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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240702BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20240702BHJP
   H01F 27/26 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01F17/04 N
H01F27/02 N
H01F27/26 130W
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024525590
(86)(22)【出願日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2023046354
【審査請求日】2024-04-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】谷藤 将覧
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 快飛
(72)【発明者】
【氏名】門馬 利真
(72)【発明者】
【氏名】前沢 翔
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-50280(JP,A)
【文献】特開2009-224649(JP,A)
【文献】特開2021-125695(JP,A)
【文献】特開2020-126909(JP,A)
【文献】実開昭59-131112(JP,U)
【文献】実開昭57-155823(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 27/02
H01F 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一コアと、
収容凹部が形成されて、当該収容凹部に前記第一コアを収容するベース部と、
前記ベース部に設けられた端子部と、
前記端子部に接続して、前記第一コアにおける巻芯部および前記ベース部の周囲に螺旋状に配置された少なくとも一つのコイルと、
前記第一コアの上方に配置された第二コアと、を有し、
前記第二コアは、
平板部と、前記コイルの軸方向において前記平板部の一端部から前記収容凹部の底面に向かって延びる脚部と、を含み、
前記収容凹部は、
前記巻芯部が収容される第一空間と、前記第一空間とは異なる空間であって前記脚部が収容される第二空間と、を含み、
前記ベース部は、
前記軸方向における前記脚部の内方側に配置された脚部規制部を有する、コイル部品。
【請求項2】
前記脚部は、前記脚部規制部側を向く内側面を有し、
前記内側面と直交する方向である直交方向は、前記軸方向に対して傾いている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記ベース部は、
前記ベース部の幅方向において前記第一コアの両側に配置された、二つで一対の前記脚部規制部を有し、
前記脚部は、
前記一対の前記脚部規制部のうち第一の前記脚部規制部と接触しており、
前記一対の前記脚部規制部のうち第二の前記脚部規制部と離間している、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記脚部は、
前記内側面から前記直交方向の内向きに突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記一対の前記脚部規制部に挟まれて配置されている、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記脚部規制部における前記脚部の方を向く側面は、
前記第一コアに前記第二コアが載置されるときの載置方向に対して斜めに傾いており、
前記脚部規制部と前記脚部における下端部との距離は、前記脚部規制部と前記脚部の上端部との距離よりも小さい、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記ベース部において前記第二空間を画成する底面部は、
前記底面部における前記第一コアが載置される面から上方に突出して前記ベース部の幅方向において前記第一コアを挟んで配置される二つで一対の高台部を有する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記脚部の下面と、前記一端部の上面と、は対向して配置されており、
前記ベース部の幅方向における前記脚部の前記下面の両端部は、
前記幅方向における前記一端部の前記上面の両端部のそれぞれよりも前記幅方向における外側に配置されており、
前記第二コアの前記底面における前記両端部は、
前記高台部の上面と対向して離間している、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第二コアは、
前記軸方向における両端部のそれぞれにおいて前記脚部を有しており、
前記第一コアは、前記軸方向において二つの前記脚部の間に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項9】
第一の前記脚部と前記第一コアとの距離は、第二の前記脚部と前記第一コアとの距離よりも大きい、請求項8に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品には、複数に分割されたコアを有し、当該コアの一部にコイルが巻回されてなるものがある。この種の技術に関し、下記特許文献1には、絶縁枠体(24)、二つのコア(磁性コア(10)および第2磁性コア(23))およびコイル(54)を有するコイル部品(100)が開示されている。具体的には、絶縁枠体(24)にU型形状の磁性コア(10)が収容されており、当該絶縁枠体(24)および当該U型形状の磁性コア(10)の周囲にコイル(54)が巻回されている。また、U型形状の磁性コア(10)の上方にはI型形状の第2磁性コア(23)が配置されている。
I型形状の第2磁性コア(23)の一部の側方は、絶縁枠体(24)の第1壁部(27)等の壁部に囲まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-126909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1におけるコイル部品(100)において、第2磁性コア(23)が絶縁枠体(24)に対してずれて配置されうるという問題が生じうる。具体的には、第2磁性コア(23)が、絶縁枠体(24)に対してコイル(54)の軸方向にずれる、または上方から見て絶縁枠体(24)に対して回転するようにずれるという問題が生じうる。
例えば、コイル部品を実装基板に載置して表面実装する場合、上方から視認される上方の磁性コアの位置および向きをコイル部品全体の位置および向きとみなして実装基板に位置合わせする場合がある。この場合、上方に配置された磁性コアである第2磁性コア(23)が絶縁枠体(24)に対して軸方向または回転方向にずれて配置されていると、コイル部品が実装基板に対して適切な位置または向きで配置されないという問題が生じうる。
他にも、上方の磁性コア(第2磁性コア(23))が絶縁枠体(24)に対して軸方向または回転方向にずれて配置されている場合には、上方に配置された磁性コア(第2磁性コア(23))が下方に配置された磁性コア(磁性コア(10))に対してずれて配置され得る。この場合、適切な磁気特性を得られない場合がある。
【0005】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、上方に配置されるコアが、ベース部に対してコイルの軸方向にずれて、または上方から見たときベース部に対して回転するようにずれて配置されることが抑制されたコイル部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコイル部品は、第一コアと、収容凹部が形成されて、当該収容凹部に前記第一コアを収容するベース部と、前記ベース部に設けられた端子部と、前記端子部に接続して、前記第一コアにおける巻芯部および前記ベース部の周囲に螺旋状に配置された少なくとも一つのコイルと、前記第一コアの上方に配置された第二コアと、を有し、前記第二コアは、平板部と、前記コイルの軸方向において前記平板部の一端部から前記収容凹部の底面に向かって延びる脚部と、を含み、前記収容凹部は、前記巻芯部が収容される第一空間と、前記第一空間とは異なる空間であって前記脚部が収容される第二空間と、を含み、前記ベース部は、前記軸方向における前記脚部の内方側に配置された脚部規制部を有する。
【0007】
本発明のコイル部品は上方に配置される第二コアが下方に延びる脚部を有し、軸方向における当該脚部の内方側にはベース部の脚部規制部(規制部)が配置されている。これにより、ベース部に対して第二コアが軸方向にずれようとする、または上方から見て回転するようにずれようとする場合には、規制部が第二コアの動きを規制することで第二コアのずれが抑制される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコイル部品によれば、規制部によってベース部に対して第二コアがずれることが抑制される。これにより、上方に配置される第二コアが、ベース部に対してコイルの軸方向にずれて、または上方から見たときベース部に対して回転するようにずれて配置されることが抑制されたコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
図1】本発明の第一実施形態にかかるコイル部品の一例を示す斜視図である。
図2】第一実施形態にかかるコイル部品の分解斜視図である。
図3】第一実施形態にかかるコイル部品の左面図である。
図4】第一実施形態にかかるコイル部品の上面図である。
図5】第一実施形態にかかるコイル部品の正面図である。
図6】第一実施形態にかかるコイル部品の下面図である。
図7図7(a)は図3における一点鎖線に沿う断面を矢線VII-VIIの方向に見た断面図である。図7(b)は第二コアが回転状態の場合において、図3の一点鎖線に沿う断面を矢線VII-VIIの方向に見た断面図である。
図8図4中の一点鎖線に沿う断面を矢線VIII-VIIIの方向に見た断面図である。
図9図9(a)はコイル部品の前端部およびその近傍の上面図である。第二コアは図示省略されている。図9(b)は図4中の一点鎖線に沿う断面を矢線IX-IXの方向に見た断面図である。
図10】本発明の第二実施形態にかかるコイル部品の前端部およびその近傍の横断面図である。第二実施形態にかかるコイル部品の、図3中の一点鎖線に対応する断面図であって、図3中の矢線VIII-VIIIの方向に対応する方向に見た断面図である。
図11図11(a)は本発明の第三実施形態にかかるコイル部品の一例を示す縦断面図である。図11(b)は第三実施形態にかかるコイル部品の他の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のコイル部品の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各図面において、対応する構成要素には共通の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
なお、本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものであり、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。本実施形態における上下方向とは、実装基板にコイル部品を載置した場合における当該実装基板の表面に直交する方向である。水平な実装基板にコイル部品が載置される場合は、上下方向と鉛直方向とが一致するが、傾いた実装基板にコイル部品が載置される場合は、上下方向は鉛直方向に対して傾いた方向となる。前後方向および左右方向を横方向と呼ぶ場合がある。本実施形態において前後方向はコイルの軸方向と一致する。また、左右方向をコイル部品の幅方向と呼ぶ場合があり、上下方向をコイル部品または当該コイル部品における部材の高さ方向と呼ぶ場合がある。
また、本発明でいう平面とは、平面を目標として物理的に形成した形状を意味しており、当然ながら幾何学的に完全な平面であることは要しない。
【0013】
<第一実施形態>
(コイル部品)
図1は、本発明の第一の実施形態にかかるコイル部品1の一例を示す斜視図である。図2は、コイル部品1の分解斜視図である。
【0014】
はじめに、本実施形態のコイル部品1の概要について説明する。
図2に図示されるように、本実施形態のコイル部品1は、第一コア10とベース部30と端子部40と少なくとも一つのコイル50と第二コア20とを有する。ベース部30には収容凹部32が形成されている。ベース部30は、当該収容凹部32に第一コア10を収容する。端子部40は、ベース部30に設けられている。コイル50は、端子部40に接続する。当該コイル50は、第一コア10における巻芯部12およびベース部30の周囲に螺旋状に配置されている。第二コア20は、第一コア10の上方に配置されている。
第二コア20は、平板部22と脚部24とを含む。脚部24は、コイル50の軸方向において平板部22の一端部(コア端部14)から収容凹部32の底面に向かって延びている。
収容凹部32は、第一空間34と第二空間36とを含む。第一空間34には、巻芯部12が収容される。第二空間36は第一空間34とは異なる空間である。第二空間36には、脚部24が収容される。
ベース部30は、脚部規制部(規制部38)を有する。規制部38は軸方向における脚部24の内方側に配置されている。
本発明のコイル部品1は上方に配置される第二コア20が下方に延びる脚部24を有し、軸方向における当該脚部24の内方側にはベース部の規制部が配置されている。これにより、ベース部30に対して第二コア20が軸方向にずれようとする、または上方から見て回転するようにずれようとする場合には、規制部38が第二コアの動きを規制することで第二コアのずれが抑制される。これにより、上方に配置される第二コア20が、ベース部30に対してコイル50の軸方向にずれて、または上方から見たときベース部30に対して回転するようにずれて配置されることが抑制されたコイル部品1を提供することができる。なお、第二コア20がベース部30に対してコイル50の軸方向にずれることを横ずれ、第二コア20がベース部30に対して上方から見て回転するようにずれることを回転ずれと呼ぶ場合がある。
【0015】
次に、本実施形態のコイル部品1について詳細に説明する。
コイル部品1とは、コイル50を有する電子部品である。電子部品とは、電子回路の一部を構成しうる部品である。コイル部品1としてトランス、アンテナまたはインダクタ等が例示される。本実施形態におけるコイル部品1は、図示しない実装基板上に後述する端子部40の実装面を接触させるように配置されて実装される。
【0016】
コイル50とは、導電性材料が螺旋状に配置されてなる部材である。本実施形態におけるコイル50は、断面が円形のコイルワイヤが螺旋状に配置されてなるコイルである。コイル50は断面が偏平形状(矩形または楕円形等)のコイルワイヤで形成されていてもよい。コイル50は製造方法に限定されず、導電性材料が螺旋状に形成されたもの全般であってよい。本実施形態において、コイル50は第一コア10およびベース部30にコイルワイヤを巻き付けて形成されている。コイル50におけるコイルワイヤは第一コア10の上面、あるいはベース部30の巻芯側部35または底面部30aに圧接していてもよく、当接していてもよい。または、第一コア10の上面、あるいはベース部30の巻芯側部35または底面部30aにコイルワイヤが食い込むように配置されていてもよい。あるいは、コイルワイヤは、第一コア10の上面、あるいはベース部30の巻芯側部35または底面部30aと離間していてもよい。
本実施形態に代えて、コイル50は、予め導電性材料を芯部分が中空となるように螺旋状に配置して形成されてもよい。この場合、当該コイルの形成後、当該コイルの中空部分に第一コア10およびベース部30が挿入されてよい。巻回部53の内面(平線の周面)と第一コア10またはベース部30とは離間していても接していてもよい。
【0017】
コイル部品1は一または複数のコイル50を有していてよい。本実施形態において、コイル部品1は二つのコイル50(第一コイル51および第二コイル52)を有する。第一コイル51の軸方向および第二コイル52の軸方向はいずれも前後方向であり、第一コイル51および第二コイル52のそれぞれの軸方向は互いに平行に配置されている。より具体的には、第一コイル51の巻軸は第二コイル52の巻軸と同一直線上に配置される。
コイル50はコイルワイヤが巻回されてなる巻回部53を有する。コイル50は、コイルワイヤの両端部であって巻回部53から引き出されたコイルワイヤの一部である引出部54を有する。本実施形態のコイル50においてコイルワイヤの両端部が引き出されており、両端部のそれぞれが端子部40と接続する。
図3に図示されるように、引出部54は端子部40(継線部42)に向かって伸びている。より具体的には、図6に図示されるように、引出部54はベース部30の下面に沿って配線されて、巻回部53から継線部42へ渡っている。引出部54と継線部42とは電気的に接続している。
【0018】
端子部40はコイル50に電気的に接続する電極部材である。端子部40はコイル部品1の入力電極または出力電極となる。端子部40は金属等の導電性部材で形成されている。
図6に図示されるように、後述する二つの側壁部37のそれぞれには、二つの端子部40が設けられている。端子部40は、継線部42、中間部44および実装部46を有する。
継線部42とは、引出部54の端部が接続する一部である。本実施形態のコイル部品1は、製造過程において継線部42に引出部54の端部が絡げられ、継線部42と引出部54の端部とが溶接されることで製造されている。継線部42と引出部54とははんだ付け等で接合されていてもよい。
実装部46は、端子部40のうちコイル部品1を実装する際に基板(図示せず)に接地する一部である。具体的には、実装部46は下方を向く実装面を含み、実装面と基板とが面接触する。実装部46と基板とははんだ付け等で接合される。
中間部44は、継線部42と実装部46とに挟まれた部位である。本実施形態において、中間部44はベース部30に埋設されている。継線部42および実装部46はベース部30から露出している。
【0019】
コア(第一コア10および第二コア20)は、磁性材料により形成された部材である。本実施形態において、第一コア10はいわゆるIコア、第二コア20はいわゆるUコアである。第一コア10および第二コア20は組み合わされて閉磁路を構成している。第一コア10および第二コア20の形状は上記に限られない。例えば、第一コア10および第二コア20がそれぞれL字形状を有しており、組み合わされて閉磁路を形成していてもよい。または、第一コア10および第二コア20がいずれもUコアであってもよい。
第一コア10と第二コア20との間には図示しない接着剤が配置されていてもよい。具体的には、後述するコア端部14の上面10aは脚部24の下面24cと接着剤を介して接着していてもよい。また、第一コア10と第二コア20との間にはギャップを形成するためのシート(非磁性体のスペーサーシート)が配置されていてもよい。二つのスペーサーシートが、前方側のコア端部14と脚部24の下面24cとの間、および後方側のコア端部(コア端部14)と脚部24の下面24cとの間のそれぞれに配置されていてもよい。または、一枚のスペーサーシートが、第一コア10における両端部(コア端部14,14)に渡って配置されていてもよい。すなわち、第一コア10の上面の略全体に一枚のスペーサーシートが配置されて、当該スペーサーシートが前方側のコア端部14と脚部24との間、および後方側のコア端部14と脚部24との間に配置されていてもよい。
【0020】
第一コア10は、第二コア20の下方に配置されるコアである。本実施形態において第一コア10は横方向に延在する平板である。前後方向における第一コア10の中央部にあたる巻芯部12の周囲には、コイル50が巻回されている。ここで所定の部材(第一コア10またはベース部30等)にコイル50が巻回されているとは、当該所定の部材の周囲にコイル50が配置されていることをいう。所定の部材とコイル50との間に何らかの部材が配置されていてもよく、されていなくてもよい。すなわち、所定の部材にコイル50が巻回されているとは、所定の部材にはコイル50が間接にまたは直接に巻回されていることを含む。本実施形態において第一コア10はベース部30を介して間接にコイル50が巻回されていると言える。前後方向における第一コア10の両端部はコア端部14である。
第二コア20は第一コア10の上方に配置されるコアである。第二コア20は第一コア10に接して第一コア10の上に直接載置されていてもよく、第一コア10の上面と離間して第一コア10の上方に配置されていてもよい。本実施形態では、第一コア10のコア端部14に後述する第二コア20の脚部24の下面が接触して、第一コア10の上に第二コア20が直接に載置されている。
第二コア20は平板部22と一または複数の脚部24を有する。具体的には、第二コア20は前後方向における平板部22の両端部のそれぞれに隣接する二つの脚部24を有する。平板部22とは、第二コア20において横方向に延在する平板形状を有する一部である。脚部24は、第二コア20において平板部22の主面に交差する方向に延在する一部である。脚部24は平板部22から下方に突出して形成されている。脚部24は平板部22の主面に対して直交する方向に延在していてもよく、斜めの方向に延在していてもよい。
【0021】
ベース部30とは、第一コア10および第二コア20を保持する部材である。ベース部30は樹脂等の絶縁性材料で形成されている。
ベース部30における収容凹部32とは、第一コア10または第二コア20が配置される空間である。本実施形態において収容凹部32はベース部30が下方に窪んで形成されている。
収容凹部32は第一コア10を収容する。収容凹部32が第一コア10を収容するとは、第一コア10の少なくとも一部が収容凹部32に配置されていることをいう。本実施形態においては収容凹部32に第一コア10の全体が配置されている。より具体的には、第一コア10は第一空間34および第二空間36に跨がって配置されている。
第一空間34とは、第一コア10の巻芯部12が収容される空間である。具体的には、第一空間34は、底面部30aおよび巻芯側部35によって画成されている。本実施形態において、第一空間34の上端部はベース部30の仮想的な上面(後述する側壁部37の上端部を包含する仮想面)において終端している。第一空間34の前後方向の境界については後述する。
巻芯側部35は、ベース部30のうち底面部30aから起立して配置される一部である。本実施形態において二つの巻芯側部35が左右方向に離間して配置されている。当該二つの巻芯側部35の間に巻芯部12が配置される。
【0022】
第二空間36が第一空間34と異なる空間であるとは、第二空間36が第一空間34に重複しないことをいう。
第二空間36とは、第二コア20の脚部24の少なくとも一部が配置される空間である。本実施形態においては、前後方向に離間して配置される一対の脚部24のそれぞれを収容する二つの第二空間36を収容凹部32は含む。当該二つの第二空間36は前後方向において第一空間34を挟んで配置されている。
第二空間36は、底面部30aおよび側壁部37に画成されている。底面部30aとは、ベース部30の下面を含む一部である。側壁部37はベース部30のうち底面部30aから起立して形成されている壁の一部であり、平面視でU字状をなして脚部24の側方を囲う。具体的には、前後方向における脚部24の外方側、および左右方向における脚部24の両側に側壁部37は配置されている。ここで、前後方向における外方側とは、前後方向におけるベース部30の周縁(上方から見たときのベース部30の周縁)側をいう。また、前後方向における内方側とは、前後方向におけるベース部30の中心(上方から見たときのベース部30の中心)側をいう。また、本実施形態における第二空間36の上端は側壁部37の上端部が含まれる仮想面(横方向に延在する仮想面)である。本実施形態において、図5に図示されるように、第二コア20(特に平板部22)の上面側の一部は側壁部37の上端部よりも上方に配置されている。すなわち、平板部22の上面側の一部は、ベース部30の包絡体積外に配置されている。換言すれば、第二コア20の平板部22の下面側の一部は収容凹部32内(特に第二空間36または第一空間34)に配置されて、平板部22の上面側の一部は収容凹部32の外部に配置されている。
本実施形態における第二空間36には、第二コア20の脚部24に加えて、第一コア10のコア端部14も配置される。後述する第三実施形態のように、コア端部14は第二空間36に配置されなくてもよい。
なお、図7(a)に図示されるように、収容凹部32には後述する一対の規制部38のそれぞれの第二側面38dに挟まれた空間(第一コア10におけるコア端部14と巻芯部12との境界部分が配置される空間。境界空間という。)が含まれる。当該境界空間は、第一空間34に属してもよく、第二空間36に属してもよい。
【0023】
図7(a)に図示されるように、規制部38とは、ベース部30の一部であり、脚部24の移動を規制できる一部である。ここで規制部38が脚部24の移動を規制できるとは、コイル部品1の製造過程または完成品において脚部24がベース部30に対して移動することを規制部38が規制可能であることをいう。規制部38が脚部24の移動を規制できるとは、コイル部品1の完成品において脚部24がベース部30に対してある方向に移動することが規制されていることのほか、コイル部品1の製造過程において脚部24が規制部38に当接可能でありベース部30に対してある方向に移動することを規制部38が規制できることも含む。
規制部38は、脚部24に隣接して配置されることで脚部24の移動を規制する。ここで規制部38が脚部24に隣接するとは、規制部38と脚部24との離間距離が所定の距離以下であることをいう。具体的には、規制部38と脚部24との離間距離(距離D3)は、側壁部37と脚部24の離間距離(距離D4または距離D5)よりも小さいことが好ましい。より具体的には、前後方向における規制部38と脚部24との距離は、前後方向における側壁部37と脚部24との距離(距離D4)または左右方向における側壁部37と脚部24との距離(距離D5)よりも小さいことが好ましい。
本実施形態における規制部38は左右方向に延在する内壁部である。当該内壁部は第一空間34および第二空間36のそれぞれを画成しているといえる。当該内壁部は、ベース部30における底面部30a(図2参照)から起立するように配置されている。また、当該内壁部は側壁部37と一体的に形成されている。
規制部38の形状は本実施形態のような内壁部に限定されない。例えば、規制部38は底面部30aから上方に突出する柱形状部でもよく、当該柱形状部は側壁部37と離間して形成されていてもよい。または、規制部38は側壁部37から左右方向の内側に突出するように形成された突出部であってもよい。当該突出部はベース部30における底面部30a(図2参照)と離間していてもよい。
本実施形態において、前後方向におけるベース部30の寸法は、左右方向におけるベース部30の寸法よりも大きいが、左右方向におけるベース部30の寸法は前後方向におけるベース部30の寸法に対して所定以上の大きさを有している。言い換えると、第一空間34を構成するベース部30の一部に関して言えば、左右方向における寸法が前後方向における寸法より大きい。規制部38は、前後方向においてベース部30の中央に近い位置に配置されている。より具体的には、左右方向におけるベース部30の中央と、規制部38(第二側面38d)と、の間の左右方向における距離(距離D8)は、前後方向におけるベース部30の中央と、規制部38(規制部38の前後方向における中央または規制部38の巻回部53側の主面)と、の間の前後方向における距離(距離D9)よりも大きい。また、左右方向に並ぶ一対の規制部38における第二側面38d同士の対向間隔は、第一脚部24fと第二脚部24gとの前後方向の距離(一対の脚部24の内側面24d同士の対向間隔)よりも大きい。このような寸法関係により、後述するように脚部24の内側面24dが規制部38(特に第二側面38d)に接触しやすい。
【0024】
本実施形態において、規制部38はコイル50を巻回することを補助する巻枠部でもある。すなわち、規制部38は、軸方向においてコイル50(巻回部53)の外方側に配置されている。より詳細には、規制部38は、軸方向においてコイル(巻回部53におけるコイルワイヤ)と脚部24とに挟まれて配置されている。
【0025】
図7(a)に図示されるように、ベース部30は、二つで一対の規制部38(第一規制部38a、第二規制部38b)を有する。当該二つで一対の規制部38は、ベース部30の幅方向において第一コア10の両側に配置されている。第一規制部38aおよび第二規制部38bのそれぞれは、左右方向における一つの脚部24の両端部のそれぞれに隣接している。これにより、脚部24のずれがより良好に抑制される。
なお、本実施形態において第二コア20は二つの脚部24を有する。そのため、本実施形態においては、各脚部24の両端部に規制部38が隣接して配置されている。すなわち、本実施形態においてベース部30は四つの規制部38を有する。
【0026】
図7(b)に図示されるように、脚部24は、規制部38側を向く内側面24dを有する。図7(b)中の一点鎖線IIで示す直交方向は、軸方向(図7(b)中の一点鎖線Iで示す方向)に対して傾いていてもよい。すなわち、上方から見て第二コア20は軸方向に対して回転して配置されていてもよい。直交方向とは、内側面と直交する方向である。本実施形態において直交方向は、一対の脚部24,24が並ぶ方向とも言える。
第二コア20を所定の方向に回転させて配置することで、軸方向に対する直線方向の角度差についての製品誤差を減らすことができる。すなわち、第一コア10に対する第二コア20の位置ずれに起因する磁気特性の製品誤差を減らすことができる。
本実施形態において内側面24dは平坦な面であるが、若干湾曲した曲面であってもよい。内側面24dが曲面である場合には、上方から見たときの左右方向における内側面24dの中央近傍における接線に直交する方向を直交方向としてよい。
また、本実施形態において内側面24dは内壁部である規制部38の主面(後述する第一側面38c)と対向している。内側面24dと第一側面38cとが平行に配置されていてもよく、内側面24dが第一側面38cに対して交差する位置に配置されていてもよい。
本実施形態では、第二コア20は、軸方向に対して反時計回りに回転して配置されているが、第二コア20は軸方向に対して時計回りに回転して配置されていてもよい。直交方向と軸方向とがなす角度(回転角度)は0度より大きく10度より小さいことが好ましい。さらに好ましくは、回転角度は0度より大きく5度より小さい。これにより、コイル部品1を実装基板に載置して表面実装する際の位置または向きのずれの発生を低減できる。
本実施形態において、左右方向における脚部24の寸法(幅寸法)は、左右方向におけるコア端部14の寸法(幅寸法)よりも大きい。これにより、第二コア20が軸方向に対して回転して配置された場合でも、第二コア20(脚部24の下面24c(図9(b)参照))と第一コア10(コア端部14の上面10a(図9(b)参照))とが上下方向に重複する領域の面積が大きく減ることを抑制できる。これにより、大きな磁束漏れが生じることが抑制される。
また、本実施形態において、左右方向に離間する一対の規制部38のうち、前後方向における第一規制部38aと内側面24dとの距離は、前後方向における第二規制部38bと内側面24dとの距離よりも小さい。前後方向における第一規制部38aと内側面24dとの距離には、第一規制部38aと内側面24dとが当接して零である場合も含む。
図7(b)に図示されるように直交方向が軸方向に対して傾いていることに代えて、図7(a)に図示されるように、直交方向が軸方向と並行していてもよい。
【0027】
図7(b)に図示されるように、脚部24は、一対の規制部38のうち第一規制部38aと接触している。一方、脚部24は、一対の規制部38のうち第二規制部38bと離間している。具体的には脚部24における内側面24dと第一規制部38aにおける第一側面38cが接触している。後述する第二実施形態においては、図10で示す第一側面38cと内側面24dとが接触していてもよく、第二側面38dと段差部24eの側面(特に左右方向の外方側を向く面)とが接触していてもよい。脚部24を規制部38に接触させておくことにより、第一コア10に対する第二コア20の位置ずれについて製品誤差をより良好に減らすことができる。
本実施形態において、前後方向において脚部24の外方側を向く側面は側壁部37に当接している。脚部24が側壁部37および規制部38の二箇所に当接していることで、ベース部30における第二コア20の位置が良好に固定される。本実施形態では一対の脚部24のそれぞれが側壁部37および規制部38の二箇所に当接している態様を例示するが、これに代えて、一方の脚部24が側壁部37と当接して規制部38と離間し、他方の脚部24が規制部38と当接して側壁部37と離間してもよい。
【0028】
図8に図示されるように、第一側面38cは、規制部38における脚部24の方を向く側面である。第一側面38cは、内壁部である規制部38における主面でもある。本実施形態において、第一側面38cは、載置方向(上下方向)に対して斜めに傾いている。載置方向とは、第一コア10に第二コア20が載置されるときの方向である。換言すると、載置方向とは、第一コア10の上面または第二コア20の下面(脚部24の下面24c)に直交する方向でもある。
規制部38と脚部24における下端部24aとの距離(距離D1)は、規制部38と脚部24の上端部24bとの距離(距離D2)よりも小さい。
上記の構成により、第二空間36は開口部において大きく開口しており、底面部30a近傍において狭くなっている。結果、第二空間36への第二コア20の配置のしやすさを保ちつつ、第二コア20を第一コア10上の所望の位置に配置することができる。
なお、図8における第一側面38cは、便宜上大きく傾斜して図示されている。
【0029】
第一側面38cが上下方向に対して傾斜しているとは、より具体的には、第一側面38cは底面部30a側に向かうにつれて(下方に向かうにつれて)前後方向の外方側に傾斜している。これにより、第二空間36は上方ほど広く開口し、下方ほど狭くなっている。特に前後方向における第二空間36の寸法は上方ほど大きく、下方ほど小さい。
本実施形態において第一側面38cは傾斜する平坦な面であるが、これに限られない。第一側面38cは湾曲面であってもよい。例えば第一側面38cは脚部側に突出した凸面でもよく、窪んだ凹面でもよい。
脚部24の上端部24bと第一側面38cとの距離(距離D2)とは、前後方向における上端部24bにおける表面(内側面24dの上側の一部)と第一側面38cの上側の一部(上端近傍)との距離である。脚部24の下端部24aと第一側面38cとの距離(距離D1)とは、前後方向における下端部24aにおける表面(内側面24dの下側の一部)と第一側面38cの下側の一部(下端近傍)との距離である。
【0030】
図9(a)に図示されるように、底面部30aは、二つで一対の高台部31を有する。図9(b)に図示されるように、当該二つで一対の高台部31は、底面部30aにおける第一コア10が載置される面(底面30b)から上方に突出する。また、当該二つで一対の高台部31は、ベース部30の幅方向において第一コア10を挟んで配置される。一対の高台部31によって第一コア10の位置ずれが良好に抑制される。
本実施形態において、図2に図示されるように、高台部31の側面(左右方向における内側を向く面)は、巻芯側部35の側面(左右方向における内側を向く面)と連続して連なっている。また、高台部31の当該側面は、規制部38における第二側面38d(図7(a)参照)とも連続して連なっている。すなわち、高台部31の側面、巻芯側部35の側面、および規制部38における第二側面38dは同一平面(軸方向に延在する面)上に配置されている。高台部31の側面、巻芯側部35の側面、および規制部38における第二側面38dからなる面によって、第一コア10が軸方向に位置決めされる。
図9(b)に図示されるように、本実施形態において第一コア10の側面と各高台部31(その側面)とは離間している。すなわち、第一コア10の側面と高台部31の側面との間には隙間が設けられている。当該隙間には接着剤等が流し込まれてもよい。本実施形態に代えて、第一コア10の側面と少なくとも一の高台部31の側面とが当接していてもよい。
【0031】
図9(b)に図示されるように、脚部24の下面24cと、第一コア10のコア端部14の上面10aと、は対向して配置されている。より具体的には、脚部24の下面24cは第一コア10の上面10aと面接触している。これにより、第二コア20の脚部24の下面端部24hが第一コア10の上面10aと接触していない場合と比較して、第二コア20の下面端部24hと第一コア10の上面10aとの間における漏れ磁束が小さくなる。本実施形態において、脚部24はコア端部14よりも幅広に形成されている。具体的には、ベース部30の幅方向(左右方向)における脚部24の下面24cの両端部(下面端部24h)は、幅方向におけるコア端部14の上面10aの両端部(上面端部10a1)のそれぞれよりも幅方向における外側に配置されている(外側まで延在している)。換言すると、脚部24の側面(左右方向の外側を向く側面)は、コア端部14の側面(左右方向の外側を向く側面)よりも左右方向における外方側に配置されている。
脚部24の下面24cの両端部(下面端部24h)は、高台部31の上面と対向して離間している。すなわち、下面端部24hと高台部31の上面との間には隙間がある。高台部31と第二コア20とが離間していることで、第一コア10と第二コア20とがより確実に接触するため、第一コア10と第二コア20との間における漏れ磁束が小さくなる。また、樹脂で作成された高台部31はフェライト等の磁性材料で作成された第一コア10よりも一般に熱膨張係数が大きい。これに対し、高台部31と第二コア20との間に上下方向に隙間が設けられていることにより、コイル部品1の使用時に熱が発生して高台部31が上方に不測に大きく膨張変形した場合でも、高台部31が第二コア20に接触して第一コア10と第二コア20とが離間するように高台部31が第二コア20を押し上げてしまうことが抑制される。
【0032】
<第二実施形態>
図10は本実施形態にかかるコイル部品1の一例を示す横断面図である。
はじめに、本実施形態のコイル部品1の概要について説明する。
【0033】
本実施形態のコイル部品1は、第一実施形態におけるコイル部品1と同様に以下の特徴を有する。
ベース部30は、脚部規制部(規制部38)を有する。規制部38は軸方向における脚部24の内方側に配置されている。
規制部38と脚部24における下端部24aとの距離は、規制部38と脚部24の上端部24bとの距離よりも小さい(第一実施形態における図8参照)。
底面部30aは二つで一対の高台部31を有し、二つで一対の高台部31は、ベース部30の幅方向において第一コア10を挟んで配置される(第一実施形態における図9(a)および図9(b)参照)。
下面24cの両端部(下面端部24h)は、高台部31の上面と対向して離間している(第一実施形態における図9(a)および図9(b)参照)。
【0034】
本実施形態の脚部24は、突出部(段差部24e)を有する点で第一実施形態と相違する。段差部24eは、脚部24の内側面24dから直交方向(図10中の前後方向)の内向きに突出している。段差部24eは、一対の規制部38に挟まれて配置されている。
脚部24が段差部24eを有することで、第二コア20および第一コア10により形成された磁路長を長くすることなく、段差部24eの断面積分だけ磁路断面を大きくすることができる。また、段差部24eが幅方向に規制部38に挟まれていることにより第二コア20の横ずれまたは回転ずれをより良好に抑制できる。
【0035】
次に、本実施形態のコイル部品1について詳細に説明する。
本実施形態のコイル部品1は、第二コアの脚部の形状において上記第一実施形態と相違する。
本実施形態における段差部24eは、脚部24の上端から下端まで延在している。すなわち段差部24eは上下方向(図10中の紙面奥行方向)に延在している。本実施形態に代えて、脚部24の上下方向における一部のみに段差部24eが形成されていてもよい。例えば、脚部24の上端近傍または下端近傍には段差部24eが形成されていなくてもよい。
本実施形態の段差部24eの幅寸法(左右方向の寸法)は、第一コア10の幅寸法と同等である。このため、段差部24eの下面の略全面は第一コア10の上面10a(図9(b)参照)に接触している。
第一実施形態と同様に本実施形態の左右方向に離間して配置される一対の規制部38(第一規制部38a、第二規制部38b)は、当該一対の規制部38の間の空間に面する第二側面38dを有する。段差部24eが一対の規制部38に挟まれて配置されているとは、より具体的には、段差部24eが一対の規制部38のそれぞれの第二側面38dに挟まれて配置されていることである。
【0036】
本実施形態において、図10に図示されるように、第二コア20の直交方向は、前後方向に一致する。
図10に図示される態様に代えて、第一実施形態の図7(b)に図示されるように、第二コア20の直交方向が、軸方向に対して傾いていてもよい。
その場合、一の規制部38(第一規制部38a)における第二側面38dと段差部24eとの距離は、他の規制部38(第二規制部38b)における第二側面38dと段差部24eとの距離よりも大きいことが好ましい。ここで、規制部38の第二側面38dと段差部24eとの距離とは、例えば規制部38の第二側面38dと、段差部24eの側面(左右方向の外側を向く側面)と、の左右方向における距離である。
また、好ましくは、脚部24は、一対の規制部38のうち第一規制部38aと接触しており、脚部24は、一対の規制部38のうち第二規制部38bと離間している。第一規制部38aにおける第二側面38dと脚部24の段差部24eの側面(左右方向の外側を向く側面)とが接触していてもよく、第一規制部38aにおける第一側面38cと脚部24の内側面24dとが接触していてもよい。
【0037】
<第三実施形態>
図11(a)および図11(b)は本実施形態にかかるコイル部品1の一例を示す縦断面図である。
はじめに、本実施形態のコイル部品1の概要について説明する。
【0038】
本実施形態のコイル部品1は、第一実施形態におけるコイル部品1と同様に以下の特徴を有する。
ベース部30は、脚部規制部(規制部38)を有する。規制部38は軸方向における脚部24の内方側に配置されている。
第二コア20の直交方向が、軸方向に対して傾いていてもよい(第一実施形態における図7(b)参照)。
脚部24は、一対の規制部38のうち第一規制部38aと接触しており、脚部24は、一対の規制部38のうち第二規制部38bと離間している(第一実施形態における図7(b)参照)。
規制部38と脚部24における下端部24aとの距離は、規制部38と脚部24の上端部24bとの距離よりも小さい(第一実施形態における図8参照)。
【0039】
図11(a)に図示されるように、本実施形態の第二コア20は、軸方向における両端部のそれぞれにおいて脚部24を有している点で第一実施形態と共通する。一方、本実施形態の第一コア10は、軸方向において二つの脚部24の間に配置されている点で第一実施形態と相違する。
上記構成によって、軸方向における第一コア10の端部と第二コア20の脚部24とを軸方向に離間させることができる。これによって第一実施形態または第二実施形態のように第一コア10のコア端部14上に第二コア20を載置する場合に比べて、非磁性体のスペーサーシートを使用せずに第一コア10と第二コア20との間にギャップを設けることができる。
【0040】
次に、本実施形態のコイル部品1について詳細に説明する。
本実施形態のコイル部品1は、第一コアの形状および第二コアの形状において上記第一実施形態および第二実施形態と相違する。
【0041】
図11(a)に図示されるように、本実施形態において、第二コア20は底面部30aに載置されている。第一実施形態と同様、脚部24は収容凹部32のうち第二空間36に配置されている。
一方、本実施形態における第一コア10は第一空間34のみに配置されて第二空間36には非配置である。すなわち、第一コア10は、脚部24の下方に非配置である。第一コア10は全体が巻芯部12となっており、第一コア10の略全体がコイル50の内径側に配置されている。第一コア10は、前後方向に離間して配置される一対の脚部24のそれぞれの内側面24dに前後方向に挟まれて配置されている。
【0042】
第一脚部24fと第一コア10との距離(図11(a)中の距離D6)は、第二脚部24gと第一コア10との距離(図11(a)中の距離D7)よりも大きくてもよい。
第一コア10が第二コア20の一方の脚部24に寄るように第一コア10を配置することで、第二コア20の位置に対する第一コア10の位置について、製品誤差を良好に減らすことができる。換言すれば、第一コア10を一方の脚部24の側に偏らせて配置し、特に一方の脚部24と当接させて配置することで、第一コア10の前後方向の位置決めができるため製造誤差を減らすことができる。
なお、第一コア10が前後方向において一対の脚部24,24の中央に配置された場合でも、第一コア10が前後方向において一対の脚部24,24の中央よりも前側または後側に配置された場合でも、第一コア10と各脚部24との距離の合計(距離D6および距離D7を合算した値)は一定である。すなわち、前後方向に第一コア10と第二コア20(脚部24)とを離間させてギャップを形成することにより、第一コア10の位置による磁気特性の誤差を減らすことができる。
ここで、脚部24と第一コア10との距離とは、より具体的には脚部24の内側面24dと、第一コア10の表面のうち前後方向の外方側を向く側面と、の前後方向における距離である。
また、距離D6が距離D7よりも大きいとは、距離D7が零である場合を含む。すなわち、図11(b)に図示されるように、第二脚部24gの内側面24dと第一コア10の側面とが接触していてもよい。
【0043】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0044】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)第一コアと、
収容凹部が形成されて、当該収容凹部に前記第一コアを収容するベース部と、
前記ベース部に設けられた端子部と、
前記端子部に接続して、前記第一コアにおける巻芯部および前記ベース部の周囲に螺旋状に配置された少なくとも一つのコイルと、
前記第一コアの上方に配置された第二コアと、を有し、
前記第二コアは、
平板部と、前記コイルの軸方向において前記平板部の一端部から前記収容凹部の底面に向かって延びる脚部と、を含み、
前記収容凹部は、
前記巻芯部が収容される第一空間と、前記第一空間とは異なる空間であって前記脚部が収容される第二空間と、を含み、
前記ベース部は、
前記軸方向における前記脚部の内方側に配置された脚部規制部を有する、コイル部品。
(2)前記脚部は、前記脚部規制部側を向く内側面を有し、
前記内側面と直交する方向である直交方向は、前記軸方向に対して傾いている、(1)のコイル部品。
(2-1)直交方向と軸方向とがなす角度は0度より大きく10度より小さい、コイル部品。
(2-2)直交方向と軸方向とがなす角度は0度より大きく5度より小さい、コイル部品。
(2-3)コイル部品の幅方向における脚部の下面の寸法は、コイル部品の幅方向におけるコア端部の上面の寸法よりも大きい、コイル部品。
(3)前記ベース部は、
前記ベース部の幅方向において前記第一コアの両側に配置された、二つで一対の前記脚部規制部を有し、
前記脚部は、
前記一対の前記脚部規制部のうち第一の前記脚部規制部と接触しており、
前記一対の前記脚部規制部のうち第二の前記脚部規制部と離間している、(2)のコイル部品。
(3-1)軸方向において脚部の外方側を向く側面は、側壁部に当接している、コイル部品。
(4)前記脚部は、
前記内側面から前記直交方向の内向きに突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記一対の前記脚部規制部に挟まれて配置されている、(3)のコイル部品。
(4-1)一の規制部における第二側面と段差部との距離は、他の規制部における第二側面と段差部との距離よりも大きい、コイル部品。
(5)前記脚部規制部における前記脚部の方を向く側面は、
前記第一コアに前記第二コアが載置されるときの載置方向に対して斜めに傾いており、
前記脚部規制部と前記脚部における下端部との距離は、前記脚部規制部と前記脚部の上端部との距離よりも小さい、(1)から(4)のコイル部品。
(5-1)第一側面は底面部側に向かうにつれて前後方向の外方側に傾斜している、コイル部品。
(6)前記ベース部において前記第二空間を画成する底面部は、
前記底面部における前記第一コアが載置される面から上方に突出して前記ベース部の幅方向において前記第一コアを挟んで配置される二つで一対の高台部を有する、(1)から(5)に記載のコイル部品。
(7)前記脚部の下面と、前記一端部の上面と、は対向して配置されており、
前記ベース部の幅方向における前記脚部の前記下面の両端部は、
前記幅方向における前記一端部の前記上面の両端部のそれぞれよりも前記幅方向における外側に配置されており、
前記第二コアの前記底面における前記両端部は、
前記高台部の上面と対向して離間している、(6)に記載のコイル部品。
(8)前記第二コアは、
前記軸方向における両端部のそれぞれにおいて前記脚部を有しており、
前記第一コアは、前記軸方向において二つの前記脚部の間に配置されている、(1)から(7)のコイル部品。
(9)第一の前記脚部と前記第一コアとの距離は、第二の前記脚部と前記第一コアとの距離よりも大きい、(8)のコイル部品。
【符号の説明】
【0045】
1 コイル部品
10 第一コア、10a 上面、10a1 上面端部、12 巻芯部、14 コア端部
20 第二コア、22 平板部、24 脚部、24a 下端部、24b 上端部、24c 下面、24d 内側面、24e 段差部、24f 第一脚部、24g 第二脚部、24h 下面端部
30 ベース部、30a 底面部、30b 底面、31 高台部、32 収容凹部、34 第一空間、35 巻芯側部、36 第二空間、37 側壁部、38 規制部、38a 第一規制部、38b 第二規制部、38c 第一側面、38d 第二側面
40 端子部、42 継線部、44 中間部、46 実装部
50 コイル、51 第一コイル、52 第二コイル、53 巻回部、54 引出部
【要約】
第一コア(10)と第二コア(20)と収容凹部(32)が形成されたベース部(30)とを有するコイル部品(1)である。第二コア(20)は、平板部(22)と脚部(24)とを含む。脚部(24)は、コイル(50)の軸方向において平板部(22)の一端部から収容凹部(32)の底面に向かって延びている。収容凹部(32)は、第一空間(34)と第二空間(36)とを含む。第一空間(34)には、第一コア(10)の巻芯部(12)が収容される。第二空間(36)は第一空間(34)とは異なる空間である。第二空間(36)には、脚部(24)が収容される。ベース部(30)は、脚部規制部(38)を有する。脚部規制部(38)は軸方向における脚部(24)の内方側に配置されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11