(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/14 20060101AFI20240702BHJP
B65H 1/24 20060101ALI20240702BHJP
B65H 43/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65H1/14 310A
B65H1/24 H
B65H1/14 322B
B65H43/02
(21)【出願番号】P 2023531854
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2022024830
(87)【国際公開番号】W WO2023276806
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2021106730
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021106731
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩次
(72)【発明者】
【氏名】村田 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】中尾 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】浦▲瀬▼ 翔太
(72)【発明者】
【氏名】所 義多賀
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴文
(72)【発明者】
【氏名】萩原 寛史
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-066549(JP,A)
【文献】特開2017-024847(JP,A)
【文献】特開2019-176370(JP,A)
【文献】特開2017-024848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 29/52
B65H 43/00-43/08
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が積載される給紙トレイと、
前記給紙トレイの下方に設けられた排出トレイと、
前記給紙トレイから1枚ずつ前記原稿を繰り出す繰出ローラーと、
前記給紙トレイから繰り出された前記原稿を読取位置を経由して前記排出トレイに搬送する搬送機構と、
前記給紙トレイを昇降させる昇降機構と、
前記排出トレイ上の前記原稿を検知する排出トレイ原稿センサーと、
前記給紙トレイの下限位置と上限位置との間の中間位置で前記給紙トレイを検知する給紙トレイ中間センサーと、
前記搬送機構により前記原稿を搬送する場合に、前記給紙トレイに積載された前記原稿の上面が前記繰出ローラーに押し当てられるように前記昇降機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、電源投入時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されなかった場合に、前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知された場合よりも前記給紙トレイを下降させるように前記昇降機構を制御
し、電源投入時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知された場合に、前記給紙トレイ中間センサーにより前記給紙トレイが検知されるように前記昇降機構により前記給紙トレイを昇降させることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
原稿が積載される給紙トレイと、
前記給紙トレイの下方に設けられた排出トレイと、
前記給紙トレイから1枚ずつ前記原稿を繰り出す繰出ローラーと、
前記給紙トレイから繰り出された前記原稿を読取位置を経由して前記排出トレイに搬送する搬送機構と、
前記給紙トレイを昇降させる昇降機構と、
前記排出トレイ上の前記原稿を検知する排出トレイ原稿センサーと、
前記給紙トレイの下限位置で前記給紙トレイを検知する給紙トレイ下限センサーと、
前記搬送機構により前記原稿を搬送する場合に、前記給紙トレイに積載された前記原稿の上面が前記繰出ローラーに押し当てられるように前記昇降機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、電源投入時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されなかった場合に、
前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知された場合よりも前記給紙トレイを下降させるように前記昇降機構を制御するとともに、前記給紙トレイ下限センサーにより前記給紙トレイが検知されるまで前記昇降機構により前記給紙トレイを下降させ、
前記搬送機構は、前記読取位置を経由する搬送路と、前記搬送路の搬送方向下流側の端部につながる排出路と、前記排出路の搬送方向下流側の端部に設けられた排出口と、前記排出路の搬送方向上流側の端部を支点として上下方向に前記排出路を揺動させる揺動機構と、を備え、
前記給紙トレイと前記排出口との距離が第1所定距離であることを検知する第1距離センサーを備え、
前記制御部は、前記昇降機構による前記給紙トレイの下降中に前記第1距離センサーにより前記給紙トレイと前記排出口との距離が前記第1所定距離であることが検知された場合に、前記給紙トレイの下降を停止させることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項3】
前記排出トレイに積載された前記原稿の上面と前記排出口との距離を計測する第2距離センサーを備え、
前記制御部は、前記昇降機構による前記給紙トレイの下降中に、前記第2距離センサーで検知された距離が変化した場合に、前記給紙トレイの下降を停止させた後、前記第2距離センサーで検知された距離に応じて前記揺動機構により前記排出路の高さを調整し、その後、前記第1距離センサーにより前記給紙トレイと前記排出口との距離が前記第1所定距離であることが検知されるように前記昇降機構により前記給紙トレイの高さを調整することを特徴とする請求項
2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記給紙トレイの下限位置で前記給紙トレイを検知する給紙トレイ下限センサーを備え、
前記制御部は、待機時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知され、その後、前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されなくなった場合に、所定時間経過後に、前記給紙トレイ下限センサーにより前記給紙トレイが検知されるまで前記昇降機構により前記給紙トレイを下降させることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記排出路の前記下限位置で前記排出路を検知する排出路下限センサーを備え、
前記制御部は、電源投入時又は読取終了時に前記第2距離センサーの計測値
が第2所定距離よりも長い場合に、前記排出路下限センサーにより前記排出路が検知されるまで前記揺動機構により前記排出路を下降させることを特徴とする請求項
3に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記昇降機構による前記給紙トレイの下降中に前記第2距離センサーの計測値が前記第2所定距離以下になった場合に前記給紙トレイの下降を停止させることを特徴とする請求項
5に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記制御部は、電源投入時又は読取終了時に前記第2距離センサーで検知された距離が前記第2所定距離よりも短い場合に、前記第2距離センサーの計測値が前記第2所定距離よりも大きくなるまで前記揺動機構により前記排出路を上昇させることを特徴とする請求項
5に記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記揺動機構による前記排出路の上昇中に前記第1距離センサーにより給紙トレイと排出口との距離が第1所定距離であることが検知された場合に、前記排出路の上昇を停止させ、前記原稿の除去を促す情報を出力することを特徴とする請求項
7に記載の原稿搬送装置。
【請求項9】
前記制御部は、待機時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知され、その後、前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されなくなった場合に、所定時間経過後に、前記排出路下限センサーにより前記排出路が検知されるまで前記揺動機構により前記排出路を下降させ、その後、前記給紙トレイ下限センサーにより前記給紙トレイが検知されるまで前記昇降機構により前記給紙トレイを下降させることを特徴とする請求項
5に記載の原稿搬送装置。
【請求項10】
前記給紙トレイ上の前記原稿を検知する給紙トレイ原稿センサーを更に備え、
前記制御部は、待機時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されず、その後、前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知され、且つ、前記給紙トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されなかった場合に、前記排出トレイに積載された前記原稿の量に応じて前記昇降機構により前記給紙トレイを位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項11】
前記搬送機構は、前記読取位置を経由する搬送路と、前記搬送路の搬送方向下流側の端部につながる排出路と、前記排出路の搬送方向下流側の端部に設けられた排出口と、前記排出路の搬送方向上流側の端部を支点として上下方向に前記排出路を揺動させる揺動機構と、を備え、
前記給紙トレイと前記排出口との距離が第1所定距離であることを検知する第1距離センサーと、
前記排出トレイに積載された前記原稿の上面と前記排出口との距離を計測する第2距離センサーと、を備え、
前記制御部は、待機時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されず、その後、前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知され、且つ、前記給紙トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されず、且つ、前記第2距離センサーの計測値が第2所定距離よりも小さい場合に、前記第2距離センサーの計測値が前記第2所定距離よりも大きくなるまで前記揺動機構により前記排出路を上昇させ、且つ、前記第1距離センサーにより前記給紙トレイと前記排出口との距離が前記第1所定距離であることが検知されるまで前記昇降機構により前記給紙トレイを上昇させることを特徴とする請求項
10に記載の原稿搬送装置。
【請求項12】
前記搬送機構は、前記読取位置を経由する搬送路と、前記搬送路の搬送方向下流側の端部につながる排出路と、前記排出路の搬送方向下流側の端部に設けられた排出口と、前記排出路の搬送方向上流側の端部を支点として上下方向に前記排出路を揺動させる揺動機構と、を備え、
前記排出トレイに積載された前記原稿の上面と前記排出口との距離を計測する第2距離センサーと、
前記給紙トレイの下限位置と上限位置との間の中間位置で前記給紙トレイを検知する給紙トレイ中間センサーと、を備え、
前記制御部は、待機時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されず、その後、前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知され、且つ、前記給紙トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されず、且つ、前記第2距離センサーの計測値が第2所定距離よりも大きい場合に、前記給紙トレイ中間センサーにより前記給紙トレイが検知されるまで前記昇降機構により前記給紙トレイを上昇させることを特徴とする請求項
10に記載の原稿搬送装置。
【請求項13】
前記制御部は、待機時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されず、その後、前記排出トレイ原稿センサー及び前記給紙トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知された場合に、前記原稿の除去を促す情報を出力することを特徴とする請求項
10に記載の原稿搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取位置に原稿を搬送する原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原稿読取装置に備えられた原稿搬送装置に対する大容量化の要求が高まっており、大容量化を実現するための技術が検討されている。例えば、特許文献1には、給紙トレイを昇降する昇降手段と、給紙トレイからの原稿の繰出しに応じて給紙トレイを上昇させる昇降制御手段とを備え、排紙トレイの排出口が給紙トレイの昇降に応じて同一量昇降するように構成された原稿送り装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された原稿搬送装置は、読取完了後に給紙トレイを下限位置まで下降させるように構成されているため、排出トレイに多量の原稿が積載されている場合に給紙トレイが原稿の上面に接触するおそれがある。原稿を容易に取り除くためには、原稿の上面と給紙トレイとの間に指を入れる空間があることが望ましい。しかし、その空間を確保するために、給紙トレイの下限位置を高くすると、給紙トレイの容量が少なくなってしまう。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、排出トレイ上の原稿の有無に応じて、給紙トレイの容量を有効に活用することのできる原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る原稿搬送装置は、原稿が積載される給紙トレイと、前記給紙トレイの下方に設けられた排出トレイと、前記給紙トレイから1枚ずつ前記原稿を繰り出す繰出ローラーと、前記給紙トレイから繰り出された前記原稿を読取位置を経由して前記排出トレイに搬送する搬送機構と、前記給紙トレイを昇降させる昇降機構と、前記排出トレイ上の前記原稿を検知する排出トレイ原稿センサーと、前記搬送機構により前記原稿を搬送する場合に、前記給紙トレイに積載された前記原稿の上面が前記繰出ローラーに押し当てられるように前記昇降機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、電源投入時に前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知されなかった場合に、前記排出トレイ原稿センサーにより前記原稿が検知された場合よりも前記給紙トレイを下降させるように前記昇降機構を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排出トレイ上の原稿の有無に応じて、給紙トレイの容量を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る複合機の内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るセンサーの配置を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る昇降機構とセンサーの配置を示す正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の電源投入時の主な動作の流れ図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る搬送路高さ調整の動作の流れ図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る給紙トレイを下限位置に下降させる動作の流れ図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る給紙トレイを中間位置に移動させる動作の流れ図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置の待機時の主な動作の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る複合機100について説明する。複合機100は、プリンター1(画像形成装置の一例)とスキャナー8(原稿読取装置の一例)を備える。
【0010】
最初に、複合機100の全体の構成について説明する。
図1は、複合機100の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、
図1における紙面手前側を複合機100の正面側(前側)とし、左右の向きは複合機100を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0011】
プリンター1は、直方体状の筐体2を備え、筐体2の内部に、シートSを供給する給紙部3と、電子写真方式にてフルカラーのトナー像を形成する画像形成部4と、トナー像をシートSに定着する定着部5と、シートSが排出される排出部7と、が設けられている。筐体2の内部には、給紙部3から画像形成部4、定着部5を経て排出部7に至る搬送路6が設けられている。
【0012】
プリンター1が外部コンピューター等から画像データを受信すると、シートSが給紙部3から搬送路6に送り出され、画像形成部4によりシートSにトナー像が形成され、定着部5によりシートSにトナー像が定着され、排出部7にシートSが排出される。
【0013】
スキャナー8は、光源と反射鏡を備える第1キャリッジ81と、2つの反射鏡を備える第2キャリッジ82と、光を結像させるレンズ83と、結像した光を画像信号に変換する撮像素子84と、原稿Gが載せ置かれるコンタクトガラス85と、を備える。
【0014】
ユーザーがコンタクトガラス85上に原稿Gを置いてスキャナー8に読み取りの指示を与えると、光源から原稿Gに光が照射され、第1キャリッジ81が速度Vで右方に移動するのと連動して第2キャリッジ82が速度V/2で右方に移動する。原稿Gで反射された反射光は、第1キャリッジ81の反射鏡と第2キャリッジ82の反射鏡で反射されてレンズ83に導かれ、撮像素子84に結像されて画像信号に変換される。画像信号は、プリンター1に出力され、画像データに変換される。
【0015】
次に、原稿搬送装置9の構成について説明する。
図2は、原稿搬送装置9の斜視図である。
図3は、原稿搬送装置9の断面図である。
図4は、センサーの配置を示す断面図である。
図5は、昇降機構38とセンサーの配置を示す正面図である。
図6は、原稿搬送装置9の電気的構成を示すブロック図である。なお、
図2では、カバー部32(
図3参照)の図示が省略されている。
【0016】
原稿搬送装置9は、原稿Gが積載される給紙トレイ44と、給紙トレイ44の下方に設けられた排出トレイ43と、給紙トレイ44から1枚ずつ原稿Gを繰り出す繰出ローラー51と、給紙トレイ44から繰り出された原稿Gを読取位置を経由して排出トレイ43に搬送する搬送機構35と、給紙トレイ44を昇降させる昇降機構38と、排出トレイ43上の原稿Gを検知する排出トレイ原稿センサー18と、搬送機構35により原稿Gを搬送する場合に、給紙トレイ44に積載された原稿Gの上面が繰出ローラー51に押し当てられるように昇降機構38を制御する制御部10と、を備え、制御部10は、電源投入時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されなかった場合に、排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知された場合よりも給紙トレイ44を下降させるように昇降機構38を制御する。
【0017】
[本体部]
本体部31(
図2参照)は、扁平な形状の底部40と、前後方向(原稿Gの搬送方向と交差する原稿Gの幅方向)に互いに対向する第1壁部41と第2壁部42とを有する。本体部31の後縁部は、スキャナー8のコンタクトガラス85(
図1参照)の後方にヒンジ結合されており、本体部31は、コンタクトガラス85上の原稿Gを押さえる押さえ板の機能を兼ね備える。第1壁部41は、底部40の前縁部の中央部から左端部にわたって設けられ、第2壁部42は、底部40の後縁部の全体に設けられている。
【0018】
[給紙トレイ、排出トレイ]
底部40の上面の中央よりも右側には、排出トレイ43が設けられており、排出トレイ43の上方には、給紙トレイ44が設けられている(
図2乃至4参照)。給紙トレイ44は、左側が低くなるように傾斜した板状の部材であり、その上面に、原稿Gの前後方向の端部をそろえるカーソル45(
図2参照)を備えている。給紙トレイ44の左端部に隣接する位置には、積載された原稿Gの左方への移動を規制する規制部(図示省略)が設けられている。排出トレイ43は、左側が低くなるように傾斜しており、排出トレイ43の左端部に隣接する位置には、排出された原稿Gの左方への移動を規制する規制部(図示省略)が設けられている。
【0019】
[繰出機構]
繰出機構34は、第1壁部41と第2壁部42との間の空間に設けられている(
図2乃至4参照)。繰出機構34は、下部が開口した箱形のホルダー53を備え、ホルダー53の内部に、繰出ローラー51と、繰出ローラー51の左方に設けられた従動ローラー55と、従動ローラー55の左方に設けられた駆動ローラー52と、駆動ローラー52と従動ローラー55とに巻き掛けられたゴム製のベルト56と、ベルト56の下側の部分の下面に押し当てられた補助ローラー57と、を備える。繰出ローラー51、従動ローラー55、駆動ローラー52及び補助ローラー57は、前後方向を軸方向として配置されている。
【0020】
繰出ローラー51は、芯金と、ゴム等で形成された弾性層と、を備える(図示省略)。従動ローラー55、駆動ローラー52及び補助ローラー57は、樹脂等で形成されている。駆動ローラー52の駆動軸54の前後両端部は、第1壁部41と第2壁部42に支持され、モーター等の駆動源(図示省略)に接続されている。ホルダー53は、駆動軸54に支持され、駆動軸54を中心として揺動可能である。駆動軸54の駆動力は、ギア列やタイミングベルト等の伝達機構(図示省略)により繰出ローラー51に伝達される。
【0021】
[搬送機構]
搬送機構35(
図3、4参照)は、読取位置を経由する搬送路61と、搬送路61の搬送方向下流側の端部につながる排出路65と、排出路65の搬送方向下流側の端部に設けられた排出口70と、排出路65の搬送方向上流側の端部を支点として上下方向に排出路65を揺動させる揺動機構37と、を備える。
【0022】
[搬送路]
搬送路61は、繰出機構34から読取位置を経由して読取位置の右上方に至るU字形に湾曲した形状に形成されている。搬送路61には、搬送方向に複数の搬送ローラー対63が設けられている。読取位置は、ホームポジションに位置する第1キャリッジ81(
図1参照)の反射鏡に対向する位置である。読取位置には、シェーディング板49が設けられており(
図1、3、4参照)、シェーディング板49とコンタクトガラス85との間には、原稿Gを通過させる間隙が設けられている。スキャナー8は、読取位置を通過する原稿Gを読み取る。
【0023】
搬送路61は、原稿Gを通過させる間隙を設けて互いに対向する板状の搬送案内部材により形成されている。搬送ローラー対63は、駆動ローラーと従動ローラーとを備え、駆動ローラーがモーター等の駆動源(図示省略)に接続されている。搬送機構35の上方には、開閉可能な板状のカバー部32が設けられている。カバー部32の左端部は、本体部31の底部40の左端部にヒンジ結合されている。
【0024】
[排出路、排出口]
排出路65の搬送方向上流側の端部には、搬送ローラー対67が設けられ、排出路65の搬送方向下流側の端部には、排出ローラー対68が設けられている。排出路65は、原稿Gを通過させる間隙を設けて互いに対向する板状の排出案内部材66により形成されている。搬送ローラー対67及び排出ローラー対68は、排出案内部材66の前後両端部に垂直に形成されたローラー支持部69に支持されている。搬送ローラー対67及び排出ローラー対68は、駆動ローラーと従動ローラーとを備え、駆動ローラーがモーター等の駆動源(図示省略)に接続されている。排出ローラー対68の駆動ローラーと従動ローラーとの接触領域に、原稿Gが排出される排出口70が形成されている。
【0025】
[揺動機構]
揺動機構37は、揺動軸71と、偏心カム72と、備える。揺動軸71は、排出路65の搬送方向上流側の端部に、前後方向を軸方向として設けられている。本実施形態では、搬送ローラー対67の駆動軸が揺動軸71を兼ねるが、搬送ローラー対67の従動軸が揺動軸71を兼ねてもよく、搬送ローラー対67の駆動軸や従動軸とは別の揺動軸71が排出案内部材66に設けられていてもよい。偏心カム72は、前後方向を軸方向とするカム軸を中心として揺動可能であり、モーター等の駆動源(図示省略)に接続されている。偏心カム72の摺動面は、下側の排出案内部材66の下面に接触している。偏心カム72の揺動により、排出機構36が揺動軸71を中心として揺動する。
【0026】
[昇降機構]
昇降機構38(
図5参照)は、駆動プーリー74及び従動プーリー75と、駆動プーリー74及び従動プーリー75に巻き掛けられたベルト76と、を備える。昇降機構38は、給紙トレイ44の前後に設けられており、駆動プーリー74は、給紙トレイ44よりも上方に配置され、従動プーリー75は、給紙トレイ44よりも下方に配置されている。駆動プーリー74は、モーター等の駆動源(図示省略)に接続されている。
【0027】
給紙トレイ44の前後の縁部には、左右方向に2つの摺動部77が形成され、第1壁部41の後面及び第2壁部42の前面には、摺動部77の上下方向の摺動を案内する摺動案内部78が形成されている。摺動部77は、例えば給紙トレイ44の前後の縁部から突出しており、摺動案内部78は、摺動部77が嵌合する溝状に形成されている。給紙トレイ44の前後における2つの摺動部77の一方(この例では、左側の摺動部77)は、ベルト76に固定されている。
図4に示される矢印の方向にベルト76が駆動されることで給紙トレイ44が上昇し、矢印の反対方向にベルト76が駆動されることで給紙トレイ44が下降する。
【0028】
[制御部]
制御部10(
図6参照)は、プロセッサーを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサーを用いる場合には、プロセッサーがメモリーに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサーとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。メモリーは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。メモリーには、複合機100の各部の制御に用いられる制御プログラムが記憶される。
【0029】
[操作部]
スキャナー8の前側には、操作部が設けられている(図示省略)。操作部は、表示パネルと、表示パネルの表示面に重ねて設けられたタッチパネルと、表示パネルに隣接するキーパッドと、を備える。制御部10は、プリンター1及びスキャナー8の操作メニューやステータス等を表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてプリンター1及びスキャナー8の各部を制御する。
【0030】
[給紙トレイ下限センサー]
給紙トレイ下限センサー11(
図5参照)は、給紙トレイ44の下限位置で給紙トレイ44を検知する。給紙トレイ下限センサー11は、透過型の光学センサー(フォトインタラプタ―)であり、第2壁部42に設けられている。給紙トレイ44の第2壁部42側の左端部には、左方等に突出した遮光板44Sが設けられている。給紙トレイ下限センサー11は、給紙トレイ44が下限位置に位置する場合の遮光板44Sに対応する位置に設けられている。
【0031】
[給紙トレイ中間センサー]
給紙トレイ中間センサー12は、給紙トレイ44の下限位置と上限位置との間の中間位置で給紙トレイ44を検知する。給紙トレイ中間センサー12は、透過型の光学センサーであり、第2壁部42に設けられている。給紙トレイ中間センサー12は、給紙トレイ44が中間位置に位置する場合の遮光板44Sに対応する位置に設けられている。中間位置とは、給紙トレイ44の下方、すなわち、排出トレイ43に所定枚数(例えば、300枚)の原稿Gが積載可能な空間が確保され、且つ、積載された所定枚数の原稿Gの上面と給紙トレイ44の下面との間に所定距離(例えば、10mm)の空間が確保される給紙トレイ44の位置である。
【0032】
[給紙トレイ上限センサー]
給紙トレイ上限センサー13(
図4参照)は、給紙トレイ44の上限位置で給紙トレイ44を検知する。給紙トレイ上限センサー13は、透過型の光学センサーであり、カバー32部の内面に設けられている。繰出機構34のホルダー53の上部には、上方等に突出した遮光板53Sが設けられている。前述のとおり、ホルダー53は、駆動軸54に支持され、駆動軸54を中心として揺動可能である。制御部10は、昇降機構38により、原稿Gが積載された給紙トレイ44を上昇させ、原稿Gの上面が繰出ローラー51に押し当てられることでホルダー53が上方に揺動する。ホルダー53が所定量だけ上方に揺動した場合に、遮光板53Sが給紙トレイ上限センサー13の光を遮光する。このとき、原稿Gの上面と繰出ローラー51との間に適正な荷重が作用し、繰出ローラー51による原稿Gの繰り出しが可能となる。このときの給紙トレイ44の位置を上限位置という。そのため、給紙トレイ44の上限位置は、給紙トレイ44上の原稿Gの有無及び量によって変化する。
【0033】
[第1距離センサー]
第1距離センサー14は、給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であることを検知する。例えば、第1距離センサー14は、透過型の光学センサーであり、給紙トレイ44の下面の左端部側に設けられている。上側の排出案内部材66の右端のローラー支持部69には、右方等に突出した遮光板69Sが設けられている。給紙トレイ44と排出口70とが第1所定距離(例えば、5mm)だけ離間している場合に、第1距離センサー14が遮光板69Sを検知する。なお、第1距離センサー14は、反射型の光学センサーでもよい。
【0034】
[排出路上限センサー]
排出路上限センサー15は、排出路65の上限位置で排出路65を検知する。排出路上限センサー15は、透過型の光学センサーであり、第1壁部41又は第2壁部42に設けられている。上側の排出案内部材66には、上方等に突出した遮光板66Sが設けられている。排出路上限センサー15は、排出路65が上限位置に位置する場合の遮光板66Sに対応する位置に設けられている。
【0035】
[排出路下限センサー]
排出路下限センサー16は、排出路65の下限位置で排出路65を検知する。排出路下限センサー16は、透過型の光学センサーであり、第1壁部41又は第2壁部42に設けられている。下側の排出案内部材66には、下方等に突出した遮光板66Sが設けられている。排出路下限センサー16は、排出路65が下限位置に位置する場合の遮光板66Sに対応する位置に設けられている。
【0036】
[第2距離センサー]
第2距離センサー17は、排出トレイ43に積載された原稿Gの上面と排出口70との距離を計測する。第2距離センサー17は、反射型の光学センサーであり、下側の排出案内部材66の右端のローラー支持部69に設けられており、排出トレイ43の上面の左端部に対向している。第2距離センサー17は、排出トレイ43に積載された原稿Gの上面に光を照射し、反射光の位相差から原稿G上面までの距離を計測する。
【0037】
[排出トレイ原稿センサー]
排出トレイ原稿センサー18は、排出トレイ43上の原稿Gを検知する。排出トレイ原稿センサー18は、透過型又は反射型の光学センサーであり、排出トレイ43の上面の左端部側に設けられている。排出トレイ原稿センサー18は、排出トレイ43上の原稿Gの有無を示す排出トレイ原稿検知信号を継続的に制御部10に出力する。排出トレイ原稿検知信号の値は、原稿Gが検知されなかった場合には0、原稿Gが検知された場合には1である。
【0038】
[給紙トレイ原稿センサー]
給紙トレイ原稿センサー19は、給紙トレイ44上の原稿Gを検知する。給紙トレイ原稿センサー19は、反射型の光学センサーであり、給紙トレイ44の上面の左端部側に設けられている。給紙トレイ原稿センサー19は、給紙トレイ44上の原稿Gの有無を示す給紙トレイ原稿検知信号を継続的に制御部10に出力する。給紙トレイ原稿検知信号の値は、原稿Gが検知されなかった場合には0、原稿Gが検知された場合には1である。
【0039】
次に、原稿搬送装置9の動作について説明する。
図7は、原稿搬送装置9の電源投入時の主な動作の流れ図である。なお、これらの動作は、電源投入時だけでなく、原稿読取ジョブの終了時に実行されてもよい。
【0040】
最初に、制御部10は、排出路高さ調整を実行する(ステップS01)。排出路高さ調整の詳細については、後述する。次に、制御部10は、排出トレイ原稿センサー18を用いて、排出トレイ43に原稿Gがあるか否かを判定する(ステップS02)。排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されなかった場合には、制御部10は、排出トレイ43に原稿Gがないと判定し(ステップS02:NO)、給紙トレイ44を下限位置へ下降させる(ステップS03)。一方、原稿Gが検知された場合には、制御部10は、排出トレイ43に原稿Gがあると判定し(ステップS02:YES)、給紙トレイ44を中間位置へ移動させる(ステップS04)。ステップS03、S04の詳細については、後述する。
【0041】
図8は、搬送路高さ調整(
図7のステップS01)の動作の流れ図である。最初に、制御部10は、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離(例えば、10mm)よりも大きいか否かを判定する(ステップS11)。計測値が第2所定距離よりも大きいと判定した場合には(ステップS11:YES)、制御部10は、揺動機構37により排出路65の下降を開始させ(ステップS12)、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離以下であるか否かを判定する(ステップS13)。計測値が第2所定距離以下であると判定した場合には(ステップS13:YES)、制御部10は、排出路65の下降を停止させ(ステップS15)、排出路高さ調整を終了する。
【0042】
一方、計測値が第2所定距離以下でないと判定した場合には(ステップS13:NO)、制御部10は、排出路下限センサー16を用いて、排出路65が下限位置に到達したか否かを判定する(ステップS14)。排出路65が下限位置に到達したと判定した場合には(ステップS14:YES)、制御部10は、排出路65の下降を停止させ(ステップS15)、排出路高さ調整を終了する。一方、排出路65が下限位置に到達していないと判定した場合には(ステップS14:NO)、制御部10は、ステップS13以降の処理を繰り返す。
【0043】
ステップS11において、計測値が第2所定距離よりも大きくないと判定した場合には(ステップS11:NO)、制御部10は、揺動機構37により排出路65の上昇を開始させ(ステップS21)、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離よりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。計測値が第2所定距離よりも大きいと判定した場合には(ステップS22:YES)、制御部10は、排出路65の上昇を停止させ(ステップS25)、排出路高さ調整を終了する。
【0044】
一方、計測値が第2所定距離よりも大きくないと判定した場合には(ステップS22:NO)、制御部10は、第1距離センサー14を用いて、給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であるか否かを判定する(ステップS23)。距離が第1所定距離であると判定した場合には(ステップS23:YES)、それ以上、排出路65を上昇させることが不可能なため、制御部10は、排出路65の上昇を停止させ、排出トレイ43及び給紙トレイ44からの原稿Gの除去を促す情報を出力し(ステップS24)、排出路高さ調整を終了する。原稿Gの除去を促す情報は、操作部の表示パネルに表示されてもよく、音声で出力されてもよい。一方、距離が第1所定距離でないと判定した場合には(ステップS23:NO)、制御部10は、ステップS22以降の処理を繰り返す。
【0045】
図9は、給紙トレイ44を下限位置に下降させる動作(
図7のステップS03)の流れ図である。最初に、制御部10は、昇降機構38により給紙トレイ44の下降を開始させ(ステップS31)、第1距離センサー14を用いて、給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であるか否かを判定する(ステップS32)。距離が第1所定距離であると判定した場合には(ステップS31:YES)、制御部10は、給紙トレイ44の下降を停止させ(ステップS35)、処理を終了する。
【0046】
一方、距離が第1所定距離でないと判定した場合には(ステップS32:NO)、制御部10は、第2距離センサー17の計測値が変化したか否かを判定する(ステップS33)。例えば、制御部10は、所定時間毎に計測値を取得してメモリーに記憶させ、新規に取得した計測値が前回取得した計測値と異なる場合に計測値が変化したと判定する。計測値が変化していないと判定した場合には(ステップ33:NO)、制御部10は、給紙トレイ下限センサー11を用いて、給紙トレイ44が下限位置に到達したか否かを判定する(ステップS34)。給紙トレイ44が下限位置に到達していないと判定した場合には(ステップS34:NO)、制御部10は、ステップS32以降の処理を繰り返す。一方、給紙トレイ44が下限位置に到達したと判定した場合には(ステップS34:YES)、制御部10は、給紙トレイ44の下降を停止させ(ステップS35)、処理を終了する。
【0047】
ステップS33において第2距離センサー17の計測値が変化したと判定した場合には(ステップS33:YES)、制御部10は、給紙トレイ44の下降を中断させた後、排出路高さ調整を実行し(ステップS36)、給紙トレイ44の下降を再開させた後、ステップS32以降の処理を繰り返す。
【0048】
図10は、給紙トレイ44を中間位置に移動させる動作(
図7のステップS04)の流れ図である。最初に、制御部10は、昇降機構38により給紙トレイ44の下降を開始させ(ステップS41)、第1距離センサー14を用いて、給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であるか否かを判定する(ステップS42)。距離が第1所定距離であると判定した場合には(ステップS42:YES)、制御部10は、給紙トレイ44の下降を停止させ(ステップS45)、処理を終了する。
【0049】
一方、距離が第1所定距離でないと判定した場合には(ステップS42:NO)、制御部10は、第2距離センサー17の計測値が変化したか否かを判定する(ステップS43)。計測値が変化していないと判定した場合には(ステップS43:NO)、制御部10は、給紙トレイ中間センサー12を用いて、給紙トレイ44が中間位置に到達したか否かを判定する(ステップS44)。給紙トレイ44が中間位置に到達していないと判定した場合には(ステップS44:NO)、制御部10は、ステップS51の処理に移行する。一方、給紙トレイ44が中間位置に到達したと判定した場合には(ステップS44:YES)、制御部10は、給紙トレイ44の下降を停止させ(ステップS45)、処理を終了する。
【0050】
ステップS43において第2距離センサー17の計測値が変化したと判定した場合には(ステップS43:YES)、制御部10は、給紙トレイ44の下降を中断させた後、排出路高さ調整を実行し(ステップS45)、給紙トレイ44の下降を再開させた後、ステップS42以降の処理を繰り返す。
【0051】
ステップS51において、制御部10は、給紙トレイ下限センサー11を用いて、給紙トレイ44が下限位置に到達したか否かを判定する。給紙トレイ44が下限位置に到達していないと判定した場合には(ステップS51:NO)、制御部10は、ステップS42以降の処理を繰り返す。一方、給紙トレイ44が下限位置に到達したと判定した場合には(ステップS51:YES)、制御部10は、昇降機構38により給紙トレイ44の上昇を開始させる(ステップS52)。
【0052】
次に、制御部10は、第2距離センサー17の計測値が変化したか否かを判定する(ステップS53)。計測値が変化していないと判定した場合には(ステップS53:NO)、制御部10は、給紙トレイ中間センサー12を用いて、給紙トレイ44が中間位置に到達したか否かを判定する(ステップS54)。給紙トレイ44が中間位置に到達していないと判定した場合には(ステップS54:NO)、制御部10は、ステップS53以降の処理を繰り返す。一方、給紙トレイ44が中間位置に到達したと判定した場合には(ステップS54:YES)、制御部10は、給紙トレイ44の上昇を停止させ(ステップS55)、処理を終了する。
【0053】
ステップS53において第2距離センサー17の計測値が変化したと判定した場合には(ステップS53:YES)、制御部10は、給紙トレイ44の上昇を中断させた後、排出路高さ調整を実行し(ステップS56)、給紙トレイ44の上昇させた後、ステップS53以降の処理を繰り返す。
【0054】
図11は、原稿搬送装置9の待機時の主な動作の流れ図である。待機時とは、原稿Gの読み取りが実行されておらず、且つ、原稿読取のジョブを待ち受けている状態を指す。最初に、制御部10は、排出トレイ43に原稿Gがある状態から原稿Gがない状態に変化したか否かを判定する(ステップS61)。具体的には、排出トレイ43に原稿Gがある状態から原稿Gがない状態に変化する場合とは、ユーザーが排出トレイ43から原稿Gを取り除いた場合である。制御部10は、所定時間毎に、排出トレイ原稿検知信号の値を取得してメモリーに記憶させ、前回取得した値が0であり、新規に取得した値が1である場合に、原稿Gがある状態から原稿Gがない状態に変化したと判定する。
【0055】
原稿Gがある状態から原稿Gがない状態に変化したと判定した場合には(ステップS61:YES)、制御部10は、所定時間(例えば、500msec)だけ待機した後(ステップS62)、排出路高さ調整を実行する(ステップS63)。続いて、制御部10は、所定時間(例えば、500msec)だけ待機した後(ステップS64)、給紙トレイ44を下限位置へ下降させる処理(
図9参照)を実行し、処理を終了する。
【0056】
一方、排出トレイ43に原稿Gがある状態から原稿Gがない状態に変化しなかったと判定した場合には(ステップS61:NO)、制御部10は、排出トレイ43に原稿Gがない状態から原稿Gがある状態に変化したか否かを判定する(ステップS71)。排出トレイ43に原稿Gがない状態から原稿Gがある状態に変化する場合とは、ユーザーが排出トレイ43から取り除いた原稿Gの全部又は一部を排出トレイ43に戻した場合である。原稿Gがない状態から原稿Gがある状態に変化しなかったと判定した場合には(ステップS71:NO)、制御部10は、ステップS61以降の処理を繰り返す。
【0057】
一方、原稿Gがない状態から原稿Gがある状態に変化したと判定した場合には(ステップS71:YES)、制御部10は、給紙トレイ原稿センサー19を用いて、給紙トレイ44に原稿Gがあるか否かを判定する(ステップS72)。給紙トレイ原稿センサー19により原稿Gが検知されなかった場合には、制御部10は、給紙トレイ44に原稿Gがないと判定し(ステップS72:YES)、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離以下であるか否かを判定する(ステップS73)。第2距離センサー17の計測値が第2所定距離以下であると判定した場合には(ステップS73:YES)、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離よりも大きくなるまで排出路65を上昇させるとともに、第1距離センサー14により給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であることが検知されるまで給紙トレイ44を上昇させる(ステップS74)。一方、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離以下でないと判定した場合には(ステップS73:NO)、給紙トレイ中間センサー12で給紙トレイ44が検知されるまで、給紙トレイ44を上昇させる。
【0058】
ステップS72において、給紙トレイ原稿センサー19により原稿Gが検知された場合には、制御部10は、給紙トレイ44に原稿Gがあると判定する(ステップS72:NO)。この場合、排出路65を上昇させることが不可能であるため、制御部10は、給紙トレイ44と排出トレイ43から原稿Gを除去することを促す情報を出力する。
【0059】
以上説明した本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、原稿Gが積載される給紙トレイ44と、給紙トレイ44の下方に設けられた排出トレイ43と、給紙トレイ44から1枚ずつ原稿Gを繰り出す繰出ローラー51と、給紙トレイ44から繰り出された原稿Gを読取位置を経由して排出トレイ43に搬送する搬送機構35と、給紙トレイ44を昇降させる昇降機構38と、排出トレイ43上の原稿Gを検知する排出トレイ原稿センサー18と、搬送機構35により原稿Gを搬送する場合に、給紙トレイ44に積載された原稿Gの上面が繰出ローラー51に押し当てられるように昇降機構38を制御する制御部10と、を備え、制御部10、電源投入時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されなかった場合に、排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知された場合よりも給紙トレイ44を下降させるように昇降機構38を制御する(
図7参照)。この構成によれば、排出トレイ43上の原稿Gの有無に応じて、給紙トレイ44の容量を有効に活用することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、給紙トレイ44の下限位置で給紙トレイ44を検知する給紙トレイ下限センサー11を備え、制御部10は、電源投入時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されなかった場合に、給紙トレイ下限センサー11により給紙トレイ44が検知されるまで昇降機構38により給紙トレイ44を下降させる(
図7参照)。この構成によれば、排出トレイ43に原稿Gが積載されていない場合に、給紙トレイ44の容量を最大限に活用することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、給紙トレイ44の下限位置と上限位置との間の中間位置で給紙トレイ44を検知する給紙トレイ中間センサー12を備え、制御部10は、電源投入時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知された場合に、給紙トレイ中間センサー12により給紙トレイ44が検知されるように昇降機構38により給紙トレイ44を昇降させる(
図7参照)。この構成によれば、排出トレイ43に原稿Gが積載されている場合に、排出トレイ43から原稿Gを取り除く作業の容易性と、給紙トレイ44の容量の有効活用と、を両立させることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、搬送機構35は、読取位置を経由する搬送路61と、搬送路61の搬送方向下流側の端部につながる排出路65と、排出路65の搬送方向下流側の端部に設けられた排出口70と、排出路65の搬送方向上流側の端部を支点として上下方向に排出路65を揺動させる揺動機構37と、を備え、給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であることを検知する第1距離センサー14を備え、制御部10は、昇降機構38による給紙トレイ44の下降中に第1距離センサー14により給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であることが検知された場合に、給紙トレイ44の下降を停止させる(
図9、10参照)。この構成によれば、給紙トレイ44の下降中に給紙トレイ44と排出口70との干渉を防ぐことができる。
【0063】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、排出トレイ43に積載された原稿Gの上面と排出口70との距離を計測する第2距離センサー17を備え、制御部10は、昇降機構38による給紙トレイ44の下降中に、第2距離センサー17で検知された距離が変化した場合に、給紙トレイ44の下降を停止させた後、第2距離センサー17で検知された距離に応じて揺動機構37により排出路65の高さを調整し、その後、第1距離センサー14により給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であることが検知されるように昇降機構38により給紙トレイ44の高さを調整する(
図8、9、10参照)。この構成によれば、給紙トレイ44の下降中に排出トレイ43上の原稿Gの量が変化した場合に、排出路65と給紙トレイ44の高さを適正に調整することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、待機時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知され、その後、排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されなくなった場合に、所定時間経過後に、給紙トレイ下限センサー11により給紙トレイ44が検知されるまで昇降機構38により給紙トレイ44を下降させる(
図11参照)。この構成によれば、給紙トレイ44の下降によってユーザーの手に給紙トレイ44が衝突することを防ぐことができる。
【0065】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、排出路65の下限位置で排出路65を検知する排出路下限センサー16を備え、制御部10は、電源投入時又は読取終了時に第2距離センサー17の計測値が第2所定距離よりも長い場合に、排出路下限センサー16により排出路65が検知されるまで揺動機構37により排出路65を下降させる(
図8参照)。この構成によれば、排出口70が適正な高さよりも高い場合に、排出口70の高さを調整し直してから、給紙トレイ44の高さを調整することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、昇降機構38による給紙トレイ44の下降中に第2距離センサー17の計測値が第2所定距離以下になった場合に給紙トレイ44の下降を停止させる(
図8参照)。この構成によれば、排出口70が適正な高さよりも高い場合に、排出口70の高さを調整し直してから、給紙トレイ44の高さを調整することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、電源投入時又は読取終了時に第2距離センサー17で検知された距離が第2所定距離よりも短い場合に、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離よりも大きくなるまで揺動機構37により排出路65を上昇させる(
図8参照)。この構成によれば、排出口70が適正な高さよりも低い場合に、排出口70の高さを調整し直してから、給紙トレイ44の高さを調整することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、揺動機構37による排出路65の上昇中に第1距離センサー14により給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であることが検知された場合に、排出路65の上昇を停止させ、原稿Gの除去を促す情報を出力する(
図8参照)。この構成によれば、原稿Gを取り除かせることで、給紙トレイ44の容量を有効に活用することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、待機時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知され、その後、排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されなくなった場合に、所定時間経過後に、排出路下限センサー16により排出路65が検知されるまで揺動機構37により排出路65を下降させ、その後、給紙トレイ下限センサー11により給紙トレイ44が検知されるまで昇降機構38により給紙トレイ44を下降させる(
図11参照)。この構成によれば、排出路65の下降後の給紙トレイ44の下降によってユーザーの手に給紙トレイ44が衝突することを防ぐことができる。
【0070】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、待機時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されず、その後、排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知され、且つ、給紙トレイ原稿センサー19により原稿Gが検知されなかった場合に、排出トレイ43に積載された原稿Gの量に応じて昇降機構38により給紙トレイ44を位置決めする(
図11参照)。この構成によれば、排出トレイ43上の原稿Gの有無に応じて、給紙トレイ44の容量を有効に活用することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、待機時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されず、その後、排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知され、且つ、給紙トレイ原稿センサー19により原稿Gが検知されず、且つ、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離よりも小さい場合に、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離よりも大きくなるまで揺動機構37により排出路65を上昇させ、且つ、第1距離センサー14により給紙トレイ44と排出口70との距離が第1所定距離であることが検知されるまで昇降機構38により給紙トレイ44を上昇させる(
図11参照)。この構成によれば、待機時に排出トレイ43に原稿Gが戻された場合に、排出路65と給紙トレイ44を適正な高さに位置決めすることができる。
【0072】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、待機時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されず、その後、排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知され、且つ、給紙トレイ原稿センサー19により原稿Gが検知されず、且つ、第2距離センサー17の計測値が第2所定距離よりも大きい場合に、給紙トレイ中間センサー12により給紙トレイ44が検知されるまで昇降機構38により給紙トレイ44を上昇させる(
図11参照)。この構成によれば、待機時に排出トレイ43に少量の原稿Gが戻された場合に、排出路65と給紙トレイ44を適正な高さに位置決めすることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置9によれば、制御部10は、待機時に排出トレイ原稿センサー18により原稿Gが検知されず、その後、排出トレイ原稿センサー18及び給紙トレイ原稿センサー19により原稿Gが検知された場合に、原稿Gの除去を促す情報を出力する(
図11参照)。この構成によれば、原稿Gを取り除かせることで、給紙トレイ44の容量を有効に活用することができる。