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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】十字結束装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20240702BHJP
   B65B 27/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65B13/18 B
B65B27/08 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020058249
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021155084
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592251396
【氏名又は名称】株式会社コスモグラフ
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】広橋 範親
(72)【発明者】
【氏名】松田 光良
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-114076(JP,A)
【文献】特開昭51-072598(JP,A)
【文献】特開2003-063636(JP,A)
【文献】特開2015-030504(JP,A)
【文献】特開平09-099909(JP,A)
【文献】特表昭57-500690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/00
B65B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束ライン上に配置した被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか一方に結束ヒモを周回させて一次結束し、該一次結束後の前記被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか他方に前記結束ヒモを周回させて十字結束する結束部と、
前記結束ラインに交差する前記被結束物上の位置に複数配置して結束ヒモにより前記被結束物と共に結束される吊りツメを支持し前記被結束物の長手方向よりも長いツメ本体と、前記被結束物の長手方向又は短手方向の幅に合わせて前記吊りツメのツメ幅を伸縮可能とし、前記被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか一方に結束ヒモを周回させて一次結束した後、前記被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか他方に前記結束ヒモを周回させて十字結束するときに、前記被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか他方の幅に合わせて前記吊りツメのツメ幅を変更するツメ幅伸縮機構と、前記結束部上面で前記被結束物と共に結束される前記吊りツメを90°回転して前記結束ライン上の前記被結束物の前記長手方向と前記短手方向を切り替える回転機構と、結束機上面で前記被結束物の長手方向又は短手方向を切り換える際に前記被結束物の側面が前記結束機の結束ラインと直交する側面となるヒモを結ぶ位置と一致するように移動する水平移動機構を有する搬送部と、
を備えたことを特徴とする十字結束装置。
【請求項2】
請求項1に記載された十字結束装置であって、
前記ツメ幅伸縮機構は、一対のプーリと、前記プーリに巻き付けたタイミングベルトと、前記プーリを正逆回転可能なモータと、前記タイミングベルトの送り側と戻り側に取り付けて前記吊りツメを接続するベルト連結部材を有し、前記モータを正逆回転して前記吊りツメのツメ幅を任意幅に変更可能なことを特徴とする十字結束装置。
【請求項3】
請求項1に記載された十字結束装置であって、
前記ツメ幅伸縮機構は、ラックギアと、該ラックギアを一端同士の間に挟んで噛み合い他端が一対の前記吊りツメに接続する一対のピニオンギアと、前記ピニオンギアを正逆回転可能なモータを有し、前記モータを正逆回転して前記吊りツメのツメ幅を任意幅に変更可能なことを特徴とする十字結束装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の十字結束装置であって、
前記吊りツメを支持して前記被結束物の長手方向に沿って延出するツメ本体には、前記吊りツメに接続する受け溝部材と、該受け溝部材の溝に嵌ると共に前記ツメ本体の長手方向に沿って延出するヒモ抜きバーを有するヒモ抜き機構を備え、
前記ヒモ抜き機構は、前記吊りツメのツメ幅の伸縮に合わせて前記受け溝部材が前記ヒモ抜きバーの長手方向に沿って摺動移動することを特徴とする十字結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は郵便物などの書類の束(被結束物)を十字に結束する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物などの書類の束を結束する自動結束装置として特許文献1に開示の技術がある。この自動結束装置は第1及び第2の結束機から構成されており、第1の結束機の結束ライン(被結束物に結束ヒモを周回させる箇所)と第2の結束機の結束ラインが互いに交差するように配置している。第1の結束機で結束ヒモを被結束物の短手方向に周回させて結束し、第2の結束機へ移動させる。第2の結束機で結束ヒモを被結束物の長手方向に周回させて結束すると、被結束物を十字結束できる。
しかしながら、被結束物の長手方向及び短手方向に沿って十字結束する際に結束機を2台並べて配置しなければならず設置スペースを要する。
また結束した束を搬送する際にツメ幅が異なるため、同一の搬送手段をそのまま適用することができず、第1及び第2結束機の夫々にツメ幅の異なる搬送手段を設置しなければならなかった。このため装置全体のコストアップが問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6264683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、省スペース、短時間で十字に結束できる十字結束装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、結束ライン上に配置した被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか一方に結束ヒモを周回させて一次結束し、該一次結束後の前記被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか他方に前記結束ヒモを周回させて十字結束する結束部と、
前記結束ラインに交差する前記被結束物上の位置に複数配置して結束ヒモにより前記被結束物と共に結束される吊りツメを支持し前記被結束物の長手方向よりも長いツメ本体と、前記被結束物の長手方向又は短手方向の幅に合わせて前記吊りツメのツメ幅を伸縮可能とし、前記被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか一方に結束ヒモを周回させて一次結束した後、前記被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか他方に前記結束ヒモを周回させて十字結束するときに、前記被結束物の長手方向又は短手方向のいずれか他方の幅に合わせて前記吊りツメのツメ幅を変更するツメ幅伸縮機構と、前記結束部上面で前記被結束物と共に結束される前記吊りツメを90°回転して前記結束ライン上の前記被結束物の前記長手方向と前記短手方向を切り替える回転機構と、結束機上面で前記被結束物の長手方向又は短手方向を切り換える際に前記被結束物の側面が前記結束機の結束ラインと直交する側面となるヒモを結ぶ位置と一致するように移動する水平移動機構を有する搬送部と、
を備えたことを特徴とする十字結束装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、1台の結束機上で被結束物を十字結束することができ、従来構成と比べて装置全体の省スペース化が図れると共に、低コスト化を実現できる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段であって、前記ツメ幅伸縮機構は、一対のプーリと、前記プーリに巻き付けたタイミングベルトと、前記プーリを正逆回転可能なモータと、前記タイミングベルトの送り側と戻り側に取り付けて前記吊りツメを支持するベルト連結部材を有し、前記モータを正逆回転して前記吊りツメのツメ幅を任意幅に変更可能なことを特徴とする十字結束装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、吊りツメのツメ幅を被結束物の長手方向又は短手方向の幅に速やかに合わせることができる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1の手段であって、前記ツメ幅伸縮機構は、ラックギアと、該ラックギアを一端同士の間に挟んで噛み合い他端が一対の前記吊りツメに接続する一対のピニオンギアと、前記ピニオンギアを正逆回転可能なモータを有し、前記モータを正逆回転して前記吊りツメのツメ幅を任意幅に変更可能なことを特徴とする十字結束装置を提供することにある。
上記第3の手段によれば、吊りツメのツメ幅を被結束物の長手方向又は短手方向の幅に速やかに合わせることができる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1ないし3のいずれか1の手段であって、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の十字結束装置であって、
前記吊りツメを支持して前記被結束物の長手方向に沿って延出するツメ本体には、前記吊りツメに接続する受け溝部材と、該受け溝部材の溝に嵌ると共に前記ツメ本体の長手方向に沿って延出するヒモ抜きバーを有するヒモ抜き機構を備え、
前記ヒモ抜き機構は、前記吊りツメのツメ幅の伸縮に合わせて前記受け溝部材が前記ヒモ抜きバーの長手方向に沿って摺動移動することを特徴とする十字結束装置を提供することにある。
上記第4の手段によれば、吊りツメのツメ幅の伸縮に係わらず、ヒモ抜き機構によって吊りツメから結束ヒモをヒモ抜きできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1台の結束機上で被結束物を十字結束することができ、従来構成と比べて装置全体の省スペース化が図れると共に、低コスト化を実現できる。
また吊りツメのツメ幅を被結束物の長手方向又は短手方向に合わせて短時間で切り替えることができ、十字結束作業を速やかに行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の十字結束装置の平面図である。
図2】供給機の説明図である。
図3】搬送ベルト上の被結束物の芯合わせを行う供給機の説明図である。
図4】搬送ベルトから結束部の結束位置まで被結束物を押し込む供給機の説明図である。
図5図4のA矢視図である。
図6】ツメ本体の側面図である。
図7】ツメ本体の正面図である。
図8図7のツメ幅伸縮機構50の縮小時の透視図である。
図9図7のツメ幅伸縮機構50の伸長時の透視図である。
図10】ヒモ抜き機構で結束ヒモを吊りツメに引掛けたときの説明図である。
図11】ヒモ抜き機構で結束ヒモを吊りツメからヒモ抜きしたときの説明図である。
図12】ツメ幅伸縮機構50が縮小時のヒモ抜き機構による結束ヒモの引掛けとヒモ抜きの説明図である。
図13】ツメ幅伸縮機構50が伸長時のヒモ抜き機構による結束ヒモの引掛けとヒモ抜きの説明図である。
図14】変形例のツメ幅伸縮機構50Aの説明図である。
図15】十字結束方法の処理フローである。
図16】被結束物の一次結束の説明図である。
図17図16のB矢視図である。
図18】被結束物12の長手方向を結束ラインに位置合わせする説明図である。
図19図18のC矢視図である。
図20】一次結束後の被結束物12の(十字)結束の説明図である。
図21図20のD矢視図である。
図22】被結束物を搬出コンベアへ移動する説明図である。
図23図22のE矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の十字結束装置の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。本実施形態の被結束物とは、郵便物などの書類を複数枚重ねた束である。
【0012】
[十字結束装置10]
図1は、本発明の十字結束装置の平面図である。図示のように本発明の十字結束装置10は、結束ライン21上に配置した被結束物12の長手方向又は短手方向のいずれか一方に結束ヒモ14を周回させて一次結束し、該一次結束後の前記被結束物12の長手方向又は短手方向のいずれか他方に前記結束ヒモ14を周回させて十字結束する結束部20と、前記結束ライン21に交差する前記被結束物12上の位置に複数のツメを配置して結束ヒモ14により前記被結束物12と共に結束される吊りツメ48と、前記被結束物12の長手方向又は短手方向の幅に合わせて前記吊りツメ48のツメ幅を伸縮するツメ幅伸縮機構50と、前記結束部20上面で前記被結束物12と共に結束される前記吊りツメ48を90°回転して前記結束ライン21上の前記被結束物12の前記長手方向と前記短手方向を切り替える回転機構46を有する搬送部40と、を備えている。
【0013】
(結束部20)
結束部20は、結束機22と供給機24を有し、搬入コンベア16と搬出コンベア18の間に設置している。結束機22は結束ライン21上に跨る(交差する)被結束物12の長手方向又は短手方向に沿って結束ヒモ14を周回させて結束する機器である。搬入コンベア16は複数の(結束前の)被結束物12を長手方向に沿って搬送するコンベアである。搬出コンベア18は十字結束した複数の被結束物12を短手方向に沿って搬送するコンベアである。なお搬入コンベア16で被結束物12の短手方向、搬出コンベア18で長手方向に沿って被結束物12を搬送する構成であっても良い。
図2は供給機の説明図である。図3は搬送ベルト上の被結束物の芯合わせを行う供給機の説明図である。図4は搬送ベルトから結束部の結束位置まで被結束物を押し込む供給機の説明図である。図2に示すように供給機24は、搬送ベルト25と、押込みガイド26と、第1停止センサ28と、第2停止センサ30を有し、搬入コンベア16から搬入される複数の被結束物12を結束機22へ1束ずつ供給する機器である。搬送ベルト25は、被結束物12を搬入コンベア16の搬送方向に沿って延長線上の結束機22へ向けて搬送する機器である。押込みガイド26は、一対のL字部材と、該L字部材を待機位置(図2参照)から結束機22の結束位置(図4参照)まで往復移動する移動機構(不図示)を有し、L字部材が待機位置から搬送ベルト25上の被結束物12の2つの角を挟むように移動して接触し、搬送ベルト25の長手方向と被結束物12の長手方向の中心位置を一致させる芯合わせを行い、そのまま結束機22上の結束位置まで押し込む機器である(図3,4参照)。第1停止センサ28は、搬送ベルト25上の被結束物22を検知してベルトを停止させるセンサである。第2停止センサ30は、搬入コンベア16から搬送ベルト25へ搬送された被結束物12を検知してコンベアを停止させるセンサである。
【0014】
(搬送部40)
図5図4のA矢視図である。図示のように搬送部40は、水平移動機構42と、垂直移動機構44と、回転機構46と、吊りツメ48と、ツメ幅伸縮機構50と、ヒモ抜き機構52を有している(図5中ではツメ幅伸縮機構50と、ヒモ抜き機構52を不図示)。水平移動機構42は、結束機22上面で被結束物12の長手方向又は短手方向を切り替える際に結束ライン21に合わせて位置調整したり、被結束物12を結束機22から搬出コンベア18へ搬送したりする単軸直動ロボットである。垂直移動機構44は被結束物12を上下方向に移動する単軸直動ロボットである。回転機構46は、被結束物12を軸回りに回転する単軸回転ロボットである。吊りツメ48は垂直移動機構44の下端に配置して上下移動可能に構成している。また垂直移動機構44は回転機構46に接続し回転可能に構成している。さらに回転機構46は水平移動機構42に接続し水平移動可能に構成している。
【0015】
図6はツメ本体の側面図である。図7はツメ本体の正面図である。吊りツメ48は、被結束物12の結束時に結束ライン21に交差する被結束物12上の位置に複数(本実施形態では2つ)並べて配置して結束ヒモ14により被結束物12と共に結束される部材である。吊りツメ48はツメ本体54の下面に配置している。ツメ本体54は、長手方向の長さが被結束物12の長手方向よりも僅かに長く、吊りツメ48を支持すると共に、垂直移動機構44により被結束物12上に押し付けられる筐体である。ツメ本体54は、ツメ幅伸縮機構50とヒモ抜き機構52を備えている。
【0016】
図8図7のツメ幅伸縮機構50の縮小時の透視図である。図9図7のツメ幅伸縮機構50の伸長時の透視図である。図示のようにツメ幅伸縮機構50は、ツメ本体54の長手方向の両端に一対のプーリ50aを備え、タイミングベルト50cを巻き付けている。一方のプーリ50aにはモータ50dを取り付けてプーリ50aを正逆回転自在に構成している。タイミングベルト50cはベルト連結部材50eを介してヒモ引掛け部材52a(吊りツメ48)と接続している。一対のプーリ50a間には複数(本実施形態では3つ)の支柱50bを設けている。この支柱50bの端部にはスライドレール50fを取り付けている。スライドレール50fはツメ本体54の長手方向に沿って延出している。このスライドレール50fを摺動可能なレールブロック50gはヒモ引掛け部材52aに取り付けている。2つのベルト連結部材50eはタイミングベルト50cの送り側に1つと戻り側に1つ(図8(1)の図中でタイミングベルト50cの手前と奥)取り付けている。そしてモータ50dの回転制御により、一対の吊りツメ48のツメ幅を任意幅に変更できる。ツメ幅は一例として平面視でモータ50dを時計回りに回転して一対の吊りツメ48が接近して被結束物12の短手方向に合わせた縮小時(図8参照)と、平面視でモータ50dを反時計回りに回転して一対の吊りツメ48が離間して被結束物12の長手方向に合わせた伸長時(図9参照)に切り替えることができる。
【0017】
図10はヒモ抜き機構で結束ヒモを吊りツメに引掛けたときの説明図である。図11はヒモ抜き機構で結束ヒモを吊りツメからヒモ抜きしたときの説明図である。図12はツメ幅伸縮機構50が縮小時のヒモ抜き機構による結束ヒモの引掛けとヒモ抜きの説明図である。図13はツメ幅伸縮機構50が伸長時のヒモ抜き機構による結束ヒモの引掛けとヒモ抜きの説明図である。図10,11に示すようにヒモ抜き機構52は、ヒモ引掛け部材52aを有し、第1スライド部52bを介して下面の吊りツメ48と接続し摺動自在に構成している。吊りツメ48は側面U字形の受け溝部材52cを有している。受け溝部材52cの溝に嵌るヒモ抜きバー52dはツメ本体54の長手方向に沿って設けており、受け溝部材52cはヒモ抜きバー52dの長手方向に沿って摺動する(図12,13参照)。ヒモ抜きバー52dはツメ本体54の中央付近でバー連結部材52eと接続し、バー連結部材52eの上面に設けた第2スライド部52fを介してモータ連結部材52gに接続している。モータ連結部材52gはツメ本体54の背面に接続している。バー連結部材52eはラックギア52hを有している。ラックギア52hと噛み合うピニオンギア52iはモータ連結部材52g上面のモータ52jと接続し正逆回転自在に構成している。そしてモータ50jの回転制御により、ヒモ掛け部材52aから吊りツメ48が突出した状態(図10参照)で、結束機22の結束ライン21に跨るように吊りツメ48を被結束物12上に押し当てて結束すると結束ヒモ14と被結束物12の間に吊りツメ48が挟まれる。一方、ヒモ掛け部材52a内に吊りツメ48を引っ込めると(図11参照)、結束ヒモ14がヒモ引掛け部材52aで抑えられて外れて引っ掛かりを解除できる。このようなヒモ抜き機構52の構成により、吊りツメのツメ幅の伸縮に係わらず吊りツメから結束ヒモをヒモ抜きできる。
【0018】
(変形例 ツメ幅伸縮機構50A)
図14は変形例のツメ幅伸縮機構50Aの説明図であり、(1)はツメ幅が伸長したとき、(2)はツメ幅が伸縮したときを示している。図示のように変形例のツメ幅伸縮機構50Aは、ラックギアとピニオンギアの嵌め合い構造を採用している。より具体的な構成は、ピニオンギア60及びピニオンギア60を正逆回転するモータ(不図示)をツメ本体54の中心に配置する。ピニオンギア60に噛み合う一対のラックギア62をヒモ引掛け部材52a(吊りツメ48)に接続する。ラックギア62はツメ本体54のほぼ半分の長さに設定している。一対のヒモ引掛け部材52aのそれぞれに一端側が接続する一対のラックギア62は、他端側でピニオンギア60を間に挟むように配置している。またヒモ引掛け部材52aはスライドレール50fを摺動可能に構成している。このような構成によりピニオンギア60を矢印A方向に回転させると一対の吊りツメ48が互いに離間する方向へ移動しツメ幅を伸長できる(図14(1)参照)。一方矢印B方向に回転させると一対の吊りツメ48が互いに接近する方向に移動してツメ幅を縮小できる(図14(2)参照)。
【0019】
上記構成による十字結束装置を用いた十字結束方法について、以下説明する。
図15は十字結束方法の処理フローである。
(ステップ1)
搬入コンベア16と搬送ベルト25を稼働して被結束物を搬入する(図2参照)。
(ステップ2)
第1停止センサ28が1束目の被結束物12を検知して搬送ベルト25が停止する第2停止センサ30が2束目の被結束物12を検知して搬入コンベア16が停止する(図3参照)。
(ステップ3)
供給機24の押込みガイド26が待機位置(図2参照)から押込み開始位置まで移動して搬送ベルト25上の被結束物の後方側の2つの角に挟むように移動して接触し、搬送ベルト25の長手方向と被結束物12の長手方向の中心位置を一致させる芯合わせを行う(図3参照)。
【0020】
(ステップ4)
搬送ベルト25上の被結束物12を押込みガイド26で結束機22上の結束位置まで押し込む(図4,5参照)。
(ステップ5)
結束機22の結束位置の上方に待機位置にあるツメ本体54(吊りツメ48)が垂直移動機構44により下降して、被結束物12を所定の圧力で押し付ける。その後結束機22により被結束物12の短手方向に結束ヒモ14を周回させて吊りツメ48と共に一次結束する(図16,17参照)。
(ステップ6)
結束位置の被結束物12を垂直移動機構44で上方へ僅かに移動した後、回転機構46により90°右回転する。そして被結束物12の短手方向の側面が結束機22の結束ライン21と直交する側面と一致するように水平移動機構42で移動する(図18,19参照)。結束機22は機器毎にヒモを結ぶ位置(本体の端部基準など)が決まっている。被結束物12の短手方向と長手方向の長さの差分が生じるため上記移動が必要となる。次に被結束物12を垂直移動機構44により下降させて結束機22上面に載置する。ヒモ抜き機構52により吊りツメ48を結束ヒモ14から外す。
並行して2束目の被結束物12を搬入コンベア16から搬送ベルト25へ移動し、第1停止センサ28が2束目の被結束物12を検知して搬送ベルト25が停止する。第2停止センサ30が3束目の被結束物12を検知して搬入コンベア16が停止する。
【0021】
(ステップ7)
吊りツメ48を垂直移動機構44で上方へ僅かに移動した後、回転機構46により90°左回転する。ツメ幅伸縮機構50で吊りツメ48のツメ幅を被結束物12の長手方向の幅に変更する。そして長手方向を結束ライン21に沿って配置した被結束物12上に水平移動機構42で吊りツメ48を移動させる。ツメ本体54(吊りツメ48)が垂直移動機構44により下降して、被結束物12を所定の圧力で押し付ける。その後結束機22により被結束物12の長手方向に結束ヒモ14を周回させて吊りツメ48と共に結束すると十字結束となる(図20,21参照)。
並行して供給機24の押込みガイド26が待機位置(図2参照)から押込み開始位置まで移動して搬送ベルト25の長手方向と被結束物12の長手方向の中心位置を一致させる芯合わせを行う。
【0022】
(ステップ8)
十字結束した被結束物12を垂直移動機構44で僅かに上方へ移動し、ついで水平移動機構42で搬出コンベア18まで移動させる。搬出コンベア18上面でヒモ抜き機構52により吊りツメ48を結束ヒモ14から外してコンベア上に被結束物12を落下させて外部へ搬送する(図22,23参照)。その後、ツメ幅伸縮機構50で吊りツメ48のツメ幅を被結束物12の短手方向の幅長さに変更する。そして結束機22の結束位置の上方の待機位置まで移動する。
並行して搬送ベルト25上の被結束物12を押込みガイド26で結束機22上の結束位置まで押し込む。
以後、ステップ5以降と同様の動作を繰り返し行う。
【0023】
このような本発明によれば、1台の結束機22上で被結束物12を十字結束することができ、従来構成と比べて装置全体の省スペース化が図れると共に、低コスト化を実現できる。
また吊りツメ48のツメ幅を被結束物の長手方向又は短手方向に合わせて短時間で切り替えることができ、十字結束作業を速やかに行える。
なお本発明の十字結束装置10は、被結束物12の長手方向及び短手方向の結束順番はどちらでも良い。また被結束物12の長手方向又は短手方向のいずれか一方を一次結束した後に搬出コンベア18へ排出する構成としても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0024】
10 十字結束装置
12 被結束物
14 結束ヒモ
16 搬入コンベア
18 搬出コンベア
20 結束部
21 結束ライン
22 結束機
24 供給機
25 搬送ベルト
26 押込みガイド
28 第1停止センサ
30 第2停止センサ
40 搬送部
42 水平移動機構
44 垂直移動機構
46 回転機構
48 吊りツメ
50 ツメ幅伸縮機構
50a プーリ
50b 支柱
50c タイミングベルト
50d モータ
50e ベルト連結部材
50f スライドレール
50g レールブロック
52 ヒモ抜き機構
52a ヒモ引掛け部材
52b 第1スライド部
52c 受け溝部材
52d ヒモ抜きバー
52e バー連結部材
52f 第2スライド部
52g モータ連結部材
52h ラックギア
52i ピニオンギア
52j モータ
54 ツメ本体
図1
図2
図3
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