(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】携帯端末、照明制御方法および照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20240702BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20240702BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20240702BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B47/125
F21V23/04 500
H04Q9/00 311A
(21)【出願番号】P 2020096077
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】尾形 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲村 公孝
(72)【発明者】
【氏名】香川 修志
(72)【発明者】
【氏名】松本 豊明
(72)【発明者】
【氏名】粟野 隆一郎
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-222652(JP,A)
【文献】特開2016-167385(JP,A)
【文献】特開2018-186472(JP,A)
【文献】特開2016-072125(JP,A)
【文献】特開2019-067599(JP,A)
【文献】特開2018-191035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0314412(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47-29
F21V 23/00-99/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが固有の灯具IDおよび器具側無線通信部を有する複数の照明器具と、前記複数の照明器具の点灯制御を行う制御装置と、のそれぞれと通信を行う携帯端末であって、
前記複数の照明器具と無線通信を行う端末側無線通信部、表示部、撮影部および制御部を備え、
前記制御部は、
前記表示部に前記複数の照明器具の天井における配置が示されている配灯図画面を表示させ、
前記配灯図画面において、前記各照明器具の近傍に、設置された位置を表す情報であるアドレスを表示させ、
前記配灯図画面からペアリング処理の対象とする照明器具が選択された後に、前記撮影部によって取得された撮影画像における前記照明器具と、選択された前記照明器具のアドレスと、を対応させる第1処理、
前記端末側無線通信部が受信した前記照明器具ごとの前記器具側無線通信部からの電波強度を計測する第2処理、
前記第2処理によって得られた電波強度が所定以上の前記複数の照明器具のみを電波強度が強い順に順次点灯させる要求を、前記制御装置に送信する第3処理、および、
前記灯具IDと前記選択された前記照明器具のアドレスとを対応させ、前記表示部に前記撮影画像を表示し且つ前記灯具IDと前記アドレスとが対応された前記照明器具の近傍に前記アドレスを表示する第4処理、を実行する、携帯端末。
【請求項2】
前記端末側無線通信部は、指向性アンテナを有する、請求項
1に記載の携帯端末。
【請求項3】
それぞれが固有の灯具IDおよび器具側無線通信部を有する複数の照明器具と、
前記複数の照明器具の点灯制御を行う制御装置と、
前記複数の照明器具と無線通信を行う端末側無線通信部、表示部、撮影部および制御部を有する携帯端末と、を用い、
前記表示部に前記複数の照明器具の天井における配置が示されている配灯図画面を表示させ、
前記配灯図画面において、前記各照明器具の近傍に、設置された位置を表す情報であるアドレスを表示させ、
前記配灯図画面からペアリング処理の対象とする照明器具が選択された後に、前記撮影部によって取得された撮影画像における前記照明器具と、選択された前記照明器具のアドレスと、を対応させる第1処理、
前記端末側無線通信部が受信した前記照明器具ごとの前記器具側無線通信部からの電波強度を計測する第2処理、
前記第2処理によって得られた電波強度が所定以上の前記複数の照明器具のみを電波強度が強い順に順次点灯させる第3処理、および、
前記灯具IDと前記選択された前記照明器具のアドレスとを対応させ、前記表示部に前記撮影画像を表示し且つ前記灯具IDと前記アドレスとが対応された前記照明器具の近傍に前記アドレスを表示する第4処理、を備える、照明制御方法。
【請求項4】
前記第2処理において、前記端末側無線通信部は、指向性アンテナを用いる、請求項
3に記載の照明制御方法。
【請求項5】
それぞれが固有の灯具IDおよび器具側無線通信部を有する複数の照明器具と、
前記複数の照明器具の点灯制御を行う制御装置と、
前記複数の照明器具と無線通信を行う端末側無線通信部、表示部、撮影部および制御部を有する携帯端末と、を備える照明制御システムであって、
前記表示部に前記複数の照明器具の天井における配置が示されている配灯図画面が表示され、
前記配灯図画面において、前記各照明器具の近傍に、設置された位置を表す情報であるアドレス情報が表示され、
前記配灯図画面からペアリング処理の対象とする照明器具が選択された後に、前記撮影部によって取得された撮影画像における前記照明器具と、選択された前記照明器具のアドレスと、を対応させる第1処理、
前記端末側無線通信部が受信した前記照明器具ごとの前記器具側無線通信部からの電波強度を計測する第2処理、
前記第2処理によって得られた電波強度が所定以上の前記複数の照明器具のみを電波強度が強い順に順次点灯させる第3処理、および、
前記灯具IDと前記選択された前記照明器具のアドレスとを対応させ、前記表示部に前記撮影画像を表示し且つ前記灯具IDと前記アドレスとが対応された前記照明器具の近傍に前記アドレスを表示する第4処理、を実行し、
前記携帯端末の前記制御部は、前記第1処理
、前記第2処理および前記第4処理を行
い、
前記制御装置は、前記第3処理を行う、照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、照明制御方法および照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の天井等に設置された複数の照明器具を制御装置によって点灯制御する照明制御システムが普及している。複数の照明器具をそれぞれの配置場所を考慮して個別に制御する場合、制御装置が記憶している複数の照明器具の個別の灯具IDと、複数の照明器具の配置場所とを対応させる、ペアリング処理が必要である。特許文献1には、ペアリング処理を行う従来の照明制御システムが開示されている。
【0003】
同文献に開示された照明制御システムでは、制御装置と通信可能な携帯端末が用いられている。制御装置によって複数の照明器具を順次点灯させ、その点灯状態を携帯端末によって動画撮影する。動画中においていずれの照明器具が点灯しているかに基づいて、複数の照明器具の配置が表された配灯図における照明器具の位置情報(アドレス)と制御装置に記憶されている照明器具の灯具IDとを対応付ける。これにより、ペアリング処理が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
制御装置が複数の照明器具を順次点灯させる際には、携帯端末を操作するユーザから遠く離れた照明器具が点灯され得る。このような照明器具には、たとえば柱や壁等が遮蔽物となってユーザからは視認できない照明器具、すなわち携帯端末で撮影できない照明器具が含まれてしまう。このような点灯が行われると、ペアリング処理の効率が著しく低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ペアリング処理の効率を向上させることが可能な携帯端末、照明制御方法および照明制御システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される携帯端末は、それぞれが固有の灯具IDおよび器具側無線通信部を有する複数の照明器具と、前記複数の照明器具の点灯制御を行う制御装置と、のそれぞれと通信を行う携帯端末であって、前記複数の照明器具と無線通信を行う端末側無線通信部、表示部、撮影部および制御部を備え、前記制御部は、前記撮影部によって取得された撮影画像における前記照明器具と、前記複数の照明器具の配置情報に含まれる前記照明器具のアドレスと、を対応させる第1処理、前記端末側無線通信部が受信した前記照明器具ごとの前記器具側無線通信部からの電波強度を計測する第2処理、前記第2処理によって得られた電波強度が所定以上の前記複数の照明器具のみを順次点灯させる要求を、前記制御装置に送信する第3処理、および、前記撮影画像において点灯状態の照明器具の前記灯具IDと前記配置情報のアドレスとを対応させる第4処理、を実行する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3処理においては、前記第2処理によって得られた電波強度が強い順に前記複数の照明器具を順次点灯させる要求を、前記制御装置に送信する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第4処理において、前記表示部に前記撮影画像を表示し且つ前記灯具IDと前記アドレスとが対応された前記照明器具の近傍に前記アドレスを表示する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記端末側無線通信部は、指向性アンテナを有する。
【0011】
本発明の第2の側面によって提供される照明制御方法は、それぞれが固有の灯具IDおよび器具側無線通信部を有する複数の照明器具と、前記複数の照明器具の点灯制御を行う制御装置と、前記複数の照明器具と無線通信を行う端末側無線通信部、表示部、撮影部および制御部を有する携帯端末と、を用い、前記撮影部によって取得された撮影画像における前記照明器具と、前記複数の照明器具の配置情報に含まれる前記照明器具のアドレスを対応させる第1処理、前記端末側無線通信部が受信した前記照明器具ごとの前記器具側無線通信部からの電波強度を計測する第2処理、前記第2処理によって得られた電波強度が所定以上の前記複数の照明器具のみを順次点灯させる第3処理、および、前記撮影画像において点灯状態の照明器具の前記灯具IDと前記配置情報のアドレスとを対応させる第4処理、を備える。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3処理においては、前記第2処理によって得られた電波強度が強い順に前記複数の照明器具を順次点灯させる
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第4処理において、前記携帯端末の前記表示部に前記撮影画像を表示し且つ前記灯具IDと前記アドレスとが対応された前記照明器具の近傍に前記アドレスを表示する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2処理において、前記端末側無線通信部は、指向性アンテナを用いる。
【0015】
本発明の第3の側面によって提供される照明制御システムは、それぞれが固有の灯具IDおよび器具側無線通信部を有する複数の照明器具と、前記複数の照明器具の点灯制御を行う制御装置と、前記複数の照明器具と無線通信を行う端末側無線通信部、表示部、撮影部および制御部を有する携帯端末と、を備える照明制御システムであって、前記撮影部によって取得された撮影画像における前記照明器具と、前記複数の照明器具の配置情報に含まれる前記照明器具のアドレスを対応させる第1処理、前記端末側無線通信部が受信した前記照明器具ごとの前記器具側無線通信部からの電波強度を計測する第2処理、前記第2処理によって得られた電波強度が所定以上の前記複数の照明器具のみを順次点灯させる第3処理、および、前記撮影画像において点灯状態の照明器具の前記灯具IDと前記配置情報のアドレスとを対応させる第4処理、を実行し、前記携帯端末の前記制御部は、前記第1処理、前記第2処理、および前記第4処理を行い、前記制御部は、前記第3処理を行う。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3処理においては、前記第2処理によって得られた電波強度が強い順に前記複数の照明器具を順次点灯させる
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ペアリング処理の効率を向上させることができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る照明制御システムを示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る照明制御システムの照明器具を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る照明制御システムの携帯端末を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る照明制御システムの制御装置を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る照明制御方法を示すフローチャートである。
【
図6】配灯図画面の一例が表示された携帯端末を示す平面図である。
【
図7】配灯図画面の一例が表示された携帯端末を示す平面図である。
【
図8】撮影画像の一例が表示された携帯端末を示す平面図である。
【
図9】撮影画像の一例が表示された携帯端末を示す平面図である。
【
図10】携帯端末が複数の照明器具から信号を受信する処理を示すシステム構成図である。
【
図11】複数の照明器具を順次点灯させる処理を示すシステム構成図である。
【
図12】撮影画像の一例が表示された携帯端末を示す平面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態における携帯端末が複数の照明器具から信号を受信する処理を示すシステム構成図である。
【
図14】本発明の第2実施形態における複数の照明器具を順次点灯させる処理を示すシステム構成図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る照明制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
<第1実施形態:照明制御システムA1>
図1は、本発明の第1実施形態に係る照明制御システムを示している。本実施形態の照明制御システムA1は、複数の照明器具L、制御装置Ct1および携帯端末Md1を備えている。
【0022】
〔照明器具L〕
複数の照明器具Lは、たとえば建物の天井等に設置されており、室内の適所を各々が照らすように配置されている。なお、本発明に係る複数の照明器具Lの設置箇所や用途は何ら限定されない。複数の照明器具Lnは、屋内において、壁面や床面等に設置されていてもよいし、屋外に設置されていてもよい。複数の照明器具Lnの個数は何ら限定されず、本実施形態においては、理解の便宜上、n個の照明器具L1~Lnが設置されているものとして説明する。
【0023】
図2は、複数の照明器具L1~Lnのうち照明器具L1を例に説明するためのブロック図である。本実施形態においては、照明器具L1は、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信部14および電源部15を備える。複数の照明器具L1~Lnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明器具L1~Lnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0024】
光源部11は、照明器具L1において発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明器具L1は、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0025】
制御部12は、制御装置Ct1からの指示等に基づいて、照明器具L1の各部を制御するためのものである。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。
【0026】
無線通信部14は、制御装置Ct1や携帯端末Md1と無線通信を行うためのものであり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信部14は、本発明における器具側無線通信部に相当する。無線通信部14が行う無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、無線通信部14が行う無線通信の規格等は何ら限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。また、本実施形態においては、複数の照明器具L1~Lnの各々が有する固有の灯具IDが、無線通信部14に記憶されている。灯具IDの情報形式は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、灯具IDは、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。
【0027】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信部14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0028】
〔制御装置Ct1〕
制御装置Ct1は、複数の照明器具L1~Lnの点灯制御を行うものである。制御装置Ct1は、本実施形態の場合には、複数の照明器具L1~Lnが設置されている部屋と同じ部屋に設置されていてもよいし、同じ建物の別の部屋や別のフロアに設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ct1と複数の照明器具L1~Lnとがある程度離れている場合、制御装置Ct1と複数の照明器具L1~Lnとは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。
【0029】
図3は、制御装置Ct1のブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ct1は、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0030】
表示部21は、後述する照明制御システムA1の照明制御方法においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ct1の初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ct1は、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0031】
制御部22は、複数の照明器具L1~Lnの点灯制御を行う主要な構成要素であり、制御装置Ct1の各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、無線通信部24が携帯端末Md1から受信した指示信号に基づいて、対象とする照明器具Lへ制御信号を送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0032】
携帯端末Md1からの指示信号には、後述の配灯図でのアドレス情報が含まれている。制御部22では、アドレス情報をこれに対応する灯具IDに変換する。アドレス情報と灯具IDとの対応関係は、たとえば記憶部23に記憶されている。また、この対応関係は、後述の照明制御方法によるペアリング処理によって構築される。
【0033】
無線通信部24は、複数の照明器具L1~Lnおよび携帯端末Md1と無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の無線通信部14と同様である。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の照明器具L1~Lnへの制御信号を送信する。また、携帯端末Md1から送信されるユーザによる指示信号を受信する。受信した指示信号は、制御部22に伝達される。なお、制御装置Ct1は、無線通信部24に加えて、インターネットに接続する有線または無線の通信回路を有していてもよい。
【0034】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0035】
〔携帯端末Md1〕
携帯端末Md1は、本発明の照明制御方法におけるペアリング処理においてユーザが操作する端末である。携帯端末Md1は、後述の照明制御方法においてユーザの操作を実現可能な携帯性や情報処理能力等を有するものであれば特に限定されず、たとえばタブレット、スマートフォン、ノートPC等である。
【0036】
図4は、携帯端末Md1のブロック図である。本実施形態においては、携帯端末Md1は、表示部31、制御部32、記憶部33、撮影部34、無線通信部35および電源部36を備える。
【0037】
表示部31は、携帯端末Md1の操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部31は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、本実施形態においてはタッチパネル機能を有している。なお、表示部31がタッチパネルとして機能することに代えて、携帯端末Md1は、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0038】
制御部32は、携帯端末Md1の各部を制御するためのものである。制御部32の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部33は、制御部32の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0039】
制御部32は、表示部31に対してユーザが行った操作に基づいて指示信号を生成する等の制御を行う主要な構成要素であり、また、本実施形態の制御部32は、後述するように、複数の照明器具L1~Lnのそれぞれから無線通信部35が受信した電波強度を測定および評価を実行する。また、制御部32は、後述するように、撮影部34によって取得された画像を処理する。たとえば、制御部32は、撮影画像に対して輪郭抽出処理等を行うことにより、照明器具Lの外縁部分を特定する。この画像処理には、従来公知の方法を適宜用いることができる。また、たとえば、後述の配灯図におけるアドレスに対応した照明器具Lの外形データを、あらかじめ記憶部33に記憶しておき、制御部32は、この外形データを適宜読み出すことによって、撮影画像の照明器具Lとのパターンマッチングを行ってもよい。配灯図のデータは、たとえば無線通信部35や図示しない有線通信部からダウンロードされて、記憶部33に記憶される。
【0040】
撮影部34は、画像を撮影するためのものであり、たとえばCCD撮像素子やレンズ等からなる。撮影部34によって撮影された画像データは、表示部31に伝達されて表示される。撮影部34は、携帯端末Md1の筐体に内蔵されたものでもよいし、筐体に外付けされたカメラモジュールによって構成されていてもよい。
【0041】
無線通信部35は、制御装置Ct1へ複数の照明器具L1~Lnの点灯/消灯等の指示信号を送信したり、複数の照明器具L1~Lnからの制御信号等を受信したりする。また、無線通信部35は、制御部32に代えて、あるいは制御部32と共に、複数の照明器具L1~Lnのそれぞれから無線通信部35が受信した電波強度を測定および評価する。無線通信部35は、本発明の端末側無線通信部に相当する。撮影部34の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の無線通信部14、無線通信部24と同様である。なお、無線通信部35は、携帯端末Md1としてのタブレット等に内蔵された無線通信モジュールであってもよいし、USB端子等に接続された外付けの無線通信モジュールであってもよい。
【0042】
電源部36は、表示部31、制御部32、撮影部34および無線通信部35等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部36は、たとえば充電可能なバッテリーである。
【0043】
次に、照明制御システムA1による照明制御方法の一例について、以下に説明する。
【0044】
図5は、照明制御システムA1による照明制御方法の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、照明制御方法において配灯図でのアドレス情報と灯具IDとの対応を構築するペアリング処理を示している。なお、同図におけるステップS1~S5が本発明の第1処理に相当し、ステップS6,S7が本発明の第2処理に相当し、ステップS8が本発明の第3処理に相当し、ステップS9,S10が本発明の第4処理に相当する。照明制御システムA1では、第1処理、第2処理および第4処理を携帯端末Md1の制御部32で行い、第3処理を制御装置Ct1で行う。
【0045】
ペアリング処理がスタートすると、
図6に示すように、携帯端末Md1の表示部31に配灯図画面Sc1が表示される。配灯図画面Sc1には、複数の照明器具L1~Lnの天井における配置が示されており、図示された例においては、個々の照明器具Lが細長い矩形状で示されている。また、各照明器具Lの近傍には、設置された位置を表す情報であるアドレス情報(図中におけるA01,A02・・・G08)が表示されている。また、本実施形態においては、配灯図画面Sc1には、操作ボタンアイコン41,42が表示されている。操作ボタンアイコン41,42は、ステップS1~S5においてユーザが操作入力するためのものである。
【0046】
次いで、配灯図画面Sc1からペアリング処理の対象とする照明器具Lを選択する(ステップS1)。たとえば、
図7に示すように、配灯図画面Sc1に表示された複数の照明器具L1~Lnから任意の照明器具Lを画面上でタッチする。図示された例においては、アドレスG02の照明器具Lがタッチされた場合を示している。図中の手を表す形状は、ユーザのタッチを概念的に示すものであり、配灯図画面Sc1の表示要素に含まれるものではない。携帯端末Md1の表示部31から制御部32に操作入力信号が伝達されると、制御部32は、操作に対応した照明器具Lを判断する。そして、選択された照明器具Lを強調表示する表示信号を表示部31に伝達する。図示された例においては、
図7においてアドレスG02の照明器具Lが太枠で囲まれている。強調表示された照明器具Lが正しければ、ユーザは、たとえば操作ボタンアイコン42にタッチすることにより、当該処理を完了し、次の処理に進む。一方、強調表示された照明器具Lが正しくなければ、ユーザは、たとえば操作ボタンアイコン41にタッチすることにより、当該処理を行う前の状態に復帰する。
【0047】
ステップS1が完了すると、ペアリング処理の対象のアドレスG02に対応する照明器具Lを携帯端末Md1の撮影部34によって撮影する(ステップS2)。
図8に示すように、制御部32は、撮影部34によって撮影された画像を用いて表示部31に撮影画像Sc2を表示させる。同図に示す画像は、天井に設置された複数の照明器具L1~Lnを斜め下方から見上げるようにして撮影した画像を用いた例である。撮影画像Sc2に用いる画像は、たとえば、撮影部34が取得する画像をリアルタイムで表示する。次いで、撮影画像Sc2からステップS1においてペアリング処理の対象として選択した照明器具L(アドレスG02)を選択する(ステップS3)。本実施形態においては、選択操作は、ユーザが撮影画像Sc2に表示された任意の照明器具Lをタッチすることによりなされる。制御部32は、撮影画像Sc2におけるユーザのタッチ位置を表示部31から取得する。次いで、撮影画像Sc2に対して輪郭抽出処理等を行うことにより、照明器具Lの外縁部分を特定し、タッチ位置に最も近い照明器具Lを強調表示する表示信号を表示部31に伝達する(ステップS4)。本例においては、
図9に示すように、撮影画像Sc2における図中左上位置する照明器具Lが強調表示されている。図示された例においては、この照明器具Lが太枠で囲まれている。なお、図中の手を表す形状は、ユーザのタッチを概念的に示すものであり、撮影画像Sc2の表示要素に含まれるものではない。
【0048】
強調表示された照明器具Lが、ステップS1において配灯図画面Sc1から選択した照明器具L(アドレスG02)と一致していれば、ユーザは、たとえば操作ボタンアイコン44をタッチし、ステップS4を完了する(ステップS5:Yes)。一方、強調表示された照明器具Lが、ステップS1において配灯図画面Sc1から選択した照明器具L(アドレスG02)と一致していなければ、ユーザは、たとえば操作ボタンアイコン43をタッチし、ステップS3,S4を再度実行する(ステップS5:No)。
【0049】
ステップS5が完了すると(ステップS5:Yes)、ステップS6を実行する。
図10に示すように、複数の照明器具Lから送信された電波を携帯端末Md1によって受信し、この電波の強度をたとえば無線通信部35によって測定する。同図においては、複数の照明器具L1~L7のそれぞれから制御信号Sg1を携帯端末Md1が受信する場合を例示している。制御信号Sg1は、複数の照明器具L1~L7が、定期的に送信する信号でもよいし、制御装置Ct1からの指示によって送信する信号でもよい。後者の場合は、たとえば、ステップS6の開始以降に、携帯端末Md1から制御装置Ct1に、複数の照明器具Lに制御信号Sg1を送信させる要求信号を送信する。制御信号Sg1には、照明器具Lごとの灯具IDが情報として含まれている。
【0050】
携帯端末Md1は、照明器具Lごとの電波強度を測定する。電波強度を測定するための構成は何ら限定されず、たとえば、受信した電波について無線通信部35が算出するRSSI(Received Signal Strength Indicator)を利用する。RSSIは、無線通信部35が受信した電波の電圧や出力に基づいて、電波強度を相対的に表す指標として出力するものである。RSSIとしては、たとえば、無線通信部35によって受信した入力電圧の対数値(dBマイクロV)に対して比例した値であり、その数値範囲は、たとえば-20~+60の範囲である。この数値が大きいほど入力電圧が高く安定して受信できることを表しており、この数値が高いほど電波強度が強いと判断する。これにより、携帯端末Md1の制御部32は、照明器具Lごとの灯具IDと電波強度情報とを無線通信部35から取得する。制御部32は、この電波強度情報を、たとえば記憶部33に格納する。
【0051】
次いで、ステップS7を実行する。ステップS7の実行において、制御部32は、ステップS6で取得した電波強度情報に基づいて、各照明器具Lの電波強度を評価する。具体的には、制御部32は、たとえば記憶部33に予め格納された電波強度の閾値を利用して、この閾値以上の電波強度の照明器具Lを、ステップS8の対象として選択する。好ましくは、制御部32は、各照明器具Lの電波強度が強い順に、その順序を情報として記憶部33に格納する。
図10に示す例においては、照明器具L1~L7のうち、電波強度が閾値以上であった照明器具L2~照明器具L6が、ステップS8での対象として選択され、照明器具L1,L7は、対象外としている。すなわち、領域Ar1に配置された照明器具L2~L6が、携帯端末Md1と相対的に近いことから、閾値以上の電波強度が得られ、領域Ar1外の照明器具L1,L7は、携帯端末Md1と相対的に遠いことから、電波強度が閾値よりも小さい値である。
【0052】
次いで、ステップS8を実行する。ステップS8では、
図11に示すように、携帯端末Md1の制御部32から無線通信部35によって点灯要求信号Sg2を制御装置Ct1に送信する。点灯要求信号Sg2は、ステップS7によって選択された複数の照明器具Lを順に点灯させる要求である。好ましくは、点灯要求信号Sg2は、選択された複数の照明器具Lについて、電波強度が強いものから順に点灯させる要求である。図示された例においては、照明器具L4(アドレスG02)の電波強度が最も強いものであったため、まず、照明器具L4を点灯させる点灯要求信号Sg2が送信される。制御装置Ct1において無線通信部24によって点灯要求信号Sg2を受信すると、制御部22は、点灯要求信号Sg2に含まれる灯具IDに基づいて、当該灯具IDの照明器具L4を点灯させる点灯指示信号Sg3を無線通信部24に送信させる。照明器具L4の無線通信部14が点灯指示信号Sg3を受信すると、点灯指示信号Sg3に含まれた点灯パターンにしたがって、照明器具L4の制御部12が光源部11を点灯させる。この点灯パターンは、単なる100%点灯であってもよいし、点滅等の点灯であってもよい。
【0053】
図12に示す携帯端末Md1の表示部31の撮影画像Sc2では、制御装置Ct1の点灯指示信号Sg3によって点灯される照明器具Lが撮影されている。携帯端末Md1の制御部32は、撮影画像Sc2についてたとえば従来公知の方法によって画像処理を施す。この画像処理により、複数の照明器具Lのうち点灯している照明器具Lを判別する。点灯していると判別した照明器具Lが、ステップS3~S5で選択した照明器具L4(アドレスG02)と一致した場合(ステップS9:Yes)、制御部32は、照明器具L4の灯具IDとアドレスG02とを対応付け、ペアリング処理を行う(ステップS10)。携帯端末Md1の制御部32は、ペアリング情報を無線通信部35からペアリング情報信号として制御装置Ct1に送信する。制御装置Ct1の制御部22は、受信したペアリング情報信号に含まれるペアリング情報を、記憶部23に格納する。なお、ペアリング処理が実行できた場合、
図12に示すように、該当する照明器具L4の近傍に位置情報であるアドレスG02を表示してもよい。
【0054】
一方、ステップS3~S5で選択した照明器具Lが、照明器具L4(アドレスG02)でなかった等により、点灯していると判別した照明器具Lが一致しなかった場合(ステップS9:No)、ステップS8を再び実行する。携帯端末Md1の制御部32は、次に電波強度が強かった照明器具Lを点灯させる点灯要求信号Sg2を制御装置Ct1に送信する。図示された例においては、照明器具L3(アドレスG01)の電波強度が2番目に強かったことから、制御装置Ct1は、照明器具L3を点灯させる点灯指示信号Sg3を照明器具L3に送信する。携帯端末Md1は、照明器具L3が点灯している状態を撮影した撮影画像Sc2について、ステップS9を実行する。選択した照明器具Lと点灯した照明器具Lとが一致すれば、ステップS10のペアリング処理を行う。
【0055】
携帯端末Md1の制御部32は、以上のステップS8,S9を、選択した照明器具Lと点灯した照明器具Lとが一致するまで実行する。そして、ステップS10を実行することにより、携帯端末Md1から制御装置Ct1にペアリング情報信号が送信され、制御装置Ct1の記憶部23にペアリング情報が格納される。
【0056】
次いで、すべての照明器具Lについて、ペアリング処理が完了したかを判定する(ステップS11)。未だ、ペアリング処理が完了していない照明器具Lが存在する場合(ステップS11:No)、ユーザは、ステップS1に戻って、上述の一連の処理を行う。そして、すべての照明器具Lについてペアリング処理が完了した場合(ステップS11:yes)、ユーザは、ペアリング処理を終了する。
【0057】
すべての照明器具Lについてペアリング処理が完了すると、制御装置Ct1の記憶部23には、すべての照明器具Lのペアリング情報が格納される。これにより、たとえば、携帯端末Md1から、アドレスを指定していずれかの照明器具Lの点灯/消灯や輝度変更および調色等の要求信号が制御装置Ct1に送信された場合、制御装置Ct1の記憶部23は、要求信号に含まれるアドレスに対応する灯具IDを、記憶部23に格納されたペアリング情報から特定する。そして、制御部22は、当該灯具IDの照明器具Lの点灯状態を適宜変更させる指示信号を該当する照明器具Lに送信する。このように、ペアリング処理を終えた照明制御システムA1においては、ユーザが照明器具L1~Lnの個々の灯具IDを指定する必要がなく、配灯図におけるアドレスを指定することによって、複数の照明器具L1~Lnのうち任意の照明器具Lについて照明状態を制御する操作を行うことができる。
【0058】
次に、携帯端末Md1、照明制御システムA1およびこれらを用いた照明制御方法の作用について説明する。
【0059】
本実施形態の携帯端末Md1、照明制御システムA1およびこれらを用いた照明制御方法によれば、ステップS6において携帯端末Md1の無線通信部35によって受信した複数の照明器具L1~Lnからの信号について、ステップS7において電波強度を評価する。次いで、ステップS8において、携帯端末Md1が、電波強度が所定以上の照明器具L2~L6のみを点灯させる要求を制御装置Ct1に送信する。そして、ステップS9において予めステップS3で選択した照明器具Lと点灯した照明器具Lとが一致すると、ステップS10においてペアリング処理を行う。たとえば、ステップS2においてユーザが
図8に示す撮影画像Sc2を撮影する場合、自身がステップS1で選択した照明器具L4(アドレスG02)に近い場所から、撮影することが自然な動作である。このため、ステップS7において、選択した照明器具L4(アドレスG02)は、電波強度が所定以上である可能性が高く、ステップS8,S9では、すべての照明器具Lを点灯させる場合と比較して、照明器具L4(アドレスG02)をより早く点灯させることが可能である。したがって、本実施形態によれば、ペアリング処理の効率を向上させることができる。また、好ましくは、制御部32は、ステップS8において、携帯端末Md1が、電波強度が強い順に複数の照明器具Lを点灯させる要求を制御装置Ct1に送信する。このため、ステップS8において、照明器具L4(アドレスG02)が最初に点灯するか、もしくは比較的早い順番で点灯する可能性が高い。このため、選択した照明器具L4が遅い順番で点灯されたり、他の点灯要否条件によって点灯させられないといった事態を回避することが可能である。したがって、本実施形態によれば、ペアリング処理の効率を向上させることができる。また、ペアリング処理を行う照明器具Lのすべてを携帯端末Md1の表示部31に表示することが強いられないため、ノートPCと比べて表示面積が小さなスマートフォンであってもペアリング処理を行うやすいとい利点がある。
【0060】
なお、本実施形態においては、
図10および
図11に示すように、電波強度が予め定められた閾値以上の照明器具LをステップS8での点灯要求の対象としたが、信号を受信したすべての照明器具LをステップS8での点灯要求の対象としてもよい。ステップS8においては、電波強度が強い順に点灯要求を送信するため、対象となる照明器具Lの数が仮に多くても、選択された照明器具Lが比較的早い順序で点灯することが期待できる。これにより、ペアリングに要する時間が不当に長くなってしまうことを抑制することができる。
【0061】
また、
図12に示すように、ステップS10においてペアリングがなされた照明器具Lの近傍に、撮影画像Sc2においてアドレスを表示している。これにより、ペアリングがなされた照明器具Lが配灯図のいずれの照明器具Lであるかを速やかに認識可能であり、ペアリングが完了した照明器具Lと未完了の照明器具Lとをより確実に区別することができる。
【0062】
図13~
図15は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0063】
<第2実施形態>
図13および
図14は、本発明の第2実施形態に係る携帯端末を用いた例を示している。本実施形態の携帯端末Md2は、無線通信部35の構成が上述した実施形態と異なる。本実施形態においては、無線通信部35は、携帯端末Md2の筐体に対して、たとえばUSB端子に接続されることにより取り付けられた無線モジュールからなる。この場合、たとえば、上述の制御信号Sg1に代えて、照明器具Lが発信するビーコンを、無線通信部35が受信する構成であってもよい。また、この無線モジュールからなる無線通信部35は、外付けアンテナ351を有する。外付けアンテナ351は、無線通信の指向性を向上させるためのものであり、本発明の指向性アンテナに相当する。指向性アンテナの具体例としては、八木アンテナ、パラボラアンテナが含まれるが、これに限定されず特定の方向へ放射する電波強度が強いアンテナが含まれる。また、複数のアンテナエレメントに給電する高周波の位相を制御することにより、アンテナエレメント全体としての指向性を動的に制御する、いわゆるビームフォーミング技術を用いたアンテナも指向性アンテナに含まれる。
【0064】
携帯端末Md2を用いて、
図5のステップS6,S7を実行する際には、外付けアンテナ351によって指向性が高められた方向(たとえば棒状の外付けアンテナ351が指す方向)に位置する照明器具Lからの電波強度が顕著に強くなり、この方向から逸れた方向にある照明器具Lからの電波強度が相対的に弱くなる。このため、ステップS1において選択した照明器具Lにユーザが意図して外付けアンテナ351を差し向ければ、選択された照明器具Lからの電波強度をより高めることが可能であり、ステップS8において選択された照明器具Lをより早い順序で点灯させることができる。
【0065】
また、ステップS8で点灯要求の対象とする照明器具Lを電波強度の閾値によって決定する場合に、閾値以上の照明器具Lがより狭められることとなる。図示された例においては、電波強度が閾値以上である条件を満たしたものは、領域Ar2に配置された照明器具L3,L4,L5であり、これは、
図10において領域Ar1に配置された照明器具Lの個数よりも少ない。このため、
図14に示すように、ステップS8~S10を実行する際には、点灯要求の対象となる照明器具Lの個数が少なく、より効率よくペアリングを実行することができる。
【0066】
なお、無線通信部35は、携帯端末Md2に内蔵された無線通信部と無線通信を介して無線接続される中継機であってもよい。たとえば照明器具Lのメーカーが、無線通信部35をセキュリティ管理している場合、携帯端末Md2が公衆回線ネットワークを介して照明器具Lのメーカーから暗号キーを受領する。そして、携帯端末Md2は、この暗号キーを利用して、無線通信部35を操作する。そして、ペアリングが完了し、ペアリング情報をメーカーに送信すると、無線通信部35の通信が遮断される構成であってもよい。また、携帯端末Md2が公衆回線ネットワークを介してメーカーの遠隔制御部と接続した際に、たとえばHTTP表示により同じ操作画面を共有してもよい。これにより、複数の照明器具Lを設置したユーザがペアリング等の設定に不慣れであっても、メーカーのサポートにより、設定作業を実行することができる。
【0067】
<第3実施形態>
図15は、本発明の第3実施形態に係る照明制御方法を示すフローチャートである。本実施形態においては、ステップS1において、配灯図画面Sc1から特定数の照明器具Lを選択する。特定数は、1でもよく、複数に設定してもよい。たとえば、ステップS1において、ユーザが「次に」が割り当てられた操作ボタンアイコン42にタッチするまでの間にタッチした照明器具Lの個数を、特定数として設定してもよい。次に、ステップS3においては、ステップS1で選択した特定数の照明器具Lを選択し、ステップS4においてこれらの特定数の照明器具Lが強調表示される。そして、ステップS9で、選択したすべての特定数の照明器具Lが点灯すると、ステップS10においてペアリングを実行する。
【0068】
このような実施形態によれば、たとえばステップS2において確実且つ鮮明に撮影可能な範囲に配置された照明器具Lを特定数の照明器具Lとして選択し、ペアリングに要する時間をより短縮することができる。
【0069】
本発明に係る携帯端末、照明制御方法および照明制御システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る携帯端末、照明制御方法および照明制御システムの具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0070】
本発明に係る照明制御方法を携帯端末に実行させるプログラムとして構成してもよい。前記プログラムは、それぞれが固有の灯具IDおよび器具側無線通信部を有する複数の照明器具と、前記複数の照明器具の点灯制御を行う制御装置と、のそれぞれと通信を行う携帯端末からなり、前記携帯端末は、前記複数の照明器具と無線通信を行う端末側無線通信部、表示部、撮影部および制御部を備え、前記移動端末にインストールされ各ステップを携帯端末に実行させるプログラムである。その特徴は、前記制御部に対し、前記撮影部によって取得された撮影画像における前記照明器具と、前記複数の照明器具の配置情報に含まれる前記照明器具のアドレスと、を対応させる第1ステップ、前記端末側無線通信部が受信した前記照明器具ごとの前記器具側無線通信部からの電波強度を計測する第2ステップ、前記第2ステップによって得られた電波強度が所定以上の前記複数の照明器具のみを順次点灯させる要求を、前記制御装置に送信する第3ステップ、および、前記撮影画像において点灯状態の照明器具の前記灯具IDと前記配置情報のアドレスとを対応させる第4ステップを実行させる。好ましくは、第3ステップにおいては、前記第2ステップによって得られた電波強度が強い順に前記複数の照明器具を順次点灯させる要求を、前記制御装置に送信する。この場合、プログラムを携帯端末のアプリとしてユーザの携帯端末にダウンロードして利用し、メーカーが専用の携帯端末を準備しなくてもよいので、作業者の作業スピードを向上できる。
【符号の説明】
【0071】
Md1,Md2:携帯端末
A1 :照明制御システム
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信部
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信部
25 :電源部
31 :表示部
32 :制御部
33 :記憶部
34 :撮影部
35 :無線通信部
36 :電源部
41,42,43,44:操作ボタンアイコン
351 :外付けアンテナ
Ar1 :領域
Ar2 :領域
Ct1 :制御装置
L,L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,Ln:照明器具
Sc1 :配灯図画面
Sc2 :撮影画像
Sg1 :制御信号
Sg2 :点灯要求信号
Sg3 :点灯指示信号