(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】クルクミノイド含有製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/9066 20060101AFI20240702BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240702BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240702BHJP
A61K 31/12 20060101ALI20240702BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240702BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240702BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A61K36/9066
A23L33/105
A61K47/60
A61K31/12
A61P35/00
A61P29/00
A61P39/06
(21)【出願番号】P 2019180099
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】592007612
【氏名又は名称】横浜油脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 純
(72)【発明者】
【氏名】染矢 慶太
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-201371(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159852(WO,A1)
【文献】Journal of Drug Delivery Science and Technology,2019年08月,Vol.53 No.101205,p.1-6
【文献】Food Science and Biotechnology,2018年,Vol.28 No.2,p.547-553
【文献】New Food Industry,1981年,Vol.23 No.11,p.18-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
A61K 47/00
A23L 33/105
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A:
平均粒子径が1600nm以上であるクルクミノイド含有粒子、B:
HLBが10以上15以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチン、C:
水または水に多価アルコール、無機塩類、及び増粘多糖類から選択される1種または2種以上を添加した水溶液からなる水相成分を含有してなり、Aのクルクミノイドの含有量が製剤全体に対して25~40質量%であり、Bのポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチンの含有量が製剤全体に対して4質量%以下である水系食品に分散配合させるためのクルクミノイド含有製剤。
【請求項2】
飲食品として摂取される、または飲食品に配合される請求項1に記載のクルクミノイド含有製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難水溶性のクルクミノイドを、容易に飲食品中に分散可能であり、経済的に調製可能なクルクミノイド含有製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
クルクミノイドは、植物ウコンの根茎などから抽出した天然の食用色素群で、カレー等のスパイスや着色料として広く利用されており、代表的な色素としてはクルクミン((1E ,6E )-1 ,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン、C2 1H2 0O6:分子量約368.4g/mol)が挙げられる。また、クルクミノイドは、近年、抗炎症作用、抗腫瘍作用及び抗酸化作用を期待する健康食品素材として錠剤やカプセル剤等に配合され広く利用されている。
【0003】
しかし、クルクミノイドは通常の食事からは極少量摂取されるに過ぎず、十分な上記作用を期待することは困難であり、これをカプセル剤等で摂取するとすれば煩雑であるため継続性に欠ける。
【0004】
そこで、クルクミノイドを効率的に摂取する方法として、クルクミノイドを添加した飲料や各種食品が提案されている。日常的に摂取される飲食品にクルクミノイドを添加することは、その作用向上の期待を高めるとともに、クルクミノイドの継続的摂取を容易とするので有意義である。
【0005】
しかしながら、クルクミノイドは水や油に対する溶解度が極めて低く、融点も約183℃近辺と高いため、飲食品等への利用には大きな制約があった。例えば、クルクミンは高融点の結晶であるために食品中で結晶によるざらつき感、粒状感などの耐え難い不快な食感を生じてしまっていた。
【0006】
また、クルクミノイドは、飲食品で均一に分散させることが困難であり、均一な分散のためには乳化機などの特別な分散装置が必要となる。
【0007】
また、粉末状のクルクミノイドは飛散性があり、装置への色素沈着も強いため、クルクミノイドを飲食品に配合する際には、他品目へのコンタミネーションを抑制する対策が必要となるとともに、製造後の洗浄にも労力が必要となる。
【0008】
そこで、クルクミノイドをあらゆる飲食品に簡易的に利用できるような分散製剤が強く求められている。
【0009】
クルクミノイドの粒子を乳化剤、水系溶媒の存在下で粉砕することで水分散性の優れた組成物を製造する技術が知られている。しかしながら、クルクミンの含有量は20.7質量%までの組成しか明示されておらず、飲食品に配合する際に添加量が多くなり、コストの増加が課題となる(特許文献1)。
【0010】
高濃度のクルクミノイドが示す高粘度の油状での結粘性や流動性の悪さ、容器への付着といった課題を解決するための技術や0.1~50質量%のクルクミノイドを含有した溶解、分散製剤の技術も知られている。しかしながら、これら技術は親油性乳化剤による油中分散を主目的とし、ソフトカプセルなどの油性食品への応用技術(特許文献2)や、クリーム等の局部用製剤のための技術である(特許文献3)。そのため、飲料などの水系食品への応用は困難であり、応用範囲が狭いことが課題となる。
【0011】
また、ポリオール等の可食性熱可塑性ポリマーとホスファチド中に0.1~50質量%のクルクミノイドを固体分散させた後、押出成型した可食性製剤に関する技術も知られているが、やはり飲料などの水系食品への応用は困難であり、応用範囲が狭いことが課題である(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2009-201371号公報
【文献】再表2005―097152号公報
【文献】特表2012-510466号公報
【文献】特表2014-503470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、難水溶性クルクミノイドにおいて、水系食品に容易に分散配合可能であり、経済性に優れたクルクミノイド含有製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、クルクミノイド含有製剤において、A:クルクミノイド、B:ポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチン、C:水相成分を組み合わせることで、水系食品に容易に分散配合可能であり、経済性に優れたクルクミノイド含有製剤を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明のクルクミノイド含有製剤は、A:クルクミノイド、B:ポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチン、C:水相成分を組み合わせたクルクミノイド含有製剤にかかわるものであり、従来の技術と比較して、25~40質量%のクルクミノイド高配合でありながら、容易に水に均一に分散するという面で優れており、クルクミノイド配合飲食品の製造において、容易に配合することが可能でありながら、経済性を損なわないことを特徴とする新規技術である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、難水溶性クルクミノイドにおいて、水系食品に容易に分散配合可能であり、経済性に優れたクルクミノイド含有製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明で使用されるAのクルクミノイドは、人体に摂取可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、テトラヒドロクルクミンやその塩類等が挙げられ、その由来原料や製法によっても限定されるものではない。例えば、植物ウコンの根茎の乾燥物には1~5質量%のクルクミノイドが含有されており、これらの粗粉砕物から抽出することができる。また、その抽出方法は熱湯による抽出、有機溶剤による抽出及び超臨界抽出が知られているが、いずれの方法によるものも使用することができ、抽出方法より限定されるものでもない。
【0019】
本発明で使用されるAのクルクミノイドは、その純度に特に制限はなく、クルクミノイドを含有していればよいが、より高濃度の本発明の製剤(組成物)を調製するためにはクルクミノイドの含有量が70質量%以上のものが好ましく、90質量%以上のものがより好ましい。
【0020】
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均重合度5以上のポリグリセリンと炭素原子数8~22の脂肪酸とのエステルである。平均重合度5以上のポリグリセリンとは、例えば、ヘキサグリセリン、オクタグリセリン、デカグリセリンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
炭素原子数8~22の脂肪酸とは、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステルなどが挙げられる。乳化安定性の観点から、これらを1種類、より好ましくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明で使用されるBのポリグリセリン脂肪酸エステルは食品用として使用されるものであればいかようなものでも使用できるが、HLBが10以上15以下のものが好ましく、11以上13以下のものがさらに好ましい。
ここで、HLBは、界面活性剤の分野において使用される親水性―疎水性バランスを示すものであり、例えば下記の計算式(川上式)が使用できる。
HLB=7+11.7log(MW/MO)
ここで、MWは親水基の分子量、MOは疎水基の分子量である。また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
【0024】
本発明で使用されるBのレシチンは食品用として使用されるものであればいかようなものでも使用でき、例えば、大豆由来、卵由来、ひまわり由来など様々な由来のものが使用できるが、その中でも改質レシチン、特に、酵素分解レシチンが分散安定性を効果的に高め、かつ風味に対する影響が少ないため特に好ましい。
【0025】
また、本発明ではポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン以外に他の乳化剤又は分散剤を組み合わせることもできる。他の乳化剤又は分散剤としては、必ずしも制限されないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、サポニン、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0026】
本発明に用いるCの水相成分として好ましいのは水である。その際、界面張力を調整する目的及び乳化剤の溶解を補助する目的で、多価アルコール、無機塩類、及び増粘多糖類から選択される1種または2種以上を水相成分に添加することが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を組み合わせて添加することができる。その中でもグリセリンが組成物の流動性を確保するうえで最も好ましい。
【0027】
水相成分の配合量は特に制限されないが、クルクミン含有粒子の配合質量に対して1~2倍量であることが好ましい。等量未満であると組成物の粘度が上昇するなど、ハンドリングが極端に悪くなってしまい、2倍量を超えると組成物中のクルクミンの濃度が低くなってしまうからである。
【0028】
多価アルコールの配合量は特に限定されるものではないが、Cの水相成分全体に対して20質量%以下とすることが好ましい。20質量%を超える添加では、製剤の安定性や粘度等に悪影響を及ぼす場合がある。
【0029】
本発明に用いられる無機塩類は特に限定されないが、食用に用いられ、また入手の容易さや経済性の面から、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムなどを挙げることができる。
【0030】
本発明に用いられる無機塩類の配合量は特に限定されるものではないが、Cの水相成分全体に対して0.5質量%以下とすることが好ましい。0.5質量%を超える添加では、製剤の安定性や粘度等に悪影響を及ぼす場合がある。
【0031】
本発明に用いられる増粘多糖類は一般的に用いられるものであればいかようなものでも使用することができる。例えば、キサンタンガム、グァーガム、タマリンドガム、ガティーガム、ローストビーンガム、ペクチンなどが挙げられる。増粘多糖類の配合量は特に限定されるものではないが、Cの水相成分全体に対して0.5質量%以下とすることが好ましい。0.5質量%を超える添加では、製剤の安定性や粘度等に悪影響を及ぼす場合がある。
【0032】
本発明のクルクミノイド含有製剤中のAのクルクミノイドの含有量は特に制限はされないが、好ましい含有量は25~40質量%である。40質量%を超えると、粘度が上がり作業性が悪くなり、25質量%より少ないと、組成物中のクルクミン濃度が低く、クルクミノイド配合飲食品への添加量が多くなり経済的ではないからである。
【0033】
本発明のクルクミノイド含有製剤中のBのポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチンの合計の含有量は特に制限はされないが、好ましい含有量は6質量%以下である。6質量%を超えると、製剤の粘度上昇等が発生するおそれがある。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量とレシチンの含有量の比率(ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量/レシチンの含有量)は、本発明の効果を得るうえで、1.0~3.0とすることが好ましく、特に1.2~2.0とすることが好ましい。
【0034】
本発明のクルクミノイド含有製剤には本発明の効果を妨げない範囲において、食品に用いることのできる成分であればいかようなものでも配合することができ、例えば、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等の油分、pH調整剤、安定剤、保存料などが挙げられる。
【0035】
なお、本発明のクルクミノイド含有製剤中の難水溶性物質はクルクミノイドに限らず、他の種類の難水溶性物質と組み合わせることも可能である。例えば、カロテノイド、イソプレノイドキノン類、トコフェロール類などと組み合わせることも可能である。
【0036】
本発明のクルクミノイド含有製剤の製造のために用いる機械類は特に限定されるものではなく、ミキサー、アジテーター、ディスパーサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、遊星型ミル、湿式OBミル等の機械を単独もしくは組み合わせて使用することができる。
【0037】
また本発明の製剤は、賦形剤を混合し、噴霧乾燥や凍結乾燥を行い、粉体化して利用することもできる。
【0038】
また、本発明の製剤は、飲食品として摂取される、または飲食品に配合される。すなわち、そのまま食品として経口摂取することもできるが、果汁飲料や茶、コーヒー、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料及びアルコール飲料などの飲料類、ゼリーやグミ、アイスクリーム、ヨーグルト、ジャム、飴、ガム、チョコレート、クッキー、ビスケット及びケーキなどの菓子類、砂糖や蜂蜜、水飴などの糖類、醤油やソース、マヨネーズ及びドレッシングなどの調味料類、コーンスープやコンソメスープなどのスープ類、ハム・ソーセージや蒲鉾などの加工食品、漬物や麺類、パン及び米などの種々の食品に配合することも可能である。
【実施例】
【0039】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
[調製例:ウコン抽出物の調製]
乾燥したウコンの根茎1kgをハンマーミルで解砕し、そこに10倍量のエタノールを加えて一昼夜冷暗所で浸漬処理を行った。浸漬処理後溶液部を濾別してロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、得られた抽出物に10倍量の水を加えてよく撹拌した後、沈殿物を濾別して回収した。本沈殿物を70℃のオーブンにて十分乾燥させた後、ボールミルにて粉砕して、95%のクルクミノイドを含有するウコン抽出物130gを得た
【0041】
[実施例1~3、比較例1~5]
表1に示した配合処方(数値の単位は質量%)にしたがって、水、乳化剤、グリセリンを混合、加熱溶解し、そこにクルクミノイド95%含有した前記ウコン抽出乾燥物を添加し、ホモミキサーにより均一分散した。次いで無機塩類、増粘多糖類を添加し、溶解させたものをクルクミノイド組成物とした(実施例1~3、比較例1~5)。これらの乳化組成物に対して以下に述べる評価を行った。
なお、本実施例、比較例では、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、Decaglyn 1-SV(製品名 デカグリセリンモノステアリン酸エステル)、Decaglyn 1-PV EX(製品名 デカグリセリンモノパルミチン酸エステル)、Decaglyn 1-L(製品名 デカグリセリンモノラウリン酸エステル)、Decaglyn 3-SV(製品名 デカグリセリントリステアリン酸エステル)、Tetraglyn 1-SV(製品名 テトラグリセリンモノステアリン酸エステル)(以上日光ケミカルズ製)、レシチンはSLPペーストリゾ(辻製油製)を用いた。
【0042】
[粒子径測定]
実施例1~3および比較例1~5の各組成物をそれぞれ水に0.15%の濃度になるように希釈し、レーザー光散乱法により、クルクミノイド含有粒子の平均粒子径(nm)を測定した。
【0043】
[分散液安定性]
実施例1~3および比較例1~5の各組成物の前記希釈液の外観を確認し、調製1週間後の分離状態を目視で確認し、以下の基準で判定した。
◎:分離または沈降が全く確認されない。
○:分離または沈降がほとんど確認されない。
△:分離または沈降がわずかに確認される。
×:分離または沈降が確認される。
【0044】
[水への分散性]
イオン交換水200mLに、実施例1~3および比較例1~5で得た各組成物を1g添加し、スターラーで撹拌し、分散状態を目視で確認し、以下の基準に基づいて水への分散性を評価した。
◎:撹拌20秒以内に均一に分散する。
○:撹拌30秒以内に均一に分散する。
△:撹拌60秒以内に均一に分散する。
×:撹拌60秒後に、溶け残りが目視で確認される。
【0045】
[分散液耐熱性・分散液耐酸性]
実施例1~3および比較例1~5の各組成物を精製水(分散液耐熱性の評価用)またはpH3の酸性水(分散液耐酸性の評価用)に0.15%の濃度になるように希釈し、85℃で30分間加熱した。加熱前後のクルクミノイド含有粒子の平均粒子径(nm)を比較し、以下の基準で分散液耐熱性、分散液耐酸性をそれぞれ判定した。
◎:平均粒子径の変化が20nm未満である。
○:平均粒子径の変化が20nm以上50nm未満である。
△:平均粒子径の変化が50nm以上100nm未満である。
×:平均粒子径の変化が100nm以上である。
◎:精製水希釈液と酸性希釈液で乳化粒子径の差が20nm以下である。
○:精製水希釈液と酸性希釈液で乳化粒子径の差が50nm以下である。
△:精製水希釈液と酸性希釈液で乳化粒子径の差が50nm以上であるが、外観に油浮きや沈殿が生じていない。
×:酸性希釈液の外観に、油浮きや沈殿が生じている。
【0046】
[経済性]
50mgのクルクミノイド配合飲料の調製を想定して、その配合量当たりの価格がクルクミノイド抽出物原末の価格の3倍であることを基準とし、配合性や調製の容易性も勘案して3倍未満であれば○、3倍以上であれば×として評価を行った。なお、製剤の粘度の高さ等の理由で配合が困難なものも×として評価した。
【0047】
[使用性]
実施例1~3および比較例1~5の各組成物について、実際の飲料等への配合を行い、その配合の容易さを比較し以下の基準で評価した。
◎:極めて容易に配合が可能である。
○:大きな問題なく配合が可能である。
△:配合時間等に問題があるが配合することができる。
×:配合が難しい。
【0048】
[総合評価]
前述した分散液安定性、水分散性、分散液耐熱性、分散液耐酸性、経済性、使用性の評価の結果を勘案することにより、総合的な評価を以下の基準で行った。
◎:非常に良い
○:良い
△:やや悪い
×:悪い
【0049】
【0050】
表1から明らかなように、A:クルクミノイド、B:ポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチン、C:水相成分を組み合わせ、25~40質量%のクルクミノイドが配合された実施例1~3は分散液安定性、水分散性、分散液耐熱性、分散液耐酸性、経済性、使用性を踏まえた総合評価で明確な優位性を示した。