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特許7513176エレベーターの画像送信システム、学習装置、推論装置、画像送信方法、および画像送信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】エレベーターの画像送信システム、学習装置、推論装置、画像送信方法、および画像送信プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/06 20060101AFI20240702BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B66B1/06 A
B66B3/00 P
B66B1/06 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023175799
(22)【出願日】2023-10-11
【審査請求日】2023-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久瀬 健太
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/240783(WO,A1)
【文献】特開2019-127344(JP,A)
【文献】特開平03-256934(JP,A)
【文献】特開2010-083647(JP,A)
【文献】特許第6151397(JP,B1)
【文献】特開2022-042166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御し、利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御する環境制御部と、
前記環境制御部が前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信する送信部と、
を備え
前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、
前記送信部は、前記環境制御部が前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信する、
エレベーターの画像送信システム。
【請求項2】
前記環境制御部は、前記環境装置として前記かごに設けられた照明装置を制御する、
請求項1に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項3】
前記環境制御部は、前記環境装置として前記かごに設けられた空調装置を制御する、
請求項1に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項4】
前記環境制御部は、前記環境装置として前記かごに設けられた映像表示装置を制御する、
請求項1に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項5】
前記利用者の前記かご内における位置を検知する位置検知部
を備え、
前記送信部は、前記利用者が前記かご内の予め設定された撮影位置に立ち止まったことが前記位置検知部によって検知されるときに、前記撮影装置が撮影した画像を前記情報機器に送信する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項6】
前記利用者によるエレベーターの利用状況に基づいて、個人用途撮影を実施する状況であるか否かを判定する状況判定部
を備え、
前記送信部は、前記状況判定部が個人用途撮影を実施する状況であると判定するときに限って、前記撮影装置が撮影した画像を前記情報機器に送信する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項7】
前記環境制御部は、前記状況判定部が個人用途撮影を実施する状況であると判定するときに限って、前記個人用途撮影環境設定に基づく制御を行う、
請求項6に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項8】
エレベーターの運行状況に基づいて、個人用途撮影に不適な状況であるか否かを判定する状況判定部
を備え、
前記送信部は、前記状況判定部が個人用途撮影に不適な状況であると判定するときに、前記撮影装置が撮影した画像を前記情報機器に送信しない、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項9】
前記環境制御部は、前記状況判定部が個人用途撮影に不適な状況であると判定するときに、前記個人用途撮影環境設定に基づく制御を行わない、
請求項8に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項10】
前記利用者を識別する個人識別部
を備え、
前記環境制御部は、前記個人識別部が識別した前記利用者について予め設定された前記個人用途撮影環境設定に基づいて、前記かご内の環境を制御する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項11】
前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データを取得する学習データ取得部と、
前記学習データ取得部が取得する前記学習用データを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成するモデル生成部と、
を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項12】
前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値は、当該画像に対して前記利用者自身が評価する満足度、または前記利用者以外の第三者が評価する評価値を含む、
請求項11に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項13】
前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データに基づいて生成された学習済みモデルを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する推論部、
を備え、
前記環境制御部は、前記推論部によって設定値が推定された前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
【請求項14】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システムにおいて用いられる前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成する学習装置であり、
前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データを取得する学習データ取得部と、
前記学習データ取得部が取得する前記学習用データを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成するモデル生成部と、
を備える、学習装置。
【請求項15】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システムにおいて用いられる前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定するように、前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データに基づいて生成された学習済みモデルを用いる推論装置であり、
前記学習済みモデルを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する推論部、
を備える、推論装置。
【請求項16】
コンピュータが、
通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御することと、
利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御することと、
前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信することと、
を実行する、エレベーターの画像送信方法であり、
前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、
前記コンピュータは、前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信する、
エレベーターの画像送信方法
【請求項17】
コンピュータに、
通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御することと、
利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御することと、
前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信することと、
を実行させる、エレベーターの画像送信プログラムであり、
前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、
前記コンピュータに、前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信させる、
エレベーターの画像送信プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの画像送信システム、学習装置、推論装置、画像送信方法、および画像送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの画像送信システムの例を開示する。エレベーターにおいて、かご内の画像を撮影するカメラが設けられる。画像送信システムは、かごに乗車した利用者が所有する携帯機器に、かご内のカメラによって撮影された画像を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-190847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エレベーターにおいて照明などのかご内の環境は意匠性の観点から設定されている場合があり、例えば特許文献1のシステムなどにおいて撮影される画像の撮影環境は利用者などの人物の撮影に必ずしも適していないことがある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、外部の情報機器に出力される画像を、より人物撮影に適した環境で撮影されたものにできるエレベーターの画像送信システム、学習装置、推論装置、画像送信方法、および画像送信プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターの画像送信システムは、通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御し、利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御する環境制御部と、前記環境制御部が前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信する送信部と、を備え、前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、前記送信部は、前記環境制御部が前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信する
【0007】
本開示に係る学習装置は、上記のエレベーターの画像送信システムであり、かつ、前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、前記送信部は、前記環境制御部が前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信するような画像送信システムにおいて用いられる前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成する学習装置であり、前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データを取得する学習データ取得部と、前記学習データ取得部が取得する前記学習用データを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成するモデル生成部と、を備える。
【0008】
本開示に係る推論装置は、上記のエレベーターの画像送信システムであり、かつ、前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、前記送信部は、前記環境制御部が前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信するような画像送信システムにおいて用いられる前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定するように、前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データに基づいて生成された学習済みモデルを用いる推論装置であり、前記学習済みモデルを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する推論部、を備える。
【0009】
本開示に係るエレベーターの画像送信方法は、コンピュータが、通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御することと、利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御することと、前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信することと、を実行する方法であり、前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、前記コンピュータは、前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信する
【0010】
本開示に係るエレベーターの画像送信プログラムは、コンピュータに、通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御することと、利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御することと、前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信することと、を実行させ、前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、前記コンピュータに、前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信させる
【発明の効果】
【0011】
本開示に係るエレベーターの画像送信システム、学習装置、推論装置、画像送信方法、または画像送信プログラムによれば、外部の情報機器に出力される画像を、より人物撮影に適した環境で撮影されたものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
図2】実施の形態1に係るエレベーターのかごの内部の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係るエレベーターの撮影環境を設定する携帯機器の画面表示の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る画像送信システムの動作の例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1に係る画像送信システムの主要部のハードウェア構成図である。
図6】実施の形態2に係る画像送信システムの動作の例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態3に係る学習装置の構成図である。
図8】実施の形態3に係る学習装置が利用するニューラルネットワークの例を示す図である。
図9】実施の形態3に係る学習装置の動作の例を示すフローチャートである。
図10】実施の形態3に係る推論装置の構成図である。
図11】実施の形態3に係る推論装置を含む画像送信システムの動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0015】
エレベーター1は、複数の階床を有する建物に適用される。図示されないが、建物において、エレベーター1の昇降路が設けられる。昇降路は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。エレベーター1は、かご2と、制御盤3と、第1通信装置4と、を備える。
【0016】
かご2は、昇降路を上下方向に走行することでエレベーター1の利用者などを複数の階床の間で輸送する装置である。かご2の荷重は、例えば、昇降路において図示されない主ロープなどによって支持される。かご2は、例えば、図示されない巻上機が主ロープを巻き上げることなどによって、主ロープの移動に連動して昇降路を上下方向に走行する。
【0017】
かご2は、かごドア5と、照明装置6と、空調装置7と、映像表示装置8と、位置検知部9と、撮影装置10と、を備える。かごドア5は、かご2の内部および外部を区画するドアである。照明装置6は、例えば、かご2の内部に可視光を放射する装置などである。照明装置6は、かご2の内部の光学的な環境を調整する。空調装置7は、例えば、かご2の内部の室温および湿度などを調整する装置などである。空調装置7は、例えば、かご2の内部の空気を入れ替える換気装置、またはかご2の内部の空気を循環させる循環装置などであってもよい。空調装置7は、かご2の内部の空気による環境を調整する。映像表示装置8は、かご2に乗車している利用者に対して映像を表示する装置などである。映像表示装置8は、かご2に乗車している利用者に対する視覚的な環境を調整する。照明装置6、空調装置7、および映像表示装置8の各々は、環境装置の例である。位置検知部9は、かご2に乗車している利用者のかご2内における位置を検知する機能が搭載された部分である。撮影装置10は、かご2の内部を撮影する装置である。撮影装置10が撮影する画像は、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。
【0018】
制御盤3は、エレベーター1の動作を制御する装置である。制御盤3は、例えば昇降路の上部または下部などに配置される。例えば昇降路の上方などにエレベーター1の機械室が設けられる場合に、制御盤3は、当該機械室に配置されてもよい。制御盤3は、エレベーター1のかご2および巻上機などの装置および機器を制御しうるように制御信号を出力する。制御盤3は、エレベーター1の状態を把握しうるように、かご2および巻上機などの装置および機器から情報を収集する。制御盤3は、運行制御部11と、戸開閉制御部12と、を備える。運行制御部11は、かご2の運行を制御する。かご2の運行は、登録された利用者の呼びに応答させるようにかご2を複数の階床の間で走行させることなどを含む。戸開閉制御部12は、かごドア5の戸開および戸閉を制御する。戸開閉制御部12は、かご2がいずれかの階床に停止するときに、利用者が乗降しうるようにかごドア5を戸開および戸閉させる。
【0019】
第1通信装置4は、エレベーター1と外部の装置などとの間の情報通信を行う装置である。第1通信装置4は、無線通信または有線通信によって一般公衆通信回線13に接続する。一般公衆通信回線13は、例えば、インターネットまたは電話回線網などを含んでもよい。第1通信装置4は、例えば、エレベーター1の状況を遠隔地から監視するための遠隔監視装置などであってもよい。第1通信装置4は、例えば、エレベーター1の状況の情報を、一般公衆通信回線13を通じて管理サーバ14に送信する。エレベーター1の状況の情報は、例えば、エレベーター1における制御信号、およびかご2に設けられた撮影装置10が撮影する画像などを含む。第1通信装置4は、例えば、定期的または不定期的な予め設定されたタイミングなどにおいて、管理サーバ14に当該情報を送信する。
【0020】
管理サーバ14は、エレベーター1の情報などを収集して管理する装置である。管理サーバ14は、エレベーター1の外部の情報機器の例である。管理サーバ14は、例えば、1台または複数台のサーバコンピュータなどである。管理サーバ14は、例えば、エレベーター1が適用される建物の遠隔地に設けられる。管理サーバ14は、第2通信装置15と、記憶部16と、データ管理部17と、を備える。第2通信装置15は、管理サーバ14と外部の装置などとの間の情報通信を行う装置である。第2通信装置15は、無線通信または有線通信によって一般公衆通信回線13に接続する。第2通信装置15は、例えば、エレベーター1の状況の情報を、一般公衆通信回線13を通じて第1通信装置4から収集する。記憶部16は、収集された情報を記憶する部分である。データ管理部17は、記憶部16に記憶されている情報の追加、変更、および削除、ならびに、読込み、および書出しなどの管理を行う部分である。
【0021】
エレベーター1の利用者は、携帯機器18を所持する。携帯機器18は、例えばスマートフォンまたはスマートウォッチなどの、無線通信機能が搭載された可搬な情報機器である。利用者が所持する携帯機器18は、当該利用者がアクセス可能な情報機器の例である。携帯機器18は、無線通信によって一般公衆通信回線13に接続する。
【0022】
エレベーター1において、画像送信システム19が適用される。画像送信システム19は、エレベーター1に含まれる内部システムであってもよいし、エレベーター1に外部から適用される外部システムであってもよい。画像送信システム19の一部または全部は、エレベーター1に含まれていてもよい。画像送信システム19は、かご2内の撮影装置10によって撮影された画像を、エレベーター1の外部の情報機器に送信する機能が搭載されたシステムである。画像送信システム19は、画像処理部20と、個人識別部21と、特徴判定部22と、乗車検知部23と、環境制御部24と、状況判定部25と、送信部26と、を備える。
【0023】
画像処理部20は、撮影装置10が撮影するかご2内の画像に対して画像データ解析などの処理を行う部分である。画像処理部20は、例えば、当該画像からの特徴量の抽出などを行う。画像処理部20は、例えば、当該画像に人物が映っているときに、当該人物の人物特徴点などを抽出する。
【0024】
個人識別部21は、例えば、画像処理部20が画像から抽出した特徴量などに基づいて、当該画像内の人物の識別などの処理を行う部分である。個人識別部21は、例えば、教師データに基づいて予め学習されたモデルなどを用いて、画像内の人物の識別を行う。個人識別部21は、例えば、利用者が携帯機器18または図示されないICタグ(IC:Integrated Circuit)もしくはIDカード(ID:IDentifier)などを用いてエレベーター1の呼びを登録する場合に、当該呼びの情報に基づいてかご2に乗車する利用者を識別してもよい。この場合、個人識別部21は、例えば運行制御部11などから呼びの情報を取得する。また、個人識別部21は、例えば、利用者が所持する携帯機器18またはICタグなどが発信する無線信号を受信することで、かご2に乗車する当該利用者を識別してもよい。当該無線信号は、例えば、かご2に設けられた図示されない受信機によって受信される。このとき、個人識別部21は、例えば、当該受信機から無線信号の受信情報などを取得する。また、個人識別部21は、例えば、かご2などに設けられた無線ビーコンなどが発信する無線信号を、利用者が所持する携帯機器18またはICタグなどが受信することで、かご2に乗車する当該利用者を識別してもよい。このとき、個人識別部21は、例えば、当該利用者の携帯機器18またはICタグなどから無線信号の受信情報などを取得する。
【0025】
特徴判定部22は、かご2に乗車している利用者などの人物の特徴の判定などの処理を行う部分である。特徴判定部22は、例えば、画像処理部20が特徴量抽出などの処理を行った画像に映っている利用者について、抽出された特徴量などに基づいて当該利用者の特徴を判定する。また、特徴判定部22は、例えば、位置検知部9が検知したかご2内の利用者の位置などに基づいて当該利用者の特徴を判定する。特徴判定部22は、例えば、個人識別部21が識別した利用者などについて特徴の判定を行う。特徴判定部22は、例えば、かご2内における利用者のジェスチャーまたは移動経路などの行動パターンなどに基づいて当該利用者の特徴を判定する。
【0026】
乗車検知部23は、かご2への利用者の乗車の検知などの処理を行う部分である。乗車検知部23は、かご2に利用者が乗車している状態を直接検知してもよいし、かご2への利用者の搭乗および降車などの出入りによってかご2に利用者が乗車している状態を検知してもよい。乗車検知部23は、例えば、画像処理部20が抽出する特徴量、個人識別部21が識別した利用者の情報、または特徴判定部22が判定した特徴などに基づいて乗車の検知を行う。乗車検知部23は、例えば、位置検知部9が検知した利用者の位置などに基づいて乗車の検知を行ってもよい。乗車検知部23は、例えば、かご2に設けられた図示されない秤装置などのかご2の内部の荷重を計測する機器などに基づいて乗車の検知を行ってもよい。乗車検知部23は、例えば、利用者が携帯機器18または図示されないICタグもしくはIDカードなどを用いてエレベーター1の呼びを登録する場合に、当該呼びの情報に基づいて利用者のかご2への乗車を検知してもよい。乗車検知部23は、例えば、利用者の呼びに応答するかご2が当該利用者の出発階から行先階まで走行している間、当該利用者が当該かご2に乗車しているとして処理を行ってもよい。この場合、乗車検知部23は、例えば運行制御部11などから呼びの情報を取得する。
【0027】
環境制御部24は、かご2内の環境の制御などの処理を行う部分である。環境制御部24は、予め設定された環境設定に基づいて照明装置6、空調装置7、および映像表示装置8などの環境装置を制御することで、かご2内の環境を制御する。環境制御部24による環境装置の制御は、例えば起動制御および各種の運転パラメーターの調整などを含む。環境設定は、通常環境設定および撮影環境設定を含む。
【0028】
通常環境設定は、通常時におけるかご2内の環境を規定する環境設定である。通常環境設定は、例えば、乗車している利用者がかご2内で快適であるように、意匠性などを重視して設定される。通常環境設定において、例えば、かご2内に落ち着いた雰囲気を醸成しうるように、照明装置6の色温度が低い値に設定される。通常環境設定において、例えば、かご2内で快適な風などを感じうるように、空調装置7の送風量が設定される。
【0029】
撮影環境設定は、通常環境設定とは異なる環境設定である。なお、環境設定において複数の設定値が設定される場合に、撮影環境設定および通常環境設定の間で少なくともいずれかの設定値が異なっていればよく、撮影環境設定および通常環境設定の間で一部の設定値が一致していてもよい。撮影環境設定は、人物撮影が行われる状況に適用しうるように設定される、人物撮影に適した環境設定である。撮影環境設定は、例えば、互いに異なる複数の環境設定を含んでもよい。撮影環境設定は、例えば、個人用途撮影環境設定を含む。個人用途撮影環境設定は、利用者の個人用途の撮影に適するように設定された環境設定である。個人用途の撮影は、例えば、記念撮影、または身だしなみの確認のための撮影などを含む。個人用途の撮影は、例えば、撮影された画像の見映えを重視する用途の撮影などである。
【0030】
状況判定部25は、かご2内での撮影の適否などに関する状況の判定などの処理を行う部分である。状況判定部25は、例えば、画像処理部20が抽出する特徴量、個人識別部21が識別した利用者の情報、または特徴判定部22が判定した特徴などに基づいて、状況の判定を行う。状況判定部25は、例えば、位置検知部9が検知した利用者の位置などに基づいて、状況の判定を行ってもよい。状況判定部25が行う判定は、例えば、個人用途撮影を実施する状況であるか否かの判定などを含む。また、状況判定部25が行う判定は、例えば、個人用途撮影に不適な状況であるか否かの判定などを含む。ここで、個人用途撮影に不適な状況は、例えば、エレベーター1の混雑状況または運行状況などにより他の利用者への影響が大きいために個人用途撮影が不適であるような状況を含む。
【0031】
送信部26は、撮影装置10が撮影した画像の、エレベーター1の外部への第1通信装置4などを通じた送信などの処理を行う部分である。送信部26は、例えば、撮影装置10が撮影する画像を管理サーバ14などの情報機器に送信するか否かを判定する処理などの送信制御を行う。送信部26は、撮影装置10が撮影する画像に、撮影場所、撮影時刻、撮影環境設定の設定値、および画像に映っている利用者について個人識別部21が識別した結果の情報などの撮影状況の情報を付加した上で、当該画像の送信を行ってもよい。
【0032】
図2は、実施の形態1に係るエレベーター1のかご2の内部の例を示す図である。
【0033】
照明装置6は、例えば、かご2の内部の天井または壁などに配置される。照明装置6は、例えば、LED照明(LED:Light Emitting Diode)などである。
【0034】
かご2の内部において、例えば、かご2の内部に空気を送り込む空調装置7の吹き出し口が、かご2の内部の天井または壁などに設けられる。
【0035】
映像表示装置8は、例えば、かご2の内部の壁などに設けられる。映像表示装置8は、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置(EL:Electro-Luminescence)、LED表示装置、またはMEMSシャッター表示装置(MEMS:Micro Electro-Mechanical Systems)などの映像コンテンツを表示する装置であってもよい。映像表示装置8は、例えば、プロジェクタなどの映像コンテンツをかご2の内部の天井、壁、もしくは床、またはかごドア5などに投影する装置であってもよい。映像表示装置8は、例えば、撮影装置10が撮影する画像をリアルタイムに表示してもよい。
【0036】
撮影装置10は、例えば、かご2の内部の壁または天井などに設けられる。撮影装置10は、防犯カメラなどであってもよい。
【0037】
位置検知部9は、例えば、かご2の床面にかかる荷重などによって利用者の位置を検知する装置などであってもよい。位置検知部9は、例えば、超音波センサーもしくは赤外線センサーなどによる測位、または利用者が所持する携帯機器18またはICタグなどが発信する無線信号の信号強度などによって当該利用者の位置を検知する装置などであってもよい。位置検知部9は、例えば、かご2などに設けられた無線ビーコンが発信する無線信号の、利用者が所持する携帯機器18における受信強度などによって当該利用者の位置を検知する装置などであってもよい。このとき、位置検知部9の機能は、携帯機器18に搭載されていてもよい。位置検知部9は、撮影装置10が撮影する画像に基づいて、利用者の位置を検出するものであってもよい。このとき、位置検知部9は、かご2に設けられていなくてもよく、位置検知部9の機能は、制御盤3もしくはその他のエレベーター1の機器、または管理サーバ14などに搭載されていてもよい。
【0038】
個人用途撮影環境設定において、例えば、照明装置6の設定値などが、かご2内の照度、色温度、照明方向、および点灯状態などを撮影に適した環境とするように設定される。例えば、一般に人物撮影において、照度が低すぎると暗い印象となり、色温度が低いほど撮影された画像の赤みが強くなる傾向がある。このため、個人用途撮影環境設定において、例えば、かご2内の照度がより高くなるように、照明装置6の照明の強度が通常環境設定における強度より強くなるように設定される。また、個人用途撮影環境設定において、例えば、画像の赤みを抑えるように、照明装置6の色温度が通常環境設定における色温度より高くなるように設定される。また、個人用途撮影環境設定において、例えば、利用者の陰を抑えうるように、照明装置6の照明方向などが設定される。
【0039】
個人用途撮影環境設定において、例えば、空調装置7の設定値などが、風量、風向き、空調設定温度、および稼働状態などを撮影に適した環境とするように設定される。個人用途撮影環境設定において、例えば、風量が通常環境設定における強度より弱くなるように設定される。個人用途撮影環境設定において、例えば、利用者に風が直接当たらないように風向きが設定される。個人用途撮影環境設定において、例えば、かご2内の温度または湿度などが設定される。個人用途撮影環境設定において、例えば、空調装置7の稼働が停止するように設定される。
【0040】
個人用途撮影環境設定において、例えば、映像表示装置8の設定値などが、投影方向、投影明るさ、コントラスト、フォーカス設定、および稼働状態などを撮影に適した環境とするように設定される。個人用途撮影環境設定において、例えば、映像表示装置8によって投影される映像の投影明るさが通常環境設定における投影明るさより弱くなるように設定される。個人用途撮影環境設定において、例えば、映像表示装置8によって投影される映像のフォーカスをぼかすように設定値が設定される。個人用途撮影環境設定において、例えば、映像表示装置8の稼働が停止するように設定される。
【0041】
個人用途撮影環境設定などの撮影環境設定の各種の設定値は、通常撮影環境設定と異なるように予め設定された設定値のセットであってもよい。また、個人用途撮影環境設定などの各種の設定値は、携帯機器18などを通じて利用者が予め設定するものであってもよい。
【0042】
図3は、実施の形態1に係るエレベーター1の撮影環境を設定する携帯機器18の画面表示の例を示す図である。
【0043】
利用者は、例えば、かご2内の個人用途撮影を希望するか否かを、例えば撮影機能の「ON」または「OFF」の二値から選択する。このとき、利用者は、個人用途撮影を希望する状況などを設定してもよい。また、利用者は、記念撮影などの個人用途撮影において、同じ画像の被写体となってもよい同乗者などを指定してもよい。
【0044】
個人用途撮影環境の設定において、利用者は、例えば、空調装置7を稼働させるか否かの設定値を「ON」または「OFF」の二値から選択する。利用者は、例えば、かご2内の照度の設定値を「明」または「暗」の二値から選択する。利用者は、例えば、かご2内の照度などの設定値を、数値入力またはスライダーなどによって、多段階の離散的な値から、または連続値から選択してもよい。
【0045】
利用者が好みに応じて設定値を設定することで、撮影される画像の見映えが当該利用者の好みのものとなり、当該画像において被写体となる利用者がより認知されやすくなる。利用者が好みに応じて設定値を設定する場合に、当該設定値は、当該利用者を識別する情報とともに管理サーバ14の記憶部16に予め記憶される。当該設定値は、例えば、携帯機器18から一般公衆通信回線13を通じて管理サーバ14に予め送信される。
【0046】
続いて、画像送信システム19の動作の例を説明する。
図4は、実施の形態1に係る画像送信システム19の動作の例を示すフローチャートである。
【0047】
通常時において、環境制御部24は、通常環境設定に基づいて、照明装置6、空調装置7、または映像表示装置8などの環境装置によりかご2内の環境を制御する。
【0048】
ステップS101において、画像送信システム19は、かご2への利用者の乗車を乗車検知部23が検知したかを判定する。利用者の乗車が検知されたときに、画像送信システム19の処理は、ステップS102に進む。一方、利用者の乗車が検知されないときに、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0049】
ステップS102において、個人識別部21は、かご2に乗車した利用者を識別する。この例において、個人識別部21は、利用者が所持する携帯機器18とかご2内に設けられた受信機または無線ビーコンなどとの間の無線通信によって当該利用者を識別する。このときの無線通信は、例えば近距離無線通信などである。その後、画像送信システム19の処理は、ステップS103に進む。
【0050】
ステップS103において、画像送信システム19は、識別されたかご2内の利用者が、かご2内の個人用途撮影を希望する利用者であるか否かを判定する。画像送信システム19は、例えば、個人識別部21が識別した利用者の情報を用いて、管理サーバ14の記憶部16から当該利用者が個人用途撮影を希望すると設定していたか否かの情報を取得する。画像送信システム19は、当該利用者が個人用途撮影を希望し、かご2に他の利用者が同乗していないときに、かご2内の利用者が個人用途撮影を希望する利用者であると判定する。なお、識別されたかご2内の利用者が同じ画像の被写体となってもよい同乗者などを指定している場合がある。このとき、かご2に当該利用者および当該指定された同乗者の他の利用者が同乗していないときに、画像送信システム19は、かご2内の利用者が個人用途撮影を希望する利用者であると判定してもよい。かご2内の利用者が個人用途撮影を希望する利用者であると判定するときに、画像送信システム19の処理は、ステップS104に進む。一方、かご2内の利用者が個人用途撮影を希望する利用者であると判定しないときに、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0051】
ステップS104において、状況判定部25は、個人用途撮影に不適な状況であるかを判定する。この例において、状況判定部25は、エレベーター1の運行状況などの、個人用途撮影を希望する利用者自身の事情ではない理由によって個人用途撮影に不適な状況であるかを判定する。状況判定部25は、例えば、エレベーター1の利用が多い時間帯において、運行効率を高める配車モードなどの特定の運転モードに基づいて運行制御部11がエレベーター1の運行を行っているときに、個人用途撮影に不適な状況であると判定する。状況判定部25は、例えば、非常時などにおいて、管制運転モードなどの特定の運転モードに基づいて運行制御部11がエレベーター1の運行を行っているときに、個人用途撮影に不適な状況であると判定する。状況判定部25は、例えば、利用者の他に、例えばロボットまたはドローンを含む自律移動体などの装置がかご2に同乗しているときに、個人用途撮影に不適な状況であると判定する。状況判定部25は、例えば、かご2の出発直後および到着直前、すなわちかご2が加速または減速しているときなどに、個人用途撮影に不適な状況であると判定する。このとき、状況判定部25は、例えば、かご2が最高速に達し一定速度で走行しているときなどに、個人用途撮影に不適ではない状況であると判定する。個人用途撮影に不適な状況でないと状況判定部25が判定するときに、画像送信システム19の処理は、ステップS105に進む。一方、個人用途撮影に不適な状況であると状況判定部25が判定するときに、画像送信システム19の処理は、終了する。このとき、環境制御部24による撮影環境設定に基づく環境装置の制御、および、撮影装置10の撮影画像の送信部26による送信は、行われない。
【0052】
ステップS105において、状況判定部25は、個人用途撮影を実施する状況であるか否かを判定する。この例において、状況判定部25は、個人用途撮影を希望する利用者自身のエレベーター1の利用状況、または利用者自身が希望するタイミングなどの利用者自身の事情によって、個人用途撮影を実施する状況であるかを判定する。状況判定部25は、例えば、エレベーター1が設けられた建物からの利用者の外出または帰着などの際に、身だしなみの確認などの個人用途撮影を実施する状況であると判定する。このとき、エレベーター1が設けられた建物は、例えば、利用者が居住するマンションビル、または利用者が勤務するオフィスビルなどである。当該建物がオフィスビルである場合に、利用者の外出または帰着は、利用者の出退勤などを含む。例えば、利用者によるエレベーター1の利用時間、移動方向、出発階、および行先階などの利用履歴が管理サーバ14の記憶部16または携帯機器18などに記憶されているときに、状況判定部25は、当該利用履歴などに基づいて利用者の外出または帰着を判定する。また、状況判定部25は、例えば、デパートなどの商業施設などに設けられたエレベーター1において、利用者の身だしなみに変化があったと推測される場合に、身だしなみの確認などの個人用途撮影を実施する状況であると判定する。状況判定部25は、例えば、利用者の購買情報などを管理する図示されない外部サーバなどから、当該利用者の商品購入履歴などを取得する。状況判定部25は、例えば、商業施設において利用者が衣料品などを購入した後、または、商業施設において利用者が美容サービスの提供を受けた後の、当該商業施設におけるエレベーター1の利用の際に、利用者の身だしなみに変化があったと推測する。あるいは、状況判定部25は、例えば、商業施設において衣料品店または美容サービスを提供するテナントなどが入居する階床からエレベーター1を利用して利用者が移動する際に、利用者の身だしなみに変化があったと推測してもよい。なお、例えば、観光施設などに設けられたエレベーター1において、記念撮影などの個人用途撮影の希望が見込まれる場合に、状況判定部25は、原則として個人用途撮影を実施する状況である、と判定してもよい。個人用途撮影を実施する状況であると状況判定部25が判定するときに、画像送信システム19の処理は、ステップS106に進む。一方、個人用途撮影を実施する状況でないと状況判定部25が判定するときに、画像送信システム19の処理は、終了する。このとき、環境制御部24による撮影環境設定に基づく環境装置の制御、および、撮影装置10の撮影画像の送信部26による送信は、行われない。
【0053】
ステップS106において、画像送信システム19は、戸開閉制御部12がかごドア5を戸閉したかを判定する。かごドア5が戸閉していないときに、画像送信システム19の処理は、ステップS107に進む。一方、かごドア5が戸閉しているときに、画像送信システム19の処理は、ステップS108に進む。
【0054】
ステップS107において、画像送信システム19は、個人識別部21に識別された利用者がまだかご2に乗車しているかを、乗車検知部23の検知結果などに基づいて判定する。当該利用者がかご2に乗車しているときに、画像送信システム19の処理は、ステップS104に進む。一方、当該利用者がかご2に乗車していないときに、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0055】
ステップS108において、画像送信システム19は、かごドア5が戸閉している間に、個人識別部21に識別された利用者がかご2内の撮影位置に立ち止まったか否かを、位置検知部9の検知によって判定する。撮影位置は、撮影装置10による人物撮影に適したかご2内の予め設定された位置である。画像送信システム19は、例えば、かご2内において利用者が撮影位置の他の位置に立ち止まるときなどに、利用者がかご2内の撮影位置に立ち止まらないと判定する。なお、画像送信システム19は、利用者が撮影位置に立ち止まって予め設定されたジェスチャーなどを行っているか否かを判定してもよい。利用者がかご2内の撮影位置に立ち止まっているときに、画像送信システム19の処理は、ステップS109に進む。一方、利用者がかご2内の撮影位置に立ち止まらないときに、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0056】
ステップS109において、環境制御部24は、環境設定を通常環境設定から個人用途撮影環境設定に切り替える。個人用途撮影設定の設定値は、例えば、予め設定された値であってもよいし、個人識別部21に識別された利用者について管理サーバ14の記憶部16が予め記憶している値であってもよい。環境制御部24は、個人用途撮影環境設定に基づいて、照明装置6、空調装置7、または映像表示装置8などの環境装置によりかご2内の環境を制御する。その後、画像送信システム19の処理は、ステップS110に進む。
【0057】
ステップS110において、撮影装置10は、個人用途撮影環境設定に基づいて環境制御部24が制御する撮影環境のもとで、かご2内の利用者を撮影する。送信部26は、撮影装置10が撮影した利用者の画像を、管理サーバ14に送信する。送信部26は、例えば、個人識別部21による識別結果などの情報を当該画像に付加した上で管理サーバ14に送信する。管理サーバ14のデータ管理部17は、送信部26から送信された画像のデータを記憶部16に格納する。なお、送信部26は、撮影装置10が撮影した利用者の画像のデータを、利用者が所持する携帯機器18に送信してもよい。撮影装置10による画像の撮影および送信部26による当該画像の送信は、例えば、かごドア5が戸閉してから、かご2の出発階からの発進および次の停止階への停止を経て、かごドア5が次に戸開するまでの間に行われる。撮影装置10による画像の撮影および送信部26による当該画像の送信が行われるタイミングは、かごドア5の戸閉から次の戸開までの間において、予め設定された定期的または不定期的なタイミングであってもよいし、利用者によって指定されたタイミングであってもよい。送信部26による画像の送信後、画像送信システム19の処理は、ステップS111に進む。
【0058】
ここで、管理サーバ14のデータ管理部17は、例えば、撮影装置10が撮影した画像の被写体である利用者が所持する携帯機器18からの要求に応じて、当該画像のデータを当該携帯機器18に送信してもよい。このとき、管理サーバ14は、利用者が所持する携帯機器18を通じて当該利用者がアクセス可能な情報機器の例である。また、データ管理部17は、当該画像の被写体である利用者が所持する携帯機器18に、当該携帯機器18からの要求に依らずに、当該画像のデータを送信してもよい。このとき、携帯機器18に画像のデータを送信するタイミングは、画像送信システム19において予め設定された定期的または不定期的なタイミングであってもよいし、利用者によって指定されたタイミングであってもよい。
【0059】
ステップS111において、画像送信システム19は、かご2が次の停止階に停止したかを判定する。画像送信システム19は、例えば、運行制御部11から取得する情報などに基づいて、かご2の停止などを判定する。かご2が次の停止階にまだ停止していないときに、画像送信システム19の処理は、ステップS110に進む。一方、かご2が次の停止階に停止したときに、画像送信システム19の処理は、ステップS112に進む。
【0060】
ステップS112において、環境制御部24は、環境設定を個人用途環境設定から通常環境設定に切り替える。環境制御部24は、通常環境設定に基づいて、照明装置6、空調装置7、または映像表示装置8などの環境装置によりかご2内の環境を制御する。その後、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0061】
以上に説明したように、実施の形態1に係る画像送信システム19は、環境制御部24と、送信部26と、を備える。環境制御部24は、通常時において、通常環境設定に基づいて環境装置によりかご2内の環境を制御する。環境制御部24は、利用者がかご2に乗車しかご2のかごドア5が戸閉している間において、撮影環境設定に基づいて環境装置によりかご2内の環境を制御する。撮影環境設定は、利用者の人物撮影が行われる環境設定であり、通常環境設定とは異なる環境設定である。送信部26は、環境制御部24が撮影環境設定に基づいてかご2内の環境を制御しているときにかご2内の撮影装置10が撮影した画像を、エレベーター1の外部の情報機器に送信する。環境装置は、例えば、かご2に設けられた照明装置6、空調装置7、および映像表示装置8を含む。
【0062】
例えば、通常時において照明装置6の色温度が低い値に設定される場合などに、そのような撮影環境で撮影された画像の色彩は、実際の色彩と異なる場合がある。これに対し、画像送信システム19において、かご2内の撮影環境を環境制御部24が人物撮影に適するように制御した上で撮影された画像が、管理サーバ14などのエレベーター1の外部の情報機器に出力される。このため、エレベーター1の外部の情報機器に出力される画像が、より人物撮影に適した環境で撮影されたものになる。また、撮影環境設定が画像送信システム19において予め設定されたものである場合に、利用者は撮影環境設定の各種の設定値を個別に設定する必要がない。このため、利用者は、環境設定の各種の設定値を細かく設定する労力を必要とせずに、例えば一般的な評価の高い人物撮影に適した環境などで撮影された画像を得られるようになる。
【0063】
また、撮影環境設定は、利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含む。送信部26は、環境制御部24が個人用途撮影環境設定に基づいてかご2内の環境を制御しているときに撮影装置10が撮影した画像を、利用者がアクセス可能な情報機器に送信する。このような構成により、エレベーター1の利用者は、身だしなみの確認または記念撮影などの個人用途撮影に適した環境で撮影された画像を得られるようになる。利用者は、例えば、商業施設などにおいてエレベーター1のかご2内で友人などと記念撮影したいときに、記念撮影に適した環境で撮影された画像の提供を受けられるようになる。また、利用者は、例えば、マンションなどの住居から外出する際などに、エレベーター1のかご2内で当日の身だしなみを確認できるようになる。例えばかご2内に車椅子利用者向けの鏡などが設置されていない場合においても、利用者は、身だしなみの確認を容易に行うことができる。
【0064】
また、画像送信システム19は、位置検知部9を備える。位置検知部9は、利用者のかご2内における位置を検知する。送信部26は、利用者がかご2内の予め設定された撮影位置に立ち止まったことが位置検知部9によって検知されるときに、撮影装置10が撮影した画像を外部の情報機器に送信する。このような構成により、利用者は、撮影装置10による人物撮影に適した位置で撮影されるようになるため、より品質の高い画像を得られるようになる。また、利用者は、撮影位置に立ち止まる前に撮影の準備を行うことができるようになるので、不意に撮影されることを抑制でき、より満足度の高い画像を得られるようになる。
【0065】
また、画像送信システム19は、状況判定部25を備える。状況判定部25は、利用者によるエレベーター1の利用状況に基づいて、個人用途撮影を実施する状況であるか否かを判定する。送信部26は、状況判定部25が個人用途撮影を実施する状況であると判定するときに限って、撮影装置10が撮影した画像を外部の情報機器に送信する。また、環境制御部24は、状況判定部25が個人用途撮影を実施する状況であると判定するときに限って、個人用途撮影環境設定に基づく制御を行う。このような構成により、エレベーター1の利用状況または利用者の希望などの利用者自身の事情に基づいて、個人用途撮影が実施すべきときに実施されるようになる。これにより、利用者の利便性がより高められる。
【0066】
また、画像送信システム19は、状況判定部25を備える。状況判定部25は、エレベーター1の運行状況に基づいて、個人用途撮影に不適な状況であるか否かを判定する。送信部26は、状況判定部25が個人用途撮影に不適な状況であると判定するときに、撮影装置10が撮影した画像を外部の情報機器に送信しない。また、環境制御部24は、状況判定部25が個人用途撮影に不適な状況であると判定するときに、個人用途撮影環境設定に基づく制御を行わない。このような構成により、エレベーター1の運行状況などの、個人用途撮影を希望する利用者自身の事情ではない理由に基づいて、個人用途撮影が控えるべきときに控えられるようになる。これにより、エレベーター1の利用者全体の利便性がより高められる。
【0067】
また、画像送信システム19は、個人識別部21を備える。個人識別部21は、かご2に乗車した利用者を識別する。環境制御部24は、個人識別部21が識別した利用者について予め設定された個人用途撮影環境設定に基づいて、かご2内の環境を制御する。このような構成により、利用者は、自身の嗜好に応じて個人用途撮影環境設定の各種の設定値を設定できるようになる。このため、利用者は、個人の嗜好に応じて、人物撮影に適した環境などで撮影された画像を得られるようになる。
【0068】
なお、画像送信システム19の機能の一部または全部は、例えば、制御盤3などのエレベーター1の機器または装置に搭載されていてもよいし、管理サーバ14または携帯機器18などの情報機器に搭載されていてもよい。画像送信システム19の機能の一部または全部は、例えば、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。
【0069】
続いて、図5を用いて、画像送信システム19のハードウェア構成の例について説明する。
図5は、実施の形態1に係る画像送信システム19の主要部のハードウェア構成図である。
【0070】
画像送信システム19の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェアを備えてもよい。処理回路は、信号入出力部100cを備える。信号入出力部100cは、例えば、処理回路の外部の装置または機器との間で信号の入出力の処理を行うモジュールなどの部分である。
【0071】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、画像送信システム19の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、画像送信システム19の各機能を実現する。
【0072】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0073】
処理回路が専用ハードウェアを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0074】
画像送信システム19の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、画像送信システム19の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。画像送信システム19の各機能について、一部を専用ハードウェアで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで画像送信システム19の各機能を実現する。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0076】
撮影環境設定は、例えば、セキュリティ撮影環境設定を含む。セキュリティ撮影環境設定は、エレベーター1のかご2に乗車する不審な利用者などの特定に適するように設定された環境設定である。なお、当該利用者は、個人識別部21が識別しない利用者であってもよい。当該利用者は、撮影装置10による撮影を特に希望していない利用者であってもよい。セキュリティ撮影環境設定において、例えば、照明装置6の設定値などが、かご2内の照度、色温度、照明方向、および点灯状態などを、利用者の顔および身に着けている服装の色などの判別に適した環境とするように設定される。
【0077】
セキュリティ撮影環境設定において、例えば、かご2内の照度がより高くなるように、照明装置6の照明の強度が通常環境設定における強度より強くなるように設定される。照明の強度は、かご2内の照度が例えば50lx以上になるように設定される。照明の強度は、照明装置6において点灯している発光部の数などによって設定されていてもよい。また、セキュリティ撮影環境設定において、利用者の服装の色などが判別しやすいように照明装置6の色温度が設定される。色温度は、例えば、白色の場合に4200K程度、昼白色の場合に5000K程度、昼光色の場合に6500K程度に設定される。
【0078】
続いて、画像送信システム19の動作の例を説明する。
図6は、実施の形態2に係る画像送信システム19の動作の例を示すフローチャートである。
【0079】
ステップS201において、画像送信システム19は、かご2への利用者の乗車を乗車検知部23が検知したかを判定する。利用者の乗車が検知されたときに、画像送信システム19の処理は、ステップS202に進む。一方、利用者の乗車が検知されないときに、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0080】
ステップS202において、画像送信システム19は、戸開閉制御部12がかごドア5を戸閉したかを判定する。かごドア5が戸閉していないときに、画像送信システム19の処理は、ステップS203に進む。一方、かごドア5が戸閉しているときに、画像送信システム19の処理は、ステップS204に進む。
【0081】
ステップS203において、画像送信システム19は、利用者がまだかご2に乗車しているかを、乗車検知部23の検知結果などに基づいて判定する。利用者がかご2に乗車しているときに、画像送信システム19の処理は、ステップS202に進む。一方、当該利用者がかご2に乗車していないときに、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0082】
ステップS204において、特徴判定部22は、かごドア5が戸閉している間に、かご2に乗車している利用者について不審な特徴があるか否かを判定する。特徴判定部22は、例えば、利用者の行動パターン、または服装もしくは所持品などに基づいて、当該利用者に不審な特徴があるかを判定する。利用者に不審な特徴があるときに、画像送信システム19の処理は、ステップS205に進む。一方、利用者に不審な特徴はないときに、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0083】
ステップS205において、環境制御部24は、環境設定をセキュリティ撮影環境設定に切り替える。環境制御部24は、セキュリティ撮影環境設定に基づいて、照明装置6、空調装置7、または映像表示装置8などの環境装置によりかご2内の環境を制御する。その後、画像送信システム19の処理は、ステップS206に進む。
【0084】
ステップS206において、撮影装置10は、セキュリティ撮影環境設定に基づいて環境制御部24が制御する撮影環境のもとで、かご2内の利用者を撮影する。送信部26は、撮影装置10が撮影した利用者の画像を、管理サーバ14に送信する。送信部26は、例えば、画像が不審な利用者のものであることを表すデータラベルなどの情報を当該画像に付加した上で管理サーバ14に送信する。管理サーバ14のデータ管理部17は、送信部26から送信された画像のデータを記憶部16に格納する。送信部26による画像の送信後、画像送信システム19の処理は、ステップS207に進む。
【0085】
ここで、管理サーバ14のデータ管理部17は、例えば、撮影装置10が撮影した画像のデータを、建物もしくはエレベーター1の管理者などがアクセス可能な管理室のPC(Personal Computer)、または予め設定された警備会社のシステムなどに自動的に転送してもよい。このとき、画像のデータを転送するタイミングは、画像送信システム19において予め設定された定期的または不定期的なタイミングであってもよいし、管理者などによって指定されたタイミングであってもよい。
【0086】
ステップS207において、画像送信システム19は、かご2が次の停止階に停止したかを判定する。かご2が次の停止階にまだ停止していないときに、画像送信システム19の処理は、ステップS206に進む。一方、かご2が次の停止階に停止したときに、画像送信システム19の処理は、ステップS208に進む。
【0087】
ステップS208において、環境制御部24は、環境設定をセキュリティ環境設定から通常環境設定に切り替える。環境制御部24は、通常環境設定に基づいて、照明装置6、空調装置7、または映像表示装置8などの環境装置によりかご2内の環境を制御する。その後、画像送信システム19の処理は、終了する。
【0088】
以上に説明したように、実施の形態2に係る画像送信システム19において、撮影環境設定は、利用者の特定に適するように設定されたセキュリティ撮影環境設定を含む。また、画像送信システム19は、特徴判定部22を備える。特徴判定部22は、撮影装置10が撮影した画像に基づいて、かご2内における利用者の特徴を判定する。環境制御部24は、利用者に不審な特徴があると特徴判定部22が判定したときに、セキュリティ撮影環境設定に基づいてかご2内の環境を制御する。このような構成により、不審な特徴を持つ利用者の画像が、当該利用者の特定に適した撮影環境で撮影されるようになる。これにより、有事の際の捜査などに対してより有効なデータを提供できるようになり、エレベーター1が適用された建物のセキュリティがより高められる。
【0089】
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0090】
画像送信システム19において用いられる個人用途撮影環境設定について、多種多様な設定値がある場合などに、利用者による手動の設定のみによって利用者の希望などに沿う好適な設定値とすることは難しい場合がある。このため、以下において、個人用途撮影環境設定の好適な設定値を設定する方法の例を説明する。ここでは、個人用途撮影環境設定の設定値の設定に用いられる学習済みモデルを生成する装置である学習装置27、および、当該学習済みモデルを用いて個人用途撮影環境設定の好適な設定値を推定する推論装置28を用いた方法を説明する。なお、個人用途撮影に不適な状況であるか否かの判定、および個人用途撮影を実施する状況であるか否かの判定などにおける判定条件においても、同様の方法で設定することができる。
【0091】
図7は、実施の形態3に係る学習装置27の構成図である。
【0092】
この例において、学習装置27は、画像送信システム19に含まれる、当該システム内部の装置である。なお、学習装置27の一部または全部は、画像送信システム19の外部の装置であってもよい。学習装置27の機能の一部または全部は、例えば、制御盤3などのエレベーター1の機器または装置に搭載されていてもよいし、管理サーバ14または携帯機器18などの情報機器に搭載されていてもよい。学習装置27の機能の一部または全部は、例えば、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。学習装置27は、学習データ取得部29と、モデル生成部30と、を備える。
【0093】
学習データ取得部29は、学習済みモデルの学習に用いられる学習用データの取得などの処理を行う部分である。学習用データは、例えば、撮影装置10が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを複数組含むデータである。学習データ取得部29は、取得した学習用データを、モデル生成部30に提供する。
【0094】
撮影装置10が撮影した利用者の画像に対する事後評価値は、例えば、当該画像に対して当該利用者自身が評価する満足度などである。利用者は、例えば、携帯機器18を通じて画像のデータを管理サーバ14から取得するときなどに、当該画像の満足度を携帯機器18を通じて入力して管理サーバ14に送信する。このとき入力された画像の満足度は、管理サーバ14の記憶部16に、当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値に対応づけて記憶される。学習データ取得部29は、例えば、管理サーバ14の記憶部16から情報を読み取ることで、学習用データを取得する。
【0095】
撮影装置10が撮影した利用者の画像に対する事後評価値は、例えば、当該画像に対して当該利用者以外の第三者が評価する評価値などである。当該利用者は、例えば、当該利用者以外の第三者である友人などに、管理サーバ14上の当該画像の閲覧を許可する。当該画像の閲覧が許可された第三者は、例えば、当該画像を閲覧するときなどに、当該画像の評価値を管理サーバ14に入力する。このとき入力された画像の評価値は、管理サーバ14の記憶部16に、当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値に対応づけて記憶される。学習データ取得部29は、例えば、管理サーバ14の記憶部16から情報を読み取ることで、学習用データを取得する。あるいは、第三者による評価値は、例えば、当該画像がSNS(Social Networking Service)などの外部システムにアップロードされている場合に、学習データ取得部29が当該外部システムから取得してもよい。
【0096】
ここで、事後評価値は、単一の値であってもよいし、複数の項目値を含むものであってもよい。複数の項目値は、例えば、高評価の多さ、低評価の少なさ、閲覧数、または引用数などを含む。事後評価値が複数の項目値を含むものである場合に、例えば各項目値を重みづけ平均した値などによって事後評価値の総合的な高さが評価されてもよいし、複数の項目値のうちから選択された項目値の値によって事後評価値の高さが評価されてもよい。このときの項目値の重みの設定または項目値の選択などは、例えば学習装置27において予め設定されるものであってもよいし、利用者によって設定されるものであってもよい。
【0097】
なお、学習データ取得部29は、撮影装置10が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値を同時に取得しなくてもよい。学習データ取得部29は、画像の事後評価値、および当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値が関連付けられていれば、これらのデータをそれぞれ別のタイミングで取得してもよい。
【0098】
モデル生成部30は、学習用データを用いた学習済みモデルの生成などの処理を行う部分である。この例において、モデル生成部30は、ニューラルネットワークを利用した教師あり学習によって学習済みモデルを生成する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果のデータの組である学習用データを学習装置に与えることで、学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する学習済みモデルを生成する手法をいう。また、ニューラルネットワークは、例えば、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層または隠れ層、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層でもよいし、2層以上でもよい。
【0099】
図8は、実施の形態3に係る学習装置27が利用するニューラルネットワークの例を示す図である。
【0100】
図8に例示される3層のニューラルネットワークにおいて、複数の入力が入力層(X1‐X3)に入力されると、その(X1‐X3)への入力値に重みW1(w11‐w16)が掛けられて中間層(Y1‐Y2)に入力される。さらに、その(Y1‐Y2)への入力値に重みW2(w21‐w26)が掛けられて出力層(Z1‐Z3)から出力される。このときの出力結果は、重みW1およびW2の値によって変わる。モデル生成部30が生成する学習済みモデルは、例えば、このような重みW1およびW2の値などによって表される。
【0101】
モデル生成部30は、画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データを用いて、事後評価値がより高くなるような個人用途撮影環境設定の設定値を出力する学習済みモデルを生成する。この例において、画像に対する事後評価値を入力層に入力すると、当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値が出力層から出力されるように、ニューラルネットワークの重みW1およびW2が学習用データに基づいて調整される。モデル生成部30は、例えば以上のような学習を実行することで学習済みモデルを生成する。モデル生成部30は、生成した学習済みモデルを、例えばモデル記憶部31などに出力する。ここで、モデル記憶部31は、学習済みモデルの情報などを記憶する部分である。モデル記憶部31は、例えば、管理サーバ14の記憶部16の一部などであってもよいし、その他の記憶装置などであってもよい。
【0102】
モデル生成部30は、この他の方法によって学習済みモデルを生成してもよい。例えば、モデル生成部30は、撮影装置10が撮影した画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値を入力層に入力すると、当該画像に対する事後評価値が出力層から出力されるように、ニューラルネットワークの重みW1およびW2などを学習用データに基づいて教師あり学習により調整してもよい。このとき、学習済みモデルのニューラルネットワークは、種々の設定値に対して予想される事後評価値の推定値を出力する。学習済みモデルは、このようなニューラルネットワークを用いて、事後評価値の推定値がより高くなるような個人用途撮影環境設定の設定値を探索するモデルなどであってもよい。モデル生成部30は、教師あり学習の他に、教師なし学習、半教師あり学習、または強化学習などの公知のアルゴリズムを用いて学習済みモデルを生成してもよい。
【0103】
続いて、学習装置27の動作の例を説明する。
図9は、実施の形態3に係る学習装置27の動作の例を示すフローチャートである。
【0104】
ステップS301において、学習データ取得部29は、撮影装置10が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値を取得し、学習用データとする。その後、学習装置27の処理は、ステップS302に進む。
【0105】
ステップS302において、モデル生成部30は、学習データ取得部29が取得した学習用データに従い、例えば教師あり学習などによって学習済みモデルを生成する。この例において、生成される学習済みモデルは、撮影装置10が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような個人用途撮影環境設定の設定値を推定するモデルである。その後、学習装置27の処理は、ステップS303に進む。
【0106】
ステップS303において、モデル生成部30は、生成した学習済みモデルをモデル記憶部31に出力する。モデル記憶部31は、モデル生成部30が生成した学習済みモデルを記憶する。その後、学習装置27の処理は、終了する。
【0107】
図10は、実施の形態3に係る推論装置28の構成図である。
【0108】
この例において、推論装置28は、画像送信システム19に含まれる、当該システム内部の装置である。なお、推論装置28の一部または全部は、画像送信システム19の外部の装置であってもよい。推論装置28の機能の一部または全部は、例えば、制御盤3などのエレベーター1の機器または装置に搭載されていてもよいし、管理サーバ14または携帯機器18などの情報機器に搭載されていてもよい。推論装置28の機能の一部または全部は、例えば、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。推論装置28は、推論データ取得部32と、推論部33と、を備える。
【0109】
推論データ取得部32は、学習済みモデルによる推論に用いられる推論用データの取得などの処理を行う部分である。推論用データは、例えば、撮影装置10が撮影する画像に対して期待する事後評価値などである。撮影装置10が撮影する画像に対して期待する事後評価値は、例えば推論装置28において予め設定されるものであってもよいし、利用者によって設定されるものであってもよい。推論データ取得部32は、例えば、管理サーバ14の記憶部16、または利用者の携帯機器18などから推論用データを取得する。推論データ取得部32は、取得した推論用データを、推論部33に提供する。
【0110】
推論部33は、撮影装置10が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような個人用途撮影環境設定の設定値の推定などの処理を行う部分である。推論部33は、例えば、モデル記憶部31から学習済みモデルを読み込む。このとき読み込まれる学習済みモデルは、画像送信システム19の学習装置27が生成したものであってもよいし、他の外部システムにおいて予め生成されたものであってもよい。推論部33は、学習済みモデルに推論用データを適用することなどによって、撮影装置10が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような個人用途撮影環境設定の設定値を推定する。推論部33は、例えば、推論用データとして取得された、撮影装置10が撮影する画像に対して期待する事後評価値またはそれより高い事後評価値が得られるような個人用途撮影環境設定の設定値を推定する。推論部33は、推定した個人用途撮影環境設定の設定値を、例えばエレベーター1の制御盤3、または画像送信システム19の環境制御部24などに出力する。環境制御部24は、設定値が推定された個人用途撮影環境設定に基づいて、かご2内の環境を制御する。
【0111】
続いて、推論装置28を含む画像送信システム19の動作の例を説明する。
図11は、実施の形態3に係る推論装置28を含む画像送信システム19の動作の例を示すフローチャートである。
【0112】
ステップS351において、推論データ取得部32は、撮影装置10が撮影した画像に対して期待する事後評価値を取得し、推論用データとする。その後、推論装置28を含む画像送信システム19の処理は、ステップS352に進む。
【0113】
ステップS352において、推論部33は、モデル記憶部31から読み込んだ学習済みモデルに推論用データを適用することなどによって、撮影装置10が撮影する画像に対して期待する事後評価値が得られるような個人用途撮影環境設定の設定値を推定する。その後、推論装置28を含む画像送信システム19の処理は、ステップS353に進む。
【0114】
ステップS353において、推論部33は、推定した個人用途撮影環境設定の設定値を、例えば画像送信システム19の環境制御部24などに出力する。その後、推論装置28を含む画像送信システム19の処理は、ステップS354に進む。
【0115】
ステップS354において、環境制御部24は、設定値が推定された個人用途環境設定に基づいて、照明装置6、空調装置7、または映像表示装置8などの環境装置によりかご2内の環境を制御する。その後、推論装置28を含む画像送信システム19の処理は、終了する。
【0116】
以上に説明したように、実施の形態3に係る学習装置27は、画像送信システム19において用いられる個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成する。学習装置27は、学習データ取得部29と、モデル生成部30と、を備える。学習データ取得部29は、撮影装置10が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データを取得する。モデル生成部30は、学習データ取得部29が取得する学習用データを用いて、撮影装置10が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成する。また、実施の形態3に係る推論装置28は、学習用データに基づいて生成された学習済みモデルを用いて、画像送信システム19において用いられる個人用途撮影環境設定の設定値を推定する。推論装置28は、推論部33を備える。推論部33は、学習済みモデルを用いて、撮影装置10が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような個人用途撮影環境設定の設定値を推定する。ここで、撮影装置10が撮影した利用者の画像に対する事後評価値は、当該画像に対して当該利用者自身が評価する満足度、または当該利用者以外の第三者が評価する評価値を含む。
【0117】
このような構成により、個人用途撮影環境設定について多種多様な設定値がある場合であっても、撮影装置10が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような設定値が学習済みモデルに基づいて設定される。このため、利用者自身が各設定値を手動で調整することを必要とせずに、利用者は、利用者の嗜好に応じた撮影環境または一般的な評価の高い撮影環境において撮影された画像を得ることができる。
【0118】
なお、学習装置27は、単一の画像送信システム19において撮影された画像などに基づく学習用データを用いて学習済みモデルを生成してもよいし、複数の画像送信システム19において撮影された画像などに基づく学習用データを用いて学習済みモデルを生成してもよい。学習用データが収集される対象の画像送信システム19は、同一のエリアに設けられた複数のエレベーター1に適用されるものなどであってもよい。学習用データが収集される対象の複数の画像送信システム19は、互いに異なるエリアに設けられた複数のエレベーター1に各々が適用され、互いに独立に動作するものであってもよい。学習装置27は、学習用データが収集される対象の画像送信システム19を新たに追加してもよいし、学習用データが収集される対象としていた複数の画像送信システム19のいずれかを収集対象から除去してもよい。また、ある画像送信システム19から収集された学習用データに基づいて学習装置27が生成した学習済みモデルは、他の画像送信システム19に適用される推論装置28において用いられてもよい。学習装置27は、当該他の画像送信システム19から収集された学習用データに基づいて、当該学習済みモデルを再学習によって更新してもよい。
【0119】
学習装置27および推論装置28は、別体のハードウェアによって構成されていてもよいし、同一のハードウェア上に実装されていてもよい。学習装置27および推論装置28の各々は、ハードウェアとして、例えばプロセッサおよびメモリを備えた処理回路を有する。プロセッサは、例えばCPU、演算装置、マイクロプロセッサ、またはマイクロコンピュータなどである。メモリは、例えばRAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROMおよびEEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、もしくはDVDなどが該当する。メモリは、例えばソフトウェアまたはファームウェアとしてのプログラムなどを記憶する。そして、学習装置27および推論装置28は、メモリに記憶されたプログラムなどをプロセッサが実行することによって予め設定された処理を実施し、ハードウェアとソフトウェアとが協働した結果として各機能を実現する。学習装置27および推論装置28の各機能は、それぞれ処理回路で実現されてもよい。あるいは、学習装置27および推論装置28の各機能の一部または全部は、まとめて処理回路で実現されてもよい。また、処理回路は、例えば単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、もしくはFPGA、またはこれらの組み合わせで実現されてもよい。
【0120】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御し、利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御する環境制御部と、
前記環境制御部が前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信する送信部と、
を備える、エレベーターの画像送信システム。
(付記2)
前記環境制御部は、前記環境装置として前記かごに設けられた照明装置を制御する、
付記1に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記3)
前記環境制御部は、前記環境装置として前記かごに設けられた空調装置を制御する、
付記1に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記4)
前記環境制御部は、前記環境装置として前記かごに設けられた映像表示装置を制御する、
付記1に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記5)
前記撮影環境設定は、前記利用者の個人用途撮影に適するように設定された個人用途撮影環境設定を含み、
前記送信部は、前記環境制御部が前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記撮影装置が撮影した画像を、前記利用者がアクセス可能な前記情報機器に送信する、
付記1から付記4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記6)
前記利用者の前記かご内における位置を検知する位置検知部
を備え、
前記送信部は、前記利用者が前記かご内の予め設定された撮影位置に立ち止まったことが前記位置検知部によって検知されるときに、前記撮影装置が撮影した画像を前記情報機器に送信する、
付記5に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記7)
前記利用者によるエレベーターの利用状況に基づいて、個人用途撮影を実施する状況であるか否かを判定する状況判定部
を備え、
前記送信部は、前記状況判定部が個人用途撮影を実施する状況であると判定するときに限って、前記撮影装置が撮影した画像を前記情報機器に送信する、
付記5に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記8)
前記環境制御部は、前記状況判定部が個人用途撮影を実施する状況であると判定するときに限って、前記個人用途撮影環境設定に基づく制御を行う、
付記7に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記9)
エレベーターの運行状況に基づいて、個人用途撮影に不適な状況であるか否かを判定する状況判定部
を備え、
前記送信部は、前記状況判定部が個人用途撮影に不適な状況であると判定するときに、前記撮影装置が撮影した画像を前記情報機器に送信しない、
付記5に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記10)
前記環境制御部は、前記状況判定部が個人用途撮影に不適な状況であると判定するときに、前記個人用途撮影環境設定に基づく制御を行わない、
付記9に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記11)
前記利用者を識別する個人識別部
を備え、
前記環境制御部は、前記個人識別部が識別した前記利用者について予め設定された前記個人用途撮影環境設定に基づいて、前記かご内の環境を制御する、
付記5から付記10のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記12)
前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データを取得する学習データ取得部と、
前記学習データ取得部が取得する前記学習用データを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成するモデル生成部と、
を備える、付記5から付記11のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記13)
前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値は、当該画像に対して前記利用者自身が評価する満足度、または前記利用者以外の第三者が評価する評価値を含む、
付記12に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記14)
前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データに基づいて生成された学習済みモデルを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する推論部、
を備え、
前記環境制御部は、前記推論部によって設定値が推定された前記個人用途撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御する、
付記5から付記11のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記15)
前記撮影環境設定は、前記利用者の特定に適するように設定されたセキュリティ撮影環境設定を含む、
付記1から付記4のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記16)
前記撮影装置が撮影した画像に基づいて前記かご内における前記利用者の特徴を判定する特徴判定部
を備え、
前記環境制御部は、前記利用者に不審な特徴があると前記特徴判定部が判定したときに、前記セキュリティ撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御する、
付記15に記載のエレベーターの画像送信システム。
(付記17)
付記5から付記11のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システムにおいて用いられる前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成する学習装置であり、
前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データを取得する学習データ取得部と、
前記学習データ取得部が取得する前記学習用データを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する学習済みモデルを生成するモデル生成部と、
を備える、学習装置。
(付記18)
付記5から付記11のいずれか一項に記載のエレベーターの画像送信システムにおいて用いられる前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定するように、前記撮影装置が撮影した画像に対する事後評価値、および当該画像の撮影時の前記個人用途撮影環境設定の設定値の組合せを含む学習用データに基づいて生成された学習済みモデルを用いる推論装置であり、
前記学習済みモデルを用いて、前記撮影装置が撮影する画像に対する事後評価値がより高くなるような前記個人用途撮影環境設定の設定値を推定する推論部、
を備える、推論装置。
(付記19)
コンピュータが、
通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御することと、
利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御することと、
前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信することと、
を実行する、エレベーターの画像送信方法。
(付記20)
コンピュータに、
通常時において、予め設定された通常環境設定に基づいてかごの環境装置により前記かご内の環境を制御することと、
利用者が前記かごに乗車し前記かごのかごドアが戸閉している間において、前記利用者の人物撮影が行われる環境設定であり前記通常環境設定とは異なる撮影環境設定に基づいて前記環境装置により前記かご内の環境を制御することと、
前記撮影環境設定に基づいて前記かご内の環境を制御しているときに前記かご内に設けられた撮影装置が撮影した画像を、エレベーターの外部の情報機器に送信することと、
を実行させる、エレベーターの画像送信プログラム。
【符号の説明】
【0121】
1 エレベーター、 2 かご、 3 制御盤、 4 第1通信装置、 5 かごドア、 6 照明装置、 7 空調装置、 8 映像表示装置、 9 位置検知部、 10 撮影装置、 11 運行制御部、 12 戸開閉制御部、 13 一般公衆通信回線、 14 管理サーバ、 15 第2通信装置、 16 記憶部、 17 データ管理部、 18 携帯機器、 19 画像送信システム、 20 画像処理部、 21 個人識別部、 22 特徴判定部、 23 乗車検知部、 24 環境制御部、 25 状況判定部、 26 送信部、 27 学習装置、 28 推論装置、 29 学習データ取得部、 30 モデル生成部、 31 モデル記憶部、 32 推論データ取得部、 33 推論部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 100c 信号入出力部
【要約】      (修正有)
【課題】外部の情報機器に出力される画像を、より人物撮影に適した環境で撮影されたものにできるエレベーターの画像送信システム、学習装置、推論装置、画像送信方法、および画像送信プログラムを提供する。
【解決手段】画像送信システム19は、環境制御部24と、送信部26と、を備える。環境制御部24は、通常時において、通常環境設定に基づいて環境装置によりかご2内の環境を制御する。環境制御部24は、利用者がかご2に乗車しかご2のかごドア5が戸閉している間において、撮影環境設定に基づいて環境装置によりかご2内の環境を制御する。撮影環境設定は、利用者の人物撮影が行われる環境設定であり、通常環境設定とは異なる環境設定である。送信部26は、環境制御部24が撮影環境設定に基づいてかご2内の環境を制御しているときにかご2内の撮影装置10が撮影した画像を、エレベーター1の外部の情報機器に送信する。
【選択図】図1
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