(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】化粧パネル、表示装置、及び表示方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240702BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240702BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20240702BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240702BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G02F1/1335 500
G09F19/00 Z
B32B7/023
B32B27/00 E
(21)【出願番号】P 2023199250
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-12-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 丈太郎
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】実用新案登録第2554526(JP,Y2)
【文献】特開2014-219383(JP,A)
【文献】特開2013-154093(JP,A)
【文献】特開2018-074191(JP,A)
【文献】特開2014-039105(JP,A)
【文献】実開昭62-027389(JP,U)
【文献】特開2005-077874(JP,A)
【文献】特開2008-175584(JP,A)
【文献】特開2010-156806(JP,A)
【文献】特開2011-170076(JP,A)
【文献】国際公開第2023/120706(WO,A1)
【文献】特開2017-090814(JP,A)
【文献】特開2017-205946(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105121210(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 7/023
B32B 27/00
B60R 1/00-1/04
B60R 1/08-1/31
G01D 11/00-13/28
G06T 1/00-1/40
G06T 3/00-5/50
G09F 9/00-9/46
G09F 13/00-13/46
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性化粧シートと、
前記光透過性化粧シートに貼り付けられたスモークパネルと、を備え、
前記スモークパネルは、3%以上、40%以下の透過率を有する、着色された透明のパネルであり、
前記光透過性化粧シートは、光透過性の加飾インクで印刷されることによって絵柄が表現された絵柄層を有
し、
ディスプレイ装置がONの際は、前記ディスプレイ装置からの画像を透過させて当該画像を視認可能とし、
前記ディスプレイ装置がOFFの際は、化粧パネルが表現する前記絵柄を視認可能とすることで、前記ディスプレイ装置の存在を隠蔽する、化粧パネル。
【請求項2】
前記スモークパネルは、当該スモークパネルの色によって、前記光透過性化粧シートの色調を制御する、請求項1に記載された化粧パネル。
【請求項3】
前記光透過性化粧シートは、光透過性をもつ隠蔽層を含む、請求項1に記載された化粧パネル。
【請求項4】
前記スモークパネルを隠蔽層とする、請求項1に記載された化粧パネル。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項の化粧パネルでディスプレイ装置の存在を隠蔽することで構成され
る、表示装置。
【請求項6】
ディスプレイ装置を請求項1~4の何れか一項の化粧パネルで覆い、
スモークパネルの色調に応じて、前記ディスプレイ装置のRGBのバイアスとゲインを調整することで、前記スモークパネルを介して、白表示を白く見えるようにする、表示方法。
【請求項7】
請求項6に記載された表示方法で調整された表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧パネル、表示装置、及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイ装置の前に光透過性化粧シートを設置し、ディスプレイ装置を隠蔽する化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。光透過性化粧シートの隠蔽層に隠蔽性と光透過性を持たせることで、ディスプレイ装置を隠蔽し、かつ、ディスプレイ装置の画像を化粧パネル上に投影することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光透過性化粧シートによってディスプレイ装置とその周囲を隠蔽する場合、光透過性化粧シートは透明板上に貼りつけることで、パネル状にして使用される。しかしながら、光透過性化粧シートを透明板に貼ると、光透過性化粧シートの柄の色調が薄くなったり、化粧シート上から見たディスプレイ装置の画像のコントラストが悪化したりする問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、光透過性化粧シートの色調が薄くなることを抑制し、裏側のディスプレイ装置の画像のコントラストや視認性が悪化することを抑制できる化粧パネル、表示装置、及び表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、光透過性化粧シートを透明パネルに貼ると柄の色調が薄くなったり、化粧シート上から見たディスプレイ装置の画像のコントラストが悪化したりする原因として、光透過性化粧シートの表面から透過した光が、裏面に設置した透明パネルと空気層との境界で反射して、光透過性化粧シートを裏面から照らすことが原因であることを見出した。
【0007】
[1]本発明は、一側面に係る化粧パネルとして、光透過性化粧シートと、光透過性化粧シートに貼り付けられたスモークパネルと、を備え、スモークパネルは、3%以上、40%以下の透過率を有する、着色された透明のパネルである。
【0008】
この化粧パネルでは、3%以上、40%以下の透過率を有する、着色された透明のパネルスモークパネルが、光透過性化粧シートに貼り付けられている。従って、光透過性化粧シートの表面から透過した光が、化粧パネルの裏面で光の反射が低減する。そのため、光透過性化粧シートの裏面から照らされることで、光透過性化粧シートの色調が薄くなったり、裏面のディスプレイ装置の画像のコントラストが悪化したりすることを抑制できる。また、隠蔽性が低い光透過性化粧シートであっても、スモークパネルと組み合わせることで、下地隠蔽性が向上し、透けた下地の色の違いの影響を低減することで、光透過性化粧シートの色調が変化することを抑制できる。以上より、光透過性化粧シートの色調が薄くなることを抑制し、裏側のディスプレイ装置の画像のコントラストが悪化することを抑制できる。また、化粧シートの隠蔽層にある程度の光透過性を持たせて、光透過性と隠蔽を持たせた化粧シートとした場合、隠蔽層の隠蔽率を下げても下地隠蔽性が確保されるので、隠蔽層に起因する裏面のディスプレイ装置の画像の視認性の低下を低減することができる。
【0009】
[2]上記[1]の化粧パネルにおいて、スモークパネルは、当該スモークパネルの色によって、光透過性化粧シートの色調を制御してよい。この場合、スモークパネルの色を利用して、光透過性化粧シートを所望の色調に制御することができる。
【0010】
[3]上記[1]又は[2]の化粧パネルにおいて、光透過性化粧シートは、光透過性をもつ隠蔽層を含んでよい。これにより、隠蔽層及びスモークパネルを用いて、光透過性化粧シートの色調、および下地隠蔽性を制御することができる。
【0011】
[4]上記[1]又は[2]の化粧パネルでは、スモークパネルを隠蔽層としてよい。この場合、光透過性化粧シートの隠蔽層を省略することができる。
【0012】
[5]本発明は、別の側面として、表示装置に関する。この表示装置は、上記[1]~[4]のいずれかの化粧パネルでディスプレイ装置を隠蔽することで構成される。この場合、表示装置のディスプレイ装置の画像のコントラストが悪化することを抑制できる。
【0013】
[6]本発明は、別の側面として、表示方法に関する。この表示方法は、ディスプレイ装置を上記[1]~[4]のいずれかの化粧パネルで覆い、スモークパネルの色調に応じて、ディスプレイ装置のRGBのバイアスとゲインを調整することで、スモークパネルを介して、白表示を白く見えるようにする。この場合、化粧パネルの正面から視認できるディスプレイ装置の画像の色調を調整することができる。
【0014】
[7]表示装置は、上記[6]の表示方法で調整される。この場合、化粧パネルの正面から視認できるディスプレイ装置の画像の色調を調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光透過性化粧シートの色調が薄くなることを抑制し、裏側のディスプレイ装置の画像のコントラストが悪化することを抑制できる化粧パネル、表示装置、及び表示方法を提供できる。また、スモーク材を隠蔽層またはその一部として使用することでシートの隠蔽層の隠蔽性を下げることができ、隠蔽層での透過光の乱反射を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る化粧パネルを模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、変形例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、絵柄層の具体的な構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る化粧パネルを模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る化粧パネルを模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、比較例に係る化粧パネルを模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、比較例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、比較例に係る表示装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る化粧パネル、及び表示装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る化粧パネル1を模式的に示す断面図である。
図2は、本実施形態に係る表示装置100を模式的に示す断面図である。化粧パネル1は、
図1に示すように、光透過性化粧シート2と、スモークパネル3と、を備える。表示装置100は、化粧パネル1と、ディスプレイ装置4と、を備える。
【0019】
化粧パネル1は、光源であるディスプレイ装置4の前方(視認者とディスプレイ装置4との間)に設けられる。表示装置100は、化粧パネル1でディスプレイ装置4を隠蔽することで構成される。化粧パネル1は、全光線透過性を有する。このため、ディスプレイ装置4の電源がONの際は、視認者は、化粧パネル1を透過したディスプレイ装置4からの光を視認でき、ディスプレイ装置4の電源がOFFの際は、視認者は、化粧パネル1が表現する絵柄を視認することができる。
【0020】
光透過性化粧シート2は、絵柄を表現するためのシートである。光透過性化粧シート2の可視光の透過率は、10%以上、70%以下が好ましい。なお、光透過性化粧シート2に隠蔽層7を設けない場合は、透過率は70%以上であってもよい。光透過性化粧シート2は、可視光の透過率が、10%以上であることにより、ディスプレイ装置(
図4参照)の光を通しやすくなる。なお、本明細書における透過率は、例えば、分光光度計(例えば、(株)島津製作所製、分光光度計UV-2100)を使用して透過率を測定した可視光透過率の値を意味する。
【0021】
光透過性化粧シート2は、
図2に示すように、印刷基材5と、絵柄層6と、隠蔽層7と、を有してよい。ただし、光透過性化粧シート2は、光透過性をもつ化粧シートであれば、構造は特に限定されない。例えば、
図3に示す表示装置100の光透過性化粧シート2のように、スモークパネル3を隠蔽層の替わりにして、光透過性化粧シート2の隠蔽層7自体をなくしてもよい。なお、隠蔽層7は印刷で形成される層ではなく、孔の空いた色フィルムでもよい。
【0022】
印刷基材5は、可視光透過性を有する基材である。印刷基材5は、例えば、透明性を有する樹脂製である。透明性を有する樹脂としてPET、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。印刷基材5は、ガラス基材であってもよい。印刷基材5の厚さは、例えば、25μm~250μmである。ガラス基材の場合は、例えば、数mm~10mm程度である。なお、必要に応じて、印刷基材5の表面側(絵柄層6とは反対側)に表面保護層や、防指紋層、反射防止層などを設けていてもよい。
【0023】
絵柄層6は、光透過性化粧シート2が表現する絵柄が形成された層である。絵柄層6の絵柄は、ディスプレイ装置4の電源がOFFの際に化粧シート表面に現れる絵柄であり、例えば、木目柄や抽象柄などが採用されてよい。絵柄層6は、印刷基材5に印刷を行うことによって形成されてよい。印刷は、ブラビア印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷など印刷方法は問われない。印刷に用いられる加飾インクの材料は、無機顔料、有機顔料、干渉顔料でもよく、材質は問われない。絵柄層6の厚さは、例えば、1μmから100μmである。
【0024】
隠蔽層7は、ディスプレイ装置4の電源がOFFの際にディスプレイ装置4を隠蔽するとともに、絵柄の色調を決める層である。絵柄層6が干渉顔料の場合は、発色をよくするため隠蔽層7は黒かグレーを用いるが、無機などの顔料を用いる場合は、黒やグレーを用いると柄が見えにくくなってしまう。よって、隠蔽層7は白を用いるのが好ましい。絵柄が木目の場合は、隠蔽層7は、茶系の色で色調を変えることができる。
隠蔽層7は、後述のスモークパネル3とともにディスプレイ装置4を隠蔽するため、隠蔽層7自体の隠蔽性は低く抑えられてよい。隠蔽層7は、例えば、絵柄層6の上にベタ層を印刷することによって形成されてよい。隠蔽層7として、例えば、白ベタ層を印刷してよい。白ベタ層は、絵柄の色調を制御し、下地の黒に絵柄が沈んで見えにくくなるのを防ぐ効果がある。白ベタ印刷の印刷濃度を下げて薄く印刷することで下地隠蔽性を低くしてよい。隠蔽層7として、例えば、黒ベタ層を印刷してよい。黒ベタ層は、干渉顔料の発色を見えやすくし、下地を隠蔽する効果がある。印刷濃度を下げて薄く印刷することで下地隠蔽性を低くしてよい。印刷は、ブラビア印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷など印刷方法は問われない。なお、隠蔽層7の上に、部分的に更に隠蔽層を形成し、透過性がある部分とない部分を設けてもよい。透過性がない部分とある部分の境界の印刷濃度にグラデーション状に変化させて明確な違いがないようにしてもよい。隠蔽層7は、印刷によって形成される層であっても、着色フィルム、または着色シートであってもよい。なお、同様にして、スモークパネル3に部分的に更に隠蔽層を形成してもよい。
【0025】
なお、スモークパネル3が隠蔽層や色原反の替わりをすることで、光透過性化粧シート2の構成から隠蔽層や色調を制御する色ベタ層をなくしてもよい。隠蔽層7を印刷ではなく、着色フィルムのラミネートにしてもよい。着色フィルムは膜厚を薄くするほど光透過性が高くなる。光透過性化粧シート2の表面にトップコート層があってもよい。印刷基材5の表面にエンボス加工がしてあってもよい。印刷は、表刷りでも裏刷りでもどちらでもよい。
【0026】
ここで、絵柄層6の具体的な構造の一例について
図4を参照して説明する。
図4に示す絵柄層6は、印刷基材5の一方の面4a上に設けられた第1色パターン層10と、第1色パターン層10の上に設けられた第2色パターン層20と、を備える。
【0027】
第1色パターン層10は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、面4a上に設けることができる。第1色パターン層10は、
図4に示すように、複数の第1色ドット11により構成されている。ここで、「ドット」とは、印刷画像を構成する要素となる点の意味であり、その形状は円形に限定されるものではなく、矩形や多角形やその他の形状でもかまわない。複数の第1色ドット11のそれぞれが、第1色用バインダー12と第1色用バインダー12の内部に分散された複数の第1色顔料チップ13とを含んでいる。複数の第1色顔料チップ13の含有率は、第1色用バインダー12を100重量部とした場合、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の範囲内である。
【0028】
第1色用バインダー12としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。第1色パターン層10の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、第1色パターン層10には硬化剤を含有させてもよい。この場合、第1色パターン層10の耐熱性、及び、第1色パターン層10の印刷基材5への密着性を向上させることができる。
【0029】
第1実施形態では、複数の第1色顔料チップ13は、互いに異なる干渉光を生成する複数色の第1干渉顔料14a,14bである。第1干渉顔料14a,14bのそれぞれは、可視光透過性を有する薄片(不図示)と、当該薄片を被覆する金属酸化膜(不図示)とから構成される。印刷基材5側から第1色パターン層10への入射光のうち金属酸化膜の表面において反射される光と、金属酸化膜内を通過し、薄片の表面において反射される光とが干渉し、干渉光が生成される。金属酸化膜の膜厚と金属酸化膜の屈折率とを調整することにより、所望の波長を有する干渉光を生成できる。
【0030】
第1実施形態では、第1干渉顔料14a,14bのそれぞれは、二酸化チタン被覆雲母である。当該二酸化チタン被覆雲母の粒径範囲は、例えば、25μm以上60μm以下の範囲を含む。なお、ここで、「粒径」とは、粒子断面の最長径を意味する。第1干渉顔料14a,14bを構成する薄片は、雲母以外であってもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、ポリケイ酸塩であってもよい。第1干渉顔料14a,14bを構成する金属酸化膜は、二酸化チタン以外であってもよく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズであってもよい。
【0031】
第1干渉顔料14a,14bのそれぞれからは、第1色パターン層10へ入射光Eが入射することにより、互いに異なる第1干渉光15a,15bのそれぞれが生成される。すなわち、第1干渉光15a,15bの各波長は、互いに異なっている。これにより、第1干渉顔料14a,14bは、混色を示す。第1干渉顔料14a,14bのそれぞれは、例えば、赤色干渉顔料(赤色パール顔料)、及び、金色干渉顔料(金色パール顔料)のそれぞれである。この場合、第1干渉光15a,15bのそれぞれは、赤色、及び、金色のそれぞれを示す。第1干渉顔料14a,14bの各配合量は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0032】
第2色パターン層20は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第1色パターン層10上に設けることができる。第2色パターン層20は、
図4に示すように、複数の第2色ドット21により構成されている。ここで、「ドット」とは、印刷画像を構成する要素となる点の意味であり、その形状は円形に限定されるものではなく、矩形や多角形やその他の形状でもかまわない。複数の第2色ドット21のそれぞれが、第2色用バインダー22と第2色用バインダー22の内部に分散された複数の第2色顔料チップ23とを含んでいる。複数の第2色顔料チップ23の含有率は、第2色用バインダー22を100重量部とした場合、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の範囲内である。
【0033】
第2色用バインダー22としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。第2色パターン層20の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、第2色パターン層20には硬化剤を含有させてもよい。この場合、第2色パターン層20の耐熱性、及び、第2色パターン層20の第1色パターン層10への密着性を向上させることができる。
【0034】
第1実施形態では、複数の第2色顔料チップ23は、第1干渉顔料14a,14bが示す混色とは異なる単色の干渉光を生成する第2干渉顔料24である。第2干渉顔料24は、可視光透過性を有する薄片(不図示)と、当該薄片を被覆する金属酸化膜(不図示)とから構成される。印刷基材5側から第2色パターン層20への入射光のうち金属酸化膜の表面において反射される光と、金属酸化膜内を通過し、薄片の表面において反射される光とが干渉し、干渉光が生成される。金属酸化膜の膜厚と金属酸化膜の屈折率とを調整することにより、所望の波長を有する干渉光を生成できる。
【0035】
第1実施形態では、第2干渉顔料24は、二酸化チタン被覆雲母である。当該二酸化チタン被覆雲母の粒径範囲は、例えば、25μm以上60μm以下の範囲を含む。なお、ここで、「粒径」とは、粒子断面の最長径を意味する。第2干渉顔料24を構成する薄片は、雲母以外であってもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、ポリケイ酸塩であってもよい。第2干渉顔料を24構成する金属酸化膜は、二酸化チタン以外であってもよく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズであってもよい。
【0036】
第2干渉顔料24からは、第2色パターン層20へ入射光Eが入射することにより、単色の第2干渉光25が生成される。これにより、第2干渉顔料24は、単色を示す。第2干渉顔料24は、第1干渉顔料14a,14bが示す混色とは異なる単色の第2干渉光25を生成する干渉顔料であればよく、例えば、緑色干渉顔料(緑色パール顔料)である。この場合、第2干渉光25は、緑色を示す。
【0037】
絵柄層6では、第1干渉顔料14a,14bが生成する第1干渉光15a,15bと、第2干渉顔料24が生成する第2干渉光25とを加法混色することにより、絵柄が表現されている。
【0038】
図1に示すように、スモークパネル3は、光透過性化粧シート2を透過する視点手前側からの光を減衰させる機能を有している。スモークパネル3は、光透過性化粧シート2の背面に配置される。表示装置100では、スモークパネル3は、ディスプレイ装置4の表面側に配置される。スモークパネル3は、所定の透過率を有する、着色された透明のパネルである。スモークパネル3の透過率は、3%以上であってよく、更に18%以上であってよい。また、スモークパネル3の透過率は、40%以下であってよく、更に28%以下であってよい。透過率が低いほど、裏面反射光を低減できる。よって、背面に設置するディスプレイ装置4の輝度が高い場合、スモークパネル3の透過率は低くした方がよい。
【0039】
スモークパネル3は、板状部材自体がスモーク部材であるスモーク板30であってよい(
図1参照)。このようなスモーク板30の材料として、例えば、アクリル、ポリカーネイト、塩ビなどの透明樹脂、その他ガラスなどを採用してよい。スモーク板30の厚さは特に限定されないが、例えば1mm以上、5mm以下であってよい。
【0040】
または、スモークパネル3は、透明板に貼付け可能なスモークフィルム31であってもよい(
図5、
図6参照)スモークフィルム31の材料として、例えば、PP、PET、PMMAなどが採用されてよい。
図5に示す例では、透明板32の裏面にスモークフィルム31が貼り付けられている。
図6に示す例では、透明板32の裏面のスモークフィルム31の裏面に他の透明板33が配置されている。また、スモークフィルム31を挟んだ合わせガラスを使用してもよいが、裏面に同じ透過率のスモークフィルム31を貼った場合よりも反射光は大きくなる。同じ透過率であれば、透明板32の裏面にスモークフィルム31を貼ったものを採用するより、スモークアクリルなどのスモーク板30を使用した方が反射光を低減できる。
【0041】
スモークパネル3は、着色されている。スモークパネル3の色は特に限定されず、あらゆる色が採用されてよいが、例えば、グレー、ブラウン、青などの色を採用してよい。スモークパネル3の着色の方法は特に限定されない。例えば、顔料、染料などの色を付与する物質を透明パネルの材料に含ませて、板状に成形することによって、着色した透明パネルであるスモークパネル3を作製してよい。スモークフィルムを印刷による薄い着色層で代用する場合、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷などの印刷方法を採用してよい。なお、スモークパネル3は、様々な色のものが採用可能であり、好みの壁の色にしてよいので、色は限定されない。
【0042】
スモークパネル3は、当該スモークパネル3の色によって、光透過性化粧シート2の色調を制御してよい。例えば、ディスプレイ装置4がOFFのタイミングでは、表示装置100の手前側からは光透過性化粧シート2の絵柄層6の絵柄が視認される。このとき、スモークパネル3の色によって、絵柄層6の絵柄の色調が制御される。例えば、スモークパネル3の色がブラウンであり、絵柄層6の絵柄が木目であった場合、表示装置100の手前側からは、ブラウンがかった木目を視認することができる。
【0043】
スモークパネル3の透過率が低いほど反射光を低減する効果が大きいが、ディスプレイ装置4の輝度など考慮して、スモークパネル3の透過率を最適することが好ましい。スモーク板30の一部を削って厚みを薄くしてもよいが、その部分の透過率が変わるので、色調が変わる場合は、黒いシートや塗装などで色調を合わせることが好ましい。ディスプレイ装置4は、周囲の壁9に設置して埋設しても、壁9に開けた開口部の裏に設置してもよい。壁9とディスプレイ装置4の間に隙間が開く場合は、光が漏れないように壁9の背面を十分に暗くするのが好ましい。スモークパネル3がディスプレイ装置4の画像の色調に影響を与える場合は、ディスプレイ装置4のRGBのゲインやバイアスを調整することで、色調を調整することが好ましい。スモークパネル3の色調に応じて、表示装置100のディスプレイ装置4のRGBのバイアスとゲインを調整することで、スモークパネル3を介して、白表示を白く見えるようにしてよい。
【0044】
光透過性化粧シート2とスモークパネル3とを接着する方法は、特に限定されず、透明両面テープ、OCA、テープ、熱融着などを採用してよい。熱融着する場合、印刷層の上にフィルムをラミネートしてよい。ディスプレイ装置4の周囲の壁9の色は、光透過性化粧シート2の色調に影響を与えなければ、何色でもよいが、下地の色の影響を受ける場合は、映像を移さないディスプレイの色と似た色にするのが好ましい。光透過性化粧シート2の隠蔽層7の裏にさらに隠蔽層を部分的に追加する場合、同じ隠蔽用のインクの濃度を高めて印刷してもよいが、黒かグレーのフィルムもしくはシートを貼って形成してもよい。
【0045】
次に、本実施形態に係る化粧パネル1、表示装置100、及び表示方法の作用・効果について説明する。
【0046】
まず、
図7及び
図8を参照して、比較例に係る化粧パネル200、及び表示装置300について説明する。
図7に示すように、比較例に係る化粧パネル200は、光透過性化粧シート2と透明板32とを備え、スモークパネル3を備えていない。
図8に示すように、比較例に係る表示装置300は、化粧パネル200でディスプレイ装置4を覆っている。
【0047】
化粧パネル200において、
図7及び
図8に示すように透明板32の裏面が空気層だった場合、光透過性化粧シート2の表面から入射した入射光LINが透明板32の裏面で反射する。これにより、空気層界面での反射光LOUT1が光透過性化粧シート2を裏面から照らすこととなり、光透過性化粧シート2の色調が薄くなる。また、ディスプレイ装置4がONの時に、ディスプレイ装置4の画像LIMG1が化粧パネル200を透過する場合、画像LIMG1のコントラストが悪化するという問題があった。更に、下地隠蔽性の高い光透過性化粧シート2では、隠蔽層7でディスプレイ装置4の画像LIMGが投影される(投影画像LIMG2)。そのため、斜めからみると、斜めへ向かう画像LIMG1bと、投影画像LIMG2の影響によって画像が二重に見え、ぼやけるなど、視認性が悪くなる問題がある。その一方、光透過性化粧シート2の隠蔽性を下げると下地が透けてみえてしまうという問題がある。
【0048】
これ対し、本実施形態に係る化粧パネル1では、3%以上、40%以下の透過率を有する、着色された透明のスモークパネル3が、光透過性化粧シート2に貼り付けられている。従って、光透過性化粧シート2の表面から入射した入射光LINが、化粧パネル1の裏面で反射した反射光LOUT1が低減する。そのため、光透過性化粧シート2の裏面から照らされることで、光透過性化粧シート2の色調が薄くなったり、裏面のディスプレイ装置4の画像LIMG1のコントラストが悪化したりすることを抑制できる。また、隠蔽性が低い光透過性化粧シート2であっても、スモークパネル3と組み合わせることで、下地隠蔽性が向上し、透けた下地の色の違いの影響を低減することで、光透過性化粧シート2の色調が変化することを抑制できる。以上より、光透過性化粧シート2の色調が薄くなることを抑制し、裏側のディスプレイ装置4の画像LIMG1のコントラストが悪化することを抑制できる。また、化粧シートの隠蔽層7にある程度の光透過性を持たせて、光透過性と隠蔽を持たせた化粧シートとした場合、隠蔽層7の隠蔽率を下げても下地隠蔽性が確保されるので、隠蔽層7に起因する裏面のディスプレイ装置4の画像の視認性の低下を低減することができる。
【0049】
化粧パネル1において、スモークパネル3は、当該スモークパネル3の色によって、光透過性化粧シート2の色調を制御してよい。この場合、スモークパネル3の色を利用して、光透過性化粧シート2を所望の色調に制御することができる。
【0050】
化粧パネル1は、光透過性化粧シート2は、隠蔽層7を含んでよい。これにより、隠蔽層7及びスモークパネル3を用いて、光透過性化粧シート2の色調を制御することができる。
【0051】
化粧パネル1では、スモークパネル3を隠蔽層としてよい。この場合、光透過性化粧シート2の隠蔽層7を省略することができる。
【0052】
表示装置100は、上述の化粧パネル1でディスプレイ装置4を隠蔽することで構成される。この場合、表示装置100のディスプレイ装置4の画像のコントラストが悪化することを抑制できる。
【0053】
表示方法は、ディスプレイ装置4を上述の化粧パネル1で覆い、スモークパネル3の色調に応じて、ディスプレイ装置4のRGBのバイアスとゲインを調整することで、スモークパネル3を介して、白表示を白く見えるようにする。この場合、化粧パネル1の正面から視認できるディスプレイ装置4の画像の色調を調整することができる。
【0054】
表示装置100は、上述の表示方法で調整される。この場合、化粧パネル1の正面から視認できるディスプレイ装置4の画像の色調を調整することができる。例えば、ブラウンスモークの場合は、Rのゲインとバイアスの値をディスプレイの設定で下げることで、赤みかかって見えていた白をより白くみせることができる。
【0055】
前述のように、比較例に係る化粧パネル200では、斜めからみたときに画像がぼやけるという問題がある。隠蔽層7でディスプレイ装置4からの光の乱反射が大きいと、隠蔽層7で画像が結像する。特に隠蔽層7が白色の場合は、光が乱反射しやすい。干渉顔料を使用する場合は、発色をよくするため、隠蔽層7は黒で形成するので、白の隠蔽層に比べて乱反射は発生しにくい。隠蔽層7の隠蔽性が弱く下地が透けてみえてしまう化粧パネル200では、隠蔽層7でディスプレイ装置4の画像が投影されないため、ディスプレイ装置4と隠蔽層7で二重に画像が見えず、斜めから見ても化粧パネル200越しに表示がぼやけて見えることがない。しかし、隠蔽性が弱いため、化粧パネル200越しにディスプレイ装置4とその周囲が透けてみえてしまい、下地を隠蔽することができない。これに対し、本実施形態に係る化粧パネル1は、隠蔽性が低くディスプレイ装置4からの画像が表面に投影されず透過する光透過性化粧シート2とスモークパネル3とを組み合わせることで、ディスプレイ装置4と光透過性化粧シート2で二重に画像が見えて斜めから見た時に画像がぼやけることがなく、下地を隠蔽し、化粧パネル1の裏側で反射した反射光LOUT1が光透過性化粧シート2を裏側から照らすことを抑制できる。
【0056】
[比較例1]
図8を参照して、具体的な比較例1について説明する。比較例1では、75μmのPET樹脂を印刷基材5とし、そこに木目柄の絵柄層6を裏刷りし、その上に白ベタ層を印刷して隠蔽層7を形成した。白ベタ層は、絵柄の色調を制御すると共に下地を隠蔽し、光透過性化粧シート2の透過率が17%になる厚さで印刷した光透過性化粧シート2を得た。その光透過性化粧シート2の裏側に透過率90%以上の透明アクリル板を透明板32として貼り、化粧パネル200を作製した。ディスプレイ装置4の周囲のグレーに着色した壁9にその化粧パネル200を貼り、壁9に設置したディスプレイ装置4とその周囲にグレーの色の壁9を隠蔽した。下地隠蔽性がある光透過性化粧シート2であっても、光を透過するため下地に透明板32を用いた場合は、シート越しに入射した入射光LINが透明板32と空気層の界面で反射し、光透過性化粧シート2を裏面から照らす。そのため、色調が白っぽくなり柄が薄くなってしまう。透明板32の裏側に色を調整したグレーの色の壁9を接着すると反射光LOUT2が明るくなるため、透明板32の裏側の空気層との界面で反射した反射光LOUT1と、同程度にすることができ、色調の違いをなくすことができる。しかし、反射光LOUT1,2により、光透過性化粧シート2の色調は全体的に白っぽくなり、光透過性化粧シート2越しのディスプレイ装置の画像のコントラストは低下する。比較例1では、後述の比較例2とは異なり、画像表示部分35と周囲の部分との間の色調に差はでないが、全体的に色調が薄くなる(
図8(b)参照)。また、光透過性化粧シート2の隠蔽性が高いので、ディスプレイ装置4の画像LIMG1が隠蔽層7に投影され、斜めからみると、ディスプレイ装置からの画像LIMG1bと隠蔽層7に投影された投影画像LIMG2で二重に見えて画像がぼやけて見えてしまう。
【0057】
[比較例2]
図9を参照して、具体的な比較例2について説明する。比較例2は、壁9に設置したディスプレイ装置4とその周囲に黒色の壁9を隠蔽した点以外は、比較例1と同様である。透明板32の裏側に黒色の壁9を接着すると反射光LOUT2は暗くなるので、透明板32の裏側の空気層との界面で反射した反射光LOUT1と、明るさに違いが出る。そのため、黒色の壁9を接着した光透過性化粧シート2とディスプレイ装置4と対向する箇所の光透過性化粧シート2とで色調に違いが生じてしまう。その結果、画像表示部分35が、薄い色調で浮き出てしまう(
図9(b)参照)。画像表示部分35の色調が違ってみえるため、結果的にディスプレイ装置4の存在を隠蔽できていない。その他の問題点は、比較例1と同様である。
【0058】
[実施例1]
図2を参照して、具体的な実施例1について説明する。実施例1では、75μmのPETフィルムを印刷基材5とし、そこに木目柄の無機顔料を用いて絵柄層6を裏刷りし、その上に白ベタ層を印刷して隠蔽層7を形成した。白ベタ層は、絵柄の色調を制御し、下地の黒に絵柄が沈んでみえにくくなるのを防ぐ効果がある。白ベタ印刷の印刷濃度を下げて薄く印刷することで下地隠蔽性を低くし、透過率25%の光透過性化粧シート2を得た。その光透過性化粧シート2の裏側に透過率28%のブラウンスモークアクリル板をスモークパネル3として貼り、化粧パネル1を作製した。壁9に設置したディスプレイ装置4の周囲の黒い壁9にその化粧パネル1を貼り、壁9に設置したディスプレイ装置4とその周囲に黒の色の壁9を隠蔽した。ディスプレイ装置4として、輝度700cdの液晶モニターを用いた。ブラウンスモークアクリルと組み合わせることで下地隠蔽性が高まり、下地隠蔽性の低い光透過性化粧シート2でもディスプレイ装置4と周囲の壁9を光透過性化粧シート2で隠蔽できた。また、ブラウンのスモークアクリル板を使用することで、隠蔽層7の白ベタの印刷濃度が下がっても、柄の色調が暗くなるのを防ぐことができた。スモークアクリル板は、入射光LINの反射が小さいため、光透過性化粧シート2を裏面から照らすことを抑制するため色調が薄くならず、黒い壁9に貼った部分とディスプレイ装置4と対向する部分の画像表示部分35で色調の違いは見えなかった。また、スモークパネル3として、ブラウンスモークを用いることで、グレースモークを使用するよりも色調が黒くならなかった。光透過性化粧シート2の表面が白っぽくならないため、ディスプレイ装置4の画像は、シート越しに高いコントラストで視認できた。また、光透過性化粧シート2の隠蔽性が低いので、ディスプレイ装置4の画像が隠蔽層7に投影されず、斜めからみても、ディスプレイ装置4からの画像LIMG1bと隠蔽層7に投影された画像で二重に見えて画像がぼやけることがなかった。入射光LINが黒い壁9で反射した反射光LOUT2と、スモークパネル3の空気層との界面で反射した反射光LOUT1はほぼ等しく、両者で色調の違いが見えないため、画像表示部分35が明るく見えることがない。
【0059】
[実施例2]
図2を参照して、具体的な実施例2について説明する。実施例2では、75μmのPET樹脂を印刷基材5とし、そこに木目柄の絵柄層6を干渉顔料を用いて裏刷りし、その上に黒ベタ層を印刷して隠蔽層7を形成した。黒ベタ層は、干渉顔料の発色を見えやすくし、下地を隠蔽する効果がある。印刷濃度を下げて薄く印刷することで下地隠蔽性を低くし、透過率60%の光透過性化粧シート2を得た。その光透過性化粧シート2の裏側に透過率が18%で3mm厚のグレースモークアクリル板をスモークパネル3として貼りつけ、化粧パネル1を作製した。壁9に設置したディスプレイ装置4の周囲の黒い壁9にその化粧パネル1を貼り、壁9に設置したディスプレイ装置4とその周囲の黒い壁9を隠蔽した。スモークアクリル板と光透過性化粧シート2とを組み合わせることで下地隠蔽性が高まり、下地隠蔽性の低い光透過性化粧シート2でもディスプレイ装置4と周囲の壁9を隠蔽できた。スモークアクリル板は、入射光LINの反射が小さいため、光透過性化粧シート2を裏面から照らすことを抑制するため色調が薄くならず、黒い壁9に貼った部分とディスプレイ装置4と対向する部分の画像表示部分35で色調の違いは見えなかった。また、比較例1のように色調が薄くなることが抑制できた。また、スモークアクリルはグレースモークを使用することで、干渉顔料の発色がよくなった。また、光透過性化粧シート2の隠蔽層7の隠蔽性が低くかつ色が黒なので、ディスプレイ装置4の画像LIMG1が隠蔽層7に投影されず、斜めからみても、ディスプレイ装置4からの画像LIMG1bと隠蔽層7に投影された画像で二重に見えて画像がぼやけることがなかった。入射光LINが黒い壁9で反射した反射光LOUT2と、スモークパネル3の空気層との界面で反射した反射光LOUT1はほぼ等しく、両者で色調の違いが見えないため、画像表示部分35が明るく見えることがない。
【0060】
[実施例3]
図3を参照して、具体的な実施例3について説明する。実施例3は、実施例2から隠蔽層7を省略したものである。実施例3では、光透過性化粧シート2に隠蔽層7がないため、ディスプレイ装置4の画像LIMG1が隠蔽層7に投影されず、斜めからみても、ディスプレイ装置4からの画像LIMG1bと隠蔽層7に投影された画像で二重に見えて画像がぼやけることがなかった。その他の効果は実施例2と同様であるが、隠蔽層7をなくすことで、ディスプレイ装置4の画像からの映像をより明るくすることができる。
【0061】
本発明による化粧パネル、表示装置、及び表示方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。
【0062】
例えば、第2色パターン層が互いに異なる第1干渉光を生成する複数色の第1干渉顔料を含み、第1色パターン層が複数の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単色の第2干渉光を生成する第2干渉顔料を含んでいてもよい。また、上記各実施形態では、第1色顔料チップが2色の第1干渉顔料であったが、第1色顔料チップは、3色以上の第1干渉顔料であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…化粧パネル、2…光透過性化粧シート、3…スモークパネル、4…ディスプレイ装置、7…隠蔽層、100…表示装置。
【要約】
【課題】光透過性化粧シートの色調が薄くなることを抑制し、裏側のディスプレイ装置の画像のコントラストや視認性が悪化することを抑制する。
【解決手段】化粧パネル1では、3%以上、40%以下の透過率を有する、着色された透明のスモークパネル3が、光透過性化粧シート2に貼り付けられている。入射光が、化粧パネル1の裏面で反射した反射光が低減する。光透過性化粧シート2の色調が薄くなったり、裏面のディスプレイ装置4の画像のコントラストが悪化したりすることを抑制できる。隠蔽性が低い光透過性化粧シート2であっても、スモークパネル3と組み合わせることで、下地隠蔽性が向上し、透けた下地の色の違いの影響を低減することで、光透過性化粧シート2の色調が変化することを抑制できる。隠蔽層の隠蔽性を下げることで、透過光が隠蔽層で乱反射するのを低減でき、視認性が向上する。
【選択図】
図2