(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】情報管理装置、情報管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/909 20190101AFI20240702BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20240702BHJP
G08G 1/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G06F16/909
G06Q50/26
G08G1/08
(21)【出願番号】P 2023525158
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2021020662
(87)【国際公開番号】W WO2022254510
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】菅原 千里
(72)【発明者】
【氏名】十文字 奈々
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 舞子
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0320492(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0233631(US,A1)
【文献】特開2017-157021(JP,A)
【文献】UNISYS 「無事故プログラムDR」サービス 利用編 詳細利用マニュアル [CD-ROM],日本ユニシス株式会社,2018年11月30日,pp.3-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 50/26
G08G 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険運転の状況を示す報告内容と、前記
危険運転の状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補
を含む位置情報と、を関連付けた報告情報
を記憶手段
に登録し、前記記憶手段に登録された前記報告情報の前記危険運転発生範囲候補を、各車両から取得される車両状態を示すセンサ情報に基づいて特定された、前記危険運転の状況の発生の位置についての範囲を示す危険運転発生範囲に更新する登録手段と、
検索対象とする検索範囲に、前記位置情報が含まれる報告情報を前記記憶手段から検索する検索処理手段と、
検索された前記報告情報に基づく情報を出力する表示処理手段と、を備える、情報管理装置。
【請求項2】
前記
登録手段は、さらに、
前記報告内容と、前記
危険運転の状況の発生の時刻についておおよその範囲を示す危険運転発生時間帯候補
を含む時刻情報
と、を関連付けた報告情報を
前記記憶手段に登録し、
前記検索処理手段は、検索対象とする検索範囲に前記位置情報及び前記時刻情報の両方が含まれる報告情報を、前記記憶手段から検索する、請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記登録手段は、さらに、前記危険運転発生時間帯候補を、各車両から取得される車両状態を示すセンサ情報に基づいて特定された、前記危険運転の状況の発生の時刻についての範囲を示す危険運転発生時間帯に更新する、請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記登録手段は、ユーザからの入力に基づいて、
前記ユーザからの報告情報を、前記記憶手段に登録
する請求項3に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記検索処理手段は、前記ユーザからの報告情報と、前記記憶手段に記憶されている前記報告情報と、において、前記位置情報及び前記時刻情報
の重複を判定し、判定された前記重複に関する情報を出力する請求項4に記載の情報管理装置。
【請求項6】
前記検索処理手段は、前記位置情報及び前記時刻情報の重複の範囲が、閾値を超えている場合に、重複していると判定
する請求項5に記載の情報管理装置。
【請求項7】
前記
登録手段は、さらに、各車両から取得される車両状態を示すセンサ情報に基づいて検知された、危険運転の種類を示す危険運転種類と、その発生範囲である前記危険運転発生範囲を示す位置情報と、その発生時間帯である前記危険運転発生時間帯を示す時刻情報と、を関連付けた危険運転情報
を前記記憶手段に登録し、
前記検索処理手段は、前記報告情報に加えて、前記危険運転情報を前記記憶手段から検索する
請求項3から6のいずれか一項に記載の情報管理装置。
【請求項8】
前記表示処理手段は、
検索された前記報告情報に基づく情報に加えて
検索された前記危険運転情報
に基づく情報を出力する、請求項7に記載の情報管理装置。
【請求項9】
コンピュータが
危険運転の状況を示す報告内容と、前記
危険運転の状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補
を含む位置情報と、を関連付けた報告情報を
登録し、登録された前記報告情報の前記危険運転発生範囲候補を、各車両から取得される車両状態を示すセンサ情報に基づいて特定された、前記危険運転の状況の発生の位置についての範囲を示す危険運転発生範囲に更新し、
検索対象とする検索範囲に、前記位置情報が含まれる報告情報を検索し、
検索された前記報告情報に基づく情報を出力する、情報管理方法。
【請求項10】
危険運転の状況を示す報告内容と、前記
危険運転の状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補
を含む位置情報と、を関連付けた報告情報を
登録し、登録された前記報告情報の前記危険運転発生範囲候補を、各車両から取得される車両状態を示すセンサ情報に基づいて特定された、前記危険運転の状況の発生の位置についての範囲を示す危険運転発生範囲に更新し、
検索対象とする検索範囲に、前記位置情報が含まれる報告情報を検索し、
検索された前記報告情報に基づく情報を出力する、ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、危険運転等の運転状況に関する報告を管理する情報管理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の運転を必要とする業務を行う事業体(例えば、運送業者、工事・建設業者、自治体、警察・消防等)では、例えば、特許文献1に示すような、ドライブレコーダ(以下、ドラレコとも記載)によって車両運転者の運転状況を管理するシステムの導入が増加している。このような事業体では、車両の危険な運転状況(以下、危険運転とも記載)に関する情報(苦情等)が住民等から報告されると、報告された位置及び日時に基づいて、当該事業体の担当者は、報告された危険運転の車両を特定し、ドラレコにより録画された運転中の画像及び加速度等のデータを確認した後、特定した車両の運転者に対して指導を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住民等から寄せられる危険運転に関する報告は、位置及び日時共に曖昧な場合が多い。このため、報告を受けた担当者は、苦情量や内容、日時などを考慮して地図上のどの位置に登録するかを、報告された危険運転に関する情報(苦情等)ごとに検討することになる。
【0005】
本開示の目的の1つは、運転状況管理において、危険運転に関する住民等からの報告を効率的に管理する情報管理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における情報管理装置は、危険な運転状況を示す報告内容と、前記危険な運転状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補、及び、前記危険運転発生範囲候補を特定した範囲を示す危険運転発生範囲の少なくともいずれかを含む位置情報と、を関連付けた報告情報を記憶する記憶手段と、検索対象とする所定の範囲を示す検索範囲に、前記位置情報が含まれる報告情報を前記記憶手段から検索する検索処理手段と、検索結果を出力する表示処理手段と、を備える。
【0007】
本開示の一態様における情報管理方法は、危険な運転状況を示す報告内容と、前記危険な運転状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補、及び、前記危険運転発生範囲候補を特定した範囲を示す危険運転発生範囲の少なくともいずれかを含む位置情報と、を関連付けた報告情報を記憶し、検索対象とする所定の範囲を示す検索範囲に、前記位置情報が含まれる報告情報を検索し、検索結果を出力する。
【0008】
本開示の一態様における記録媒体は、危険な運転状況を示す報告内容と、前記危険な運転状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補、及び、前記危険運転発生範囲候補を特定した範囲を示す危険運転発生範囲の少なくともいずれかを含む位置情報と、を関連付けた報告情報を記憶し、検索対象とする所定の範囲を示す検索範囲に、前記位置情報が含まれる報告情報を検索し、検索結果を出力する、ことをコンピュータに実行させるプログラムを格納する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の情報管理装置によれば、運転状況管理において、危険運転に関する住民等からの報告を効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態における、情報管理システムの概要を示す図である。
【
図2】第1の実施形態における、情報管理装置10の構成例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態における、センサ情報の例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態における、報告情報の例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態における、危険運転情報の例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態における、検索処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態における、位置Px付近の位置検索範囲を設定する例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態における、ある時刻検索範囲での位置Pxの位置検索範囲と位置Px付近の報告情報の例とを示す図である。
【
図9】第1の実施形態における、位置Pxの検索範囲で検索した検索結果の例を示す図である。
【
図10】第1の実施形態における、登録処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図11】第1の実施形態における、報告された位置P4の検索範囲を設定する例を示す図である。
【
図12】第1の実施形態における、時刻検索範囲での位置P4の位置検索範囲及び位置P4付近の既存の報告情報の例を示す図である。
【
図13】第1の実施形態における、位置P4の報告を登録した報告情報の例を示す図である。
【
図14】第1の実施形態における、更新処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図15】第1の実施形態における、更新前後の位置P1の報告情報の位置情報及び時刻情報を示す図である。
【
図16】第1の実施形態における、登録処理の動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図17】第1の実施形態における、位置P5の検索範囲と報告情報との例を示す図である。
【
図18】第1の実施形態における、位置P5の報告を登録した報告情報の例を示す図である。
【
図19】第1の実施形態における、検索処理の動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図20】第1の実施形態における、位置Pxの検索範囲を設定する例を示す図である。
【
図21】第1の実施形態における、位置Pxの検索範囲と、既存の報告情報及び危険運転情報の位置の例を示す図である。
【
図22】第1の実施形態における、既存の報告情報と危険運転情報を検索した検索結果の例を示す図である。
【
図23】第2の実施形態おける、情報管理装置11の構成の例を示すブロック図である。
【
図24】コンピュータのハードウエア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態に係る情報管理装置を危険運転管理に適用した例を用いて説明する。以下に説明する情報管理装置は、危険運転に対する住民等からのクレームを、報告内容と位置情報及び時刻情報との項目を含む報告情報として管理する。このとき、報告された危険運転の位置情報の一部は、危険運転を目撃または危険運転に遭遇したおおよその位置を示す危険運転発生範囲候補を用いて登録される。また、報告された危険運転の時刻情報の一部は、危険運転を目撃または危険運転に遭遇したおおよその時刻を示す危険運転発生時間帯候補を用いて登録される。
【0012】
また、情報管理装置は、危険運転発生範囲候補を含む位置情報、及び、危険運転発生時間帯候補を含む時刻情報を検索可能とし、さらに、当該危険運転発生範囲候補及び危険運転発生時間帯候補を指定して報告情報を検索可能とする。担当者による車両運転中の画像や加速度の確認等により危険運転の位置または範囲、及び時刻または時間帯が特定された場合、情報管理装置は、報告情報の位置情報及び時刻情報を更新可能とする。例えば、情報管理装置は、危険運転についておおよその発生範囲を示す危険運転発生範囲候補及び危険運転発生時間帯候補を、危険運転の発生について特定された範囲を示す危険運転発生範囲、及び、危険運転の発生について特定された時間帯を示す危険運転発生時間帯に更新する。
【0013】
なお、本実施形態では、位置情報及び時刻情報の両方を用いて情報管理装置を説明するが、それに限らず、位置情報のみを用いる情報管理装置であってもよい。
【0014】
[第1の実施形態]
第1の実施形態の情報管理システムについて、図面を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態における、情報管理システムの概要を示す図である。情報管理システムにおいて、情報管理装置10は、表示装置20、危険運転検知装置30と接続される。表示装置20は、情報管理装置10から出力された情報を表示する。表示装置20は、例えば、液晶モニタである。
【0015】
危険運転検知装置30は、センサ情報に基づき、車両の運転状況を判定し、危険運転を検知する装置である。センサ情報には、例えば、車両の種類、ナンバー、及び運転者等を示す車両情報や、車両に搭載したドライブレコーダで撮影した画像情報、加速度センサで取得した加速度情報、速度センサで取得した速度情報、GPS(Global Positioning System)等の位置センサで取得した位置情報がある。センサ情報は、さらに、画像情報、加速度情報、速度情報、及び、位置情報を取得した時刻情報が含まれる。危険運転検知装置30は、既知の画像解析技術を用いて画像情報を解析したり、速度情報や加速度情報を解析したりして、危険運転を検知する。
【0016】
危険運転検知装置30は、例えば、画像情報と加速度情報とから、信号無視や、一旦停止無視、ふらつき運転、あおり運転、急ブレーキ等の危険運転、無理な割込みや横断歩道停止無視等のマナーを欠く運転等を検知する。本実施形態では、住民等から苦情を受けやすい、マナーを欠く運転が危険運転に含まれる。
【0017】
また、危険運転検知装置30は、検知した危険運転を、車両情報、運転者情報、位置情報、及び、時刻情報と関連付けて、情報管理装置10に出力する。
【0018】
また、情報管理装置10は、ネットワーク50を介して通信端末40と通信可能に接続される。通信端末40は、危険運転の報告の際に住民等が使用する通信端末である。通信端末40は、例えば、スマートフォンである。本実施形態では、住民等が試用する通信端末を1台としているが、それに限らず、2台以上の複数台でも構わない。
【0019】
なお、情報管理装置10は、クライアントサーバ型のシステムであってもよい。その場合、サーバがクラウドであってもよい。また、表示装置20は、クライアント端末(図示せず)に接続される。クライアント端末がネットワーク50を介して情報管理装置10にアクセスする。
【0020】
(情報管理装置10)
以下、情報管理装置10について図面を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態における、情報管理装置10の構成例を示すブロック図である。
図2に示す情報管理装置10は、検索処理部101、登録処理部102、表示処理部103、報告情報記憶部104、危険運転情報記憶部105、及び、センサ情報記憶部106を備える。情報管理装置10は、ネットワーク50に接続する通信部(図示せず)を有する。
【0021】
ここで、センサ情報について図面を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態における、センサ情報の例を示す図である。このセンサ情報の例では、ある1日のセンサ情報を示している。車両状態を示すセンサ情報は、車両情報、運転者情報、加速度情報、速度情報、画像情報、及び、時刻情報が関連付けて記憶される。センサ情報は、
図3に示す項目に限られず、他の項目が含まれていてもよい。車両情報は、例えば、普通車やトラック等を示す車両種類と、車両のナンバーである。また、運転者情報は、この日に乗車した車両を示す車両情報、運転者の氏名または所属する事業体のID(IDentification)が関連付けられている。また、氏名やIDには、過去の走行履歴(例えば、真面目に走行しているのか、事故や危険運転履歴などが無いか)や年齢、性別、経歴、顔写真など詳細情報が関連付けられてもよい。
【0022】
(検索処理部101)
検索処理部101は、検索範囲を示す情報を受付け、報告情報記憶部104に記憶された報告情報から、受付けた検索範囲の位置情報、及び、時刻情報に関連する報告情報を検索する。報告情報は、報告内容、位置情報、及び、時刻情報が関連付けられた報告情報を記憶する。また、検索処理部101は、時刻情報が示す時間帯における、検索位置に位置情報が含まれる報告情報を報告情報記憶部104から検索してもよい。なお、検索位置は、報告を受付けた際に住民等が示したおおまかな位置である。
【0023】
検索範囲は、検索処理部101が検索対象とする範囲である。検索範囲には、位置検索範囲、及び、時刻検索範囲が含まれる。位置検索範囲は、おおまかな範囲(領域)の位置情報である。検索範囲における位置情報は、例えば、円や矩形で領域が指定され、円や矩形の大きさは任意に設定可能である。また、時刻検索範囲は、おおまかな範囲(時間帯)の時刻情報である。検索範囲における時刻情報は、開始時刻及び終了時刻で時間帯が指定され、時間帯の長さは任意に設定可能である。
【0024】
また、検索処理部101は、危険運転情報記憶部105に記憶された危険運転情報を検索対象として、受付けた検索範囲の位置情報及び時刻情報に関連する危険運転情報を検索してもよい。危険運転情報については、
図5を参照しながら後述する。
【0025】
(登録処理部102)
登録処理部102は、ユーザからの入力に基づいて、報告情報を報告情報記憶部104に登録する。具体的には、登録処理部102は、ユーザである住民等からの危険運転の報告を示す報告内容を、位置情報及び時刻情報と関連付けたユーザ報告情報を生成し、報告情報記憶部104に報告情報として登録する。
【0026】
報告内容と関連付けられる位置情報、及び、時刻情報は、住民等の報告に基づく危険運転の目撃または危険運転に遭遇した位置(以下、危険運転位置とも記載)、及び、時刻(以下、危険運転時刻とも記載)の大まかな範囲を示す。その範囲を、危険運転発生範囲候補、及び、危険運転発生時間帯候補と称する。
【0027】
危険運転発生範囲候補は、例えば、住民等から報告された危険運転位置に対応するおおまかな位置から所定距離まで離れた範囲で示される。危険運転発生範囲候補は、例えば、おおまかな位置P0から半径100mの範囲を示す。なお、所定距離は100mに限られない。例えば、住民等から報告された危険運転位置の詳しさに応じて所定距離は任意に設定可能であるとする。
【0028】
登録処理部102は、登録前の報告情報(ユーザ報告情報)が、既存の報告情報と重複していないことを検索してから登録してもよい。すなわち、登録処理部102は、ユーザ報告情報が、既存の報告情報とは異なる場合に、ユーザ報告情報を報告情報記憶部104に登録してもよい。例えば、登録処理部102は、登録のために生成したユーザ報告情報に含まれる、位置情報及び時刻情報を、検索処理部101に送り、検索範囲として検索する。なお、ユーザは、例えば、管理者、担当者、または住民等である。
【0029】
また、登録処理部102は、センサ情報に基づき、危険運転発生範囲候補をさらに絞り込んだ危険運転発生範囲に更新し、危険運転発生時間帯候補をさらに絞り込んだ危険運転発生時間帯に更新する。登録処理部102は、センサ情報を確認した担当者の指示により、危険運転発生範囲候補を危険運転発生範囲に更新し、危険運転発生時間帯候補を危険運発生時間帯に更新してもよい。なお、危険運転発生範囲は、絞り込んだ結果として特定の位置となる場合がある。特定の位置となる場合は、例えば、停止線無視、急ブレーキ、確認不足による飛び出し等、危険運転が発生した場所(位置)が特定できるような場合が挙げられる。危険運転発生時間帯の場合も同様に、危険運転が発生した時刻が特定できる場合がある。
【0030】
(表示処理部103)
表示処理部103は、検索処理部101または登録処理部102からの各種情報の出力指示を受け、各種情報を出力する。例えば、表示処理部103は、表示装置20に、地図と、検索範囲のうち位置検索範囲と、を重畳して表示出力する。また、表示処理部103は、時刻検索範囲も、表示装置20に、地図と一緒に表示出力する。
【0031】
位置検索範囲は、その大きさ(例えば、半径)と位置が変更可能であってもよい。例えば、位置検索範囲は、クリックする度に半径が変わるなど、管理者に対して直感的に範囲の選択が可能であってもよい。なお、直観的に範囲変更できる操作方法の具体例は、例えば、ドラッグ(マウス)や、フリック((スマホ/タブレットなど)において、半径範囲変更や形状変化させる方式が挙げられるが、これには限られない。範囲の形状は、円や、楕円、矩形だけでなく、任意の形状であってもよい。
【0032】
時刻検索範囲は、日付、及び、時間帯が入力可能とする。例えば、時刻検索範囲は、日付を入力して、時刻を入力すると、当該時刻の前後1時間の時間帯となるように設定されてもよい。時刻検索範囲は、日付だけの入力でも検索可能とする。
【0033】
表示処理部103は、設定した位置検索範囲、及び、時刻検索範囲の情報(例えば、後述する
図7の地図上に設定した位置Pxの位置情報、及び、時刻情報)を検索処理部101に送信する。
【0034】
(報告情報記憶部104)
報告情報記憶部104は、住民等からの危険運転の報告を示す報告情報を記憶する。
図4は、第1の実施形態における、報告情報の例を示す図である。この報告情報の例では、報告ID、報告内容、位置情報、及び、時刻情報が関連付けて記憶される。報告IDは報告情報の識別子である。報告内容は、住民等から報告された危険運転に関する内容である。報告内容は、例えば、危険運転種類、車両種類、及び、ナンバーを含む。危険運転種類は、例えば、ふらつき運転(飲酒、居眠り、ながら運転の疑い)、スピード超過、あおり運転、停止線無視、飛び出し(確認不足)、急ブレーキ(わき見、確認不足)、横断歩道停止無視等がある。報告情報は、
図4に示す項目に限られず、他の項目が含まれていてもよい。
図4の報告内容の例では、危険運転種類、車両種類、及び、ナンバーの項目に情報が記載されているが、項目の全てに情報が記載されている必要はない。報告情報は、報告内容の項目のうち、住民等から得られた情報の項目を用いて、生成されてもよい。
【0035】
(危険運転情報記憶部105)
危険運転情報記憶部105は、危険運転検知装置30により各車両のセンサ情報に基づいて検知された危険運転に関する危険運転情報を記憶する。
図5は、第1の実施形態における、危険運転情報の例を示す図である。この危険運転情報の例では、危険運転ID、車両情報、運転者情報、危険運転種類、位置情報、及び、時刻情報が関連付けて記憶される。危険運転IDは危険運転情報の識別子である。危険運転種類は、危険運転検知装置30がセンサ情報に基づいて検知した危険運転の種類である。
【0036】
図5の危険運転情報の例では、車両情報「C3」、運転者情報「D3」において、位置情報「P6」、時刻情報「T6」で危険運転種類「飛び出し」が検知されたことを示している。この場合、危険運転種類が「飛び出し」なので、位置情報「P6」は、飛び出しが発生した位置(危険運転発生範囲)であり、時刻情報「T6」は、当該危険運転が発生した時刻(危険運転発生時間帯)である。
【0037】
(センサ情報記憶部106)
センサ情報記憶部106は、各車両から送信されたセンサ情報を記憶する。センサ情報は、例えば、各車両から情報管理装置10に送信されてもよい。センサ情報記憶部106は、例えば、
図3に示すセンサ情報を、日付別で記憶する。センサ情報は、日付別に限らず、例えば、車両別や運転者別で記憶されてもよい。
【0038】
(動作)
第1の実施形態に係る情報管理装置10の動作について図面を用いて説明する。情報管理装置10の動作には、検索処理、登録処理、更新処理がある。
【0039】
<検索処理>
情報管理装置10の検索処理について説明する。検索処理は、住民等の報告に基づき、情報管理装置10に登録された報告情報を検索する処理である。以下の検索処理は、例えば、住民等からの危険運転の報告が、情報管理装置10の既存の報告と重複するか否かを確認する例である。
【0040】
図6は、第1の実施形態における、検索処理の動作の例を示すフローチャートである。はじめに、担当者(ユーザ)は、住民等から電話で「日付Dの時刻Tくらいに位置Px付近で、事業体の車両による急ブレーキ(危険運転)を目撃した」との報告を受け、情報管理装置10におおまかな位置Pxの情報を入力して、表示装置20におおまかな位置Pxを含む地図を表示出力させる。
【0041】
表示処理部103は、担当者からの入力に基づき、日付Dにおける時刻Tを含む時間帯の時刻検索範囲と、地図上の位置Pxの位置検索範囲と、を設定する(ステップS11)。
図7は、第1の実施形態における、位置Px付近の位置検索範囲を設定する例を示す図である。
図7の地図表示1000に示すように、位置検索範囲は、例えば、地図上に重畳表示された位置Pxを中心とする範囲を、マウス等で調整することで設定される。また、時刻検索範囲は、例えば、地図の下に表示されている日付及び時間帯のテキストボックスに、日付及び時間帯を入力することで設定される。ここでは、日付を「yyyy/mm/dd」、時間帯を「Tx±1.0h」とする。
【0042】
表示処理部103は、表示する地図の縮尺を考慮した位置Pxを中心とする円の範囲(位置検索範囲)と、日付や時間帯の範囲(時刻検索範囲)と、に基づき、検索範囲の情報を抽出する。なお、検索範囲の設定は例示であり、これに限られない。例えば、時刻検索範囲は、日付だけを入力するようにしてもよい。そして、この場合、検索結果が多ければ、さらに時間帯を入力して検索結果を限定するようにしてもよい。
【0043】
検索範囲の設定の際、地図上の位置Pxを中心とする位置検索範囲の半径は、住民等からの報告の詳しさに応じて担当者が適宜調整する。例えば、住民等からの報告が詳しい位置を含む場合は半径を50mとし、詳しくない場合は半径を100mとする。なお、半径の基準は例示であり、これに限られない。また、位置検索範囲の形状も特に限定されない。
【0044】
図6に戻り、表示処理部103は、設定された検索範囲の情報を検索処理部101に送信する。検索処理部101は、表示処理部103からの検索範囲を受付ける。検索処理部101は、報告情報記憶部104に記憶された報告情報を参照し、受付けた検索範囲と合致する位置情報及び時刻情報が含まれる報告情報を検索する(ステップS12)。ここで、合致するとは、検索範囲と、位置情報及び時刻情報とが一致する場合や、一部が重複する場合も含む。
【0045】
図8は、第1の実施形態における、ある時刻検索範囲の、位置Pxの位置検索範囲と、位置Px付近の報告情報の例とを示す図である。
図8に示す地図表示1010は、時刻検索範囲が日付「yyyy/mm/dd」の時間帯「Tx±1.0h」における、位置Pxの位置検索範囲及び時刻検索範囲と、位置Px付近の報告IDが「#101」の位置P1、「#103」の位置P3の危険運転発生範囲候補と、「#102」の位置P2の危険運転発生範囲とを示す。本実施形態では、各報告情報が検索範囲内であれば黒丸(●)で示し、検索範囲外であれば白丸(○)で示す。ここで、検索範囲内とは、各報告情報が検索範囲と重複することである。また、検索範囲外とは、各報告情報が検索範囲と重複しないことである。
【0046】
図8の地図表示1010において、時刻検索範囲が日付「yyyy/mm/dd」の時間帯「Tx±1.0h」における、位置Pxの位置検索範囲に含まれるのは、報告ID「#101」の位置P1の危険運転発生範囲候補と報告ID「#102」の位置P2の危険運転発生範囲となる。なお、
図8に示す既存の報告は、
図4に示した報告情報の例を用いている。
【0047】
検索処理部101は、検索結果を表示処理部103に送信する。表示処理部103は、検索結果を出力する(ステップS13)。
図9は、第1の実施形態における、位置Pxの検索範囲で検索した検索結果の例を示す図である。
図9に示す検索結果の例は、地図表示1020と検索結果のデータ1030である。
図9のような検索結果の表示において、検索結果を所定の条件で順位付けしたり、フィルタリングしたりしてもよい。所定の条件は、例えば、報告内容、検索位置(検索範囲の中心位置)からの距離などである。
【0048】
上述の検索処理では、検索結果として、住民等からの危険運転の報告(位置Px付近)に基づいて、担当者によって設定された検索範囲(位置Px+100m)に対して、既存の報告情報の報告ID「#101」と報告ID「#102」が出力される。
【0049】
<登録処理>
情報管理装置10の登録処理について説明する。登録処理は、受付けた報告に基づき、報告情報記憶部104に、ユーザ報告情報を登録する。以下の登録処理は、住民等者からの危険運転の報告と既存の報告との重複を確認してから登録する例である。
【0050】
図10は、第1の実施形態における、登録処理の動作の例を示すフローチャートである。担当者は、住民等から電話で「位置P4付近で、時刻T4頃に、ふらつき運転の車両を目撃した」との報告を受け、情報管理装置10に位置P4及び時刻T4の情報を入力して、表示装置20に位置P4を含む地図と、時刻T4を含む時間帯を表示させる。
【0051】
表示処理部103は、担当者からの入力に基づき、地図上の位置P4の検索範囲を設定する(ステップS21)。
図11は、第1の実施形態における、報告された位置P4の検索範囲を設定する例を示す図である。検索範囲のうち位置検索範囲は、例えば、地図上に重畳表示された位置P4の位置検索範囲を、マウス等で調整することで設定される。時刻検索範囲は、例えば、日付及び時間帯を入力することで設定される。また、時刻検索範囲は、日付のみで設定されてもよい。ここで、
図11に示すように、位置検索範囲は、位置P4を中心とする半径100mで、時刻検索範囲は、時刻T4を中心として前後1時間(±1.0h)とする。
【0052】
図10に戻り、表示処理部103は、設定された検索範囲の情報を検索処理部101に送り、検索処理部101は、表示処理部103からの検索範囲を受付ける。検索処理部101は、報告情報記憶部104の報告情報を参照し、受付けた検索範囲に位置情報及び時刻情報が含まれる報告情報を検索する(ステップS22)。
【0053】
検索処理部101は、検索結果を登録処理部102と表示処理部103とに渡す。表示処理部103は、既存の報告情報との重複確認のために検索結果を表示出力する(ステップS23)。
【0054】
図12は、第1の実施形態における、時刻検索範囲における、位置P4の位置検索範囲及び位置P4付近の既存の報告情報の例を示す図である。
図12に示す地図表示2010は、位置P4の時刻検索範囲である、日付「yyyy/mm/dd」の時間帯T4±1.0hにおける、位置P4の位置検索範囲と、位置P4付近で報告されている、報告IDが「#101」の位置P1、「#103」の位置P3の危険運転発生範囲候補と、「#102」の位置P2の危険運転発生範囲とを示す。
図12では、報告ID「#101」、「#102」、「#103」が、時刻検索範囲T4±1.0hに含まれるが、位置P4の位置検索範囲内に含まれていないため、位置P1、位置P2、及び、位置P3は、検索範囲外であることを示す白丸で表示されている。そのため、地図表示2010において、位置P4の検索範囲に含まれる既存の報告情報の位置情報及び時刻情報はない。
【0055】
検索範囲に既存の報告の位置情報及び時刻情報が重複しない場合(ステップS24のNo)、登録処理部102は、報告IDを生成し、位置検索範囲を危険運転発生範囲候補とし、時刻検索範囲を危険運転発生時間帯候補として、報告情報記憶部104に、生成した報告ID及び受付けた報告の報告内容と、位置情報(危険運転発生範囲候補)及び時刻情報(危険運転発生時間帯候補)と、を関連付けて登録する(ステップS25)。
【0056】
図13は、第1の実施形態における、位置P4の報告を登録した報告情報の例を示す図である。
図13の報告情報のデータ2100に示すように、報告情報記憶部104には新たに報告ID「#104」、報告内容「ふらつき運転」、位置情報「P4+100m(危険運転発生範囲候補)」、及び、時刻情報「T4±1.0h(危険運転発生時間帯候補)」が登録される。
【0057】
図13の地図表示2020において、重畳表示される報告情報には、既存の報告ID「#101」の位置P1、報告ID「#102」の位置P2、報告ID「#103」の位置P3に加え、報告ID「#104」の位置P4の危険運転発生範囲候補及び危険運転発生時間帯候補が追加される。
【0058】
一方、検索範囲に既存の報告の位置情報及び時刻情報が重複する場合(ステップS24のYes)、登録処理部102は、受付けた報告を登録しない(ステップS26)。このとき、登録処理部102は、表示処理部103に、重複する報告情報を送り、表示処理部103が、地図上に重畳表示してもよい。これにより、担当者は、検索で重複する報告を確認することで、ある場所の近くで報告された危険運転について、多数の報告情報を管理する必要がなく、管理の負担が軽減される。
【0059】
なお、検索範囲と、報告情報の位置情報及び時刻情報とが少しでも重複した場合に、検索処理部101は、重複していると判定してもよい。しかしながら、検索処理部101が行う判定は、それに限られない。検索範囲と、報告情報の位置情報及び時刻情報との重複は、重複の範囲が所定の閾値を超えた場合に、検索処理部101は、重複していると判定してもよい。例えば、閾値が80%の設定とすると、位置検索範囲と報告情報の位置情報との重なりが80%を超え、時刻検索範囲と報告情報の時刻情報との重なりが80%を超える報告情報が、検索処理部101によって重複していると判定される。また、位置検索範囲と、時刻検索範囲とにおいて、異なる閾値が設定されてもよい。例えば、位置検索範囲の閾値が80%に設定され、時刻検索範囲の閾値が50%に設定されてもよい。
【0060】
上述の登録処理では、住民等からの危険運転の報告と、既存の報告との重複を確認してから登録する例を示した。他に、登録処理部102は、既存の報告との重複を確認せずに住民等から報告された危険運転の報告情報を生成して登録する場合があってもよい。また他に、例えば、登録処理部102は、重複を確認してから、確認結果を担当者に提示し、担当者から、登録するか否かの最終判断を受け付けてもよい。
【0061】
なお、報告情報の危険運転発生範囲候補、及び、危険運転発生時間帯候補は、センサ情報の解析または確認作業等により、危険運転の発生範囲及び時間帯が特定されると、後述する更新処理によって、危険運転発生範囲、及び、危険運転発生時間帯に更新される。
【0062】
<更新処理>
情報管理装置10の更新処理について説明する。更新処理は、センサ情報(画像情報及び加速度情報)に基づいて、報告情報の位置情報(危険運転発生範囲候補)、及び、時刻情報(危険運転発生時間帯候補)を更新する処理である。
【0063】
住民等からの報告に基づいて報告情報が登録されると、任意のタイミングで、当該報告情報に含まれる、報告内容、位置情報、及び、時刻情報に基づいて、センサ情報から危険運転時の各種情報(画像及び加速度)が解析される。そして、危険運転が発生した位置情報及び時刻情報によって、報告情報の位置情報(危険運転発生範囲候補)、及び、時刻情報(危険運転発生時間帯候補)が更新される。また、各種情報の解析に代えて、担当者がセンサ情報の画像を確認することで、危険運転を検知してもよい。
【0064】
図14は、第1の実施形態における、更新処理の動作の例を示すフローチャートである。登録処理部102は、更新する報告情報(報告内容、位置情報、及び、時刻情報)を取得する(ステップS31)。登録処理部102は、取得した報告情報を検索処理部101に送り、検索処理部101は、登録処理部102からの報告情報を受付ける。検索処理部101は、報告情報に含まれる位置情報、及び、時刻情報に基づいて、センサ情報(画像情報、加速度情報、速度情報)を検索する(ステップS32)。なお、ステップS32の処理では、センサ情報に代えて、予め危険運転を解析した結果である危険運転情報を検索するようにしてもよく、また、センサ情報及び危険運転情報の両方を検索するようにしてもよい。センサ情報条件に合致する検索結果が得られた場合(ステップS33のYes)、検索処理部101は、危険運転検知装置30に検索結果を送り、危険運転検知装置30は、検索処理部101からの検索結果を受付ける。
【0065】
危険運転検知装置30は、検索結果のセンサ情報を解析する(ステップS34)。危険運転検知装置30は、画像情報、加速度情報、及び速度情報に基づいて、危険運転種類を検知したり、検知した危険運転が行われた位置情報及び時刻情報を特定したりする。危険運転検知装置30は、危険運転種類の検知結果や、特定した位置情報及び時刻情報を、解析結果として、表示処理部103に送り、表示処理部103は、検索結果を出力する(ステップS35)。
【0066】
図15は、第1の実施形態における、更新前後の位置P1の報告情報の位置情報及び時刻情報を示す図である。地図表示3000では、更新前の報告ID「#101」の位置P1の位置情報である危険運転発生範囲候補、及び、時刻情報である危険運転発生時間帯候補と、更新後の位置情報である危険運転発生範囲、及び、時刻情報である危険運転発生時間帯とが表示されている。
【0067】
表示3100は、危険運転検知装置30による解析結果のデータである。解析結果は、報告ID「#101」について、危険運転種類が「スピード超過」、スピード超過であった危険運転発生範囲が「P1’を中心として半径30m(P1’+30m)」、スピード超過であった危険運転発生時間帯が「T1±1.0m」である。
【0068】
登録処理部102は、報告情報である報告ID「#101」の位置P1の危険運転発生範囲候補、及び、危険運転発生時間帯候補を、解析結果の位置情報である位置P1’を中心とする危険運転発生範囲、及び、解析結果の位置情報である危険運転発生時間帯で、更新する(ステップS36)。本実施形態では、登録処理部102が報告情報を更新したが、これに限らない。例えば、担当者が、表示された解析結果を確認して、解析結果で報告情報を更新するか選択するようにしてもよい。この場合、担当者により更新の選択が入力され、登録処理部102が選択入力を受け付けると、登録処理部102は、報告情報を更新する。
【0069】
条件に合致する検索結果が得られなかった場合(ステップS33のNo)、検索処理部101は、登録処理部102は、更新する報告情報に、「該当運転なし」とするフラグを付加する(ステップS36)。これは、住民等からの危険運転に関する報告に誤りの可能性、例えば、異なる事業体の車両の危険運転であった場合や、報告の位置や時刻の勘違い等があると考えられるためである。このように、住民等からの危険運転に関する報告に誤りの可能性がある報告情報にフラグを付加することにより、担当者は、住民等から報告を無視することなく、管理することができる。フラグの付加としては、例えば、報告情報にフラグ項目を設け、当該フラグ項目にチェックを入れたり、報告IDを、検索結果がなかったことを示す特定の番号に変更したりしてもよい。
【0070】
本実施形態の更新処理では、危険運転発生範囲候補、及び、危険運転発生時間帯候補を、危険運転発生範囲、及び、危険運転発生時間帯で上書きして更新したが、これに限られない。登録処理部102は、危険運転発生範囲候補、及び、危険運転発生時間帯候補に加えて、危険運転発生範囲、及び、危険運転発生時間帯を、報告情報、つまり報告情報記憶部104に記憶させることで、更新処理を行ってもよい。例えば、
図4の例において、報告IDや報告内容等に関連づけられた位置情報として、危険運転発生範囲候補に加えて危険運転発生範囲を時刻情報として、危険運転発生時間帯候補に加えて危険運転発生時間帯が、報告情報記憶部104に記憶されてもよい。
【0071】
<他の登録処理>
情報管理装置10の他の登録処理について説明する。以下の登録処理は、住民等(ユーザ)が通信端末40を用いて、報告情報記憶部104に危険運転の報告情報を登録する処理である。
【0072】
図16は、第1の実施形態における、登録処理の動作の他の例を示すフローチャートである。住民等は、危険運転を目撃または危険運転に遭遇すると、通信端末40のアプリケーションを実行し、情報管理装置10と通信可能に接続する。アプリケーションは、例えば、ブラウザアプリでもよい。以下、住民等から報告された危険運転が「時刻T5頃の位置P5付近でスピード超過」として説明する。
【0073】
情報管理装置10は、住民等が操作する通信端末40から、報告内容、報告位置、及び、報告時刻を受付ける(ステップS41)。情報管理装置10の表示処理部103は、報告位置P5を含む地図の情報を通信端末に送信し、地図の情報と、位置P5の検索範囲を表示させる。住民等は通信端末40の画面で位置P5の検索範囲を調整し、通信端末40から報告位置及び報告時刻に基づく位置P5の検索範囲を情報管理装置10に送信する。
【0074】
情報管理装置10の表示処理部103は、報告位置及び報告時刻に基づく検索範囲の情報を検索処理部101に送り、検索処理部101は、表示処理部103からの検索範囲を受付ける。検索処理部101は、報告情報記憶部104の報告情報を参照し、受付けた検索範囲に位置情報及び時刻情報が含まれる報告情報を検索する(ステップS42)。
【0075】
検索処理部101は、検索結果を登録処理部102と表示処理部103に渡す。表示処理部103は、住民等に対して、報告情報との重複確認のために検索結果を出力する(ステップS43)。
【0076】
報告情報との重複がない場合(ステップ44のNo)、登録処理部102は、受付けた位置P5の報告内容、報告位置の位置情報、及び、報告時刻の時刻情報が関連付けされた報告情報を報告情報記憶部104に記憶させる(ステップS45)。ここでは、登録処理部102は、例えば、位置情報として、位置P5を中心とする半径100mを危険運転範囲候補とし、時刻情報として、時刻T5の前後30分の危険運転時間帯候補とする。
【0077】
住民等から受け付けた報告情報と、報告情報記憶部104の報告情報とに、重複がある場合(ステップ44のYes)、登録処理部102は、表示処理部103に指示して、住民等から受け付けた報告情報と、報告情報の検索結果を出力し、住民等の通信端末40に表示させる。
【0078】
図17は、第1の実施形態における、位置P5の検索範囲と報告情報との例を示す図である。
図17に示す地図表示4000は、位置P5の検索範囲の時刻検索範囲に合致する、位置P5付近の報告情報である、報告ID「#103」の位置P3、報告ID「#104」の位置P4を示している。登録処理部102は、表示処理部103に指示して、住民等から受け付けた報告情報のデータ4100と、報告情報の検索結果であるデータ4200を出力し、住民等の通信端末40に表示させる。
【0079】
さらに、登録処理部102は、表示処理部103に指示し、報告された位置P5を「登録する」又は「登録不要」を選択する登録確認を、住民等の通信端末40に表示させる。これにより、危険運転を報告した住民等は、通信端末40に表示されている、報告した危険運転の情報と、検索結果の報告情報と、を比較して、重複していると判断すれば、「登録不要」を選択し、重複していないと判断すれば、「登録する」を選択することができる。
【0080】
通信端末40からの選択入力が「登録不要」の場合(ステップS46のNo)、登録処理部102は、住民等からの報告を登録せずに、登録処理を終了する(ステップS47)。
【0081】
選択入力が「登録する」の場合(ステップS46のYes)、登録処理部102は、報告IDを生成し、受付けた位置P5の報告内容、報告位置の位置情報、及び、報告時刻の時刻情報が関連付けされた報告情報を報告情報記憶部104に記憶させる(ステップS45)。
図17の場合、住民等は、位置P5の危険運転に関する報告が、まだ登録されていないと判断して、通信端末40に表示された「登録する」を選択する。
【0082】
図18は、第1の実施形態における、位置P5の報告を登録した報告情報の例を示す図である。
図18の報告情報のデータ4300に示すように、報告情報記憶部104には新たに報告ID「#105」、報告内容「スピード超過」、位置情報「P5+100m(危険運転発生範囲候補)」、及び、時刻情報「T5±1.0h」が登録される。
【0083】
図18の地図表示4010において、既存の報告ID「#103」の位置P3、報告ID「#104」の位置P4に加え、報告ID「#105」の位置P5が追加される。
【0084】
<危険運転情報を含む検索処理>
情報管理装置10の検索処理の他の例について説明する。以下の検索処理は、住民等の報告に基づき、情報管理装置10に登録された報告情報と危険運転情報とを検索する例である。
【0085】
図19は、第1の実施形態における、検索処理の動作の他の例を示すフローチャートである。住民等からの危険運転の報告は「時刻Tx、位置Px付近で飛び出しにより接触しそうになった」であるとして説明する。
【0086】
情報管理装置10の表示処理部103は、担当者(ユーザ)からの入力に基づき、地図上の位置Pxの位置検索範囲、及び、時刻検索範囲を設定する。
図20は、第1の実施形態における、位置Pxの検索範囲を設定する例を示す図である。
図20の地図表示5000に示すように、検索範囲のうち位置検索範囲は、地図上に重畳表示された位置Pxの範囲を、マウス等で調整することで設定される。また、時刻検索範囲は、日付と時間帯とを入力することで設定される。
【0087】
図19に戻り、表示処理部103は、設定された検索範囲の情報を検索処理部101に送り、検索処理部101は、表示処理部103からの検索範囲を受付ける(ステップS51)。検索処理部101は、報告情報記憶部104の報告情報および危険運転情報記憶部105の危険運転情報を参照し、受付けた検索範囲に、位置情報及び時刻情報が含まれる報告情報を検索する(ステップS52)。
【0088】
図21は、第1の実施形態における、位置Pxの検索範囲と、既存の報告情報及び危険運転情報の位置の例を示す図である。
図21に示す地図表示5010は、時刻検索範囲がTx±1.0hにおける、位置Pxの位置検索範囲と、位置Px付近の報告情報及び危険運転情報とを示している。この例では、報告情報は、報告IDが「#103」の位置P3、「#104」の位置P4、「#105」の位置P5であり、危険運転情報は、危険運転IDが「#201」の位置P6である。ここでは、
図5に示した危険運転情報の例を用いている。
【0089】
図19に戻り、検索処理部101は、検索結果を表示処理部103に送り、表示処理部103は、検索結果を出力する(ステップS53)。
図22は、第1の実施形態における、既存の報告情報と危険運転情報を検索した検索結果の例を示す図である。検索結果5100は、報告情報記憶部104の報告情報を検索した結果である。検索結果5200は、危険運転情報記憶部105の危険運転情報を検索した結果である。地図表示5020は、時刻検索範囲がTx±1.0hにおいて、住民等が危険運転を報告した位置Pxの位置検索範囲で検索した、報告情報と危険運転情報とを表す。
図22の地図表示5020において、位置Pxの検索範囲に含まれるのは、報告ID「#104」の位置P4及び「#105」の位置P5の報告情報と、「#106」の位置P6の危険運転情報となる。なお、
図22では、検索範囲に合致する報告情報及び危険運転情報を、黒丸(●)で表し、合致しないものを白丸(○)で表している。
【0090】
図22のような検索結果の表示において、検索結果を所定の条件で順位付けしたり、フィルタリングしたりしてもよい。所定の条件は、例えば、報告日時、報告内容(危険運転種類)、検索位置(検索範囲の中心位置)からの距離などである。
【0091】
危険運転情報を含む検索処理により、住民等からの報告情報に加えて、センサ情報に基づいて検知された危険運転情報を表示することで、検索結果がどの情報に該当するか等の比較を容易に行うことができる。
【0092】
なお、本実施形態では、検索範囲として、位置検索範囲と、時刻検索範囲と、を用いて、報告情報、及び、危険運転情報を検索したが、検索範囲はこれに限られない。検索範囲は、危険運転の種類や車両に関する情報(以下、車両検索範囲とも記載)を含んでもよい。検索処理部101は、危険運転種類や車両情報が検査範囲に含まれていれば、これらを用いて、報告情報、及び、危険運転情報を検索してもよい。検索処理部101は、例えば、住民等から、危険運転種類や、車両種類及びナンバー等の車両情報が報告されていれば、車両検索範囲を検索範囲に含めるようにしてもよい。
【0093】
さらに、住民等により危険運転に関する報告を登録する場合(上述した他の登録処理)、住民等が、報告内容、報告位置、報告時刻に加えて、例えば、運転する車両に設置されたドライブレコーダで録画された画像を登録できるようにしてもよい。この場合、登録されたドライブレコーダで録画された画像は、例えば、危険運転検知装置30などの画像解析により運転状況を判定し危険運転を検知する装置により、危険運転を検知してもよい。危険運転の検知の際に、例えば、
図3に示すような、車両種類やナンバーなどの車両情報を用いてもよい。これにより、担当者は、住民等からの報告について、画像をみながら確認することができる。
【0094】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態に係る情報管理装置10によれば、運転状況管理において、住民等からの危険運転の報告を効率的に管理できる。その理由は、報告情報記憶部104が、危険な運転状況を示す報告内容と、危険な運転状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補、及び、危険運転発生範囲候補を特定した範囲を示す危険運転発生範囲の少なくともいずれかを含む位置情報と、危険な運転状況の発生の時刻についておおよその範囲を示す危険運転発生時間帯候補、及び、前記危険運転発生時間帯候補を特定した範囲を示す危険運転発生時間帯の少なくともいずれかを含む時刻情報と、を関連付けた報告情報を記憶する。そして、検索処理部101が、検索対象とする検索範囲に、位置情報及び時刻情報が含まれる報告情報を報告情報記憶部104から検索し、表示処理部103が、検索結果を出力するためである。
【0095】
また、登録処理部102が、ユーザ(担当者または住民等)からの入力に基づいて、報告内容を、危険運転発生範囲候補及び危険運転発生範囲の少なくともいずれかを含む位置情報、及び、危険運転発生時間帯候補及び危険運転発生時間帯の少なくともいずれかを含む時刻情報と関連付けたユーザ報告情報を報告情報記憶部104に登録するためである。
【0096】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る情報管理装置について図面を用いて説明する。第2の実施形態に係る情報管理装置11は、第1の実施形態に係る情報管理装置10と同様にネットワーク50を介して通信端末40と通信可能に接続される。また、情報管理装置11は、表示装置20、危険運転検知装置30と接続される。
【0097】
図23は、第2の実施形態おける、情報管理装置11の構成の例を示すブロック図である。情報管理装置11は、報告情報記憶部12、検索処理部13、表示処理部14、を備える。第2の実施形態に係る情報管理装置11の構成は、第1の実施形態に係る情報管理装置10から登録処理部102、危険運転情報記憶部105を省略した構成である。報告情報記憶部12、検索処理部13、及び、表示処理部14は、それぞれ、記憶手段、検索処理手段、及び、表示処理手段の一態様である。
【0098】
報告情報記憶部12は、危険な運転状況を示す報告内容と、危険な運転状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補、及び、危険運転発生範囲候補を特定した範囲を示す危険運転発生範囲の少なくともいずれかを含む位置情報と、を関連付けた報告情報を記憶する。検索処理部13は、検索対象とする所定の範囲を示す検索範囲に、位置情報が含まれる報告情報を報告情報記憶部12から検索する。表示処理部14は、検索結果を出力する。
【0099】
(第2の実施形態の効果)
第2の実施形態に係る情報管理装置11によれば、運転状況管理において、住民等からの危険運転の報告を効率的に管理できる。その理由は、報告情報記憶部12が、危険な運転状況を示す報告内容と、危険な運転状況の発生の位置についておおよその範囲を示す危険運転発生範囲候補、及び、危険運転発生範囲候補を特定した範囲を示す危険運転発生範囲の少なくともいずれかを含む位置情報と、を関連付けた報告情報を記憶する。そして、検索処理部13が、検索対象とする所定の範囲を示す検索範囲に、位置情報が含まれる報告情報を報告情報記憶部12から検索し、表示処理部14が、検索結果を出力するためである。
【0100】
(ハードウエア構成)
図24は、コンピュータのハードウエア構成の例を示す図である。前述した情報管理装置10、11、危険運転検知装置30、通信端末40は、プログラム(ソフトウェアプログラム,コンピュータプログラム)が
図24に示すコンピュータ90のCPU91において実行されることにより実現される。具体的には、情報管理装置10の検索処理部101、登録処理部102、表示処理部103の機能は、プログラムを実行することにより実現される。また検索処理部101、登録処理部102、表示処理部103のいずれかの機能は、外部装置(図示せず)で構成され、ネットワーク50を介して外部装置から情報管理装置10に機能が提供されてもよい。情報管理装置10の構成は、CPU(Central Processing Unit)91がROM(Read Only Memory)92、あるいは、記憶装置95からプログラム94を読み込み、読み込んだプログラム94を、CPU91、RAM(Random Access Memory)93を用いて実行することにより実現されてもよい。上述した実施形態を例に説明した本開示は、コンピュータプログラムを表すコードあるいはそのコンピュータプログラムを表すコードが格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体によって構成されると捉えることができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば記憶装置95、不図示の着脱可能な磁気ディスク媒体,光学ディスク媒体やメモリカードなどである。なお、各実施形態の構成は、集積回路による専用のハードウエアであってもよい。情報管理装置10、11、危険運転検知装置30はクラウドコンピュータで構成されてもよい。
【0101】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された構成、動作、処理を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
10、11 情報管理装置
20 表示装置
30 危険運転検知装置
40 通信端末
101 検索処理部
102 登録処理部
103 表示処理部
104 報告情報記憶部
105 危険運転情報記憶部
106 センサ情報記憶部