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特許7513194情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 15/00 20240101AFI20240702BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H04M15/00 G
H04M3/42 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023508411
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021013098
(87)【国際公開番号】W WO2022201542
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】柴原 正樹
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172184(JP,A)
【文献】特開2019-016963(JP,A)
【文献】特開2007-181151(JP,A)
【文献】特開2015-215813(JP,A)
【文献】国際公開第2020/194940(WO,A1)
【文献】特開昭57-103466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
15/00-15/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得する取得手段と、
取得結果に基づいて、前記複数の通信端末のうちで災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定する第1の特定手段と、
通信記録に基づいて、前記第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定する第2の特定手段と、
前記第1の災害対応端末、及び前記第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する課金手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記取得手段は、
前記複数の通信端末の各々からGPS(Global Positioning System)位置情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、
前記複数の通信端末の各々が接続された基地局の識別情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の特定手段は、
グループ通話の記録に基づいて、前記第1の災害対応端末とグループ通話を行っている前記第2の災害対応端末を特定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の災害対応端末は、現場用の通信端末であり、
前記第2の災害対応端末は、指令部用の通信端末である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ネットワークは、
PS(Public Safety)-LTE(Long Term Evolution)網である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ネットワークに接続された複数の通信端末と、
情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得し、
取得結果に基づいて、前記複数の通信端末のうちで災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定し、
通信記録に基づいて、前記第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定し、
前記第1の災害対応端末、及び前記第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する、
情報処理システム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、
前記複数の通信端末の各々からGPS(Global Positioning System)位置情報を取得する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータが、
ネットワークに接続された複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得し、
取得結果に基づいて、前記複数の通信端末のうちで災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定し、
通信記録に基づいて、前記第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定し、
前記第1の災害対応端末、及び前記第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ネットワークに接続された複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得する処理と、
取得結果に基づいて、前記複数の通信端末のうちで災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定する処理と、
通信記録に基づいて、前記第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定する処理と、
前記第1の災害対応端末、及び前記第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する処理と、
を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関し、特に、通信に対する課金処理を行うための情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
行政機関が運用する網を、民間網でまとめることが提案されている。民間網は、例えば、キャリア網や、高度MCA(Multi Channel Access)網である。民間網を用いて課金を行う場合、PCRF(Policy and Charging Function)においてポリシ制御を行うことにより、ユーザごとに課金の有無を設定することができる。PCRFは、例えば、ユーザごとの課金ポリシ(例:どの料金プランに加入しているか)を判断し、当該ユーザに対する課金制御を行うことができる。
【0003】
尚、特許文献1は、特定の基地局に帰属している通信端末同士による通話料金を減額又は免除する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-117570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害が発生した場合、災害対応を行っている通信端末には課金を行うべきでないと考えられる。PCRFは、予め設定されているユーザ単位の課金ポリシに基づく制御を行うことができるが、その他の情報を考慮することが出来ないという問題がある。
【0006】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、通信端末が災害対応を行っているか否かに応じて適切な課金処理を行うための情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかる情報処理装置は、
ネットワークに接続された複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得する取得手段と、
取得結果に基づいて、前記複数の通信端末のうちで災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定する第1の特定手段と、
通信記録に基づいて、前記第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定する第2の特定手段と、
前記第1の災害対応端末、及び前記第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する課金手段と、
を備える。
【0008】
本開示の第2の態様にかかる情報処理システムは、
ネットワークに接続された複数の通信端末と、
情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得し、
取得結果に基づいて、前記複数の通信端末のうちで災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定し、
通信記録に基づいて、前記第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定し、
前記第1の災害対応端末、及び前記第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する。
【0009】
本開示の第3の態様にかかる情報処理方法は、
コンピュータが、
ネットワークに接続された複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得し、
取得結果に基づいて、前記複数の通信端末のうちで災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定し、
通信記録に基づいて、前記第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定し、
前記第1の災害対応端末、及び前記第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する。
【0010】
本開示の第4の態様にかかるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体は、
コンピュータに、
ネットワークに接続された複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得する処理と、
取得結果に基づいて、前記複数の通信端末のうちで災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定する処理と、
通信記録に基づいて、前記第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定する処理と、
前記第1の災害対応端末、及び前記第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する処理と、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、通信端末が災害対応を行っているか否かに応じて適切な課金処理を行うための情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態1にかかる情報処理装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態1にかかる情報処理方法の流れを示すフローチャートである。
図3】本実施形態2にかかる情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図4】本実施形態2にかかるネットワークの詳細な構成を示すブロック図である。
図5】本実施形態2にかかる情報処理システムの災害時における優先度の設定例を示す概略図である。
図6】本実施形態2にかかる情報処理システムの優先度の変化を示す概略図である。
図7】本実施形態2にかかる情報処理システムにおいて事務用の通信端末が現場に貸し出された場合のブロック図である。
図8】本実施形態2にかかる情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかる情報処理装置1の全体構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信端末が災害対応を行っているか否かに応じて適切な課金処理を行うためのコンピュータである。情報処理装置1は、例えば、警察や消防等の行政機関が運用する通信端末に対して課金処理を行う。
【0015】
当該通信端末は、ネットワーク(不図示)に接続されている。ネットワーク(不図示)は、公共安全のためのネットワークであってもよい。公共安全のためのネットワークとは、例えば、PS(Public Safety)-LTE(Long Term Evolution)網である。尚、公共安全のためのネットワークは、LTE以外の技術によって実現されていてもよい。また、情報処理装置1は、ネットワーク(不図示)に含まれていてもよい。
【0016】
複数の通信端末には、現場用の通信端末と、指令部用の通信端末とが含まれていてもよい。複数の通信端末の各々は、情報処理装置1に対して入力を行い、情報処理装置1からの出力に応じた処理を行ってもよい。
【0017】
情報処理装置1は、取得部11と、第1特定部12と、第2特定部13と、課金部14とを備えている。取得部11は、ネットワーク(不図示)に接続された複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得する。各通信端末の位置に関する情報は、GPS(Global Positioning System)位置情報であってもよく、各通信端末が接続された基地局の識別情報であってもよい。情報処理装置1は、各端末の位置に関する情報を記録した記憶装置から、各端末の位置に関する情報を取得してもよい。
【0018】
災害は、雨や雪に起因するものであってもよく、地震に起因するものであってもよい。また、災害は、事故等の人為的災害であってもよい。
【0019】
第1特定部12は、取得部11の取得結果に基づいて、ネットワーク(不図示)に接続された複数の通信端末のうち災害地域に所在する通信端末を、第1の災害対応端末として特定する。第1特定部は、災害が発生した地域(災害地域)に関する情報を取得しているものとする。
【0020】
第2特定部13は、通信記録に基づいて、第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定する。ここで、第2の災害対応端末は、指令所に所在している指令部用の通信端末であってもよい。第2特定部13は、例えば、グループ通話の記録に基づいて、第1の災害対応端末とグループ通話を行う第2の災害対応端末を特定してもよい。
【0021】
課金部14は、第1の災害対応端末、及び第2の災害対応端末からの通信に対しては課金が行われないように、通信に対する課金データを作成する。課金は、通信量に応じて行われてもよく、通話時間に応じて行われてもよい。課金データの作成は、課金処理とも称される。課金データは、通信が行われるごとに更新(作成)されてもよく、定期的に行われてもよい。
【0022】
図2は、実施形態1にかかる情報処理方法の流れを示すフローチャートである。災害発生地域は特定済みであるものとする。まず、情報処理装置1の取得部11は、ネットワーク(不図示)に接続された複数の通信端末の各々の位置に関する情報を取得する(S11)。次に、情報処理装置1の第1特定部12は、ステップS11で取得した情報に基づいて、複数の通信端末のうちで災害対応を行っている第1の災害対応端末を特定する(S12)。
【0023】
次に、情報処理装置1の第2特定部13は、通信記録に基づいて、ステップS12で特定された第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定する(S13)。最後に、情報処理装置1の課金部14は、ステップS12で特定された第1の災害対応端末、及びステップS13で特定された第2の災害対応端末からの通信に対して課金されないように、通信に対する課金データを作成する(S14)。
【0024】
このように、本実施形態にかかる情報処理装置は、災害地域に所在する第1の災害対応端末と、第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末とを特定し、特定結果に基づいて課金処理を行う。したがって、本実施形態にかかる情報処理装置1は、災害対応を行っている通信端末に対して課金しないように、適切な課金データを作成することができる。
【0025】
尚、情報処理装置1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備えるものである。また、当該記憶装置には、本実施形態にかかる情報処理方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。そして、当該プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムを前記メモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行する。これにより、前記プロセッサは、取得部11、第1特定部12、第2特定部13、及び課金部14の機能を実現する。
【0026】
または、取得部11、第1特定部12、第2特定部13、及び課金部14は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いることができる。
【0027】
また、情報処理装置1の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、情報処理装置1の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0028】
<実施形態2>
実施形態2は、上述した実施形態1の具体例である。図3は、本実施形態2にかかる情報処理システム1000の構成例を示すブロック図である。情報処理システム1000は、警察や消防等の行政機関が運用する通信端末に対して適切な課金処理を行うためのシステムである。尚、行政機関は、警察庁や消防庁に限られるものではなく、防衛省や自治体、又は医療関係の行政機関であってもよい。
【0029】
情報処理システム1000は、通信端末100A、通信端末100B、通信端末100C、キャリア網200、及びLTE網300を備えている。通信端末100A、通信端末100B、及び100Cの各々は、キャリア網200及びLTE網300を介して通信することができる。LTE網300は、具体的にはPS-LTE網である。
【0030】
通信端末100A、通信端末100B、及び通信端末100Cは、警察や消防等の行政機関によって運用される。通信端末100A、通信端末100B、及び通信端末100Cは、スマートフォン等の汎用の通信端末であってもよく、専用の無線機であってもよい。通信端末100A、通信端末100B、及び通信端末100Cでは、通信用のアプリ(アプリケーション)110が動作している。通信端末100A、100B、及び100Cには、SIM(Subscriber Identity Module)カード120が取り付けられている。
【0031】
通信端末100Aは、例えば、現場で使用される現場用の通信端末である。通信端末100Bは、例えば、指令所で使用される指令部用の通信端末である。通信端末100Cは、例えば、事務所で使用される事務用の通信端末である。
【0032】
現場用の通信端末100Aの数は、複数であってもよい。また、指令部用の通信端末100Bの数や、通信端末100Cの数も複数であってよい。以下では、通信端末100A、100B及び100Cを互いに区別しない場合には、単に通信端末100と称する。
【0033】
尚、情報処理システム1000は、必ずしも上述した現場用、指令部用、及び事務用の3種類の通信端末100を備えている必要はない。通信端末100の種類は、2種類であってもよく、1種類であってもよい。
【0034】
キャリア網200は、キャリアが運用するネットワークである。キャリア網200の構成の詳細については後述する。LTE網300は、キャリア網200と接続され、通信端末100からの通信に対する課金データを作成する機能を備えている。ここで、LTE網300は、複数の通信端末100のうち災害地域に所在する通信端末を、第1の災害用端末として特定する。そして、LTE網300は、複数の通信端末100のうち、第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定する。LTE網300は、特定された災害対応端末からの通信に対して課金を行わないように課金データを作成する。LTE網300の構成の詳細については、後述する。
【0035】
次に、図4を用いて、キャリア網200及びLTE網300の構成について、詳細に説明する。キャリア網200は、eNB(evolved Node B)201、MME(Mobility Management Entity)202、及びSGW(Serving Gateway)203を備えている。eNB201は、基地局とも称される。MME202は、eNB201と制御情報を交換する。SGW203は、eNB201を介して通信端末100からデータを受信し、LTE網300のPGW(Packet data network Gateway)301に送信する。
【0036】
LTE網300は、PGW301、L2SW(Layer 2 switch)302、L3SW(Layer 3 switch)303、ネットワーク装置304、アプリケーションサーバ305、ネットワーク接続基盤306、管理システム307、システム監視制御装置308、及び課金システム309を備えている。PGW301は、PS-LTE PGWとも称される。
【0037】
アプリケーションサーバ305は、例えば、PTT(Push to Talk)用のサーバや、動画伝送用のサーバ、及びチャット用のサーバを含んでいる。ここで、PTT用のサーバは、ハウジングによって運用され、動画伝送用のサーバ及びチャット用のサーバは仮想マシン(VM:Virtual Machine)としてクラウド上で運用されていてもよい。ここで、PTT用のサーバは、通信端末100同士による通話や、グループ通話の履歴を記憶している。通話履歴には、例えば、発信元及び発信先に関する情報や、通話時間が含まれている。また、グループ通話の履歴には、例えば、グループとして登録された通信端末100に関する情報や、通話時間が含まれている。
【0038】
ネットワーク接続基盤306には、例えば、ネットワークサーバや、グループ通信用のアプリケーションサーバが含まれている。ここで、ネットワークサーバはハウジングによって運用され、グループ通信用のアプリケーションサーバはVMとしてクラウド上で運用されていてもよい。ネットワーク接続基盤306には、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)サーバが含まれていてもよい。ネットワーク接続基盤306とアプリケーションサーバ305とは、インタフェースを介して無線で相互接続されていてもよい。
【0039】
管理システム307は、複数の通信端末100の各々の間の通信を管理する。管理システム307は、通常時は、警察が運用する通信端末100と、消防が運用する通信端末100との間の通信を許可しない。しかし、管理システム307は、災害が発生すると、警察が運用する通信端末100と、消防が運用する通信端末100との間の通信を許可する。尚、通信管理や通信制御(優先制御等)は、必ずしも管理システム307で行われる必要はなく、アプリケーションサーバ305や、ネットワーク接続基盤306で行われてもよい。
【0040】
システム監視制御装置308は、複数の通信端末100の各々の間の通信を監視する。システム監視制御装置308は、システムの稼動状況を定期的に確認してもよい。
【0041】
課金システム309は、上述した情報処理装置1の一例である。課金システム309は、取得部3091、第1特定部3092、第2特定部3093、及び課金部3094を備えている。
【0042】
取得部3091は、上述した取得部11の一例である。取得部3091は、通信端末100の位置に関する情報を取得する。ここで、通信端末100は、帰属するeNB201の識別情報をLTE網300に送信していてもよい。また、通信端末100は、定期的に通信端末100のGPS位置情報をLTE網300に送信してもよい。
【0043】
第1特定部3092は、上述した第1特定部12の一例である。第1特定部3092は、取得部3091の取得結果に基づいて、災害地域に所在する第1の災害対応端末を特定する。図3の場合には、第1特定部3092は、通信端末100Aを第1の災害対応端末として特定することとなる。第1特定部3092は、災害地域に関する情報をインターネット等から取得し、災害地域に所在する第1の災害対応端末を特定してもよい。災害地域は、災害派遣対象地域であってもよい。尚、事務方から現場に貸し出された通信端末100Cが、第1の災害対応端末として特定されてもよい。
【0044】
第2特定部3093は、上述した第2特定部13の一例である。第2特定部3093は、通信記録に基づいて、第1の災害対応端末と通信している第2の災害対応端末を特定する。第2特定部3093は、通信端末100同士で行われる通話の記録に基づいて第2の災害対応端末を特定してもよく、複数の通信端末100で行われるグループ通話の記録に基づいて、第2の災害対応端末を特定してもよい。ここで、通話記録は、PTTサーバから取得されてもよい。図3の場合、第2特定部3093は、通信端末100Bを第2の通信端末として特定する。このように、第2特定部3093は、第1の災害対応端末と同一のグループに属し、かつ、災害現場に所在しない第2の通信端末を特定することができる。尚、通信記録は、通話記録には限られず、音声通信以外のデータ通信の記録であってもよい。
【0045】
課金部3094は、上述した課金部14の一例である。課金部3094は、複数の通信端末100の各々の間の通信に対して課金を行うためのデータ(課金データ)を作成する。ここで、課金部3094は、第1特定部3092によって特定された第1の災害対応端末からの通信に対して課金を行わないように課金データを作成する。更に、課金部3094は、第2特定部3093によって特定された第2の災害対応端末からの通信に対して課金を行わないように課金データを作成する。
【0046】
したがって、図3の場合、現場用の通信端末100A及び指令部用の通信端末100Bからの通信に対しては課金が行われず、事務用の通信端末100Cからの通信に対しては課金が行われる。このように、情報処理システム1000によると、災害対応を行っている通信端末100に対して課金を行わない制御が可能となる。
【0047】
また、管理システム307は、災害が発生すると、各通信端末100に設定された優先度を変更してもよい。図5は、情報処理システム1000の災害時における優先度の設定例を示す概略図である。図5では、警察と消防に対してレベル3の優先度が設定されている。警察と消防以外の組織の優先度は、例えば、レベル2に設定されてもよい。レベル3に設定された通信端末100からの通信は最優先され、レベル2に設定された通信端末100からの通信は帯域制限される。尚、レベル1に設定された通信端末100からの通信は、一時的に許可されない。上述の通り、通信管理や通信制御(優先制御等)は、必ずしも管理システム307で行われる必要はなく、アプリケーションサーバ305や、ネットワーク接続基盤306で行うことが可能である。
【0048】
図6は、情報処理システム1000の優先度の変化を示す概略図である。まず、通常時には、警察の優先度がレベル3に設定されており、消防の優先度はレベル2に設定されている。ここで、災害が発生すると、課金システム309は、消防の優先度をレベル3に設定する。これにより、情報処理システム1000は、災害時における警察と消防の連携を促進することができる。管理システム307は、災害対応が完了した後、優先度の設定を元に戻す。
【0049】
また、課金システム309は、災害時に、現場用の通信端末100A、指令部用の通信端末100B、及び事務用の通信端末100Cの間でクラスを変更する制御を行う。例えば、課金システム309は、災害発生時に、事務用の通信端末100Cの優先度を上げる処理を行ってもよい。これにより、情報処理システム1000は、災害現場に事務用の通信端末100Cを貸し出して、災害対応を行うことを促進できる。
【0050】
図7は、事務用の通信端末100C1及び100C2のうち、通信端末100C2が現場に貸し出された場合のブロック図を示している。このような場合、現場に貸し出された通信端末100C2は、第1の災害対応端末として特定される。一方、通信端末100C1は、非災害現場である事務所に所在しているため第1の災害対応端末として特定されず、現場と通信しない場合には第2の災害対応端末としても特定されない。したがって、図7の場合には、通信端末100C1からの通信に対しては課金が行われ、通信端末100C2からの通信に対しては課金が行われない。
【0051】
また、課金部3094は、事務用の通信端末100Cが訓練等で現場で通信する場合に課金を行わなくてもよい。このように、現場用の通信端末100A、指令部用の通信端末100B、及び事務用の通信端末100Cがそれぞれ別の用途で使用された場合、課金部3094は課金を行わなくてもよい。つまり、課金システム309は、一時的に別プランの通信端末100と通信する場合(例:事務用の通信端末100Cが指令部用の通信端末100Bと通信する場合)、課金しないようにしてもよい。
【0052】
次に、図8を用いて、情報処理システム1000の通常時の動作と緊急時(災害時)の動作について説明する。図8は、情報処理システム1000の構成例を示すブロック図である。消防用通信端末100-1は消防が運用する通信端末100であり、警察用通信端末100-2は警察が運用する通信端末100である。
【0053】
ここで、通常時は、消防用通信端末100-1は、消防が運用する他の通信端末100と通信する。また、警察用通信端末100-2は、警察が運用する他の通信端末100と通信する。つまり、通常時は、消防と警察は個別に通信し、連携は行わない。課金システム309は、消防用通信端末100-1や、警察用通信端末100-2からの通信に対して課金を行う。課金は、定額制であってもよく、段階的定額制であってもよく、従量制であってもよい。
【0054】
管理システム307は、災害が発生すると、消防用通信端末100-1と、警察用通信端末100-2との間で通信の通信を許可する。このような場合、課金システム309は、消防用通信端末100-1や、警察用通信端末100-2からの通信に対して課金を行わなくてもよい。災害時は、消防と警察は連携して通信することができる。
【0055】
課金システム309は、既に説明した通り、消防用通信端末100-1、及び警察用通信端末100-2が災害現場に所在している場合、消防用通信端末100-1、及び警察用通信端末100-2からの通信に対して課金を行わない。消防用通信端末100-1、及び警察用通信端末100-2の各々の位置は、例えば、接続している基地局(eNB201)の識別子や、GPS等の位置情報から取得される。
【0056】
最後に、実施形態2にかかる情報処理装置が奏する効果について説明する。関連する技術では、PCRFを用いてユーザごとに課金を行っていた。ここで、PCRFは、ユーザごとに課金の有無を設定することはできるが、位置情報や通信記録(例:通話記録)を考慮することはできない。したがって、関連する技術によると、災害現場にいるユーザに対して課金をしない制御を行うことは困難であるという問題があった。
【0057】
実施形態2にかかる情報処理装置は、災害現場で現場対応を行っている通信端末(第1の災害対応端末)を位置情報から特定する。また、実施形態2にかかる情報処理装置は、通信記録に基づいて、災害現場で現場対応を行っている通信端末(第1の災害対応端末)と通信している指令部用の通信端末(第2の災害対応端末)を特定する。実施形態2にかかる情報処理装置は、これらの災害対応を行っている通信端末からの通信に対して課金処理を行わない。したがって、実施形態2にかかる情報処理装置は、現場や、現場から離れた指令所等で災害対応を行っているユーザと、そうでないユーザとを識別し、課金の有無を決定することができる。
【0058】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0059】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0060】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 情報処理装置
11 取得部
12 第1特定部
13 第2特定部
14 課金部
1000 情報処理システム
100、100A、100B、100C、100C1、100C2 通信端末
100-1 消防用通信端末
100-2 警察用通信端末
110 アプリ
120 SIM
200 キャリア網
201 eNB
202 MME
203 SGW
300 LTE網
301 PGW
302 L2SW
303 L3SW
304 ネットワーク装置
305 アプリケーションサーバ
306 ネットワーク接続基盤
307 管理システム
308 システム監視制御装置
309 課金システム
3091 取得部
3092 第1特定部
3093 第2特定部
3094 課金部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8