(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】シート排出装置、画像形成装置、シート排出装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240702BHJP
B65H 31/22 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H31/22
(21)【出願番号】P 2024506636
(86)(22)【出願日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2023023055
【審査請求日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2022127848
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 陽志
(72)【発明者】
【氏名】杉山 司
(72)【発明者】
【氏名】田中 健一
(72)【発明者】
【氏名】石原 良晃
(72)【発明者】
【氏名】有月 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】谷井 英雄
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-98108(JP,A)
【文献】実開平4-86658(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
B65H 31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿った排出方向へシートが排出される排出口と、
前記排出口よりも前記排出方向の下流側で前記排出口から排出される前記シートを支持するシート支持部、及び前記シート支持部における前記排出方向の上流側の端部であって前記排出方向と直交する幅方向の側部から前記幅方向の外側へ向けて突出する突出部を有する排紙トレイと、
前記排紙トレイが着脱される装着部と、
を備え、
前記装着部は、
前記シート支持部の前記側部と対向する壁部と、
前記壁部において前記排出方向に沿って並んで設けられ、それぞれが前記突出部を挿通可能に形成される複数の孔部と、
複数の前記孔部のいずれかに前記突出部が挿通された前記排紙トレイを当該排紙トレイの下側から複数の前記孔部に対応する互いに前記排出方向に対する傾斜角度が異なる複数の装着姿勢のうち前記突出部が挿通された前記孔部に対応する前記装着姿勢で支持するトレイ支持部と、
を備えるシート排出装置。
【請求項2】
複数の前記孔部は、第1孔部、及び前記第1孔部よりも前記排出方向の下流側に位置する第2孔部を含み、
前記トレイ支持部は、前記第2孔部よりも前記排出方向の下流側で前記排出方向を向く第1面と前記第1面よりも前記排出方向の上流側で上方向を向く第2面とにより形成される角部を有し、
前記排紙トレイは、前記第2孔部に前記突出部が挿通された場合に前記角部と接触する段差部を有する、
請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成された前記シートを排出する請求項1に記載のシート排出装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項4】
鉛直方向に沿って並ぶ複数の前記排出口と、
複数の前記排出口に対応する複数の前記排紙トレイと、
複数の前記排出口に対応する複数の前記装着部と、
を備える請求項1又は2に記載のシート排出装置の使用方法であって、
前記排紙トレイの位置が上であるほど前記排出方向に対する前記排紙トレイの傾斜角度が大きくなるように、前記装着部各々に前記排紙トレイを装着する装着ステップを含む、
シート排出装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート排出装置、画像形成装置、及びシート排出装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターなどの画像形成装置は、画像が形成されたシートを排出するシート排出装置を備える。例えば、前記シート排出装置は、排出口と、排紙トレイとを備える(例えば、特許文献1参照)。前記排出口では、水平方向に沿った排出方向へシートが排出される。前記排紙トレイは、前記排出口よりも前記排出方向の下流側で前記排出方向に対して傾斜して設けられ、前記排出口から排出されるシートを支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記シート排出装置は、電子写真方式の画像形成装置と、インクジェット方式の画像形成装置とで共用されることがある。ここで、前記シート排出装置によって排出されるシートが電子写真方式で画像を形成されたシートである場合には、前記排紙トレイに排出されたシートが不揃いとなることを抑制するために、前記排紙トレイの前記排出方向に対する傾斜角度を大きくすることが望ましい。一方、前記シート排出装置によって排出されるシートがインクジェット方式で画像を形成されたシートである場合には、当該シートの排出中に当該シートが凸状に湾曲することを抑制するために、前記排紙トレイの前記排出方向に対する傾斜角度を小さくすることが望ましい。
【0005】
ここで、前記シート排出装置に、前記排紙トレイの前記排出方向に対する傾斜角度を可変可能な角度調整機構を設けることが考えられる。
【0006】
しかしながら、前記シート排出装置に前記角度調整機構を設ける場合には、前記シート排出装置の構成が複雑化する。
【0007】
本発明の目的は、簡素な構成で排紙トレイの傾斜角度を切替可能なシート排出装置、画像形成装置、及びシート排出装置の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係るシート排出装置は、排出口と、排紙トレイと、装着部とを備える。前記排出口では、水平方向に沿った排出方向へシートが排出される。前記排紙トレイは、前記排出口よりも前記排出方向の下流側で前記排出口から排出される前記シートを支持するシート支持部、及び前記シート支持部における前記排出方向の上流側の端部であって前記排出方向と直交する幅方向の側部から前記幅方向の外側へ向けて突出する突出部を有する。前記装着部には、前記排紙トレイが着脱される。また、前記装着部は、壁部と、複数の孔部と、トレイ支持部とを備える。前記壁部は、前記シート支持部の前記側部と対向する。複数の前記孔部は、前記壁部において前記排出方向に沿って並んで設けられ、それぞれが前記突出部を挿通可能に形成される。前記トレイ支持部は、複数の前記孔部のいずれかに前記突出部が挿通された前記排紙トレイを当該排紙トレイの下側から複数の前記孔部に対応する互いに前記排出方向に対する傾斜角度が異なる複数の装着姿勢のうち前記突出部が挿通された前記孔部に対応する前記装着姿勢で支持する。
【0009】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、画像形成部と、前記シート排出装置とを備える。前記画像形成部は、前記シートに画像を形成する。前記シート排出装置は、前記画像形成部によって画像が形成された前記シートを排出する。
【0010】
本発明の他の局面に係るシート排出装置の使用方法は、鉛直方向に沿って並ぶ複数の前記排出口と、複数の前記排出口に対応する複数の前記排紙トレイと、複数の前記排出口に対応する複数の前記装着部と、を備える前記シート排出装置を用いて実行され、装着ステップを含む。前記装着ステップでは、前記排紙トレイの位置が上であるほど前記排出方向に対する前記排紙トレイの傾斜角度が大きくなるように、前記装着部各々に前記排紙トレイが装着される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡素な構成で排紙トレイの傾斜角度を切り替えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の後処理装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の排紙トレイの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の装着部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の装着部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[画像形成装置100の構成]
まず、
図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、
図1は画像形成装置100のシステム構成を示すブロック図である。
【0015】
画像形成装置100は、画像データに基づいてシートに画像を形成するプリント機能を有するプリンターである。なお、本発明は、ファクス装置、コピー機、及び複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【0016】
図1に示されるように、画像形成装置100は、画像形成部1、シート搬送部2、後処理装置3、操作表示部4、記憶部5、及び制御部6を備える。
【0017】
画像形成部1は、前記プリント機能を実現する。例えば、画像形成部1は、インクジェット方式で画像を形成する。画像形成部1は、シートへ向けてインクを吐出する記録ヘッドを備える。画像形成部1は、シート搬送部2によって搬送されるシートに画像を形成する。なお、画像形成部1は、電子写真方式などのインクジェット方式とは異なる画像形成方式で画像を形成してもよい。
【0018】
シート搬送部2は、給紙カセットに収容されたシートを、画像形成部1による画像形成位置を経由して後処理装置3へ搬送する。シート搬送部2は、前記給紙カセット、及び複数の搬送ローラーを備える。
【0019】
後処理装置3は、シート搬送部2によって搬送されるシートを仕分けるソート機能を実現する。後処理装置3は、画像形成部1によって画像が形成されたシートを排出する。
【0020】
操作表示部4は、画像形成装置100のユーザーインターフェイスである。操作表示部4は、操作部、及び表示部を有する。前記操作部は、ユーザーの操作に応じて制御部6に各種の情報を入力する。例えば、前記操作部は、操作キー、又はタッチパネルである。前記表示部は、制御部6からの制御指示に応じて各種の情報を表示する。例えば、前記表示部は、液晶ディスプレーである。
【0021】
記憶部5は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部5は、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーである。
【0022】
制御部6は、画像形成装置100を統括的に制御する。
図1に示されるように、制御部6は、CPU11、ROM12、及びRAM13を備える。CPU11は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM12は、CPU11に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM13は、CPU11が実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性、又は不揮発性の記憶装置である。制御部6では、CPU11によりROM12に予め格納された各種の制御プログラムが実行される。これにより、制御部6は、画像形成装置100を統括的に制御する。
【0023】
[後処理装置3の構成]
次に、
図2~
図4を参照しつつ、後処理装置3の構成について説明する。ここで、
図2は後処理装置3の構成を示す断面図である。また、
図3は排紙トレイ31の構成を示す平面図である。また、
図4は右側の内壁29の構成を示す側面図である。なお、
図2では、共通搬送路22、及び個別搬送路23が、それぞれ二点鎖線によって示されている。
【0024】
なお、説明の便宜上、後処理装置3が使用可能な設置状態(
図2に示される状態)で鉛直方向を上下方向D1と定義する。また、
図2に示される後処理装置3の紙面左側の面を正面(前面)として前後方向D2を定義する。また、前記設置状態の後処理装置3の正面を基準として左右方向D3を定義する。
【0025】
図2に示されるように、後処理装置3は、筐体21、共通搬送路22、複数の個別搬送路23(23A~23D)、複数の排出口24(24A~24D)、複数の装着部25(25A~25D)、及び複数の排紙トレイ31(31A~31D)を備える。後処理装置3は、本発明のシート排出装置の一例である。
【0026】
図2に示されるように、後処理装置3は、4つの排出口24を備える。また、
図2に示されるように、個別搬送路23、装着部25、及び排紙トレイ31は、排出口24に対応して設けられる。つまり、後処理装置3は、排出口24と同数の個別搬送路23、装着部25、及び排紙トレイ31を備える。なお、後処理装置3は、2以上の任意の数の排出口24を備えていればよい。
【0027】
筐体21は、略直方体状に形成される。筐体21の内部には、一対の内壁29(
図2参照)が設けられる。内壁29各々は、左右方向D3に厚みを有する壁である。一対の内壁29は、左右方向D3に対向して設けられる。内壁29各々は、筐体21の底部から上方向へ、複数の排出口24のうち一番上に位置する排出口24Aよりも上まで延びている。一対の内壁29の間には、複数の排紙トレイ31が設けられる。
【0028】
複数の排出口24は、鉛直方向に沿って並んで設けられ、それぞれにおいて水平方向に沿った排出方向D4(
図2参照)へシートが排出される。
図2に示されるように、複数の排出口24は、筐体21の前面に形成される。排出口24各々は、左右方向D3に長尺であって、前方側(排出方向D4)へ向けて開口する。
【0029】
共通搬送路22は、筐体21の内部に設けられるシートの移動通路である。共通搬送路22は、筐体21の底部から上方向へ延びている。共通搬送路22では、シート搬送部2によって筐体21へ搬送されたシートが上方向へ搬送される。
【0030】
複数の個別搬送路23は、それぞれが筐体21の内部に設けられるシートの移動通路である。複数の個別搬送路23は、複数の排出口24に対応して設けられる。
図2に示されるように、個別搬送路23Aは、共通搬送路22から排出口24Aまで延びている。個別搬送路23Bは、共通搬送路22から排出口24Bまで延びている。個別搬送路23Cは、共通搬送路22から排出口24Cまで延びている。個別搬送路23Dは、共通搬送路22から排出口24Dまで延びている。
【0031】
複数の排紙トレイ31は、複数の排出口24に対応して設けられる。排紙トレイ31各々は、排出口24よりも排出方向D4の下流側で排出方向D4に対して傾斜する姿勢で設けられ、排出口24から排出されるシートを支持する。
【0032】
複数の装着部25は、複数の排出口24に対応して設けられ、それぞれに排紙トレイ31が着脱される。装着部25各々は、排紙トレイ31を着脱可能に支持する。
【0033】
図2に示されるように、装着部25Aは、排出口24Aと排出口24Bとの間に設けられる。装着部25Aには、排紙トレイ31Aが着脱される。装着部25Bは、排出口24Bと排出口24Cとの間に設けられる。装着部25Bには、排紙トレイ31Bが着脱される。装着部25Cは、排出口24Cと排出口24Dとの間に設けられる。装着部25Cには、排紙トレイ31Cが着脱される。装着部25Dは、排出口24Dの下側に設けられる。装着部25Dには、排紙トレイ31Dが着脱される。
【0034】
ところで、後処理装置3は、電子写真方式の画像形成装置と、インクジェット方式の画像形成装置とで共用されることがある。ここで、後処理装置3によって排出されるシートが電子写真方式で画像を形成されたシートである場合には、排紙トレイ31に排出されたシートが排出方向D4に不揃いとなることを抑制するために、排紙トレイ31の排出方向D4(排出方向D4と平行な平面)に対する傾斜角度を大きくすることが望ましい。一方、後処理装置3によって排出されるシートがインクジェット方式で画像を形成されたシートである場合には、当該シートの排出中に当該シートが凸状に湾曲することを抑制するために、排紙トレイ31の排出方向D4に対する傾斜角度を小さくすることが望ましい。
【0035】
ここで、後処理装置3に、排紙トレイ31の排出方向D4に対する傾斜角度を可変可能な角度調整機構を設けることが考えられる。
【0036】
しかしながら、後処理装置3に前記角度調整機構を設ける場合には、後処理装置3の構成が複雑化する。
【0037】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、以下に説明するように、簡素な構成で排紙トレイ31の傾斜角度を切り替えることが可能である。
【0038】
図3に示されるように、排紙トレイ31各々は、シート支持部32、及び一対の突出部33を備える。
【0039】
シート支持部32は、排出口24よりも排出方向D4の下流側で排出口24から排出されるシートを支持する。
図3に示されるように、シート支持部32は、底板部32A、一対の側壁部32B、及び後壁部32Cを備える。底板部32Aは、左右方向D3に幅を有し、左右方向D3と直交する方向に長尺な平板状に形成される。装着部25に装着された排紙トレイ31において、底板部32Aは、排出方向D4に沿って上方向へ傾斜する。底板部32Aの上面には、排出口24から排出されたシートが積載される。底板部32Aの上面に積載されたシートは、傾斜する当該上面に沿って排出方向D4の上流側へ移動する。側壁部32B各々は、底板部32Aにおける左右方向D3の端部に沿って立設される。一対の側壁部32Bは、底板部32Aに積載されたシートの左右方向D3への移動を規制する。例えば、側壁部32B各々は、底板部32Aからの突出高さが、排出方向D4に沿って連続的に低くなるように形成される。後壁部32Cは、底板部32Aにおける排出方向D4の上流側の端部に沿って立設される。後壁部32Cは、底板部32Aに積載されたシートの排出方向D4の上流側への移動を係止する。例えば、後壁部32Cは、底板部32Aからの突出高さが、一対の側壁部32Bにおける排出方向D4の上流側の端部と同じ高さとなるように形成される。
【0040】
一対の突出部33は、シート支持部32における排出方向D4の上流側の端部であって排出方向D4と直交する幅方向(左右方向D3)の両側部から当該幅方向の外側へ向けて突出する。具体的に、一対の突出部33は、一対の側壁部32Bにおける排出方向D4の上流側の端部に設けられる。例えば、突出部33各々は、側壁部32Bから円柱状に突出する形状で形成される。
【0041】
図4に示されるように、装着部25各々は、壁部61、複数の孔部62、及びトレイ支持部63を備える。
【0042】
壁部61は、シート支持部32における幅方向(左右方向D3)の側部と対向する。装着部25各々は、シート支持部32における幅方向(左右方向D3)の両側部と対向する一対の壁部61を備える。具体的に、一対の壁部61は、一対の内壁29におけるシート支持部32を挟む部分である。
【0043】
複数の孔部62は、壁部61において排出方向D4に沿って並んで設けられ、それぞれが突出部33を挿通可能に形成される。複数の孔部62は、一対の壁部61のそれぞれに形成される。孔部62各々は、壁部61を貫通する貫通孔であってもよいし、壁部61を貫通しない孔であってもよい。
【0044】
図4に示されるように、複数の孔部62は、第1孔部62A、及び第1孔部62Aよりも排出方向D4の下流側に位置する第2孔部62Bを含む。
【0045】
例えば、排紙トレイ31は、合成樹脂などの弾性を有する部材によって形成される。一対の突出部33は、一対の側壁部32Bが左右方向D3の内側へ向けて弾性変形されることにより、一対の壁部61の内側に収められて、一対の第1孔部62A、又は一対の第2孔部62Bに挿通される。
【0046】
トレイ支持部63は、複数の孔部62のいずれかに突出部33が挿通された排紙トレイ31を、当該排紙トレイ31の下側から、複数の孔部62に対応する互いに排出方向D4に対する傾斜角度が異なる複数の装着姿勢のうち突出部33が挿通された孔部62に対応する前記装着姿勢で支持する。
【0047】
具体的に、トレイ支持部63は、一対の第1孔部62Aに一対の突出部33が挿通された排紙トレイ31を、第1孔部62Aに対応する第1装着姿勢で支持する。また、トレイ支持部63は、一対の第2孔部62Bに一対の突出部33が挿通された排紙トレイ31を、第2孔部62Bに対応する第2装着姿勢で支持する。前記第2装着姿勢は、前記第1装着姿勢よりも排紙トレイ31の排出方向D4に対する傾斜角度が小さい装着姿勢である。なお、
図4には、前記第1装着姿勢で装着部25Cに装着された排紙トレイ31Cが示されている。また、
図4には、前記第2装着姿勢で装着部25Dに装着された排紙トレイ31Dが示されている。
【0048】
例えば、
図4に示されるように、トレイ支持部63は、第2孔部62Bよりも排出方向D4の下流側で排出方向D4を向く第1面64Aと、第1面64Aよりも排出方向D4の上流側で上方向を向く第2面64Bとにより形成される角部64を有する。例えば、トレイ支持部63は、第1面64Aを有し排出方向D4に厚みを有する第1平板状部と、第2面64Bを有し上下方向D1に厚みを有する第2平板状部と、角部64とを有する左右方向D3に長尺な部材である。トレイ支持部63は、左右方向D3における両端部が一対の壁部61によって支持されている。
【0049】
ここで、
図4に示されるように、排紙トレイ31は、第2孔部62Bに突出部33が挿通された場合に角部64と接触する段差部34を有する。段差部34は、シート支持部32における排出方向D4の上流側の底部に形成される。段差部34は、第1接触面、及び第2接触面を有する。前記第1接触面は、突出部33が第2孔部62Bに挿通された場合に第1面64Aと接触する平面である。前記第1接触面は、シート支持部32の底面32D(
図4参照)との間で角部を形成する。前記第2接触面は、突出部33が第2孔部62Bに挿通された場合に第2面64Bと接触する平面である。前記第2接触面は、前記第1接触面との間で角部を形成する。段差部34は、左右方向D3に長尺である。
【0050】
トレイ支持部63の角部64は、第2孔部62Bに突出部33が挿通された排紙トレイ31(
図4に示される排紙トレイ31D参照)の段差部34と接触して、突出部33を中心とする当該排紙トレイ31の回動を係止する。これにより、排紙トレイ31が、前記第1装着姿勢で支持される。
【0051】
また、トレイ支持部63の第2面64Bは、第1孔部62Aに突出部33が挿通された排紙トレイ31(
図4に示される排紙トレイ31C参照)における底面32Dと前記第1接触面とにより形成される角部と接触して、突出部33を中心とする当該排紙トレイ31の回動を係止する。これにより、排紙トレイ31が、前記第2装着姿勢で支持される。なお、底面32Dと前記第1接触面とにより形成される角部は、排紙トレイ31が前記第2装着姿勢で支持される場合に第2面64Bと面接触することが可能となるように面取りされていることが望ましい。
【0052】
図4に示されるように、トレイ支持部63は、第2面64Bから隆起する隆起部65を備える。隆起部65は、第1孔部62Aの下側において左右方向D3に沿って形成される。隆起部65は、第1孔部62Aに突出部33が挿通された排紙トレイ31(
図4に示される排紙トレイ31C参照)における背面32E(
図4参照)と接触して、突出部33を中心とする当該排紙トレイ31の回動を係止する。これにより、排紙トレイ31が2点で支持されるため、排紙トレイ31の姿勢が安定する。
【0053】
例えば、後処理装置3では、排紙トレイ31の位置が上であるほど、排出方向D4に対する排紙トレイ31の傾斜角度が大きくなるように、装着部25各々に排紙トレイ31が装着される。これにより、上下方向D1に連続する2つの排紙トレイ31の間に形成される、下側の排紙トレイ31に排出されたシートへのアクセス空間が狭くなることが回避される。そのため、ユーザーによる排紙トレイ31に排出されたシートへのアクセスがしづらくなることを回避可能である。ここで、画像形成装置100のユーザーにより実行される、排紙トレイ31の位置が上であるほど排出方向D4に対する排紙トレイ31の傾斜角度が大きくなるように装着部25各々に排紙トレイ31を装着する工程は、本発明のシート排出装置の使用方法に含まれる装着ステップの一例である。
【0054】
このように、画像形成装置100は、壁部61において排出方向D4に沿って並んで設けられ、それぞれが突出部33を挿通可能に形成される複数の孔部62を備える。また、画像形成装置100は、複数の孔部62のいずれかに突出部33が挿通された排紙トレイ31を、当該排紙トレイ31の下側から、複数の孔部62に対応する互いに排出方向D4に対する傾斜角度が異なる複数の前記装着姿勢のうち突出部33が挿通された孔部62に対応する前記装着姿勢で支持するトレイ支持部63を備える。これにより、前記角度調整機構を備える装置と比較して、簡素な構成で排紙トレイ31の傾斜角度を切り替えることが可能である。
【0055】
また、画像形成装置100は、第2孔部62Bよりも排出方向D4の下流側で排出方向D4を向く第1面64Aと第1面64Aよりも排出方向D4の上流側で上方向を向く第2面64Bとにより形成される角部64を有するトレイ支持部63を備える。また、画像形成装置100は、第2孔部62Bに突出部33が挿通された場合に角部64と接触する段差部34を有する排紙トレイ31を備える。これにより、トレイ支持部63が複数の前記装着姿勢に対応する複数のトレイ支持形状66(
図5参照)を有する構成と比較して、トレイ支持部63の形状を簡素化可能である。
【0056】
なお、
図5に示されるように、トレイ支持部63は、複数の前記装着姿勢に対応する複数のトレイ支持形状66を備えていてもよい。トレイ支持形状66各々は、排紙トレイ31における排出方向D4の上流側の端部を、当該トレイ支持形状66に対応する前記装着姿勢で支持可能な形状であればよい。また、
図5に示されるように、孔部62の数は、3つ以上であってもよい。
【0057】
また、本発明は、後処理装置3に替えて、一つの排出口24と、当該排出口24に対応する排紙トレイ31とを含むシート排出装置を備える画像形成装置100に適用されてもよい。
【0058】
また、本発明のシート排出装置によって排出されるシートは、画像が形成されたシートに限られず、スキャナーによって画像を読み取られたシートなどであってもよい。
【要約】
画像形成装置(100)は、シートを支持するシート支持部(32)、及びシート支持部(32)における排出方向D4の上流側の端部であって排出方向D4と直交する幅方向の側部から前記幅方向の外側へ向けて突出する突出部(33)を有する排紙トレイ(31)と、排紙トレイ(31)が着脱される装着部(25)と、を備え、装着部(25)は、排出方向D4に沿って並んで設けられ、それぞれが突出部(33)を挿通可能に形成される複数の孔部(62)と、複数の孔部(62)のいずれかに突出部(33)が挿通された排紙トレイ(31)を当該孔部(62)に対応する傾斜角度の装着姿勢で支持するトレイ支持部(63)と、を備える。