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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/15 20060101AFI20240702BHJP
   A01D 41/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B62D55/15
A01D41/02 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023136505
(22)【出願日】2023-08-24
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 学
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 雅一
(72)【発明者】
【氏名】玉田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】古川 博司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑典
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134551(JP,A)
【文献】特開2014-144759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/15
A01D 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレ-ム(1)の下方位置に走行装置(2)を設け、走行装置(2)の前方に作物を圃場から刈り取る刈取装置(4)を設け、刈取装置(4)が刈り取った作物を収容する回収装置(5)を備える作業車両において、前記走行装置(2)は左右一対の走行クローラー(10)を有して構成し、各走行クローラー(10)は、クローラベルト(20)と、クローラベルト(20)に接触する転輪(15)と、転輪(15)を装着する転輪取付フレーム(21)とにより構成し、転輪取付フレーム(21)は、前後方向に長い、上下一対の四角フレーム(22)で構成し、上下の四角フレーム(22)うちの上側四角フレーム(22A)の左右両側に取付プレート(23)をそれぞれ設け、転輪(15)は取付プレート(23)に当接する当接部(34)を有する、正背面視においてU字形状の取付部(24)により転輪取付フレーム(21)に取付け、取付部(24)の溝底の左右中央部には上方に突出する接触突起(25)を設け、左右の取付プレート(23)とU字形状の取付部(24)とを連結した状態で、転輪取付フレーム(21)の下側四角フレーム(22B9は、U字形状の取付部(24)の左右両側内面と、底部の接触突起(25)に当接する構成としたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
走行クローラー(10)の前進方向の先頭に設ける先頭転輪(15A)と、走行クローラー(10)の前後中央付近に設ける中央転輪(15C)は、他の転輪(15B)よりも転輪軸(26)を上方位置になるように構成し、先頭転輪(15A)と中央転輪(15C)のU字形状の取付部(24)に形成する接触突起(25)の上方突出量は、他の転輪(15)のU字形状の取付部(24)の接触突起(25)の突出量よりも低くしたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
転輪(15)は、転輪軸(26)の左右両側に左右一対の接地回転体(27)を各々設け、転輪軸(26)の外周縁部に円筒状の取付円柱部28を設け、この取付円柱部(28)の機体上部側に左右一対のL字形状に屈曲させた取付プレート(23)を設け、取付プレート(23)にU字形状の取付部(24)を連結し、取付プレート(23)を取付円柱部(28)に固定した部分で、且つ、取付円柱部(28)内に、転輪軸(26)を支受する左右の転輪軸受(29)を配置することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置のクローラーは、駆動輪と遊動輪の間に走行フレームの下部に複数の転輪を配置して構成しており、転輪は転輪取付フレームに転輪軸により軸装して取付けた構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-157592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例では、転輪を取付ける転輪取付フレームは前後に長い四角筒形状の転輪取付フレームにより構成していたので、各転輪に掛かる負荷を支受できずに、変形あるいは破損するという課題がある。
本願は、転輪の取付構成を工夫し、走行フレームおよび転輪の支持剛性を向上させると共に、転輪を含めた走行装置の耐久性向上およびメンテナンス性向上ならびに組立性向上を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明では、機体フレ-ム1の下方位置に走行装置2を設け、走行装置2の前方に作物を圃場から刈り取る刈取装置4を設け、刈取装置4が刈り取った作物を収容する回収装置5を備える作業車両において、前記走行装置2は左右一対の走行クローラー10を有して構成し、各走行クローラー10は、クローラベルト20と、クローラベルト20に接触する転輪15と、転輪15を装着する転輪取付フレーム21とにより構成し、転輪取付フレーム21は、前後方向に長い、上下一対の四角フレーム22で構成し、上下の四角フレーム22うちの上側四角フレーム22Aの左右両側に取付プレート23をそれぞれ設け、転輪15は取付プレート23に当接する当接部34を有する、正背面視においてU字形状の取付部24により転輪取付フレーム21に取付け、取付部24の溝底の左右中央部には上方に突出する接触突起25を設け、左右の取付プレート23とU字形状の取付部24とを連結した状態で、転輪取付フレーム21の下側四角フレーム22Bは、U字形状の取付部24の左右両側内面と、底部の接触突起25に当接する構成としたことを特徴とする作業車両としたものである。
請求項2の発明では、走行クローラー10の前進方向の先頭に設ける先頭転輪15Aと、走行クローラー10の前後中央付近に設ける中央転輪15Cは、他の転輪15Bよりも転輪軸26を上方位置になるように構成し、先頭転輪15Aと中央転輪15CのU字形状の取付部24に形成する接触突起25の上方突出量は、他の転輪15のU字形状の取付部24の接触突起25の突出量よりも低くしたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両としたものである。
請求項3の発明では、転輪15は、転輪軸26の左右両側に左右一対の接地回転体27を各々設け、転輪軸26の外周縁部に円筒状の取付円柱部28を設け、この取付円柱部28の機体上部側に左右一対のL字形状に屈曲させた取付プレート23を設け、取付プレート23にU字形状の取付部24を連結し、取付プレート23を取付円柱部28に固定した部分で、且つ、取付円柱部28内に、転輪軸26を支受する左右の転輪軸受9を配置することを特徴とする請求項1に記載の作業車両としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、上下一対の四角フレーム22A、22Bを上下に一体状に連結して構成した転輪取付フレーム21に転輪15を装着することにより、転輪取付フレーム21の剛性を向上させ、接地による振動や負荷による転輪取付フレーム21の破損および変形を抑制・防止することができ、転輪15の取付部24の左右中央部に接触突起25を形成したことにより、下側の四角フレーム22Bの三面に取付部24の左右内面および接触突起25上面を接触させることができ、これにより、転輪15からの応力を三面にて支持でき、転輪取付フレーム21および取付部24の耐久性を向上させられる。
請求項2の発明では、先頭転輪15Aと中央転輪15Cが他の転輪15Bよりも僅かに上方に配置されることにより、圃場面の盛り上がり等を通過する際にクローラベルト20が先頭転輪15Aと中央転輪15Cの部分で自然に持ち上がるので、走行の一瞬停止や、大きなガタつきの発生を抑制・防止できる。また、先頭転輪15Aと中央転輪15CのU字形状の取付部24に形成する接触突起25の上方突出量は、他の転輪15Bの取付部24の接触突起25の突出量よりも低くしたことにより、先頭転輪15Aと中央転輪15CのU字形状の取付部24を共用化できてコストダウンが図られると共に、先頭転輪15A及び中央転輪15Cを他の転輪15Bとの組立間違い(所謂誤組)を防止でき、圃場面の凹凸時の走行安定性を向上させられる。
請求項3の発明では、左右の転輪軸受29を取付円柱部28の内部で、且つ、取付部24の縦板部30を固定した部分と重ねて配置することにより、左右の接地回転体27を介して転輪軸26や転輪15の取付部24にかかる応力(荷重)を分散し、変形および破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】作業車両(コンバイン)の側面図。
図2】機体フレームの平面図。
図3】走行装置の側面図。
図4】転輪付近およびクローラーガイドの縦断背面図。
図5】他の実施形態の転輪付近の縦断背面図。
図6】他の実施形態の転輪付近の縦断背面図。
図7】他の実施形態の転輪付近の縦断背面図。
図8】他の実施形態の転輪付近の縦断背面図。
図9】他の実施形態の転輪の側面図。
図10】クローラーガイドの側面図。
図11】転輪の側面図。
図12】他の実施形態の転輪の側面図。
図13】他の実施形態の転輪の背面図。
図14】他の実施形態の転輪の背面図。
図15】他の実施形態の転輪の背面図。
図16】ローリングアーム付近の側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1は機体フレ-ム、2は機体フレ-ム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレ-ム1の上方位置に設けた脱穀装置であり、02の前方に作物を圃場から刈り取る刈取装置4を設け、刈取装置4が刈り取った作物を収容する回収装置(グレンタンク)5を設ける。6は操縦部である。
なお、本発明を説明するにあたり、理解を容易にするため、作業車両の走行方向を基準に前後・左右・上下等の方向を示して説明するが、これにより、本発明の構成が限定されることはない。
走行装置2は、左右一対の走行クローラー10を有して構成する。走行クローラー10は走行フレーム(クローラーフレーム・転輪フレーム)11の前側に設けた駆動輪12と後側に設けた遊動輪(テンションローラー)13の間に複数設けた転輪15の外周に掛け回して構成する(図3)。
【0009】
機体フレ-ム1の下方位置に走行装置2を設け、走行装置2の前方に作物を圃場から刈り取る刈取装置4を設け、刈取装置4が刈り取った作物を収容する回収装置5を備える作業車両において、前記走行装置2は、クローラベルト20と、クローラベルト20に接触する転輪15と、転輪15を装着する転輪取付フレーム(トラックローラフレーム)21とで走行クローラー10を左右各々形成し、転輪取付フレーム21は、上下一対の四角フレーム22で構成し、上下一対の四角フレーム22のうち、上側四角フレーム22Aの左右両側に正背面視においてL字形状および逆L字形状を呈する取付プレート23をそれぞれ設け、転輪15には、正背面視においてU字形状の取付部24を設け、取付部24の溝底の左右中央部には上方に突出する接触突起25を設け、左右の取付プレート23とU字形状の取付部24を連結すると、下側四角フレーム22Bは、U字形状の取付部24の左右両側内面と、底部の接触突起25に当接する構成としている(図4)。
【0010】
そのため、上下一対の四角フレーム22A、22Bを上下に一体状に連結して構成した転輪取付フレーム21に転輪15を装着することにより、転輪取付フレーム21の剛性を向上させ、接地による振動や負荷による転輪取付フレーム21の破損および変形を抑制・防止する構成となる。
転輪15のU字形状の取付部24の左右中央部に接触突起25を形成したことにより、下側の四角フレーム22Bの三面に取付部24の左右内面および接触突起25上面を接触させることができるので、転輪15からの応力を三面にて支持でき、転輪取付フレーム21および取付部24の耐久性を向上させられる。
走行クローラー10の前進方向の先頭に設ける先頭転輪(1番目転輪)15Aと、走行クローラー10の前後中央付近に設ける中央転輪(4番目)15Cは、前進走行時の地面の凹凸に引っ掛かりにくくすべく、先頭転輪15Aと中央転輪15Cは、他の転輪15Bよりも転輪軸26を上方位置になるように構成し、先頭転輪15Aと中央転輪15CのU字形状の取付部24に形成する接触突起25の上方突出量は、他の転輪15のU字形状の取付部24の接触突起25の突出量よりも低くした構成とする(図10)。
【0011】
先頭転輪15Aと中央転輪15Cが他の転輪15Bよりも僅かに上方に配置されることにより、圃場面の盛り上がり等を通過する際にクローラベルト20が先頭転輪15Aと中央転輪15Cの部分で自然に持ち上がるので、走行の一瞬停止や、大きなガタつきの発生を抑制・防止できる。
本実施形態では、他の転輪15Bよりも中央転輪15Cを小径に形成して他の転輪15Bの接地面に対して通常時小径に形成した分浮かせた状態として、「僅かに上方に配置」した構成としている。
先頭転輪15Aと中央転輪15CのU字形状の取付部24に形成する接触突起25の上方突出量は、他の転輪15BのU字形状の取付部24の接触突起25の突出量よりも低くしたことにより、先頭転輪15Aと中央転輪15CのU字形状の取付部24を共用化できてコストダウンが図られると共に、先頭転輪15A及び中央転輪15Cを他の転輪15Bとの組立間違い(所謂誤組)を防止でき、圃場面の凹凸時の走行安定性を向上させられる。
【0012】
転輪15は、転輪軸26の左右両側に左右一対の接地回転体27を各々設け、転輪軸26の外周縁部に円筒状の取付円柱部28を設け、この取付円柱部28の機体上部側に左右一対のL字形状に屈曲させた取付プレート23を設け、取付プレート23にU字形状の取付部24を連結し、取付プレート23を取付円柱部28に固定した部分で、且つ、取付円柱部28内に、転輪軸26を支受する左右の転輪軸受(ボールベアリング)29を配置する構成とする(図4)。
左右の転輪軸受29を取付円柱部28の内部で、且つ、U字形状の取付部24の縦板部30を固定した部分と重ねて配置することにより、左右の接地回転体27を介して転輪軸26や転輪15の取付部24にかかる応力(荷重)を分散し、変形および破損を防止できる。
すなわち、左右の転輪軸受29をU字形状の取付部24の縦板部30の下方に上下方向において重ねて配置することにより、左右の接地回転体27を介して転輪軸26や転輪15の取付部24にかかる応力(荷重)を分散し、変形および破損を防止できる。
【0013】
また、U字型取付部24は取付円柱部28の上部に左右一対の縦板部30の下部を一体状に設け、左右の縦板部30の上部にそれぞれ当接部34を設け、当接部34上面に転輪取付フレーム21側に固定した取付プレート23をボルト31により着脱自在に取付ける。
換言すると、転輪15は、転輪軸26の左右両側に左右一対の接地回転体27を各々設けて構成し、転輪軸26は転輪取付部材32を介して転輪取付フレーム(トラックローラフレーム)21に取付け、転輪取付部材32は、転輪軸26を回転自在に軸装した円筒状の取付円柱部28にU字型取付部24を一体状に設け、U字型取付部24を介して転輪取付フレーム(トラックローラフレーム)21に着脱自在に取付ける。
そのため、複数の転輪15のうちの一部が破損したときに、破損した転輪15の接地回転体27のみを着脱交換できる。
【0014】
すなわち、各転輪15は、接地回転体27のみを転輪軸26に対して着脱でき、また、転輪ごとの取付円柱部28およびU字型取付部24は、転輪取付フレーム(トラックローラフレーム)21に対して着脱自在でき、メンテナンスを容易にする。
四角フレーム22を縦2連に連結し構成した前後方向の転輪取付フレーム(トラッククロ-ラーフレ-ム)21の両側面に取付プレート(ステ-)23を設け、分割分離可能な取付部(U型連結固定部)24と一体化したローラブラケットで分割接地回転体27と転輪軸26とを保持する構成とし、取付部24の底部に接触突起25を設け(図4)、接触突起25上に下側四角フレーム22Bの底面を当接させて保持面積を拡大し、転輪15からの応力による変形破損を防止する。
すなわち、取付部(U型連結固定部)24は、転輪取付フレーム21からボルト等を外すことで着脱自在に構成する。
【0015】
ただし、取付部24そのものは、転輪軸26を通す取付円柱部28の外周にL字形状の板体(縦板部30と当接部34)と一体になっている。
そのため、転輪15およびローラブラケットなど走行装置2の走行部品の耐久性を向上させられる。
走行方向に複数設けた転輪15は、各転輪15を個別にボルト4本を外すことで取り外し可能となるので、泥の徹底除去などの際には、転輪15を取り外して高圧エアブロアや高水圧により容易に洗浄でき、これにより、詰まった泥の水分により錆びることや、泥の詰まりによる回転不良を防止できる。
また、転輪15の一部が破損した際、破損した転輪15のみを取り外して新しい転輪15に交換する作業を行えるので、余分な着脱作業が不要になる。また、ボルトの着脱は、下方からボルトを手で押さえながら着脱することに比べ、転輪取付フレーム21の上側から行えるので、ボルトを穴に差し込んで締める作業が行いやすく、作業能率を高くできる。
【0016】
また、取付プレート23に取付部24をボルト31により取付けるので、転輪15の転輪取付フレーム21への取付けを容易にし、組立て性を向上させられる。
取付部24の底部に接触突起25を設け、四角フレーム22Bの底面と接触突起25とを接触固定させて保持面積を拡大し、転輪15からの応力による変形破損を防止する。
第一転輪15Aと第四転輪15Cの各転輪軸26は圃場侵入・畔越え時のバランス改善目的で他の転輪15Bの転輪軸26よりも上方に配置している。
この場合、第一転輪15Aと第四転輪15Cの取付部24の接触突起25の高さを低くし(追加工)、転輪取付フレーム21の両側の取付部24を上に配置し、共用化を図ることができる。
取付部24の左右両側の縦板部30と取付円柱部28の交差部に転輪軸受29を配置する。
【0017】
そのため、外部からの応力集中による変形防止できる。
取付円柱部28に設けた左右の転輪軸受29の外側部分の取付円柱部28の左右両側には、シ-ル部材(軸付きシ-ル)33を設ける(図4)。
そのため、取付円柱部28を中空部材により形成して転輪15の取付構成の軽量化が図れ、このように構成した場合の取付円柱部28への泥水侵入を防止すると共に、取付円柱部28内のグリ-スの漏れを防止する。
転輪15と転輪取付フレーム21は取付部24で左右対称に4箇所で固定する構成とする。
すなわち、取付部24の左右の縦板部30の上部にそれぞれ当接部34を設け、当接部34上面を転輪取付フレーム21側に固定した取付プレート23にボルト31により着脱自在に取付ける。
【0018】
この場合、ボルト31は前後および左右対称に4箇所で固定する。
そのため、前後のボルト31は当接部34上面に左右対称に接近させることができ、しかも、取付部24を小型軽量化させるとともにボルト31の破損・緩み防止できる。
また、四角フレーム22Bの底面と取付部24の溝底に設けた接触突起25とは上下方向において当接状態で固定し、かつ、接触突起25を設けた四角フレーム22Bの底面と取付部24の溝底との間であって、接触突起25の左右両側または左右何れか一側には上下方向に所定の高さを有する空間部35を設ける(図4)。
空間部35は、マイナスドライバー等の所定の工具を挿入しうる大きさに形成する。
そのため、取付部24を有する転輪15側となる転輪取付部材32と転輪取付フレーム21とが錆などで固着されても、マイナスドライバ-などの工具を空間部35に差し込み両者を分離させる分解作業を容易にする。
【0019】
転輪取付フレーム21の両側面に取付部24の縦板部30を設置し、分割分離可能な取付部24の縦板部30と一体化した当接部34で転輪15および転輪軸26を転輪取付フレーム21に取付る構成とし、走行装置2のクローラー10のクローラベルト20の芯金36を案内するクローラガイド37は取付部24の当接部34間の中央に位置して転輪取付フレーム21に取付ける構成とする。
そのため、走行クローラ10の左右中央付近にクローラガイド37が臨んで当接するので、クローラベルト20に左右に均等に力がかかりやすく、クローラベルト20の脱落を抑えることができ、作業の中断や、クローラベルトの破損が防止される。
また、側面視において、転輪15同士の前後間にクローラガイド37の取付部が位置するので、側方から着脱作業をする際に転輪15が作業を妨げ得ることが無く、作業能率が向上させることができる。
【0020】
図5は、転輪取付フレーム21の他の実施形態を示し、転輪取付フレーム21は縦長角チュ-ブの単体部材で構成し、その上側部分の左右両側に取付プレート23を固定し、取付プレート23に取付部24の当接部34をボルト31により取付固定する。
そのため、転輪15の取付構成を簡素化および軽量化できる。
縦長角チュ-ブの単体部材で構成した転輪取付フレーム21の両側面に取付部24の左右の縦板部30を当接させ、取付部24の縦板部30と転輪取付フレーム21とを側面からボルト31で固定する構成とする(図5)。
そのため、組立を容易にする。
図6は、転輪取付フレーム21の他の実施形態を示し、縦長角チュ-ブの単体部材で構成した転輪取付フレーム21の両側面に取付部24の左右の縦板部30を当接させ、取付部24の縦板部30と転輪取付フレーム21とを側面からボルト31で固定する構成とし、ボルト31は縦長転輪取付フレーム21内に貫通したハブ40を設けた構成とする。
【0021】
この場合、ハブ40の両端を転輪取付フレーム21の左右側板に溶接固定すると、取付構成の剛性を向上させられる。
そのため、転輪15・取付部24等の走行部品の耐久性を向上させられる。
図7は、転輪取付フレーム21の他の実施形態を示し、転輪取付フレーム21を縦長構成とし、転輪取付フレーム21と取付部24とを上下方向からボルト31で固定する構成とし、かつ、縦長転輪取付フレーム21内に上下方向のハブ40を貫通させて設ける。
図8は、転輪取付フレーム21の他の実施形態を示し、取付部24の取付円柱部28の下端(下面側)にクローラガイド37の取付部45を設ける。
そのため、クローラガイド37の取付を容易にできる。
【0022】
前記クローラガイド37の取付部45は、前後方向に複数並設した何れかの転輪15の取付部24の取付円柱部28に設ける(図8)。
そのため、クローラガイド37は、複数箇所を下部から連結して転輪15側に取付けることができ、強固に支持される。
この場合、クローラガイド37の取付部45はクローラガイド37の下面に凹部により形成し、取付部45からボルト46を挿入して取付ける。
そのため、ボルト46は、クローラベルト20の空間部35との干渉が防止される(図8、9)。
また、クローラガイド37は正面視において左右対称形状とする。
そのため、芯金36を良好に案内すると共に、芯金36とクローラガイド37の双方の摩耗を抑制して耐久性を向上させられる。
【0023】
また、前記クローラガイド37は、側面視において前後対称形状とする。
クローラガイド37は、前後及び左右対称形状であることにより、組み付ける際に部材の向きを考慮する必要が無く、作業時間や労力の軽減が図られると共に、組み付け間違い(誤組)によりクローラの動作が不安定になったり、破損したりすることを防止することができる。
また、クローラガイド37を前後に亘る一体構成としたことにより、組み付け時に前後でズレが生じることがなく、クローラベルトの保持力を向上させることができる。
本実施形態では、中間転輪15Cの前後にそれぞれ二輪ずつの前側中間転輪15Bと後側中間転輪15Bとを設け、前側中間転輪15Bと後側中間転輪15Bの夫々の取付部24にクローラガイド37の取付部45を取付ける構成とし、この前後のクローラガイド37は前後で同一構成とする。
そのため、前後のクローラガイド37を共用化できる。
【0024】
クローラガイド37の断面形状は、下が広い台形形状とする。
すなわち、クローラガイド37は、図4のように、断面形状が縦四角形状の取付基部37aとその下部側で逆さ台形状の接触部37bからなり、接触部37bは(正背面視における)上辺の左右幅が下辺の左右幅よりも広い逆さ台形状である。
これにより、クローラガイド37の接触部37bがクローラベルトの芯金のV字に沿って接触する構成になるので、クローラベルトが接地抵抗などにより走行中に脱落して作業が中断されることが防止される。
クローラガイド37の側面の傾斜は対面する、芯金36の中央の上方に起立する起立部36Aの内面と略同じ傾斜角度に形成する(図5)。
そのため、クローラガイド37の側面と芯金36の中央の上方に起立する起立部36Aの側面とは略平行状態になり、当接による摩耗発生を抑制する。
【0025】
走行装置2は、左右一対の走行クローラー10を有して構成し、左右の走行クローラー10のクローラベルト20を案内するクローラガイド37は、左右対称の1個で構成し、全て同一構成とする(図10)。
そのため、左右2個のクローラガイド37を共用化できる。
また、クロ-ラガイド37は前後対称形状とする。
そのため、前後2個のクローラガイド37を共用化できる。
結果、前後左右のクローラガイド37は全て同一構成となる。
クローラガイド37を前後に亘る一体構成としたことにより、組み付け時に前後でズレが生じることがなく、クローラベルトの保持力を向上させることができる。
クローラガイド37の前後方向の中央部分は、側面視において、上方に凹む凹形状とする。
【0026】
すなわち、前後一体で且つ左右対称形状のクローラガイド37は、前後方向の中央部付近、図10では機体前側から4番目の転輪15Cに重複する位置に、クローラベルト20から上方に退避する退避凹部37Xを形成する(図10)。
なお、4番目の転輪15Cは、他の転輪15A、15Bのように肉抜きを施さず、また
クローラベルト20の芯金36に接触する突出部を形成しないことで、畔越え走行時等にかかる接地抵抗に対する強度を高くしつつ、接地抵抗により変形する余地を持たせることが望ましい。
これにより、圃場内よりも僅かに高く、且つ硬さのある畔越え走行時等に、クローラ2は接地抵抗を受けることである程度変形しながら移動できるので、機体が前後傾斜を繰り返して振動が生じ、搭乗している作業者に余分な疲労を生じさせることが防止される。
【0027】
前側クロ-ラガイド37の前端は側面視において第一転輪15Aの外周から前方に突出させず、後側クローラガイド37の後端は第六転輪15Bから後方へ突出させて遊動輪13の前側下方に臨ませる構成とする。
クローラガイド37が第一転輪15Aの外周から前方には突出しないことにより、機体斜め前側で且つ上方に位置する駆動スプロケット12により移動してくるクローラベルト20の屈曲をクローラガイド37が妨げることがない。
また、クローラガイド37の後端部側は、第六転輪15Bから後方に突出して遊動輪13の前側下方に臨むことにより、第六転輪15Bから遊転輪13に向かって後上がり傾斜しながら移動するクローラベルト20が、石等によって大きく撓むことを防止できる。
【0028】
上記により、クローラベルトのスリップや脱落が防止されるので、走行性の安定化が図られると共に、クローラベルトの脱落による作業の中断が防止される。
転輪15を取付ける転輪取付部材32の取付円柱部28にグリス注入用のグリスニップル50を設け、グリスニップル50は転輪軸26より下方に配置する(図11)。
また、取付円柱部28内のエアーを抜く空気抜き部51は、転輪軸26より上方に配置する(図11)。
そのため、グリスニップル50を転輪軸26より下方に配置することで、グリス充填時に下方からグリスアップが可能となり、軸、ベアリングへの潤滑がスムーズに行える。
空気抜き部51は転輪軸26の軸芯より上方に配置しているので、確実に転輪軸26の軸芯より半分以上の取付円柱部28内にグリスが充填される。
【0029】
また、空気抜き部51は取付円柱部28の上面部分に設けてもよい(図12)。
そのため、空気抜き部51は取付円柱部28の上面部分に設けているため、湿田作業時等での取付円柱部28内への泥・水の侵入を極力防げることで耐久性向上となる。
この場合、空気抜き部51は、背面視において接触突起25の前後方向の中間位置に設ける(図13)。
そのため、空気抜き部51は、接触突起25と併存させることができる。
転輪取付フレーム(トラックローラフレーム)21は2本の四角フレーム(四角パイプ)22を上下に重ね合わせて構成し、1本のフレームより強度を向上させる。
また、転輪(トラックローラ)15はASSYで取付タイプとすることで機体外側からの交換が容易な構成とする。
【0030】
2本の四角フレーム(四角パイプ)22を溶接構成とすることで、溶接部で重ね合わせた部分の強度が向上し、変形に対して強くなる。
また、転輪15は下方からの取り付け方式とすることで、交換・修理が外側より簡単に行える。
トラックローラフレームをパイプ2本を上下に重ね合わせて構成し、1本のフレームより強度を向上させる。
また、トラックローラはASSYで取付タイプとすることで機体外側からの交換が容易な構成とする。
そのため、パイプ2本の溶接構成とすることで、溶接部で重ね合わせた部分の強度が向上し、変形に対して強くなる。
【0031】
また、トラックローラは下部よりの取り付け方式とすることで、交換・修理が外側より簡単に行える。またトラックローラの取付用部材を2本のチューブに跨がせることにより強度が上がり、変形・破損に対して強度アップが図れる。
図14は、転輪取付フレーム21の他の実施形態を示し、2本の四角フレーム(四角パイプ)22を上下に重ね合わせて構成し、転輪取付フレーム21の2本の四角フレーム22のうち、上側の四角フレーム22Aをパイプ部材により形成し、四角フレーム22Aの下面に上下中間の四角フレーム22Yの上面を溶接等の手段で固定し、上下中間の四角フレーム22Yと下側の四角フレーム22Zとを無垢材により形成し、四角フレーム22Yと下側の四角フレーム22Zとにタップをたてることでボルト22Xを螺合させて、四角フレーム22Aと四角フレーム22Yと四角フレーム22ZとによりトラックローラASSYを取付式に構成する。
そのため、無垢材のみとすると重量が増大するため、無垢材はネジ部のみの幅とすることで、剛性および強度を確保すると共に極力重量低減を図る。
【0032】
図15は、転輪取付フレーム21の他の実施形態を示し、転輪取付フレーム(トラックローラフレーム用角チューブ)21に転輪用のハブ40を下部から組立が可能なようにタップをたてた部材を挿入する構成とする。
そのため、無垢材のみとすると重量が増大するため、角チューブにタップをたてた部品を挿入することで、強度アップ、重量低減が可能となる。
転輪取付フレーム21を、角チュ-ブ22A、22Bを縦に2段重ねた構成とし、転輪取付フレーム21の上部後端にU型ガイドを設置し、遊動輪(テンションローラー)13のテンションア-ムを挿入する(図10)。
転輪取付フレーム21の角チューブをできるだけ太くできるようにすることで、アイドルローラ13のアーム13Aの変形を防止する。
【0033】
そのため、転輪取付フレーム21を角チューブ2段化にすることで強度アップが図れ、後方に下方の角チューブに跨がせることでアイドルアームの太さをトラックローラフレームと同等の太さとできるため、強度アップが図れる。
グレンタンク5内の穀粒を排出する縦排出装置55の上部に避雷針避雷針56を設け、避雷針56の上端位置は、操縦部6で立ち作業する操縦者の身長(180cm)よりも高位置とする(図1)。
すなわち、避雷針避雷針56の高さは圃場面より3m以上に設定すると、好適である。
そのため、排出オーガ排出オーガの回動中心の上部に避雷針56を設置することで、常に落雷場所が変わることなく感電を防げる。
換言すると、広い圃場では、周辺に高いものはなく、操縦部6で立ったままの作業では作業者の頭部が一番高い位置に来るが、排出オーガの縦排出装置55の最上部に避雷針56を設置することで、作業者から一番遠くに離れた位置に避雷針56を設置可能とし、標準機での作業者への落雷を防ぐことが可能となる。
【0034】
図16のように、機体フレーム1と走行フレーム11との間に機体を水平に保持させるための水平保持機構であるローリング機構を設け、ローリング機構のローリングアーム60を左右の走行フレーム11に回動取付軸61により回動自在に取付ける。
機体の最低下降位置としたときのローリングアーム60の下降回動方向の移動路には、左右方向の補強フレーム62を設け、補強フレーム62は機体フレーム1の前後フレーム(メインビーム)63に固定する(図16)。
そのため、ローリングアーム60が油圧部品等の不具合により、機体フレーム1を上昇させられなくなったときに、前後一対のローリングアーム60のうちの後方のローリングアーム60を補強フレーム62に当接させて、ローリングアーム60の下方回動(図16における時計回転方向回動)をロックし、車体が所定以上に下がることを防止する。
これにより、走行フレーム11の変形防止をしながら、油圧回路の不調の発生時の車体干渉等の防止を可能とする。
【符号の説明】
【0035】
1…機体フレ-ム、2…走行装置2、3…脱穀装置、4…刈取装置4、5…回収装置(グレンタンク)、6…操縦部、10…クローラー、11…走行フレーム(クローラーフレーム・転輪フレーム)、12…駆動輪、13…遊動輪(テンションローラー)、15…転輪、20…クローラベルト、21…転輪取付フレーム、22…四角フレーム、23…取付プレート、24…取付部、25…接触突起、26…転輪軸、27…接地回転体、28…取付円柱部、29…転輪軸受、30…縦板部、31…ボルト、32…転輪取付部材、33…シ-ル部材、34…当接部、35…空間部、36…クローラガイド、40…取付部、41…ボルト、45…グリスニップル、46…空気抜き部、55…縦排出装置、56…避雷針、57…排出オーガ。
【要約】
【課題】従来、転輪取付フレームは前後に長い四角筒形状の転輪取付フレームにより構成していたので、各転輪に掛かる負荷を支受できずに、変形あるいは破損するという課題がある。
【解決手段】走行クローラー10は、クローラベルト20と、クローラベルト20に接触する転輪15と転輪取付フレーム21とにより構成し、転輪取付フレーム21は、前後方向に長い、上下一対の四角フレーム22で構成し、上側四角フレーム22Aの左右両側に取付プレート23をそれぞれ設け、正背面視においてU字形状の取付部24により転輪取付フレーム21に取付け、取付部24の溝底の左右中央部には上方に突出する接触突起25を設け、左右の取付プレート23とU字形状の取付部24とを連結した状態で、転輪取付フレーム21の下側四角フレーム22Bは、U字形状の取付部24の左右両側内面と、底部の接触突起25に当接する構成としたことを特徴とする作業車両。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16