒアリングデータを基にリース車両の電費を推定しているため、推定値に誤差やバラつきが生じる。この誤差やバラつきによりリース車両に対して点検整備や部品交換を行う時期を正確に判定することができないため、例えば、リース期間中にリース車両の運行に支障が発生するおそれがある。そのため、リース車両の電費を精緻に算出することが求められている。
【0007】
本開示の目的は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関で駆動する車両から電動機で駆動する電動車への置き換えた場合における電費をより精緻に算出することが可能な推定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本開示における推定システムは、
内燃機関で駆動する第1車両から、電動機で駆動し、当該電動機へ電力を供給するバッテリが搭載された第2車両へ置き換えた時の電費を推定する推定システムであって、
前記第1車両の所定期間における走行距離、前記内燃機関の出力、および前記第1車両の走行速度に関する情報を取得する取得部と、
前記走行速度に関する情報に基づいて、前記第2車両が生成する回生電力を推定する推定部と、
前記内燃機関の出力および推定された前記回生電力に基づいて前記第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する特定部と、
特定された前記電力量と前記走行距離とに基づいて、前記第2車両の電費を算出する電費算出部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ディーゼルエンジンなどの内燃機関で駆動する車両から電動機で駆動する電動車への置き換えた場合における電費をより精緻に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態における推定システムの機能構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、電費推定ロジックの一例を示す図である。
図3図3は、モニター車の実績データから作成された架装の消費電力量マップを示す図である。
図4図4は、モニター車の実績データから作成された架装オン時間割合マップを示す図である。
図5図5は、第1車両の一例としての1月分の大気温度頻度データを示す図である。
図6図6は、モニター車の実績データから作成されたヒーター消費電力量マップを示す図である。
図7図7は、モニター車の実績データから作成されたヒーターオン時間割合マップを示す図である。
図8図8は、モニター車の実績データから作成されたエアコンの消費電力量マップを示す図である。
図9図9は、第1車両の一例としての1月分の大気温度毎のエアコンの作動時間頻度データを示す図である。
図10図10は、高電圧ヒーターの消費電力量マップの一例を示す図である。
図11図11は、第1車両の大気温度頻度データを示す図である。
図12図12は、電動コンプレッサーの消費電力マップを示す図である。
図13図13は、第1車両の一例としての1月の大気温度頻度データである。
図14図14は、Go-Stop回数の定義を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本開示の実施の形態における推定システムの機能構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態における推定システムはサーバ1aを有している。図1において、矢印は主なデータの流れを示しており、図1に示していないデータの流れがあってもよい。図1において、各機能ブロックは、ハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図1に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、通信ネットワーク等、任意の手段を介して行われてもよい。
本開示の実施の形態における推定システムは、内燃機関で駆動する車両(第1車両)を、電動機で駆動する車両(電動車、第2車両)に置き換えた場合における、当該電動車の電費を推定する。ここで、第1車両は、ディーゼルエンジンで駆動するディーゼル車(DIE車)であるとする。また、第2車両は、EV(Electric Vehicle)であるとする。なお、第1車両は、ディーゼルエンジンを搭載する車両に限らず、いわゆるガソリンを燃料として駆動するエンジンを搭載した車両であってもよい。なお、第2車両には、電動機へ電力を供給するバッテリが搭載されている。第1車両は、1または複数のセンサ(不図示)および1または複数の計測器(不図示)を有している。第1車両が有するセンサや計測器は、従来から第1車両に設けられているものである。第2車両は、1または複数のセンサ(不図示)および1または複数の計測器(不図示)を有している。第2車両が有するセンサや計測器は、従来から第2車両に設けられているものと、各種のマップ(後述する)を作成するために新たに設けられたものとがある。センサや測定器を有する第2車両を「モニター車」という場合がある。
【0013】
サーバ1aは、制御装置1を有している。制御装置1は、記憶部2と制御部3とを備えている。また、サーバ1aは、通信部4を有している。通信部4は、第1車両との間でデータの送受信を行う。センサにより検出された検出結果を示す検出データや、計測器により計測された計測結果を示す測定データは、第1車両から所定の時間間隔で通信部4に送信される。以下の説明で、第1車両から送信される検出データや、測定データを「第1車両の管理データ」または、単に「管理データ」という。
【0014】
管理データは、第1車両の走行距離、第1車両の走行分の燃料噴射量、第1車両の走行速度、大気温度(外気温ともいう)、および、キャブ内に設けられた冷房装置(エアコン)の作動時間を示すデータを含む。
【0015】
通信部4は、モニター車との間でデータの送受信を行う。モニター車は、制御装置1と通信によりデータの送受信が可能な車両であって、少なくとも第1車両を含む。なお、モニター車は、すでに運行している1以上の電動車(第2車両)を含んでいてもよいし、第1車両および第2車両以外の車両を含んでもよい。センサにより検出された検出結果を示す検出データや、計測器により計測された計測結果を示す測定データは、モニター車から所定の時間間隔で通信部4に送信される。以下の説明で、モニター車から送信される検出データや、測定データを「モニター車の実績データ」または単に「実績データ」という。なお、第2車両の量産車を用いて実績データを蓄積し、蓄積した実績データを図2に示す電費推定ロジックに反映することも可能である。この場合、第2車両の量産車は、モニター車としての機能を有する。
【0016】
実績データは、架装の消費電力、暖房装置(キャブ内暖房用のヒーター)の消費電力、冷房装置(キャブ内冷房用の電動コンプレッサー)の消費電力、および、バッテリ保温用の高電圧ヒーターの消費電力を示すデータを含む。これらの実績データに基づいて各種のマップが作成される。また、実績データは、モニター車の走行距離、および、モニター車の走行速度を含む。これらの実績データは、管理データとともに、第1車両およびモニター車のそれぞれの発進時の効率を比較するために用いられる。
【0017】
記憶部2は、制御装置1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や制御装置1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報、各種のマップを格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。
【0018】
制御部3は、制御装置1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部2に記憶されたプログラムを実行することによって取得部30、推定部31、特定部32及び電費算出部33として機能する。
【0019】
制御部3は、所定期間における、第1車両の内燃機関の出力、走行距離、走行速度(車速)、およびエアコンや架装の動作を示す情報に基づいて、第1車両を第2車両に置き換えた場合における電費を算出する。図2は、電費推定ロジックの一例を示す図である。本実施の形態に係る電費推定方法においては、前提条件としては、第1車両(DIE車)を第2車両(EV)に置換したとき、同じ使われ方をした時の電費を計算する。理論上、内燃機関でした仕事は、電動機に置換した場合でも同じ仕事をする。上記の理論に基づいて、内燃機関の仕事量に関する情報に基づいて第2車両の電費を推定する。第1車両と第2車両とが同じ使われ方をする場合、第2車両のバッテリから放電される電力量を、図2に「バッテリ放電電力量」で示す。バッテリ放電電力量は、第1車両の所定期間における走行距離と同じ走行距離を第2車両が走行するために必要となる本開示の「必要な電力量」に対応する。
【0020】
なお、内燃機関の仕事量に関する情報には、エアコンに用いられる電力(図2に示す「エアコン」)や、架装用のコンプレッサーに用いられる電力(図2に示す「架装」)や、排気ガス浄化装置(Diesel Particulate Defuser:DPD)おける情報が不足している。不足情報は、管理データや、実績データから補完することが可能である。
【0021】
また、電動機の回転が維持されている状態から減速に推移する過程で、電動機は発電機となって電力(回生電力)を生み出す。回生により発生した回生電力は、発電機にブレーキとして作用する。生み出された回生電力(図2に示す「回生」)を、バッテリ放電電力量から削減する必要がある。なお、回生電力の算出については、後述する。また、第1車両のキャブ内暖房には内燃機関から発生する熱が用いられるが、第2車両のキャブ内暖房には内燃機関から発生する熱を用いることができず、バッテリから供給される電力が用いられる。キャブ内暖房に用いられる電力(図2に示す「キャブ内暖房」)を、バッテリ放電電力量として追加する必要がある。また、第2車両に搭載される電動機の冷却に、バッテリから供給される電力が用いられる。また、バッテリの保温や冷却にも、バッテリから供給される電力が用いられる。電動機の冷却(図2に示す「モータ冷却」)や、バッテリの保温(図2に示す「バッテリ保温」)や、バッテリの冷却に用いられる電力(図2に示す「バッテリ冷却」)を、バッテリ放電電力量として追加する必要がある。
【0022】
図2に示すように、第1車両の走行分の燃料噴射量に基づいて内燃機関の仕事量を得ることができる。ここで、「走行分の燃料噴射量」とは、第1車両の駆動に用いられる燃料噴射量と、第1車両に搭載されるウオータポンプおよび交流発電機(オルターネータ)のそれぞれの駆動に用いられる燃料噴射量との合計数量である。
【0023】
図2に示すように、バッテリ放電電力量は、上記の合計数量から回生電力を削減した上で、架装用のコンプレッサーに用いられる電力、エアコンに用いられる電力、キャブ内暖房に用いられる電力、バッテリの保温や冷却に用いられる電力、および、電動機の冷却に用いられる電力を追加し、さらに、バッテリ放電電力量は、電動機における損失電力(図2に示す「損失1」)およびバッテリにおける損失電力(図2に示す「損失2」)を追加したものである。上記する回生電力や、架装用のコンプレッサーに用いられる電力等のそれぞれは、記憶部2に記憶される管理データに基づいて、記憶部2に記憶された各種のマップを参照し、所定の計算式により算出することが可能である。
【0024】
なお、図1は、制御装置1が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、制御装置1は、例えば複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部3を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0025】
(取得部30)
取得部30は、通信部4から管理データを取得する。制御部3は、取得部30により取得された管理データ(第1車両の走行距離、走行分の燃料噴射量、第1車両の走行速度、大気温度、および、エアコンの作動時間を示すデータ)を頻度データとして記憶部2に記憶させる。なお、頻度データが記憶部2に既に記憶されており、かつ、第2車両の電費推定に利用可能なデータである場合、第1車両から管理データを取得することは省略可能である。
【0026】
(推定部31)
推定部31は、第1車両の管理データに基づいて、第1車両を置き換えた第2車両で生成される回生電力を推定する。推定部31は、頻度データとしての第1車両の走行速度(第1車両の制動に関する情報)に基づいて、回生エネルギ(J)を算出し、回生エネルギに基づいて回生電力(W=J/s)を推定する。
回生エネルギ(J)は、次の式により算出される。
回生エネルギ=(1/2)*M*(v-v
ここで、Mは、第2車両の質量、vは、減速前の速度、vは、減速後の速度である。
【0027】
(特定部32)
特定部32は、第1車両の管理データの走行分の燃料噴射量に基づいて、内燃機関の仕事量(J/s)を特定する。特定部32は、さらに、内燃機関の仕事量、および、推定部31により推定された回生電力(kW)に基づいて、第2車両が走行距離を走行するために必要な電力量Pt’(kW)を特定する。具体的には、特定部32は、内燃機関の仕事量に対応する仕事量を電動機により発生させるために必要な電力量から、回生電力量を減算した値を電力量Pt’と特定する。なお、電力量Pt’は、当該減算した値から、所定のマージンを有するように、オフセット量を加算した値であってもよい。
【0028】
(電費算出部33)
電費算出部33は、頻度データとしての第1車両の走行距離(km)と、特定部32により特定された電力量Pt’(kW)とに基づいて、第2車両の電費を算出する。電費算出部33は、さらに、架装やエアコンなどの車両に設けられ、かつ、内燃機関の出力以外のエネルギー源によって動作する装置を動作させるための消費電力量を算出する。電費算出部33は、電力量Pt’に、算出した消費電力量を加算して、第2車両におけるバッテリ放電電力量を算出する。消費電力量の算出方法は、後述する。電費算出部33は、第1車両の走行距離(km)を、バッテリ放電電力量(kW)で除することにより、第2車両に置き換えた場合の電費を算出する。
【0029】
(架装用の消費電力算出方法)
次に、架装用のコンプレッサーに用いられる電力(kW)の算出方法の具体例について説明する。ここで、架装は、例えば、冷却装置を備えた荷台である。図3は、モニター車の実績データから作成された架装の消費電力量マップを示す図である。なお、架装の消費電力量マップは、架装の種別(大きさ、冷却機能、保冷温度)毎に設けられているとする。消費電力量マップは、複数の大気温度領域と、複数の月とで区分けされた複数の領域に対して消費電力量が示されている。図3に示す消費電力量マップは、月毎に0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分した温度領域毎に消費電力量(kW)が表される。例えば、温度領域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれの消費電力量は、****(kW)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0030】
図4は、モニター車の実績データから作成された架装オン時間割合マップを示す図である。なお、架装オン時間割合マップは、架装の種別毎に設けられている。架装オン時間割合マップは、複数の大気温度領域と、複数の月とで区分けされた複数の領域に対して、車両がキーオン状態にある時間(キーオン時間)に対する架装が駆動している時間(架装オン時間)の割合(%)を示す。図4に示す架装オン時間割合は、月毎に0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分した温度領域毎に架装オン時間割合(%)として表される。例えば、温度領域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれの架装オン時間割合は、****(%)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0031】
図5は、第1車両の一例としての1月分の大気温度の頻度データを示す図である。大気温度に対する頻度データは、所定の期間(例えば、1月)において、第1車両が存在した環境における大気温度がある温度範囲であった時間として示される。第1車両は推定対象のDIE車である。図5に示す大気温度の頻度データは、0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分された温度領域毎に、時間(sec)として表される。例えば、温度領域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれの頻度データは、****(sec)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0032】
以上から、推定部31は、図3および図4のそれぞれに示すマップ値同士を掛け合わせ、さらに、掛け合わせたマップ値に図5に示す頻度データを掛け合わせることにより、架装用のコンプレッサーに用いられる電力(kW)を算出する。これにより、ある架装の1月の消費電力量kWhが算出可能となる。
【0033】
(キャブ暖房用の消費電力算出方法)
次に、キャブ内暖房に用いられる電力の算出方法の具体例について説明する。キャブ内暖房にはヒーターが用いられる。
図6は、モニター車の実績データから作成されたヒーター消費電力量マップを示す図である。図6に示すヒーターの消費電力量マップは、複数の大気温度領域と、複数の月とで区分けされた複数の領域に対して、ヒーターの消費電力量(kW)が示されている。図6に示すヒーター消費電力量は、月毎に0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分された温度領域毎に表される。例えば、温度領域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれの消費電力量は、****(kW)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0034】
図7は、モニター車の実績データから作成されたヒーターオン時間割合マップを示す図である。図7に示すヒーターオン時間割合は、複数の大気温度領域と、複数の月とで区分けされた複数の領域に対して、キーオン時間に対するヒーターに通電している時間(ヒーターオン時間)の割合(%)を表している。図7に示すヒーターオン時間割合は、月毎に0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分された温度領域毎に表される。例えば、温度領域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれのヒーターオン時間割合は、****(%)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0035】
キャブ内暖房(ヒーター)に用いられる電力の算出においても、図5に示す頻度データが用いられる。すなわち、推定部31は、図6および図7のそれぞれに示すマップ値同士を掛け合わせ、さらに、掛け合わせたマップ値に図5に示す頻度データを掛け合わせることにより、ヒーターに用いられる電力(kW)を算出する。これにより、キャブ内暖房(ヒーター)の1月の消費電力量kWhが算出可能となる。
【0036】
(エアコン用の消費電力算出方法)
次に、エアコンに用いられる電力の算出方法の具体例について説明する。
図8は、モニター車の実績データから作成されたエアコンの消費電力量マップを示す図である。図8に示すエアコンの消費電力量マップは、複数の大気温度領域と、複数の月とで区分けされた複数の領域に対して、エアコンの消費電力量が示されている。図8に示すエアコンの消費電力量は、月毎に0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分された温度領域毎に表される。例えば、温度領域(Temp0~2)域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれの消費電力量は、****(kW)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0037】
図9は、第1車両の一例としての1月分の大気温度毎のエアコンの作動時間頻度データを示す図である。エアコンの作動時間頻度データは、所定の期間(例えば、1月)において、第1車両が存在した環境における大気温度がある温度範囲である場合において、エアコンを作動していた時間として示される。第1車両は推定対象のDIE車である。図9に示すエアコンの作動時間は、0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分された温度領域毎のエアコンの作動時間(sec)として表される。例えば、温度領域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれの頻度データは、****(sec)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0038】
以上から、推定部31は、図8に示すマップ値に図9に示すエアコンの作動時間頻度データを掛け合わせることにより、エアコンに用いられる電力(kW)を算出する。これにより、エアコンの1月の消費電力量kWhが算出可能となる。
【0039】
(バッテリ保温用の消費電力算出方法)
次に、バッテリ保温に用いられる電力の算出方法の具体例について説明する。バッテリ保温には高電圧ヒーターが用いられる。バッテリ保温では、0度以下のタイミングで高電圧ヒーターが使用される。図10は、高電圧ヒーターの消費電力量マップの一例を示す図である。図10に示す高電圧ヒーターの消費電力量マップは、モニター車の実績データから作成され、複数の大気温度領域と、複数の月とで区分けされた複数の領域に対して消費電力が示されている。図10に示す高電圧ヒーターの消費電力量マップは、大気温度の範囲が2℃毎に15に区分した温度領域毎に対して消費電力量が示されている。例えば、温度領域(-30~-28)、温度領域(-28~-26)、温度領域(-26~-24)、・・・、温度領域(-6~-4)、温度領域(-4~-2)、温度領域(-2~0)のそれぞれの消費電力量は、****(kW)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0040】
また、図11は、第1車両の大気温度頻度データを示す図である。第1車両は推定対象のDIE車である。なお、図11に示す大気温度頻度データは、0度以下の頻度データを抽出している。図11に示す大気温度頻度データは、大気温度の範囲が2℃毎に15に区分した温度領域毎に対して時間(sec)が示されている例えば、温度領域(-30~-28)、温度領域(-28~-26)、温度領域(-26~-24)、・・・、温度領域(-6~-4)、温度領域(-4~-2)、温度領域(-2~0)のそれぞれの頻度データは、****(sec)である。なお、「****」は、伏せた数値を表す。
【0041】
推定部31は、高電圧ヒーターの消費電力マップのマップ値に、第1車両の大気温度頻度データを掛け合わせることで、バッテリ保温(高電圧ヒーター)の消費電力を算出する。これにより、ある月のバッテリ保温に用いられる消費電力量kWhが算出可能となる。
【0042】
(バッテリ冷却用の消費電力算出方法)
次に、バッテリ冷却に用いられる電力の算出方法の具体例について説明する。例えば、バッテリ冷却用の冷媒は空調のエアコンと同じ冷媒回路にて冷却される冷媒である。バッテリ冷却は電動コンプレッサーが行うため、エアコンの消費電力マップを、電動コンプレッサーの消費電力マップとして使用する。図12は、電動コンプレッサーの消費電力マップを示す図である。図12に示す電動コンプレッサーの消費電力量(kW)は、大気温度と、月毎に区分けされている。図12に示す電動コンプレッサーの消費電力量は、月毎に0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分した温度領域毎に消費電力量(kW)が表される。例えば、温度領域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれの消費電力量は、****(kW)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0043】
図13は、第1車両の一例としての1月の大気温度頻度データである。第1車両は推定対象のDIE車である。図13に示す大気温度頻度データは、0℃から60℃までの大気温度の範囲を2℃毎に30に区分した温度領域毎に時間(sec)が表される。例えば、温度領域(Temp0~2)、温度領域(Temp2~4)、温度領域(Temp4~6)、温度領域(Temp6~8)、温度領域(Temp8~10)、・・・、温度領域(Temp56~58)、および、温度領域(Temp58~60)のそれぞれの頻度データは、****(sec)である。なお、「****」は伏せた数値を表す。
【0044】
なお、バッテリ温度は、第1車両の平均車速や、車型、配送形態などによりその上がり方が変化する。そのため、平均車速や、車型や、配送形態などによる補正係数Nを予め設定しておく。
【0045】
以上から、推定部31は、図12に示す電動コンプレッサーの消費電力マップのマップ値と図13に示す第1車両の大気温度頻度データとを掛け合わせ、掛け合わせた数値に補正係数Nを掛け合わせることで、バッテリ冷却に用いられる電力を算出する。これにより、1月のバッテリ冷却に用いられる消費電力量kWhが算出可能となる。
【0046】
(損失の計算方法)
次に、損失の計算方法について説明する。
第1車両およびモニター車のそれぞれの発進時の効率を比較した場合、モニター車が第1車両よりもその効率が良い。そのため、発進回数(Go-Stop回数)が多い宅配系の第2車両においては、電費推定精度を低下させるおそれがある。そこで、発進回数をGo-Stop回数と定義し、それぞれの効率を比較し、比較結果を電費推定ロジックに組み入れる。
【0047】
図14は、Go-Stop回数の定義を示す図である。図14の横軸に時間を示し、縦軸に車速を示す。停止状態から走行し、再度停止状態となる期間をGo-Stop1回と定義する。また、その間に進む距離を走行距離とする。ただし、走行は、後退走行(リバース)を除外し、前進走行に限定する。
【0048】
次に、発進時の効率の違いの検証方法について説明する。
第1車両の管理データと、モニター車の実績データとを用いて検証する。
Go-Stop1回あたりに進む平均移動距離と、1000km走行した時の内燃機関の仕事量と電動機の仕事量とを比較する。
【0049】
比較結果から判明したことは、Go-Stop1回あたりの平均移動距離が少ないほど、第1車両の仕事量とモニター車の仕事量との差が大きい。また、平均移動距離が一定の距離以上となると、第1車両の仕事量とモニター車の仕事量との差が十分に小さくなる傾向があることがわかった。例えば、平均移動距離が一定の距離以上で、第1車両の仕事量とモニター車の仕事量との差がほぼない傾向があることがわかった。つまり、平均移動距離が一定の距離以下において短いほど、傾向差が発生する。
【0050】
傾向差の発生原因は、第1車両とモニター車の効率の違いによる。傾向差から第1車両とモニター車の効率の違いによる仕事量を補正し、補正した仕事量(補正仕事量)を電費推定ロジックに組み入れる。換言すれば、補正仕事量でバッテリ放電電力量を補正する。
【0051】
上記実施の形態における推定システム100は、内燃機関で駆動する第1車両から、電動機で駆動し、当該電動機へ電力を供給するバッテリが搭載された第2車両への置き換えた時の電費を推定する推定システムであって、第1車両の所定期間における走行距離、内燃機関の出力、および、第1車両の制動に関する情報を取得する取得部30と、制動に関する情報に基づいて、第2車両が生成する回生電力を推定する推定部31と、内燃機関の出力および推定された回生電力に基づいて第2車両が走行距離を走行するために必要な電力量を特定する特定部32と、特定された電力量と走行距離とに基づいて、第2車両の電費を算出する電費算出部33と、を有する。したがって、ディーゼルエンジンなどの内燃機関で駆動する車両から電動機で駆動する電動車への置き換えた場合における電費をより精緻に推定することが可能となる。
【0052】
上記構成によれば、回生電力に基づいて第2車両が走行距離を走行するために必要な電力を特定しているため、第2車両の電費を精緻に算出することが可能となる。これにより、リース車両に対して点検整備や部品交換を行う時期を正確に判定することができるため、例えば、リース期間中にリース車両の運行に支障が発生する頻度を低くすることができる。
【0053】
また、上記実施の形態における推定システム100では、第1車両は、内燃機関の出力により稼働する第1架装が搭載され、第2車両は、バッテリからの電力により稼働する第2架装が搭載され、取得部30は、第1架装を稼働するための内燃機関の仕事量を示す情報をさらに取得し、推定部31は、さらに、内燃機関の仕事量と同じ仕事量で第2架装を稼働するためのバッテリからの電力である架装稼働用の電力を推定し、特定部32は、さらに、推定された架装稼働用の電力に基づいて、第2車両が走行距離を走行するために必要な電力量を特定する。これにより、架装稼働用の電力に基づいてバッテリ放電電力量が特定されるため、第2車両の電費をより精緻に算出することが可能となる。
【0054】
また、上記実施の形態における推定システム100では、第1車両は、内燃機関の出力により稼働する第1冷房装置が搭載され、第2車両は、バッテリからの電力により稼働する第2冷房装置が搭載され、取得部30は、第1車両の外気温を示す情報、および、第1冷房装置を稼働するための内燃機関の仕事量を示す情報をさらに取得し、推定部31は、さらに、内燃機関の仕事量と同じ仕事量で第2冷房装置を稼働するためのバッテリからの電力である冷房用の電力を推定し、特定部32は、さらに、推定された冷房用の電力に基づいて、第2車両が走行距離を走行するために必要な電力量を特定する。これにより、冷房用の電力に基づいてバッテリ放電電力量が特定されるため、第2車両の電費をより精緻に算出することが可能となる。
【0055】
また、上記実施の形態における推定システム100では、第1車両は、内燃機関の出力により稼働する第1暖房装置が搭載され、第2車両は、バッテリからの電力により稼働する第2暖房装置が搭載され、取得部30は、第1車両の外気温を示す情報、および、前記第1暖房装置を稼働するための内燃機関の仕事量を示す情報をさらに取得し、推定部31は、さらに、内燃機関の仕事量と同じ仕事量で第2暖房装置を稼働するためのバッテリからの電力である暖房用の電力を推定し、特定部32は、さらに、推定された暖房用の電力に基づいて、第2車両が前記走行距離を走行するために必要な電力量を特定する。これにより、暖房用の電力に基づいてバッテリ放電電力量が特定されるため、第2車両の電費をより精緻に算出することが可能となる。
【0056】
また、上記実施の形態における推定システム100では、取得部30は、第1車両の外気温を示す情報をさらに取得し、推定部31は、さらに、外気温を示す情報に基づいて、バッテリを保温するために利用するバッテリ保温用の電力を推定し、特定部32は、さらに、推定されたバッテリ保温用の電力に基づいて、第2車両が走行距離を走行するために必要な電力量を特定する。これにより、バッテリ保温用の電力に基づいてバッテリ放電電力量が特定されるため、第2車両の電費をより精緻に算出することが可能となる。
【0057】
また、上記実施の形態における推定システム100では、取得部30は、第1車両の外気温を示す情報をさらに取得し、推定部31は、さらに、外気温を示す情報に基づいて、バッテリを冷却するためのバッテリ冷却用の電力を推定し、特定部32は、さらに、推定されたバッテリ冷却用の電力に基づいて、第2車両が走行距離を走行するために必要な電力量を特定する。これにより、バッテリ冷却用の電力に基づいてバッテリ放電電力量が特定されるため、第2車両の電費をより精緻に算出することが可能となる。
【0058】
また、上記実施の形態における推定システム100では、取得部30は、第1車両の外気温を示す情報をさらに取得し、推定部31は、さらに、外気温を示す情報に基づいて、電動機を冷却するための電動機冷却用の電力を推定し、特定部32は、さらに、推定された電動機冷却用の電力に基づいて、第2車両が走行距離を走行するために必要な電力量を特定する。これにより、電動機冷却用の電力に基づいて、バッテリ放電電力量が特定されるため、第2車両の電費をより精緻に算出することが可能となる。
【0059】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、ディーゼルエンジンなどの内燃機関で駆動する車両から電動機で駆動する電動車への置き換えた場合における電費を精緻に算出することが要求される推定システムを備えたリース管理システムに好適に利用される。
【符号の説明】
【0061】
1 制御装置
1a サーバ
2 記憶部
3 制御部
4 通信部
30 取得部
31 推定部
32 特定部
33 電費算出部
100 推定システム
【要約】
【課題】ディーゼルエンジンなどの内燃機関で駆動する車両から電動機で駆動する電動車への置き換えた場合における電費を精緻に算出することが可能な推定システムを提供する。
【解決手段】推定システムは、内燃機関で駆動する第1車両から、電動機で駆動し、当該電動機へ電力を供給するバッテリが搭載された第2車両へ置き換えた時の電費を推定する推定システムであって、第1車両の所定期間における走行距離、内燃機関の出力、および第1車両の制動に関する情報を取得する取得部と、制動に関する情報に基づいて、第2車両が生成する回生電力を推定する推定部と、内燃機関の出力および推定された回生電力に基づいて第2車両が走行距離を走行するために必要な電力量を特定する特定部と、特定された電力量と走行距離とに基づいて、第2車両の電費を算出する電費算出部と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図14